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スルガ銀行の環境パフォーマンスに関する包括的分析レポート

更新日:2025年4月30日
業種:金融・保険業(7777)

序論

目的と背景

本報告書は、スルガ銀行株式会社(以下、スルガ銀行)の環境分野におけるパフォーマンスを、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の三つの主要領域に焦点を当てて包括的に分析することを目的とする。金融機関に対する環境・社会・ガバナンス(ESG)への要請が高まる中、特に地域金融機関であるスルガ銀行の取り組み状況、リスクと機会、業界内での位置づけを明確にし、環境スコアリング評価及び将来戦略策定に資する学術的レベルの詳細情報を提供することを目指す。金融セクターは、投融資活動を通じて経済全体の環境負荷に大きな影響を与える可能性があり、その責任と役割に対する社会的な期待は増大している。

報告書の構成

本報告書は、第1部でスルガ銀行の具体的な環境への取り組みを詳述し、第2部で環境要因に伴う潜在的なリスクとビジネス機会を分析する。続く第3部では、国内金融業界における先進事例を紹介し、主要な競合他社との比較分析と環境スコアによるベンチマーキングを行う。最後に第4部で、スルガ銀行が直面する課題を評価し、将来に向けた提言を述べる。全体を通して、データや比較は物語形式で記述し、表や箇条書きは使用しない構成とする。

第1部 スルガ銀行の環境への取り組み

概要

スルガ銀行は、持続可能な社会の実現に向けた経営、すなわちサステナビリティ経営を推進する一環として、環境問題への対応を進めている。地域社会の持続的な発展に貢献することを目指し、環境負荷の低減や自然資本の保全に向けた活動を展開している。本章では、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野における具体的な施策、プログラム、目標について、公開されている情報に基づき詳細に記述する。

1.1 気候変動への対応

1.1.1 温室効果ガス排出削減策

スルガ銀行は、自社の事業活動に伴う環境負荷を低減するため、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組んでいる。特に、事業者として直接排出するScope 1と、購入したエネルギーの使用に伴う間接排出であるScope 2の削減に注力していることが確認される。具体的な施策としては、再生可能エネルギーの活用を目指し、本店ANNEXビルへ太陽光発電設備を設置している点が挙げられる。また、エネルギー効率の改善策として、営業用車両への電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の導入を推進しており、行内設備の照明についてもLEDへの切り替えを進めている。さらに、省エネルギーの取り組みとして、夏季の軽装を推奨するクールビズや冬季のウォームビズを実施し、空調エネルギーの抑制を図っている。業務プロセスの見直しによる排出削減も進められており、ウェブ会議システムの活用による移動の削減や、ペーパーレス化の推進による紙資源使用量の削減が行われている。

目標設定に関しては、スルガ銀行は2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明した。このTCFDの枠組みに基づき、自社のScope 1およびScope 2排出量について、具体的な削減目標を設定している。目標値は、2030年度までに2019年度比で46.2%削減するというものであり、これは日本政府が掲げる同期間の削減目標(46%削減)に沿った、意欲的な水準であると言える。この目標達成に向け、前述の各種施策を着実に実行していくことが期待される。

しかしながら、スルガ銀行がScope 1およびScope 2の削減目標を設定している一方で、金融機関の気候変動への影響を評価する上で極めて重要とされるScope 3排出量、特に投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)に関する具体的な目標設定や、詳細な算定・開示に関する情報は、現時点での公開資料からは確認することができない。TCFD提言への賛同 や、後述する環境配慮型融資の提供 は行っているものの、投融資ポートフォリオ全体を通じた気候変動リスク・機会を評価し管理する上で不可欠なScope 3への取り組みが明確に示されていない点は、注目すべき状況である。金融業界における先進的な取り組みでは、Scope 3、特にファイナンスド・エミッションの目標設定やSBT認定取得が進んでいる状況が見受けられる。Scope 3目標の欠如は、スルガ銀行の気候変動リスク管理、とりわけ移行リスクへの対応が、投融資ポートフォリオという金融機関の本業部分において、業界の先進的な水準と比較して遅れている可能性を示唆している。これは、投資家やESG評価機関からの評価 や、将来的な規制強化への対応において、不利な要因となる可能性がある。また、環境配慮型融資 というビジネス機会を最大限に活用する上でも、ポートフォリオ全体の排出量を把握し、戦略的に管理することが重要となるため、Scope 3への取り組みの具体化が、スルガ銀行の気候変動戦略の信頼性と実効性を高める上で急務であると考えられる。

1.1.2 再生可能エネルギー利用と環境配慮型融資

再生可能エネルギーの利用に関しては、前述の通り、本店ANNEXビルへの太陽光発電パネルの設置が実施されている。これにより、一部の自社施設において再生可能エネルギーの利用が進められている。ただし、スルガ銀行全体の事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギーの導入比率や、RE100(事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブ)のような国際的な枠組みへの加盟に関する情報は、現時点では確認されていない。

金融面からの気候変動対策として、スルガ銀行は環境問題の解決に貢献する金融商品の提供に力を入れている。具体的には、省エネルギー性能の高い住宅の普及を促進するため、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や認定低炭素住宅を取得する顧客向けの金利優遇ローンを提供している。また、再生可能エネルギー導入支援として、個人顧客向けの太陽光発電システム設置のためのソーラーローンも用意されている。事業者向けには、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献度合いに応じて金利を設定するローンも提供しており、環境負荷低減に資する事業活動を金融面から後押ししている。これらの商品は、顧客の環境意識向上を促すとともに、低炭素社会への移行に貢献する取り組みとして位置づけられる。

これらの環境配慮型ローン は提供されているものの、これらの商品がスルガ銀行全体の融資ポートフォリオの中でどの程度の割合を占めているのか、また、これらの融資によって具体的にどの程度の環境改善効果(例えば、融資実行による二酸化炭素排出削減貢献量など)がもたらされているのかに関する定量的な情報開示は、現在のところ十分ではないように見受けられる。さらに、これらの金融商品が、TCFD提言に基づく気候変動リスク・機会分析 や、後述する生物多様性保全への配慮 と、どの程度戦略的に連携して推進されているのかが不明確である。TCFDへの賛同 や生物多様性保全方針 を掲げる以上、それらの目標達成に向けて金融商品がどのように貢献するのか、また、気候変動リスク管理(例えば、高排出セクターへの融資方針の見直し)と機会創出(例えば、グリーンローン市場でのシェア拡大)がどのようにバランスされているのかを示すことが重要となる。定量的な情報や戦略的な連携に関する開示が不足している場合、これらの金融商品が個別の商品ラインナップに留まっているとの印象を与えかねず、銀行全体の環境戦略におけるインパクトや取り組みの本気度を、投資家やESG評価機関 などの外部ステークホルダーに対して十分に示せない可能性がある。したがって、環境配慮型融資の規模、その環境改善効果、そして銀行全体の環境戦略(リスク管理体制、目標達成への貢献度など)との関連性をより明確に開示していくことが、取り組みの意義と実効性を高める上で必要であると考えられる。

1.2 資源循環の推進

1.2.1 廃棄物削減とリサイクルの取り組み

スルガ銀行では、事業活動における資源の有効活用と廃棄物の削減を目的とした様々な施策を実施している。行内においては、ゴミの分別を徹底し、リサイクル可能な資源の回収を推進している。また、紙資源の使用量削減にも積極的に取り組んでおり、取引明細書などの顧客向け書類のウェブ化や、行内文書の電子化を進めている。さらに、消耗品の削減策として、クリアファイルや封筒といった事務用品のリユース(再利用)も促進している。これらの活動は、日々の業務の中で資源消費を抑制し、廃棄物の発生を減らすための基本的な取り組みとして重要である。

ただし、現在公開されている情報からは、これらの資源循環に関する取り組み は、多くの企業で一般的に行われている基本的な活動が中心であるように見受けられる。例えば、年間の廃棄物削減量やリサイクル率といった具体的な成果を示す定量的なデータや、さらに踏み込んだ目標、例えば廃棄物ゼロ(ゼロ・エミッション)の達成や、製品・サービスのライフサイクル全体で資源効率を高めるサーキュラーエコノミー原則の導入といった、より野心的な目標設定に関する情報は確認されていない。業界の先進的な事例 では、サプライチェーン全体を巻き込んだ資源循環戦略の構築や、金融商品・サービス自体にサーキュラーエコノミーの考え方を組み込むといった動きも見られる。基本的な取り組みの継続は重要であるが、定量的な成果の開示やより高い目標の設定がなければ、環境パフォーマンスの向上度合いを客観的に評価したり、他社との比較 を行ったりすることが困難になる。また、取り組みのインパクトを外部に効果的に訴求することも難しくなる可能性がある。したがって、資源循環に関する取り組みの成果を定量的に把握し、開示すること、そして可能であれば、より挑戦的な目標を設定し、その達成に向けた計画を示すことが、活動の実効性を高め、外部からの評価を向上させる上で有効であると考えられる。

1.2.2 水資源保全と持続可能な調達

水資源の保全に関しては、スルガ銀行では行内での節水を呼びかけるポスターを掲示するなど、主に従業員の意識啓発を中心とした活動を行っていることが示されている。しかしながら、事業活動における具体的な水の使用量(取水量)や排水量に関するデータ、あるいはそれらの削減に向けた具体的な目標値などは、公開情報からは確認されていない。

また、持続可能な調達、すなわち、環境負荷や社会的な影響に配慮した物品やサービスの調達に関する方針や具体的な取り組みについても、提供された資料からは確認することができない。サプライヤー選定における環境・社会基準の導入や、グリーン購入の推進状況などに関する情報が不足している。

水資源保全の取り組みが従業員の意識啓発レベル に留まっている点、特に、水ストレス(水需給の逼迫度)が高い地域での事業展開の有無や、サプライチェーン全体における水リスクの評価に関する言及がない点は、今後の課題となり得る。金融機関においても、自社の事業運営だけでなく、投融資先の事業活動における水リスクへの関心が高まっている。同様に、環境や社会に配慮したサプライヤーを選定するための基準などを含む「持続可能な調達方針」が策定され、開示されている様子が見られない点も指摘できる。水リスク評価の欠如は、将来的に顕在化する可能性のある物理的リスク(渇水による事業継続への影響など)や規制リスク(水質規制強化など)を見落とす可能性を生む。また、持続可能な調達方針がないことは、サプライチェーン全体を通じた環境負荷の低減や、人権への配慮といった重要なESG課題への対応が、組織として十分に体系化されていないとの印象を与えかねない。したがって、自社の事業活動および投融資活動に関連する水リスクを評価すること、そして、持続可能な調達に関する明確な方針を策定し、それを開示することが、環境経営をさらに深化させる上で重要な要素となると考えられる。

1.3 生物多様性の保全

1.3.1 事業活動における生物多様性への配慮

スルガ銀行は、生物多様性の重要性を認識し、その保全に向けた取り組みを開始している。特筆すべき点として、2022年12月に「生物多様性保全に関する基本方針」を制定したことが挙げられる。この方針において、銀行の事業活動が、生態系サービスという生物多様性の恵みに依存していると同時に、それに影響を与えていることを認識し、生物多様性の保全と持続可能な利用に努める姿勢を明確に示している。

この基本方針に基づき、金融商品においても生物多様性保全に配慮したローン商品の推進を掲げている。しかしながら、具体的にどのようなローン商品がこれに該当するのか、また、どのような基準や評価プロセスを用いて「生物多様性への配慮」を判断しているのかについての詳細や、これまでの実績に関する情報は、現在の公開情報からは不明確である。先に述べた環境配慮型ローン と、この生物多様性配慮ローンとの具体的な関連性についても、明確な説明はなされていない。

生物多様性保全に関する基本方針が策定されたこと は重要な一歩であるが、その方針が、銀行のコア業務である具体的な融資判断プロセスやリスク管理体制へどのように組み込まれているかを示す情報が不足している。例えば、生物多様性への負の影響が大きいと考えられる特定のセクター(例:森林伐採、大規模開発)への投融資に関する基準(セクターポリシー)の設定状況や、近年注目されている自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のフレームワークの検討・導入状況などに関する具体的な情報開示は見られない。金融商品における配慮 についても、その具体性や評価基準が欠けているため、実効性を評価することが難しい。国際的には、TNFDフレームワークの提言公表など、金融機関に対して自然資本や生物多様性に関連するリスクと機会を評価し、開示するよう求める動きが加速している。先進的な金融機関 の中には、具体的なセクターポリシーの導入や、自然関連リスクを評価するためのツールの導入を検討・実施している例も見られる。方針の策定と実際の業務プロセスとの間の連携が不明確なままでは、生物多様性保全への取り組みが形式的な宣言に留まってしまうリスクがある。また、TNFD等への対応が遅れた場合、将来的な規制リスクへの対応が困難になったり、ESG投資を重視する投資家からの評価が低下したり する可能性も考えられる。したがって、策定された生物多様性方針を、具体的な投融資基準やリスク管理プロセスへと統合し、その具体的な内容や運用状況を開示していくことが、方針の実効性を確保し、外部からの評価を高める上で不可欠であると言える。

1.3.2 地域社会との連携による保全活動

スルガ銀行は、地域社会の一員として、生物多様性の保全に貢献するための活動にも参加している。具体的な活動事例として、役職員が参加する「富士山麓不伐の森」の間伐材を利用したプランターカバーの作成・寄贈活動が挙げられる。これは、森林資源の有効活用と地域への貢献を目的とした取り組みである。また、地域のNPO法人「ふじさんネットワーク」が主催する環境保全活動への参加や、地域の海岸清掃活動への参加なども実施しており、地域環境の美化や保全に直接的に貢献している。これらの活動に加え、行内においても生物多様性の重要性に関する啓発活動を実施し、従業員の意識向上を図っている。

これらの地域社会と連携した保全活動 は、企業の社会的責任(CSR)を果たす上で意義深いものである。しかしながら、これらの活動が、銀行全体のビジネス戦略や先に述べた生物多様性保全方針 と、どのように戦略的に連携しているのか、また、これらの活動によってどのような具体的なインパクト(例えば、保全活動によって貢献した面積、参加した従業員の延べ人数、活動を通じた地域経済への波及効果など)が生まれているのかについての具体的な記述は、現在のところ限定的である。生物多様性保全方針 の実効性を高める観点からは、社会貢献活動も、単なる個別活動として実施するだけでなく、方針の目標達成や、銀行のコアビジネスとの相乗効果(例えば、地域社会との関係強化を通じた環境関連情報の収集、環境配慮型融資 案件の発掘への繋ぎ込みなど)を意識して計画・実行され、その成果が評価されることが望ましい。活動の戦略的な意義や具体的なインパクトが不明確なままでは、一過性のCSR活動と見なされてしまう可能性があり、企業価値の向上への貢献を十分に示せない恐れがある。したがって、地域における保全活動について、その戦略的な位置づけを明確にし、可能な範囲で定量的・定性的な成果を具体的に示すことで、活動の意義と価値をさらに高めることができると考えられる。

第2部 環境要因に伴うリスクと機会

概要

環境問題、特に気候変動や生物多様性の損失は、金融機関にとって単なる社会貢献のテーマではなく、経営の根幹に関わる重要な課題となっている。これらの環境要因は、金融機関の事業運営や投融資ポートフォリオに対して、リスクと機会の両側面をもたらす。本章では、スルガ銀行が直面する可能性のある環境関連の潜在的なリスクと、それに伴うビジネス機会について、TCFDの提言 で示されている枠組み(移行リスク、物理的リスク、機会)を参考に分析する。

2.1 潜在的リスク分析

2.1.1 規制および市場リスク

スルガ銀行は、気候変動問題に対応するための国内外の規制強化によって、直接的および間接的な影響を受ける可能性がある。例えば、炭素税の導入や排出量取引制度の強化、省エネルギー基準の厳格化、企業に対する環境情報開示義務の拡大などが考えられる。これらの規制強化は、スルガ銀行自身の事業運営コスト(例:エネルギーコスト、コンプライアンスコスト)を増加させる可能性があるだけでなく、投融資先の企業の事業活動にも影響を与え、その結果として信用リスクが増大する可能性も考えられる。

市場リスクとしては、環境問題に対する顧客や投資家の意識の高まりが挙げられる。環境配慮型の商品やサービスへの需要が増加する一方で、環境負荷の高い事業活動を行う企業や、環境問題への対応が不十分と見なされる企業は、市場からの評価が低下し、競争力が損なわれる可能性がある。金融機関としては、このような市場の変化に対応できない場合、顧客離れや投資家からの資金引き揚げに繋がるリスクがある。また、低炭素社会への移行が進む中で、化石燃料関連産業など、従来の炭素集約型産業の資産価値が大幅に減少する「座礁資産化」のリスクも無視できない。スルガ銀行の投融資ポートフォリオにこのような資産が含まれている場合、将来的に大きな損失を被る可能性がある。特に、前述の通り、Scope 3排出量に関する具体的な目標設定や開示が遅れている状況 [Insight 1] は、規制当局や市場参加者からのプレッシャーを増大させ、これらの移行リスクをさらに高める要因となり得る。

スルガ銀行は、TCFD提言に基づき、気候変動が自社の信用ポートフォリオに与える財務的な影響について、シナリオ分析を実施していると言及している。シナリオ分析は、将来起こりうる複数の気候変動シナリオ(例えば、パリ協定の目標達成を前提とした1.5℃シナリオや、対策が不十分な場合の4℃シナリオなど)を設定し、それぞれのシナリオの下で自社の事業や財務状況がどのような影響を受けるかを評価する手法である。しかしながら、スルガ銀行が開示している情報からは、分析に用いた具体的なシナリオの前提条件(対象セクター、時間軸、主要な仮定など)や、分析によって得られた影響額の定量的な評価結果が具体的に示されていない。このため、外部のステークホルダーが、スルガ銀行が認識している気候変動リスクの深刻度や、特に影響を受けやすいと考えられる産業セクターや地域を具体的に評価することは困難な状況にある。

シナリオ分析の実施自体は評価されるべき点であるが、その分析の前提条件や結果に関する定量的な情報の開示が不足していること は、重要な課題である。これにより、スルガ銀行が気候変動に伴う移行リスク、特に投融資ポートフォリオにおける座礁資産リスクを、どの程度具体的に把握し、それに対してどのような対策を講じようとしているのかが、外部からは不透明な状態となっている。TCFD提言 では、気候関連のリスクと機会が組織の財務に与える影響を評価し、開示することが強く推奨されており、シナリオ分析はそのための重要なツールと位置づけられている。定量的な情報開示が伴わなければ、投資家やESG評価機関 は、スルガ銀行のリスク管理能力を十分に評価することができない。また、銀行自身にとっても、具体的なリスクエクスポージャー(リスクに晒されている度合い)を定量的に把握することは、適切な経営判断、例えば特定の産業セクターへの融資方針の見直しや、資本配分の調整などを行う上で不可欠である。したがって、実施したシナリオ分析の前提条件(使用したシナリオ、設定した時間軸、主要な仮定など)を明確にし、可能であれば影響額の定量的な試算結果を開示していくことが、リスク管理の透明性と信頼性を高める上で重要であると考えられる。

2.1.2 評判リスクと物理的リスク

環境問題への対応が不十分である、あるいは社会的な期待に応えられていないと見なされた場合、スルガ銀行は評判リスクに晒される可能性がある。顧客、投資家、地域社会、さらには従業員など、様々なステークホルダーからの信頼が低下し、結果としてブランドイメージが悪化する恐れがある。特に、同業他社、とりわけ地域で競合する金融機関 や業界の先進企業 が積極的な環境への取り組みを進め、その情報を開示する中で、スルガ銀行の対応が相対的に遅れていると認識された場合、この評判リスクはより高まる可能性がある。例えば、Scope 3排出量に関する目標設定の欠如 [Insight 1] や、生物多様性保全への取り組みにおける具体性の不足 [Insight 5] などが、外部からの評価に影響を与え、評判リスクの要因となり得る。

物理的リスクとは、気候変動によって引き起こされる具体的な物理現象によるリスクを指す。これには、台風の強大化、集中豪雨による洪水、高潮といった、短期間に発生する激甚な気象災害(急性リスク)と、平均気温の上昇、海面水位の上昇、渇水の頻発化といった、長期的に進行する気候パターンの変化(慢性リスク)が含まれる。スルガ銀行は、これらの物理的リスクによって、様々な形で影響を受ける可能性がある。例えば、自行の店舗、事務センター、データセンターなどの物的資産が、洪水や高潮、強風などによって直接的な損害を受ける可能性が考えられる。また、サプライチェーンが寸断され、事業継続に支障をきたす可能性もある。さらに重要な点として、担保として保有している不動産の価値が、災害リスクの高まりや海面上昇などによって下落するリスクや、自然災害によって地域の経済活動が停滞し、その結果として投融資先の企業の業績が悪化し、信用力が低下するリスクも存在する。これらの物理的リスクは、最終的にスルガ銀行の財務状況に損失をもたらす可能性がある。TCFDに基づくシナリオ分析 においては、これらの物理的リスクも評価対象とされていると考えられるが、移行リスクと同様に、具体的な影響評価の結果や、それに対する具体的な対応策に関する詳細な情報は開示されていない。

スルガ銀行は、静岡県および神奈川県を主要な営業基盤とする地域金融機関である。この地理的な特性を考慮すると、特定の地域における物理的リスク、特に台風や集中豪雨による水害、あるいは南海トラフ地震のような大規模な自然災害の影響を、全国展開しているメガバンクなどと比較して、より受けやすい構造にある可能性がある。しかしながら、現在公開されている情報からは、このような地域特性を踏まえた物理的リスクへの具体的な対応策、例えば、事業継続計画(BCP)において気候変動による災害激甚化の要素をどのように考慮しているか、地域ごとの詳細なリスク評価を実施しているか、あるいは、顧客である地域企業や個人に対して防災・減災のための支援策を提供しているか、といった点に関する具体的な情報が不足している。地域経済への依存度が高い地域金融機関にとって、物理的リスクは、自行の経営の安定性だけでなく、地域社会全体の持続可能性にも関わる極めて重要な課題である。顧客である地域企業や個人のレジリエンス(回復力・適応力)向上を支援することは、長期的に見て銀行自身のリスクを低減することにも繋がる。したがって、営業エリアの地域特性を詳細に踏まえた物理的リスク評価を実施し、それに基づいた具体的な対応策(自行のBCP強化、リスクに応じた融資判断、顧客への防災・減災ファイナンスや情報提供など)を策定し、その内容を開示していくことが、地域金融機関としてのレジリエンス(強靭性)を示し、ステークホルダーからの信頼を得る上で重要であると考えられる。

2.2 ビジネス機会の特定

2.2.1 グリーンファイナンス市場への参画

環境問題への社会的な関心の高まりは、リスクだけでなく、新たなビジネス機会も創出している。特に、低炭素社会や循環型社会への移行を支えるための資金需要、すなわちグリーンファイナンスの市場は、今後ますます拡大していくと予想される。スルガ銀行は、既に提供している環境配慮型のローン商品、例えば省エネ住宅向けのローン、太陽光発電システム設置のためのソーラーローン、SDGs達成に貢献する事業者向けローンなど を、さらに拡充・強化することで、この成長市場を取り込む大きな機会を有している。

考えられる展開としては、再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンスの提供、企業の省エネルギー設備導入やエネルギー効率改善を支援する融資、サプライチェーン全体での環境負荷低減(例:Scope 3排出量削減)を促すような新しいファイナンススキームの開発、さらには地方公共団体や企業が発行するグリーンボンド(調達資金の使途を環境改善効果のある事業に限定した債券)の発行支援や引受業務などが挙げられる。

現状の取り組みを見ると、スルガ銀行が提供している環境関連の金融商品 は、主に個人顧客向けのリテールローンや、特定の目的を持つ事業者向けローンに限定されているように見受けられる。より大規模なプロジェクトファイナンスへの参画や、企業の包括的な環境戦略(例:脱炭素化計画、サーキュラーエコノミー移行計画)を金融面から総合的に支援するようなソリューションの提供については、現在の公開情報からは確認することが難しい。

このグリーンファイナンス市場への参画というビジネス機会 を最大限に活かすためには、いくつかの課題への対応が必要となる。まず、現在の環境配慮型の商品ラインナップ を、市場のニーズや環境課題の変化に合わせて拡充していく必要がある。これに加えて、行内における専門性の向上が不可欠である。具体的には、再生可能エネルギー技術、省エネルギー技術、資源循環技術、さらには関連する環境政策や規制の動向に関する深い理解を持つ人材の育成が求められる。また、新たなグリーンファイナンス商品を開発・提供する上で、関連する環境リスクや社会リスクを適切に評価するための手法を高度化することも重要である。特に、Scope 3排出量の算定・評価 [Insight 1] や、生物多様性への影響評価 [Insight 5] に関する知見の蓄積が求められる。さらに、自社の取り組みや提供する金融商品について、積極的に情報を発信し、潜在的な顧客やパートナー企業、投資家などのステークホルダーとの対話(エンゲージメント)を深めていくことも重要となる。専門性やリスク評価手法が不足していると、有望なグリーンファイナンス案件を見逃してしまったり、逆に、環境配慮を謳いながら実態が伴わない「グリーンウォッシュ」と批判されるリスクのある案件に関与してしまったりする可能性がある。また、積極的な情報発信やエンゲージメントがなければ、スルガ銀行の取り組みが市場に十分に認知されず、ビジネス機会を逸してしまう可能性もある。したがって、グリーンファイナンスを単なる個別商品の提供に留めるのではなく、銀行全体の経営戦略として明確に位置づけ、専門人材の育成、リスク管理体制の強化、そして積極的なコミュニケーション戦略を一体的に推進していくことが、このビジネス機会を最大化するための鍵となると考えられる。

2.2.2 業務効率改善と企業価値向上

環境への配慮を目的とした取り組みは、コスト削減や業務効率の改善といった、直接的な経営メリットにも繋がる可能性がある。例えば、スルガ銀行が実施しているLED照明への切り替えやクールビズ・ウォームビズの実施 は、電力消費量を削減し、光熱費の低減に貢献する。同様に、ペーパーレス化の推進 は、紙の使用量だけでなく、印刷コストや書類保管スペース、関連する事務作業の削減にも繋がり、業務効率の改善に寄与する。

さらに、環境問題への積極的な取り組み姿勢は、財務的なメリットだけでなく、非財務的な価値の向上にも繋がる可能性がある。環境意識の高い従業員のエンゲージメント(働きがいや組織への貢献意欲)を高め、組織全体の活性化に繋がることが期待される。また、サステナビリティを重視する企業文化は、優秀な人材の獲得や定着においても有利に働く可能性がある。そして、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する投資家からの評価が高まることで、資金調達コストの低減や株価の向上に繋がり、結果として企業価値全体の向上に貢献する可能性も考えられる。

スルガ銀行においては、これらの業務効率改善に繋がる省エネルギー施策 やペーパーレス化 は実施されているものの、それらによって得られた具体的な定量的な効果、例えば年間のコスト削減額やエネルギー消費量の削減率、あるいはこれらの取り組みが従業員の意識や満足度に与えた影響(例:従業員意識調査の結果)などについての具体的な記述は、現在の公開情報では限定的である。また、これらの環境への取り組みが、ESG評価機関からの評価 にどのように反映されているか、あるいは企業価値向上にどの程度貢献しているかといった関連性についても、明確な分析や説明は十分ではない。

環境への取り組みがもたらす具体的な便益、すなわちコスト削減効果、従業員エンゲージメントの向上、ブランドイメージの向上、そしてESG評価 の改善などを通じた企業価値向上への貢献度を、より具体的に、可能であれば定量的な指標を用いて示していくことが、今後の課題と考えられる。例えば、省エネルギー投資や再生可能エネルギー導入に対する投資対効果(ROI)を算出して開示したり、ESG評価スコアの向上と株価パフォーマンスや資金調達コストとの間に見られる相関関係などを分析・開示したりすることが考えられる。このような分析を通じて、環境活動が単なるコスト負担ではなく、長期的な企業価値の創造に繋がる重要な経営投資であることを、社内外のステークホルダーに対して示すことができる。環境活動の財務的および非財務的な価値を明確に示すことができれば、経営層によるさらなる環境投資への意思決定を後押しし、取り組みを加速させることができる。また、投資家 に対しても、スルガ銀行のサステナビリティ経営が企業価値の向上に結びついていることを効果的にアピールすることが可能となる。したがって、環境活動の成果を、コスト削減効果、従業員エンゲージメント、ESG評価スコアといった具体的な経営指標と結びつけて分析し、その結果を開示することで、企業価値向上への貢献を可視化していくことが重要である。

第3部 業界における先進事例と競合分析

概要

スルガ銀行の環境パフォーマンスを客観的に評価し、今後の戦略を検討する上で、国内金融業界全体の動向、特に先進的な取り組みを行っている企業の事例や、同業他社との比較分析は不可欠な情報となる。本章では、まず日本の金融業界における環境に関する先進的な取り組み(ベストプラクティス)を紹介する。次に、スルガ銀行の主要な競合他社を特定し、それらの企業の環境戦略と具体的なパフォーマンスを比較分析する。最後に、第三者評価機関による環境スコアを用いた客観的なベンチマーキングを行う。

3.1 国内金融業界における先進事例

日本の大手銀行や、一部の先進的な地方銀行においては、スルガ銀行が現在取り組んでいる施策、例えばTCFD賛同、Scope 1・2排出削減、環境配慮型融資の提供、廃棄物削減、地域での環境保全活動 などに加え、さらに踏み込んだ包括的な環境戦略が展開されている事例が見られる。

具体的には、気候変動対策において、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)から、自社のScope 1、Scope 2排出量だけでなく、投融資先の排出量を含むScope 3(特にファイナンスド・エミッション)についても削減目標を設定し、その認定を取得する動きが広がっている。また、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブであるRE100への加盟を表明する金融機関も増えている。情報開示の面では、TCFD提言に基づき、気候変動シナリオ分析を実施するだけでなく、その分析に用いた前提条件や、分析から得られた財務的影響の定量的な評価結果を詳細に開示する例が見られる。さらに、石炭火力発電や特定の化石燃料開発など、環境負荷が特に高いと考えられるセクターに対する投融資について、具体的な方針(セクターポリシー)を策定し、公表する動きも進んでいる。ビジネス機会の面では、サステナブルファイナンス(環境・社会課題の解決に貢献する投融資)に関する具体的な目標額を設定し、その実績を積極的に開示する金融機関が多い。生物多様性に関しては、TNFDフレームワークへの早期対応を検討したり、投融資判断に自然関連リスクを評価するためのツールを導入したりする動きが出始めている。

これらの先進的な取り組みを効果的に推進するために、組織体制の面でも工夫が見られる。多くの先進的な金融機関では、サステナビリティ推進部やESG企画部といった専門部署を設置し、環境戦略の企画・実行を担わせている。また、取締役会や経営会議レベルでサステナビリティに関する議論を行い、経営トップが強いコミットメントを示す体制を構築している例も多い。

これらの業界における先進事例 と比較すると、スルガ銀行の現在の取り組み には、いくつかの点でギャップが存在する可能性が指摘される。特に、金融機関として影響の大きいScope 3(ファイナンスド・エミッション)に関する目標設定と開示、TCFDに基づくシナリオ分析結果の定量的な開示、特定の高リスクセクターに対する投融資方針(セクターポリシー)の策定・公表、そしてTNFD等を見据えた自然資本・生物多様性への具体的な対応といった点において、先進的な水準との間に差が見られる可能性がある。具体的に比較すると、SBT認定(特にScope 3を含む)の取得、RE100への加盟、シナリオ分析の定量的な影響額の開示、セクターポリシーの公表、TNFDへの具体的なコミットメントといった項目について、スルガ銀行の現在の公開情報からは確認できない点が多い。これらのギャップは、スルガ銀行が気候変動や自然資本に関するリスクと機会を、業界の最先端レベルではまだ十分に管理・活用できていない可能性を示唆している。これは、今後、競合他社 や先進的な金融機関に対する競争力、および投資家や評価機関からのESG評価 において、不利な要因となる可能性がある。したがって、業界の先進事例を参考に、スルガ銀行は特にScope 3排出量の管理と削減、気候関連および自然関連リスクの定量的な評価と開示の深化、そしてそれらに基づく具体的な投融資方針の策定といった分野において、取り組みを一層強化していく必要があると考えられる。

3.2 競合他社の特定と比較分析

3.2.1 主要な競合他社の概要

スルガ銀行の環境パフォーマンスを相対的に評価するためには、事業規模や営業地域が類似する競合他社との比較が有効である。スルガ銀行は静岡県を地盤とし、神奈川県など隣接地域でも事業を展開している。この点を考慮すると、主要な競合他社としては、同じく静岡県を主要な営業基盤とする静岡銀行、神奈川県を地盤とする横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下)、そして首都圏で強い基盤を持つ千葉銀行などが挙げられると考えられる。これらの銀行は、それぞれの地域経済においてスルガ銀行と同様に重要な役割を担っており、各行の環境問題への取り組み姿勢は、顧客や地域社会からの評価、ひいては競争力にも影響を与える要因となる。

本項では、これらの主要な競合他社(静岡銀行、横浜銀行、千葉銀行)について、公開されている情報をもとに、環境戦略の方向性、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野における具体的な取り組み内容、目標設定の状況、そして情報開示のレベルなどを調査し、スルガ銀行との比較分析を行う。

3.2.2 競合他社の環境戦略と取り組み状況

(注: 以下の記述は、競合他社の具体的な取り組みに関する詳細情報が限定的であるため、一般的な傾向 や、報告書作成時に本来調査・記述すべき内容の例を示すものである。実際の報告書作成にあたっては、各社の最新の統合報告書、サステナビリティレポート、ウェブサイト等を参照し、具体的な情報を収集・記述する必要がある。)

3.2.2.1 気候変動に関する競合他社の動向

競合他社の気候変動への対応状況を比較分析する。例えば、TCFD提言への賛同状況については、静岡銀行、横浜銀行、千葉銀行ともに賛同を表明している可能性が高いが、その表明時期や、提言に基づく情報開示の具体性には差が見られるかもしれない。Scope 1, 2排出量の算定・開示は多くの銀行で行われていると考えられるが、Scope 3排出量、特にファイナンスド・エミッションの算定・開示状況については、各行で取り組みの進捗にばらつきがある可能性がある。削減目標に関しては、スルガ銀行がScope 1, 2で2030年度46.2%削減目標 を掲げているのに対し、競合他社がSBT認定を取得しているか、あるいはScope 3を含むより野心的な目標を設定しているかなどを比較する必要がある。例えば、「静岡銀行は20XX年にTCFD提言に賛同し、20YY年度までにScope 1, 2排出量をXX%削減する目標を掲げているが、Scope 3(ファイナンスド・エミッション)については現在算定中である。一方、横浜銀行はコンコルディア・フィナンシャルグループとしてSBT認定(1.5℃水準)を取得しており、ファイナンスド・エミッションについても具体的な削減目標を設定している」といった形で記述する。再生可能エネルギーの導入目標(例:RE100加盟の有無)や、実施している気候変動シナリオ分析の内容(対象範囲、使用シナリオ、定量的影響の開示レベル)、環境配慮型融資・投資の実績や目標額の設定状況、そして石炭火力発電など特定の高排出セクターに対する投融資方針(セクターポリシー)の有無とその内容についても、各社の情報を収集し、比較描写することが重要である。

3.2.2.2 資源循環および生物多様性に関する競合他社の動向

資源循環に関しては、競合他社が設定している廃棄物削減率やリサイクル率の具体的な目標値と実績、水使用量の管理状況、あるいはサプライチェーンにおける環境配慮(例:持続可能な調達方針の策定・開示)などの取り組み状況を調査し、比較する。例えば、「千葉銀行では、本店ビルにおける廃棄物ゼロを目指す目標を掲げ、20XX年度のリサイクル率はXX%に達した。また、環境負荷の少ない事務用品の調達を推進している」といった具体的な情報を基に比較を行う。

生物多様性に関しても、各社が策定している基本方針の内容、地域社会と連携した具体的な保全活動の実績、そして投融資活動における生物多様性リスク評価の導入状況などを比較する。特に、TNFDフレームワークへの対応状況(例:TNFDフォーラムへの参加、パイロットプログラムへの参画、情報開示の検討状況など)は、今後の取り組みの方向性を示す上で重要な比較項目となる。例えば、「静岡銀行は、地域NPOと連携した里山保全活動を長年継続している。生物多様性に関する投融資方針については現在検討中である一方、横浜銀行はTNFDへの対応準備を進めており、自然関連リスク評価ツールの導入を検討している」といった形で、各社の取り組み段階の違いを明確に記述する。

このような競合他社の具体的な取り組み内容を詳細に比較分析することによって、スルガ銀行の環境パフォーマンスにおける現在の強みと弱み、そして業界内での相対的な立ち位置がより明確になる。スルガ銀行の取り組み の水準を客観的に判断するためには、このような競合他社 との比較が不可欠である。特に、事業規模や地域性が近い地方銀行との比較は、スルガ銀行が直面している固有の課題や、差別化を図れる可能性のある機会を浮き彫りにする上で、極めて重要な意味を持つ。気候変動対策(TCFD開示、SBT認定、Scope 3対応、再生可能エネルギー利用、セクターポリシー策定)、資源循環(目標設定と実績開示)、生物多様性保全(方針の具体性、リスク評価導入、TNFD対応)といった具体的な項目について、スルガ銀行が競合他社に対して先行しているのか、同等のレベルにあるのか、あるいは遅れをとっているのかを評価することができる。この比較分析の結果は、スルガ銀行が今後、特に注力すべき分野(例えば、競合他社が先行している分野)や、あるいは自社の強みとしてさらに伸ばしていくべき分野(例えば、スルガ銀行が独自に進めている取り組み)を特定するための重要な基礎情報となる。

3.3 環境スコアによるベンチマーキング

企業の環境パフォーマンスを客観的に評価し、比較するためのツールとして、第三者評価機関による環境スコアリングが存在する。CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、MSCI、Sustainalyticsといった国際的な評価機関や、国内のESG評価機関は、企業から提供された情報や公開情報に基づき、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の各側面、あるいは特定の環境課題(例:気候変動、水セキュリティ、森林)に関するパフォーマンスを評価し、スコアや格付けを付与している。これらのスコアは、ESG投資を行う投資家や、企業のサステナビリティに関心を持つその他のステークホルダーが、企業の取り組みレベルを比較・評価する上で、重要な参照情報となっている。

スルガ銀行の競合他社である静岡銀行、横浜銀行、千葉銀行なども、これらの評価機関、特にCDPの気候変動質問書や水セキュリティ質問書などに回答し、スコアを取得・公開している可能性がある。報告書作成にあたっては、これらの評価機関のウェブサイトや関連レポートから公開情報を調査し、具体的なスコアを記述的に比較することが有効である。例えば、「CDPの気候変動スコアに関して、20XX年度の評価では、静岡銀行はリーダーシップレベルの一歩手前である『B』評価、横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)はリーダーシップレベルを示す『A-』評価、千葉銀行は『B』評価であった。これらのスコアは、各行の気候変動に関するリスク管理、機会創出、排出削減努力、そして情報開示の透明性などが総合的に評価された結果である」といった形で、具体的なスコアとその評価レベルの意味合いを説明しつつ比較する。

一方で、スルガ銀行自身がこれらの主要な第三者評価機関(CDP、MSCI、Sustainalytics等)の評価対象となっているか、あるいは質問書に回答し、スコアを取得・公開しているかについての情報は、提供された資料からは不明である。この点についても調査を行い、もしスコアが存在しない、あるいは非公開である場合には、その事実を記述するとともに、それが何を意味する可能性があるのかについて考察を加える必要がある。例えば、スコアがない、あるいは低い評価である場合、それは必ずしも取り組み自体が劣っていることを意味するとは限らないが、情報開示の透明性や網羅性に課題がある可能性、あるいは外部評価機関とのコミュニケーション戦略が十分でない可能性を示唆しているかもしれない。また、スコアの非開示や低スコアは、ESG投資を重視する投資家からの投資対象選定において、不利な要因となる可能性がある。

競合他社の環境スコア との比較は、スルガ銀行の環境パフォーマンスに関する外部からの客観的な評価レベルを示す上で、重要なベンチマークとなる。スルガ銀行自身のスコアが不明であるか、あるいは競合他社と比較して低い水準にある場合、それは実際の取り組み内容の改善が必要である可能性と同時に、情報開示の姿勢や戦略そのものにも課題がある可能性を示唆している。CDPなどのスコアは、単に環境パフォーマンスの結果だけでなく、情報開示の質と量も評価の対象となるため、高いスコアを得るためには、優れた取り組みの実践と、それを裏付ける透明性の高い情報開示の両方が求められる。低スコアやスコアの非開示は、投資家からの評価だけでなく、顧客や地域社会からの評判にも影響を与える可能性がある。したがって、競合他社のスコアとのベンチマーキングを通じて、スルガ銀行の客観的な立ち位置を正確に把握し、スコア向上に向けて、実際の取り組み強化と情報開示の拡充の両面から戦略を検討していくことが重要である。

テーブル指定に関する注記

本報告書の要件として、表形式の使用は認められていない。しかしながら、特に本第3部における競合他社の比較分析(3.2節)や環境スコアによるベンチマーキング(3.3節)においては、スルガ銀行と主要な競合他社(静岡銀行、横浜銀行、千葉銀行)の環境への取り組み状況(例:TCFD賛同の有無と開示レベル、SBT認定の有無と対象範囲、Scope 3目標の有無、RE100加盟状況、セクターポリシーの有無、TNFDへの対応状況、CDPスコアなど)を表形式で一覧比較することが、情報の整理と読者の理解を促進する上で非常に有効であることは認識している。表形式であれば、複数の銀行に関する多様な環境指標を一つの場所に集約し、横並びで比較することで、各社の強みや弱み、進捗状況の違いを一目で把握することが可能となる。また、スルガ銀行と競合他社との間の具体的なギャップを視覚的に示すことができ、データに基づいた客観的な比較を通じて分析の説得力を高める効果も期待できる。

しかし、本報告書ではこの要件を厳格に遵守し、一切のテーブル(表)を使用しない。したがって、上記のような比較情報は、すべて文章による物語形式(ナラティブ形式)で詳細に記述することとする。例えば、気候変動目標に関する比較であれば、「気候変動に関する目標設定において、静岡銀行はScope 1およびScope 2排出量についてXX年度までにXX%削減するという目標を掲げているが、SBT認定は取得していない。これに対し、横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)はSBT認定(1.5℃水準)を取得済みであり、Scope 3(ファイナンスド・エミッション)に関する削減目標も設定している。千葉銀行は…(同様に記述)。スルガ銀行については、Scope 1およびScope 2排出量に関して2030年度までに46.2%削減するという目標を設定しているが、SBT認定の取得やScope 3に関する具体的な目標設定については、現在のところ確認されていない」といった形で、情報を文章の中で整理し、各社の状況を比較・描写する。この方法により、要件を遵守しつつ、可能な限り比較可能性を担保し、分析結果を明確に伝えることを目指す。

第4部 課題評価と将来に向けた提言

概要

これまでの分析、すなわち第1部でのスルガ銀行自身の環境への取り組み状況の確認、第2部での環境要因に伴うリスクと機会の分析、そして第3部での国内金融業界の先進事例や主要な競合他社との比較分析を踏まえ、本章では、スルガ銀行が環境分野において現在直面していると考えられる主要な課題を評価する。その上で、今後の取り組みをさらに強化し、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を両立させていくための具体的な提言を行う。

4.1 スルガ銀行が直面する現在の課題

本報告書における分析の結果、スルガ銀行は環境分野において、以下のような主要な課題に直面していると考えられる。

第一に、気候変動戦略のさらなる深化が求められる。Scope 1およびScope 2排出量の削減目標 は設定されているものの、金融機関としてその環境影響が最も大きいとされるScope 3排出量、特に投融資ポートフォリオに由来するファイナンスド・エミッションの算定手法の確立、その結果の開示、そして具体的な削減目標の設定が喫緊の課題となっている。また、TCFD提言に基づく気候変動シナリオ分析についても、その影響評価をより定量化し、開示内容を深化させることが求められている。

第二に、生物多様性への取り組みの具体化が必要である。2022年に生物多様性保全に関する基本方針 が策定されたことは前進であるが、この方針を具体的な投融資の判断基準やリスク管理プロセスへどのように統合していくのか、その具体的な仕組みづくりが今後の課題である。また、国際的な動向であるTNFDフレームワークへの対応についても、検討を進める必要がある。

第三に、資源循環における目標設定と成果の可視化が挙げられる。現在実施されている廃棄物削減やリサイクルの取り組み は重要であるが、業界標準レベルに留まっている側面もある。より野心的な定量目標(例:廃棄物削減率、リサイクル率、水使用量削減率など)を設定し、その達成に向けた進捗状況を具体的に開示していくことが、取り組みの実効性を示す上で重要となる [Insight 3]。

第四に、これらの環境パフォーマンスを正確に把握し、管理・開示していくための環境関連データの収集・管理体制の強化が不可欠である。Scope 3排出量の算定、資源循環に関する各種指標、生物多様性への影響評価など、信頼性の高いデータを継続的に収集・分析するための基盤整備が求められる。

第五に、情報開示の透明性と網羅性の向上が課題である。競合他社 や業界の先進事例と比較した場合、スルガ銀行の環境に関する情報開示は、特に定量的なデータ、リスク評価(シナリオ分析など)の詳細、将来に向けた具体的な戦略といった点において、改善の余地があるように見受けられる [Insight 7, Insight 11, Insight 13]。第三者評価機関 からの評価を意識した情報開示戦略の構築も、今後の課題となり得る。

最後に、環境リスク・機会と事業戦略の統合をより一層進める必要がある。環境要因を、単に対応すべきリスクとして捉えるだけでなく、グリーンファイナンス のような新たなビジネス機会の創出源として積極的に捉え、銀行全体の事業戦略の中に明確に位置づけていく視点が、今後ますます重要となる [Insight 2, Insight 9]。

4.2 主要な提言

上記の課題認識に基づき、スルガ銀行が環境パフォーマンスを向上させ、地域社会からの信頼を高め、持続的な成長を実現していくために、以下の主要な行動領域と具体的なアクションを提言する。

4.2.1 環境戦略の強化と目標設定

まず、気候変動対策に関して、最重要課題であるScope 3(ファイナンスド・エミッション)排出量の算定手法を確立し、段階的にでもその算定結果を開示していくことを強く推奨する。将来的には、算定結果に基づき、科学的な知見と整合する形で具体的な削減目標を設定し、可能であればSBT認定の取得も視野に入れるべきである。同時に、TCFD提言に沿った気候変動シナリオ分析をさらに深化させ、特定セクターや地域におけるリスク・機会の財務的影響を可能な限り定量的に評価し、その結果を開示していくことが望ましい。

生物多様性に関しても、策定された基本方針 を具体的な行動計画に落とし込む必要がある。TNFDフレームワークの動向を注視し、自社の投融資ポートフォリオにおける自然関連のリスクと機会を評価するための手法(例:セクター分析、地理情報システムの活用など)の導入を検討すべきである。その評価結果に基づき、必要に応じて特定のセクターに対する投融資方針(セクターポリシー)の策定や、エンゲージメント方針の明確化を検討することが推奨される。

資源循環については、廃棄物の削減率、リサイクル率の向上、水使用量の削減などに関して、具体的な定量目標を設定し、その達成に向けたロードマップを策定・公表することが有効である。目標の進捗状況を定期的にモニタリングし、開示することで、取り組みの実効性を示すことができる。

これらの目標設定と戦略強化は、業界の先進事例 や投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応え、環境関連のリスク を適切に管理し、同時に新たなビジネス機会 を捉えるための基盤となる [Insight 1, 5, 7, 11]。

4.2.2 情報開示の拡充とステークホルダーエンゲージメント

次に、環境に関する取り組み、設定した目標、その達成に向けた進捗状況、そしてリスク評価の結果(特にTCFDおよびTNFDに関連する情報)について、統合報告書やサステナビリティ関連のウェブサイトなどを通じて、より透明性が高く、網羅的かつ具体的な情報開示を行うことを推奨する。特に、定量的なデータ(排出量、削減量、目標値、実績値など)や、目標達成に向けた具体的な取り組み計画、リスク評価の前提条件や結果などを積極的に開示していくことが重要である。

また、CDP をはじめとする主要なESG評価機関に対する情報提供も、戦略的かつ積極的に行うべきである。これにより、外部からの客観的な評価を向上させ、ESG投資家等からの信頼を得ることに繋がる。

さらに、情報開示は一方的な発信に留まらず、投資家、顧客、地域社会、NPO/NGO、従業員といった多様なステークホルダーとの継続的な対話(エンゲージメント)を強化することが不可欠である。ステークホルダーからの期待や要請を的確に把握し、それらを自社の環境戦略や具体的な取り組みに反映させていくプロセスを構築することで、戦略の実効性を高め、社会からの信頼を醸成し、新たな協働の機会を発見することにも繋がる。透明性の高い情報開示と積極的なエンゲージメントは、ステークホルダーからの信頼獲得と企業価値向上 に不可欠な要素であり、ESG評価 にも直接的に影響を与える [Insight 3, 7, 10, 13]。

4.2.3 リスク管理と機会創出の統合

最後に、環境要因を単に管理すべきリスクとして捉えるだけでなく、新たなビジネス機会 を創出するための重要なドライバーとして認識し、リスク管理と機会創出の両側面を統合的に管理・推進する体制を強化することを提言する。

具体的には、気候変動リスク(移行リスク・物理的リスク)や生物多様性関連リスクの評価結果を、従来の信用リスク評価プロセスや、個別の融資案件の審査プロセスにより深く組み込んでいく必要がある。これにより、ポートフォリオ全体のリスク管理を高度化することができる。

同時に、拡大するグリーンファイナンス市場 [Insight 9] におけるビジネス機会を積極的に追求していくべきである。そのためには、関連分野(再生可能エネルギー、省エネルギー、サーキュラーエコノミー、自然資本など)に関する行内の専門人材を育成・確保することが重要となる。また、市場のニーズを踏まえ、既存の環境配慮型商品 のラインナップを拡充するとともに、例えば企業の脱炭素化を支援する移行ファイナンスや、地域の特性を活かしたグリーンローン(例:森林保全、農業、観光分野など)といった新たな商品・サービスの開発も検討すべきである。そして、これらのグリーンファイナンスの取り組みによってもたらされる環境改善効果(例:CO2削減貢献量)や、銀行自身の収益への貢献度を可能な限り定量的に把握し、開示していくこと [Insight 10] が、取り組みの価値を示す上で重要となる。

地域社会と連携して行っている環境保全活動 についても、単なる社会貢献活動としてだけでなく、地域の環境リスク低減や、新たなビジネス機会(例:地域循環共生圏の形成支援)の発見に繋がる可能性を視野に入れ、より戦略的に位置づけていくことが望ましい。リスク管理と機会創出を一体的に推進することで、環境変化に対するレジリエンス(適応力・回復力)を高めるとともに、地域金融機関としての強みを活かした持続的な成長を実現することが可能となる [Insight 2, 5, 8, 9, 10]。

結論

総括

本報告書では、スルガ銀行の環境パフォーマンスについて、気候変動、資源循環、生物多様性という三つの主要な側面から、公開情報に基づき詳細な分析を行った。分析の結果、スルガ銀行はTCFD提言への賛同表明、自社のScope 1およびScope 2排出量に関する具体的な削減目標の設定、省エネ住宅ローンやソーラーローンといった環境配慮型金融商品の提供、そして生物多様性保全に関する基本方針の策定 など、環境問題に対する意識を高め、具体的な取り組みを進めていることが確認された。

しかしながら、国内金融業界における先進的な事例 や、主要な競合他社 の動向と比較した場合、スルガ銀行の取り組みには、まだ深化・拡充の余地があることも明らかになった。特に、金融機関として影響の大きい投融資先の排出量(Scope 3)への対応、気候変動シナリオ分析を含むリスク評価とそれに関する情報開示の定量化・透明性の向上、そして生物多様性保全方針の具体的な事業活動への統合といった面において、さらなる取り組みの強化が求められる状況にある。

リスクと機会

環境要因は、スルガ銀行にとって、規制強化、市場の変化、評判の低下、そして自然災害の激甚化といった多岐にわたるリスク をもたらす可能性がある。一方で、グリーンファイナンス市場の拡大、省エネルギーやペーパーレス化等による業務効率の改善とコスト削減、そしてESG評価の向上を通じた企業価値の向上といった、重要なビジネス機会 も提供する。これらのリスクと機会を的確に認識し、評価し、経営戦略全体の中に統合していくことが、今後の持続的な成長にとって極めて重要である。

今後の展望

本報告書の第4部で提言した、環境戦略の強化と具体的な目標設定、情報開示の拡充とステークホルダーとの積極的なエンゲージメント、そしてリスク管理と機会創出の戦略的な統合を着実に実行していくことによって、スルガ銀行は環境パフォーマンスを一層向上させ、地域社会からの信頼をさらに高め、長期的な視点での企業価値向上を実現できるものと期待される。特に、今後の金融業界における環境経営の鍵を握ると考えられる、Scope 3(ファイナンスド・エミッション)への対応強化と、TNFD等の国際的な動向も見据えた自然資本・生物多様性への配慮の具体化が、スルガ銀行の将来の競争力と持続可能性を左右する重要な要素となるであろう。

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