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パーソルホールディングス株式会社の環境戦略およびパフォーマンスに関する包括的分析報告書

更新日:2025年5月7日
業種:サービス業(9999)

序論

本報告書の目的と構成

本報告書は、パーソルホールディングス株式会社(以下、パーソルHDと記載)の環境戦略、特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」という三つの重点分野における具体的な取り組みとパフォーマンスを包括的に分析することを目的とする。この分析を通じて、同社の環境スコア算定に必要とされる詳細な情報を提供するとともに、学術的な視座から現状の評価、内在する課題の特定、そして将来に向けた持続可能な成長のための戦略的提言を行うものである。現代企業にとって、環境問題への対応は単なる社会的責任の範疇を超え、事業継続性、競争優位性、さらには企業価値そのものを左右する経営の中核課題として認識されている。本報告書が、パーソルHDの環境経営の深化、並びにステークホルダー各位の理解の一助となることを期す。

本報告書の構成は、まず第1部においてパーソルHDの各環境分野(気候変動、資源循環、生物多様性)における具体的な方針、目標、取り組み内容、および実績データを詳述する。続く第2部では、これらの環境要因がパーソルHDにもたらす潜在的なリスクと事業機会を分析し、同時に人材サービス業界全体における環境先進事例を参照することで、同社の取り組みを相対的に評価するための視座を提供する。第3部では、主要な競合他社の環境戦略とパフォーマンスを比較分析し、外部評価機関による環境スコアのベンチマーキングを通じて、パーソルHDの業界内での環境パフォーマンスの位置づけを明らかにする。そして最後の第4部では、これまでの分析を踏まえ、パーソルHDが現在直面している環境課題を整理し、持続可能な成長を実現するための具体的な戦略的提言を提示する。

第1部:パーソルホールディングスの環境への取り組み

第1章:気候変動への対応

第1節:基本的な考え方、ガバナンス及びTCFD提言に基づく情報開示

パーソルHDは、気候変動問題を事業継続および企業価値向上における重要な経営課題の一つとして明確に認識しており、環境保全活動を経営上のマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定し、積極的に取り組む姿勢を示している 1。この認識のもと、同社は2022年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下TCFDと記載)の提言に対する賛同を公式に表明した。これを受けて、同年5月からはTCFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目に関する具体的な情報開示を開始しており、これは気候変動が自社の事業活動、収益、財務状況に与える潜在的な影響を評価し、その情報をステークホルダーに対して透明性高く開示するという国際的な要請に応えるものである 3。TCFD提言への早期の賛同と具体的な情報開示の開始は、パーソルHDが気候変動問題を単なる報告義務の充足と捉えるのではなく、事業戦略に能動的に統合し、投資家や顧客をはじめとする多様なステークホルダーとの建設的な対話を強化しようとする経営姿勢の表れと解釈できる。このような積極的な取り組みは、将来的な規制強化への先見的な対応や、ESG投資を重視する投資家からの評価向上にも繋がりうる戦略的な意義を持つ。

気候変動対応を含むサステナビリティ経営を推進するためのガバナンス体制として、パーソルHDは代表取締役社長 CEOが議長を務める「サステナビリティ委員会」を設置している。この委員会は、Headquarters Management Committee (HMC) 傘下の組織として2022年3月に設立され、気候変動への対応策を含むサステナビリティに関する経営上の重要なアジェンダについて審議し、HMCへの付議または報告を行う役割を担う 2。そして、取締役会がこのサステナビリティ委員会の活動プロセス全体を定期的に監督し、必要に応じて具体的な対応指示を行うという体制が構築されている 2。このようなCEOが直接関与し、取締役会が監督するというトップダウン型のガバナンス構造は、気候変動対策に関する意思決定の迅速性と実効性を担保し、全社的な取り組みとして強力に推進する上で有効であると考えられる。気候変動が単なる一部門の課題ではなく、グループ全体の経営戦略の中核に位置づけられていることを示唆しており、部門間の連携促進やリソース配分の最適化、目標達成に向けた具体的なアクションの加速が期待される。

第2節:温室効果ガス排出量削減戦略と目標

パーソルHDは、気候変動対策の中核として、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた具体的な戦略と目標を設定している。最も重要な目標として、2031年3月期までに、自社の事業活動から直接的および間接的に排出されるGHG(Scope1およびScope2の合計)を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を掲げている 2。この長期目標の達成に向けた中間的なマイルストーンとして、2025年度までにGHG排出量を2021年度の実績と比較して17%以上削減するという目標も設定している 3。さらに、サプライチェーン全体での排出量削減の重要性を認識し、2025年度にはScope3排出量を含むGHG削減目標を新たに策定する計画も明らかにしている 3

GHG排出量の算定にあたっては、国際的に広く認知されているGHGプロトコルの基準に基づき、Scope1、Scope2、およびScope3の各範囲で排出量を把握している 3。具体的には、Scope1は事業者自らによるGHGの直接排出(例:都市ガス、天然ガス、ガソリン、軽油などの燃料燃焼に伴う排出)を対象とする。Scope2は他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出を対象とする。そしてScope3は、Scope1およびScope2以外の間接排出、すなわちバリューチェーン全体からの排出を対象とし、パーソルHDでは「カテゴリ1:購入した製品・サービス」「カテゴリ2:資本財」「カテゴリ3:Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動」「カテゴリ4:上流の輸送・配送」「カテゴリ5:事業から出る廃棄物」「カテゴリ6:出張」「カテゴリ7:雇用者の通勤」「カテゴリ9:下流の輸送・配送」「カテゴリ11:販売した製品の使用」「カテゴリ12:使用者による製品の廃棄時の輸送、処理」など、10以上のカテゴリで算定を行っている 3。算定範囲はグループ全体を対象としているが、一部データ収集が完全ではない企業も含まれており、今後段階的にデータ収集を進める予定であると言及されている 5

Scope3排出量削減目標の設定を計画していることは、パーソルHDが自社の直接的な事業活動範囲を超え、サプライチェーン全体での環境負荷低減へのコミットメントを強化し、より包括的なカーボンニュートラル戦略へと移行しようとしていることを示唆している。多くの企業にとって、GHG総排出量の大部分を占めるのはScope3排出量であり、その削減は容易ではないが、これを目標に含めることはTCFDが推奨する包括的なリスク管理とも整合する。人材サービス業という事業特性を考慮すると、特に「購入した製品・サービス(カテゴリ1)」や「従業員の通勤(カテゴリ7)」が主要なScope3排出源となる可能性があり、これらの削減には取引先との連携強化や従業員の行動変容を促す具体的な施策の策定と実行が不可欠となるであろう。また、「2031年3月期」という具体的なカーボンニュートラル達成期限の設定は、単なる努力目標ではなく、長期的な視点での投資計画、技術導入、組織変革を促す内部的なドライバーとして機能することが期待される。明確な期限は、目標達成に向けたロードマップの策定を具体化させ、各部門の役割と責任を明確にし、計画的かつ戦略的な環境投資を後押しする効果が見込まれる。

第3節:具体的な取り組み内容と実績

再生可能エネルギー導入の進捗

パーソルHDは、電力使用に伴う二酸化炭素排出量の削減を目的として、グループ全体で使用する電力の100%を実質的に再生可能エネルギー(以下、再エネと記載)で賄うことを目指している。この目標達成のため、各拠点の電力契約を電力会社が提供する再エネプランへ順次切り替えることにより、オフィスビルにおける再エネ化を推進している 5。具体的な進捗として、2024年3月期の実績では、グループ全体の総電力使用量24,341MWhに対し、国内38拠点における再エネ導入量は3,787MWhであった 5。これは、総電力使用量の約15.5%に相当する。象徴的な取り組みとして、2024年4月からはパーソルHDの本社が入居する南青山ビルにおいても、全館で再エネ由来の電力契約への切り替えを完了している 5。また、物理的な再エネ電力の調達を補完する手段として、非化石証書の購入も並行して進める方針である 5

2024年3月期における再エネ導入率が約15.5%であることは、100%という目標達成に向けてはまだ道半ばの段階であることを示している。本社ビルでの全館再エネ化は、グループ内外への強いコミットメントを示す上で重要な一歩であるが、排出量削減効果の観点からは、電力消費量の多い他の大規模拠点や、多数存在する小規模拠点への展開をいかに加速させるかが今後の鍵となる。拠点ごとの契約形態の違いや、テナントとして入居しているビルオーナーとの交渉など、導入拡大には個別の課題解決に向けた継続的な努力が求められるであろう。一方で、非化石証書の購入を「補完的手段」と明確に位置付けている点は注目に値する。これは、可能な限り自社が使用する電力を直接的に再エネ源から調達すること(例:再エネ電力プランへの切り替え、将来的な自家発電設備の導入など)を優先し、それが地理的・契約的制約などから困難な場合に証書購入によって実質的な再エネ化を達成するという戦略を示唆している。このアプローチは、より直接的なCO2削減効果や、再エネ市場全体の成長への貢献を意識したものと解釈でき、質の高い再エネ導入を目指す姿勢がうかがえる。

省エネルギー施策及び効率化への貢献

パーソルHDは、オフィスにおけるエネルギー消費量の削減と効率化に向けて、多岐にわたる省エネルギー施策を推進している。具体的な取り組みとして、勤務時の服装規定を原則自由化し、過度な冷暖房の使用を抑制する「ドレスコードの原則自由化」、空調機器の効率的な運用を促す「エアコン温度設定の徹底」、不要なエネルギー消費を削減するための「時間外空調申請制の奨励」、そして従業員の省エネ意識向上のための「節電・省エネチラシの掲載」などが挙げられる 5

さらに、働き方改革とCO2削減の両立を目指し、テレワークの積極的な推進にも取り組んでいる。全従業員へのノートPCの支給やチャットツールの導入など、ICT(情報通信技術)を効果的に活用することで、場所にとらわれない柔軟なテレワーク環境を構築している 5。これにより、従業員の通勤回数が減少し、それに伴う交通機関からのCO2排出量削減に貢献するとともに、オフィスにおける電力使用量の削減も期待される。一部のグループ会社では、毎週水曜日を「定時退社デー」と定め、18時には業務を終了することを奨励するなど、労働時間の適正化を通じた間接的な省エネ効果も追求している 5。このようなテレワーク推進は、CO2削減という環境側面だけでなく、従業員のワークライフバランス向上や生産性向上といった「働き方改革」にも資するものであり、人材サービス企業としての事業特性とも高い親和性を持つ施策と言える。自社での先進的な働き方の実践は、顧客企業への提案力強化にも繋がる可能性がある。

また、事業活動に伴う移動手段からの排出量削減策として、社有車をハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)といった環境負荷の低い車両へ順次切り替える方針を掲げている。2023年度からは、国内外の拠点において、可能な範囲でガソリン車からHVへの切り替えを開始した。さらに、将来的にはEVのラインナップ拡充や充電インフラの整備が進むことを見越し、2025年頃から国内拠点を中心にEVへの段階的な転換を進める計画である 2。この社有車のEV転換計画は、現時点でのEVの普及状況や充電インフラの整備状況を現実的に評価しつつ、将来の技術動向や社会インフラの変化を見据えた長期的な視点での取り組みと言える。これは、外部環境の変化に柔軟に対応し、最適なタイミングで大規模な移行を進めようとする戦略的な判断を反映している可能性があり、計画的な環境投資の姿勢を示すものである。

事業活動における排出量実績と第三者保証

パーソルHDの2024年3月期(2023年度)における温室効果ガス排出量実績(マーケット基準)は、Scope1(直接排出)が18,639トン-CO2、Scope2(他社から供給されたエネルギーの使用に伴う間接排出)が6,596トン-CO2であり、これらの合計は25,235トン-CO2であった 5。この数値は、前年度(2023年3月期)のScope1およびScope2の合計排出量29,710トン-CO2と比較して、約15.0%の削減を達成したことを示している。また、事業規模の拡大を考慮した排出効率の指標である売上収益当たりの排出量原単位(Scope1+2)に目を向けると、2024年3月期には19.0トン-CO2/10億円を記録し、前年度の24.3トン-CO2/10億円から顕著な改善が見られた 9。このScope1+2排出量の大幅な削減の背景には、特にScope2(マーケット基準)排出量の顕著な減少があり、これは前述の再生可能エネルギー導入の進展が大きく寄与していると考えられる。実際に、2023年3月期のScope2(マーケット基準)排出量は13,093トン-CO2であったのに対し、2024年3月期には6,596トン-CO2と半減近くまで減少しており 9、電力会社提供の再エネプランへの切り替えや本社ビルの全館再エネ化といった具体的な取り組みが効果を発揮した結果と推測される。

一方、バリューチェーン全体での排出量を示すScope3排出量は、2024年3月期において216,302トン-CO2であり、同年度のScope1とScope2の合計排出量25,235トン-CO2の約8.6倍に達している 9。これは、パーソルHDのGHG総排出量の約89.6%がScope3由来であることを意味し、バリューチェーン全体での排出量削減の重要性を改めて浮き彫りにしている。Scope3の主要な排出カテゴリとしては、「カテゴリ1:購入した製品・サービス」が144,987トン-CO2と最も大きく、次いで「カテゴリ11:販売した製品の使用」が18,311トン-CO2、「カテゴリ7:従業員の通勤」が11,091トン-CO2などとなっている 9。この事実は、自社努力だけではカーボンニュートラル達成が困難であり、サプライヤーエンゲージメント、顧客への働きかけ、従業員の意識改革など、バリューチェーン全体を巻き込んだ包括的な取り組みが不可欠であることを示している。特に「購入した製品・サービス」の排出量が突出して大きいことから、調達方針における環境基準の導入やサプライヤーとの協働による排出量削減が、今後のScope3削減戦略における重要な焦点となるであろう。同社が計画している2025年度のScope3削減目標設定とその達成戦略は、今後の企業価値に大きな影響を与える要素となる。

これらの排出量データの正確性および信頼性を確保するため、パーソルHDは第三者機関による保証を積極的に取得している。具体的には、2022年3月期および2023年3月期のGHG排出量実績についてはソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社から、そして2024年3月期のGHG排出量実績についてはLRQAリミテッド社から、それぞれ第三者保証を受けている 5。この第三者保証の取得は、ステークホルダーに対する情報開示の信頼性を高め、説明責任を果たす上で極めて重要である。

第2章:資源循環の推進

第1節:汚染防止と資源循環に関する基本方針と推進体制

パーソルHDは、持続可能な社会の実現に向けた経営の根幹として、「環境マネジメントに関する基本的な考え方」を策定し、その中で汚染防止と資源循環を重要な柱と位置付けている 2。この基本方針では、資源の効率的な利用と循環、水資源の保全、廃棄物の発生抑制と削減、そして環境汚染の未然防止に積極的に努めることを通じて、事業活動が環境に与える影響を可能な限り軽減・回避し、地球環境全体の保全に貢献していくことを目指している 6

資源循環を推進するための体制は、前述の気候変動への対応と同様に、代表取締役社長 CEOが議長を務めるサステナビリティ委員会が中心的な役割を担い、その活動を取締役会が監督するという枠組みで運営されている 6。環境課題への統合的なアプローチを企図したこの体制は、効率的な意思決定と部門横断的な連携を促進する可能性がある。しかしながら、資源循環は廃棄物処理法規の遵守、リサイクル技術の最新動向の把握、サプライチェーンにおける資源効率の最適化など、気候変動対策とは異なる専門知識や特有の課題への対応を必要とする分野である。サステナビリティ委員会がこれらの課題を包括的に管掌する一方で、資源循環に特化した専門的な知見をどのように担保し、具体的な施策を効果的に推進していくかという点については、現状の公開情報からは詳細が明らかではない。委員会の下に専門的な分科会やワーキンググループが存在するのか、あるいは外部の専門家と積極的に連携しているのかなど、その具体的な運用実態が今後の注目点となる。

また、基本方針に「環境汚染の予防」という文言が明確に含まれている点は重要である。これは、単に廃棄物の適正処理に留まらず、オフィス活動で使用される可能性のある化学物質の管理や、オフィスからの排水管理など、より広範な環境リスクに対する意識の高さを示唆している。人材サービス業は製造業と比較して直接的な環境汚染リスクは低いものの、オフィス活動に伴う廃棄物の適正な分別・処理、清掃業務等で使用する化学物質の適切な管理、排水基準の遵守といった潜在的なリスクは存在する。「汚染防止」を明記することで、これらのリスクにも配慮し、未然に防ぐという予防的なアプローチを重視している姿勢がうかがえる。

第2節:資源利用効率化と廃棄物削減の目標と取り組み

パーソルHDは、主にオフィス活動における資源の利用効率化と廃棄物の削減に向けて、具体的な目標を設定し、その達成に向けた管理体制を構築している 6。2024年の目標として、「廃棄物排出量の継続的な把握」「産業廃棄物・有害廃棄物の集計・開示」「資源ごみの継続的な把握」「資源利用削減活動の継続」「原材料使用量の継続的な把握」「LED照明への切替拡大」「環境配慮型製品の購入および購入量の継続的把握」などが掲げられており、これらの目標に対する進捗状況を継続的にモニタリングしている 6

これらの目標達成に向けた具体的な取り組みとして、まずペーパーレス化の推進が挙げられる。グループ全体での年賀状の廃止、契約業務における電子契約書ツールの積極的な導入、社内会議における資料印刷の削減などを通じて、紙資源の消費量削減に努めている 5。特に、グループ会社であるパーソルテンプスタッフ株式会社では、派遣スタッフ向けの公式スマートフォンアプリ「テンプアプリ」に搭載された「e-契約書」機能を活用することで、2023年度には約445万枚の紙資源を削減したと報告されており、これは杉の木に換算すると約2,240本分に相当する計算となる(A4用紙約2,000枚で杉の木1本分と換算)6

オフィス環境における資源効率化の取り組みとしては、オフィス設計段階から家具や什器などの仕様を可能な限り統一することで、将来的な廃棄物の発生を抑制する工夫がなされている。また、エネルギー効率の高いLED照明への切り替えや、各フロアに分散していたゴミ箱を特定の場所に集約するといった施策により、環境配慮型オフィスの実現を推進している 6。さらに、オフィス生活における従業員の行動変容を促すため、マイボトルの使用奨励、バイオマスプラスチック製のストローやカップの採用、使用済み文房具やクリアファイルの回収ボックス設置によるリサイクル促進、循環型デザインの備品の購入奨励、社用携帯端末のリユースといった多岐にわたる活動が展開されている 6

これらの取り組みの結果、コピー用紙の使用量については、2021年度の222トンから、2022年度には209トン、そして2023年度には201トンへと着実な削減傾向が確認できる 8。一方で、グループ全体の廃棄物排出量合計は、2022年度の730.2トンから2023年度には877.1トンへと増加している。この増加について、パーソルHDは事業規模の拡大に伴うものと注記している 8。廃棄物の内訳を見ると、2023年度のリサイクル廃棄物(紙類・ビン・缶・ペットボトルなど)は55.8トン(前年度38.6トン)、非リサイクル一般廃棄物は148.3トン(前年度133.2トン)、非リサイクル産業廃棄物は671.5トン(前年度557.0トン)となっている 8。コピー用紙使用量の削減という個別施策の成果は見られるものの、事業規模の拡大に伴い廃棄物総量が増加しているという事実は、リサイクル率の一層の向上や、廃棄物排出量原単位(例:売上高あたり廃棄物量)の改善が今後の重要な経営課題となることを示唆している。事業成長と廃棄物増加のデカップリング(分離)を実現するためには、リサイクル可能な廃棄物の分別徹底、リサイクルが困難な廃棄物の発生抑制策の強化、さらにはサプライヤーへの働きかけによる包装材の削減など、より踏み込んだ対策が求められるであろう。

環境配慮型製品の調達状況を示すグリーン購入率については、2021年度に36.7%であったものが、2022年度には33.7%、2023年度には33.9%と、30%台前半で推移している 8。この数値は一定の取り組みを示しているものの、環境配慮型製品の調達拡大という観点からは、まだ改善の余地があると言える。調達方針における環境基準のさらなる強化や、サプライヤーとの積極的なエンゲージメントを通じて、グリーン購入率の向上を目指すことが期待される。

第3節:水資源管理と関連実績

パーソルHDは、資源循環の取り組みの一環として、水資源の管理にも注力しており、特に主要オフィスにおける水利用量の継続的な把握を目標に掲げ、その実績を管理している 6

具体的な実績として、上水道の使用量は、2021年度に10,194立方メートル、2022年度に10,337立方メートル、そして2023年度には10,850立方メートルと、過去3年間で微増傾向を示している 8。これらの水使用量のデータは、パーソルHDの主要オフィスである南青山ビルやTS池袋ビルなどを集計範囲としている 8

人材サービス業というパーソルHDの事業特性を考慮すると、製造業のように大量の工業用水を消費するわけではないため、水消費が環境負荷全体に占める割合や、事業継続における直接的なリスク要因としての重要度は、相対的に低い可能性がある。このため、現段階では排出量削減や廃棄物削減ほど積極的な削減目標は設定されておらず、「使用量の継続的な把握」が主な目的となっていると推察される。しかしながら、気候変動に伴う水不足リスクは世界的に高まっており、特に水ストレスの高い地域に事業拠点を有している場合、将来的には事業継続上の潜在的リスクとなり得る。したがって、現状把握に留まらず、従業員の節水意識の向上、節水型設備の導入検討など、予防的な観点からの具体的な節水施策の導入も視野に入れることが望ましい。

また、現状の水使用量の集計範囲が「主要オフィス」に限定されている点は、グループ全体の水フットプリントを正確に把握し、管理する上での限界を示唆している。8の環境データに関する注釈には、水使用量の集計範囲が主要オフィスである南青山ビルおよびTS池袋である旨が記載されている。グループ全体の水使用量をより網羅的に把握し、潜在的なリスク評価や削減機会の特定を精緻に行うためには、将来的にはより多くの拠点をカバーするデータ収集体制の構築と、算定範囲の段階的な拡大が望まれる。これにより、水資源管理の透明性と実効性を一層高めることができるであろう。

第4節:資源循環に関するデータと実績

本節では、前節までに提示されたパーソルHDの資源循環に関する主要な定量的データを集約し、その経年変化と目標達成に向けた進捗状況を物語形式で記述する。

まず、ペーパーレス化の進捗を示すコピー用紙使用量に注目すると、2021年度には222トンであったものが、2022年度には209トン、そして2023年度には201トンへと、過去3年間で着実な削減が進んでいることが確認できる 8。これは、電子契約システムの導入や社内会議資料のデジタル化といった具体的な施策が効果を上げていることを示唆している。

一方で、廃棄物総排出量については、事業規模の拡大を背景として、2022年度の730.2トンから2023年度には877.1トンへと増加している 8。この増加は、企業活動の活発化に伴う必然的な側面もあるが、持続可能な成長のためには、事業成長と環境負荷のデカップリングが求められる。2023年度の廃棄物の内訳を見ると、リサイクル廃棄物(紙類、ビン、缶、ペットボトルなど)は55.8トンであり、前年度の38.6トンから増加している。非リサイクル廃棄物については、一般廃棄物が148.3トン(前年度133.2トン)、産業廃棄物が671.5トン(前年度557.0トン)と、いずれも増加傾向にある 8。特に産業廃棄物の量が大きい点が注目される。

環境配慮型製品の調達状況を示すグリーン購入率は、2021年度の36.7%から、2022年度は33.7%、2023年度は33.9%と、30%台前半で推移している 8。水使用量については、2021年度の10,194立方メートルから、2023年度には10,850立方メートルへと微増している 8

これらのデータを見ていく上で重要なのは、その集計範囲である。8の注釈によれば、廃棄物排出量の集計範囲は主要オフィスである南青山ビル、グランフロント大阪、TS池袋、およびパーソルファクトリーパートナーズやパーソルクロステクノロジーといった特定の子会社に限定されている。コピー用紙使用量やグリーン購入率のデータは、パーソルHD単体および国内グループのうち、パーソルHDにて購入している間接材を対象としており、水使用量は主要オフィスである南青山ビルとTS池袋が対象となっている。このように、各データ項目によって集計範囲が異なるため、これらの数値をもってグループ全体の網羅的な資源循環パフォーマンスを正確に評価するには限界があると言わざるを得ない。データ収集体制の統一と対象範囲の拡大は、より精緻な環境マネジメントと効果的な削減策の立案・実行に向けた今後の課題である。

さらに、8の環境データにおいて「廃棄物排出量の増加は、事業規模拡大によるものです」という注記が付されている点は、現状では事業成長と環境負荷のデカップリングが十分に達成されていないことを示唆している。持続可能な事業運営のためには、売上高あたり廃棄物量や従業員一人あたり廃棄物量といった原単位での目標を設定し、その管理を強化することで、事業規模の拡大と環境負荷低減の両立を目指す必要がある。

第3章:生物多様性の保全

第1節:生物多様性保全に関する基本的な考え方と自然資本への配慮

パーソルHDは、その環境経営の基本アプローチの中で「自然資本の保全 (Conservation of natural capital)」を重要な柱の一つとして掲げている。具体的には、「資源利用の削減、効率的な利用の促進、リサイクルの推進、廃棄物の削減、および水資源の保全を通じて、環境汚染の防止・削減に努め、環境への影響を緩和または回避する」という方針を示している 2。この記述は、気候変動対策や資源循環の推進といった活動が、広義には自然資本の保全に貢献するという認識を示していると解釈できる。

また、グループ内のシンクタンクであるパーソル総合研究所が発行したコラムにおいては、企業が取り組むべきサステナビリティ課題における「リスク管理」の一環として、気候変動や人権問題などと並列する形で、生物多様性に関連するリスクについても言及がなされている 11。これは、生物多様性の損失が事業活動に与えうる潜在的なリスクについて、グループ内で一定の認識が共有されつつあることを示唆している。

しかしながら、「自然資本の保全」という包括的な表現が用いられているものの、生物多様性の損失を直接的に防ぎ、生態系の豊かさを維持・回復するための、より特化された具体的な方針、コミットメント、あるいは定量的な目標については、現時点でパーソルHDから公開されている情報からは明確に読み取ることができない。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークが国際的に認知度を高め、企業に対して自然関連リスク・機会の評価と開示を求める動きが加速している中、パーソルHDがこの分野でどのような戦略を展開していくのかが今後の注目点となる。

パーソルHDの事業特性は、主にオフィスを拠点とする人材サービス業であり、製造業や農林水産業のように広大な土地を直接利用したり、自然資源を大量に採取したりするわけではないため、生態系への直接的な影響は比較的小さいと考えられる。しかしながら、事業活動を通じて間接的に自然資本に依存し、影響を与えている側面は無視できない。例えば、オフィスで使用する大量の紙製品の原料となる森林資源の持続可能性、日々利用するIT機器の製造に必要な鉱物資源の採掘に伴う環境負荷、これらの調達過程におけるサプライチェーン上の生態系への影響などが考えられる。また、新規オフィスの建設や拡張に伴う土地利用の変更なども、局所的ながら生物多様性への影響を及ぼす可能性がある。これらの間接的な影響に対する深い認識と、それらを踏まえた具体的な対応策の策定・実行が、今後のパーソルHDの生物多様性戦略における鍵となるであろう。

第2節:現状の取り組みと関連活動

パーソルHDにおける生物多様性保全に特化した独自のプログラム、具体的な数値目標、およびそれらに関連する実績データに関する情報は、現時点で提供されている資料からは限定的であると言わざるを得ない 10。気候変動対策や資源循環の推進と比較すると、生物多様性保全は、同社の環境戦略において、まだ具体的な取り組みの優先順位や詳細な計画策定が途上にある可能性が示唆される。

しかしながら、間接的な貢献として注目すべき活動も存在する。その一つが、パーソルベンチャーパートナーズを通じて設立された「ジョブクリエーションファンド」である 3。このファンドは、HRテクノロジー分野に加え、環境、エネルギー、ヘルスケア、モビリティといったSDGs(持続可能な開発目標)に関連する成長分野のスタートアップ企業への投資を目的としている 12。これらの投資対象企業の中には、革新的な技術やサービスを通じて環境問題の解決、ひいては生物多様性の保全に貢献する可能性を秘めた企業が含まれうる。例えば、持続可能な農業技術を開発する企業や、再生可能エネルギーの普及を促進する企業、あるいは環境モニタリング技術を持つ企業などが該当し得る。

このようなファンドを通じた環境関連スタートアップへの投資は、パーソルHDが直接的に生物多様性保全活動を行うものではないものの、イノベーションを促進し、社会全体の環境負荷低減に貢献するという点で、間接的ながらポジティブな影響をもたらす可能性を秘めている。ただし、その投資が具体的にどの程度生物多様性保全に寄与しているのか、その効果をどのように測定し、評価していくのか、そしてその貢献内容をステークホルダーに対してどのように可視化し、報告していくのかといった点は、今後の課題となるであろう。投資先の選定基準に生物多様性への貢献度を明確に組み込むことや、投資先企業の環境パフォーマンスを定期的にモニタリングし、その情報を開示する仕組みの構築などが考えられる。

総じて、パーソルHDの生物多様性への取り組みは、気候変動対応におけるTCFDへのコミットメントや具体的なGHG削減目標の設定、あるいは資源循環における廃棄物削減目標などと比較すると、まだ戦略の具体性や情報開示の深度において発展の余地が大きい。TNFDのフレームワークが企業の間で急速に普及しつつある現状を踏まえ、今後はこの分野における情報収集、リスク・機会評価、そして具体的な行動計画の策定と開示が強く求められるようになるであろう。

第2部:環境関連リスク・機会と業界動向

第4章:潜在的リスクと事業機会の分析

第1節:気候関連リスク(物理的リスク・移行リスク)の評価と影響

パーソルHDは、TCFD提言の枠組みに基づき、気候変動が自社の事業活動に及ぼす潜在的なリスク(物理的リスクおよび移行リスク)と機会について、詳細な特定と分析を実施している。この分析にあたっては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などが公表している複数の気候変動シナリオを参照し、具体的には1.5-2℃上昇シナリオ(パリ協定の目標達成を前提とし、脱炭素化に向けた政策や技術が急速に進展する世界)と、4℃上昇シナリオ(気候変動対策が十分に進まず、気温が大幅に上昇し、自然災害が頻発・激甚化する世界)の二つを主要な参照点としている 3

物理的リスクとしては、まず「自然災害の頻発・激甚化」が挙げられる。これは、台風、豪雨、洪水、干ばつといった異常気象の強度と発生頻度が増加することを指し、1.5-2℃シナリオと4℃シナリオの双方で影響が予測されている。これによる財務的影響としては、パーソルHDが保有または賃借するオフィス施設への物理的な損害の発生、事業継続計画(BCP)の発動・維持に伴うコストの増加、さらにはサプライチェーンの寸断や顧客企業の被災による間接的な売上減少や機会損失などが、特に長期的な視点(10年以上)で懸念される 13。これに対する同社の対応戦略としては、緊急時対応本部の機能強化、災害発生時の状況把握の自動化推進、BCPの策定と継続的な見直し・改善、そしてその実効性を検証するための定期的な訓練の実施などが計画されている 13。次に、「平均気温の上昇」も重要な物理的リスクとして認識されている。これも両シナリオで予測されており、1.5-2℃シナリオ下では、気温上昇によるオフィスや社有車の空調効率低下に伴う電力コストの増加が、長期的な財務影響として挙げられている。一方、より深刻な4℃シナリオ下では、大幅な気温上昇が熱中症リスクの増大や感染症の蔓延リスクを高め、また猛暑下での屋外作業(例えば、派遣スタッフの通勤や一部業務)における労働環境の悪化を通じて、従業員の健康阻害や生産性の低下を引き起こす可能性がある。これが結果として、売上の減少、対策コストの増加、保険料の上昇、さらには人事管理コストの増大といった形で財務に影響を及ぼすと評価されている 13。これに対する対応策としては、省エネルギー化の取り組み強化に加え、4℃シナリオにおいては変化する労働環境に対応するための人事管理体制の強化が挙げられている 13

移行リスクとしては、まず「脱炭素社会の実現に向けた法規制・政策の強化および社会的要求の高まり」が認識されている。これには、炭素税や排出量取引制度(ETS)といったカーボンプライシングの導入・強化、再生可能エネルギー利用の義務化、省エネルギー基準の厳格化などが含まれ、両シナリオにおいて短期(5年以内)から中期(5~10年)にかけて顕在化する可能性が指摘されている。これによる財務的影響は、電力料金やその他資源の調達コストの上昇として現れると予測される 13。対応戦略としては、省エネルギー活動の一層の推進、再生可能エネルギーへの切り替え加速、低炭素型製品・サービスの優先的利用、その他GHG排出量削減に資する取り組みの強化が計画されている 13。もう一つの主要な移行リスクとして、「企業および求職者における環境意識の高まり」が挙げられている。環境問題に対する社会全体の関心が高まる中で、気候変動対策への取り組みが遅れている、あるいは環境関連法規に違反したと見なされる企業は、顧客や取引先からの信頼を失い、ブランドイメージが毀損するレピュテーションリスクに直面する。これは、両シナリオにおいて短期から中期にかけて影響を及ぼし、結果として顧客離れによる売上減少や、新規契約機会の喪失といった財務的影響に繋がる可能性があると評価されている 13。このリスクへの対応として、パーソルHDはカーボンニュートラル目標の明確な設定と達成に向けた努力、TCFD提言に沿った積極的な情報開示の継続、そしてGHG排出削減策の一層の強化を掲げている 13

これらのリスク評価において、パーソルHDが短期(5年以内)、中期(5~10年)、長期(10年以上)という具体的な時間軸を設定し、それぞれの期間における潜在的な財務的影響(コスト増、売上減など)を考慮している点は、TCFDが推奨する分析アプローチに沿ったものであり、リスクの重要度評価と対応策の優先順位付けを行う上で有効である。特に、「企業・求職者の環境意識の高まり」を移行リスクとして明確に捉えている点は、人材サービス業という事業特性を反映した重要な認識と言える。環境意識の高い企業は、同様に環境配慮を重視する人材を求める傾向が強まっており、また求職者自身も企業の環境への取り組み姿勢を就職先選定の重要な基準の一つとするようになっている。パーソルHDがこの動向をリスクとして認識していることは、自社のESGパフォーマンスが、顧客企業からの信頼獲得や優秀な人材の獲得・維持に直接的な影響を与えることを深く理解している証左であり、ESG戦略の重要性をグループ全体で共有する上で効果的な視点である。

第2節:環境要因に関連する事業機会の特定と戦略

パーソルHDは、気候変動への対応や脱炭素化社会への移行という大きな潮流を、単なるリスク要因として捉えるだけでなく、新たな事業機会を創出するための好機と認識している 3。同社が特定している主要な事業機会としては、まず「環境関連分野における人材派遣・人材紹介および関連サービスの提供」が挙げられる。脱炭素化技術の導入、再生可能エネルギー設備の運用・保守、環境コンプライアンス体制の構築など、企業の環境対応が加速する中で、専門知識やスキルを持つ人材への需要が高まると予測される。これに対し、パーソルHDは自社の広範な人材ネットワークとマッチング能力を活かして、これらの分野での人材サービス提供を拡大することにより、売上の増加を見込んでいる 13。もう一つの機会として、「環境関連分野のスタートアップ企業等への投資、ノウハウ提供、および採用支援」を認識している。革新的な環境技術やビジネスモデルを持つスタートアップ企業は、持続可能な社会の実現に不可欠な存在であり、これらの企業の成長を支援することは、投資リターンの獲得に繋がるだけでなく、パーソルHD自身の新たなサービス展開や知見獲得にも寄与すると考えられる 13

これらの事業機会を具体化するための戦略として、パーソルHDはグループ傘下の企業を通じて、専門性の高いサービスを展開している。例えば、IT・ものづくりエンジニアの人材派遣を手掛けるパーソルクロステクノロジー株式会社では、「グリーンエンジニア」の派遣サービスを提供している。これは、製造業における温室効果ガス排出量の可視化支援や、製品ライフサイクル全体を考慮した環境配慮設計、あるいは再生可能エネルギー関連設備の開発・運用などに従事できる専門技術者を育成・派遣するもので、顧客企業のグリーン・トランスフォーメーション(GX)を人材面から支援する取り組みである 3。また、パーソルプロセス&デザイン株式会社(旧パーソルプロセス&テクノロジー株式会社)は、企業のGX支援サービスを強化しており、GHG排出量の算定コンサルティング、カーボンニュートラル達成に向けた社内研修プログラムの提供、具体的な排出削減計画の策定支援といった包括的なソリューションを提供している 3。これらのサービスは、企業が直面する脱炭素化への課題に対し、実践的な支援を行うものである。

さらに、グループのベンチャーキャピタル部門であるパーソルベンチャーパートナーズ合同会社は、「ジョブクリエーションファンド」を設立し、HRテクノロジー分野に加え、環境、エネルギー、ヘルスケア、モビリティといったSDGs達成に貢献する成長領域のスタートアップ企業への投資を積極的に行っている 3。このファンドを通じて、環境問題の解決に繋がる革新的な技術やビジネスモデルを持つ企業を発掘・育成し、気候変動対策への間接的な貢献を目指している。

このように、パーソルHDが気候変動対応や脱炭素化の動きを、自社のコアビジネスである人材サービスと巧みに結びつけ、新たな事業機会として積極的に開拓しようとする戦略は、リスクへの対応と同時に成長機会を追求するという能動的な経営姿勢を示すものである。これは、社会全体のグリーン化という不可逆的な潮流を的確に捉え、パーソルHDが持つ人材ネットワーク、専門知識、そして資金力を最大限に活用した戦略的展開と言える。特に「ジョブクリエーションファンド」による環境分野への投資は、短期的な財務リターンのみならず、将来の事業ポートフォリオの多角化や、新たな環境技術・サービスに関する知見の獲得にも繋がり、長期的な視点での企業価値向上に寄与する可能性を秘めている。このような取り組みは、パーソルHDが持続可能な社会の実現に貢献しつつ、自らも成長を続けるための重要な布石となるであろう。

第5章:人材サービス業界における環境先進事例

第1節:気候変動対応における先進企業の取り組み

人材サービス業界においても、気候変動への対応は企業の持続可能性を左右する重要な経営課題として認識され、先進的な企業による具体的な取り組みが進展している。これらの企業は、自社の事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に留まらず、顧客企業や社会全体の脱炭素化に貢献する事業機会の創出にも注力している。

スイスに本拠を置く世界最大手の人材サービス企業の一つであるアデコグループ(Adecco Group AG)は、2050年までにバリューチェーン全体でのネットゼロ達成という野心的な目標を掲げている。その中間目標として、2030年までにScope1およびScope2排出量を2019年比で51.7%削減し、Scope3排出量の中でも特に従業員の通勤に伴う排出量を同期間で27.5%削減する目標を設定しており、これらの目標はSBTi(Science Based Targets initiative)による認証を取得している。さらに、2030年までに事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うこと、および保有するカーフリートを100%低排出ガス車またはエネルギー効率の高い車両へ移行することも目指している 14。同社は早くも2015年にはCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)に対して気候変動関連情報を開示しており、その際の開示スコアは86点であった 15

国内最大手の一つであるリクルートホールディングス株式会社(以下、リクルートHDと記載)は、2030年度(FY2030)までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル達成という目標を掲げ、これもSBTiの認証を取得している 16。実績として、2023年度(FY2023)にはScope1およびScope2(マーケット基準)の合計排出量を2019年度(FY2019)比で78%削減するという大幅な進捗を見せている。また、電力消費に関しては、2023年度に証書利用を含めて100%再生可能エネルギーでの調達を達成した 17。これらの積極的な取り組みと高い透明性が評価され、リクルートHDはCDPの気候変動に関する評価において、2023年の実績に基づき2024年に発表された格付けで最高評価である「Aリスト」企業に選定されている 18

同じく国内大手の株式会社パソナグループ(以下、パソナグループと記載)は、2030年度までにScope1およびScope2排出量のカーボンニュートラル達成を目標としている。具体的な取り組みとして、社有車のEV(電気自動車)およびHV(ハイブリッド車)への切り替え、業務プロセスのデジタル化を通じたペーパーレス化の推進、さらには兵庫県淡路島で運営する複数の施設において使用する全電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えるといった施策を実行している。また、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を本社オフィスで取得している 20

米国の人材サービス大手であるロバート・ハーフ社(Robert Half, Inc.)も、温室効果ガス排出量の算定・開示・削減に継続的に取り組み、再生可能エネルギーの購入量を増加させる方針を示している。同社は毎年CDPの気候変動質問書に回答し、その情報を開示しているほか、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)、GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)、TCFDといった国際的な報告フレームワークに準拠した情報開示を行っている 21

これらの先進企業の取り組みに共通して見られるのは、オフィスにおける省エネルギー対策の徹底、ペーパーレス化の推進、リモートワークの導入による通勤・出張に伴う排出量の削減、再生可能エネルギーの積極的な導入、環境に配慮した製品・サービスの調達(グリーン購入)、そして従業員の環境意識を向上させるための研修や啓発活動などである 23。特に、SBTiに整合した科学的根拠に基づく野心的なGHG削減目標の設定と、その達成に向けた具体的なロードマップの策定・実行、そしてCDPなどの外部評価機関を通じた透明性の高い情報開示が、業界のリーダー企業における標準的なプラクティスとなりつつある。

さらに、人材サービス業界特有の事業機会として、顧客企業のGX(グリーン・トランスフォーメーション)を支援する人材育成や専門サービスの提供が新たなトレンドとして浮上している点も注目される。例えば、リクルートHDは顧客企業に対して環境意識向上のための情報提供を行うなど、事業活動を通じた貢献を模索しており 25、パーソルHD自身も「グリーンエンジニア」派遣サービスを通じて同様の市場ニーズに応えようとしている 3。これは、自社の環境負荷低減努力に留まらず、人材サービス企業が持つ「人」に関する知見や広範なネットワークを最大限に活用し、社会全体の環境課題解決に積極的に貢献しようとする姿勢の表れであり、業界全体の持続可能な成長に向けた重要な方向性を示唆している。

第2節:資源循環推進における先進企業の取り組み

人材サービス業界における資源循環の推進は、主にオフィス活動における資源消費の効率化と廃棄物削減を中心に行われているが、先進企業においては、事業プロセス全体を通じた資源効率の向上や、サプライチェーンにおける環境負荷低減への意識も高まっている。

リクルートHDは、主要な紙媒体である情報誌に関して、紙の使用量を削減するための具体的な取り組み(例:紙の薄肉化、FSC認証紙の利用)、印刷および配送プロセスの最適化による無駄の削減、そして読者によるリサイクルを推奨する活動などを実施している。また、グループ全体の廃棄物総排出量とその原単位(例:売上高あたり排出量)を管理し、継続的な削減努力を行っている 17

パソナグループは、ユニークな資源循環の取り組みとして、自社が運営する飲食施設から排出される食品残渣を堆肥化し、その堆肥を自社農園で活用するという循環型農業を実践している。また、飲料容器としてサトウキビの搾りかすから作られたバガス容器を使用するなど、再生可能資源の利用にも積極的である 20。これらの活動は、事業特性に応じた具体的な資源循環の実践例として注目される。

米国のHRサービスプロバイダーであるトライネットグループ(TriNet Group, Inc.)は、事業運営におけるエネルギー効率の向上、廃棄物の削減、そして持続可能な調達慣行の確立に注力している。特筆すべきは、オフィスを閉鎖する際に発生する廃棄物を極力削減し、オフィス家具などを埋め立て処分するのではなく、リユースやリサイクルを促進するパートナーシップを構築している点である 26。これは、事業活動のライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減しようとする意識の表れと言える。

業界全体に共通する取り組みとしては、契約書や申請書類の電子化によるペーパーレス化の推進、オフィスで使用する備品(文房具、什器など)のリサイクルやリユースの徹底、廃棄物の適切な分別とリサイクル率の向上、エネルギー効率の高いLED照明の導入やゴミ箱の集約化といった環境配慮型オフィス設計の採用、そしてサプライヤーに対して環境負荷の少ない製品や包装材の使用を要請するグリーン調達などが挙げられる 24。これらの取り組みは、日々の事業運営における環境負荷を着実に低減させる効果が期待される。

これらの先進企業の事例から、人材サービス業界における資源循環の取り組みは、単に自社のオフィスにおける紙や電力の消費量を削減するに留まらず、事業プロセス全体における資源効率の最適化、廃棄物の発生抑制と再資源化、さらにはサプライチェーンにおける環境配慮へとその範囲を拡大しつつあることがわかる。

また、物理的な資源循環という直接的な概念に加え、人材サービス業界の特性を考慮すると、「人材」という最も重要な経営資源の効率的な活用(例:従業員のスキルアップ支援、適材適所の人材配置によるミスマッチの削減、キャリア開発支援による離職率の低下など)も、広義の資源循環と捉え、企業のサステナビリティ戦略に結びつける視点も持ちうる。2829では、スタッフィング業務における「リソースアロケーションの最適化」の重要性が指摘されており、これは物理的な資源ではないものの、人的資本という極めて重要な資源の無駄をなくし、その価値を最大限に高めるという点で、資源循環の基本的な考え方と通底する。企業の持続可能性には、環境負荷の低減と並んで、人的資本の最適活用と価値向上が不可欠であり、これらを統合的に捉えた戦略が求められる。

第3節:生物多様性保全における先進企業の取り組み

人材サービス業界における生物多様性保全への直接的な取り組み事例は、気候変動対策や資源循環と比較すると、現時点ではまだ限定的であると言える。多くの企業の取り組みは、植林活動への参加や生物多様性保全プロジェクトへの寄付・支援といった間接的な貢献が中心となっている。しかし、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言など、企業に対する自然資本・生物多様性への配慮と情報開示の要請が高まる中で、一部の先進企業ではより具体的な動きが見られ始めている。

アデコグループの英国・アイルランド法人(Adecco UK & Ireland)は、カーボンオフセット戦略の一環として、生物多様性保全に貢献する複数のプロジェクトを支援している。具体的には、カンボジアにおける野生生物保護区の支援、ドミニカ共和国でのウィンドファームプロジェクト(再生可能エネルギー推進と地域生態系配慮)、そしてスコットランドでの植林活動(Trees for Life)などが挙げられる 30。これらの活動は、事業活動から排出されるCO2を相殺する目的と同時に、生態系の保全・回復にも寄与するものである。

リクルートHDは、TNFDが提唱するLEAPアプローチ(発見、診断、評価、対応)を採用し、自社の事業活動が自然環境および生物多様性に与える影響や依存関係、関連するリスクと機会についての評価を開始したと報告している。また、具体的な保全活動として、420ヘクタールの社有林において植林活動を実施している 17。TNFDの枠組みに沿った評価に着手したことは、人材サービス業界においては先進的な事例と言え、今後の具体的な戦略策定と情報開示が注目される。

人材サービス業界以外に目を向けると、より直接的な生物多様性保全活動や、事業を通じて生態系に貢献する事例が多数存在する。例えば、JFEホールディングス株式会社は、製鉄プロセスで生じる鉄鋼スラグを原料とした製品「マリンストーン®」を開発し、これを海底に敷設することでヘドロ化した底質を改善し、干潟や浅場の生物が生息しやすい環境を再生する事業に取り組んでいる 31。旭化成株式会社は、工場跡地を利用して地域の生態系に配慮した里山を再生し、地域住民と共に保全活動を行うことで、生物多様性の回復と環境教育の場を提供している 32。また、日本航空株式会社(JAL)は、自社のロゴマークのモチーフでもあるタンチョウの保護活動に長年取り組んでおり、北海道の生息地における環境整備などを支援している 32。これらの事例は、製造業や運輸業といった、より直接的に自然資本と関わりの深い業種における先進的な取り組みであるが、サービス業においても参考にすべき視点を含んでいる。

サービス業全般、特に環境コンサルティングファームにおいては、企業顧客に対してTNFDへの対応支援、自然関連リスク・機会の評価、生物多様性保全戦略の策定といった専門サービスを提供する動きが活発化している。EYやデロイトといった大手コンサルティングファームは、専門チームを組織し、企業の生物多様性課題への取り組みをサポートしている 33。また、AECOMのようなインフラ関連の専門サービス企業も、TNFDのパイロットプログラムに参加し、自社のプロジェクトにおける自然関連リスクの評価手法を開発・適用している 35。これらの動きは、企業社会全体で生物多様性への関心と対応ニーズが高まっていることを示している。

人材サービス業界における生物多様性保全への取り組みは、多くの場合、事業活動との直接的な関連性が見出しにくいという課題があるため、気候変動問題に比べて取り組みの優先順位が相対的に低い傾向にあった。しかし、TNFDの普及や投資家からのエンゲージメント強化の流れを受け、今後はサービス業においても生物多様性への配慮が一層求められるようになるであろう。その際、直接的な生態系への影響が比較的小さいとされる人材サービス企業であっても、事業拠点における緑化推進(在来種を優先した植栽などによる地域生態系への貢献)、サプライチェーンにおける生物多様性配慮調達(例えば、FSC認証紙の利用徹底や持続可能な方法で生産された備品の選択)、従業員に対する環境教育プログラムにおける生物多様性の重要性の啓発といった形で、具体的な貢献を進展させる余地は大きいと考えられる。

第3部:競合分析と評価

第6章:競合企業の環境への取り組みとパフォーマンス

第1節:主要競合企業の特定と環境戦略の概要

パーソルHDが事業を展開する人材サービス業界には、国内外に多数の競合企業が存在する。本報告書では、特にグローバル市場および国内市場で主要なプレーヤーと目され、かつ環境戦略に関する情報が比較的入手可能な企業として、アデコグループ、リクルートHD、およびパソナグループを中心に比較分析の対象とする。これらの企業は、事業規模、サービス内容、展開地域などにおいてパーソルHDと競合関係にあり、その環境への取り組みはパーソルHD自身の戦略を考察する上で重要な示唆を与える。SustainalyticsのESGリスクレーティングにおいては、アデコグループ、コーン・フェリー、トライネットグループ、ロバート・ハーフなどがパーソルHDの比較対象として挙げられている 36

アデコグループは、持続可能性を経営戦略の中核に据え、特に気候変動対策を重視している。2050年までにバリューチェーン全体でのネットゼロ達成をコミットし、SBTi認証済みの短期・中期GHG削減目標(例:2030年までにScope1・2排出量を51.7%削減(2019年比))を設定している。また、2030年までの再生可能エネルギー100%使用目標や、カーフリートの低排出ガス車への完全移行なども掲げている 14。自社の環境フットプリント管理と並行し、労働市場における「グリーンスキル」の開発支援など、事業を通じた社会のサステナビリティへの貢献も積極的に模索している 14

リクルートHDは、環境課題への取り組みをマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定し、取締役会がその進捗を監督する体制を構築している。気候変動対策においては、2030年度までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目標とし(SBTi認証取得済み)、2023年度には電力消費の100%を再生可能エネルギーで達成するなどの顕著な実績を上げている 16。資源循環に関しても具体的な取り組みを進め、生物多様性保全についてはTNFDのLEAPアプローチを採用し、自然関連リスク・機会の評価に着手するなど、包括的な環境戦略を展開している 17

パソナグループは、「社会の問題点を解決する」という企業理念のもと、サステナビリティ経営を推進している。環境面では、2030年度までにScope1およびScope2排出量のカーボンニュートラル達成を目標に掲げている 20。具体的な取り組みとして、再生可能エネルギーの導入促進、食品残渣の堆肥化・自社農園での活用といった資源循環の推進、さらには地域社会と連携した里山保全活動などを実施している 20

これらの主要競合他社の環境戦略を概観すると、気候変動対策を最重要課題の一つと位置づけ、SBTiに整合した科学的根拠に基づく野心的な目標設定や、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進している点が共通して見て取れる。特にリクルートHDは、目標の野心度、実績、情報開示の透明性において先進的な側面が顕著であり、パーソルHDにとって重要なベンチマーク対象となる。アデコグループやリクルートHDがSBTi認証を取得している事実は、このような科学的根拠に基づく目標設定が業界内でのスタンダードとなりつつあることを示唆している。リクルートHDのCDP気候変動Aリスト選定は、目標設定のみならず、その達成に向けた具体的な行動と情報開示の質が高いレベルにあることを客観的に示すものである。

さらに、これらの競合他社の環境戦略は、単に自社の事業活動に伴う排出量を削減することに留まらず、その事業を通じて顧客企業や社会全体の環境課題解決に貢献しようとする方向性を強化している傾向が見受けられる。例えば、アデコグループが推進する「グリーンスキル」開発支援は、脱炭素社会への移行に必要な専門人材の育成と供給を目指すものであり、社会全体のサステナビリティ向上に貢献する取り組みである。これは、パーソルHDが展開する「グリーンエンジニア」派遣サービス戦略とも軌を一にするものであり、人材サービス業界全体における新たな潮流と言えるであろう。このような動きは、企業が自社のパーパス(存在意義)を深く追求し、サステナビリティを経営の中核に据えるという現代的な企業経営の深化を反映していると考えられる。

第2節:競合企業の環境パフォーマンス比較分析

パーソルHDの環境パフォーマンスを業界内で相対的に評価するため、主要競合企業であるアデコグループ、リクルートHD、パソナグループとの間で、気候変動対策、資源循環、生物多様性の各分野における具体的な目標、取り組み、実績を比較分析する。

まず気候変動対策の中核となるGHG排出量削減目標について見ると、パーソルHDは2031年3月期までにScope1およびScope2のカーボンニュートラル達成を目標としている 3。これに対し、アデコグループは2030年までにScope1およびScope2排出量を2019年比で51.7%削減するというSBTi認証目標を掲げている 14。リクルートHDはさらに野心的であり、2030年度までにScope1、Scope2のみならずScope3を含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を目標とし、これもSBTiの認証を受けている 17。実績面では、リクルートHDは2023年度時点でScope1およびScope2の合計排出量を2019年度比で78%削減するという大幅な進捗を示している 17。パーソルHDは2024年3月期(2023年度)にScope1およびScope2の合計排出量を前年度比で約15%削減した 5

再生可能エネルギーの導入状況については、パーソルHDは全使用電力の100%再エネ化を目標としているが、2024年3月期時点での導入率は約15.5%である 5。アデコグループは2030年までに100%再エネ電力使用を目標とし、2024年度(暦年)の実績として24%が持続可能な電源からの調達であったと報告している 14。リクルートHDは、2023年度に証書利用を含めて電力消費の100%を再生可能エネルギーで達成しており、この分野では目標達成が先行している 17

資源循環の取り組みに関しては、各社ともにペーパーレス化の推進やオフィスにおける廃棄物削減に努めている。リクルートHDは、情報誌の製作・配布プロセスにおける環境配慮(紙使用量削減、FSC認証紙利用、リサイクル推奨など)を具体的に進めている 17。パソナグループは、自社施設から出る食品残渣を堆肥化し、それを自社農園で活用するという特徴的な資源循環システムを構築している 20。パーソルHDもコピー用紙使用量の削減では実績を上げているものの、グループ全体の廃棄物総量は事業規模の拡大に伴い増加傾向にある点が課題として認識される 6

生物多様性保全への取り組みについては、業界全体としてまだ発展途上の段階にある企業が多いものの、差異が見られる。リクルートHDは、TNFDのLEAPアプローチを採用し、自然関連リスク・機会の評価に着手するという先進的な動きを見せている 17。アデコグループは、カーボンオフセット戦略の一環として、植林や野生生物保護区支援といった生物多様性保全プロジェクトへの資金提供を行っている 30。パーソルHDは、環境経営の基本方針として「自然資本の保全」を掲げてはいるものの、生物多様性保全に特化した具体的なプログラムや目標に関する情報は現時点では限定的である 2

これらの比較から、GHG削減目標の野心度(特にScope3を含むバリューチェーン全体を対象としているか否か)や再生可能エネルギー導入率においては、リクルートHDがパーソルHDやアデコグループをリードしている側面がうかがえる。リクルートHDがバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルという包括的な目標を掲げ、かつ再生可能エネルギー100%を早期に達成している点は、目標設定の範囲と達成スピードの両面で高い水準にあることを示している。パーソルHDの現行目標はScope1およびScope2に限定されており(Scope3目標は2025年度に設定予定)、再生可能エネルギー導入も目標達成に向けた途上段階にある。生物多様性への取り組みに関しては、業界全体としてまだ初期段階にある企業が多い中で、リクルートHDがTNFDの枠組みを活用し始めている動きは、今後の業界標準形成に向けた重要な一歩となる可能性がある。気候変動問題に比べて生物多様性は、事業との直接的な関連性の評価や具体的な対応策の策定が難しいとされてきたが、TNFDのような国際的なフレームワークが登場したことにより、企業が自然関連のリスクと機会を体系的に評価し、その情報を開示するための具体的な指針が示された。リクルートHDのこの分野での先駆的な取り組みは、他の人材サービス企業にとっても重要な参考事例となるであろう。

第7章:環境スコアのベンチマーキング

第1節:パーソルホールディングスの外部環境評価

パーソルHDは、複数の主要な外部評価機関から環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する評価を受けており、これらのスコアは同社のサステナビリティへの取り組み状況を客観的に示す指標となる。

MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)ESGレーティングにおいては、2024年に初めて最高評価である「AAA」を取得した 39。MSCI ESGレーティングは、企業のESGリスク管理能力を業界内で相対的に評価するものであり、「AAA」評価はパーソルHDが同業他社と比較して優れたESG経営を実践していることを示唆している。

CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)が実施する気候変動に関する情報開示評価では、2024年版のレポート(2023年の実績を評価対象)において「B」評価を取得した 39。CDPの評価スケールにおいて「B」評価は、気候変動に関する課題を認識し、それに対応するための管理体制を構築・運用している「マネジメントレベル」に位置づけられ、8段階評価(A, A-, B, B-, C, C-, D, D-)の中で3番目に高い評価区分である。

ISS ESG(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ ESG)によるコーポレートレーティングにおいては、初めて「Prime」ステータスを獲得した 39。「Prime」ステータスは、各業界においてESGへの取り組みが特に優れていると評価された企業に対して付与されるものであり、パーソルHDが業界内で高い水準にあることを示している。

Sustainalytics(サステイナリティクス)によるESGリスクレーティングでは、パーソルHDは総合スコア13.2と評価され、「低リスク」のカテゴリーに分類されている。同社が属する業界グループ(商業サービス)内での順位は、評価対象となった398社中87位であった。リスク管理能力(マネジメント)に関する評価は「平均的(Average)」とされている 36

これらの外部評価を総合的に見ると、パーソルHDはMSCIの「AAA」評価やISS ESGの「Prime」ステータスといった総合的なESG評価において最高レベルの格付けを獲得しており、特に人的資本やコーポレートガバナンスといった側面で高い評価を得ている可能性が考えられる(実際に、5253の資料では、人的資本やコーポレートガバナンスに関する内容の拡充が報告されている)。一方で、気候変動に特化した詳細な評価であるCDP気候変動スコアが「B」評価である点は、この分野における取り組みや情報開示において、さらなる向上の余地が存在することを示唆している。「B」評価は一定の管理体制が構築されていることを示すものの、リーダーシップレベル(A、A-)にはまだ到達していないことを意味する。具体的には、GHG削減目標の野心度(特にScope3排出量への対応)、サプライチェーン全体でのエンゲージメントの深化、気候関連の機会を捉えた事業展開の具体性などが、今後の評価向上に向けた重要なポイントとなり得る。

また、Sustainalyticsの評価において、リスク管理(マネジメント)が「平均的」とされている点は、MSCIの「AAA」評価とはやや異なるニュアンスを示しており、評価機関ごとに異なる評価軸や重点項目の差異を考慮する必要がある。ESG評価機関はそれぞれ独自の評価メソドロジーと重点分野を有しているため、例えばSustainalyticsは事業倫理や人権問題といった特定のイシューに対してより強い重みづけを行うことがある。企業にとっては、複数の評価機関からのフィードバックを総合的に分析し、自社の強みと弱みを多角的に把握した上で、改善に向けた戦略を策定することが重要となる。

第2節:競合企業の環境スコア比較と業界内での位置づけ

パーソルHDの環境パフォーマンスを業界内でより明確に位置づけるため、主要な競合他社が取得している環境関連スコアと比較分析を行う。

アデコグループは、SustainalyticsによるESGリスクレーティングにおいて7.0という極めて低いスコア(リスクが低いほどスコアも低い)を獲得しており、「無視できるリスク(Negligible Risk)」と評価されている。これは、同社が属する商業サービス業界グループ398社中3位という非常に高い順位であり、リスク管理能力(マネジメント)についても「強力(Strong)」と評価されている 36。CDP気候変動スコアに関しては、過去に開示実績があり(2015年の開示スコアは86点、パフォーマンス評価はDバンド 15、2021年 43 および2023年 44 にもCDPへ提出)、SBTiに整合した目標設定やカーボンニュートラルへのコミットメントから、高い水準の評価を得ていることが推測されるが、直近の具体的なスコアは提供資料からは確認できなかった。KnowESGのサイトによれば、MSCI ESGレーティングは10.1とされているが 45、これはMSCI自身の公式発表ではないため参考情報となる。

リクルートHDは、複数の主要なESG評価機関から極めて高い評価を得ている。MSCI ESGレーティングでは、2024年にパーソルHDと同様に最高評価の「AAA」を取得している 18。CDP気候変動評価においては、2023年の実績に基づき「Aリスト」企業に選定されており、これは気候変動対策におけるリーダーシップを示す最高レベルの評価である 18。また、S&PグローバルESGスコアでは、2023年11月5日時点で63点を獲得しており、これは同業界の平均スコア35点を大幅に上回る数値である 46。ISS ESGコーポレートレーティングにおいても「Prime」ステータスを獲得しており 18、DitchCarbonによる企業評価スコアでは47点を取得し、これは業界内で上位98%に位置すると評価されている 16

パソナグループのCDP気候変動スコアやMSCI ESGレーティングに関する直接的な情報は、提供された資料の中では見当たらなかった。ただし、他社のCDP評価状況として、例えばIRISO電子工業株式会社が2024年の気候変動レポートで「B」評価を取得した事例 47 や、不二製油グループ本社株式会社が気候変動、水セキュリティ、フォレストの3分野全てで「A」評価(トリプルA)を獲得した事例 48 などは、CDP評価の多様な結果を示す参考情報となる。MSCI ESGレーティングについても、MSCIの公式サイト 50 やパソナグループのCSR報告書 51 を直接確認する必要がある。

Sustainalyticsが提供する業界比較データに目を向けると、アデコグループ(7.0、無視できるリスク)、コーン・フェリー(7.9、無視できるリスク)、トライネットグループ(10.3、低リスク)、ロバート・ハーフ(10.7、低リスク)といった企業群に対し、パーソルHDは13.2(低リスク)と評価されている 36

これらの比較から、リクルートHDはMSCI、CDP、S&Pグローバルといった複数の主要なESG評価機関から極めて高い評価を一貫して得ており、人材サービス業界における環境パフォーマンスのトップランナーと見なすことができる。アデコグループもSustainalyticsの評価では非常に高い水準にある。パーソルHDのSustainalyticsスコア(13.2)は「低リスク」の範囲内であり、良好な評価ではあるものの、アデコグループ(7.0)やコーン・フェリー(7.9)といった業界トップクラスの企業と比較すると、さらなる改善の余地があることを示唆している。特に、Sustainalyticsによるリスク管理(マネジメント)の評価が「平均的」である点が、これらのトップ評価企業とのスコア差に繋がっている可能性がある。これは、気候変動リスク管理策の具体性や網羅性、サプライチェーンにおける環境管理の深度、あるいは環境関連の機会創出への取り組みの積極性といった側面で、改善の余地があることを示しているのかもしれない。企業は、これらの外部評価を多角的に分析し、自社の強みと弱みを客観的に把握した上で、継続的な改善努力を重ねていくことが求められる。

第4部:課題と提言

第8章:パーソルホールディングスが直面する現在の環境課題

第1節:各重点分野(気候変動、資源循環、生物多様性)における課題

パーソルHDは環境経営において一定の進捗を見せているものの、各重点分野においてさらなる取り組みが求められる課題も散見される。

気候変動対応に関しては、最も大きな課題の一つがScope3排出量への対応である。前述の通り、パーソルHDのGHG総排出量に占めるScope3の割合は極めて大きく(2024年3月期実績で約89.6%)9、この削減なくして真のカーボンニュートラル達成は困難である。2025年度にScope3削減目標を設定する計画は示されているものの 3、その目標の野心度、およびサプライヤーエンゲージメント(特に排出量の大きい「購入した製品・サービス」カテゴリへの対応)や従業員の行動変容(「従業員の通勤」カテゴリへの対応)を促す具体的な実行計画の早期策定と開示が急務である。また、再生可能エネルギー導入率についても、100%達成目標に対し現状は約15.5%(2024年3月期)に留まっており 5、導入ペースの加速が求められる。

資源循環の分野では、事業規模の拡大に伴い廃棄物総量が増加しているという課題に直面している 8。コピー用紙使用量の削減など個別の成果は見られるものの、事業成長と環境負荷のデカップリング(分離)を実現するには至っていない。特に産業廃棄物の排出量が大きく、その削減とリサイクル率の向上が重要なテーマとなる。廃棄物排出量の原単位(例:売上高あたり)での管理強化と目標設定が不可欠である。また、グリーン購入率が30%台前半で推移しており 8、環境配慮型製品・サービスの調達拡大に向けた取り組み強化も課題と言える。水使用量に関しては、現状の集計範囲が主要オフィスに限定されているため 8、グループ全体の水フットプリントの正確な把握と、必要に応じた節水目標の設定が今後の検討事項となる。

生物多様性の保全に関しては、他の二分野と比較して取り組みの具体性が低い段階にある。環境経営の基本方針として「自然資本の保全」は掲げられているものの 2、生物多様性保全に特化した具体的な方針、定量的な目標、行動計画、および実績に関する情報は現時点の公開資料からは限定的である 10。TNFDフレームワークなどを活用した自然関連リスク・機会の本格的な評価と、その結果を踏まえた事業戦略への統合、サプライチェーンにおける生物多様性への配慮(例:FSC認証紙の利用拡大など)の推進が求められる。

これらの課題を総じて見ると、パーソルHDは各分野で目標設定を行い、一定の実績を上げているものの、リクルートHDのような業界トップランナーと比較した場合、目標の野心度(例:Scope3を含むカーボンニュートラル目標の有無)、達成スピード(例:再生可能エネルギー100%達成状況)、そして取り組みの網羅性(例:生物多様性戦略の具体性)において、依然としてギャップが存在すると言える。これらのギャップをいかにして埋めていくかが、今後のESG評価の向上と持続的な成長を実現する上での鍵となる。さらに重要なのは、これらの環境課題への対応を、単なるコスト要因やリスク管理の一環として捉えるだけでなく、GX支援サービスのような新たな事業機会の創出や、環境意識の高い優秀な人材の獲得・リテンションにおける競争優位性の源泉となりうるという認識を、グループ全体でより一層深め、戦略的に活用していくことである。

第2節:環境データ管理と開示の高度化に関する課題

パーソルHDが環境経営を一層推進し、ステークホルダーからの信頼を高めていくためには、環境データの管理体制と情報開示の質を継続的に高度化していくことが不可欠である。

まず、環境データの収集・管理体制における課題として、データの網羅性と統一性の向上が挙げられる。特に資源循環関連のデータ(廃棄物排出量、水使用量、グリーン購入率など)については、8の注釈にも見られるように、集計範囲が主要オフィスや特定の子会社、あるいは本社一括購入の間接材に限定されているケースがあり、グループ全体の環境パフォーマンスを正確に把握するには限界がある。各拠点・各グループ会社を対象とした統一的なデータ収集基準とプロセスの確立、および算定範囲の段階的な拡大が求められる。また、Scope3排出量算定に関しても、現在算定対象となっているカテゴリのデータ精度向上に加え、未算定カテゴリの評価や、サプライヤーからより正確な一次データを取得するための体制強化が必要となる。これらのデータ収集・管理体制の強化は、目標設定の精度向上、進捗管理の確実性、そして外部評価機関や投資家からの信頼性向上に不可欠な基盤となる。

情報開示の面では、生物多様性に関する定性的および定量的な情報の開示拡充が喫緊の課題である。現状では具体的な取り組みや目標に関する情報が乏しいため 10、TNFDの提言などを参考に、自社の事業活動と自然資本との関連性(依存と影響)、リスクと機会を評価し、その結果と対応策を積極的に開示していく必要がある。TCFD提言への対応は進んでいるが 3、TNFDのような新たな国際的開示フレームワークへの対応準備も視野に入れるべきである。

さらに、環境パフォーマンスと財務インパクトとの関連性についての分析を深め、その結果をより具体的に開示することも重要である。例えば、省エネルギー投資によるコスト削減効果、再生可能エネルギー導入に伴う初期投資と長期的な電力価格変動リスクの低減効果、あるいは気候関連の新規事業による収益貢献などを定量的に示すことで、環境への取り組みが企業価値向上に繋がることを具体的に示すことができる。

このような環境情報開示の高度化は、単に外部向けの報告書を作成するという作業に留まらず、社内における環境意識の向上や、部門横断的な連携を促進する触媒としての役割も果たす。詳細なデータ収集、目標に対する進捗の分析、そして開示資料の作成といった一連のプロセスには、経営層から現場担当者まで、多くの部門と従業員の関与が必要となる。このプロセスを通じて、各部門が自部門の事業活動と環境負荷・環境貢献との関連性を深く認識し、全社的な環境目標の達成に向けて当事者意識を持って取り組む企業文化を醸成することが期待される。

第9章:持続可能な成長に向けた戦略的提言

パーソルHDが環境課題への対応を一層強化し、持続可能な成長を実現するため、以下の戦略的提言を行う。

第1節:気候変動レジリエンス強化策

パーソルHDは、気候変動に対するレジリエンス(強靭性)を強化するため、まずScope3排出量削減目標をSBTi(Science Based Targets initiative)の基準に準拠する形で早期に設定し、公表すべきである。この目標達成に向けては、特に排出量の大きい「購入した製品・サービス」カテゴリに対応するため、主要サプライヤーとのエンゲージメントプログラムを具体的に展開することが求められる。これには、サプライヤーに対するGHG排出量削減目標の設定支援、省エネルギー診断の共同実施、再生可能エネルギー導入に関する情報提供や共同購入の検討などが含まれる。

次に、再生可能エネルギー導入に関しては、現状の導入率(2024年3月期で約15.5%)から100%達成目標への道のりを具体的に示すロードマップを策定し、その進捗を定期的に開示することが重要である。電力会社からの再エネプラン購入に加え、コーポレートPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)による長期安定的な再エネ調達や、自社拠点への太陽光発電設備設置といった自家発電の導入など、多様な調達手段を積極的に検討し、目標達成を加速させるべきである。

さらに、気候関連の事業機会として既に展開しているGX(グリーン・トランスフォーメーション)支援サービスや「グリーンエンジニア」の育成・派遣事業を一層強化することも提言する。これには、脱炭素化や環境規制対応に関する専門知識を持つ人材育成プログラムの拡充、変化する顧客企業のニーズに迅速に対応するための新サービス開発(例:中小企業向け簡易GHG算定ツール提供、サステナビリティ報告支援など)の推進が含まれる。これにより、社会全体のカーボンニュートラル移行に貢献しつつ、新たな収益源を確立することが期待できる。

第2節:サーキュラーエコノミーへの移行促進策

サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を促進するため、パーソルHDはまず、廃棄物削減に関する具体的な原単位目標(例:売上高あたり廃棄物総排出量、従業員一人あたり廃棄物排出量など)を設定し、事業規模の拡大と環境負荷の増加を切り離す「デカップリング」の実現を明確に目指すべきである。

その上で、3R(リデュース:発生抑制、リユース:再使用、リサイクル:再資源化)の取り組みをグループ全体で徹底し、特に現状で排出量の大きい産業廃棄物の発生抑制策(例:調達段階での過剰包装の謝絶、オフィス什器の長寿命化設計の採用など)と、分別徹底によるリサイクル率の向上に注力する必要がある。また、人材サービス業で大量に使用されるIT機器(PC、サーバー、スマートフォンなど)に関しては、リース契約の活用、修理・再利用体制の構築、適切なリサイクル業者との連携強化などを通じて、IT機器のリユース・リサイクルプログラムを導入または強化することを検討すべきである。

さらに、グリーン購入方針を質・量ともに強化し、調達基準の中に環境・社会に関する具体的な要件(例:リサイクル材使用率、エネルギー効率、化学物質含有規制、サプライヤーの人権配慮など)をより明確に組み込むことが求められる。そして、サプライヤーと積極的に連携し、環境配慮型製品・サービスの調達比率を大幅に引き上げる具体的な数値目標(例えば、グリーン購入率50%以上など)を設定し、その達成に向けて取り組むべきである。

第3節:生物多様性保全への貢献度向上策

生物多様性保全への貢献度を高めるため、パーソルHDはまず、グループ全体としての生物多様性保全に関する明確な方針、および具体的な中長期目標(例えば、自社の事業活動が自然に与える負の影響を実質ゼロ以下にする「ネイチャーポジティブ」への貢献など)を策定し、それをステークホルダーに対して公表することが第一歩となる。

次に、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するLEAPアプローチ(Locate:自然との接点の発見、Evaluate:依存度と影響度の診断、Assess:リスクと機会の評価、Prepare:対応策の準備と報告)に基づき、自社の事業活動およびバリューチェーン全体における自然への依存度・影響度、そしてそれに伴うリスクと機会を詳細に評価する必要がある。この評価結果に基づき、特に重要と特定された項目については、具体的な対応策を策定し、実行に移すべきである。

具体的な取り組みとしては、オフィス緑化における在来種の積極的な活用や生態系配慮型デザインの導入、調達方針(特に紙製品、食品ケータリング、その他オフィス備品など)への生物多様性配慮基準の導入(例:持続可能な森林認証材の優先利用、生物多様性に配慮した農法で生産された食材の選択など)、そして従業員向けの生物多様性に関する教育・啓発プログラムの実施などが考えられる。

また、既に設立されている「ジョブクリエーションファンド」に関しては、その投資基準の中に、投資対象となるスタートアップ企業が生物多様性保全へどの程度貢献しうるかという評価軸を明確に組み込み、投資実行後も投資先企業と連携してその環境パフォーマンス向上を支援していく体制を構築することが望ましい。

第4節:環境経営の統合とステークホルダーエンゲージメント強化策

これらの環境戦略を実効性あるものとし、企業価値向上に繋げるためには、環境経営を事業運営全体に深く統合し、ステークホルダーとのエンゲージメントを一層強化することが不可欠である。

まず、環境目標(GHG排出量削減、再エネ導入率、廃棄物削減率、グリーン購入率など)の達成度を、役員報酬の業績連動部分に組み込む範囲を拡大することや、管理職および一般従業員の評価制度の中に環境への貢献度を反映させる要素を導入することを検討すべきである。これにより、組織全体として環境目標達成へのインセンティブを高めることができる。

環境データの収集・管理システムについては、グループ全体での網羅性とデータ精度を向上させるための投資を行い、収集したデータに対する第三者保証の対象範囲を段階的に拡大していくことが求められる。これにより、情報開示の信頼性と透明性を高めることができる。

統合報告書やサステナビリティレポートといった情報開示媒体においては、環境パフォーマンス(目標、実績、取り組み内容)と事業戦略、さらには財務成果との関連性を、より具体的かつ定量的に示すことが重要である。例えば、環境投資がもたらすコスト削減効果やリスク低減効果、環境配慮型サービスが生み出す収益などを分析し、開示することで、環境への取り組みが企業価値創造に貢献することを明確に訴求すべきである。これにより、投資家や顧客との建設的な対話を深化させることが期待できる。

最後に、従業員一人ひとりが環境課題を「自分事」として捉え、日々の業務遂行や私生活において環境配慮行動を自律的に実践できるような企業文化を醸成するための啓発活動(研修、ワークショップ、社内キャンペーンなど)や、環境貢献活動を奨励するインセンティブ制度(表彰制度、環境マイル制度など)を強化することも有効である。

結論

総括と将来展望

本報告書では、パーソルホールディングス株式会社の環境戦略、特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の三分野における取り組みとパフォーマンスについて、公開情報を基に包括的な分析を行った。

パーソルHDは、気候変動を重要な経営課題と認識し、TCFD提言への賛同とそれに基づく情報開示、2031年3月期までのScope1・2カーボンニュートラル目標の設定、再生可能エネルギー導入推進、省エネルギー施策の実施など、積極的な対応を進めている。特に、GHG排出量実績に対する第三者保証の取得は、情報開示の信頼性向上に貢献している。資源循環に関しては、ペーパーレス化推進によるコピー用紙使用量の削減といった成果が見られる一方で、事業規模拡大に伴う廃棄物総量の増加という課題も抱えている。水資源管理については、主要オフィスでの使用量把握が行われている。生物多様性保全に関しては、「自然資本の保全」という基本方針は示されているものの、気候変動や資源循環と比較して具体的な戦略や目標、活動実績の開示は限定的であり、今後の取り組み強化が期待される領域である。

外部評価においては、MSCI ESGレーティングで最高評価「AAA」を、ISS ESGコーポレートレーティングで「Prime」ステータスを獲得するなど、総合的なESGパフォーマンスで高い評価を得ている。一方で、CDP気候変動スコアは「B」評価であり、気候変動対応に特化した側面では更なる向上の余地があることを示唆している。SustainalyticsのESGリスク評価では「低リスク」とされているものの、業界トップクラスの競合他社と比較すると、改善の余地が残されている。

パーソルHDが直面する主要な環境課題としては、Scope3排出量削減目標の早期設定とサプライチェーン全体での実行、再生可能エネルギー導入率の一層の向上、事業成長と廃棄物増加のデカップリング、生物多様性保全戦略の具体化と推進、そしてこれらの取り組みを支える環境データ管理と開示の高度化が挙げられる。

本報告書で提示した戦略的提言、すなわち気候変動レジリエンスの強化、サーキュラーエコノミーへの移行促進、生物多様性保全への貢献度向上、そして環境経営の統合とステークホルダーエンゲージメントの強化策を着実に実行していくことは、パーソルHDがこれらの課題を克服し、持続可能な成長を達成する上で不可欠である。これらの提言は、単に環境リスクを低減するだけでなく、GX支援サービスのような新たな事業機会の創出、環境意識の高い人材の獲得と維持、企業ブランド価値の向上、そして最終的には財務パフォーマンスの向上にも繋がりうる。

パーソルHDが掲げるグループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現は、人々が安心して働き、豊かに暮らせる持続可能な社会が基盤にあってこそ可能となる。環境課題への真摯な取り組みを通じて、社会全体のサステナビリティ向上に貢献することは、このビジョンの具現化に向けた重要な道筋であり、長期的な視点での企業価値創造に不可欠な要素である。今後、パーソルHDが本報告書で指摘された課題に積極的に取り組み、提言された戦略を実行に移すことで、人材サービス業界における環境先進企業としての地位を確立し、すべてのステークホルダーから一層の信頼と評価を得ることを期待する。

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  63. RT Financial Group「Best Practices for Breaking into New Industries With Staffing」 https://rtfinancialgroup.com/staffing-firm-expanding-new-industry/

  64. ExxonMobil「Caring for land and biodiversity」 https://corporate.exxonmobil.com/sustainability-and-reports/sustainability/pursuing-environmental-excellence/caring-for-land-and-biodiversity

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  66. 内閣官房「経済・社会の重要課題と「新しい資本主義」の実現に向けた取組」 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/economiccirculation/pdf/shisaku.pdf

  67. 環境省「環境省ローカルSDGs 地域循環共生圏づくりプラットフォーム 環境で地域を元気にする地域循環共生圏のフロントランナー」 https://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/frontrunner/

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  69. Hello Green「生物多様性に配慮した企業事例8選!取り組むメリットや推進ポイントも」 https://hello-green.jp/column/biodiversity-co/

  70. パーソルホールディングス株式会社「サステナビリティ:Diversity, Equity & Inclusion」 https://www.persol-group.co.jp/sustainability/social/diversity/

  71. 農林中央金庫「気候変動と自然資本・生物多様性」 https://www.nochubank.or.jp/sustainability/backnumber/pdf/2024/climate_nature.pdf

  72. Staffing Industry Analysts「Persol invests in Better Place to boost corporate pension solutions」(再掲 12と同一) https://www.staffingindustry.com/news/global-daily-news/persol-invests-in-better-place-to-boost-corporate-pension-solutions

  73. PERSOL HOLDINGS CO., LTD.「Sustainability: Environmental Management」(再掲 2と同一) https://www.persol-group.co.jp/en/sustainability/environment/management/

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  75. Recruit Holdings Co., Ltd.「Sustainability」 https://recruit-holdings.com/en/sustainability/

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  78. Fuji Oil Holdings Inc.「Integrated Report 2022」 https://www.fujioil.co.jp/pdf/en/sustainability/download/2022.pdf

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引用文献

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  5. 気候変動への対応 | 環境 | サステナビリティ | PERSOL(パーソル ..., 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.persol-group.co.jp/sustainability/environment/climatechange/

  6. 汚染防止と資源循環 | 環境 | サステナビリティ | PERSOL(パーソル ..., 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.persol-group.co.jp/sustainability/environment/resource/

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  26. 2024 ESG Report - TriNet, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.trinet.com/about-us/esg/2024-report

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  28. Navigating Staffing Needs Strategies for Optimal Resource Allocation - Digital Glyde, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.digitalglyde.com/navigating-staffing-needs-strategies-for-optimal-resource-allocation/

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  30. ESG - Adecco, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.adecco.com/en-gb/about-us/esg

  31. ネイチャーポジティブ経営推進プラットフォーム|企業の取組事例|環境省, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.biodic.go.jp/biodiversity/private_participation/business/kigyou/

  32. 生物多様性の保全に向けて企業が取り組めることは?必要な理由や事例を紹介 | HELLO!GREEN, 5月 7, 2025にアクセス、 https://hello-green.jp/column/biodiversity-co/

  33. Nature and Biodiversity Services | EY - Global, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.ey.com/en_gl/services/assurance/nature-biodiversity-services

  34. Protecting biodiversity and with nature-positive business strategies | Deloitte Insights, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www2.deloitte.com/us/en/insights/environmental-social-governance/value-of-protecting-biodiversity-for-a-nature-positive-future.html

  35. Assessing nature-related risks and opportunities: case studies from Global Canopy's 2023 TNFD piloting programme, 5月 7, 2025にアクセス、 https://globalcanopy.org/insights/news/assessing-nature-related-risks-and-opportunities-case-studies-from-global-canopys-2023-tnfd-piloting-programme/

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  44. Adecco Group AG - Climate Change 2023, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.adeccogroup.com/-/media/project/Adecco%20Group/adeccogroup/pdf-files/2023-august/adecco-group-ag_cdp-climate-change-2023_submission.pdf

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  48. Sustainability Report, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.fujioil.co.jp/pdf/en/sustainability/download/2022.pdf

  49. (Reference) Topics for the second half of FY2020, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.fujioilholdings.com/en/pdf/ir/library/hosoku/210513.pdf

  50. Sustainable Investing: ESG Ratings - MSCI, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.msci.com/sustainable-investing/esg-ratings

  51. PASONA GROUP 2024, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.pasonagroup.co.jp/Portals/0/resources/koken/pdf/csr2024_en.pdf

  52. パーソルキャリア、組織における 化的多様性への取り組みを評価する指標 「Cultural Diversity Index」において本年度最高評価の「Gold」認証を取得 ~サステナビリティに関するトップコミットメントが「経営幹部メッセージ」部門で2024年度Good Practice(好事例)として認定, 5月 7, 2025にアクセス、 https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/corporate/2024/20241025_1626

  53. パーソルグループ統合報告書2024第4回日経統合報告書アワード 優秀賞を初受賞 - PR TIMES, 5月 7, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000991.000016451.html

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