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リコーリース株式会社 環境イニシアチブ・パフォーマンス分析レポート

更新日:2025年4月19日
業種:金融・保険業(7777)

1. はじめに (Introduction)

  • 目的と背景 (Purpose and Background) 本レポートは、リコーリース株式会社(以下、「リコーリース」または「同社」)の環境パフォーマンスを、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの重点分野において包括的に分析・評価することを目的とします。この分析は、同社の環境側面における現状の取り組み、達成度、そして潜在的なリスクと機会を深く理解するために不可欠です。 分析結果は、同社の環境スコアリングに必要な詳細情報を提供するとともに、今後の環境戦略の策定や改善に向けた具体的な提言を行うための基礎資料となることを意図しています。近年、金融・リース業界においてもESG(環境・社会・ガバナンス)経営の重要性が急速に高まっており、投資家や顧客、その他のステークホルダーからの要請はますます強まっています。このような背景の中、リコーリースが掲げる中長期ビジョン『循環創造企業へ』 は、単なるリスク管理に留まらず、環境課題への対応を事業機会の創出と持続可能な社会への貢献に繋げようとする同社の積極的な姿勢を示すものです 。本レポートでは、このビジョンの実現に向けた同社の環境への取り組みを客観的に評価します。  

  • レポート構成 (Report Structure) 本レポートは以下の構成で、リコーリースの環境への取り組みを多角的に分析します。

    • 第2章では、リコーリースの「気候変動」「資源循環」「生物多様性」各分野における具体的な戦略、目標、取り組み内容、および定量的な実績データを詳述します。

    • 第3章では、TCFD提言等に基づき、気候変動を中心とした環境要因が同社事業に与える潜在的なリスクと機会を分析します。

    • 第4章では、リース・金融業界における環境に関する先進的な取り組み(ベストプラクティス)を紹介し、リコーリースの取り組みを業界水準と比較するための視座を提供します。

    • 第5章では、主要な競合他社の環境戦略や取り組みを比較分析し、リコーリースの相対的なポジションを明らかにします。

    • 第6章では、CDPやその他のESG評価機関によるリコーリースおよび競合他社の評価結果をベンチマーク情報として提示します。

    • 第7章では、これまでの分析を踏まえ、リコーリースが直面する現状の課題を評価し、今後の取り組み強化に向けた具体的な提言を行います。

    • 第8章では、レポート全体の分析結果を総括します。 なお、本レポートでは、情報の明瞭性を確保しつつ、ユーザーの要求に基づき、表形式でのデータ表示を避け、すべての情報を記述形式または箇条書きにて記載します。

2. リコーリースの環境への取り組みと実績 (Ricoh Leasing's Environmental Initiatives and Performance)

リコーリースは、経営理念「私達らしい金融・サービスで豊かな未来への架け橋となります」 の実現に向け、サステナビリティ経営を推進しています。特に環境分野においては、中長期ビジョン『循環創造企業へ』 のもと、気候変動、資源循環、生物多様性の各課題に積極的に取り組んでいます。  

  • 2.1 気候変動の緩和と適応 (Climate Change Mitigation and Adaptation) 同社は、気候変動問題を経営上の重要課題と認識し、その緩和と適応に向けた取り組みを強化しています。

    • 戦略と目標 (Strategy and Targets)

      • 基本方針: 同社グループは、気候変動の緩和と適応をマテリアリティ「クリーンな地球環境をつくる」における重要な取り組みテーマと位置づけています 。自社の事業活動におけるCO2排出量の削減(ネットゼロ達成)を目指すとともに、再生可能エネルギーの普及促進や環境配慮型製品のリース拡大を通じて、社会全体の脱炭素化に貢献することを方針としています 。この方針は、2019年8月のTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同表明、および2020年度のTCFDコンソーシアムへの加盟にも表れており、気候関連のリスクと機会を経営戦略やリスクマネジメントプロセスに統合し、適切な情報開示を進めています 。  

      • SBTi認定目標: 気温上昇を1.5℃に抑えるパリ協定の目標達成に向け、科学的根拠に基づく目標設定を推進する国際的なイニシアチブ「SBTi (Science Based Targets initiative)」の基準改定(1.5℃目標への引き上げ)を受け、野心的な目標を設定しています 。  

      • ネットゼロ目標:

        • スコープ1(事業者自身の燃料燃焼等による直接排出)およびスコープ2(他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出)の合計排出量について、2030年までにネットゼロを達成するという目標を掲げています。これは当初の2050年目標から20年間前倒ししたものであり、同社の強いコミットメントを示しています 。この野心的な目標達成のためには、省エネルギーの徹底や再生可能エネルギー利用の拡大など、具体的な実行計画とその着実な進捗が求められます。  

        • スコープ3(スコープ1、2以外のサプライチェーン等における間接排出)を含むバリューチェーン全体の排出量については、2050年までにネットゼロを目指します 。  

      • CDP評価: 国際的な環境非営利団体CDPによる評価において、リコーリースは高い評価を得ています。2025年2月に発表されたCDP気候変動レポート2024では、最高評価である「Aリスト企業」に選定されました 。これは、気候変動に対する戦略、リスク管理、排出削減努力、そして情報開示の質が国際的に高いレベルにあることを示します。過去にもリーダーシップレベルである「A-」評価を複数回(2020年、2022年)獲得しており 、継続的な取り組みが評価されています。さらに、サプライヤーとの協働による排出削減を評価する「サプライヤー・エンゲージメント評価」においても、最高評価である「リーダー」に複数回(2020年、2022年、2023年)選定されています 。サプライヤーエンゲージメントでの高評価は、自社の直接排出(Scope1, 2)だけでなく、影響の大きいサプライチェーン排出量(Scope3)の削減にも注力している証左であり、バリューチェーン全体でのネットゼロ目標達成に向けた重要な要素と考えられます。CDPでの継続的な高評価は、同社の気候変動戦略の堅牢性と透明性を外部に示すものであり、投資家からの信頼獲得や企業ブランド価値向上にも寄与すると考えられます。  

    • 具体的取り組み (Specific Initiatives)

      • 再生可能エネルギー事業: 同社は、脱炭素社会実現の鍵となる再生可能エネルギーの普及に多角的に貢献しています。FIT制度(固定価格買取制度)開始当初から太陽光発電所向けのファイナンスを提供してきた実績に加え、風力、バイオマス、小水力といった多様な電源への取り組みも進めてきました 。2018年からは、ファイナンス提供に留まらず、自らが発電事業者となる投資を開始し、FIT案件からPPA(電力販売契約)モデルまで幅広い事業を手掛けています 。

        • 太陽光発電分野では、2024年3月時点で499サイト、合計177MWの発電所を保有するに至っています 。設置形態も、野立てだけでなく、建物の屋根置き、ため池利用、さらには農業と発電を両立するソーラーシェアリング(例:岐阜県川辺町の原木しいたけ栽培との組み合わせ)など、地域の特性やニーズに応じた多様な手法を採用しています 。  

        • 地熱発電分野では、2024年3月にグループ初となる取り組みとして、特別目的会社(SPC)「わいた第2地熱発電株式会社」への匿名組合出資を実行しました。これは熊本県阿蘇郡小国町における設備容量4,995kWの地熱発電所開発プロジェクトであり、2026年3月の運転開始を目指しています 。  

        • 自己託送スキームも活用しています。神奈川県川崎市の東扇島ロジスティクスセンターの屋根に設置した太陽光発電設備の余剰電力を、デジタルグリッド株式会社のサービスを利用して他の自社拠点へ送電(自己託送)することで、グループ全体の再生可能エネルギー利用率向上と電力コスト削減に貢献しています 。  

         

      • 省エネルギー推進: 自社オフィスにおけるエネルギー消費削減のため、継続的な省エネルギー活動を実施しています 。具体的な活動内容の詳細は限定的ですが、目標達成に向けた地道な努力が続けられています。  

      • EV導入支援・自社利用: 顧客企業における電気自動車(EV)導入を支援するため、導入効果をシミュレーションできる営業ツールを開発・提供しています。将来的には、車両リースだけでなく、充電設備の設置や保守サービスまで含めたワンストップでの対応体制構築を目指しています 。また、自社の社有車についても、ガソリン車の使用を廃止し、ハイブリッド車およびEVへの切り替えを完了しており、2023年度末時点で合計4台のEVを導入しています 。  

      • グリーンファイナンス: 環境課題解決に貢献する事業への資金供給を積極的に行っています。環境分野への累計投融資額として、2026年3月期までに4,000億円という目標を設定しています。2024年3月期時点での実績は3,138億円に達しており、目標達成に向けて順調に進捗しています 。  

      • 非化石証書: 自社のScope2排出量削減のため、自社で保有する太陽光発電設備によって発電された電力の環境価値を示す「トラッキング付FIT非化石証書」を購入し、償却しています。2023年度には、グループ全体の電力量に相当する869t-CO2分を購入・償却しました 。  

    • 定量的実績 (Quantitative Performance)

      • GHG排出量 (Scope 1+2): 近年の実績は以下の通りです。

        • 2020年度: 合計 876 t-CO2 (スコープ1: 277 t-CO2, スコープ2: 599 t-CO2)

        • 2021年度: 合計 765 t-CO2 (スコープ1: 292 t-CO2, スコープ2: 473 t-CO2)

        • 2022年度: 合計 465 t-CO2 (スコープ1: 276 t-CO2, スコープ2: 189 t-CO2)

        • 2023年度: 合計 542 t-CO2 (スコープ1: 331 t-CO2, スコープ2: 211 t-CO2) 排出量は2022年度に大幅に減少した後、2023年度には微増に転じました。スコープ1(主に社有車の燃料使用など)とスコープ2(購入電力)の両方が増加しています。2023年度には非化石証書を869t-CO2分償却している にも関わらず報告値が増加している点は注目に値します。これは、証書購入前の排出量(グロス排出量)が、事業活動の拡大(例:営業活動の活発化による燃料使用増、オフィス電力消費増)に伴い、省エネ努力やEV導入効果を上回るペースで増加した可能性を示唆しています。2030年のネットゼロ目標達成に向けては、証書活用に加え、さらなる省エネ、再エネ直接導入、EV化加速といった、より踏み込んだ排出削減策の強化が必要であることを示しています。  

      • GHG排出量 (Scope 3): 近年の実績は以下の通りです。

        • 2020年度: 1,431,814 t-CO2

        • 2021年度: 970,350 t-CO2

        • 2022年度: 1,007,687 t-CO2

        • 2023年度: 1,011,701 t-CO2 Scope3排出量はScope1+2を圧倒的に上回っており、リコーリースの気候変動への影響の大半がバリューチェーン上に存在することを示しています。近年は横ばいから微増傾向にあります。主要な排出源は、カテゴリー1(購入した製品・サービスに関連する排出、主にリースする機器の製造段階)とカテゴリー13(下流リース資産に関連する排出、主に顧客がリース機器を使用する際のエネルギー消費)であり、2023年度実績ではそれぞれ715,467 t-CO2、254,609 t-CO2となっています 。これらの排出は、同社の直接的な管理範囲外にあるため、削減にはサプライヤーや顧客との連携、環境性能の高い製品のリース推進、顧客の再エネ利用支援などが不可欠です。2050年のバリューチェーン全体でのネットゼロ目標達成の成否は、このScope3排出量をいかに効果的に削減できるかにかかっています。サプライヤー・エンゲージメント・リーダーとしての評価 は、この課題への取り組み姿勢を示すものですが、具体的な削減効果に繋げていくことが今後の焦点となります。  

      • GHG排出原単位 (Intensity):

        • スコープ1+2(売上高10億円あたり): 2020年度の2.68から2023年度には1.75へと減少傾向にあります 。  

        • スコープ3(売上高百万円あたり): 2020年度の4.39から2023年度には3.28へと、こちらも減少傾向を示しています 。 排出原単位の減少は、事業規模の拡大に対して排出量の増加がある程度抑制されていること、つまり炭素効率が改善していることを示唆します。これは、省エネルギー化の進展、ポートフォリオにおける低炭素案件の比率向上、あるいは算出方法や排出係数の見直し などが要因として考えられます。しかしながら、特にScope3においては絶対量が微増していることから、現状の効率改善ペースだけでは絶対量削減目標の達成は困難であり、原単位改善のさらなる加速と、事業構造自体の変革を含む追加的な削減戦略が必要であることを示唆しています。  

      • 再生可能エネルギー発電量: 自社発電事業による発電量は、2024年3月期実績で141,841.3 MWhであり、2026年3月期には205,700 MWhへの増加を目指しています 。  

      • CO2排出量第三者保証: 算定・報告の信頼性を担保するため、Scope1、2、3の排出量データについて、株式会社サステナビリティ会計事務所による第三者保証を取得しています 。  

    • TCFD対応 (TCFD Alignment)

      • ガバナンス: 気候変動関連課題に対応するためのガバナンス体制を構築しています。従来のリスクマネジメント委員会に加え、2020年4月にサステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しました。この委員会は社長の諮問機関として位置づけられ、常務執行役員以上および関連本部長で構成され、四半期ごとに開催されます。気候関連リスク・機会の評価、目標設定、中期経営計画への反映などを議論し、その結果は経営会議での審議・決定を経て、取締役会へ報告・監督を受ける体制となっています 。  

      • 戦略・シナリオ分析: TCFD提言に基づき、気候変動が事業に及ぼす影響を評価するため、1.5℃シナリオ(厳しい対策が講じられる世界)と4℃シナリオ(対策が不十分な世界)を用いたシナリオ分析を実施しました 。分析対象は、財務影響が懸念されるリース資産(自動車、産業機械)、太陽光発電事業、住宅賃貸事業です。なお、事務機器については、風水害等による物理的リスクの影響は小さいと判断され、定量分析の対象外とされました 。分析の結果、短期的な財務影響(リスク・機会合計)は限定的であるものの、中長期的には機会(例:省エネルギー製品や再生可能エネルギー関連事業の拡大、グリーンファイナンス需要の増加)がリスク(例:炭素税導入、市場の低炭素化への移行、物理的災害による資産毀損)を上回ると評価されました。特に1.5℃シナリオにおいては、売上および利益の増加が見込めると結論づけています 。この分析結果は、同社が気候変動対応を単なるリスク管理ではなく、成長機会として捉え、野心的な目標を設定する戦略的な裏付けとなっています。  

      • リスク管理: 特定された気候関連リスクは、既存のリスクマネジメント委員会と新設されたサステナビリティ委員会が連携して管理しています。リスク評価は「経済的影響」と「発生頻度」の2軸で行われ、重大なリスクについては経営会議で対策が協議・決定されます 。  

      • 指標と目標: 戦略の進捗を測るため、SBTi 1.5℃整合目標、Scope1・2の2030年ネットゼロ目標、中期経営計画における環境分野への累計資金投下額(目標4,000億円)、再生可能エネルギー発電量(目標205,700MWh)、EV取扱台数増加といった具体的な指標と目標を設定し、モニタリングしています 。  

  • 2.2 資源循環 (Resource Circulation) 『循環創造企業へ』というビジョンを掲げるリコーリースにとって、資源循環は事業の中核をなす重要なテーマです。

    • 戦略と方針 (Strategy and Policy)

      • 中長期ビジョン: 同社は、リース・レンタル事業の特性を活かし、製品ライフサイクル全体での3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進することを通じて、資源の効率的利用と廃棄物削減に貢献し、持続可能な循環型社会の実現を目指しています 。  

      • 基本方針: 資源やエネルギーの需給逼迫が世界的な課題となる中、天然資源の持続可能な管理、効率的な利用、廃棄物の大幅削減が不可欠であると認識しています。リース契約終了後の設備や機器のリユース・リサイクル、およびレンタル機器のシェアリング(リデュースに貢献)を積極的に推進します 。リース会社には、メーカーの「つくる責任」に対応する「貸す責任」があるとの考えに基づき、使用済み製品の適正な回収・処理を重要な責務と捉えています 。  

      • リコーグループ「コメットサークル™」: 親会社であるリコーが提唱する、製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減する循環型社会のコンセプト「コメットサークル™」 は、リコーリースの資源循環戦略の強みとなっています。特にリコー製品に関しては、この枠組みを活用することで、使用済み製品の高いリサイクル率を実現しています 。  

    • 具体的取り組み (Specific Initiatives)

      • リース終了物件の回収・処理: リース契約が終了した物件について、不法投棄や情報漏洩のリスクを防ぐため、確実な回収体制を構築しています。回収された物件は、まず再リース(リユース)の可能性が検討され、それが困難な場合は、信頼できるパートナー企業に委託し、適正なプロセスを経てリサイクルされます 。使用済み物件の回収・物流ネットワークとして、全国に36箇所の回収拠点を整備しており、物流業界の「2024年問題」(ドライバー不足や輸送能力低下の懸念)も見据え、拠点の効率化・最適化を進めています 。  

      • リユース・リサイクル推進: 回収した物件の価値を最大限に活かすため、アセット(資産)管理能力と物件査定能力の強化を図り、リユース・リサイクルされる割合を高める努力をしています。特に、パソコンを中心としたIT機器については、中古市場での売却(リユース)を積極的に推進しています 。  

      • ITADサービス: 近年、企業における情報セキュリティへの関心が高まる中、リース終了後のパソコンやサーバー等に含まれる機密データを確実に消去・破壊するITAD (IT Asset Disposition) サービスを提供しています。これにより、顧客は情報漏洩のリスクを懸念することなく、安心してIT機器を返却できる体制を整えています 。  

      • パートナー企業選定: 物流、中古品販売、廃棄物処理などを委託するパートナー企業に対しては、定期的に現地調査を実施しています。これにより、リコーリースグループのサステナビリティ方針への理解度や、環境関連法規を含む法令遵守状況、適正な事業運営が行われているかを確認し、公正な競争原理に基づき取引先を選定しています 。  

      • プラスチック資源循環促進法への対応: 2022年4月に施行された同法に対応し、リース物件を中心とした3R活動を通じて、プラスチック使用量の削減やリサイクル率向上に貢献していく方針です 。  

    • 定量的実績 (Quantitative Performance)

      • 目標: 中期経営計画(2023-2025年度)における非財務目標として、「物件回収率74%」および「パソコンリユース・リサイクル率100%」を設定しています 。  

      • 実績(2023年度):

        • 物件回収率: 71.8% 。目標の74%には未達ですが、サプライヤーとの連携強化により前年度からは改善している可能性があります(前年度実績値の記載なし)。目標達成には、特に多種多様な非リコー製品の回収プロセスのさらなる効率化や、顧客への返却インセンティブの設計などが課題と考えられます。  

        • パソコンリユース・リサイクル率: 98.8% 。目標の100%に非常に近い水準ですが、完全達成には至っていません。100%達成を阻む要因(例:物理的な破損によるリサイクル不能、データ消去コストの問題、顧客側の事情など)を特定し、対策を講じることが求められます。  

      • リース契約終了物件リサイクル率(台数ベース、全体): 近年の推移は以下の通りです。

        • 2021年度: 90.8%

        • 2022年度: 89.7%

        • 2023年度: 89.3% 全体のリサイクル率は依然として高い水準を維持していますが、ここ数年はわずかながら低下傾向が見られます。この背景には、回収される物件に占めるリコー製品以外の比率の上昇(リコー製品のリサイクル率は極めて高いが、非リコー製品は相対的に低い ため、構成比の変化が全体率に影響する)や、中古市場の市況変動によるリユース・再販の難易度変化などが影響している可能性があります。高水準を維持・向上させるためには、特に非リコー製品の回収・再資源化プロセスの強化が重要となります。  

      • リコー製品リース終了物件リサイクル率: 99.7%から99.9%という極めて高い水準で安定しています 。これは「コメットサークル™」の効果が大きいと考えられます。  

      • リコー製品以外の物件リサイクル率: 85.7%から87.8%の間で推移しており 、リコー製品との間に明確な差が存在します。  

      • 廃棄物排出量 (RLグループ):

        • 総排出量: 2020年度の348.8トンから2023年度には321.5トンへと、減少傾向にあります 。  

        • 原単位 (売上高10億円あたり): 2020年度の1.07から2023年度の1.04へと、微減しています 。  

      • 廃棄物のリサイクル率 (RL単体):

        • 2020年度の95.0%から2023年度には93.7%へと、わずかに低下しています 。  

      • 水使用量 (テクノレント含む16拠点):

        • 2020年度: 7,067 m3

        • 2021年度: 5,340 m3

        • 2022年度: 5,160 m3

        • 2023年度: 6,277 m3 水使用量は、2022年度に底を打った後、2023年度には増加に転じています。この増加の背景には、コロナ禍からの経済活動正常化に伴う拠点活動の活発化や、テクノレント社における計測器等の洗浄プロセスにおける水使用量の増加などが考えられますが、報告書内での具体的な原因分析は示されていません。持続的な資源管理の観点からは、増加要因を特定し、削減に向けた対策を検討する必要があります。  

      • 紙使用量 (RLグループ):

        • 2020年度: 664.5 万枚

        • 2021年度: 525.3 万枚

        • 2022年度: 628.5 万枚

        • 2023年度: 630.2 万枚 紙使用量も、コロナ禍の影響で大幅に減少した2021年度を底として、その後は微増傾向にあります。リモートワークからオフィス勤務への回帰が進んだことや、一部業務におけるペーパーレス化の推進が停滞している、あるいは限界に達している可能性が示唆されます。2023年度の省資源目標が未達となった要因の一つとしても挙げられており 、ペーパーレス化に向けた取り組みの再強化が求められます。  

  • 2.3 生物多様性保全 (Biodiversity Conservation) 気候変動や資源循環と比較すると、リコーリース単独での生物多様性保全に関する取り組みの開示は限定的ですが、グループ方針の共有や投融資を通じた配慮を行っています。

    • 方針と体制 (Policy and Governance)

      • リコーグループ方針: 親会社であるリコーは、生物多様性方針を策定し、事業活動が生物多様性に与える影響と依存関係を認識した上で、保全活動を推進しています。近年注目されるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フレームワークへの対応も進めており 、リコーリースもこのグループ方針を共有していると考えられます。  

      • リコーリース行動規範: 全役職員が遵守すべき行動規範の中に、「生物多様性保全に配慮した行動に努めます」という項目が含まれており、基本的な姿勢として位置づけられています 。  

      • 投融資方針: 環境・社会への影響を考慮した投融資方針を定めています。特に、森林破壊(違法伐採、泥炭地開発)やパーム油生産における乱開発など、生物多様性への負の影響が大きいとされるセクターへの投融資については、国際的な認証(FSC、RSPO等)の取得状況や地域社会との関係性を考慮し、慎重な判断を行う、あるいは禁止・抑制するとしています。取引先とのエンゲージメントを通じてリスクを評価・管理する方針です 。  

    • 具体的取り組み (Specific Initiatives)

      • リコーリース独自の活動:

        • 過去(2015年)には、コンビニ決済サービスの利用件数に応じて生物多様性保全団体へ寄付を行う「生物多様性保全コンビニ決済サービス」を開始した実績がありますが、このサービスが現在も継続されているかは不明です 。  

        • 緑化活動としては、過去に実施していた富士山の緑化活動への貢献に加え、2022年からは東京都が推進する「花粉の少ない森づくり運動」に賛同し、「リコーリースグループ豊かな未来への森」と名付けた森林整備活動を10年計画で実施しています 。これは、同社独自の具体的な保全活動として特筆されます。 これらの活動を除くと、リコーリースが主体となって実施している生物多様性保全活動に関する情報は限定的です。主な貢献は、投融資方針を通じた負の影響の回避(リスク管理)と、特定の森林保全プロジェクトへの参加に集約されているように見受けられます。事業運営に直接関連する保全活動や、生物多様性へのポジティブな影響を創出する取り組みについては、更なる展開と情報開示が期待されます。  

      • リコーグループとしての活動: リコーグループ全体では、「100万本の森づくり」を目標とした国内外での植林・森林保全活動、事業所敷地における「自然共生サイト」の認定取得、サプライチェーンにおける持続可能な紙調達の推進など、多岐にわたる生物多様性保全活動を展開しています 。リコーリースは、これらのグループ全体の活動から間接的に恩恵を受け、またグループの一員として貢献している可能性がありますが、具体的な連携体制や貢献内容については開示情報からは読み取れません。  

    • 定量的実績 (Quantitative Performance)

      • リコーリース単独での生物多様性保全に関する定量的な目標設定や、具体的な活動成果を示すデータ(例:保全面積、種数改善効果など)は、現在の開示情報からは見当たりません。森林整備活動に関するデータも、主にリコーグループ全体のものとして報告されています 。  

3. 環境関連のリスクと機会 (Environmental Risks and Opportunities)

リコーリースは、TCFD提言に基づき、気候変動が自社事業に及ぼすリスクと機会を分析し、経営戦略に反映させています 。  

  • TCFDに基づく分析 (Analysis based on TCFD)

    • リスク:

      • 移行リスク: 脱炭素社会への移行に伴うリスクとして、以下を認識しています。

        • 政策・規制: 炭素税の導入や排出量取引制度の強化によるコスト増。環境規制強化に伴う事業運営上の制約。

        • 技術: 低炭素技術への移行に伴う既存技術・設備の陳腐化リスク、新技術導入のコスト。

        • 市場: 環境意識の高まりによる顧客ニーズの変化(低炭素・省エネ製品への需要シフト)、環境対応が遅れた場合の市場シェア低下。

        • 評判: 環境への取り組みが不十分と見なされた場合の企業イメージやブランド価値の毀損、投資家や金融機関からの評価低下。 シナリオ分析では、これらの移行リスク要因の多くが、中長期的に「中」程度の財務影響をもたらす可能性があると評価されています 。  

      • 物理リスク: 気候変動の進行に伴う物理的なリスクとして、以下を認識しています。

        • 急性リスク: 異常気象(台風、洪水、高潮、猛暑など)の激甚化・頻発化による、リース資産(自動車、産業機械、太陽光発電設備、賃貸住宅など)の物理的な損壊や機能停止リスク、サプライチェーンの寸断リスク。

        • 慢性リスク: 平均気温の上昇や海面上昇、水資源の変化などが、事業運営(例:太陽光発電効率の低下、空調負荷の増大)や資産価値に長期的な影響を与えるリスク。 しかし、実施されたシナリオ分析(4℃シナリオ)の結果、これらの物理的リスクがリコーリースの事業全体に与える財務的な影響は、現時点では比較的小さい(限定的)と評価されています 。これは、保険によるカバーや、地理的に分散されたポートフォリオなどが理由として考えられます。  

    • 機会: 気候変動への対応は、リスクだけでなく、新たな事業機会ももたらすと分析されています。

      • 製品・サービス: 省エネルギー性能の高い設備や再生可能エネルギー関連設備(太陽光発電、蓄電池、EVなど)のリース・ファイナンス需要の拡大。使用済みIT機器の適正処理・再資源化サービス(ITAD)や、企業の再エネ導入を支援するPPAモデルなどの環境配慮型サービスの提供拡大。

      • 市場: 環境意識の高い新たな顧客層の獲得。サステナビリティを重視する投資家からの資金調達(グリーンファイナンス、サステナビリティ・リンク・ローン等)へのアクセス向上。

      • 効率性: 自社の事業運営における省エネルギー推進や資源効率改善によるコスト削減。

      • エネルギー源: 再生可能エネルギー発電事業への直接投資拡大による新たな収益源の確保。

      • レジリエンス: 気候変動への適応策を講じることによる事業継続性の強化、災害等への耐性向上。 シナリオ分析では、これらの機会、特に製品・サービス、市場、エネルギー源に関連する機会が、中長期的に「大(30億円超)」の財務的インパクトをもたらす可能性があると評価されています 。  

    • 財務影響: TCFDに基づくシナリオ分析の総合的な結果として、リコーリースは、気候変動がもたらすリスクよりも機会の方が大きいと結論付けています。特に、脱炭素化に向けた政策や技術導入が加速する1.5℃シナリオにおいては、再生可能エネルギー関連事業や環境配慮型サービスの需要拡大により、売上・利益ともに増加することが見込まれると評価しています 。この分析結果は、同社が環境課題への対応をコスト要因としてだけでなく、将来の成長ドライバーとして積極的に位置づけ、野心的な気候目標(SBTi 1.5℃、2030年ネットゼロ)を設定する経営判断の根拠となっています。これは、『循環創造企業へ』というビジョンとも整合しており、サステナビリティを経営の中核に据える同社の戦略を裏付けています。  

4. 業界のベストプラクティス (Industry Best Practices)

リース・金融業界全体として、環境課題への対応は加速しており、様々な先進的な取り組みが見られます。

  • リース・金融業界における先進事例:

    • 気候変動:

      • 低炭素・省エネルギー設備や再生可能エネルギー発電設備(太陽光、風力等)の導入を促進するためのリース・ファイナンスプログラムの提供が拡大しています 。2023年度のリース業界全体での低炭素設備リース取扱高は748億円、再エネ設備設置数は5,019件(35社実績)、出力は153万kW(13社実績)に上ります 。  

      • 自社のScope1, 2排出量削減目標に加え、投融資ポートフォリオ(Scope3 カテゴリー15)の排出量算定・開示、および削減目標の設定に取り組む企業が増加しています。

      • 環境目標(KPI)の達成度に応じて金利等の条件が変動するサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)やボンドの発行が、資金調達と環境コミットメントを示す手段として活用されています 。  

      • 顧客企業の再生可能エネルギー導入を支援するPPA(電力販売契約)モデルの提供や、EV導入支援、エネルギーマネジメントサービスの提供なども広がっています。

    • 資源循環:

      • 単なる3R推進に留まらず、サーキュラーエコノミー(CE)を経営戦略の柱として位置づけ、事業モデルへの統合を図る動きが見られます 。  

      • リース資産のライフサイクル全体を管理し、修理・改修による長寿命化、部品のリユース、高度なマテリアルリサイクルの技術開発・導入により、資源効率の最大化と廃棄物ゼロを目指す取り組みが進んでいます。

      • 金融機関が連携し、CE原則に整合したプロジェクトへの投融資を促進するためのガイドライン策定や、CEに特化したファンド組成などの動きもあります 。  

      • 特定の製品(例:EVバッテリー、IT機器)について、回収から再利用・再資源化までを一貫して管理するクローズドループシステムの構築を、メーカーやリサイクラーと連携して支援する事例も出てきています 。  

      • ITAD(IT資産適正処分)サービスは、データセキュリティと環境配慮の両面から重要性が増しており、グローバル展開やサービス内容の高度化が進んでいます。

    • 生物多様性:

      • 気候変動に続き、生物多様性損失が新たな経営リスクおよび機会として認識され始めており、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対応する動きが出始めています。

      • 投融資判断において、生物多様性への影響が大きいセクター(農林水産業、インフラ開発等)に対する方針を策定し、リスク評価やエンゲージメントを強化する動きが見られます。

      • 森林保全、生態系再生、持続可能な農林水産業など、自然資本の保全・回復に貢献するプロジェクトへの投融資(インパクト投資)や、関連する債券(グリーンボンド等)への投資も行われています 。  

      • サプライチェーン全体での生物多様性配慮(例:持続可能な原材料調達の確認・支援)も課題として認識されつつあります。

  • 他社の成功事例:

    • 芙蓉総合リース: サーキュラーエコノミー事業を重点分野と位置づけ、SLLを活用 。CDP気候変動スコア(A/A-レベル取得)をSLLのKPIに設定 。返却物件由来の廃プラスチックについて、マテリアル/ケミカルリサイクル率100%(2026年度)という野心的な目標を設定し、進捗を開示 。RE100目標(2030年100%)を設定し、高い達成率を示す 。  

    • 三菱ケミカルホールディングス(参考): プラスチック資源循環への先進的な取り組みが評価され、SLLによる資金調達を実施 。  

    • オリックス: 再生可能エネルギー事業への大規模なグローバル投資を継続。GHG排出量削減目標に加え、GHG排出産業への投融資残高削減目標も設定 。  

    • 三井住友フィナンシャルグループ(SMFL含む): 系統用蓄電池事業への参画、廃棄物管理や資源循環を支援するJV設立、金融機関による自然関連ソリューション開発アライアンス(FANPS)設立など、先進的な取り組みを展開 。  

    • 東京センチュリー: JCM(二国間クレジット制度)を活用した海外での再エネ導入支援。リファービッシュPCの販売台数やITAD実施台数に関する具体的な目標値を設定・開示。生物多様性に関しても、複数の具体的な保全・支援活動を開示 。  

    これらの事例から、リース・金融業界では、気候変動対策としての再エネ投資やScope3管理、資源循環における具体的な目標設定(特にITADやプラスチック)、サステナビリティ連動型ファイナンスの活用が共通のトレンドとして見られます。リコーリースは、CDP評価の高さや再エネ投資規模において業界内で優れたポジションにありますが、資源循環(特に非リコー製品やプラスチックに関する目標の具体性)や生物多様性に関する取り組みの開示深度においては、芙蓉総合リースや東京センチュリーなど、より詳細な情報や目標を開示している企業も存在します。業界全体のレベルが向上する中で、継続的な取り組み強化と情報開示の向上が求められます。

5. 競合他社分析 (Competitor Analysis)

リコーリースの環境パフォーマンスを相対的に評価するため、日本のリース業界における主要な競合企業との比較分析を行います。

  • 主要競合企業: 業界の売上高や時価総額ランキング 、事業内容の類似性などを考慮し、主要な競合企業として以下の5社を選定しました。  

    • オリックス株式会社 (Orix Corporation)

    • 三井住友ファイナンス&リース株式会社 (Sumitomo Mitsui Finance and Leasing Company, Limited; SMFL) - ※SMBCグループとしての情報も参照

    • 三菱HCキャピタル株式会社 (Mitsubishi HC Capital Inc.)

    • 東京センチュリー株式会社 (Tokyo Century Corporation)

    • 芙蓉総合リース株式会社 (Fuyo General Lease Co., Ltd.)

  • 各社の環境戦略・取り組み比較(記述形式): 以下に、各競合企業の環境(気候変動、資源循環、生物多様性)に関する戦略、目標、取り組み、開示状況を、入手可能な情報に基づき記述します。

    • オリックス:

      • 気候変動: グループ全体で野心的なGHG削減目標(Scope1,2: 2030年-50%, 2050年ネットゼロ)を設定し、進捗を開示しています 。特筆すべきは、GHG排出産業(化石燃料採掘等)への投融資残高削減目標(2030年-50%, 2040年ゼロ)も掲げている点です 。再生可能エネルギー事業にグローバルで大規模に投資しており、2030年には10GWの設備容量(ネット)を目指しています 。自社の石炭・バイオマス混焼発電所の燃料転換も検討しています 。CDP気候変動スコアは「B」であり 、リコーリースや芙蓉総合リースには及びませんが、Sustainalyticsのリスク評価は「Low」とされています 。  

      • 資源循環: 廃棄物の再資源化事業や不用品のリユース・リサイクル支援事業を展開していますが 、リース資産の3Rに関する具体的な目標や実績データの開示は統合報告書上では限定的です 。  

      • 生物多様性: 環境方針に配慮を明記し、リスクの高いセクターへの投融資制限を行っています。傘下の資産運用会社Robecoにおけるサステナビリティ投資や、運営する水族館での環境教育・保全活動などが具体的な取り組みとして挙げられます 。  

    • 三井住友ファイナンス&リース (SMFL) (SMFGグループとして):

      • 気候変動: SMBCグループとしてScope1,2の2030年ネットゼロ、投融資ポートフォリオの2050年ネットゼロ目標を共有しています 。SMFLみらいパートナーズによる系統用蓄電池事業への参画や、PPA、EV導入支援など、具体的なソリューション提供を行っています 。  

      • 資源循環: リース子会社の強みを活かした循環型ソリューション開発、特定商材のクローズドループ構築支援、EVバッテリーリユース検討、廃棄物管理・資源循環を支援するJV設立など、先進的な取り組みが見られます 。ただし、定量的な目標や実績の開示はまだ少ないようです。  

      • 生物多様性: SMBCグループとして、森林保全活動、自然資本経営支援融資、金融アライアンス(FANPS)設立など、多岐にわたる取り組みを進めています 。リース事業固有の活動に関する情報は限定的です。ESG評価機関によるスコア改善が見られます 。  

    • 三菱HCキャピタル:

      • 気候変動: Scope1,2について、2030年度に55%削減(2019年度比)、2050年度にネットゼロという目標を設定しています 。Scope1,2の実績、再エネ比率、再エネ発電容量の実績を開示しています 。CDP気候変動スコアは「B」、水セキュリティは「C」です 。MSCIやSustainalyticsの評価も受けており(スコアの確認要 )、多数の主要ESG指数に選定されています 。  

      • 資源循環: 中古機械・設備の売買、ITADサービス、食品ロス削減支援など、多様な循環ビジネスを展開しています 。ただし、リコーリースや他社と比較して、具体的な数値目標や実績の開示は限定的に見えます。  

      • 生物多様性: 環境方針には明記されていますが、具体的な取り組みやデータに関する開示は少ない状況です 。  

    • 東京センチュリー:

      • 気候変動: Scope1,2の2030年度50%削減目標(2021年度比)に加え、本社電力原単位目標、太陽光発電量目標、JCM(二国間クレジット制度)による削減量目標など、複数の具体的な目標を設定・開示しています 。Scope1,2に加え、Scope3の排出量実績もカテゴリー別に開示しており、透明性が高いと言えます 。JCMを活用した途上国での再エネ導入支援も特徴的です 。CDP気候変動スコアは「B」、水セキュリティは「C-」、MSCI評価は「AA」、Sustainalyticsのリスク評価は「Low」 と、外部評価も安定しています。  

      • 資源循環: ITADサービスをグローバル展開し、実施台数目標を設定。リファービッシュ(再生)PCの販売台数目標、プラスチック使用量削減目標(クリアファイル)とリサイクル率目標など、具体的な目標と実績を開示しています 。EVバッテリーリユースに関する提携も進めています 。  

      • 生物多様性: 経団連イニシアチブへの参画に加え、海岸林再生、子供の森、富士山の森づくり、マングローブ植林への支援(公益財団法人オイスカとの連携)、障がい者雇用と連携した農園運営(TCわくはぴ農園)、環境教育、地域清掃活動など、非常に具体的かつ多様な活動を実施・開示しており、競合の中でも際立っています 。  

    • 芙蓉総合リース:

      • 気候変動: Scope1,2の2030年ネットゼロ目標、RE100目標(2030年100%)と、いずれも野心的な目標を掲げています 。Scope1,2排出量実績、再エネ使用率、再エネ発電容量目標・実績を開示 。PPAサービスやゼロカーボンシティ支援プログラムも展開 。CDP気候変動スコアは目標通り「Aリスト」を達成しており 、リコーリースと並び業界トップレベルです。SLLを積極的に活用しています 。DBJ環境格付も取得しています 。  

      • 資源循環: 返却物件由来の廃プラスチックのリサイクル率目標(2026年100%)や、返却物件全体のリユース・リサイクル率目標(100%)を設定し、実績を開示しています 。リユースセンターの開設や社内でのゼロ・ウェイスト活動も推進しています 。  

      • 生物多様性: グループ会社(アクア・アート)における生態系配慮型水槽レンタル事業や、魚・水草の自社繁殖・栽培といったユニークな取り組みがあります。経団連イニシアチブにも参画しています 。  

    比較分析の要約: 競合各社ともに、Scope1,2の削減目標設定、再生可能エネルギーへの投資、資源循環(特にITAD)への取り組み、主要なESG指数への組み入れといった点では共通の動きが見られます。しかし、目標の野心度(例:ネットゼロ目標の年限、Scope3目標の有無)、資源循環における目標設定の具体性(例:プラスチック等、特定素材への言及)、生物多様性への取り組みの深度と開示レベルには、企業間で差異が存在します。特に、東京センチュリーと芙蓉総合リースは、資源循環や生物多様性に関して、リコーリースを含む他社よりも具体的な目標設定や活動内容を開示している傾向が見られます。リコーリースはCDP評価で優位性を持つものの、他の側面では更なる取り組みと開示の深化が、競争優位性を維持・強化する上で重要となるでしょう。

6. ESG評価のベンチマーキング (Benchmarking Environmental Scores)

外部のESG評価機関による評価は、企業のサステナビリティへの取り組みが客観的にどのように見られているかを示す重要な指標です。リコーリースと主要競合他社の評価を比較します。

  • リコーリースのESG評価 (Ricoh Leasing's ESG Ratings) 入手可能な最新の評価情報は以下の通りです。

    • CDP: 気候変動分野で2024年に最高評価の「A」を獲得しました 。これは業界トップレベルの評価です。過去にも「A-」を複数回取得しています 。また、サプライヤー・エンゲージメント評価においても最高評価「リーダー」を複数回獲得しており、バリューチェーン全体での取り組みが評価されています 。  

    • FTSE Russell: ESG評価に優れた日本企業で構成される「FTSE Blossom Japan Index」および、セクター内での相対評価に基づく「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されています 。これらは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も採用する代表的なESG指数です。  

    • S&P Dow Jones: 環境情報の開示状況や炭素効率性を考慮する「S&P/JPXカーボンエフィシエント指数」の構成銘柄に選定されています 。こちらもGPIF採用指数です。  

    • Morningstar: ジェンダー・ダイバーシティに関する取り組みを評価する「Morningstar日本株式ジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数」において、最上位の「グループ1」評価を受けています 。  

    • R&I (格付投資情報センター): サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワーク(KPI:CDP気候変動スコア)について、関連原則等への適合性に関するセカンドオピニオンを取得しています 。また、発行体格付として「A+/安定的」、短期格付として「a-1」を取得しています 。  

    • MSCI / Sustainalytics: リコーリース単独の企業を対象としたMSCI ESGレーティングやSustainalytics ESGリスクレーティングに関する情報は、提供された資料や公開情報からは確認できませんでした 。親会社のリコーグループとしてはSustainalyticsによる評価が存在します 。  

    • その他: 日経「SDGs経営」調査2024で「星3.5」の評価 、経済産業省「健康経営優良法人」(8年連続認定)、厚生労働省「えるぼし」(最高位3段階目)、「プラチナくるみん」認定、任意団体work with Pride「PRIDE指標」(6年連続シルバー受賞)など、社会(S)側面での評価も多数獲得しています 。  

  • 競合他社のESG評価 (Competitors' ESG Ratings)

    • オリックス: CDP気候変動「B」。Sustainalytics ESGリスクレーティング「Low Risk」。FTSE, MSCI, S&P/JPX等の主要指数に選定されています 。  

    • SMFL (SMFG): Sustainalyticsによるスコア改善が見られます 。FTSE, S&P DJ等の指数にも選定されています 。  

    • 三菱HCキャピタル: CDP気候変動「B」、水セキュリティ「C」。MSCI、Sustainalyticsの評価も存在しますが、最新スコアの確認が必要です 。FTSE, MSCI, S&P/JPX, SOMPOなど、国内外の多数のESG指数に選定されています 。日本政策投資銀行(DBJ)のBCM(事業継続マネジメント)格付で最高ランクを取得しています 。  

    • 東京センチュリー: CDP気候変動「B」、水セキュリティ「C-」。MSCI ESGレーティング「AA」。Sustainalytics ESGリスクレーティング「Low Risk」。FTSE, S&P/JPX等の主要指数に選定されています 。  

    • 芙蓉総合リース: CDP気候変動「Aリスト」。DBJ環境格付を取得 。FTSE等の主要指数に選定されています 。  

  • ベンチマーキング分析 (Benchmarking Analysis)

    • CDP評価: リコーリースは、芙蓉総合リースと並び、CDP気候変動評価において「A」を獲得しており、他の主要競合(オリックス、三菱HCキャピタル、東京センチュリーはいずれも「B」)に対して明確な優位性を示しています。これは、同社の気候変動戦略と情報開示の質の高さを客観的に示すものです。

    • 主要ESG指数: FTSE Blossom Japan IndexやS&P/JPXカーボンエフィシエント指数など、GPIFが採用するような国内の主要なESG指数には、リコーリースおよび主要競合他社の多くが組み入れられています。これは、一定レベル以上のESG対応が、大手リース企業にとって標準的な要件となりつつあることを示唆しています。

    • グローバル評価機関: MSCIやSustainalyticsといったグローバルな評価機関による評価については、リコーリース単独のスコアが公表されていない(または確認できなかった)点が、競合他社(オリックス、三菱HCキャピタル、東京センチュリーは評価あり)との比較における課題です。これらの評価は、特に海外投資家にとって重要な判断材料となるため、評価の取得・開示は今後の検討課題となり得ます。

    • SLLとKPI: R&Iからセカンドオピニオンを取得したサステナビリティ・リンク・ファイナンスは、CDPスコアをKPIとしており 、自社の強みであるCDP評価を資金調達戦略に結びつけている好事例と言えます。これは、気候変動へのコミットメントを金融市場に示す効果的な手段です。  

    総括: リコーリースは、特にCDP評価において業界トップクラスの実績を持ち、気候変動分野でのリーダーシップを発揮しています。一方で、主要な国内ESG指数への選定状況は競合他社と同等レベルであり、グローバル評価機関からの評価に関する情報が不足している点は、国際的なベンチマーキングにおける弱点となる可能性があります。

7. 現状の課題と提言 (Current Challenges and Recommendations)

これまでの分析に基づき、リコーリースが環境分野で直面している主要な課題を評価し、今後の取り組み強化に向けた提言を行います。

  • 課題評価 (Assessment of Challenges)

    • 気候変動:

      • Scope3排出量の削減: Scope1・2と比較して圧倒的に規模が大きいScope3排出量(特にカテゴリー1:購入した製品・サービス、カテゴリー13:下流リース資産)の絶対量削減が最大の課題です。現状、排出量は横ばいから微増傾向にあり 、2050年ネットゼロ達成に向けた具体的な削減道筋の更なる明確化と、サプライヤーや顧客を巻き込んだ実効性のある施策の展開が急務です。  

      • 再生可能エネルギー事業: 積極的に投資を拡大していますが 、事業の収益性と環境貢献の両立、特にFIT制度終了後のPPAモデル等における長期的な事業安定性の確保が課題となります。  

    • 資源循環:

      • 回収率・リサイクル率の目標達成: 中期経営計画で掲げた「物件回収率74%」「パソコンリユース・リサイクル率100%」の目標に対し、2023年度実績はそれぞれ71.8%、98.8%と未達でした 。特に、多種多様な非リコー製品の回収・リサイクルの効率化とコスト管理が課題です。PCリサイクル率が100%に達しない具体的な要因分析も必要です。  

      • 目標設定の具体化: プラスチックなど、特定の重要素材に関する循環目標(例:再生材利用率、素材別リサイクル率)の設定や、その進捗に関するより詳細な情報開示が、競合他社(例:芙蓉総合リース )と比較して不足している可能性があります。  

      • 水・紙使用量の管理: 近年、水使用量および紙使用量が増加傾向に転じている点 は懸念材料です。原因を特定し、削減に向けた対策を再強化する必要があります。  

    • 生物多様性:

      • 独自性とインパクトの明確化: リコーリース単独での生物多様性保全活動は、森林整備プロジェクト を除き限定的に見えます。投融資方針によるリスク回避 だけでなく、事業活動を通じて生物多様性にポジティブな影響を与える具体的な取り組みとその効果測定、情報開示の強化が課題です。  

      • 新フレームワークへの対応: TNFDなど、自然資本や生物多様性に関する新たな情報開示フレームワークへの対応準備も今後の課題となります。

    • データと開示:

      • グローバルESG評価: MSCIやSustainalyticsといった主要なグローバルESG評価機関からの評価を取得・開示していない(または確認できない)点は、国際的な投資家へのアピールや詳細なベンチマーキングを行う上での課題です 。  

      • Scope3開示: Scope3排出量の算定・開示は行っていますが 、カテゴリー別の詳細な内訳や、算定精度、削減策に関する情報開示をさらに拡充する余地があります。  

      • 資源循環・生物多様性の定量情報: これらの分野における定量的な目標(KPI)設定と実績データの開示を強化することで、取り組みの進捗と実効性をより明確に示すことができます。

  • 提言 (Recommendations) 上記の課題を踏まえ、リコーリースが今後取り組むべき重点分野として以下を提言します。

    • 気候変動:

      • Scope3削減戦略の具体化: サプライヤーや顧客とのエンゲージメントを一層強化し、具体的な削減目標や行動計画を共有・推進します。例えば、環境性能の高い製品に対するリース料率の優遇措置導入、主要サプライヤーに対する再生可能エネルギー導入や排出量削減目標設定の支援などが考えられます。

      • 再生可能エネルギー事業の高度化: PPAモデルや自己託送スキームの提供をさらに拡大し、顧客の再エネ導入とScope3削減を支援します。また、地熱など多様な再エネ電源への投資を継続し、ポートフォリオのリスク分散と収益安定化を図ります。

      • エネルギー効率改善の徹底: 自社オフィスの省エネ対策を継続するとともに、エネルギー消費量のモニタリング体制を強化し、効率改善効果を定量的に評価・開示します。

    • 資源循環:

      • 非リコー製品の循環性向上: 多様な製品に対応可能なリサイクル技術を持つパートナー企業との連携強化や、新たなリサイクル技術・プロセスの導入を検討します。回収インセンティブの見直しや、顧客への啓発活動強化も有効です。

      • PCリサイクル率100%達成: 100%達成を阻害している要因(技術的、コスト的、物流的要因など)を詳細に分析し、具体的な解決策(例:回収プロセスの改善、リサイクルパートナーとの連携強化)を実行します。

      • 重要素材に関する目標設定: プラスチックやその他の重要素材について、具体的な循環目標(例:製品中の再生材比率向上、素材別リサイクル率向上、廃棄量削減)を設定し、その達成に向けたロードマップと進捗状況を開示します。

      • 水・紙使用量削減: 使用量増加の原因を特定し、具体的な削減目標を再設定します。節水設備の導入、水利用プロセスの見直し、ペーパーレス化の再徹底(例:電子契約の更なる推進、業務プロセスのデジタル化)などを実施します。

    • 生物多様性:

      • 独自目標とアクションプラン策定: リコーリースとしての生物多様性保全に関する具体的な目標(例:生物多様性に配慮した投融資の目標額設定、事業所周辺での生態系保全活動の目標設定など)を設定し、達成に向けたアクションプランを策定・開示します。

      • 投融資方針の実効性強化と開示: 投融資における生物多様性リスクのスクリーニングやエンゲージメントのプロセスを強化し、その実施状況や成果(例:リスク回避件数、エンゲージメントによる改善事例)を開示します。

      • TNFDへの対応準備: TNFDフレームワークの動向を注視し、自社の事業と自然資本との関連性(依存とインパクト)評価に着手するなど、将来的な開示に向けた準備を開始します。

    • データと開示:

      • グローバルESG評価機関との対話: MSCIやSustainalytics等の主要な評価機関とのエンゲージメントを強化し、評価プロセスへの理解を深め、評価の取得と結果の開示を目指します。

      • Scope3算定・開示の高度化: Scope3排出量の算定対象カテゴリーを拡大し、算定根拠や精度に関する情報を開示します。カテゴリー別の具体的な削減策とその進捗状況についても、より詳細な情報を提供します。

      • 資源循環・生物多様性KPIの設定・開示: これらの分野における重要業績評価指標(KPI)を具体的に設定し、目標値と実績値を継続的に開示することで、取り組みの透明性と説明責任を高めます。

8. 結論 (Conclusion)

本レポートによる分析の結果、リコーリース株式会社は、環境課題への対応を経営の重要課題と位置づけ、特に気候変動分野において業界をリードする積極的な取り組みを展開していることが明らかになりました。SBTi 1.5℃目標やScope1・2の2030年ネットゼロといった野心的な目標設定、CDP気候変動における最高評価「A」の獲得、再生可能エネルギー事業への大規模な投資実績は、そのコミットメントの強さを示しています。

資源循環分野においても、『循環創造企業へ』というビジョンのもと、リース事業の特性を活かした3R推進に注力しており、リコー製品の高いリサイクル率維持やITADサービスの提供など、具体的な成果を上げています。

一方で、課題も存在します。最大の課題は、バリューチェーン全体での排出量の大部分を占めるScope3の削減です。また、資源循環においては、非リコー製品の回収・リサイクル率向上や、プラスチック等の特定素材に関する目標設定の具体化、水・紙使用量の増加傾向への対応が求められます。生物多様性分野では、投融資方針によるリスク管理は行われているものの、リコーリース独自の積極的な保全活動やインパクト創出、そしてそれらの定量的な開示については、更なる取り組みの余地が大きいと考えられます。グローバルなESG評価機関からの評価に関する情報開示も、今後の国際的な比較可能性を高める上で重要です。

提言として示した、Scope3削減戦略の具体化、資源循環目標の高度化、生物多様性への取り組み強化、そして関連データの開示拡充を実行していくことが、リコーリースが『循環創造企業へ』というビジョンを真に実現し、持続的な企業価値向上を達成するための鍵となります。本分析が、同社の環境スコアリング評価、および今後の環境戦略推進の一助となることを期待します。

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