株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)は、「ユニクロ」「ジーユー」「セオリー」などのブランドを展開し、世界有数のアパレル製造小売企業としての地位を確立しています 1。近年、アパレル業界においては、サプライチェーン全体における環境負荷や人権問題への関心が高まり、企業の持続可能性(サステナビリティ)への取り組みが、事業継続性や企業価値を左右する重要な要素となっています。本報告書は、ファーストリテイリングが推進する環境イニシアチブについて、特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3分野に焦点を当て、包括的な分析を行うことを目的とします。これにより、同社の環境パフォーマンス評価に必要な詳細情報を収集し、学術的視点および戦略的評価に資する知見を提供します。
本報告書は、以下の章立てで構成されます。まず、ファーストリテイリングの環境戦略とガバナンス体制の概要を示します。次に、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野における具体的な目標、取り組み、実績を詳述します。続いて、これらの環境要因に関連する潜在的なリスクと事業機会を分析し、業界の先進事例や競合他社の動向との比較を行います。さらに、主要なESG評価機関による同社の評価をベンチマーキングし、現状の課題を評価した上で、今後の重点領域に関する提言を行います。分析にあたっては、ファーストリテイリングが開示している統合報告書 1、サステナビリティレポートおよびデータブック 8、公式ウェブサイト情報、ニュースリリース、ならびに競合他社の報告書、信頼できるESG評価機関の公開情報、関連ニュース記事など、公開情報を網羅的に活用します。本報告書は、指定された要件に従い、日本語で記述し、表や箇条書きを用いず、全て文章形式で構成され、見出しレベル4までの階層構造と指定された参考文献形式を採用します。
ファーストリテイリングは、自社とサプライチェーン全体であらゆる無駄をなくし、資源の有効活用を推進することを環境方針の根幹に据えています 22。地球環境への負荷低減に貢献すると同時に、革新的な技術を積極的に活用することで、持続可能なビジネスの構築を目指しています 22。この方針に基づき、環境分野における6つの注力領域として、「気候変動への対応」「エネルギー効率の向上」「生物多様性への対応」「水資源の管理」「化学物質管理」「廃棄物管理と資源効率の向上」を特定しています 22。これらの取り組みは、同社の中核コンセプトである「LifeWear(究極の普段着)」の哲学とも深く結びついています。LifeWearは、単に高品質で機能的、手頃な価格であるだけでなく、地球環境、社会、人々にとって良い服であることを目指しており、サステナビリティへの配慮がその価値の根幹を成しています 1。
ファーストリテイリングにおけるサステナビリティの推進は、専門部署であるサステナビリティ部が中心となり、関連部門や全世界の経営者との日常的な連携を通じて行われています 30。重要な課題やリスクについては、サステナビリティ委員会に上程され、取締役、監査役、社外有識者、執行役員が出席する場で議論・決定され、業務執行部門への助言・勧告・監督が行われます 30。特に、労働環境モニタリングの結果、取引の見直しが必要と判断されるケースは、企業取引倫理委員会で審議される体制が整っています 31。また、海外の主要拠点にもサステナビリティ担当者を配置し、グローバルレベルでの推進体制強化を図っています 30。同社のマテリアリティ(重要課題)特定プロセスにおいても、事業戦略との統合が見て取れます。「商品と販売を通じた新たな価値創造」が最重要課題とされ、次いで「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」、そして「環境への配慮」が位置づけられており、環境課題が事業運営における優先事項の一つとして認識されていることが示唆されます 32。
ファーストリテイリングは、サプライチェーンにおける環境影響を客観的に評価し、改善を図るため、業界標準ツールであるHigg Indexを活用しています。これは、同社が加盟するアパレル業界の環境負荷低減を推進するNPOであるCascale(旧サステナブル・アパレル連合)が開発したものです 22。Higg Indexの活用は、特に素材工場や縫製工場におけるエネルギー使用量、水使用量、化学物質管理などの環境パフォーマンスを測定し、改善目標を設定する上で重要な役割を果たしています 22。また、気候変動関連のリスクと機会に関する情報開示においては、国際的な枠組みであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った開示を行っており、透明性の向上に努めています 33。さらに、気候変動対策に関する情報開示プラットフォームであるCDPへの回答を通じて、環境パフォーマンスに関する情報を積極的に公開しています 22。加えて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の「ファッション業界気候行動憲章」に署名し、業界全体での温室効果ガス排出量削減に向けた連携を強化しています 33。これらの標準化されたツールや国際的な枠組みへの準拠は、ファーストリテイリングがグローバルなベストプラクティスを経営システムに取り入れ、投資家やその他のステークホルダーに対する報告の比較可能性と信頼性を高めようとしている姿勢を示しています 34。
ファーストリテイリングは、パリ協定が掲げる2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ目標を尊重し、具体的な削減目標を設定して取り組みを進めています 33。同社の目標は、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)によって認定されており、国際的な整合性が図られています 28。具体的には、2030年8月期までに、自社運営施設(店舗や主要オフィスなど)におけるエネルギー使用に由来するスコープ1およびスコープ2の排出量を、2019年8月期比で90%削減することを目標としています 27。また、バリューチェーン排出量(スコープ3)のうち、購入した製品・サービス(カテゴリ1)、特にユニクロおよびジーユーの商品の原材料生産・素材生産・縫製に関わる排出量については、同期間に20%削減することを目指しています 27。さらに、長期的な視点として、2050年までにGHG排出量実質ゼロ(ネットゼロ)を達成することも目標として掲げています 28。
GHG排出量削減の重要な柱として、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。2030年8月期までに、自社運営施設(店舗、主要オフィス)で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とすることを目標としています 27。この目標達成に向け、太陽光発電設備の設置や再生可能エネルギー電力の購入など、多様な手段を講じています 33。
これらの目標設定は、パリ協定の目標達成に貢献する意欲を示すものであり 33、SBTiによる認定は、その科学的妥当性を裏付けています 33。また、前述の通り、「ファッション業界気候行動憲章」への署名を通じて、業界全体の気候変動対策への貢献も目指しています 33。しかしながら、スコープ1および2の90%削減という目標が1.5℃目標に整合する野心的なものである一方、スコープ3(カテゴリ1)の20%削減目標については、サプライチェーン全体で必要とされる削減レベル(一般に55%程度とされる)と比較して、その意欲度が不十分であるとの外部からの評価も存在します 40。アパレル企業の排出量の大部分はスコープ3、特に原材料調達や製造段階で発生するため 41、この目標設定は、広範かつ複雑なグローバルサプライチェーンの脱炭素化に伴うコスト、技術的制約、サプライヤー側の準備状況といった課題の大きさを反映している可能性があります。この点は、投資家からの監視や、より野心的なスコープ3目標(例えばInditexは2030年までに50%削減を目標 42)を掲げる競合他社との比較において、潜在的なリスクとなりうる一方で、今後の取り組み強化が求められる重要な領域であることを示唆しています。
ファーストリテイリングは、店舗やオフィスにおけるエネルギー消費量削減のため、多角的な省エネルギー施策を推進しています。日本国内では、2014年春夏シーズン以降に開店した全てのユニクロおよびジーユー店舗においてLED照明を導入しており、海外のユニクロ店舗でも同様の導入を進めています 33。エネルギー効率の高い照明への切り替えは、店舗運営における電力消費削減の基本的な取り組みです。加えて、空調に関しても、時間外の利用制御や、あらかじめ設定した温度に自動的に調節される空調オペレーションコントロールシステムを導入し、エネルギー使用の効率化を図っています 33。さらに、店舗の設計段階から省エネルギーを考慮し、エネルギー効率の高い新たなロードサイド店舗のフォーマット開発にも着手しました 33。その具体的な成果として、2023年4月にオープンしたユニクロ前橋南インター店が挙げられます。この店舗では、外皮の高断熱化や高効率な省エネルギー設備の採用に加え、太陽光パネルを設置することによる創エネルギーを組み合わせることで、ZEB Ready認証を取得しました 33。店内にはCO2・温度センサーや人感センサー、明るさセンサーなどが設置され、換気量や照明を最適化する工夫も凝らされています 36。同社は、こうした省エネ・創エネ技術を採用した店舗を国内外で増やしていく方針です 33。また、店舗の電力消費量を40%削減するという目標も掲げられています 27。
2030年8月期までの使用電力における再生可能エネルギー比率100%達成という目標に向け、ファーストリテイリングは具体的な導入策を進めています。その戦略には、店舗や施設への太陽光発電設備の設置(PPAモデルを含む)、電力会社が提供する再生可能エネルギーメニューの購入、および再生可能エネルギー電力証書の購入などが含まれます 33。既に、欧州、北米、ベトナム、インドネシア、タイの店舗では、再生可能エネルギーへの切り替えが100%達成されています 36。日本国内においても、ユニクロ東習志野店をはじめとする店舗(2021年度時点で13店舗)に太陽光発電パネルを設置するなど、導入に力を入れています 36。前述のユニクロ前橋南インター店も、太陽光パネルによる発電で消費電力の一部を賄っています 33。
これらの省エネルギーおよび再生可能エネルギー導入の取り組みにより、ファーストリテイリングは自社運営(スコープ1および2)におけるGHG排出量削減で着実な進捗を示しています。2024年8月期時点で、スコープ1および2の排出量(マーケット基準)は、基準年である2019年8月期比で83.3%削減されました 33。これは、2030年目標である90%削減に向けて順調に進んでいることを示します。また、同期間における使用電力の再生可能エネルギー比率は84.7%に達しており 33、100%達成という目標も視野に入っています。これらの実績は、同社が自社運営領域の脱炭素化に向けて、技術導入や投資を効果的に行い、具体的な成果を上げていることを裏付けています。特に、ZEB Ready認証店舗の実現 33 や特定地域での再生可能エネルギー100%達成 36 は、今後の展開における試金石となるでしょう。
サプライチェーンにおける排出量削減(スコープ3)は、ファーストリテイリングにとって大きな課題であり、サプライヤーとの強固な連携が不可欠です。同社は、主要な縫製工場および素材工場を対象に、Higg Indexなどの業界標準ツールを用いて環境負荷を把握し、各工場と共に削減計画を策定・推進しています 22。特に、ユニクロおよびジーユーの生産量の9割を占める主要工場とは、省エネルギー活動の推進、石炭火力ボイラーからの転換(脱石炭)、再生可能エネルギーの導入などを盛り込んだ具体的な温室効果ガス削減計画を策定し、その進捗を定期的に確認・見直しています 33。さらに、個別工場のニーズに応じて、再生可能エネルギー導入に関する技術的な助言や、資金調達先の紹介といった支援も行っています 33。例えば、バングラデシュでは、現地の再生可能エネルギー事業者との協議を通じて、取引先工場が優先的に再生可能エネルギー証書を調達できる仕組みを構築しました 33。また、全ての取引先工場に対して、環境保護に関する最低基準を定めた「環境コミットメント」への遵守を求めており、これを誓約した工場とのみ契約を結ぶ方針をとっています 22。
製品の原材料調達段階での排出量削減も重要な取り組みです。ファーストリテイリングは、2030年8月期までに、全使用素材の約50%をリサイクル素材などの温室効果ガス排出量が少ない素材に切り替えるという意欲的な目標を掲げています 25。この目標に向けた進捗として、2024年の商品全体では、リサイクル素材などの低排出素材の使用割合が18.2%に達しました 25。特にリサイクル技術が比較的進んでいるポリエステルにおいては、全使用量の47.4%でリサイクルポリエステルを採用しており、これは「ドライEX」や「ファーリーフリース」、ウエストバッグといった具体的な商品にも反映されています 33。今後は、レーヨンやナイロンといった他の化学繊維についても、段階的に低環境負荷素材の導入を拡大していく計画です 33。しかし、目標である50%に対して現在の達成率が18.2%であることを踏まえると、特にポリエステル以外の繊維(例えば、リサイクル技術の開発が進行中の天然繊維 25 など)において、目標達成には今後さらなる技術革新とサプライチェーン全体での導入加速が必要となるでしょう。
製品の輸送に伴う排出量削減にも取り組んでいます。国際的なNPOである「Smart Freight Centre(SFC)」に加盟し、排出量の可視化や削減策について他の企業や専門家と連携しています 33。具体的な施策としては、工場から各国・地域への海上輸送において、複数の出荷分を一つのコンテナに集約する「バイヤーズ・コンソリデーション」を実施し、コンテナ本数を年間約15%削減しています 33。また、一部の国・地域では、工場から倉庫への船舶輸送においてバイオ燃料の使用を開始しました 33。倉庫から店舗への配送効率向上にも注力しており、アイテムごとの最小発送単位の設定、店舗での荷受け時間の拡大、近隣店舗への共同配送、Eコマース注文品の近隣店舗からの直接配送、梱包箱サイズの最適化などを実施しています 33。一方で、外部評価機関からは、2019年から2021年にかけて上流輸送(upstream transportation)における排出量が増加したとの指摘もあり 40、継続的な効率改善と低炭素輸送手段への転換が求められます。
サプライチェーン(スコープ3、カテゴリ1)における排出量削減の進捗は、2024年8月期時点で、基準年(2019年8月期)比で18.6%削減となりました 33。これは、2030年の目標である20%削減に近づいてはいるものの、目標達成までの期間がまだ残されていることを考慮すると、削減ペースの加速が今後の課題となります。サプライヤーエンゲージメント、低炭素素材への移行、物流効率化といった多岐にわたる取り組みにもかかわらず、削減率が目標値にようやく到達しつつあるという状況は、外部委託された複雑なアパレルサプライチェーンの脱炭素化がいかに困難であるかを物語っています。製造拠点における化石燃料への依存度の高さや、多数の独立したサプライヤー全体で変革を推進することの難しさが、その背景にあると考えられます。この進捗状況は、先に触れた外部からの目標の意欲度に関する指摘 40 を裏付ける形となっており、サプライチェーン全体の排出量削減に向けた、より一層踏み込んだ対策の必要性を示唆しています。
第3章 資源循環の推進
ファーストリテイリングは、資源を無駄にしないビジネスモデルの追求を掲げ、資源循環の推進に取り組んでいます。主要な目標として、2030年8月期までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などの低環境負荷素材に切り替えることを目指しています 25。また、「リデュース(削減)、リプレイス(代替)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)」を通じて、生産から販売までのプロセスにおける廃棄物ゼロ(実質ゼロ)を目指す方針も示しています 27。これらの取り組みの根底には、「LifeWearを活かし続ける」という考え方があり、高品質で長く使える服を提供することに加え、販売後の製品についても責任を持ち、リユースやリサイクルを通じて製品の寿命を最大限に延ばすことを重視しています 25。在庫管理においても、需要予測精度の向上や機動的な生産調整、販売戦略を通じて、最終的に商品を売り切ることで廃棄を出さない方針を基本としています 25。
資源効率を高める上で、製品の設計段階からの配慮が重要となります。ファーストリテイリングは、LifeWearのコンセプトに基づき、流行に左右されにくいタイムレスなデザインと、長く着用できる耐久性を追求した製品開発を行っています 25。素材面では、リサイクルポリエステルの利用を積極的に進めており 33、一部製品ではリサイクルナイロンも採用しています 33。さらに、コットンやウールといった天然繊維についても、既存商品と同等の品質や着心地を実現できるリサイクル素材の開発を、外部パートナーとの連携を通じて進めています 25。これらの取り組みは、バージン資源への依存を低減し、製品ライフサイクル全体での環境負荷削減に貢献します。
生産プロセスにおいても、廃棄物の発生抑制と資源の有効活用に向けた技術開発が進められています。具体的には、裁断工程などで発生する繊維くずの再利用や、生産プロセス自体から排出される廃棄物を削減するための新しい技術の研究が行われています 25。
販売後の製品に対する責任を果たすため、ファーストリテイリングは「RE.UNIQLO」という包括的なプログラムを展開しています。このプログラムでは、全国のユニクロおよびジーユー店舗で顧客から不要になった自社製品を回収しています 23。回収された衣料は、まずリユース(再利用)が検討され、状態の良いものは選別・クリーニングされた上で、難民キャンプや被災地など、世界中の衣料を必要としている人々へ寄贈されます。この活動は2006年から本格的に開始され、2024年までに81の国と地域へ累計5,897万点の衣料を届けてきました 47。リユースに適さない衣料については、リサイクル(再資源化)されます。特にダウン製品については、「服から服へ」のリサイクルを実現しており、回収したダウンウェアからダウンとフェザーを取り出し、洗浄・加工を経て新たなダウン製品の素材として再利用する取り組みが進められています 23。その他の素材についても、将来的には服から服へのリサイクルを拡大していく方針です 23。さらに、燃料(RPF:高カロリー固形燃料)や防音材など、他の用途へのマテリアルリサイクルも行われています 44。RE.UNIQLOは、2001年のフリース回収から始まった歴史ある取り組みであり、同社のポストコンシューマー(消費後)段階における責任へのコミットメントを示す象徴的な活動と言えます。しかしながら、ダウン以外の素材における「服から服へ」の本格的なクローズドループ・リサイクルの規模は、現状ではまだ限定的であると考えられます。天然繊維のリサイクルに関する研究開発が進行中であること 25 や、「服から服へ」のリサイクル拡大が今後の目標として言及されていること 23 は、多様な素材に対応した高度なリサイクル技術の確立と、それを支える回収・処理インフラの構築が、依然として大きな技術的・物流的課題であることを示唆しています。
製品の寿命をさらに延ばすための取り組みとして、「RE.UNIQLO STUDIO」が一部店舗で展開されています。ここでは、顧客が持ち込んだユニクロ製品の修理(リペア)や、刺繍などを施すリメイクサービスを提供し、愛着のある服をより長く大切に着続けることを支援しています 37。これは、使い捨て文化からの脱却と、製品への愛着醸成を促す重要なアプローチです。
ファーストリテイリングは、製品そのものだけでなく、流通過程や販売時に使用される包装材や資材についても、廃棄物削減と資源効率向上に向けた取り組みを進めています。
2019年には、「サプライチェーン全体で不要な使い捨てプラスチックを原則として撤廃し、使用せざるを得ないものについては環境配慮型素材に切り替える」というグループ方針を策定しました 25。この方針に基づき、具体的なアクションが展開されています。例えば、「ヒートテック」や「エアリズム」などの一部商品では、従来のプラスチック製パッケージから紙製のパッケージへと切り替えが進められました 25。また、店頭で使用されるハンガーや一部のパッケージには、リサイクルプラスチックが活用されています 25。商品輸送時に個々の商品を包装していたポリ袋についても、複数商品をまとめて梱包する方式に変更したり、回収・分別・リサイクルを容易にするために単一素材のポリ袋へ順次切り替えたりする取り組みが行われています 25。国内の一部の倉庫では、使用済みポリ袋のリサイクルが実施されており、そのリサイクル率は年々向上しています。さらに、海外の一部店舗では、回収したポリ袋をプラスチック製の椅子やガーデン用品、舗装材などにリサイクルする試みも始まっています 25。
紙資源についても、森林資源の持続可能な利用と生物多様性の保全という観点から、適切な管理方針を定めています。可能な限り、持続可能な原料(例えば、FSC認証紙など)で生産された紙の使用を推進しており、2023年12月末時点で、日本国内で調達する紙製品については、この方針に沿った切り替えが可能な範囲で完了しました 25。ショッピングバッグなどに使用される紙も、この方針に基づき持続可能な素材に変更されています 25。海外における調達についても、地域ごとの状況を踏まえつつ、継続的に取り組みを推進しています 25。
物流過程で使用される段ボールについても、使用量削減に向けた工夫が行われています。日本のユニクロ、ジーユーでは、工場から倉庫への輸送で使用された段ボールのうち、状態の良いものを倉庫から店舗への配送時に再利用するよう努めています 25。さらに、段ボールの代替として、繰り返し利用可能な折り畳み式のコンテナ(通称オリコン)の使用も推奨されており、輸送資材の使い捨て削減に貢献しています 25。このように、プラスチックと紙の両方を対象とし、製品パッケージから輸送資材、店舗での提供物に至るまで、ライフサイクルの様々な段階で削減、代替、再利用、リサイクルの取り組みを組み合わせることで、包括的な包装材・資材の廃棄物削減戦略を推進していることがわかります。
第4章 生物多様性の保全
ファーストリテイリングは、自社の事業活動が生物多様性に与える影響を可能な限り回避・低減するとともに、生物多様性の再生・保全に努めることを基本方針として定めています 26。この方針は、同社の事業が綿花栽培に必要な土壌、製品製造に不可欠な水資源、ウール生産を支える牧草地など、生物多様性がもたらす生態系サービスに深く依存しているという認識に基づいています 26。同時に、原材料生産(特に綿花栽培や家畜放牧)に伴う土地利用の変化や農薬使用、製造工程からの排水などが、生物多様性に対して負の影響を与えうることも認識しています 26。この認識のもと、同社は生物多様性保全の国際的な枠組みである「昆明・モントリオール生物多様性枠組」や持続可能な開発目標(SDGs)を支持し、その達成に貢献することを目指しています 30。具体的な行動指針として、影響の階層性(ミティゲーション・ヒエラルキー)に基づいたAR3Tフレームワーク、すなわち「回避(Avoid)」「低減(Reduce)」「回復・再生(Restore & Regenerate)」「転換(Transform)」に沿って取り組みを進めるとしています 30。
生物多様性への影響と依存関係を具体的に把握するため、ファーストリテイリングは2021年にリスクアセスメントを実施しました。国際自然保護連合(IUCN)のガイドラインを参考に、バリューチェーン全体を対象とした定性的な評価が行われました 26。その結果、「影響」の側面では、コットン生産における土地改変(農地拡大など)と汚染(農薬・化学肥料の使用)、レーヨン(木材パルプ由来)生産における土地改変(森林伐採など)、そして原材料の種類に関わらず、製品の使用段階(洗濯によるマイクロファイバー流出など)や廃棄段階(最終処分)における汚染が、生態系に与えるリスクが高いと評価されました 26。「依存度」の側面では、特に水資源の供給(農業・工業用水)、気候の安定化(炭素吸収など)、自然災害の防止機能(森林による土砂災害抑制など)といった生態系サービスに対する依存リスクが高いと結論づけられました 26。
リスクアセスメントの結果を踏まえ、ファーストリテイリングは、バリューチェーン全体で生物多様性への影響を回避・軽減し、保全・再生を進めることで、長期的に生物多様性に対するネットポジティブインパクト(正味でプラスの影響)の達成を目指しています 26。そのための具体的な取り組みとして、以下の方策を推進・計画しています。
生物多様性への影響を正確に把握し、責任ある調達を実践するためには、原材料がどこでどのように生産されたかを知ることが不可欠です。そのため、ファーストリテイリングは、原材料のトレーサビリティを強化し、原産地情報を可能な限り農場レベルまで追跡可能にすることを目指しています 26。特に、綿については紡績工場の集約を進めることでトレーサビリティ向上を図る方針が示されています 49。調達方針としては、法的に保護されている地域や希少種の生息地を含む生物多様性の観点からリスクの高いエリア、および水資源などの生態系サービスの喪失リスクが高い地域からの原材料調達を回避することを原則としています 26。木材由来の素材(レーヨンなど)については、森林破壊につながるような供給源からの調達を回避し、森林破壊ゼロを目指すとしています 26。
リスクが高いと特定された原材料については、より持続可能な選択肢への転換を進めています。具体的には、生物多様性に配慮した第三者認証付きの原材料への切り替えを推進します 26。特に使用量が多く、影響も大きいとされるコットンについては、ベター・コットン(BCI)などの基準を満たす、より持続可能な方法で生産されたコットンへの切り替えを進めています 26。カシミヤについても、放牧地の持続可能性などを考慮した独自の基準を設定し、それを満たすもののみを採用する方針です 26。さらに、将来的には、土壌の健康を改善し、生態系の回復に貢献する可能性のあるリジェネラティブ農業(環境再生型農業)によって生産された原材料の調達比率を高めることも目指しています 26。リジェネラティブ・コットンについては、具体的な検討が進められています 49。また、影響の低い代替素材の開発や利用も積極的に進めるとしています 26。
サプライチェーン全体での生物多様性への配慮を徹底するため、サプライヤー向けの基準(スタンダード)を設定し、遵守を求めていく計画です 26。また、生態系の保全活動やリジェネラティブ農業への転換に取り組む農家に対して、資金的な援助を行うことや、サプライヤーに対して生物多様性の重要性に関する教育を実施することも計画に含まれています 26。カシミヤ調達においては、琉球大学の研究チームと連携し、衛星データ解析や牧場への社員訪問を通じて、放牧地の状況把握を進める取り組みが行われています 49。
原材料の生産地や製造加工拠点の周辺地域など、自社の事業活動が生物多様性に影響を与えうるエリアにおいて、生態系の再生や保全に貢献する活動を展開していく方針も示されています 26。ただし、現時点で提供されている情報からは、具体的なプロジェクト事例やその規模に関する詳細は限定的です。全体として、ファーストリテイリングは包括的な生物多様性保全方針を策定し、リスク評価も実施していますが、気候変動対策と比較すると、具体的な実施策や進捗状況の報告、特にリジェネラティブ農業や保全プロジェクトに関する部分は、まだ計画段階や初期段階にある側面が強いように見受けられます。これは、CDPの森林(Forests)スコアが気候変動(Climate)や水セキュリティ(Water Security)のスコアに比べて低い傾向にあること 50 とも整合しており、生物多様性が同社にとって比較的新しい、あるいはより複雑な課題領域であることを示唆している可能性があります。
第5章 環境関連のリスクと機会
ファーストリテイリングの事業活動は、環境要因に関連する様々なリスクに晒されています。
近年、特に欧州連合(EU)を中心に、環境規制が急速に強化されており、これがグローバルに事業を展開するファーストリテイリングにとって重要なリスク要因となっています。中でも、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」は大きな影響を与える可能性があります 51。この規則案には、企業が売れ残った衣料品や履物などの繊維製品を廃棄することを禁止する条項が含まれており 51、EU域内で大規模な事業展開を行うファーストリテイリングも対象となる見込みです 57。この「廃棄禁止令」は、従来の在庫処理方法に根本的な見直しを迫るものであり、遵守のためには、需要予測精度のさらなる向上、リユース・リサイクル・寄付のためのインフラ整備、場合によっては製品設計の変更(後述)が必要となります 51。ESPRはまた、製品の耐久性、修理可能性、リサイクル可能性に関する要件も導入する予定であり 51、製品ライフサイクルの長期化を促します。これらに加え、拡大生産者責任(EPR)制度の導入拡大 61 や、化学物質規制(REACHなど)の継続的な強化 61 も、製品設計やサプライチェーン管理におけるコンプライアンスコスト増加のリスクとなります。
消費者の環境意識や倫理観の高まりは、市場リスクにもつながります。より持続可能で、環境負荷が低く、公正な労働環境で生産された製品を求める傾向が強まっており 3、ファーストリテイリングのビジネスモデル(大量生産・大量販売を前提とする側面)と、一部の消費者の間で広がる反消費主義やスローファッションといった価値観との間に乖離が生じる可能性があります。環境配慮が不十分と見なされた場合、ブランドイメージの低下や顧客離れにつながるリスクがあります。
企業の環境・社会への取り組みに対する社会的な監視は厳しさを増しています。NGOなどの外部組織から、気候変動目標の意欲度や資源循環の取り組みペースについて批判を受ける可能性 40 や、サプライチェーンにおける人権侵害や環境汚染といった問題(同社がコミットメントを表明しているにも関わらず)との関連が指摘されるリスク 31 が存在します。目標達成の遅延や、取り組みの規模・実効性が不十分と判断された場合には、「グリーンウォッシング(環境配慮を装うこと)」との批判を招き、企業評判を大きく損なう可能性があります。
サプライチェーンにおける環境リスクも無視できません。取引先工場における水ストレス、水質汚染、大気汚染、不適切な廃棄物処理、過剰なエネルギー消費といった問題は、ファーストリテイリング自身の環境パフォーマンスや評判に直接影響します 31。広範かつ複雑なサプライヤーネットワーク全体で、環境基準の遵守を徹底することは大きな課題です。また、気候変動に伴う異常気象(干ばつ、洪水、台風など)は、原材料(特に綿花など)の生産や、製品の輸送・物流網に物理的な混乱をもたらし、安定供給を脅かすリスクとなります。
一方で、環境への積極的な取り組みは、ファーストリテイリングにとって新たな事業機会を創出する可能性も秘めています。
優れた環境パフォーマンスは、企業の評判を高め、環境意識の高い消費者の支持を集める上で有利に働きます 34。サステナビリティを重視する姿勢は、同社の「LifeWear」コンセプトの価値を補強し、単なる衣料品を超えたブランドへの共感と顧客ロイヤルティを醸成する機会となります 2。特に、若い世代を中心に、企業の環境・社会への貢献度を購入判断の重要な要素とする傾向が強まっているため、この機会は大きいと言えます。
省エネルギー化や再生可能エネルギー導入によるエネルギーコストの削減、廃棄物削減やリサイクル素材活用による原材料コストの抑制、物流効率化による輸送コストの削減など、環境負荷低減の取り組みは、中長期的なコスト削減にも繋がります。資源価格の変動リスクに対する耐性を高める効果も期待できます。
環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)を重視するESG投資は世界的に拡大しており、優れたESGパフォーマンスは、投資家からの評価を高める上で不可欠な要素となっています 35。ファーストリテイリングが高いESG評価(MSCI、Sustainalytics、CDPなど)を維持・向上させることは、ESG投資資金の呼び込みに繋がります 5。将来的には、サステナビリティ・リンク・ローンやグリーンボンドといった有利な条件での資金調達の可能性も開かれます(競合のH&Mは既にグリーンボンドを発行 68)。主要なESGインデックスへの継続的な組み入れ 35 も、株価の安定性や企業価値向上に寄与します。
持続可能な素材の開発、RE.UNIQLOのような循環型ビジネスモデルの推進、修理サービスの提供、サプライチェーンにおけるデジタルトランスフォーメーションなどは、新たな技術やサービスの創出を促します。これらのイノベーションは、製品やサービスの差別化につながり、環境規制への対応力や資源効率の面で、競合他社に対する優位性を構築する機会となります。特に、EUのESPRのような規制は、全ての企業に対応を迫るため、これを先取りし、戦略的に対応することで、市場でのリーダーシップを確立するチャンスともなりえます 57。
第6章 業界動向と競合分析
アパレル業界では、サステナビリティに関する様々な先進的な取り組みが見られます。ファーストリテイリングの戦略を評価する上で、これらの事例は重要な参考となります。
世界最大手のアパレル企業であるInditex(Zaraの親会社)は、野心的な環境目標を掲げています。2040年までのネットゼロ達成、2030年までにスコープ3排出量を50%削減(ファーストリテイリングの目標より意欲的)といった気候変動目標を設定しています 42。資源循環においては、顧客間の売買や修理、寄付を促進するプラットフォーム「Zara Pre-Owned」を主要市場で展開し 42、リサイクル素材や次世代素材の利用目標(2030年までに繊維の40%を従来型リサイクル、25%を次世代繊維由来とする)も設定しています 42。また、「Sustainability Innovation Hub」を通じて、革新的な素材やプロセス開発を行うスタートアップとの連携を強化しています 42。生物多様性に関しても、2030年までに500万ヘクタールの生態系保全・回復に貢献するという具体的な目標を掲げています 42。これらの取り組みは、高いESG評価にも反映されています 70。
H&Mグループも、2040年までのネットゼロ目標を掲げ 68、CDPの気候変動評価で最高評価の「Aリスト」を獲得するなど、気候変動対策で高い評価を得ています 68。資源循環においては、衣料品回収プログラムを長年実施し、リサイクル素材の利用拡大や循環型ビジネスモデル(レンタル、リセールなど)の開発に注力しています 71。水資源管理にも力を入れており、WWF(世界自然保護基金)と長年にわたりパートナーシップを結び、水スチュワードシップ戦略を推進しています 71。生物多様性に関してもWWFと連携し、持続可能な素材調達や化学物質管理を通じて影響低減を図っています 71。
アウトドアアパレル企業のPatagoniaは、環境活動家としての側面も強く持つ企業として知られています。特に、土壌の健康を回復させ、炭素を貯留し、生物多様性を向上させる「リジェネラティブ・オーガニック(環境再生型有機農業)」認証の設立を支援し、自社製品(特にコットン)にその農法で栽培された素材を積極的に採用しています 74。製品の耐久性を重視し、修理サービス「Worn Wear」を通じて製品寿命の延伸を図るとともに、同プラットフォームで自社製品の古着販売も行っています。サプライチェーンの透明性確保にも力を入れています。
業界全体で見られるその他の先進的な取り組みとしては、有害化学物質排出ゼロを目指す「ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)」プログラムへの参加(ファーストリテイリングも参加 64)、ポリエステルなどを化学的に分解して再生するケミカルリサイクル技術の開発・導入 52、ブロックチェーン技術などを活用したサプライチェーンのトレーサビリティ向上 78 などが挙げられます。日本国内でも、ワールドグループが展開する環境配慮型素材ブランド「CIRCRIC(サーキュリック)」 77 や、経済産業省による繊維製品の資源循環システム検討会を通じた環境配慮設計ガイドライン策定の動き 79 など、官民での取り組みが進んでいます。
ファーストリテイリングの主要な競合他社の環境戦略を概観します。
Inditexは、前述の通り、気候変動(2040年ネットゼロ、2030年スコープ3 50%削減、自社運営100%再エネ達成済み、サプライチェーンでの再エネ導入推進) 42、資源循環(2030年までに低負荷素材100%、リサイクル・次世代繊維目標、Zara Pre-Owned展開、廃棄物管理) 42、生物多様性(2030年500万ha保全・回復目標、再生農業・有機農業由来素材25%目標、WWF等との生態系保全プロジェクト) 42 の各分野で、具体的かつ意欲的な目標と多岐にわたる取り組みを推進しています。特に、スコープ3削減目標の高さや、イノベーションハブを通じた新技術への投資、具体的な生物多様性保全目標の設定などが特徴的です。
H&Mグループも、気候変動(2040年ネットゼロ、CDP気候変動Aリスト、サプライチェーンでの排出削減支援) 68、資源循環(循環型デザイン、衣料回収・リサイクル、リサイクル素材利用) 71、生物多様性(WWFとの連携、持続可能な素材調達、水・化学物質管理) 71 において、包括的な戦略を展開しています。長年のWWFとのパートナーシップや、グリーンボンド発行による資金調達 68 など、外部連携やサステナブルファイナンスの活用も特徴です。
Gap Inc.は、SBTiに承認された気候変動目標(2030年までにスコープ1&2を90%削減、スコープ3を32.5%削減、自社運営100%再エネ化)を設定しています 41。スコープ1&2の削減進捗(2023年時点で-69%)や再エネ導入率(2023年時点で47%)は、ファーストリテイリングと比較するとやや遅れています 41。資源循環に関しては、独自の水削減技術「Washwell」をジーンズ生産に導入し、大幅な水使用量削減を達成したとしています 84。リサイクルポリエステルや持続可能なコットン(オーガニック、リサイクル、再生型など)の利用目標も掲げています 84。生物多様性への言及は、主にオーガニック農業やリジェネラティブ農業によるコットン調達に関連して見られます 84。CDPの気候変動スコアはA-評価です 41。
超高速ファッション(Ultra-fast fashion)モデルで急成長したSheinは、そのビジネスモデル自体が環境負荷や労働問題と関連付けられ、多くの批判に晒されています 63。同社はこれに対し、AIを活用した需要予測による過剰生産の抑制 63、サプライチェーンの透明性向上(ブロックチェーン導入の検討など)や第三者監査の強化 78、環境配慮型素材を使用したコレクションの展開 78 といった対応策を打ち出していると報じられています。しかし、ファーストリテイリング、Inditex、H&M、Gap Inc.といった大手競合他社と比較して、サステナビリティに関する目標や実績の詳細な情報開示は限定的であり、その実態については不透明な部分が多いのが現状です。
これらの比較から、ファーストリテイリングは、InditexやH&Mといった欧州系の大手競合と同様に、包括的な環境戦略と目標を設定し、特に自社運営の脱炭素化においては顕著な進捗を見せていることがわかります。一方で、スコープ3削減目標の意欲度や、生物多様性に関する具体的な取り組みの進捗、革新的な循環型技術への投資といった面では、Inditexなどがより先進的な動きを見せている可能性も示唆されます。Patagoniaのようなニッチながら影響力の大きいプレイヤーは、リジェネラティブ農業といった特定の分野で業界全体の方向性に影響を与えています。Sheinの事例は、透明性の欠如とサステナビリティへの取り組みが不十分と見なされることが、現代においていかに大きな事業リスクとなりうるかを示しています。この競争環境の中で、ファーストリテイリングが自社のポジションをどう維持・向上させていくかが注目されます。
第7章 環境スコアのベンチマーキング
企業の環境への取り組みやパフォーマンスを客観的に評価し、比較するためには、独立した第三者評価機関によるESGスコアやレーティングが重要な指標となります。ここでは、主要な評価機関によるファーストリテイリングとその競合他社の評価を比較分析します。
MSCI ESGリサーチは、企業のESGリスクと機会の管理能力を評価し、AAAからCCCまでの7段階で格付け(レーティング)を行っています。ファーストリテイリングは、2020年以降継続して「AA」評価を獲得しており、これは全7段階評価の上から2番目に位置します 66。リテール(消費者裁量品)業界に属する79社の中でリーダー企業と評価されています 67。これは、同社が業界内でESG課題への対応において先進的な取り組みを行っていることを示唆しています。競合他社の具体的なMSCIレーティングは提供された情報からは確認できませんが、一般的にInditexやH&Mも比較的高い評価を得ている傾向があります。ファーストリテイリングはまた、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用するESG指数の一つである「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄にも選定されています 35。
Sustainalyticsは、企業が直面するESGリスクの大きさと、それらのリスクをどの程度管理できているかを評価し、「ESGリスクレーティング」としてスコア化しています。スコアが低いほどリスクが低い(管理状況が良い)ことを示します。ファーストリテイリングのESGリスクレーティングは「15.4」であり、「低リスク」カテゴリーに分類されています(2025年2月時点) 5。これは、リテイリング業界グループ469社中122位、グローバルユニバース(評価対象全企業)15167社中1747位に相当します 5。競合他社と比較すると、Inditexは「10.4」(低リスク、リテイリング業界17位)と、ファーストリテイリングよりもさらに低いリスクスコア(=より良い評価)を得ています 70。一方、H&Mは「20.3」(中リスク、リテイリング業界292位)であり、ファーストリテイリングよりもリスクが高いと評価されています 86。Gap Inc.のスコアは確認できませんでしたが、Lululemon Athleticaは「14.1」(低リスク、リテイリング業界90位)と、ファーストリテイリングに近い評価です 86。この比較から、ファーストリテイリングは業界内でESGリスク管理が良好な企業と評価されているものの、Inditexがこの評価軸では一歩リードしている状況が見て取れます。
CDPは、企業に対し気候変動、水セキュリティ、フォレスト(森林保全)の3つのテーマに関する質問書を送付し、その回答内容に基づいてAからD-(未回答はF)のスコアを付与しています 87。スコアは、情報開示の包括性や質、リスク認識、目標設定、具体的な行動、ガバナンスなどを評価するものであり、透明性とパフォーマンスの両面を反映します 88。ファーストリテイリングは、気候変動分野において、2022年、2023年、2024年と3年連続で最高評価である「Aリスト」企業に認定されています 28。これは、同社の気候変動に関する取り組みと情報開示の透明性が国際的に高く評価されていることを示します。水セキュリティ分野では、2022年に「A」評価を獲得しましたが、2023年、2024年は「A-」評価となっています 29。これも依然としてリーダーシップレベルの高い評価です。一方、フォレスト分野の評価は、2021年から2023年にかけて「B」、2024年は「C」となっており 50、他の2分野と比較してパフォーマンスや情報開示に課題があることが示唆されます。競合他社を見ると、H&Mグループは2025年の評価で気候変動が「A」、フォレストと水セキュリティが「B」でした 68。Gap Inc.は2023年の気候変動スコアが「A-」です 41。Inditexのスコアは明示されていませんが、その包括的な取り組みから高い評価を得ていると推測されます。CDPの評価は、特に気候変動と水セキュリティにおいてファーストリテイリングが業界をリードする存在であることを裏付けていますが、森林関連リスク(木材由来繊維や紙資源など)への対応が相対的な弱点である可能性を浮き彫りにしています。日本企業全体で見ても、CDPのAリストに選定される企業は限られており 87、ファーストリテイリングの気候変動Aリスト選定は特筆すべき成果です。
ファーストリテイリングは、上記以外にも複数のESG関連評価やランキングで高い評価を得ています。例えば、ISS ESGの「ESGコーポレートレーティング」において、2024年に初めて最高評価である「プライム」ステータスに認定されました 66。また、World Benchmarking Alliance(WBA)による評価では、2022年の「Nature Benchmark(自然)」で世界のアパレル企業66社中2位、2023年の「Social Transformation Benchmark(社会変革)」で55社中4位、同じく2023年の「Decent Work Benchmark(ディーセント・ワーク)」で65社中4位と、環境・社会両面でトップクラスの評価を受けています 66。さらに、Corporate Knights社が発表する「Global 100 Index(世界で最も持続可能な100社)」にも選出されており、2023年には64社中7位にランクインしました 66。これらの多様な評価は、同社のサステナビリティへの取り組みが広範な分野で認められていることを示しています。
これらのESGスコアやランキングを用いたベンチマーキングは、ファーストリテイリングの環境パフォーマンスとマネジメント体制を、競合他社や業界標準と比較する上で極めて有効です。MSCIやSustainalyticsの評価は、総合的なESGリスク管理能力を示し、投資家視点での評価を反映します。CDPのスコアは、気候変動、水、森林という特定の環境課題に対する具体的な取り組みの進捗度と透明性を測る上で重要です。ファーストリテイリングは、特に気候変動と水セキュリティにおいてリーダーシップを発揮していることがこれらの評価から明らかです。一方で、森林関連の評価や、SustainalyticsのリスクスコアでInditexに僅かに及ばない点などは、今後の改善が期待される領域を示唆しています。これらのベンチマーク結果は、同社が自身の強みと弱みを客観的に把握し、今後の戦略策定に活かすための貴重な情報源となります。
第8章 課題と提言
ファーストリテイリングは環境分野で多くの先進的な取り組みを進めている一方で、さらなる改善が求められる課題も抱えています。
最大の課題の一つは、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3、カテゴリ1)の削減です。2030年までに20%削減という目標に対し、2024年時点で18.6%削減と進捗していますが 33、目標達成までの期間を考えると、削減ペースの加速が必要です。また、この目標自体が、1.5℃目標達成に必要なレベルと比較して意欲度が低いとの外部からの指摘もあります 40。これは、グローバルに広がる多数の独立したサプライヤーに対して、脱炭素化を促し、実行させていくことの難しさを反映しています。
2030年までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などに切り替えるという目標 25 に対し、現在の達成率は18.2%に留まっています 25。特に、技術的に確立されているポリエステルやダウンのリサイクル 23 を超えて、コットンやその他の天然繊維、合成繊維における「服から服へ」のクローズドループ・リサイクルを大規模に実現するには、技術開発とその社会実装、回収・選別インフラの整備が不可欠であり、大きな挑戦です 25。
原材料調達から製品化までの全工程におけるトレーサビリティ(追跡可能性)の確保は、環境負荷(特に生物多様性への影響)や人権デューディリジェンスを実効性あるものにするための基盤です。ファーストリテイリングはトレーサビリティ強化を進めていますが 26、特に農場レベルまでの完全な追跡や、その情報の効果的な管理・開示には、依然として複雑な課題が伴います。サプライヤーリストの公開範囲についても、部分的な開示に留まっているとの指摘があります 40。
生物多様性保全に関する方針策定やリスク評価は行われているものの 26、具体的なアクションプランの実行と、その成果の定量的な報告については、まだ発展途上にあるように見受けられます。特に、リジェネラティブ農業の導入拡大や、森林破壊リスクのある原材料(木材パルプなど)の調達管理、生産地での具体的な生態系保全活動などに関して、より踏み込んだ取り組みと情報開示が求められます。これは、CDPの森林スコアが相対的に低いことにも表れています 50。
EUのESPR(エコデザイン規則)に代表されるような、製品のライフサイクル全体にわたる環境規制の強化は、ファーストリテイリングの事業モデルに直接的な影響を与えます 57。特に、売れ残り製品の廃棄禁止や、製品の耐久性・修理可能性に関する要求は、在庫管理、製品設計、販売後のサービス提供体制など、バリューチェーン全体にわたる変革を必要とします。これらの規制動向に迅速かつ戦略的に対応していくことが不可欠です。
上記の課題を踏まえ、ファーストリテイリングが今後、環境パフォーマンスをさらに向上させ、持続可能なアパレル業界のリーダーとしての地位を確固たるものにするために、以下の点を提言します。
スコープ3排出削減目標(カテゴリ1)について、最新の科学的知見や競合他社の動向(特にInditexの50%削減目標など)を踏まえ、その意欲度を再評価することを推奨します。目標達成を加速するため、主要サプライヤーとのパートナーシップをさらに深化させ、省エネ診断の共同実施、再生可能エネルギー導入支援(技術的・資金的インセンティブの検討を含む)、主要な製造拠点地域における共同での再エネ調達イニシアチブへの投資などを強化すべきです。
資源循環のスケールアップに向け、特にポリエステルやダウン以外の素材(コットン、混紡素材など)を対象とした「服から服へ」のリサイクル技術の研究開発への投資を大幅に拡大することを推奨します。RE.UNIQLO STUDIOによる修理・リメイクサービスをグローバルに拡充し、顧客が製品を長く使い続ける文化を醸成すべきです。InditexのSustainability Innovation Hubのような取り組みを参考に、革新的な循環型技術を持つスタートアップとの連携や投資を積極的に検討することも有効です。また、製品設計段階から解体・リサイクルのしやすさを考慮する「サーキュラーデザイン」の原則を、より広範な製品カテゴリーに導入していくべきです。
サプライチェーンの透明性向上のため、ブロックチェーンや同位体分析といった先進的なトレーサビリティ技術の導入や実証実験を推進し、原材料レベルまでの追跡可能性を高めることを推奨します。環境・社会影響に関するデータ収集・管理システムを強化し、より精緻なモニタリングと報告体制を構築すべきです。サプライヤーリストの公開範囲を拡大することも、透明性向上へのコミットメントを示す上で有効と考えられます。
生物多様性保全方針に基づき、より具体的で測定可能な目標と期限を定めたアクションプランを策定・公開することを推奨します。特に影響の大きい原材料(コットン、ビスコースレーヨンなど)に焦点を当て、認証素材の調達比率向上や、リジェネラティブ農業のパイロットプロジェクト実施と段階的な拡大に関する具体的な目標を設定すべきです。主要な調達地域において、信頼できる環境NGOや地域コミュニティと連携し、現地の生態系保全・回復に貢献する具体的なプロジェクトを支援・実施することも重要です。森林関連リスクのある原材料(木材パルプ、紙など)の調達に関する情報開示を強化し、CDP森林スコアの改善を目指すべきです。
EUのESPR(特に売れ残り製品の廃棄禁止、耐久性・修理可能性要件)をはじめとする新たな環境規制に対し、受け身ではなく戦略的に対応する計画を策定・実行することを推奨します。これには、AIなどを活用した需要予測精度のさらなる向上、RE.UNIQLOを通じた寄付・リユースチャネルの強化、あるいは専用の再販プラットフォームの構築検討、リサイクルパートナーとの連携強化などが含まれます。また、製品開発プロセスにおいて、耐久性や修理のしやすさといった要件を、規制発効を待たずに積極的に組み込んでいくことが、将来的な競争優位につながります。
これらの提言は相互に関連しています。例えば、トレーサビリティの向上(提言3)は、スコープ3排出量管理(提言1)や生物多様性への影響評価(提言4)の基盤となります。循環型モデルへの投資(提言2)は、資源制約への対応だけでなく、ESPRのような規制圧力(提言5)への有効な対策ともなりえます。したがって、これらの課題と提言に対して、個別の対策としてではなく、統合的かつ戦略的なアプローチを取ることが、より効果的であると考えられます。
本報告書の分析を通じて、ファーストリテイリングが環境課題に対して体系的かつ積極的に取り組んでいることが明らかになりました。特に、自社運営における脱炭素化(スコープ1・2排出削減、再生可能エネルギー導入)においては、SBTi認定目標の達成に向けて着実な進捗を示しており、業界内でも先進的なレベルにあると評価できます。また、長年にわたる衣料品回収・リユース・リサイクルプログラム「RE.UNIQLO」は、ポストコンシューマー段階における責任を果たそうとする同社の姿勢を示す象徴的な取り組みです。主要なESG評価機関からの評価も高く、特にCDPの気候変動および水セキュリティ分野ではリーダーシップを発揮しています。
一方で、克服すべき課題も明確になりました。サプライチェーン全体(スコープ3)の排出削減は依然として大きな挑戦であり、現行目標の意欲度と達成ペースには改善の余地があります。資源循環に関しても、リサイクル素材の使用率向上目標達成には、特にポリエステルやダウン以外の素材における技術革新とインフラ整備が急務です。サプライチェーンの完全なトレーサビリティ確保や、生物多様性保全策の具体的な実行と成果報告についても、さらなる努力が求められます。これらの点は、CDP森林スコアの相対的な低さにも表れています。競合比較においては、総合的なESG評価ではリーダーグループに位置するものの、特定の分野(例:スコープ3目標、循環型イノベーション投資、Sustainalyticsリスクスコア)ではInditexなどが先行している側面も見られます。
ファーストリテイリングは、今後、EUのエコデザイン規則(ESPR)に代表されるような、より厳格化する環境規制への対応という大きな外部環境の変化に直面します。同時に、投資家や消費者からのサステナビリティに対する要求水準も高まり続けるでしょう。このような状況下で、同社が持続的な成長を達成し、グローバルリーダーとしての地位を維持するためには、本報告書で指摘した課題、特にサプライチェーンの脱炭素化、資源循環の本格的なスケールアップ、トレーサビリティの向上、そして生物多様性保全策の具体化に、より一層注力していく必要があります。提言された戦略を実行に移し、その進捗と成果を透明性高く開示していくことが、同社が掲げる「LifeWear」の哲学、すなわち「あらゆる人の生活をより豊かにする究極の普段着」を、地球環境や社会との調和の中で真に実現するための鍵となるでしょう。ファーストリテイリングの巨大な事業規模と影響力を考慮すれば、その取り組みの成否は、アパレル産業全体の持続可能な未来にも大きな影響を与えるものと期待されます。
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約50%をリサイクル素材などに切り替え、ファーストリテイリングが2030年度目標を発表, https://www.fashionsnap.com/article/2021-12-02/uniqlo-sustainability/
SDGs取組事例 | 服のチカラで世界を笑顔に | 12.つくる責任 つかう責任 | EduTownSDGs, https://sdgs.edutown.jp/action/009.html
サプライチェーン全体で進む脱炭素化! 大手企業の脱炭素戦略とは - 電巧社, https://de-denkosha.co.jp/datsutanso/trivia/deca-supplychain/
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EUの「エコデザイン規制」 アパレル業界が取り込むべき課題とは - ファッションスナップ, https://www.fashionsnap.com/article/2024-03-11/recycle/
EUで売れ残った服や靴が廃棄できなくなる!?〜EUの規制内容解説 & 日本にも及ぼす今後の影響とは〜|リコマース総研 by Mercari - note, https://note.com/recommerce_labo/n/n185196554d56
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EUアパレル廃棄禁止令|日本企業は古着・リセールに本腰を | FULL KAITEN(フルカイテン), https://full-kaiten.com/news/blog/8912
EU、環境対策3法が成立 売れ残り服の廃棄禁止など | ファッション衣料とサステイナビリティ, https://east-wind2019.com/archives/3903
EUが大筋合意、売れ残りの服・靴の廃棄を禁止 - ファッション衣料とサステイナビリティ, https://east-wind2019.com/archives/3580
EUの新エコデザイン規制がもたらす変革:日本企業と消費者に何が起こるのか, https://jigyokasozo.com/blog/EUNewEcoDesignRegulations
2025年にEU全加盟国で洋服の分別回収がスタート! EUのアパレル法整備まとめと現在地をチェック - Shift C 世界基準のファッションのエシカル度評価サービス powered by Good On You, https://shiftc.jp/2025/04/14/fashion-regulations-in-eu-member-countries-summary-2025/
【第三回】ステップ、対応、およびトレンド〜持続可能なESG志向のサプライチェーン:現代ビジネスの戦略的必須条件 - aiESG, https://aiesg.co.jp/topics/report/230829_supply-chain3/
人気と同時に懸念点も。世界中を虜にしている「SHEIN」とは? | SDGs MAGAZINE, https://sdgsmagazine.jp/2022/12/27/8757/
水資源の管理 | 服のチカラを、社会のチカラに。 UNIQLO Sustainability, https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/planet/supply_chain/cdp/water/
ファーストリテイリング/サプライチェーン改革推進、原材料調達まで自社管理, https://www.risktaisaku.com/articles/-/85161
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ファッション企業のサステナビリティ目標を徹底解説!業界が取り組む「環境に優しい未来」へのロードマップ - Shima Seiki, https://spotlight.shimaseiki.com/ja-jp/wearware/toward_sustainability
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ユニクロも事業化検討、欧州では廃棄禁止に…「古着」ブームの深層, https://full-kaiten.com/news/blog/8763
1月 1, 1970にアクセス、 https://www.gapinc.com/en-us/impact/