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富士通株式会社の環境イニシアチブとパフォーマンスに関する包括的分析レポート

更新日:2025年4月30日
業種:製造業(3333)

1. 序論

1.1. 本報告書の目的と背景

本報告書は、富士通株式会社(以下、富士通)の環境側面における取り組みとパフォーマンスを、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の三つの重点分野において包括的に分析・評価することを目的とする。この分析は、同社の環境スコアリングに必要な詳細情報の提供を意図し、学術的厳密性をもって実施するものである。気候変動の深刻化、資源制約、生物多様性の損失といった地球規模の課題に対し、IT・エレクトロニクス業界のリーディングカンパニーである富士通がどのように対応しているかを明らかにすることは、投資家、顧客、社会全体にとって極めて重要性を増している。富士通自身も、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を経営の最優先事項の一つとして認識しているものの、その戦略実行と具体的な成果達成の間にはギャップが存在することも認識されている 1。本報告書は、富士通の現状の取り組みを客観的に評価し、今後の課題と機会を明らかにすることで、同社の持続可能な成長に資する情報を提供することを目指す。

1.2. 分析対象範囲:気候変動、資源循環、生物多様性

本分析の対象は、富士通グループ全体の環境戦略を基盤としつつ、特に富士通株式会社本体の活動を中心に据える。ただし、公開されているデータがグループ連結ベースである場合は、その旨を明記する。分析の重点分野である「気候変動(カーボンニュートラル)」「資源循環(サーキュラーエコノミー)」「生物多様性(自然共生)」は、富士通が自社のマテリアリティ(重要課題)として特定し、地球環境問題解決に向けた貢献分野として定めている中核的なテーマである 2。これらの分野における具体的なイニシアチブ、目標、実績、リスク、機会を詳細に検討する。

1.3. 富士通のサステナビリティ経営における環境の位置づけ

富士通は、その存在意義(パーパス)として「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を掲げ、これを全社員の原理原則である「Fujitsu Way」の中核に据え、サステナビリティ経営を強力に推進している 2。環境問題の解決(Planet)は、デジタル社会の発展(Prosperity)、人々のウェルビーイング向上(People)と並び、同社が取り組むべき社会課題解決に向けた三つの重要な柱の一つとして明確に位置づけられている 2

この位置づけは、単なるリスク管理やコンプライアンス遵守を超え、環境への取り組みが企業価値向上と事業戦略に不可欠な要素であることを示している。CEOやCSSO(Chief Sustainability Officer)からのメッセージにおいても、サステナビリティ経営と企業価値向上の強い連携が繰り返し強調されている 8。マテリアリティとして「地球環境問題の解決」を特定し、中期経営計画や事業戦略と連動させている事実は 2、環境課題への対応が受動的なものではなく、能動的かつ戦略的な経営判断であることを裏付けている。

一方で、富士通が実施したグローバルCxO意識調査(SX調査)では、経営層の大多数(70%)がサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を経営の最優先事項と回答しながらも、実際に戦略を実行し具体的な成果を出していると回答したのは26%に留まるという結果が示されている 1。これは、富士通自身が直面している可能性のある内部課題、あるいは同社が顧客のSXを支援する上で認識している市場全体の普遍的な課題を示唆している可能性がある。特に、同調査ではAI(人工知能)の活用強化がSXの成功に寄与すると63%が回答しているにもかかわらず 10、AIの全社戦略を策定していない企業が約4割、導入・活用が進んでいる成熟企業は約1割に過ぎないという実態も明らかになっている 10。この「戦略と実行・成果のギャップ」および「AI活用の重要性認識と導入実態のギャップ」は、SX推進におけるテクノロジー導入、特にAI活用の難易度の高さや、戦略と現場での実行との間に存在する乖離を示唆している。富士通にとって、これは自社のSX推進における挑戦であると同時に、顧客企業が抱える同様の課題に対し、「Fujitsu Uvance」 8 に代表されるソリューションを提供することで、このギャップを埋める支援を行うという大きなビジネス機会をもたらすものでもある。

2. 富士通の環境への取り組み:分野別詳細分析

2.1. 気候変動への対応

2.1.1. マネジメントアプローチと目標設定

富士通は、気候変動問題を経営上の最重要課題の一つとして明確に認識しており、その対応として気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく情報開示を積極的に実施している 3。これにより、気候変動が自社の事業活動にもたらすリスクと機会を体系的に評価し、その財務的影響についても透明性をもって開示する姿勢を示している。

2.1.1.1. 環境ビジョンとSBTネットゼロ目標

富士通は、気候変動対策に関する中長期的な指針として「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定し、社会情勢や科学的知見の変化を踏まえてこれを更新してきた 12。最新のビジョンでは、自社の事業活動(Scope 1およびScope 2)における温室効果ガス(GHG)排出量を2030年度までに実質ゼロにすること、さらにサプライチェーン全体(Scope 3を含む)の排出量を2040年度までにネットゼロとすることを目標として掲げている 12。この野心的な2040年度ネットゼロ目標は、科学的根拠に基づく目標設定を推進する国際的イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)から「ネットゼロ認定」を取得しており、その目標設定の妥当性と信頼性が国際的に認められている 11

2.1.1.2. 温室効果ガス排出削減目標の詳細

具体的な排出削減目標として、まずScope 1およびScope 2排出量については、2030年度までに2013年度比で71.4%削減するという極めて高い目標を設定している 11。この目標は、パリ協定の1.5℃目標達成に整合するものとしてSBTiから「1.5℃水準」の認定を受けており 11、当初掲げていた33%削減目標から大幅に引き上げられたものである 13。さらに短期的なマイルストーンとして、第11期環境行動計画(2023~2025年度)においては、事業拠点からのGHG排出量を2025年度末までに基準年である2020年度比で50%削減するという目標も設定している 6。Scope 3排出量に関しては、バリューチェーン全体での2040年度ネットゼロ達成に向けた重要なステップとして、特に排出量の大きいカテゴリー11(販売した製品の使用に伴う排出)について、2025年度までに2020年度比で12.5%削減するという具体的な目標を設定している 6。また、サプライヤーとの連携強化を目指すエンゲージメント目標も設定されている 6

2.1.1.3. 再生可能エネルギー導入目標

GHG排出削減、特にScope 2排出削減の鍵となる再生可能エネルギーの導入に関しても、意欲的な目標を設定している。国際イニシアチブであるRE100に加盟し、事業活動で使用する電力を2030年度までに100%再生可能エネルギー由来とすることを目指している 13。これは当初の2050年目標から20年も前倒しされたものであり、脱炭素化への強い意志を示すものである 13。第11期環境行動計画では、中間目標として2025年までに再生可能エネルギー使用率を50%以上に引き上げることも目指している 6

2.1.2. 具体的な取り組みとプログラム

富士通は、設定した野心的な目標を達成するために、多岐にわたる具体的な取り組みを推進している。

2.1.2.1. 事業拠点における排出削減策

自社の工場、データセンター、オフィスにおけるエネルギー消費量とGHG排出量を継続的に監視し、徹底した省エネルギー活動を推進している 11。特に電力消費量の大きいデータセンターにおいては、PUE(電力使用効率)の改善に注力し、独自開発したAI技術を活用した空調設備の最適制御や、外気を利用した冷却システムの導入などを積極的に行い、年間で15%から20%の消費電力削減を実現した事例も報告されている 15。将来的には、燃料電池発電システムの導入や、ボイラーなどの熱源設備の電化、水素などのグリーンエネルギーへの転換も視野に入れた検討を進めている 15

2.1.2.2. 再生可能エネルギー利用拡大策

再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、多様なアプローチを組み合わせている。グリーン電力証書や再生可能エネルギー証書の購入に加え、新たな再生可能エネルギー発電設備の増加に貢献する「追加性」のある電源、特にPPA(電力購入契約)を通じた電力調達や関連投資を重視している 11。国内最大級の拠点であるFujitsu Technology Park(旧川崎工場)では、使用電力の100%再生可能エネルギー化を達成し 11、海外においても富士通オーストラリアで大規模なPPA契約を締結するなどの実績を上げている 11。また、自社事業所への太陽光発電設備の設置も進めている 16。国内のデータセンターから提供する主要クラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud」の運用に必要な電力を2022年度に100%再生可能エネルギー化したことは特筆すべき成果である 15。さらに、顧客に対しても、データセンター利用電力を実質再生可能エネルギー100%で提供するサービスを展開している 19。これらの調達にあたっては、RE100の要件適合性、電源のトレーサビリティ、追加性、地域社会への貢献などを考慮した独自の「再生可能エネルギー調達原則」を定めて運用している 16

2.1.2.3. 製品・サービスにおける環境配慮

製品が顧客のもとで使用される段階でのエネルギー消費、すなわちScope 3 カテゴリー11の排出量削減も重要な課題と認識し、製品の省エネルギー設計を徹底している 3。第11期環境行動計画では、2025年度までに2020年度比で12.5%削減するという具体的な目標を掲げている 6。ICT製品全般にわたる環境配慮設計基準を設け、省エネルギー化はもちろん、製品含有化学物質の削減やライフサイクルアセスメント(LCA)の実施にも取り組んでいる 4。さらに、自社の製品・サービスを通じて顧客や社会全体のGHG排出削減に貢献する「環境貢献ソリューション」の開発・提供にも力を入れており 15、その貢献量を客観的に評価するための国際標準化活動(IEC TC111 WG17)にも積極的に参画している 15

2.1.2.4. サプライチェーンにおける排出削減連携

バリューチェーン全体でのネットゼロ達成には、サプライチェーン上流、特に購入した製品・サービス(Scope 3 カテゴリー1)からの排出量削減が不可欠であるとの認識のもと、サプライヤーとの連携を強化している 3。主要な取引先に対して、SBTのWB2℃目標に相当するレベルの排出削減目標を設定するよう働きかけるとともに、GHG排出量データの収集・共有のための仕組み構築と展開を進めている 6。2023年度には、主要取引先612社を通じて、その先の二次取引先49,000社以上に対しても削減活動の実施を要請するなど、広範なエンゲージメント活動を展開している 22。サプライチェーン全体での環境負荷低減を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指している 22

2.1.2.5. テクノロジーによる社会貢献

自社の強みであるAI、IoT、コンピューティング技術などの先進デジタル技術を駆使し、自社グループの排出削減に留まらず、社会全体のカーボンニュートラル実現や、気候変動の影響に対するレジリエンス(強靭性)の高い社会インフラの構築にも貢献することを目指している 11。具体的には、再生可能エネルギーの導入拡大や効率的な利用を支援するスマートグリッド関連技術、AIを活用したエネルギー需要予測や最適化プラットフォームなどを提供し、エネルギー業界の持続可能な発展を支援している 23。また、企業のGHG排出量を可視化・管理するソリューションや 2、電気自動車(EV)の導入・運用最適化、バッテリーリサイクルの効率化を支援する技術なども開発・提供している 23

2.1.3. パフォーマンスと実績

富士通の気候変動対策に関する取り組みは、具体的な数値実績としても着実に成果を上げている。

2.1.3.1. 温室効果ガス排出量の推移と目標達成状況

事業拠点からの排出量(Scope 1, 2)については、2023年度の実績として基準年(2020年度)比で58.4%の削減を達成した 7。これは、第11期環境行動計画における2025年度末目標(50%削減)および2023年度の中間目標(30%削減)をいずれも達成するものであり、削減が順調に進んでいることを示している 7。2023年度のScope 1, 2のGHG総排出量は516千トン-CO2であり、前年度(2022年度)と比較しても5.8%減少している 18。過去を遡ると、2017年度時点では2013年度比で16.6%の削減であったことから 14、近年削減ペースが加速していることがうかがえる。Scope 3 カテゴリー11(製品使用時)の排出量に関しても、2023年度には大幅な削減が見られ、これが生物多様性への負の影響低減にも寄与したと報告されている 5。具体的な削減率については、サステナビリティデータブックでの確認が必要であるが 26、目標達成に向けて進捗していることが示唆される。

2.1.3.2. 再生可能エネルギー利用率の進捗

再生可能エネルギーの利用率も着実に向上している。2023年度の実績は42.7%であり 16、2025年の目標である50%以上に向けて順調に進捗していると言える。2017年度の実績が3.3%であったこと 14 を踏まえると、近年の導入拡大の努力が実を結んでいることがわかる。

2.1.3.3. CDP評価結果とその意義

国際的な環境情報開示プラットフォームであるCDPからの評価は、富士通の気候変動対策のレベルの高さを示す客観的な指標となっている。2023年に実施されたCDP気候変動調査において、7年連続で最高評価である「Aリスト」に選定されたことは特筆すべき成果である 12。これは、同社の情報開示の透明性、気候変動に関するリスクと機会の認識・管理能力、戦略の妥当性、そして野心的な目標設定といった側面におけるリーダーシップが、国際的に高く評価されていることを意味する。さらに、サプライチェーン全体での気候変動対策への取り組みを評価する「サプライヤーエンゲージメント評価」においても、4年連続で最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されており 27、自社だけでなくバリューチェーン全体での取り組み推進が認められている。

これらの実績を踏まえると、富士通の気候変動対策は、自社の直接的な排出量削減(Scope 1, 2)において目標を前倒しで達成するなど、強力な推進力を持っていることがわかる 18。この成功体験を基盤として、現在はその活動の軸足を、より広範なバリューチェーン全体、特にScope 3排出量の削減(サプライヤー連携強化 22 や顧客への環境貢献ソリューション提供 15)や、再生可能エネルギー導入の更なる加速 16 へと戦略的に広げている段階にあると考えられる。2040年のネットゼロ目標達成 13 に向けては、バリューチェーン全体、とりわけScope 3の削減が決定的に重要となるため、サプライヤーへの働きかけ強化 6 や、顧客の排出削減を支援するビジネス展開 15 は、今後の戦略においてますますその重要性を増すだろう。再生可能エネルギー導入目標の前倒し 13 や、PPAといった追加性のある電源への投資意欲 11 も、Scope 2削減を加速させると同時に、電力購入に関連するScope 3排出への波及効果も視野に入れた動きと解釈できる。

特に、データセンターにおける省エネルギー化 15 と再生可能エネルギー化 15 への注力は、戦略的に重要な意味を持つ。データセンターはITインフラの中核であり、その電力消費量は大きい 11。したがって、ここでの省エネ・再エネ化は、富士通自身のScope 2排出量削減に直接的に大きく貢献する 15。それと同時に、顧客が富士通のクラウドサービスを利用する際、その運用電力が再生可能エネルギー由来であれば、顧客自身のScope 3排出量(購入したサービスに伴う排出)の削減にも直接的に貢献することになる 19。これは、環境意識の高い顧客にとって大きな付加価値となり、富士通のクラウドビジネス、特にサステナビリティ課題解決を前面に打ち出す「Fujitsu Uvance」 8 の競争力強化に直結する。自社が提供するデジタルサービスの基盤インフラ自体をグリーン化することは、SX支援を標榜する企業としての説得力を高める上でも不可欠な要素と言えるだろう。

2.2. 資源循環の推進

2.2.1. マネジメントアプローチと目標設定

富士通は、資源の枯渇や廃棄物問題に対応するため、プラスチックをはじめとする資源の3R(Reduce: 使用量削減、Reuse: 再利用促進、Recycle: 再生資源利用促進)に長年にわたり取り組み、近年注目が高まっているサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を重要な経営課題として認識している 20

2.2.1.1. サーキュラーエコノミーへの移行方針

製品の省資源設計を徹底し、資源の循環利用率を高めることで、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済モデルから脱却し、資源制約に左右されないサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルを構築することを目指している 6。今後の重点戦略として、画一的なアプローチではなく、個々の製品やサービスの特性に合わせたサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルを具体的に構想し、その新しいビジネスモデルの要件を満たすような製品設計へと舵を切る方針を明確にしている 20

2.2.1.2. 廃棄物削減・リサイクル目標

第11期環境行動計画(2023~2025年度)においては、具体的なサーキュラーエコノミー型製品・サービスの開発を2025年度までに目指すという目標を掲げている 6。また、プラスチック廃棄物に関しては、その排出抑制と再資源化を推進し、将来的にはゼロエミッション(単純焼却・埋立ゼロ)を達成すること、および輸送容器などのリターナブル化(繰り返し利用)を推進することを目標としている 20。事業活動から排出される使用済みICT製品については、既に資源再利用率90%以上という高い目標を達成しており、現在はその水準を維持するための管理目標として取り組みを継続している 20。事業所全体の廃棄物削減に関する具体的な数値目標(例えば、日立製作所が設定しているような廃棄物発生量原単位の改善目標や埋立廃棄物ゼロ達成事業所数の目標 28 など)については、富士通のサステナビリティデータブックでの詳細な確認が必要である 26

2.2.1.3. 水資源管理目標

水資源に関しても、持続可能な利用を目指した管理目標を設定している。第11期環境行動計画では、2023年度から2025年度までの3年間で、国内の主要事業所(データセンターを除く)において、具体的な水削減施策を積み上げることにより、水使用量を合計で5.7万立方メートル以上削減するという定量目標を掲げている 6。さらに、自社の水使用量削減だけでなく、サプライチェーン上流における水リスクへの対応も重視し、主要な取引先に対して水資源保全の重要性に関する意識啓発を行い、取り組みを依頼するという目標も設定している 6

2.2.2. 具体的な取り組みとプログラム

富士通は、資源循環の目標達成に向け、製品ライフサイクルの各段階において多様なプログラムを実行している。

2.2.2.1. 製品ライフサイクル全体での資源効率化

製品開発・設計段階から資源効率を追求している。ICT製品において、再生プラスチックの利用を積極的に進めているほか 20、製品自体の部品点数を削減し、より小型・軽量・薄型な設計を追求することで、使用する資源量を根本的に削減する努力を行っている 20。また、製品のライフサイクル全体での環境影響を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施し、環境配慮設計アセスメント制度を通じて、含有化学物質の削減やリサイクル容易性なども考慮した設計を推進している 4。欧州のErP指令(エコデザイン指令)や北米のEPEAT(電子製品環境評価ツール)といった国際的な環境基準にも対応している 4。さらに、製品の梱包においても、プラスチック製緩衝材から紙製への転換を進めたり 20、包装用のポリ袋を廃止したりする 31 など、細部にわたる資源削減に取り組んでいる。

2.2.2.2. 廃棄物削減とリサイクルの実践

使用済みとなったICT製品の回収とリサイクルにおいて、高度なシステムを構築・運用している。全国に設置された富士通リサイクルセンターでは、回収した製品を一つひとつ手作業で解体し、鉄、銅、アルミニウム、貴金属類、ガラス、プラスチックといった素材ごとに高精度で分別することで、極めて高い資源再利用率を実現している 30。このリサイクルプロセスにおいては、環境省が認定する産業廃棄物広域認定制度を活用しており、排出事業者である顧客にとっては、個別の運搬・処分業者との契約手続きやマニフェスト管理といった煩雑な業務が不要となるメリットを提供し、適正なリサイクル処理と顧客の負担軽減を両立させている 32。事業所から発生する廃棄物に関しても、社員一人ひとりが3R(リユース、リデュース、リサイクル)を意識し、徹底した分別と再資源化を推進している 31。また、富士通ゼネラルを含むグループ企業では、家電リサイクル法や小型家電リサイクル法といった法規制に基づき、対象となる製品の適正な回収・リサイクル処理を実施している 34

2.2.2.3. 水使用量の削減と保全策

事業所における水使用量の削減に向けては、製造プロセスでの使用量最適化、漏水防止対策の徹底、冷却用水の循環利用システムの導入・改善、工場排水の処理・再利用といった具体的な施策を継続的に実施している 29。日立製作所の事例 28 に見られるような取り組みが、富士通でも同様に進められていると考えられる。加えて、自社の水使用量管理に留まらず、サプライチェーン全体での水リスク管理にも着手しており、主要な取引先に対して水リスク評価を実施し、その結果に基づいて水資源保全の重要性に関する意識向上を働きかけ、具体的な取り組みを要請している 4

2.2.2.4. プラスチック資源循環への対応

2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」への対応も進めている。同法で定められた「多量排出事業者」として、自主的にプラスチック廃棄物の排出抑制および再資源化に関する目標を設定し、具体的な活動を推進している 20。廃プラスチックの単純焼却・埋立をゼロにする「ゼロエミッション活動」や、輸送用コンテナなどを繰り返し利用する「リターナブル化」の推進を目標に掲げている 20

2.2.2.5. サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの模索

従来の製品売り切り型モデルから脱却し、サーキュラーエコノミーを実現する新たなビジネスモデルの構築を模索している段階にある 20。具体的な取り組みとしては、環境配慮型のICT製品を活用し、顧客が必要な時に必要なだけ利用できるシェアリングサービスを支えるクラウド基盤の提供 4 や、製品や素材のトレーサビリティを確保し、サプライチェーン全体での資源循環を促進するためのブロックチェーン技術の活用検討 4 などが挙げられる。製品のサービス化(Product as a Service)、リユース・リファービッシュ市場への参入、素材レベルでの循環ループ構築などが今後の展開として考えられる。

2.2.3. パフォーマンスと実績

富士通の資源循環に関する取り組みは、具体的な数値実績としても着実に成果を上げている。

2.2.3.1. 廃棄物排出量とリサイクル率の動向

使用済みICT製品のリサイクルに関しては、極めて高い水準を維持している。2023年度に富士通リサイクルセンターで処理された使用済みICT製品は1,986トンに達し、その資源再利用率は94.1%を記録した 33。これは、管理目標としている90%以上を安定的に達成していることを示している。プラスチック廃棄物の排出量については、2023年度の実績として1.8千トンと報告されている 20。事業所から排出される一般廃棄物や産業廃棄物全体の総排出量やリサイクル率の推移については、サステナビリティデータブックでの詳細な確認が必要となる 26

2.2.3.2. 水使用量・取水量・排水量の実績

水資源管理においても、着実な成果が見られる。2023年度の総水使用量は609万立方メートルであり、前年度から微減した 35。特筆すべきは、第11期環境行動計画で設定された水削減施策による削減目標(2023~2025年度の3年間で5.7万立方メートル削減)に対し、初年度である2023年度だけで5.9万立方メートルの削減を達成したことである 29。これは計画を大幅に上回るペースでの進捗を示している。水源別の取水量を見ると、2023年度は地下水からの取水が約374万立方メートル、上水道など第三者からの取水が約235万立方メートルであった 35。排水量は年間約500万立方メートルとなっている 35。また、事業所内で水を循環させて再利用する量(循環水量)は2023年度に329万立方メートルであったが、これは前年度比で減少しており、総水使用量に対する循環水利用率も54.1%と、前年度(約62.8%)から低下している 29。総使用量自体が削減されている中で、循環利用率が低下した要因については、更なる分析が必要である。

2.2.3.3. 目標達成状況の評価

全体として、水使用量の削減目標は計画を大きく上回るペースで達成しており、高く評価できる 29。使用済みICT製品のリサイクル率も業界最高水準を維持している 33。一方で、第11期環境行動計画で掲げられたサーキュラーエコノミー型製品・サービスの開発目標 6 については、具体的な進捗状況や成果に関する情報開示が待たれる状況である。

これらの実績から、富士通は従来型の「Reduce(削減)」と「Recycle(リサイクル)」に軸足を置いた資源循環の取り組みにおいては、確立されたシステムと高いパフォーマンスを有していることがわかる 29。しかしながら、同社自身が今後の重点戦略として掲げているように 6、これからは製品の長寿命化、修理・再利用を促進する「Reuse」の強化、そして製品をサービスとして提供するビジネスモデル(PaaS, SaaSなど)への転換を含む、真のサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みが求められている。これは、単なる廃棄物管理やリサイクル率の向上に留まらず、製品の企画・設計思想からビジネスモデル、さらには顧客との関係性までをも変革する必要がある、より本質的で難易度の高い挑戦であると言える。

特に、プラスチック資源循環法への対応 20 は、この挑戦を加速させる契機となり得る。法的な要請に応えることは当然として、これを機に再生プラスチックの利用拡大 20 や、リサイクルしやすい設計(サーキュラーデザイン)の導入を積極的に進めることは、富士通のサーキュラーエコノミー戦略全体の推進力となり得るだろう。プラスチックという特定の素材に焦点を当てることで、製品設計、製造プロセスにおける排出抑制、そして使用後の回収・リサイクルシステム(特にボトルtoボトルのような水平リサイクル)といった、バリューチェーン全体にわたる具体的な改善活動が促進される可能性がある。この取り組みで得られた知見や成功モデルは、将来的には他の素材や製品分野におけるサーキュラーエコノミーへの移行を推進する上での貴重な資産となる可能性がある。

2.3. 生物多様性の保全(自然共生)

2.3.1. マネジメントアプローチと目標設定

富士通は、生物多様性の損失を気候変動と並ぶ重大なグローバルリスクとして深く認識しており、カーボンニュートラル(気候変動対策)とネイチャーポジティブ(生物多様性の回復)の達成に向けた統合的なアプローチが不可欠であると考えている 5

2.3.1.1. ネイチャーポジティブへの貢献方針

2050年のあるべき姿として、「富士通グループのもつテクノロジー、特にデジタル技術を最大限に活用し、損なわれた自然資本および生物多様性を十分に回復させ、自然と人間が豊かに共生する世界を実現する」ことを高らかに掲げている 37。このビジョンの実現に向け、昆明・モントリオール生物多様性枠組で合意された「2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復軌道に乗せる」という世界目標や、陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する「30by30目標」といった国際的な目標への貢献を明確に意識した活動を展開している 5

2.3.1.2. 生物多様性への影響評価(エコロジカル・フットプリント)

企業活動が生物多様性に与える影響を定量的に把握し、削減策の効果を測定するための指標として、「エコロジカル・フットプリント(EF)」を採用している 5。EFは、人間活動が地球環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な生物生産可能な土地・水域面積(グローバルヘクタール: gha)として示す指標である。富士通は、ライフサイクル全体(原材料調達、自社事業活動、製品使用、廃棄等)におけるGHG排出量、水使用量、土地利用、資源消費量などの活動量データをインプットとし、EFを算出する独自の方法論を確立した 5。この算定の結果、驚くべきことに、富士通グループの企業活動が生物多様性に与える負の影響(EFで評価)のうち、実に92%が自社およびサプライチェーン全体における「二酸化炭素(CO2)排出」に起因することが明らかになった 5。これは、同社にとって気候変動対策が生物多様性保全の最も重要な鍵であることを示唆している。

2.3.1.3. 影響低減・貢献拡大目標

上記のEF評価結果を踏まえ、具体的な削減目標を設定している。中期目標として、2030年までにサプライチェーンを含む自社の企業活動領域における生物多様性への負の影響(EFベース)を、基準年である2020年度比で25%以上低減することを目指している 5。短期目標としては、2025年度までに同領域における負の影響を12.5%以上低減することを掲げている 5。これらの負の影響削減目標に加えて、生物多様性に対して「正の影響」を与える活動、すなわち生態系の保全や回復に直接貢献する取り組みを積極的に推進し、そのインパクトを増加させることも目標としている 5

2.3.2. 具体的な取り組みとプログラム

富士通は、ネイチャーポジティブへの貢献を目指し、負の影響削減と正の影響創出の両面から多様なプログラムを展開している。

2.3.2.1. 企業活動における負の影響低減策

EF評価の結果に基づき、生物多様性への負の影響を削減するための最重要施策として、気候変動対策、すなわちScope 1, 2, 3全体にわたるCO2排出量の削減活動を強力に推進している 5。前述(2.1.2節)のGHG排出削減に向けた全ての取り組み(省エネ、再エネ導入、製品効率化、サプライヤー連携等)が、直接的に生物多様性目標の達成にも貢献する構造となっている。また、EFの算定には事業所の敷地利用に伴う土地利用変化の影響も含まれるため 5、事業所敷地の管理においても生物多様性への配慮が求められる。

2.3.2.2. 生物多様性への正の影響を創出する活動

負の影響削減と同時に、生物多様性の保全・回復に直接貢献する「正の影響」を創出する活動も積極的に行っている。具体的には、各工場における緑地の維持管理や、地域の生態系に配慮したビオトープ(生物生息空間)の設置・管理などが挙げられる 38。特筆すべきは、富士通沼津工場の広大な緑地(敷地の約8割)が、地域の貴重な生物多様性を育む場となっていること、そしてその保全活動が評価され、2023年に環境省の「自然共生サイト」として認定されたことである 5。これは、国が進める30by30目標(2030年までに陸と海の30%以上を保全する目標)の達成にも貢献する重要な成果である 37。今後、他の事業所においても同様の取り組みが期待される。日立製作所の事例 40 にあるような、具体的な活動内容を定めた「生態系保全活動メニュー」のようなものが富士通にも存在し、それに沿った活動が推進されている可能性がある。

2.3.2.3. サプライチェーンにおける配慮

設定された生物多様性への影響低減目標には、「サプライチェーンを含む」との文言が明記されており 5、自社の活動範囲を超えた取り組みの重要性が認識されている。特に、EF評価でCO2排出が主要因と特定されたことから、サプライチェーン全体でのGHG排出量削減(Scope 3削減)が、生物多様性保全の観点からも極めて重要となる。また、水資源に関しても、サプライチェーン上流における水リスク評価や保全意識の強化に取り組んでおり 4、これも間接的に生物多様性への配慮につながる活動と言える。

2.3.2.4. 社会貢献活動とパートナーシップ

自社の技術やリソースを活用した社会貢献活動も展開している。絶滅危惧種であるシマフクロウの生息調査において、鳴き声を自動で識別する音声認識ソフトウェアを提供し、調査効率の大幅な向上に貢献した事例 37 や、インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林「ハラパンの森」の再生・保全活動をICT技術導入によって支援している事例 37 などがある。その他、社員参加による海岸クリーンアップ活動や、水中ドローンを活用した海洋環境モニタリング、地域住民や児童向けの環境教育支援なども実施している 37。さらに、国内外の様々な環境団体やイニシアチブ(J-GBF、経団連生物多様性宣言イニシアチブ、環境省の関連プロジェクト、WIPO GREEN、企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)等)と積極的に連携・協働し、知見の共有や共同での目標達成を目指している 37

2.3.2.5. TNFDへの対応状況

近年、自然関連のリスクと機会に関する情報開示の重要性が高まる中、富士通はTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の趣旨に賛同し、その提言を早期に採択する意思を示す「TNFD Adopter」として登録している 37。TNFDフォーラムにも参画し、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(Locate: 自然との接点の特定、Evaluate: 依存と影響の診断、Assess: マテリアルなリスクと機会の評価、Prepare: 対応戦略と報告)に基づいた評価を全事業領域を対象に実施し、その結果を開示する準備を進めている 37

2.3.3. パフォーマンスと実績

富士通の生物多様性保全に関する取り組みは、目標達成という形で具体的な成果を示し始めている。

2.3.3.1. 生物多様性への影響評価結果と目標達成度

2023年度の実績として、サプライチェーンを含む自社の企業活動領域における生物多様性への負の影響(EFベース)を、基準年である2020年度と比較して27.5%低減した 5。これは、2025年の短期目標(12.5%削減)のみならず、2030年の中期目標(25%削減)をも既に達成するという、目覚ましい成果である。この大幅な削減を達成した主な要因は、前述の通り、サプライチェーンの下流工程、特に販売した製品が使用される段階でのCO2排出量(Scope 3 カテゴリー11)が大幅に削減されたことによるものであると分析されている 5

2.3.3.2. 自然共生サイト認定などの成果

正の影響を創出する活動においても、具体的な成果が上がっている。2023年には、富士通沼津工場の緑地が、その生物多様性保全への貢献を認められ、環境省の「自然共生サイト」としての認定を取得した 5

これらの実績は、富士通の生物多様性戦略が、EF評価を通じて気候変動対策(CO2削減)と強く結びつけられていることの有効性を示している 5。EF評価によって影響の主要因がCO2排出であると特定されたことで 5、気候変動対策への注力が直接的に生物多様性目標の達成にも貢献するという、効率的かつ統合的なアプローチが機能していることが実証された形である。実際に、2023年度の負の影響の大幅削減(27.5%)は、主にScope 3 カテゴリー11におけるCO2削減によってもたらされたものであり 5、この戦略が具体的な成果を生み出していることを示している。

しかしながら、このCO2排出への重点化アプローチには留意すべき点もある。EFは包括的な評価指標であるものの、その算定において炭素フットプリント(CO2排出に関連する土地面積換算値)の寄与率が極めて大きい場合 5、土地利用の変化、水資源の利用と汚染、資源消費、化学物質による汚染など、CO2以外の要因が生物多様性に与える直接的な影響に対する取り組みや情報開示が、相対的に目立ちにくくなる可能性がある。富士通がTNFD Adopterとなり、TNFDフレームワークに基づく情報開示を進める方針を示したこと 37 は、この点を補完する上で重要である。TNFDは、LEAPアプローチを通じて、事業活動と自然との接点における依存関係、影響、リスク、機会をより多角的かつ詳細に評価し、開示することを企業に求めている。したがって、富士通が今後TNFDへの対応を本格化させる中で、CO2以外の生物多様性への影響要因についても、より詳細なリスク・機会評価、具体的な管理策、そして透明性の高い情報開示を進めていくことが期待される。これは、同社の生物多様性戦略をさらに深化させ、より包括的なネイチャーポジティブへの貢献を実現する上で不可欠なステップとなるだろう。

3. 環境関連のリスクと機会

富士通の事業活動は、地球環境との相互作用の中で、様々なリスクに晒されると同時に、新たなビジネス機会にも繋がっている。統合報告書やサステナビリティデータブックにおいても、これらのリスクと機会の認識と対応が重要なテーマとして取り上げられている 2

3.1. 富士通が直面する潜在的リスク分析

富士通が認識している主な環境関連リスクは、規制、市場、物理的、評判の4つのカテゴリーに大別される 2

3.1.1. 規制リスク

世界各国で強化される環境規制は、富士通の事業運営に直接的な影響を与える可能性がある。具体的には、省エネルギー基準の厳格化や温室効果ガス排出量に関する規制強化(カーボンプライシング導入含む)、資源循環を促進するための法規制(例えば、日本におけるプラスチック資源循環法 20 や欧州のサーキュラーエコノミー関連指令)、化学物質管理規制、生物多様性保全に関する新たな規制などが挙げられる。これらの規制に対応するためのコスト増加(設備投資、プロセス変更、報告義務対応等)や、規制遵守の遅れによる事業活動への制約(生産停止、製品販売禁止等)がリスクとして認識されている 2

3.1.2. 市場リスク

環境問題に対する社会全体の意識の高まりは、市場の需要構造を変化させ、富士通の事業に影響を及ぼす可能性がある。環境性能が低い、あるいは環境負荷が高いと見なされる製品やサービスに対する需要が減少し、結果として市場シェアの低下や価格競争力の喪失につながるリスクがある 8。また、脱炭素化への移行が遅れた場合、投資家や金融機関からの評価が低下し、資金調達コストの上昇や投資撤退といった財務的なリスクにも繋がりかねない。さらに、原材料やエネルギー価格の高騰、希少資源を巡る地政学的リスクの高まり 2 など、資源制約に関連する市場変動も、操業コストの増加や安定的な生産活動への影響という形でリスクとなる。

3.1.3. 物理的リスク

気候変動の進行に伴う異常気象、例えば大型台風、集中豪雨、洪水、干ばつ、猛暑などの激甚化・頻発化は、富士通自身の事業拠点(工場、データセンター、オフィス等)や、部品供給を担うサプライヤーの拠点に物理的な損害を与え、サプライチェーンの寸断や事業継続計画(BCP)の発動を余儀なくさせるリスクを高める 2。長期的な視点では、海面上昇や平均気温の上昇といった気候変動の影響が、社会インフラや人々の生活様式、ひいては富士通が事業を展開する市場環境そのものを大きく変化させる可能性も考慮する必要がある 8

3.1.4. 評判リスク

環境問題に対する企業の姿勢は、ブランドイメージや社会的信頼に直結する。環境規制の違反、環境汚染事故の発生、あるいは環境への配慮を謳いながら実態が伴わない「グリーンウォッシュ」と見なされるような行為があった場合、顧客、従業員、投資家、地域社会といったステークホルダーからの信頼を大きく損ない、企業価値の低下を招くリスクがある 8。特に、グローバルに事業を展開する富士通にとって、評判リスクは国境を越えて広がる可能性がある。

3.2. 環境要因に関連するビジネス機会

一方で、環境課題への取り組みは、富士通にとって新たな成長の機会をもたらすものでもある。リスクへの対応を通じて培った技術やノウハウを活かし、社会全体の持続可能性向上に貢献することで、事業価値を高めることができる 2

3.2.1. グリーンテクノロジーと市場創出

富士通の強みであるICT技術は、環境課題解決のための強力なツールとなり得る。例えば、企業や社会全体のGHG排出量を効率的に可視化・分析・削減するためのソリューション 2、AIを活用したエネルギーマネジメントシステムによる省エネルギーや再生可能エネルギー導入の最適化支援 23、ブロックチェーン技術を用いた資源循環プラットフォームの構築によるトレーサビリティ向上と効率化 4、リモートセンシングやデータ分析技術を活用した環境モニタリングや生物多様性保全支援 38 など、多岐にわたる分野で新たな技術開発と市場創出の機会が存在する 8。特に、サステナビリティ課題解決に特化したソリューション・サービス群である「Fujitsu Uvance」 8 は、これらの機会を捉え、事業成長を牽引する柱として期待されている。

3.2.2. 市場における差別化要因としての環境性能

環境意識の高い顧客や投資家は、製品やサービスの選定、あるいは投資判断において、企業の環境パフォーマンスをますます重視するようになっている。したがって、エネルギー効率の高いサーバーやPC、再生可能エネルギーを利用して運用されるデータセンターサービス 19、環境負荷の少ない素材を使用した製品などを提供することは、競合他社に対する明確な差別化要因となり得る 8。CDPのAリスト評価 12 や、MSCI、Sustainalyticsといった主要ESG評価機関からの高い評価 27 は、企業の環境への取り組みに対する信頼性を客観的に示すものであり、これらを効果的にコミュニケーションに活用することで、企業ブランド価値の向上と市場での優位性確立に繋げることができる。

3.2.3. オペレーション効率化とコスト削減

環境負荷の低減に向けた取り組みは、多くの場合、事業運営の効率化とコスト削減にも寄与する 8。例えば、自社拠点における徹底した省エネルギー活動 11 や再生可能エネルギーの導入拡大 16 は、光熱費の削減に直結する。同様に、製造プロセスにおける歩留まり改善や廃棄物の発生抑制 20、水使用量の削減と循環利用の推進 29 は、原材料コストや廃棄物処理費用、水関連費用を削減する効果をもたらす。将来的には、サーキュラーエコノミーの推進を通じて、製品の回収・再利用・再資源化が進めば、新規の原材料調達コストの抑制にも繋がる可能性がある。

これらのリスクと機会を総合的に勘案すると、富士通にとって環境課題への対応は、単なる防御的なコスト要因ではなく、自社のコアコンピタンスであるICT技術を最大限に活用し、新たな価値を創造するための戦略的な機会であることがわかる 2。リスクへの対応策として開発された技術やソリューション(例えば、GHG排出量可視化ツール 15 やエネルギー最適化AI 23)が、そのまま顧客向けの新たなビジネスとして展開されている事例は、リスク対応と機会創出が表裏一体であることを明確に示している。自社の環境課題解決で培ったノウハウや技術を外部に提供することで、社会全体の環境負荷低減に貢献しつつ、自社の事業成長も実現するという好循環を生み出すことが可能となる。

さらに、TCFD 3 やTNFD 37 といった国際的な情報開示フレームワークへの対応は、単に報告義務を果たすという側面に留まらない重要な意味を持つ。これらのフレームワークは、企業に対し、気候変動や自然資本に関連するリスクと機会を、シナリオ分析などの手法を用いて将来にわたって評価し、それを経営戦略や財務計画に具体的に統合することを求めている [8, 40]。富士通がこれらのフレームワークに積極的に対応することは、環境変化が自社の事業や財務に与える潜在的な影響をより深く、定量的に理解するための重要なプロセスとなる。このプロセスを通じて得られた洞察は、投資判断の優先順位付け、研究開発の方向性決定、そしてグリーンテクノロジー 8 を活用した新たな事業ポートフォリオの構築といった、よりレジリエント(強靭)で持続可能な経営戦略の策定・実行に不可欠な情報を提供する。これは、短期的な視点や場当たり的な対応ではなく、長期的な視点に立った戦略的な環境経営を実践するための羅針盤として機能する可能性がある。

4. 業界動向と競合分析

富士通の環境パフォーマンスを評価する上で、同社が属するIT・電機業界全体の動向や、主要な競合企業の取り組みとの比較は不可欠である。

4.1. IT・電機業界における環境ベストプラクティス

IT・電機業界は、その事業活動(特に製造プロセスやデータセンター運用)におけるエネルギー消費や資源利用、サプライチェーンの複雑さなどから、環境負荷が大きい産業の一つと認識されている一方で、デジタル技術を活用して社会全体の環境課題解決に貢献するポテンシャルも大きい。この業界における先進的な企業は、以下のようなベストプラクティスを実践している。

4.1.1. 先進企業の取り組み事例紹介

多くの先進企業は、自社の事業活動(Scope 1, 2)のみならず、サプライチェーン全体(Scope 3)を含むバリューチェーン全体での野心的なGHG削減目標を設定し、SBTiからネットゼロ認定を取得するなど、科学的根拠に基づいた目標達成に向けて着実に取り組んでいる [12, 13, 85, 13, 68, 69, 71]。再生可能エネルギーの導入に関しても、単なる証書購入に留まらず、PPA(電力購入契約)の活用、自己託送、自社発電設備の設置など、多様な戦略を組み合わせて100%達成を目指している [11, 16, 68, 69]。特に電力消費の大きいデータセンターにおいては、AIを活用した空調制御、冷却技術の革新、厳格なPUE(電力使用効率)目標の設定などを通じて、エネルギー効率の改善に継続的に取り組んでいる [15, 18, 68]。製品・サービス開発においては、設計段階からライフサイクル全体での環境負荷を考慮するエコデザインやLCA評価を導入し、省エネルギー性能の向上、有害物質の削減、リサイクル容易性の向上などを追求している [11, 20, 69, 28]。さらに、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、製品のサービス化(As a Serviceモデル)、リユースやリファービッシュ(再生品)事業の展開、使用済み製品の効果的な回収と資源循環ループの構築といった、ビジネスモデル自体の変革にも挑戦している [6, 20, 68, 28]。サプライチェーン全体での取り組みも不可欠であり、サプライヤーに対して環境目標の設定を要請するだけでなく、技術支援や共同での削減プロジェクト実施、環境データの収集・可視化といった具体的なエンゲージメント活動を強化している [6, 22, 68, 46, 69]。近年では、生物多様性や自然資本への配慮も重要性を増しており、TNFDへの対応準備、事業拠点周辺の生態系保全活動(自然共生サイトの設置・管理など)、自然環境保全に貢献する技術の開発・提供といった取り組みも見られる [5, 37, 68, 40]。これらの取り組みに関する情報の透明性を高め、信頼性を担保するために、第三者機関による検証・保証を取得する動きも広がっている [68, 47]。

4.1.2. CDPレポート等から見る業界トレンド

CDPなどの外部評価機関のレポートは、業界全体の環境への取り組み状況やトレンドを示す重要な情報源となる。CDPへの回答企業数は年々増加しており、特に日本企業からの回答も活発であることから、環境情報開示に対する社会的な要請が世界的に高まっていることがうかがえる 43。多くの企業が気候変動対策を経営戦略に組み込んでいる一方で、SBTに整合した野心的な目標設定や、サプライチェーン全体を巻き込んだ具体的な削減活動の実行には、まだ企業間で差が見られる状況である 46。CDPにおける評価スコアは、企業の評判だけでなく、サステナビリティ・リンク・ローンなど金融市場での評価や資金調達条件にも影響を与える可能性が指摘されている 48。IT・電機関連企業が多く含まれる製造業やサービス業は、CDPへの回答企業数が多く、比較的高いスコアを獲得する企業も多い傾向にあるが、最高評価であるAリストに選定される企業は依然として全体の一部に限られている 47。今後のトレンドとしては、気候変動、水セキュリティ、森林保全といった個別の環境テーマを統合的に捉え、それらの相互関連性を考慮した報告・開示が企業に求められるようになると予想される 49

4.2. 主要競合企業の特定と比較分析

富士通の環境パフォーマンスを相対的に評価するため、主要な競合企業を選定し、その環境戦略や取り組みと比較分析を行う。

4.2.1. 競合企業の選定(NEC、日立製作所、NTTデータ、IBM等)

富士通の主要事業領域であるITサービス分野においては、国内市場で長年にわたり競合関係にあるNEC、日立製作所、NTTデータが主要な比較対象となる 50。これらの企業は、事業規模や提供サービスにおいて富士通と類似性が高く、環境への取り組みにおいても比較可能な情報が多く公開されている。また、コンピューティング製品(PC、サーバー等)の分野では、NECや、NECパーソナルコンピュータおよび富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の親会社であるLenovoも競合関係にある 65。さらに、グローバルな視点で見ると、IBMやアクセンチュアといった企業も重要な競合相手となる 50。本報告書では、これらの競合企業の中から、特に環境に関する情報開示が充実しており、比較分析が可能なNEC、日立製作所、NTTデータ、そしてグローバル競合の代表としてIBMを選定し、比較対象とする。

4.2.2. 各社の環境戦略と目標比較

選定した競合各社と富士通の環境戦略および主要な目標を比較すると、以下の点が注目される。

気候変動に関しては、全社がSBTiの認定(またはそれに準拠したレベル)を受けたGHG削減目標を掲げている。ネットゼロ目標については、富士通とNTTデータが2040年 13、日立とNECが2050年(バリューチェーン全体)69、IBMが2030年(オペレーションのみ)71 と、目標達成年や対象範囲に違いが見られる。再生可能エネルギー100%利用目標については、富士通、NEC、日立がいずれも2030年を目標年としており 13、IBMは2030年に90%を目標としている 71。

資源循環に関しては、目標設定の焦点が各社で異なる。富士通はサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの開発を目標に掲げ 6、日立は資源利用効率の改善目標(2050年までに2010年度比50%改善)を設定している 28。NTTデータは廃棄物のリサイクル率(一般・産業廃棄物99%以上)を目標とし 68、IBMは非有害廃棄物の転換率(埋立・焼却以外へ90%)を目標としている 71。

生物多様性に関しては、富士通がエコロジカル・フットプリント(EF)を指標とした具体的な影響削減目標(2030年に25%削減)を設定している 37 のに対し、日立は自然資本へのインパクト最小化という定性的な長期目標を掲げている 40。NEC、NTTデータ、IBMも生物多様性保全に関する方針や個別の取り組みは進めているものの 68、富士通や日立のような定量的な影響削減目標の設定状況については、さらなる確認が必要である。

4.2.3. 気候変動対策の比較分析

目標設定においては、前述の通り各社とも高いレベルにある。特にSBT 1.5℃目標の認定は、業界のスタンダードとなりつつある。ネットゼロ目標の達成年では富士通とNTTデータが先行しているが、対象範囲(Scope 1, 2, 3全体か、オペレーションのみか)の違いも考慮する必要がある。具体的な取り組みとしては、各社共通して事業所での省エネルギー推進、再生可能エネルギー導入拡大、製品・サービスのエネルギー効率向上、サプライヤーとの連携強化を進めている。特にデータセンターの省エネ・グリーン化は、ITサービスを提供するこれらの企業にとって共通の重要課題であり、AI活用などの先進技術導入も進められている。実績面では、富士通、NEC、日立、NTTデータはいずれもCDP気候変動Aリストの常連であり 12、取り組みと情報開示の両面で高い水準にあることが国際的に認められている。IBMも着実なGHG排出削減実績を報告している 71

4.2.4. 資源循環への取り組み比較

目標設定の方向性が異なるため、単純な比較は難しいが、各社とも製品ライフサイクル全体での資源効率向上を目指している点は共通している。製品の省資源化(小型化、軽量化)、リサイクル容易性向上、再生材利用などの取り組みは広く行われている。使用済み製品の回収・リサイクルシステムの構築・運用については、特にメーカー系の富士通、日立、NEC、そして広範なITサービスを提供するNTTデータが注力している様子がうかがえる。ビジネスモデル自体の変革(サービス化、リユース促進など)によるサーキュラーエコノミーへの移行については、富士通と日立が戦略的に言及しており、今後の具体的な進展が注目される。

4.2.5. 生物多様性保全活動の比較

生物多様性に関しては、富士通がEFという独自指標を用いて定量的な削減目標を設定している点が特徴的である 37。日立も自然資本へのインパクトという概念で目標を設定している 40。各社とも事業所敷地内での緑化活動や生態系保全活動、地域社会への貢献活動などは実施している。近年注目されるTNFDへの対応については、富士通、日立、NTTデータが既に取り組んでいる、あるいは対応を進める意向を示している 37。水リスク評価や管理も共通の取り組みとして認識されている。ICT技術を活用した生物多様性保全への貢献(モニタリング支援、データ分析等)は、富士通、日立、NTTデータなどに見られる特徴的な活動である。IBMも送粉者の生息地創出プログラムなど、具体的な保全活動を実施している 71。全体として、生物多様性分野は気候変動分野に比べて目標設定や評価手法がまだ確立途上にある段階であり、各社の取り組み内容や重点領域にはばらつきが見られる。

4.3. 環境スコアのベンチマーキング

主要なESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関による評価スコアを比較することで、富士通の環境パフォーマンスを客観的に位置づけることができる。

4.3.1. 主要ESG評価機関(CDP, Sustainalytics, MSCI等)による評価

CDP評価においては、富士通 12、NEC 72、日立製作所 74、NTTデータ 68 の4社はいずれも、気候変動分野で最高評価である「Aリスト」に選定されており、極めて高いレベルにある。水セキュリティ分野でも高評価を得ている企業が多い。さらに、サプライチェーン全体での取り組みを評価するサプライヤーエンゲージメント評価においても、富士通、NEC、日立は最高評価を獲得している 27。

Sustainalytics社のESGリスクレーティング(スコアが低いほどリスクが低い)を見ると、2024年時点での評価は、富士通が12.5(Low Risk)41、IBMが13.3(Low Risk)80、NECが17.7(Low Risk)81、NTTデータが17.7(Low Risk)82、日立製作所が19.1(Low Risk)83 となっている。富士通は「Industry Top Rated」および「Region Top Rated」にも選出されており 27、同業種内および地域内でESGリスクが特に低い企業として評価されている。

MSCI社のESGレーティングでは、富士通は最高評価である「AAA」を獲得している 27。日立製作所は「AA」評価である 74。NECはMSCI ESG Leaders Indexesに選定されていることから 84、高い評価を得ていると推測されるが、具体的なレーティングは確認が必要である。NTTデータとIBMのMSCIレーティングについては、参照資料からは確認できなかった。

世界的なESG投資インデックスであるDow Jones Sustainability Indices(DJSI)については、NEC 84、日立製作所 74、NTTデータ 79 が、グローバル版(World Index)またはアジア太平洋版(Asia Pacific Index)に選定されている。富士通の選定状況については、参照資料 27 には記載がなく、確認が必要である。

4.3.2. 富士通と競合企業のスコア比較

上記の評価結果を総合すると、富士通は主要なESG評価機関から軒並み極めて高い評価を得ていることがわかる。CDP評価では、国内の主要競合であるNEC、日立、NTTデータと同等のトップレベルにある。一方で、Sustainalyticsのリスク評価では、富士通が比較対象企業の中で最もリスクが低い(スコアが低い)と評価されており、IBMがそれに次ぐ。MSCIレーティングにおいても、富士通は最高評価AAAを獲得しており、AA評価の日立を上回っている。

4.3.3. スコアから読み取れる示唆

これらのスコア比較から、いくつかの示唆が得られる。まず、富士通を含む日本の大手IT・電機メーカーは、グローバルな基準で見てもESG、特に環境側面での取り組みが非常に進んでおり、情報開示のレベルも高い水準にあると言える。その中でも富士通は、特にSustainalyticsとMSCIにおいて競合他社よりも優れた評価を獲得しており、これは同社のESGリスク管理能力や環境パフォーマンスが外部から高く評価されていることを示している。CDPのAリスト獲得は、この業界のトップ企業にとっては達成して当然の基準となりつつある状況であり、今後はネットゼロ目標達成に向けた具体的な進捗度、Scope 3排出量削減の実効性、そして資源循環や生物多様性といった新たな重点課題への貢献度が、企業間の評価を差別化する要因となっていく可能性がある。

競合他社も総じて高い環境評価を得ている現状を踏まえると 73、富士通が今後もリーダーとしての地位を維持・向上させていくためには、既存の目標(GHG削減、再エネ導入など)を着実に達成することはもちろん、サーキュラーエコノミーやネイチャーポジティブといった新しい環境課題領域において、先進的な目標設定や具体的な実績を示すことでリーダーシップを発揮していく必要がある。さらに、自社の環境負荷低減に留まらず、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を通じて、顧客企業や社会全体の環境課題解決にどれだけ貢献できるか、そのインパクトを具体的に、かつ定量的に示していくことが、SXリーディングカンパニーとしての評価を確固たるものにする上で極めて重要となるだろう。

特に、Sustainalyticsのリスク評価 41 は、企業のESG関連の財務リスクを評価するものである点に注目すべきである。富士通のスコアが競合他社よりも低い(リスクが低い)ということは 41、投資家の観点から見て、同社の財務的な安定性やリスク管理能力が相対的に高いと評価されている可能性を示唆している。これは、将来的な環境規制の強化、市場環境の変動、あるいは物理的リスクの発現といった不確実性に対する企業のレジリエンス(回復力・適応力)が高いと見なされる要因となり、長期的な企業価値評価においても有利に働く可能性がある。

5. 富士通の課題と推奨事項

これまでの分析を踏まえ、富士通の環境への取り組みにおける現状の強みと課題を特定し、今後の戦略的方向性に関する推奨事項を提示する。

5.1. 現状評価:強みと課題の特定

5.1.1. 競合・業界水準との比較に基づく評価

富士通の環境への取り組みは、業界水準と比較しても非常に高いレベルにある。

強みとしては、まず、2040年バリューチェーンネットゼロや2030年再生可能エネルギー100%といった野心的かつ科学的根拠に基づいた目標設定が挙げられる 5。次に、CDP気候変動Aリスト(7年連続)、MSCI ESGレーティングAAA、Sustainalytics ESG Risk RatingにおけるTop Rated選定など、主要な外部評価機関から極めて高い評価を一貫して得ている点も大きな強みである 12。さらに、自社の強みであるICT技術、特にAIなどを活用し、顧客や社会の環境課題解決に貢献するソリューション(例:GHG排出量可視化、エネルギー最適化、サプライチェーン管理)を開発・提供していること 2、そして長年にわたり構築・運用してきた高度な使用済みICT製品リサイクルシステムを有していること 30 も、同社の競争優位性を支える重要な要素である。

一方で、課題も存在する。富士通自身の調査でも示唆されているように、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)推進における戦略と実行・成果の間に存在するギャップは、自社内、あるいは顧客支援市場全体における課題として認識する必要がある 1。また、資源循環の分野では、リサイクル実績は高いものの、真のサーキュラーエコノミー実現に向けたビジネスモデルの確立は道半ばである。生物多様性に関しても、EF評価に基づくCO2削減への注力は成果を上げているが、土地利用や水利用などCO2以外の直接的な影響要因への対応をさらに深化させる必要がある。サプライチェーン全体での環境負荷低減に関しても、目標設定やエンゲージメント活動は進んでいるものの、特にTier2以降のサプライヤーまで含めた実効性のある取り組みをいかに推進していくかが今後の課題となる。

5.1.2. 各分野(気候変動、資源循環、生物多様性)における課題

各重点分野に固有の課題としては、以下が挙げられる。

気候変動分野では、Scope 1, 2の削減は順調に進んでいるものの、バリューチェーン排出量の大部分を占めるScope 3、特にサプライヤーからの調達に関連する排出量(カテゴリー1)と販売した製品の使用に伴う排出量(カテゴリー11)の更なる削減が、2040年ネットゼロ達成に向けた最大の課題である。再生可能エネルギー100%目標達成に向けては、国内における追加性のある再生可能エネルギー電源の確保と、コスト効率の良い調達戦略の実行が鍵となる。

資源循環分野では、目標として掲げたサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルを、具体的な製品・サービスとしてどのように具現化し、事業として成立させていくかが最大の課題である 6。製品設計思想の転換、回収・再生インフラの整備、新たな収益モデルの構築など、多岐にわたる変革が求められる。また、プラスチック以外の素材(レアメタル、電子基板等)に関する資源循環戦略の具体化も今後の課題となるだろう。

生物多様性分野では、EF評価によるCO2排出への強い依存から脱却し、TNFDへの対応を通じて、土地利用、水利用、汚染物質排出といった他の直接的な影響要因に関するリスクと機会をより多角的に評価し、管理していく必要がある。また、自然共生サイトの認定取得 5 など、「正の影響」を与える活動の成果を定量的に評価し、そのインパクトを拡大していくための戦略と指標の開発も求められる。サプライチェーンにおける生物多様性リスク(例えば、原材料調達地域での森林破壊や水ストレスなど)の特定と管理策の具体化も重要な課題である。

5.2. 今後の戦略的方向性と推奨事項

上記の課題認識に基づき、富士通が今後取るべき戦略的方向性と具体的な推奨事項を以下に示す。

5.2.1. 気候変動対策の更なる強化に向けて

Scope 3排出量削減の取り組みを一層強化する必要がある。特に排出量の大きいカテゴリー1(購入した製品・サービス)とカテゴリー11(販売した製品の使用)について、より詳細な削減目標をカテゴリー別に設定し、その進捗状況を具体的に開示することを推奨する。サプライヤーに対しては、目標設定要請に留まらず、省エネ技術支援、共同での再エネ調達、削減成果に応じたインセンティブ導入など、より踏み込んだ協働プログラムを拡充すべきである。再生可能エネルギー調達においては、証書購入だけでなく、長期的な安定供給と追加性(新たな再エネ発電容量の創出への貢献)を確保できるPPA等の契約比率を高めることを目指すべきである。さらに、自社が提供する環境貢献ソリューションが顧客や社会全体の排出削減にどれだけ貢献しているか(いわゆるAvoided Emissions)を、信頼性のある算定基準に基づいて定量化し、積極的に開示することで、自社の技術価値と環境貢献度をより明確に示すべきである。

5.2.2. サーキュラーエコノミー実現への加速

サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの構想段階から、具体的な事業化フェーズへと移行を加速させる必要がある。例えば、ハードウェア製品をサービスとして提供するモデル(PaaS: Product as a Service)、使用済み製品を回収・修理・再整備して再販するリファービッシュ事業の本格展開、あるいは業界他社とも連携した素材循環プラットフォームの構築など、具体的な製品・サービスモデルを特定し、その実現に向けたロードマップを策定、パイロットプロジェクトを積極的に推進することを推奨する。製品設計段階においては、再生材利用率、解体・リサイクル容易性、製品寿命(耐久性)といったサーキュラリティ(循環性)を測る具体的な評価指標を導入し、製品カテゴリーごとに目標値を設定すべきである。また、既存の回収・リサイクルインフラについても、AIを活用した自動選別技術の導入による効率向上や、ブロックチェーン等を用いたトレーサビリティ確保による信頼性向上など、更なる高度化を図るべきである。

5.2.3. ネイチャーポジティブへの貢献拡大

TNFDフレームワークへの対応を本格化させ、LEAPアプローチに基づき、自社の事業活動が依存し、影響を与えている自然資本(土地、水、生物資源等)に関するリスクと機会を、バリューチェーン全体にわたって詳細に評価し、その結果と対応策を具体的に情報開示することを推奨する。EF評価に加えて、生物多様性への直接的な影響要因(事業所やサプライヤーの立地における土地利用変化、水ストレス地域での取水量、生態系への影響が大きい汚染物質の排出等)に関する評価指標を導入し、可能な範囲で具体的な削減目標を設定することを検討すべきである。また、自然共生サイトの拡大や、ICT技術提供による生態系保全プロジェクト支援など、「正の影響」を与える活動についても、その貢献度(例えば、保全された面積、回復した生物種の数、削減された環境負荷など)を定量的に評価する手法を開発・導入し、具体的な貢献目標を設定することが望ましい。

5.2.4. サプライチェーンマネジメントの高度化

サプライヤーに対する環境・社会パフォーマンス評価を強化し、単なるアンケート調査や目標設定要請に留まらず、GHG排出量、水使用量、廃棄物発生量、生物多様性への配慮といった具体的なパフォーマンスデータを収集・評価し、その結果をサプライヤー選定や契約更新といった実際の調達プロセスへより強く統合していくべきである。特にリスクが高いと判断されるサプライヤーや、Tier2以降の間接的なサプライヤーに対しては、データ収集の支援、環境改善のための技術協力、共同での削減プロジェクト実施など、より積極的なエンゲージメント策を展開する必要がある。将来的には、ブロックチェーンなどの改ざん防止技術を活用し、サプライチェーン全体における環境・社会関連データのトレーサビリティと信頼性を向上させることも検討すべきである。

5.2.5. 情報開示の質的向上

統合報告書やサステナビリティデータブックにおける情報開示の質をさらに高めることを推奨する。設定した環境目標(特にネットゼロ、再エネ100%、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ関連)に対して、目標達成に向けた具体的なロードマップ、マイルストーン、そして各KPIの進捗状況を、より詳細かつ分かりやすく開示すべきである。TCFDやTNFDに基づくシナリオ分析の結果についても、単にリスクと機会を列挙するだけでなく、それらが自社の事業戦略や財務計画にどのような影響を与え、どのような対応策を講じているのか、可能な範囲で定量的な情報(例えば、想定される財務インパクト額、対策コスト等)を含めて開示することが望ましい。また、自社の環境貢献ソリューションが社会全体の持続可能性向上にどのように貢献しているのか、具体的な事例や顧客の声を交えながら、そのインパクト(定量的・定性的)を効果的に伝えるストーリーテリングを強化することも、ステークホルダーからの理解と共感を得る上で重要である。

これらの推奨事項を実行に移すことで、富士通は自社の環境パフォーマンスをさらに向上させることができる。特に重要なのは、活動の重心を、従来の自社オペレーションの効率改善(Efficiency)から、バリューチェーン全体、そして顧客や社会への貢献(Impact)へと、より明確にシフトさせていくことである。Scope 1, 2排出削減やリサイクル率向上といった内部努力に関する目標達成や高い外部評価は既に得られているため 18、今後の持続的な成長と業界内での差別化を図るためには、Scope 3排出量の削減 6、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの確立 6、ネイチャーポジティブへの具体的な貢献 37、そして顧客のSX支援を通じた社会全体の環境課題解決への貢献 8 など、より広範な影響力を具体的に示していくことが不可欠となる。

この戦略シフトを推進する上で、AI技術の活用は極めて重要な役割を果たす 10。AIは、富士通自身の環境パフォーマンス向上(例えば、データセンターの更なる省エネルギー化 15 やサプライチェーンリスクの予測・管理)と、顧客に提供する環境ソリューションの高度化(例えば、より精緻なGHG排出量可視化・削減シミュレーション、エネルギー需要予測に基づく最適制御 23、資源循環プロセスの最適化など)の両面において、強力なエンジンとなり得る。しかしながら、AI技術の活用を推進する際には、留意すべき点もある。AIモデルの学習や推論プロセス自体が大量の電力を消費するなど、AI利用に伴う環境負荷が増大する可能性への配慮が必要となる。また、AIが社会実装される際には、その判断プロセスの公平性、透明性、説明責任といった倫理的な側面 [71] も担保されなければならない。したがって、富士通がAIを環境戦略の中核に据えるのであれば、AIソリューションがもたらす環境貢献効果を最大化すると同時に、AI自体のライフサイクルにおける環境負荷を最小化する「Green AI」の視点と、AI倫理原則に基づいたガバナンス体制の構築・運用が不可欠となる。これは、先進的な技術開発力と、それを社会で責任ある形で活用するための倫理観・ガバナンスの両輪が求められる、高度な挑戦であると言えるだろう。

6. 結論

6.1. 分析結果の総括

本報告書における分析の結果、富士通株式会社は、気候変動、資源循環、生物多様性という三つの重点分野において、極めて先進的かつ包括的な環境への取り組みを推進していることが明らかになった。野心的な目標設定、それを達成するための具体的なプログラムの実行、そして主要な外部評価機関からの高い評価は、同社が環境課題に対して真摯に向き合い、業界をリードする存在であることを示している。

特に気候変動対策においては、SBTiによるネットゼロ目標の認定取得や、長年にわたるCDP気候変動Aリストへの選定など、顕著な成果を上げている。再生可能エネルギー導入目標の前倒しや、サプライチェーン全体での排出削減への注力も、その意欲の表れである。資源循環分野では、使用済みICT製品の高いリサイクル率に代表されるように、従来型の3R活動において確立された強みを持つ。今後は、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルへの移行という、より本質的な変革が焦点となる。生物多様性分野においては、エコロジカル・フットプリント(EF)評価に基づき、気候変動対策と連携させるというユニークかつ効果的なアプローチを採用し、影響削減目標を早期に達成するという目覚ましい成果を示した。TNFDへの対応準備も進めており、今後の取り組み深化が期待される。

一方で、主要な競合企業であるNEC、日立製作所、NTTデータ、IBMなども、それぞれ高いレベルで環境対策を進めており、業界全体の環境意識とパフォーマンスは向上し続けている。この競争環境の中で富士通がリーダーシップを維持・強化していくためには、既存の取り組みの着実な実行に加え、サーキュラーエコノミーやネイチャーポジティブといった比較的新しい環境課題領域におけるイノベーションの創出と、その成果を社会全体のインパクトへと繋げていく力が求められる。

6.2. 富士通の持続可能な成長に向けた展望

富士通は、環境課題への取り組みを単なるリスク管理やコスト要因として捉えるのではなく、自社のパーパスである「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を実現するための重要な機会と位置づけている。この姿勢は、環境経営を通じて企業価値向上を目指す上で極めて重要である。

同社の最大の強みであるICT技術、とりわけ近年急速に進化するAI技術を最大限に活用することが、今後の持続可能な成長の鍵を握る。AIは、自社の事業運営における環境効率を飛躍的に向上させるだけでなく、顧客企業や社会全体のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を加速させるための強力なソリューションとなり得る。富士通がSXリーディングカンパニーとしての地位を確立するためには、この技術力を環境課題解決に戦略的に投入し、具体的な成果を創出していくことが不可欠である。

同時に、サプライチェーン全体を巻き込んだ連携の深化、そしてサーキュラーエコノミーやネイチャーポジティブといった、より複雑で相互に関連し合う課題領域におけるリーダーシップを発揮していくことが、将来の競争優位性を左右するだろう。高い外部評価を維持しつつ、ステークホルダーとの対話を継続し、透明性の高い情報開示を通じて取り組みの進捗と成果を社会に示していくことで、富士通は持続可能な社会の実現に貢献し、自らも持続的な成長を達成していくことができると結論付ける。

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