本報告書は、世界の自動車産業において重要な地位を占めるマツダ株式会社 1 の環境への取り組みとパフォーマンスについて、包括的かつ学術的な水準での分析を行うことを目的とする。特に、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の三つの重点分野における同社の活動を詳細に検討する。近年、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)すなわちESG要素は、企業価値評価やステークホルダーからの期待においてその重要性を増しており、企業の持続可能性を測る上で不可欠な指標となっている 2。本分析は、マツダの環境スコア算定に必要な詳細情報を提供するとともに、同社の環境戦略の評価に資することを目指すものである。
本報告書は以下の構成でマツダの環境への取り組みを分析する。まず、同社の環境経営の全体的な枠組み、ビジョン、戦略、そしてガバナンス体制について概説する。次に、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の各分野における具体的なイニシアチブ、目標、実績を詳述する。続いて、環境要因に関連する潜在的なリスクと事業機会を分析し、自動車業界における先進的な取り組み事例との比較を行う。さらに、第三者評価機関による環境スコアを用いたベンチマーキングを実施し、マツダが現在直面している課題を評価した上で、今後の戦略的提言を行う。最後に、全体の分析結果を総括する。
マツダは、その環境経営において長期的な視点に基づいたビジョンと戦略を掲げている。特に注目すべきは、2035年までにグローバルな自社工場でのカーボンニュートラル(CN)を実現し、さらに2050年までにはサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成に挑戦するという野心的な目標である 4。これらの目標は、同社が以前より推進してきた「サステイナブル Zoom-Zoom 宣言 2030」 6 を発展させ、企業理念である「走る歓び」の追求を通じて、人々や社会、地球に対する貢献を目指す「2030 VISION」 7 へと繋がっている。
戦略の中核には、「マルチソリューション戦略」が存在する。これは、世界各地のエネルギー事情や規制、顧客ニーズの多様性に対応するため、高効率な内燃機関(ICE)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)など、多様なパワートレインの選択肢を提供するという考え方である 6。このアプローチは、単一技術への偏重を避け、地域ごとの最適解を提供することで、より広範な顧客層に低CO2排出ソリューションを提供し、結果としてCO2排出総量を抑制することを目指している。この戦略の妥当性を評価する上で、マツダはライフサイクルアセスメント(LCA)の視点、特に燃料採掘から車両走行まで(Well-to-Wheel)の総排出量を重視している 5。これは、車両走行時(Tank-to-Wheel)の排出量だけでなく、エネルギー生成段階を含めたトータルでの環境負荷削減が不可欠であるとの認識に基づいている。
このマルチソリューション戦略は、世界のエネルギー供給の多様性やインフラ整備状況を考慮した現実的なアプローチと評価できる一方で、一部の競合他社が推進する急速な完全電動化戦略とは異なる位置づけとなる。この独自路線が、将来の市場動向や規制強化の速度によっては、慎重な適応と見なされるか、あるいはBEV(バッテリー式電気自動車)競争において潜在的な遅れと解釈される可能性も内包している。特に「Well-to-Wheel」 5 を重視する姿勢は、内燃機関の改良と電動化を並行して進める根拠となるが、そのバランスが今後の市場での競争力や規制対応能力にどう影響するかは注視が必要である。
マツダのサステナビリティ推進体制は、経営トップのコミットメントを示す構造となっている。社長を委員長とする「CSR経営戦略委員会」が設置され、サステナビリティに関する重要事項を審議・決定している 9。また、ESG戦略の策定と実行を調整する専門のESGチームも存在し、部門横断的な連携を図っている 4。環境目標や戦略に関する検討結果は、代表取締役社長が出席する経営会議や取締役会で報告・審議され、経営判断に組み込まれる体制が整備されている 8。
さらに、特定の重点分野に対応するための専門組織も設置されている。例えば、電動化技術や商品開発の強化を目的とした「電動化事業本部(e-MAZDA)」の設立 7 や、人権デュー・ディリジェンスを推進するための社内プロジェクトチームの発足 7 は、ESG課題への取り組みを事業運営に統合しようとする意図を示している。
このような公式なガバナンス構造は整備されているものの、その実効性は、環境に関する検討事項が、中核となる事業戦略、研究開発投資の配分、設備投資計画などに、どの程度深く影響を及ぼしているかに依存する。特に、マルチソリューション戦略を維持しながら、加速する電動化への要求との間で、資源配分のバランスをどのように取るかが鍵となる。e-MAZDA 7 のような専門組織の設置は、電動化への注力を強化するシグナルであるが、従来のパワートレイン開発への投資との相対的な比重や、その具体的な成果が、マツダの環境戦略全体の有効性を判断する上で重要となるだろう。
マツダは気候変動対策を経営の最重要課題の一つと位置づけ、具体的な温室効果ガス(GHG)排出削減目標を設定している。前述の通り、長期目標として2035年のグローバル自社工場カーボンニュートラル、2050年のサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成を掲げている 4。これらの中間目標として、国内の自社工場および事業所におけるCO2排出量を2030年度までに2013年度比で69%削減するという具体的な数値を設定している 7。
製品ライフサイクル全体での削減目標としては、「Well-to-Wheel」基準で、企業平均CO2排出量を2030年までに2010年比で50%削減し、将来的には2050年までに90%削減することを目指している 6。商品戦略においては、2030年までに生産する全ての自動車に何らかの電動化技術を搭載し、そのうちグローバル販売におけるEV比率を25%から40%の範囲と想定している 8。
これらの目標設定において、工場CN目標 4 や国内排出量削減目標 7 は具体的な数値と期限が明示されており、コミットメントの度合いが高いと評価できる。一方で、2030年のグローバルEV販売比率目標が25%から40%という範囲で示されている点 8 は、市場の受容性や生産能力に関する不確実性を反映している可能性がある。これは、より高い固定目標を設定する一部競合他社と比較して、柔軟性を残した戦略とも解釈できるが、同時に電動化への移行ペースに対する市場からの評価に影響を与える可能性も考えられる。
マツダは、自社の事業活動、特に製造プロセスと物流における脱炭素化に向けて多岐にわたる取り組みを推進している。
工場におけるエネルギー効率の改善は継続的に進められており 6、具体的な技術導入も行われている。例えば、塗膜機能の集約と高効率塗装技術を組み合わせた水性塗装技術「アクアテック塗装」を防府第2工場に導入完了し、グローバル拠点への展開も進めている 5。これにより、エネルギー消費量の削減と揮発性有機化合物(VOC)排出量の大幅な低減を実現している。
再生可能エネルギーの導入も積極的に進められている。広島本社工場では、2021年7月から太陽光発電設備が稼働し、発電された電力はMX-30 EVモデルのバッテリー充電などに利用されている 5。三次事業所の電波実験棟屋上や防府工場の通路灯にも太陽光発電が導入されているほか、メキシコの工場では屋外ソーラー照明を設置するなど、国内外の拠点で再生可能エネルギーの活用が進んでいる 5。国内においては、中国地域における「CN電力」の調達なども行われている 9。ディーラーレベルでも、太陽光発電システムの導入検討が進められている例がある 10。
将来的な燃料転換も見据えており、本社工場内の発電設備において、石炭からアンモニア専焼への転換を含むCO2ゼロエミッション化の検討が進められている 9。さらに、排出削減努力を補完する手段として、カーボンクレジットの活用も行っている。特に、拠点を置く中国地方の森林資源保護や地域産業の発展に貢献するJ-クレジットを購入している点は注目される 5。
製品輸送および部品調達におけるCO2排出量削減にも注力している。完成車輸送においては、他社との共同輸送を推進し、海上輸送の効率化と環境負荷低減を図っているほか、代替燃料の活用も検討している 5。補修用部品輸送では、鉄道輸送へのモーダルシフト率向上や、大型リターナブル容器の活用によるJRコンテナへの積載率向上に取り組んでいる 5。特筆すべき事例として、2023年には、日本で生産していた補修用バンパーの生産を主要消費地である米国に移管し、輸送距離を大幅に短縮することで、年間約115トンのCO2排出量削減を達成した 5。生産調達部品の国内トラック輸送においては、2016年からクラウド型の輸配送進捗管理サービスを導入し、効率的な輸送によるCO2排出量削減、納期短縮、ドライバー負担軽減などを実現している 5。
サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成(2050年目標) 5 に向けては、サプライヤーとの連携が不可欠であるとの認識のもと、取り組みを進めている。マツダは、サプライヤーに対して気候関連リスクに関する情報を共有プラットフォームを通じて定期的に共有し 8、共に削減目標達成に向けたロードマップを描くことを推進している 8。さらに、2023年度からは、サプライヤーの優れた取り組みを称える表彰制度を新たに設けるなど、エンゲージメント強化を図っている 8。
しかしながら、Scope3排出量、特にサプライチェーンにおける排出量の削減は、自動車メーカーにとって共通の大きな課題である。マツダがサプライヤーとの連携強化 8 を表明していることは重要だが、多様な規模や技術レベルのサプライヤー全体で実質的な排出削減を達成するには、情報共有や表彰制度 8 に加え、より踏み込んだ技術支援や目標設定、データ収集・検証体制の構築が求められる。2050年という長期目標達成の実現性は、これらのサプライチェーン連携の深化にかかっていると言える。
マツダは、マルチソリューション戦略に基づき、製品・技術面でも多様なアプローチで環境負荷低減に取り組んでいる。内燃機関においては、燃焼効率を追求する「SKYACTIV技術」の継続的な進化を図っている 6。同時に、電動化への対応も進めており、ラージ商品群におけるプラグインハイブリッド車(PHEV)や、ロータリーエンジンを発電機として使用するユニークなEVであるMX-30 Rotary-EVなどを市場に導入した 7。電動化技術や商品開発を強化するため、専門組織である「e-MAZDA」を設置したことも、この分野への注力を示している 7。
さらに、将来を見据えた動きとして、2024年にはトヨタ自動車、SUBARUと共に、電動化時代に対応し、カーボンニュートラル燃料の活用も視野に入れた新たなエンジン開発に「三社三様」で取り組むことを宣言した 7。これは、内燃機関技術にも依然として進化の余地があり、電動化だけではない多様な選択肢を追求するマツダの姿勢を象徴している。
加えて、安全技術開発も環境貢献に繋がりうる要素である。人の研究に基づいた高度運転支援技術の開発を継続しており、ドライバー異常時対応システム(DEA)などの先進安全技術は、事故防止に加え、よりスムーズで効率的な運転を支援することで、間接的に燃費向上や排出ガス削減に寄与する可能性がある 7。
このように、マツダは内燃機関の効率改善(SKYACTIV技術進化、新エンジン共同開発 6)と電動化技術の開発(PHEV、BEV、e-MAZDA 7)を同時に推進している。これはマルチソリューション戦略の具現化であるが、研究開発リソースが分散するリスクも伴う。特に、BEV開発に経営資源を集中させる競合他社との比較において、このバランス戦略が長期的に競争力を維持できるかは、今後の技術開発の成果、特に共同開発される新エンジンの性能やカーボンニュートラル燃料への適合性 7、そして市場の反応にかかっている。
マツダは、限りある資源の有効活用と廃棄物削減を目指し、製品ライフサイクルの各段階において資源循環の取り組みを推進している。
製品開発の初期段階から資源循環を考慮することが重要であるとの認識に基づき、マツダは全ての車種に「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」設計の考え方を取り入れている 13。具体的な取り組みとして、使用済み自動車の解体時にリサイクル可能な部品や素材を容易に取り出せるよう、解体・分離しやすい車両構造の設計や解体技術の研究を進めている 13。また、廃車処理時に発生するシュレッダーダスト(ASR)の主要構成要素である樹脂について、リサイクルしやすい材料の採用を推進している 13。さらに、植物由来の原料を用いたバイオマテリアルの採用拡大にも取り組んでおり、化石資源への依存低減を目指している 13。これらの設計段階での配慮は、将来的なリサイクル率の向上と環境負荷の低減に貢献することが期待される。
生産活動に伴う廃棄物の削減と適正処理にも注力している。マツダは、生産工程から排出される廃棄物の全量埋立ゼロを長年にわたり継続しており、今後もこの状態を維持する方針である 13。廃棄物の総排出量についても大幅な削減を達成しており、2023年度には1990年度比で84%削減という実績を報告している 13。さらなる削減に向けて、自社工場で発生したプラスチックごみをリサイクルし、プラスチックパレットの材料として再利用する検討を進めるなど、廃棄物の資源化を追求している 13。また、日本の自動車リサイクル法をはじめとする関連法規を遵守し、使用済み部品の回収・リサイクルを推進している 13。地域レベルでは、古紙、プラスチック、金属くずなどを回収し、リサイクル原料を生産する取り組みも見られる 14。これらの活動は、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す上で基盤となるものである 15。
部品輸送などに使用される梱包・包装資材の削減も、資源効率向上の重要な要素である。マツダは、関連部門が一体となり、部品の容器への充填率向上や梱包仕様の見直しなどを通じて、資材使用量の削減に取り組んでいる 13。その結果、2023年度の梱包・包装資材使用量は、2019年度比で18.9%削減されたと報告されている 13。今後も継続的な改善活動を通じて、さらなる資材削減を目指すとしている。
水資源は、地域によっては逼迫する可能性のある重要な経営資源である。マツダグループは、「使用する水資源の無駄を無くす」「使用した水資源を取水時と同じレベル(質)でお還しする」という基本方針のもと、水資源保全に取り組んでいる 13。具体的な目標として、国内のマツダグループ全体の取水量を2030年に2013年比で38%削減することを定めている 13。この目標達成のため、年間の水使用量を継続的に削減(年間2%削減目標)するとともに、雨水や再生水の利用拡大を進めている 13。
さらに、将来的な水リスク(水の枯渇や価格上昇など 8)に備え、2030年までに国内のモデルプラントで水資源の再生・循環利用を実現し、その成果を2050年までにグローバルな生産工程全体に展開することを目指している 8。具体的な節水・再利用技術としては、冷却塔排水の循環利用基準設定、トイレ洗浄へのセンサー導入による水量最適化、塗装工場のボディ洗浄水の電気伝導度管理による使い切りとバクテリア除去装置を用いた再利用、手洗い水や空調ドレン水の簡易再生処理、そして再生水と貯留雨水のトイレ洗浄水や緑地散水への利用などが挙げられる 13。これらの取り組みは、社内に設置された水資源部会や専門チームによって推進・管理されている 13。
このように、マツダが具体的な水削減目標 13 を設定し、TCFDに基づく物理的リスク評価 8 と連動させて水管理に取り組んでいる点は、水資源を持続可能な事業運営のための戦略的要素として捉えていることを示している。特に、水循環技術を確立するための「モデルプラント」構想 8 は、段階的かつ体系的に水リスクに対応しようとする計画的なアプローチをうかがわせる。
マツダは、事業活動が自然資本や生態系サービスに依存し、また影響を与えていることを認識し、生物多様性の保全にも取り組んでいる。
マツダの生物多様性保全活動は、「マツダ地球環境憲章」に基づく「マツダ生物多様性ガイドライン」 17 に沿って進められている。このガイドラインでは、自然の恵みと事業活動による自然への影響の重要性を認識し、国内外の企業活動を通じて生物多様性保全に貢献し、人と自然が調和した豊かで持続可能な社会づくりを目指すことが謳われている。
具体的な活動に先立ち、マツダは自社のバリューチェーン全体における生物多様性への影響度評価を実施した 12。この評価では、事業活動が依存する生態系サービス(供給、調整、文化的、基盤サービス 18)と、事業活動が生態系に与える影響度を分析し、特にエネルギーや水などの「資源」利用に関連する影響が大きいと特定した 12。評価プロセスにおいては、事業拠点の特定、自然への影響度調査、依存度・影響度の測定・分析、そしてリスクと機会の特定・評価といった段階的なアプローチ(一般的なLEAPアプローチ 18 に類似)が用いられたと考えられる 12。
影響評価の結果を踏まえ、マツダは主に資源利用効率の向上を通じて生物多様性への負荷を軽減する取り組みを進めている。具体的には、SKYACTIV技術の進化や電気自動車の開発、リサイクルに配慮した設計といった、気候変動対策や資源循環の取り組みが、間接的に生物多様性保全にも貢献すると位置づけられている 12。
直接的な保全活動としては、森林保全活動や野生生物の保護支援などが挙げられるが、これらは主に社会貢献活動の一環として実施されているようである 12。マツダ財団を通じた環境分野への助成活動も、間接的な貢献の一つと考えられる 12。また、自社が保有する土地における生物多様性への配慮や取り組みも行われている 12。
マツダは、これらの活動において、サプライチェーン、自治体、地域社会、NPO・NGO、教育・研究機関など、幅広いステークホルダーとの連携・協力を重視している 12。従業員に対しては、生物多様性に関する意識向上のための教育・啓発活動を実施しており、その一環として社内向けの「生物多様性ニュースレター」を定期的に発行している 12。2023年度には第13号が発行されたことが報告されている 12。
全体として、マツダの生物多様性への取り組みは、気候変動や資源循環と比較すると、やや定性的で地域的な活動が中心となっている印象を受ける。資源・エネルギー効率の改善 12 を通じた間接的な貢献は強調されているものの、例えば生息地の回復面積や特定の種の保護に関する具体的な数値目標など、企業グループ全体での定量的な目標設定やその開示は、現時点では限定的であるように見受けられる。影響評価やリスク認識 12 は進んでいるものの、具体的な管理策としては、資源管理を通じた負荷低減や、地域レベルでの保全活動、啓発活動が主であり、生物多様性というテーマ自体が、同社のESG戦略の中で、気候変動や資源循環ほど成熟した段階には至っていない可能性が示唆される。これは、多くの産業において生物多様性への影響を定量的に評価し、管理すること自体の難しさを反映しているとも考えられる。
マツダは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った情報開示を進めており、気候変動に関連するリスクと機会の分析を行っている 8。
マツダが認識している主要な環境関連リスクは、大きく「移行リスク」と「物理的リスク」に分類される 8。
移行リスクとしては、第一に規制リスクが挙げられる。世界各国で強化される燃費基準や排出ガス規制、炭素税導入などのカーボンプライシング強化は、自動車メーカーにとって大きな経営課題である 8。第二に市場リスクがある。消費者の嗜好が急速にEVへとシフトした場合、マツダのマルチソリューション戦略が市場の期待に応えきれず、販売機会を逸する可能性が指摘される 6。第三に技術リスクとして、競争力のある電動化技術(特にバッテリー技術)を適切なコストとスピードで開発・調達する必要性が増大している 8。最後に、評判リスクとして、電動化への取り組みが競合他社に比べて遅れていると認識された場合、ブランドイメージに影響が出る可能性がある。
物理的リスクとしては、自然災害の激甚化が挙げられる。台風や豪雨による洪水被害は、生産拠点やサプライチェーンの寸断を引き起こす可能性がある 8。また、海面上昇に伴う高潮リスク、水資源の枯渇や水価格の上昇、熱波による従業員の健康被害や生産性低下、熱帯性感染症の蔓延なども、事業継続上の脅威として認識されている 8。マツダはこれらの物理的リスクに対し、事業継続計画(BCP)の一環として緊急時のリスクマネジメント体制を整備している。具体的には、気象予報の収集能力を高め、事前に設定したタイムスケジュールに基づき迅速な防災対応の意思決定を行う体制を構築しているほか、護岸インフラの補強や水保全の取り組み、職場環境の暑熱対策(断熱材・断熱塗料の活用、空調管理)、感染症蔓延に備えた就業環境整備などを進めている 8。
一方で、環境要因はマツダにとって新たな事業機会ももたらす。
資源効率性の向上は、エネルギー、水、原材料の消費量削減を通じて、直接的なコスト削減に繋がる 8。エネルギー源に関しては、地域との連携によるカーボンニュートラル電力の安定的な調達や、多様な再生可能エネルギー源の活用が、エネルギーコストの安定化と環境負荷低減の両立に貢献する 8。
製品・サービス・市場の観点では、マツダのマルチソリューション戦略が強みとなり得る。世界各地の異なる規制やインフラ状況、顧客ニーズに柔軟に対応することで、多様な市場機会を獲得できる可能性がある 8。特に、高効率な内燃機関やハイブリッド技術は、完全電動化への移行が緩やかな地域において競争優位性を発揮する可能性がある。また、バイオ燃料や合成燃料といった自動車用次世代燃料に対応した商品を開発・多様化することも、将来の市場変化に対応する上で重要となる 8。さらに、優れた環境性能を持つ製品を提供し、企業の環境への取り組み姿勢を明確に打ち出すことは、ブランドイメージの向上や顧客からの信頼獲得に繋がり、長期的な企業価値向上に貢献するだろう 7。
マツダの中核戦略であるマルチソリューション 6 は、このようにリスクと機会の両側面を併せ持っている。もしBEVへの移行が想定以上に加速すれば大きなリスクとなる一方、市場の多様性が維持される、あるいは代替燃料が普及するシナリオでは、この戦略が有効な機会を捉える鍵となる。この二面性を的確に管理し、投資バランスを最適化し、地域ごとの状況変化に柔軟に対応し、そして戦略の合理性をステークホルダーに明確に伝達していくことが、今後の環境変化の中でのマツダの成功を左右する重要な要素となるだろう。
マツダの環境戦略とパフォーマンスを評価する上で、同業他社の動向との比較は不可欠である。主要な競合他社としては、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車といった国内メーカーに加え、フォルクスワーゲン、BMW(過去の比較データ 19 に登場)、ステランティス(旧グループPSA)、ゼネラルモーターズ、フォード、現代自動車グループなどが挙げられる。
これらの競合他社の多くは、マツダと同様にカーボンニュートラル目標を掲げているが、その達成に向けた戦略、特に電動化へのアプローチには差異が見られる。一部の欧米メーカーや新興メーカーは、急速な完全電動化(BEVシフト)を宣言し、内燃機関からの撤退時期を明示している場合がある。これに対し、トヨタ自動車はハイブリッド車(HEV)を強みとしつつ全方位での電動化を進める戦略を採っており、マツダのマルチソリューション戦略と共通する側面も持ち合わせている。日産自動車や本田技研工業も、それぞれ独自の電動化目標とロードマップを掲げている。
資源循環に関しては、多くのメーカーがリサイクル材の使用率向上や、特にEVバッテリーのリユース・リサイクル技術の開発・実証に取り組んでいる。生物多様性については、業界全体としてまだ取り組みの初期段階にある企業が多いものの、一部の先進企業ではサプライチェーンにおける森林破壊リスクの管理や、工場敷地内での生態系保全活動、地域社会との連携による保全プロジェクトなどを推進している例が見られる。
マツダの2030年におけるBEV比率目標(25-40%) 8 は、競合他社と比較した場合、やや保守的と見なされる可能性がある。この差異は、各社の技術的背景、主要市場の特性、そして将来の市場動向に対する見通しの違いを反映していると考えられる。
自動車業界全体で見ると、環境課題に対する先進的な取り組みが各社で進められている。気候変動対策においては、BEVへの全面的な移行計画に加え、生産拠点における大規模な再生可能エネルギー導入(自己託送やPPA活用など)、使用済みバッテリーの原材料を再びバッテリー生産に利用するクローズドループ・リサイクルの構築、サプライヤーに対して具体的なCO2削減目標達成を求める(場合によっては契約条件とする)動きなどが挙げられる。
資源循環の分野では、車両に使用するアルミニウムや樹脂におけるリサイクル材比率の大幅な向上、設計段階からの解体・リサイクル容易性の追求、工場排水の完全クローズドループ化を目指す高度な水管理プログラムなどが先進事例として注目される。
生物多様性保全に関しては、まだ業界標準と呼べるレベルの取り組みは確立されていないものの、先進企業の中には、自社の事業活動が及ぼす影響を定量的に評価し(例えば、Science Based Targets for Nature (SBTN) のようなフレームワークの活用検討)、サプライチェーン全体での「森林破壊ゼロ」方針の導入、事業所の立地や拡張に伴う生態系への影響を最小化するための具体的な緩和策の実施、地域NPOなどと連携した大規模な生息地復元プロジェクトへの貢献といった取り組みが見られる。これらの事例は、マツダが今後の戦略を検討する上で参考となり得るだろう。
第三者評価機関によるESG評価は、企業の環境パフォーマンスを客観的に比較・評価する上で重要な指標となる。
マツダは、複数の主要なESG評価機関から評価を受けており、その結果を公表している。国際的な環境情報開示プラットフォームであるCDPに対しては、2024年度調査において、「気候変動」分野で「B」、「水セキュリティ」分野で「A-」の評価を獲得した 20。CDPのスコアリングにおいて、「B」はマネジメントレベル、「A-」はリーダーシップレベルの一歩手前の段階を示唆する。
サステイナリティクス社によるESGリスクレーティングでは、「Medium」(中程度)のリスクレベルと評価されている 23。具体的なスコアは公開情報からは確認できないが、自動車産業グループ内でのリスクランキングは88社中67位であり、相対的にリスクが高いグループに位置づけられていることが示されている 23。サステイナリティクスの評価は、企業が直面する重要なESGリスクへのエクスポージャーと、それらのリスクをどの程度管理できているかに基づいており、スコアが高いほど未管理のリスクが大きいことを示す 25。
一方で、マツダは複数の主要なESG投資インデックスの構成銘柄に選定されている。具体的には、FTSE Russell社による「FTSE Blossom Japan Index」(2017年設立当初から)および「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」(2022年設立当初から)、MSCI社による「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」(2024年1月から)、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社と日本取引所グループによる「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」(2018年設立当初から)、そしてモーニングスター社による「Morningstar Japan ex-REIT Gender Diversity Tilt Index」(2023年2月から)に含まれている 3。これらのインデックスへの選定は、一定のESG基準を満たしていることの証左となる。
また、サプライヤーのサステナビリティ評価プラットフォームであるEcoVadisからは、2023年度/2024年度評価において総合得点57点を獲得している 21。
マツダのこれらの評価スコアを競合他社と比較すると、その相対的なポジションが見えてくる。CDP気候変動スコア「B」 21 は、自動車セクターにおいては平均的なレベルか、リーダーシップレベル(A/A-)を獲得している企業と比較するとやや低い水準にある可能性がある。水セキュリティにおける「A-」評価は比較的高く、水管理への取り組みが評価されていることを示唆している。
サステイナリティクスのリスクレーティングにおける「Medium」リスク評価と業界内ランキング(67位/88社) 23 は、トヨタ、ホンダ、フォルクスワーゲンといった主要なグローバル競合他社の一部が「Low」リスク評価やより上位のランキングを獲得している可能性があることを考慮すると、マツダのESGリスク管理が業界トップレベルとは見なされていない可能性を示している。
これらの外部評価は、マツダが詳細な環境目標やイニシアチブ 5 を推進しているにも関わらず、特に気候変動対応(電動化のペースやスコープ3削減など)や全体的なESGリスク管理の観点から、外部の評価機関からは業界平均、あるいはトップ層からはやや後れを取っていると認識されている可能性を示唆している。この認識のギャップは、マツダ独自のマルチソリューション戦略のリスク側面が評価に影響しているか、あるいは特定の分野における取り組みの規模やインパクトが、リーダー企業と比較してまだ小さいと判断されていることなどが要因として考えられる。ESG評価機関との対話を通じて、戦略の合理性やパフォーマンスをより効果的に伝達することも、今後の課題となり得るだろう 25。
これまでの分析を踏まえ、マツダが環境分野において直面している主要な課題と、今後の戦略的方向性に関する提言を以下に示す。
マツダの環境への取り組みは多岐にわたるが、持続的な成長と企業価値向上に向けて克服すべき主要な課題も存在する。
第一に、電動化のペースと戦略のバランスが挙げられる。マルチソリューション戦略は市場の多様性に対応する柔軟性を持つ一方で、主要市場におけるBEVへの急速なシフトや規制強化の動きに対して、十分な競争力を維持できるかという課題がある。設定された2030年のBEV比率目標(25-40%) 8 が、市場の期待や競合の動きに対して十分な水準か、またその達成に向けた具体的な道筋の明確化が求められる。
第二に、サプライチェーンの脱炭素化という大きな挑戦がある。2050年のサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル 5 という目標は非常に野心的であり、その達成には広範かつ複雑なサプライヤーネットワーク全体での排出削減が必要となる。現状のサプライヤーエンゲージメント 8 をさらに深化させ、実効性のある削減策を広範に展開していくことが不可欠である。
第三に、資源集約性とサーキュラーエコノミーへの移行である。廃棄物削減 13 では高い実績を上げているものの、特に電動化に伴い需要が増大するバッテリーなどの重要資源に関して、リサイクル・リユースを含めた本格的なサーキュラーエコノミーモデルの構築が今後の重要な課題となる。また、水資源の再生・循環利用 8 についても、国内モデルプラントでの成功をグローバルに展開していくスピード感が問われる。
第四に、生物多様性影響の管理と定量化である。現状の取り組み 12 は、資源効率改善との連関や地域的な活動が中心であり、企業グループ全体としての定量的な目標設定や、事業活動が生物多様性に与える影響(特にサプライチェーン上流)のより詳細な把握と管理策の導入が望まれる。
最後に、競争環境におけるポジショニングである。ESG評価スコア 21 が示すように、業界トップ層との比較において改善の余地がある。環境パフォーマンスとリスク管理に関する外部からの評価を高め、ブランド価値や投資家からの魅力を向上させることが、持続的な成長のための重要な要素となる。
上記の課題に対応するため、以下の戦略的方向性を提言する。
第一に、電動化ロードマップの加速と明確化である。主要市場の動向や規制強化を見据え、より野心的なBEV導入目標の設定を検討すべきである。同時に、e-MAZDA部門 7 を核とした具体的な投資計画や開発マイルストーンをより明確に示し、マルチソリューション戦略がパリ協定の目標達成にどのように整合するのか、多様なシナリオ下での道筋を透明性高く説明する必要がある。
第二に、サプライチェーンエンゲージメントの深化である。現在の自発的な取り組み促進 8 から一歩進め、サプライヤーに対する明確な削減目標の設定、達成度に応じたインセンティブ(優遇的な調達など)、あるいは技術支援や能力構築プログラムの提供といった、より構造化された連携策を導入することが有効である。Scope3排出量の算定精度向上と情報開示の拡充も重要となる。
第三に、サーキュラーエコノミーへの取り組み推進である。特にEVバッテリーに関して、リサイクル・リユース技術の開発とサプライチェーン構築に向けた具体的な戦略と目標を設定すべきである。車両生産におけるリサイクル材や持続可能な素材の使用率向上についても、定量的な目標を設定し、その達成を推進する。水循環に関しては、国内モデルプラント 13 で得られた知見や技術のグローバル拠点への展開を加速させるべきである。
第四に、生物多様性戦略の強化である。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のような国際的なフレームワークを参照し、科学的根拠に基づいた生物多様性目標(Science-Based Targets for Nature等)の設定を検討する。自社の事業拠点やバリューチェーンが影響を与える可能性のある重要な生態系に対し、具体的な保全・再生策を計画・実行し、その成果を定量的に開示していくことが求められる。
第五に、ESG情報開示とコミュニケーションの強化である。目標達成に向けた進捗状況や、直面している課題について、より透明性の高い情報開示を行う。特に、マルチソリューション戦略のような独自のアプローチについては、その背景にある合理性や具体的な取り組み内容を、ESG評価機関 25 や投資家、その他のステークホルダーに対して積極的に、かつ分かりやすく説明し、理解を深める努力を継続することが重要である。
本報告書では、マツダ株式会社の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の三分野を中心に包括的な分析を行った。分析の結果、マツダは長期的なカーボンニュートラル目標 4 や国内での具体的なCO2削減目標 7、ライフサイクルアセスメント(LCA) 5 を重視する姿勢、先進的な水管理プログラム 13 など、多くの分野で明確な方針と具体的な取り組みを進めていることが確認された。
特に、地域特性に応じた多様なパワートレインを提供する「マルチソリューション戦略」 6 は、同社の環境戦略の中核を成す特徴的なアプローチである。これは、グローバル市場の多様性に対応する柔軟性を持つ一方で、急速な電動化トレンドの中でのリスクも内包しており、その戦略的な実行と市場への適合性が今後の成功を左右する鍵となる。
一方で、いくつかの領域においては更なる深化が求められる。グローバルな電動化競争におけるBEV導入のペース、サプライチェーン全体を巻き込んだ脱炭素化の実効性、バッテリーリサイクルを含むサーキュラーエコノミーへの移行、そして生物多様性保全における定量的な目標設定と管理策の導入などが、今後の主要な課題として挙げられる。
第三者評価機関によるESGスコア 21 は、マツダの取り組みが一定レベルにあることを示しつつも、自動車業界のトップランナーと比較した場合、改善の余地があることを示唆している。
総じて、マツダは独自の哲学に基づき、着実に環境への取り組みを進めている企業である。しかし、自動車業界を取り巻く環境規制の強化や市場の変化は急速であり、今後、設定した目標の達成に向けた取り組みの加速、戦略の継続的な見直しと進化、そしてステークホルダーとの積極的な対話を通じて、その環境パフォーマンスと企業価値を一層向上させていくことが期待される。
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生物多様性・環境をどう保全するか? 企業の取り組み事例【業種別8社】 - サステナビリティNavi, https://sustainability-navi.com/insight/35/
【国際】CDP、自動車大手25社の低炭素経営度ランキング発表。上位欧州勢、日本企業は中盤以下, https://sustainablejapan.jp/2019/12/10/car-low-carbon-ranking/44459
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