GX RESEARCH

日本製鉄株式会社の環境イニシアチブとパフォーマンスに関する包括的分析

更新日:2025年5月7日
業種:製造業(3333)

序論

本報告書の目的と構成

本報告書は、日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3分野を中心に包括的かつ学術的な分析を行うことを目的とする。企業の環境スコア算出に必要な詳細情報を提供し、戦略的洞察を提示する。

本報告書の構成は、まず第1部で日本製鉄の各環境分野における具体的な取り組みと2023事業年度を中心とした近年の実績を詳述する。続く第2部では、日本製鉄を取り巻く事業環境と戦略的考察として、潜在的な環境関連リスクと事業機会、鉄鋼業界における環境ベストプラクティス、そして同社が直面する現在の課題と将来に向けた提言を分析する。第3部では、国内外の主要な競合他社の環境イニシアチブとパフォーマンスを比較し、ESG評価機関による環境スコアのベンチマーキングを通じて日本製鉄の相対的な位置づけを明らかにする。最後に、これらの分析結果を総括し、日本製鉄が持続可能な鉄鋼生産に向けて取り組むべき重点分野について最終的な提言を行う。

鉄鋼業界における環境課題の重要性

鉄鋼業は、現代社会に不可欠な基幹素材を供給する一方で、地球環境に対して大きな影響を与える産業である。特に、世界の二酸化炭素(CO2​)排出量の約7%を占める主要排出産業として認識されており、その脱炭素化は地球温暖化対策を推進する上で極めて重要な鍵となる 1。また、鉄鉱石や石炭といった天然資源の大量消費、製造プロセスにおける水資源の利用、副産物や廃棄物の発生など、資源循環の推進や生物多様性への配慮も鉄鋼業界が取り組むべき喫緊の課題である。

日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標や、国際的な環境規制の強化(例えば、カーボンプライシング制度の導入拡大、欧州連合(EU)の炭素国境調整措置(CBAM)の本格化など)は、国内外の鉄鋼メーカーに対して、従来の生産プロセスや事業構造の抜本的な変革を迫っている 2。このような背景のもと、鉄鋼業界における環境課題への対応は、単に法令遵守や社会的責任という側面を超え、企業の競争力、技術革新、さらには事業の持続可能性そのものに直結する戦略的優先事項へとその重要性を増している。環境負荷の低減に向けた取り組みの遅れは、炭素税などの直接的なコスト増加のみならず、環境性能を重視する市場からの評価低下や、ESG投資を志向する投資家からのダイベストメント(投資引き揚げ)圧力といった形で、企業価値を大きく損なうリスクを内包する 1。一方で、水素還元製鉄や電炉(EAF)といった革新技術の開発・導入、グリーン鋼材といった高付加価値製品の市場投入は、新たな競争優位性を確立し、持続的な成長を実現するための大きな事業機会ともなり得る 4。したがって、鉄鋼企業は環境戦略を経営戦略の中核に据え、技術開発、設備投資、サプライチェーン管理、そしてステークホルダーとのエンゲージメントを統合的かつ積極的に推進していくことが求められている。

第1部:日本製鉄の環境への取り組みと実績

1. 気候変動への対応

具体的戦略:「カーボンニュートラルビジョン2050」及び中間目標

日本製鉄は、気候変動問題を経営の最重要課題の一つと位置づけ、2050年カーボンニュートラルの達成を目標に掲げている。この目標達成に向けた包括的な戦略として「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を策定し、多様な施策を推進している 7

このビジョンにおける中間目標として、日本製鉄は2030年度にCO2​排出量(スコープ1およびスコープ2、国内単独)を2013年度比で30%削減することを掲げている 2。当初、この目標値は絶対量で7500万トンとされていたが 9、2023年統合報告書においては7240万トンCO2​とより具体的な数値が示されている 10

2023事業年度(以下、FY2023)における連結ベースでの実績を見ると、エネルギー起源CO2​排出量(スコープ1+2)は7647万トンであった 11。同年度の粗鋼生産量は3951万トンであり、これに基づくCO2​排出原単位は1トン当たり1.93トンCO2​と報告されている 11。なお、2022年度の排出量は7530.9万トンであり 9、一部報道では2023年度の排出量が7600万トンに増加したとの情報もある 10。これらの排出量の変動は、主に生産量の増減に起因する可能性が示唆される。

スコープ3排出量については、FY2023の実績として、カテゴリー1(購入した製品・サービス)で1199.5万トンCO2​、カテゴリー4(上流輸送・流通)で61.1万トンCO2​が計上されている 11。しかしながら、現時点においてスコープ3排出量に関する具体的な削減目標は設定されていないとの指摘がある 2

排出量削減の進捗状況を分析すると、2030年の中間目標である7240万トンCO2​に向けて排出量は徐々に減少傾向にあるものの、この削減は主に生産量の減少による影響が大きく、排出原単位の改善を通じた実質的な削減効果は限定的であるとの分析が複数の報告でなされている 9。例えば、Transition Asiaの分析によれば、2013年度から2023年度にかけての排出量削減のうち、実に88%が生産量の減少に起因するものであり、排出原単位の改善による寄与はわずか12%に留まるとされている 10

この事実は、日本製鉄の排出量削減目標達成の「質」に関する重要な論点を提供する。生産量の削減に大きく依存した排出量の減少は、真の意味での脱炭素化とは言い難く、将来的に市場環境が変化し需要が回復した際には、目標達成が困難になるリスクを内包している。また、国際的なESG評価においては、絶対排出量だけでなく排出原単位の改善が重視される傾向にあるため、現状の進捗状況は投資家からの評価にも影響を与える可能性がある。地球温暖化対策に関するパリ協定の1.5℃目標との整合性を確保するためには、生産活動と排出量のデカップリング、すなわち排出原単位の抜本的な改善が不可欠である 9。投資家は、排出削減策の表面的な数値だけでなく、その実効性や持続可能性を厳しく評価する傾向を強めている 1。したがって、生産量の回復局面においても排出量のリバウンドを抑制し、持続的に目標を達成するためには、技術的手段による排出原単位の抜本的な改善が急務であり、その進捗状況について透明性の高い情報開示が求められる。

主要技術開発

日本製鉄は、「カーボンニュートラルビジョン2050」の実現に向け、複数の革新的技術開発に取り組んでいる。

  • COURSE50及びスーパーCOURSE50の進捗とCO2​削減ポテンシャル

  • COURSE50は、既存の高炉プロセスからのCO2​排出量を30%削減することを目的とした技術であり、製鉄所内で発生する水素リッチガスを高炉で還元材として利用することにより10%削減、さらに高炉ガスからCO2​を分離・回収(CCUS)することにより20%削減する構成となっている 7。日本製鉄は、2025年度下期に東日本製鉄所君津地区の第2高炉においてCOURSE50の実証試験を開始し、2030年度までの実用化を目指している 7。2023年2月には、この実証試験を実機大型高炉(試験炉の約400倍規模)で行うことを決定したと報告されている 10

  • スーパーCOURSE50は、COURSE50の技術をベースに、製鉄所外部から調達した水素を高炉へ大量に吹き込むことで、CO2​排出量を最大50%削減することを目指す技術である 7。2023年11月から12月にかけて実施された12立方メートルの試験炉での実験では、33%のCO2​削減効果が確認された 10。スーパーCOURSE50は2040年頃の導入が目標とされている 10

  • これらの技術開発には課題も指摘されている。COURSE50の本格的な商業化の時期や、それに伴う設備投資・運転コストについては依然として不透明な部分があるとの見方がある 9。また、CCUS技術の適用には、CO2​の安定的な貯留場所の確保や、分離・回収・輸送・貯留に関わるコストが大きな課題となる。

  • 水素還元製鉄(H2-DRI)技術の開発状況と導入計画

  • 水素還元製鉄は、鉄鉱石の還元に水素のみを使用することで、還元工程におけるCO2​排出を原理的にゼロにすることを目指す革新的な製鉄プロセスである 7。日本製鉄は、この技術において比較的安価で豊富な低品位の鉄鉱石を利用することを目指しており、これが実現すれば原料調達の面で大きな強みとなる 7

  • 経済産業省のグリーンイノベーション基金事業として採択されており、波崎研究開発センター(茨城県神栖市)に10トン規模の小型試験炉を建設し、2025年度からの実験開始を予定している 7。将来的には、2050年までの商業化を目指すとしている 7。さらに、同センターには大型電炉(EAF)と直接還元鉄(DRI)製造プロセスの一貫開発拠点として「HyDreams™」を設立し、技術開発を加速させている 11

  • 一方で、H2-DRI技術の商業化時期や大規模な導入計画については、依然として明確なロードマップが示されていないとの指摘もある 9。また、この技術の実現には、安価で安定的なグリーン水素の大量調達が不可欠であり、水素供給インフラの整備や水素製造コストの低減が前提となる。

  • 電炉(EAF)導入・活用状況と高グレード鋼生産への挑戦

  • 日本製鉄は、低品位鉱石から製造した水素還元鉄と鉄スクラップを原料として、自動車外板用鋼板などの高級鋼を大型電炉(溶解能力約300トン、高炉・転炉プロセスと同等の量産規模)で製造する技術を、2030年度までに確立することを目指している 7

  • この取り組みの一環として、瀬戸内製鉄所広畑地区では2022年度に最新鋭の電炉が稼働を開始した 7。また、波崎研究開発センターにも10トン規模の小型電炉を設置し、2024年度から実験を開始する計画である 7。さらに、九州製鉄所八幡地区および瀬戸内製鉄所広畑地区を、既存の高炉から電炉への転換候補地として具体的な検討を開始したことが報告されている 11

  • しかしながら、現状では電炉への本格的なシフトは他のグローバル鉄鋼メーカーと比較して遅れているとの指摘がなされている 9。電炉での高級鋼製造においては、原料となる鉄スクラップに含まれる不純物の管理技術の確立や、高品質な鉄スクラップの安定的な調達が重要な課題となる。

これらの主要技術開発を含むカーボンニュートラル達成に向けた投資総額として、日本製鉄は研究開発費に約0.5兆円、設備投資に約4兆円から5兆円が必要になると試算している 7

再生可能エネルギー導入状況

日本製鉄は、製鉄所内で使用する電力の89%を自家発電によって賄っており、そのうちの70%は排熱やコークス炉ガス、高炉ガスといった副生ガスを利用した発電によるものであると報告されている 11。これは、エネルギーの効率的な利用という観点からは評価できるものの、これらの副生ガスは依然として炭素を含むため、発電時にCO2​を排出する。

外部から購入する電力や、将来的に導入が期待される水素製造プロセス、電炉プロセスの本格稼働に必要な電力について、再生可能エネルギーの導入に関する具体的な数値目標や調達実績は、現時点の開示情報からは限定的である。

製鉄プロセス自体の脱炭素化努力と並行して、事業活動で使用する電力のグリーン化は、ライフサイクル全体でのCO2​排出量削減を達成する上で不可欠な要素である。特に、将来の主要技術として期待される水素還元製鉄におけるグリーン水素の製造や、電炉プロセスの電力源として、大規模かつ経済的に競争力のある再生可能エネルギーの確保は、日本製鉄の将来の競争力を大きく左右する要因となる。現状、自家発電の比率は高いものの、その電源構成のさらなる低炭素化、具体的には再生可能エネルギー比率の向上が次の重要なステップとなる。水素還元製鉄や電炉化は大量の電力を消費するため、これらの電力が化石燃料由来であれば、ライフサイクル全体で見た場合のCO2​削減効果は限定的とならざるを得ない 4。したがって、再生可能エネルギーの調達戦略(電力購入契約(PPA)の締結、再生可能エネルギー発電事業への直接投資など)の具体化と、それに伴う潜在的なコスト増をどのように吸収し、製品価格に反映させていくかが、今後の重要な経営課題となる。

GX(グリーン・トランスフォーメーション)鋼材「NSCarbolex®」の開発と展開

日本製鉄は、グリーントランスフォーメーション(GX)に貢献する鋼材として「NSCarbolex®(エヌエスカーボレックス)」ブランドを立ち上げ、その開発と市場展開を進めている 5。このブランドの下で提供される「NSCarbolex® Neutral」は、マスバランス方式を活用し、製鉄プロセスにおけるCO2​排出削減価値を特定の製品に割り当てることで、実質的にCO2​排出量を抑えた低CO2​鋼材である 6

具体的な供給事例としては、2023年度に愛知製鋼株式会社向けに自動車運搬船のコンテナ部材として、年間約30万トンの供給を計画していることが報告されている 9。日本製鉄は、このGX鋼材市場を積極的に創出し、そこで生まれるCO2​削減価値を経済的な価値へと転換していくことを目指している 5

TCFD提言に基づくシナリオ分析と情報開示

日本製鉄は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、気候変動が事業に与えるリスクと機会についてシナリオ分析を実施し、その結果を情報開示している 8。分析にあたっては、地球の平均気温上昇を1.5℃、2℃、および4℃に抑制する複数のシナリオを選定し、2050年以降の中長期的な時間軸で評価を行っている 8

TCFD提言に基づく開示情報によると、日本製鉄は以下のような気候関連リスクと機会を認識している 6

  • リスク認識:

  • 規制リスク:カーボンプライシング制度(炭素税や排出量取引制度など)の導入・強化に伴う事業コストの増加。

  • 市場リスク:電気自動車(EV)化の進展や燃費規制強化に伴う自動車用鋼材の需要構造の変化、顧客からの低炭素鋼材への要求の高まり。

  • 物理リスク:異常気象の頻発化・激甚化による原料調達の不安定化や、自社生産拠点における操業停止・出荷遅延のリスク。

  • 技術リスク:カーボンニュートラル達成に向けた製鉄プロセスの抜本的な改革(例:水素還元製鉄への移行)に伴う巨額の投資負担や操業コストの増加。

  • 機会認識:

  • 製品・サービス:EV向け高機能電磁鋼板や軽量高強度鋼板、再生可能エネルギー設備(太陽光発電、風力発電など)向け特殊鋼材といった、脱炭素社会の実現に貢献する高付加価値製品の需要拡大。

  • 市場:低炭素鋼材市場の成長と、それに伴う新たな顧客獲得の機会。

  • 資源効率:省エネルギー技術の導入や副産物の有効活用によるコスト削減と環境負荷低減の両立。

これらのリスクと機会を踏まえ、日本製鉄は技術開発ロードマップの推進、高機能製品の開発・供給体制強化、サプライチェーン強靭化、そして政府や関連業界との連携を通じた政策提言や制度設計への関与など、多岐にわたる戦略的対応を進めている。

2. 資源循環の推進

具体的戦略と目標

日本製鉄は、資源の有効活用と環境負荷の低減を目指し、「ゼロエミッションの社内推進」を基本方針として掲げ、製鉄プロセスから発生する副産物の再資源化に積極的に取り組んでいる 14。その取り組みは、単に社内でのリサイクルに留まらず、原材料の調達から製品の製造、輸送、使用、そして最終的なリサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減することを目指すものである 15

副産物(鉄鋼スラグ、ダスト、スラッジ等)の再資源化率と具体的用途

鉄鋼製造プロセスにおいては、鉄1トンを生産するのに約600kgもの副産物(鉄鋼スラグ、ダスト、スラッジ、使用済み耐火物など)が発生するとされている 15。日本製鉄は、これらの副産物のほぼ全量を有効利用しており、再資源化率は99%という極めて高い水準を維持している 11。2019年度の実績においても、この99%の再資源化率が報告されている 15

具体的な用途としては、高炉スラグの約7割が高炉セメントの原料として利用されるほか、製鋼スラグは道路の路盤材、港湾工事などの土木用資材、軟弱地盤の改良材、さらには藻場造成などの海洋環境改善材や肥料としても活用されている 11。FY2023の実績では、高炉スラグの発生量は1076万トンでリサイクル率は100%、製鋼スラグの発生量は450万トンでリサイクル率は97%であった 11

プラスチックケミカルリサイクルの取り組みと実績

日本製鉄は、2000年から容器包装プラスチックを中心とした廃プラスチックを、コークス炉を用いた化学原料化法(ケミカルリサイクル)によって100%再資源化する取り組みを継続している 14。このプロセスでは、廃プラスチックをコークス炉で熱分解し、化学原料(炭化水素油、コークス炉ガス)やコークスの一部として再利用する。

FY2023においては、約20万トンの廃プラスチックをこの方法で処理したと報告されている 11。これは、日本全国の自治体が回収する容器包装プラスチックの約3割に相当する量であり、国内のプラスチックリサイクルにおいて重要な役割を担っていることを示している。2000年度からの累計処理量は約409万トンに達しており、長年にわたる継続的な取り組みの成果が現れている 11

水資源管理(取水量、リサイクル率、節水努力)

製鉄プロセスでは、設備の冷却や製品の洗浄などに大量の水が使用される。日本製鉄は、水資源の有効活用と環境負荷低減のため、使用した水の約90%を再処理し、工程内で繰り返し利用する循環システムを構築している 11

FY2023における工業用水の総使用量は58億立方メートルであった 11。具体的な取水量や詳細なリサイクル率の内訳については、さらなる情報開示が期待されるが、高い水準での循環利用が図られていることがうかがえる。

廃棄物削減と最終処分量

日本製鉄は、副産物の再資源化を徹底することで、最終的に埋め立て処分される廃棄物の量を最小限に抑える努力を続けている。FY2023における最終処分量は28.2万トンであった 11。これは、2019年度の最終処分量28.9万トン 15 から微減しており、継続的な削減努力がうかがえる。日本製鉄は、FY2025までに最終処分量を26.3万トン以下にするという目標を設定している 11

ライフサイクルアセスメント(LCA)の活用

日本製鉄は、製品の環境性能を客観的に評価し、環境負荷低減に繋げるため、ライフサイクルアセスメント(LCA)の手法を積極的に活用している。特に、鉄スクラップのリサイクルが環境に与える効果を定量的に評価する手法の開発においては、世界鉄鋼協会(worldsteel)と連携し、その成果を国際規格(ISO 20915)および国内規格(JIS Q 20915)として規格化する取り組みを主導してきた 15

また、製品の環境情報を消費者に分かりやすく伝えるため、35品目(全製品の80%以上に相当)について、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が認証するエコラベル「エコリーフ」を取得している 7。エコリーフは、製品のライフサイクル全体(資源採掘から製造、使用、廃棄・リサイクルまで)にわたる環境負荷情報を定量的に開示するものであり、顧客が製品選択を行う際の重要な判断材料となる。

日本製鉄の高い副産物リサイクル率は、同社の環境経営における大きな強みであると言える。しかし、今後、社会全体でサーキュラーエコノミーへの移行が加速する中で、単にリサイクル率の高さを追求するだけでなく、「リサイクルの質」の向上や、「リサイクルによって生み出される製品の高付加価値化」が一層重要になってくる。例えば、鉄鋼スラグを原料とする製品について、海洋環境改善材としての効果をさらに高める研究開発や、新たな高機能用途への展開などが考えられる。また、LCA評価を積極的に活用し、その結果を分かりやすく開示することは、鉄鋼製品の環境優位性を客観的に示し、特に自動車産業や建設分野など、他素材(アルミニウム、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など)との競争が激しい分野において、鉄鋼製品の採用を促進する上で有効な戦略となる。ライフサイクル全体で見た場合の環境負荷の低さを実証的に示すことで、顧客の環境意識の高まりに対応し、市場における競争力を強化することが期待される。

3. 生物多様性の保全

具体的戦略と方針(経団連生物多様性宣言、30by30アライアンスへの参画等)

日本製鉄は、事業活動が自然の恵みに大きく依存しており、生物多様性が持続可能な社会の重要な基盤であるとの認識のもと、生物多様性の保全に積極的に取り組んでいる。その指針として、日本経済団体連合会(経団連)が策定した「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同し、これに基づいた活動を展開している 16

さらに、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際目標「30by30」の達成に向け、日本国内で設立された有志連合「生物多様性のための30by30アライアンス」にも参画している 11。これにより、行政、企業、NPOなど多様な主体と連携し、自然再興の取り組み活性化に貢献することを目指している。日本製鉄は、事業活動と生物多様性との関係性を的確に把握し、それぞれの地域特性に応じた保全活動を継続的に実施していく方針を示している 17

「ふるさとの森づくり」:実績(面積、CO2吸収量等)と生態系への貢献

日本製鉄の生物多様性保全活動の中でも象徴的な取り組みの一つが、「ふるさとの森づくり」である。これは、1970年代に当時の横浜国立大学名誉教授であった宮脇昭氏の指導のもと、生態学的な手法に基づき、それぞれの地域に本来生育していた樹種を選定して植樹し、自然に近い森を再生・創出しようという活動である 17

この活動は長年にわたり継続されており、2019年時点で全国の製鉄所構内などに合計約830ヘクタール(東京ドーム約180個分に相当)の森が形成されている 17。2024年の統合報告書においても、その面積は約840ヘクタールと報告されており、着実に拡大していることがわかる 11。これらの森は、多様な動植物の生息・生育空間を提供することで生物多様性の保全に貢献するだけでなく、光合成を通じてCO2​を吸収・固定し、地球温暖化の緩和にも寄与している 16

「海の森づくり」:実績(実施箇所数、ブルーカーボン認証、CO2​吸収量等)と海洋環境再生への貢献

陸上だけでなく、海洋生態系の保全・再生にも注力している。その代表的な活動が「海の森づくり」であり、製鉄プロセスで発生する副産物である鉄鋼スラグを活用して、沿岸域の藻場(海藻や海草が繁茂する場所)を再生・造成する取り組みである 17。鉄鋼スラグには鉄分やミネラルが豊富に含まれており、これらが海藻の生育を促進する効果が期待されている。

この活動は2004年から実証実験が開始され、FY2023時点で全国56箇所で実施されており、前年度から12箇所増加するなど、積極的に展開されている 11。藻場は「海のゆりかご」とも呼ばれ、多くの海洋生物の産卵場所や生育場所となるため、その再生は海洋の生物多様性向上に直結する。近年では、藻場が生態系を通じて吸収・固定する炭素、いわゆる「ブルーカーボン」が地球温暖化対策として注目されており、「海の森づくり」もこの観点からその貢献が期待されている 16。実際に、FY2023には、北海道の増毛町および泊村、そして千葉県君津市で実施した藻場造成プロジェクトにおいて、吸収・固定されたCO2​量33.3トンについて、Jブルークレジット®(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合が認証するブルーカーボン・クレジット)の認証を取得した 11。さらに、FY2023には全国21の海域で新たに藻場造成に関する実証試験を開始しており、技術開発と適用範囲の拡大に向けた努力が続けられている 11

事業拠点における地域連携活動と生物多様性への配慮

日本製鉄は、各製鉄所が立地する地域社会と連携した生物多様性保全活動も展開している。例えば、名古屋製鉄所では、地域の企業や団体と共に「命をつなぐPROJECT」に参画し、工場敷地と隣接する緑地との間に野生動物が安全に移動できる「アニマルパスウェイ」を整備したり、地域住民向けの緑地見学会などを実施している 17。また、愛知県知多半島に広がる緑地帯(日本製鉄の事業所敷地を含む)が、環境省の「自然共生サイト」(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures、保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)として認定されるなど、事業活動と自然環境との調和に向けた取り組みが評価されている 11

TNFD関連の動向と情報開示への取り組み

近年、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に続き、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が注目を集めている。TNFDは、企業が自然資本および生物多様性に関するリスクと機会を評価し、それらを財務情報として開示するための枠組みを提言している。日本製鉄は、生物多様性および自然再興を重要な環境課題として認識しており、関連する諸施策の取り組みを強化するとともに、TNFDの動向を踏まえ、開示情報の充実に努めていく方針を示している 16

「ふるさとの森づくり」や「海の森づくり」といった長年にわたる実績は高く評価されるべきであるが、今後はこれらの活動が生物多様性に対して具体的にどのような定量的貢献をしているのか(例えば、特定の動植物種の個体数増加、生態系サービスの経済価値評価など)をより明確に示し、事業活動全体を通じて生物多様性へのネット・ポジティブ・インパクト(正味でプラスの影響)を目指すための具体的なロードマップを策定・開示することが期待される。TNFDフレームワークへの対応は、そのための重要なステップとなるであろう。面積やCO2​吸収量といった指標に加え、生物多様性指標(例えば、指標種の個体数の経年変化、生態系機能の回復度合いなど)のモニタリング結果や、保全活動が企業価値向上にどのように貢献しているのか(例えば、ブランドイメージの向上、地域社会との良好な関係構築の深化、環境債発行時の有利な条件獲得など)を具体的に示すことが、投資家を含む多様なステークホルダーへの訴求力を高め、持続可能な経営に向けた取り組みの信頼性を一層向上させることに繋がる。

第2部:事業環境と戦略的考察

1. 潜在的リスクと機会

気候関連リスク分析

日本製鉄の事業活動は、気候変動に伴う様々なリスクに晒されている。これらは規制、市場、技術、物理的要因、そして評判といった多岐にわたる側面から顕在化する可能性がある。

  • 規制リスク(カーボンプライシング、排出量取引制度等):
    世界的にカーボンプライシング(炭素税や排出量取引制度など)導入の動きが加速しており、これは高炉を主体とする日本製鉄にとって直接的なコスト増圧力となる。日本国内においても、GXリーグ基本構想に基づく排出量取引制度(GX-ETS)が2026年度から本格稼働する予定であり、その制度設計によっては大きな影響を受ける可能性がある 4。日本製鉄自身もTCFD提言に基づく開示において、カーボンプライシング導入によるコスト増を主要な移行リスクとして認識している 6。一部の分析では、日本製鉄が炭素価格付けや再生可能エネルギー拡大に対して比較的慎重な、あるいは否定的な立場を取っていると指摘されており、これが規制強化の潮流から取り残されるリスクを高めているとの見方もある 3。

  • 市場リスク(グリーン鋼材需要の変化、投資家からの圧力等):
    自動車産業や建設業界をはじめとする主要な需要家において、サプライチェーン全体でのカーボンフットプリント削減への意識が高まっており、グリーン鋼材(製造時のCO2​排出量が少ない鋼材)への需要が急速に拡大しつつある。高炉中心の生産体制から低炭素プロセスへの転換が遅れた場合、日本製鉄は市場シェアを失うリスクに直面する 3。また、ESG投資の拡大を背景に、機関投資家からはパリ協定の目標と整合する具体的な脱炭素化戦略の策定と開示、そしてその着実な実行を求める圧力が強まっている 1。日本製鉄はTCFD開示において、電気自動車(EV)化の進展に伴う需要構造の変化や、顧客からの低炭素鋼材へのシフト要求を市場リスクとして認識している 6。

  • 技術リスク(新技術導入の遅延、既存高炉技術の陳腐化等):
    日本製鉄がカーボンニュートラル達成の切り札と位置付けるCOURSE50や水素還元製鉄といった革新技術は、依然として開発・実証段階にあり、計画通りの性能発揮やコスト効率での商業化が遅延するリスクが存在する 9。これらの新技術導入が遅れた場合、同社の脱炭素化戦略全体に遅滞が生じる可能性がある。また、既存の高炉技術は、長期的には陳腐化し、競争力を失うリスクも抱えている。TCFD開示においても、脱炭素化を実現するための製鉄プロセスの抜本的な改革の必要性とその困難性を技術リスクとして認識している 6。

  • 座礁資産リスク(高炉設備、石炭関連投資等):
    世界的な脱炭素化の流れの中で、高炉などの既存の炭素集約型設備や、石炭関連の権益投資は、将来的に経済的価値を失い「座礁資産」となるリスクが指摘されている 1。日本製鉄は、カナダの石炭鉱山への追加投資や、買収を計画しているUSスチール社が保有する多数の高炉など、石炭火力に依存する資産を依然として抱えており、これらの資産価値が将来的に大きく毀損する可能性は否定できない 3。
    この座礁資産リスクは、単に個々の設備が経済的な価値を失うという問題に留まらない。高炉の閉鎖や事業転換は、その製鉄所が立地する地域経済や関連産業、そして何よりも雇用に対して深刻な影響を及ぼし得る。高炉を中心とした製鉄プロセスは、多くの雇用と広範なサプライチェーンを支えているため、その縮小や閉鎖は地域社会からの強い反発を招き、事業継続そのものを困難にする社会的リスクへと発展する可能性がある。したがって、高炉の段階的な閉鎖や低炭素プロセスへの転換計画を早期に策定し、その過程で影響を受ける従業員や地域社会との十分な対話を通じて、公正な移行(Just Transition)戦略を構築・実行することが、社会的受容性を確保し、円滑な事業変革を実現する上で不可欠となる。

  • 物理リスク:
    気候変動の進行に伴う異常気象(台風の強大化、豪雨の頻発、渇水など)は、原料調達の不安定化(鉱山の操業停止や輸送インフラの寸断など)や、自社の生産拠点における操業停止、製品出荷の遅延といった物理的なリスクを高める。日本製鉄はTCFD開示においてこれらのリスクを認識している 6。

  • 評判リスク:
    気候変動対策への取り組みの遅れや、石炭への依存を継続する姿勢は、環境意識の高い消費者、顧客企業、投資家、さらには社会全体からの評判を損なうリスクがある 3。実際に、企業や政府の気候変動関連ロビー活動を分析するInfluenceMapは、日本の鉄鋼企業の中で日本製鉄が気候変動政策に関して最も消極的な影響力を行使していると評価しており、これはレピュテーション上の大きな課題と言える 3。

事業機会の分析

一方で、気候変動への対応は日本製鉄にとって新たな事業機会を創出する可能性も秘めている。

  • グリーン鋼材市場の成長と高機能鋼材(EV向け電磁鋼板等)の需要拡大:
    世界的にグリーン鋼材市場が立ち上がりつつあり、日本製鉄が開発を進める「NSCarbolex®」ブランドのGX鋼材は、顧客企業のスコープ3排出量削減ニーズに応えることで、新たな市場を開拓し得る 5。特に、自動車のEV化の進展は、モーターコアに使用される高機能電磁鋼板や、車体軽量化に貢献する超ハイテン(高張力鋼板)の需要を大きく押し上げると期待される 6。日本製鉄は、これらの分野で高い技術力を有しており、電磁鋼板のグローバル供給体制の強化を進めている 6。

  • 再生可能エネルギー関連鋼材の需要:
    太陽光発電設備の架台に使用される高耐食性めっき鋼板、洋上風力発電設備の基礎構造物やタワーに使用される厚板・大径鋼管・棒鋼、地熱発電やバイオマス発電プラント向けの特殊鋼管など、再生可能エネルギー導入拡大に伴い、関連する高性能な鋼材の需要増加が見込まれる 6。

  • 資源効率改善、省エネルギー技術によるコスト削減機会:
    製鉄プロセスにおけるエネルギー効率の向上(エコプロセス)、製品使用時の省エネルギー化や長寿命化に貢献する製品開発(エコプロダクツ®)、そして国内外の鉄鋼業への省エネ技術移転(エコソリューション)は、自社のコスト削減だけでなく、社会全体のCO2​排出量削減にも貢献し、企業価値向上に繋がる 8。

  • 環境ファイナンス(グリーンボンド等)活用の可能性:
    脱炭素化に向けた大規模な設備投資や研究開発には巨額の資金が必要となるが、日本製鉄はサステナブルファイナンス・フレームワークを整備しており、グリーンボンドの発行などを通じて、これらの資金を有利な条件で調達できる可能性がある 8。環境貢献度の高いプロジェクトへの資金使途を明確にすることで、ESG投資家からの資金を呼び込みやすくなる。

2. 業界のベストプラクティス

世界の主要鉄鋼メーカーは、気候変動、資源循環、生物多様性といった環境課題に対し、多岐にわたる先進的な取り組みを進めている。これらのベストプラクティスは、日本製鉄が今後の環境戦略を策定・実行する上で重要な示唆を与える。

  • エネルギー効率改善策:
    鉄鋼業におけるエネルギー消費量の最適化は、環境負荷低減の基本的なアプローチである。具体的には、製造プロセスの各段階で発生する廃熱を回収し再利用するシステムの導入や、リアルタイムのデータ分析を活用してエネルギー消費を監視・最適化するスマートファクトリー化が進められている 19。ブラジルのAperam社は、自社で管理する広大な森林から生産される木炭を高炉の燃料として一部代替利用し、CO2​排出量を大幅に削減するユニークな取り組みを行っている 20。

  • クリーンテクノロジー(先進的EAF、水素直接還元、CCUS等)の導入事例:

  • 電炉(EAF): 鉄スクラップを主原料とし、電力で溶解するため、伝統的な高炉・転炉法に比べて原理的にCO2​排出量が少ない 19。米国のBoston Metal社やスウェーデンのSSAB社などは、再生可能エネルギーを利用したEAFの活用で先行している 20。特にSSAB社は、後述するHYBRIT技術(水素直接還元)で製造された直接還元鉄(DRI)をEAFで溶解することで、化石燃料を一切使用しない鉄鋼製造プロセスの確立を目指している 20

  • 水素直接還元(H2-DRI): 還元剤として石炭(コークス)の代わりに水素を用いることで、CO2​排出量を大幅に削減する技術であり、グリーン水素(再生可能エネルギー由来の水素)を利用すれば、原理的にCO2​フリーの鉄鋼生産が可能となる。スウェーデンのH2 Green Steel社や、SSAB社、鉱山会社のLKAB社、電力会社のVattenfall社が共同で推進するHYBRITプロジェクトなどが、この分野の代表的な取り組みである 21

  • CCUS(CO2​分離・回収・有効利用・貯留): 高炉プロセスなどから排出されるCO2​を分離・回収し、地中貯留するか、あるいは化学品などの原料として有効利用する技術。日本製鉄のCOURSE50/スーパーCOURSE50もこの技術カテゴリーに含まれるが、世界的にはまだ大規模な商業プラントは少なく、多くが計画段階や実証段階にある 13

  • 資源循環(スクラップ高度利用、副産物価値向上等)の成功例:
    鉄はリサイクル性に優れた素材であり、鉄スクラップの最大限の活用は資源循環の観点から極めて重要である 19。インドのTata Steel社は、鉄鉱石を微粉末化するコスト効率の高いプロセスを開発し、高炉でのCO2​排出量を最大10%削減することに成功したと報告している 20。また、ブラジルの鉱山大手Vale社は、鉄鉱石を高品位なブリケット(塊成鉱)に加工する技術を開発し、これにより高炉でのCO2​排出量を10%削減できるとしている 20。これらの事例は、原料処理段階からの工夫によって環境負荷を低減するアプローチの有効性を示している。

  • 生物多様性保全における革新的アプローチ:
    欧州のArcelorMittal社は、鉄鋼業界向けの包括的なESG認証制度であるResponsibleSteel™認証を積極的に取得しており、2024年時点でグループ内の42拠点が認証を受けている。この認証は、生物多様性保全に関する要求事項も包含しており、同社は生物多様性関連リスクの理解と管理体制を強化している 22。Tata Steel UKのShotton事業所は、英国のThe Wildlife Trustsが運営するBiodiversity Benchmark認証を取得した。同事業所では、50年以上にわたりアジサシのコロニーを保護してきた実績などが高く評価されている 24。

これらのベストプラクティスを概観すると、単一の技術を導入するだけでなく、複数の技術を戦略的に組み合わせるアプローチ(例:水素直接還元と電炉の連携)、バリューチェーン全体での連携(例:鉱山会社、製鉄会社、電力会社の協業)、国際的な認証制度の積極的な活用、そして事業所が立地する地域社会との共生といった、複合的かつ包括的な取り組みが主流となっていることがわかる。これは、脱炭素化や環境保全といった課題が極めて複雑であり、単一の解決策では不十分であることを示唆している。技術開発、エネルギー転換、資源効率の向上、サプライチェーン管理、そして多様なステークホルダーとのエンゲージメントなどを統合的に推進していくことの重要性が浮き彫りになっている。日本製鉄においても、個々の技術開発努力に加えて、それらを組み合わせた包括的な環境戦略を策定し、外部機関との連携(認証取得、共同研究開発など)を一層強化していくことが、国際的な競争力を維持・向上させる上で不可欠と言えるだろう。

3. 現在の課題と提言

日本製鉄が直面する環境課題の評価

日本製鉄は、カーボンニュートラルに向けた長期ビジョンを掲げ、多様な技術開発や環境保全活動に取り組んでいるものの、その戦略や進捗に対してはいくつかの重要な課題が指摘されている。

  • 1.5℃目標との整合性確保:
    日本製鉄が設定している2030年の中期CO2​排出削減目標(2013年度比30%削減)は、パリ協定が目指す世界の平均気温上昇を1.5℃に抑制する目標とは整合していないとの外部評価が複数存在する 1。例えば、MSCI社によるITR(Implied Temperature Rise:企業活動が示唆する気温上昇レベル)評価では、日本製鉄の企業活動は3.2℃を超える気温上昇に整合すると試算されている 1。また、国際的な環境情報開示プラットフォームであるCDPからも、1.5℃目標に沿ったより野心的な排出削減目標を設定するよう要請を受けている 2。

  • 高炉から低炭素プロセスへの移行加速:
    日本製鉄の生産体制は依然として高炉への依存度が高く、電炉(EAF)や水素直接還元(H2-DRI)といった低炭素製鉄プロセスへの転換が、他のグローバルな先進的鉄鋼メーカーと比較して遅れているとの指摘がある 9。既存高炉の改修・延命投資と、将来の脱炭素化に向けた大規模投資のタイミングをどのように整合させていくかは、極めて重要な経営判断となる 13。

  • 水素・再生可能エネルギーの安定調達とコスト課題:
    水素還元製鉄の本格導入には、大量かつ安価なグリーン水素の安定供給が不可欠であるが、現状ではその見通しは不透明である。日本政府が示す水素の目標供給価格(2030年時点で1立方メートルあたり30円)でも、日本製鉄が競争力のある製鉄プロセスとして求める水準(同8円)とは大きな隔たりがある 4。また、電炉へのシフトやグリーン水素の製造には、大量の脱炭素電源(再生可能エネルギーなど)が必要となるが、その確保も大きな課題である 13。

  • サプライチェーン全体(Scope 3)での排出削減:
    日本製鉄はスコープ1および2の排出削減目標は設定しているものの、サプライチェーン全体での排出量(スコープ3)に関する具体的な削減目標は現時点では設定されておらず、関連する情報開示も限定的であるとの指摘がなされている 2。鉄鋼業のスコープ3排出量は、特に原料調達(鉄鉱石、石炭など)の段階で大きく、この領域での削減努力が不可欠である。

推奨される重点分野と行動計画

上記の課題を踏まえ、日本製鉄が持続可能な鉄鋼生産体制を確立し、国際的な競争力を維持・強化していくためには、以下の分野に重点を置き、具体的な行動計画を策定・実行していくことが推奨される。

  • 脱炭素化投資の加速と優先順位付け(EAF、H2-DRIへのシフト):
    既存の高炉への延命投資に偏重するのではなく、電炉(EAF)および水素直接還元(H2-DRI)といった、既に実用化または実証が進んでいる低炭素技術への投資を大幅に加速し、優先順位を見直すべきである 10。特に、国内で利用可能な鉄スクラップの賦存量を最大限に活用するための戦略を強化し、EAFへの転換を積極的に推進することが求められる 13。

  • より野心的な中期環境目標の設定と進捗開示の透明性向上:
    パリ協定の1.5℃目標と整合する、より野心的な中期CO2​排出削減目標(スコープ1、2のみならずスコープ3を含む)を設定し、その達成に向けた具体的なロードマップを策定・開示する必要がある 12。また、絶対排出量だけでなく、排出原単位に関する削減目標も設定し、その進捗状況を透明性高く定期的に報告することが、投資家や社会からの信頼を得る上で重要となる 2。

  • バリューチェーン全体での協調による環境負荷低減:
    サプライヤーエンゲージメント戦略を具体化し、鉄鉱石や石炭といった上流の原料調達段階における環境負荷(特にCO2​排出量)の削減をサプライヤーと協働して推進すべきである 2。また、顧客企業との連携を強化し、日本製鉄の製品(エコプロダクツ®)や技術(エコソリューション)が、顧客の製品使用段階や製造プロセスにおけるCO2​排出量削減にどれだけ貢献しているかを定量的に示し、その価値を訴求していくことが重要である 8。

  • 生物多様性への貢献拡大と定量的評価の導入:
    自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に基づき、自社の事業活動が自然資本および生物多様性に与えるリスクと機会を評価し、その結果を具体的に情報開示する体制を本格的に整備すべきである。長年継続している「ふるさとの森づくり」や「海の森づくり」といった活動についても、その生物多様性への貢献度(例:特定の動植物種の個体数変化、生態系サービスの向上など)を可能な限り定量的に評価し、その成果を開示情報の充実を通じて積極的に発信していくことが求められる。

第3部:競合他社分析と比較

1. 主要競合他社の環境イニシアチブとパフォーマンス

日本製鉄の環境への取り組みを評価する上で、国内外の主要な競合他社の動向を把握することは不可欠である。以下に、代表的な鉄鋼メーカーの環境イニシアチブとパフォーマンスの概要を示す。

国内競合

  • JFEホールディングス(JFEスチール):

  • 気候変動への対応: JFEグループは2050年のカーボンニュートラル達成を目標として掲げ、JFEスチールにおいては2030年度にCO2​排出量を2013年度比で30%以上削減する目標を設定している 9。この目標達成のため、カーボンリサイクル高炉、直接還元鉄(DRI)、電炉(EAF)といった多様な技術開発を推進している 9。しかし、日本製鉄と同様に、これまでの排出量削減は生産量の減少に大きく依存しており、排出原単位の改善は道半ばであるとの分析もある 9。FY2023のJFEスチールのCO2​排出原単位(エネルギー起源、粗鋼ベース)は、1トン当たり0.684トンCO2​と報告されている 25

  • 資源循環の推進: 製鉄プロセスから発生する副産物(スラグ、ダスト、スラッジ)のリサイクル率はFY2023で99.4%と極めて高い水準を達成している 28。また、水資源の有効活用にも努めており、水の再利用率はFY2023で93.1%であった 28

  • 生物多様性の保全: 経団連の生物多様性宣言に賛同し、事業活動と自然との調和を目指している。TNFDの提言に沿った情報開示の準備として、主要製造拠点および上流の鉱山における自然関連リスク・機会のパイロット評価を開始した 30。具体的な活動としては、製鉄所周辺での生態系モニタリング、敷地内での希少種保護、鉄鋼スラグ製品を活用した海洋環境改善(例:横浜港でのアマモ場造成支援、サンゴ礁再生基盤材としての利用など)に取り組んでいる 30。愛知県の「あいち生物多様性企業認証制度」において、知多製造所が認証を取得している 31

  • 神戸製鋼所:

  • 気候変動への対応: 神戸製鋼グループは2050年のカーボンニュートラル実現をビジョンとして掲げ、生産プロセスからのCO2​排出量を2030年度までに2013年度比で30~40%削減するという目標を設定している 32。FY2023の実績では、2013年度比で20%の削減を達成した 32。独自技術である低CO2​高炉鋼材「Kobenable Steel」を開発し、市場への供給を開始している 32。また、水素還元製鉄技術(MIDREXプロセスをベースとしたMIDREX-H2TM)の開発を進めるとともに、スウェーデンのH2 Green Steel社への出資を通じて100%水素直接還元鉄プラントの商業化にも関与している 32。FY2023のスコープ1および2を合計したCO2​排出量は1560万トンであった 32

  • 資源循環の推進: 製鉄副産物(スラグ、ダスト、スラッジ)のリサイクル率について、FY2025目標として99%を掲げており、FY2023実績は99.1%と目標を達成している 32。水リサイクル率については、グループ全体で95%以上を維持する目標に対し、FY2023実績は96%であった 32

  • 生物多様性の保全: 2010年12月に「コベルコ生物多様性ガイドライン」を策定し、これに基づいた活動を推進している。「コベルコの森づくり」と題した森林整備活動や、鉄鋼スラグを活用した海洋環境改善(藻場造成など)、事業所敷地内でのビオトープ創設といった取り組みを継続している 32。生物多様性への影響評価ツールとしてIBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)やWRI Aqueductなどを活用し、リスク評価を行っている 32

海外主要競合

  • ArcelorMittal(アルセロール・ミッタル):

  • 気候変動への対応: 2050年のネットゼロ達成を目標とし、中間目標として2030年までにグループ全体のCO2​排出量を25%、欧州事業においては35%削減(いずれも2018年比)することを掲げている。電炉(EAF)による製鋼比率は2024年時点で25%に達している 22。一部の先進的な製造拠点では、CO2​排出原単位が1トン当たり100kgレベルの低炭素鋼を既に生産している 22。2018年から2024年にかけて、脱炭素化関連プロジェクトに10億米ドルを投資した 22。2024年におけるグループ全体の平均CO2​排出原単位は、1トン当たり1.75トン(スコープ1+2、事業ポートフォリオ調整後)と報告されている 22

  • 資源循環の推進: 環境パフォーマンスの向上を研究開発の重点分野の一つと位置づけている 22。多くの製造拠点でISO14001に基づく環境マネジメントシステムを運用している 36

  • 生物多様性の保全: 鉄鋼業界向けの包括的なサステナビリティ認証制度であるResponsibleSteel™認証の取得を積極的に推進しており、2024年時点でグループ内の42拠点が認証を取得済みである 22。生物多様性に関連するリスクの理解と管理体制の強化にも取り組んでいる 22

  • POSCO(ポスコ):

  • 気候変動への対応: 2050年のカーボンニュートラル達成を宣言している 37。独自の水素還元製鉄技術「HyREX」の開発を推進しており、これが将来の低炭素製鉄の柱となることが期待される。CDPの気候変動プログラムにおいては、2023年の評価で「A-」を獲得している 37

  • 資源循環の推進: 具体的な数値データについては、最新のサステナビリティレポート本体を参照する必要があるが、鉄鋼副産物のリサイクルや水資源の有効活用に継続的に取り組んでいる 38

  • 生物多様性の保全: 2022年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムに加盟し、韓国環境部が主導するTNFD関連の開示タスクフォース運営委員会にも参加するなど、自然資本に関する情報開示への対応を進めている 37。具体的な保全活動や実績については、最新のサステナビリティレポート本体での確認が必要となる 41

  • 宝武鋼鉄集団 (Baowu Steel Group):

  • 気候変動への対応: グループとして、2035年までにCO2​排出量を30%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げているが、その基準年や排出量データの報告年が不明確であるとの指摘もある 42。グループ傘下の中核企業である宝山鋼鉄や、子会社の重慶鋼鉄などでは、個別に省エネ・排出削減の取り組みが進められている。例えば、重慶鋼鉄は2024年にCO2​排出量を前年比で8.53万トン削減し、粗鋼1トン当たりのCO2​排出原単位を1.476トンに低減したと報告している 43

  • 資源循環の推進: グループ傘下の宝武資源は「安全、グリーン、スマート、効率、国際化」をキーワードに、持続可能な原料供給チェーンの構築を目指している 44。子会社の重慶鋼鉄では、2024年に発生した固形廃棄物のリサイクル率100%を達成したとしている 43

  • 生物多様性の保全: 宝武資源は、生態環境保護を優先し、グリーン開発を堅持する方針を示し、環境管理体制の強化に取り組んでいる 45。ただし、グループ全体の生物多様性保全に関する具体的な定量データや包括的な戦略については、開示情報が限定的である。

  • Tata Steel(タタ製鉄):

  • 気候変動への対応: 2045年のネットゼロ達成を目標としている 46。FY2023-24におけるグループ全体のGHG排出原単位は、粗鋼1トン当たり2.8トンCO2​換算であった 46。オランダのアイマイデン製鉄所では2030年までに高炉1基をDRI-EAFプロセスへ転換、英国のポート Talbot製鉄所では既存の高炉2基をEAFへ転換する計画を進めている 46。CDPの気候変動プログラムでは、2023年の評価で「A-」を獲得している 47

  • 資源循環の推進: 製品のライフサイクルアセスメント(LCA)評価を積極的に導入している。鉄スクラップの利用拡大にも注力しており、インド国内の製鋼リサイクル事業(SRB)では年間約34万トンのリサイクル鋼を供給している 46。FY2023-24には、インド国内の主要製造拠点において固形廃棄物の有効利用率100%を達成した。また、過去5年間でインド国内の粗鋼製造拠点における特定水消費量を33%削減するなどの成果を上げている 46

  • 生物多様性の保全: グループ全体で生物多様性管理計画(BMP)を策定・推進しており、これまでに17拠点で導入済みである。具体的な活動として、インドのジャリア地区での約110エーカーに及ぶ竹のプランテーション(地域住民の生計向上にも貢献)、ジャムシェドプールでの調整池(容量1000万リットル)の新設、メーラマンダリでの既存池(容量2500万リットル)の改修、ガマリアでの約30エーカーの不毛なアッシュマウンド(石炭灰捨て場)を生物多様性公園「カイラシュ・トップ」へと転換(約25,000本の植樹)といった事例が報告されている 46。Tata Steel UKのShotton事業所は、英国The Wildlife TrustsのBiodiversity Benchmark認証を取得している 24

  • thyssenkrupp(ティッセンクルップ):

  • 気候変動への対応: 鉄鋼事業部門において、2045年までにカーボンニュートラルな鉄鋼生産を実現することを目標としている 49。中間目標として、2030年までにスコープ1および2の排出量を2018年比で30%以上削減することを目指す 49。低炭素化技術としては、水素直接還元技術(tkH2Steel)と、CO2​を回収して化学品原料として利用するCarbon2Chem®技術(CCU)を二本柱として推進している 51。CDPの気候変動プログラムでは、9年連続で最高評価である「Aリスト」に選定されている(2024年評価)51。FY2023/2024におけるグループ全体のスコープ1および2を合計したCO2​排出量は2320万トンであった 56

  • 資源循環の推進: ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを運用している 50。水資源については、高度な循環利用システムを構築しており、工程内で水は約40回再利用され、新規の淡水取水量は全体の約3%に抑制されている 50。FY2023/2024におけるグループ全体の廃棄物総発生量は170万トンで、そのうちリサイクルされた廃棄物は150万トンであった 56

  • 生物多様性の保全: ResponsibleSteel™の原則にコミットしており、生物多様性保全を重要な課題と認識している 50。新規設備の建設や既存設備の改造に際しては、環境影響評価(アセスメント)を実施し、生物多様性や生態学的に価値の高い地域への潜在的な影響を特定し、必要に応じて保全措置を講じている 50

海外の先進的な鉄鋼メーカーの動向を見ると、いくつかの共通した特徴が浮かび上がる。第一に、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)の認定を含む、野心的な中長期のGHG排出削減目標の設定。第二に、水素直接還元(H2-DRI)や電炉(EAF)といった革新的な低炭素技術への大規模かつ具体的な投資計画の策定と実行。第三に、自社の排出量(スコープ1、2)だけでなく、サプライチェーン全体(スコープ3)を対象とした排出量管理と削減努力の強化。そして第四に、ResponsibleSteel™のような包括的なESG認証制度の積極的な取得を通じた、環境・社会パフォーマンス全体の向上と透明性の確保である。これらの点で、日本製鉄の現在の戦略や開示内容は、目標の野心度、技術移行のスピード、そして情報開示の包括性において、国際的なトップランナーと比較していくらか見劣りする部分が散見される。このギャップを認識し、国際競争力を維持・強化していくためには、より大胆な戦略転換と積極的な情報開示が急務であると言えるだろう。特に、高炉をベースとしたCOURSE50のような技術開発に重点を置く一方で、EAFやH2-DRIへの本格的な移行スピードが相対的に遅いと見なされる可能性は、将来的な競争力低下や、環境意識の高い市場・投資家からの評価低下リスクに繋がりかねない。

2. 環境スコアのベンチマーキング

企業の環境への取り組みとパフォーマンスを客観的に評価する上で、第三者評価機関によるESGスコアは重要な指標となる。以下に、主要なESG評価機関による日本製鉄および主要競合他社の環境関連スコアの比較分析を示す。

  • CDP(気候変動):
    CDPは、企業に対し気候変動、水セキュリティ、森林に関する情報開示を求め、その取り組みを評価する国際的な非営利団体である。評価はAからD-の段階で行われ、リーダーシップレベル(AまたはA-)は先進的な取り組みを示しているとされる。

  • 日本製鉄:2021年の気候変動スコアは「A-」であった 58。それ以降の直近(2023年または2024年)の公式スコアに関する情報は、提供された資料からは特定できなかった 59

  • JFEホールディングス:2023年の評価において、気候変動、水セキュリティ、サプライヤーエンゲージメントの各項目で「A-」を獲得している 61

  • 神戸製鋼所:2024年2月に発表された2023年評価において、気候変動分野で4年連続となる「A-」評価を得ている 63

  • ArcelorMittal:2024年のサステナビリティレポートには、CDPスコアに関する具体的な言及は見られなかった 23

  • POSCO:2023年の評価において、気候変動および水セキュリティの両分野で「A-」を獲得した 37

  • 宝武鋼鉄集団:CDPスコアに関する直接的な情報は確認できなかった 42

  • Tata Steel:2023年の気候変動評価において「A-」を獲得している 47

  • thyssenkrupp:気候変動分野において、9年連続で最高評価である「Aリスト」に選定されている(2024年評価)51

  • MSCI ESG Ratings:
    MSCI社は、企業のESGリスクへの長期的な対応力を評価し、AAAからCCCまでの7段階で格付けを行っている。

  • 日本製鉄:KnowESGによると、総合ESGリスクスコアは38.4で「高リスク」と評価されている 73。一方、Yahoo Finance(銘柄コードNPS.BE)では、Sustainalytics提供のデータとして総合ESGリスクスコア31.2(深刻なリスク)、環境リスクスコア15.0と表示されている 74。また、S&P Global ESG Scoreでは、総合スコア42/100、環境スコア48/100(2025年2月13日更新時点)となっている 75。MSCIの公式検索ツールでは、直接的な評価結果は確認できなかった 76

  • JFEホールディングス:SustainalyticsによるESGリスク評価は33.4で「高リスク」、鉄鋼業155社中40位に位置付けられている 77。KnowESGでは総合評価「AA」で、業界リーダーと評価されている 78。MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄にも選定されている 61

  • 神戸製鋼所:SustainalyticsによるESGリスク評価は36.5で「高リスク」、鉄鋼業157社中66位である 79。MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数の構成銘柄に選定されている 81

  • ArcelorMittal:SustainalyticsによるESGリスク評価は35.4で「高リスク」、鉄鋼業155社中53位 82。S&P Global ESG Scoreでは、総合スコア35/100、環境スコア43/100(2024年12月11日更新時点)となっている 83

  • POSCOホールディングス:SustainalyticsによるESGリスク評価は24.0で「中リスク」、鉄鋼業158社中6位と比較的高い評価を得ている 84。KnowESGでは総合評価「BBB」、環境スコア88、社会スコア85、ガバナンススコア83とされている 85

  • 宝武鋼鉄集団:CSRHubによるとSustainalyticsによる評価が存在する 86。World Benchmarking Allianceの評価では、総合スコア14.5/100、ACT(気候変動への取り組み)スコア11.5/60となっている 42。MSCIの公式検索ツールでは直接的な評価結果は確認できなかった 87

  • Tata Steel:SustainalyticsによるESGリスク評価は29.7で「中リスク」、鉄鋼業156社中22位と評価されている 88

  • thyssenkrupp:MSCI ESGレーティングにおいて、2024年時点で「A」評価を得ている 53

  • Sustainalytics ESG Risk Ratings (スコアが低いほどリスクが低いとされる):
    Sustainalyticsは、企業が直面する具体的なESGリスクと、それらのリスクをどの程度適切に管理できているかを評価する。

  • 日本製鉄:31.2(高リスク)、155社中32位 74

  • JFEホールディングス:33.4(高リスク)、155社中40位 77

  • 神戸製鋼所:36.5(高リスク)、157社中66位 80

  • ArcelorMittal:35.4(高リスク)、155社中53位 82

  • POSCOホールディングス:24.0(中リスク)、158社中6位 84

  • Baoshan Iron & Steel (宝武鋼鉄集団の子会社):34.0(高リスク)、155社中42位 82

  • Tata Steel:29.7(中リスク)、156社中22位 88

  • SSAB:23.5(中リスク)、155社中5位 90

  • U.S. Steel:26.7(中リスク)、155社中13位 91

各評価機関のスコアリング傾向と評価ポイント

各ESG評価機関は、それぞれ独自の方法論と重点項目に基づいてスコアリングを行っている。CDPは、気候変動、水セキュリティ、森林といった環境テーマに関する情報開示の質と、実際の環境パフォーマンス(排出削減目標の設定と達成状況、リスク管理体制など)を評価する。特に「Aリスト」や「A-」といったリーダーシップレベルの評価は、企業が先進的な環境経営を実践していることを示すものとされる。MSCI ESG Ratingsは、各業界に特有の重要なESGリスクに対して、企業が長期的にどの程度の対応力を有しているかを評価する。7段階の格付け(AAA~CCC)は、投資家がポートフォリオのリスク管理を行う上で参考にされる。SustainalyticsのESG Risk Ratingsは、企業が直面する可能性のある具体的なマテリアルESGイシュー(重要なESG課題)へのエクスポージャー(晒され度合い)と、それらの課題に対するマネジメント(管理状況)を総合的に評価し、リスクの度合いを数値で示す。スコアが低いほど、ESGリスクが低いと解釈される。

日本製鉄の相対的な強みと弱み

上記のような主要ESG評価機関によるスコアや、本報告書で分析した具体的な取り組み内容を踏まえると、日本製鉄の環境パフォーマンスに関する相対的な強みと弱み(あるいは課題)が浮かび上がってくる。

推測される強みとしては、長年にわたる環境保全投資の実績、国内トップクラスの高い鉄鋼副産物リサイクル率の維持、そしてCOURSE50や水素還元製鉄といった将来技術への研究開発投資などが挙げられる。

一方で、外部評価や分析レポートで指摘されている弱みや課題としては、主に以下の点が挙げられる。

  • CO2​排出削減目標の野心度が、パリ協定の1.5℃目標との整合性の観点から不十分である可能性。

  • これまでの排出量削減が、生産量の変動に大きく左右されており、排出原単位の抜本的な改善が遅れている点。

  • 電炉(EAF)や水素直接還元(H2-DRI)といった革新的な低炭素製鉄プロセスへの移行スピードが、一部の海外競合と比較して緩やかであると見なされる可能性。

  • サプライチェーン全体での排出量(スコープ3)に関する具体的な削減目標が未設定である点。

  • 石炭関連事業への投資を継続している点。

ESG評価は絶対的なものではなく、評価機関の方法論や重点を置く項目によってスコアが変動する点には留意が必要である。しかしながら、複数の評価機関や分析レポートにおいて共通して指摘される弱みや課題(例えば、脱炭素化目標の野心度、化石燃料への依存度など)は、日本製鉄が今後、優先的に取り組むべき本質的な経営課題を示唆していると言える。特に、SustainalyticsのESGリスク評価においては、同じアジアの競合であるPOSCOやTata Steel、あるいは欧州のSSABといった企業と比較して、日本製鉄のリスク評価が相対的に高い(スコアが高い)結果となっており、これらの企業が推進するより野心的な脱炭素目標の設定や、電炉・水素還元といった低炭素技術へのより積極的なシフト戦略が評価に影響している可能性がある。この事実は、日本製鉄にとって改善の余地が大きいことを示しており、競合他社の先進的な戦略やESG評価を詳細に分析し、自社の弱点を克服するとともに、既存の強みをより効果的に外部へ訴求していく方法を再検討する必要がある。とりわけ、グローバルな投資家が重視する脱炭素戦略の具体性、信頼性、そして1.5℃目標との整合性を向上させることが、今後の企業価値評価における鍵となるだろう。

結論

総括的評価と将来展望

日本製鉄は、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を策定し、COURSE50やスーパーCOURSE50、さらには水素還元製鉄や大型電炉といった革新的な技術開発を通じて、長期的な脱炭素化への挑戦を続けている。また、資源循環の分野では、長年にわたり培ってきた技術により、鉄鋼スラグをはじめとする副産物の99%という極めて高い再資源化率を達成・維持しており、プラスチックのケミカルリサイクルにも積極的に取り組んでいる。生物多様性の保全に関しても、「ふるさとの森づくり」や「海の森づくり」といったユニークかつ息の長い活動を継続し、地域社会や生態系への貢献を果たしてきた実績は高く評価される。

しかしながら、気候変動対策の中核となるCO2​排出削減の進捗については、生産量の変動による影響が大きく、排出原単位の改善を通じた実質的な削減は道半ばであるとの指摘がなされている。特に、2030年の中期削減目標は、パリ協定の1.5℃目標との整合性の観点から、国際的な基準に照らして野心度が不足しているとの評価が外部から寄せられている。また、高炉をベースとした技術開発に重点が置かれている一方で、電炉(EAF)や水素直接還元(H2-DRI)といった、より抜本的な低炭素製鉄プロセスへの移行スピードについては、一部の海外先進企業と比較して慎重であるとの見方もある。さらに、サプライチェーン全体での排出量(スコープ3)に関する具体的な削減目標の設定や、それに対する取り組みの開示も今後の重要な課題である。

国内外の主要な競合他社、特に欧州や一部アジアの先進企業は、より野心的なGHG排出削減目標(SBTi認定を含む)を設定し、電炉への転換やグリーン水素を活用した直接還元製鉄プロジェクトへの大規模な投資を具体化しつつある。このような国際的な潮流の中で、日本製鉄の現在の戦略は、相対的に保守的であると市場から見なされる可能性も否定できない。鉄鋼業がグローバルな競争環境にあることを踏まえれば、環境戦略における国際的なリーダーシップの発揮が、将来の持続的な成長と企業価値向上にとって不可欠となる。

持続可能な鉄鋼生産に向けた日本製鉄への最終提言

日本製鉄が、世界の鉄鋼業界におけるリーディングカンパニーとして、真に持続可能な鉄鋼生産体制を確立し、社会からの信頼と期待に応え続けていくためには、以下の点を中心に、より一層踏み込んだ戦略的取り組みを推進することが強く推奨される。

  • 1.5℃目標と整合する、より野心的なGHG削減目標の設定と国際認証の取得:
    現行の中期・長期GHG排出削減目標(スコープ1、2)を見直し、パリ協定の1.5℃目標と整合する、より野心的なレベルへと引き上げるべきである。その際には、スコープ3排出量も対象に含め、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)などの国際的な枠組みによる認証を積極的に取得し、目標の信頼性と透明性を高めることが望ましい。

  • 低炭素製鉄技術ポートフォリオの最適化と移行加速:
    高炉をベースとした既存技術の改良(COURSE50等)と並行し、電炉(EAF)およびグリーン水素を活用した直接還元製鉄(H2-DRI)への研究開発投資と設備投資を大幅に拡大し、これらの革新技術への移行を加速すべきである。具体的な移行計画、投資額、そしてそれに伴う生産体制の再編について、より明確なロードマップをステークホルダーに提示することが求められる。

  • サプライチェーン全体での排出量(スコープ3)削減への本格着手:
    サプライヤーエンゲージメントを一層強化し、鉄鉱石や石炭といった上流における排出量削減に向けた具体的な協働プロジェクトを推進する。スコープ3排出量に関する具体的な削減目標を設定し、その達成に向けた行動計画を策定・開示することが不可欠である。

  • 再生可能エネルギー調達戦略の具体化と安定確保:
    将来の低炭素製鉄プロセス(特に水素製造や電炉操業)に必要となる大量の低炭素電力(再生可能エネルギー)を、安定的かつ経済的に調達するための具体的な戦略(長期購入契約、発電事業への直接投資、コンソーシアム形成など)を策定し、その実行に着手すべきである。

  • 生物多様性に関するリスク・機会評価と貢献の定量化・開示強化:
    自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に基づき、自社の事業活動が自然資本および生物多様性に与えるリスクと機会を体系的に評価し、その結果を財務情報と統合して開示する体制を構築する。また、「ふるさとの森づくり」や「海の森づくり」といった既存の保全活動についても、生物多様性への具体的な貢献度(例:生物種数の変化、生態系サービスの向上など)を可能な限り定量的に評価し、その成果を積極的に情報発信していくことが期待される。

  • ESG評価機関および投資家との建設的対話の深化:
    ESG評価機関や機関投資家とのエンゲージメントを一層強化し、自社の環境戦略の進捗状況、直面する課題、そして将来に向けた計画について、透明性高く、かつ積極的にコミュニケーションを行う。外部からの客観的な評価や指摘を真摯に受け止め、継続的な改善に繋げていく姿勢が重要である。

これらの提言は、日本製鉄が気候変動をはじめとする地球規模の環境課題に対応し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、激化する国際競争の中で企業価値を持続的に向上させていくための道筋を示すものである。大胆かつ迅速な戦略転換と、その着実な実行が、今後の日本製鉄の未来を左右すると言っても過言ではない。

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