本報告書は、花王株式会社(以下、花王と称す)の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、特に気候変動、資源循環、そして生物多様性の3つの主要分野に焦点を当て、包括的な分析を行うことを目的とする。この分析を通じて、同社の環境スコア算出に必要となる詳細情報を収集し、学術的な水準の日本語によるレポートを作成する。本報告書の対象範囲には、花王が展開する具体的な環境プログラムの詳細、環境要因に関連して同社が直面する可能性のある潜在的リスクとビジネス機会の分析、業界内におけるベストプラクティスの提示、現在同社が抱える課題の評価とそれらに対する具体的な提言、さらには主要な競合他社の環境戦略に関する比較分析、そして環境スコアのベンチマーキングが含まれる。
花王は、日用品、化粧品、そして化学製品をグローバルに提供する企業として、その事業活動が地球環境に与える影響の大きさを深く認識し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを経営の根幹に据えて強化している。近年の気候変動の深刻化、資源枯渇の懸念、生物多様性の損失といった地球規模の環境課題は、企業存続にとって無視できないリスクであると同時に、新たな価値創造の機会ともなり得る。このような背景のもと、花王の環境戦略、特にその包括的なESG(環境・社会・ガバナンス)戦略である「Kirei Lifestyle Plan」は、単なる法令遵守や社会貢献活動の枠を超え、事業成長と持続可能性を両立させるための経営戦略の中核として位置づけられていると考えられる。このことは、「Kirei Lifestyle Plan」という戦略名称そのものが生活者のクオリティ・オブ・ライフ向上と環境配慮を不可分に結びつけている点や、CDP(気候変動、フォレスト、水セキュリティの各分野で企業の環境情報開示を評価する国際的な非営利団体)において最高評価である「トリプルA」を連続して獲得している事実からも強く示唆される 1。本報告書は、これらの花王の取り組みを多角的に検証し、その実効性と今後の展望を明らかにすることを試みるものである。
花王が2019年4月に策定したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)は、同社のサステナビリティへの取り組みを象徴するものである 2。このプランは、「未来のいのちを守る」そして「サステナビリティを唯一の道」という強いビジョンを掲げ、19の具体的なリーダーシップアクションテーマを通じて、持続可能でこころ豊かなライフスタイルの実現を目指している 2。130年以上にわたり消費者の生活に寄り添い、より豊かな生活文化の実現に貢献してきた花王の企業姿勢が、このESG戦略の根底には流れている 2。
「Kirei Lifestyle Plan」は、2021年から推進されている中期経営計画「K27」においても、その中核をなすESG戦略として明確に位置づけられている 2。中期経営計画「K27」は、2023年8月に一部修正が行われ、計画最終年を2027年とし、「グローバル展開の遅れと資本効率の悪化」という課題に対応するため、「グローバル・シャープトップ」という新たな方針が加えられた 6。この方針のもと、顧客からの高い需要が見込まれ、高収益となる事業を強化しグローバルに展開すること、そしてこれらの重要ニーズを創造力で解決できる専門性の高い人財を育成し、その人財が活躍できる効率的な組織運営を進めることが成長軸として明確化されている 6。このような経営戦略の転換点において、「Kirei Lifestyle Plan」は、花王が掲げるパーパス「豊かな共生世界の実現」を具現化し、事業活動と社会全体の持続可能性を統合的に推進するための羅針盤としての役割を担っていると言える 6。
中期経営計画「K27」で認識された「グローバル展開の遅れと資本効率の悪化」という経営課題が、ESG戦略、特に環境イニシアチブの強化を促す一因となった可能性は否定できない。企業が経営課題に直面した際、短期的なコスト削減に傾注するケースも散見されるが、花王は「サステナビリティを唯一の道」と明確に位置づけている 2。これは、環境対応を単なるコスト要因としてではなく、将来の成長ドライバーであり、リスク低減策でもあると捉えていることの証左である。グローバル市場においては、環境規制が一層厳格化し、消費者の環境意識もますます高まっている。このような状況下では、高い環境パフォーマンスは市場へのアクセスを確保し、ブランドイメージを向上させる上で不可欠な要素となる。さらに、ESG投資の急速な拡大は、優れたESG評価が資本調達コストの低減や企業価値の向上に直接的に繋がることを意味しており、この点も花王が環境戦略を重視する背景にあると考えられる。
「Kirei Lifestyle Plan」においては、多岐にわたるESG課題への取り組みが掲げられているが、本報告書が特に焦点を当てる環境側面では、「脱炭素」「ごみゼロ」「責任ある原材料調達(生物多様性への配慮を含む)」が重要なテーマとして設定されている 1。これらのテーマは、花王の事業特性、すなわち化学製品や日用品の製造・販売という事業活動が環境に与える影響を直接的に反映したものであり、それぞれが密接に関連しながら推進されている。
特筆すべきは、花王の環境戦略における目標設定の野心性である。気候変動対策においては「2050年カーボンネガティブ」を 1、資源循環においては「2050年ごみネガティブ」を目指すとしており 5、単に排出量や廃棄物量を「ゼロ」にするだけでなく、それらを実質的にマイナスにする、つまり吸収量や回収・再資源化量が排出量や廃棄物量を上回る状態を目指すという、極めて積極的な環境再生へのコミットメントを示している。このような「ネガティブ」を目指す目標設定は、環境課題解決への強い意志と、それを実現可能にするための技術開発力への自信の表れと解釈できる。これらの重点テーマへの具体的な取り組みについては、次章以降で詳述する。
花王は、気候変動を事業継続および社会全体の持続可能性に対する重大なリスクと認識し、その緩和と適応に向けた包括的な戦略を推進している。その中核となるのが、長期的な視点に立った野心的な脱炭素化目標の設定と、それを達成するための具体的な行動計画の実行である。
花王は、2040年までにカーボンゼロ(事業活動におけるCO2排出量を実質ゼロにすること)、さらに2050年までにカーボンネガティブ(CO2排出量を実質マイナスにすること)を達成するという極めて野心的な長期目標を掲げている 1。この目標達成に向けたマイルストーンとして、2030年までの中期目標も具体的に設定されている。製品のライフサイクル全体(原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまで)でのCO2排出量を2017年比で22%削減すること、そして自社工場やオフィスなど直接的な事業活動に伴う排出量(スコープ1)と購入したエネルギーの使用に伴う間接的な排出量(スコープ2)を合わせたスコープ1+2排出量を同じく2017年比で55%削減することを目指している 2。
これらの目標に対する進捗も着実に報告されており、2023年の実績として、ライフサイクル全体でのCO2排出量は2017年比で15%削減、スコープ1+2排出量は同35%削減を達成した 2。特筆すべきは、スコープ1+2排出量に関する2025年の中間目標であった28%削減(2017年比)を2年前倒しで達成した点であり、これは花王の脱炭素化への取り組みが計画通り、あるいはそれ以上のペースで進んでいることを示している 2。これらの排出量削減を実現するための具体的な施策としては、製造プロセスの抜本的な効率化、最新鋭の省エネルギー技術の導入、そしてより環境負荷の低い低炭素燃料への転換などが挙げられる。花王の脱炭素戦略は、自社の排出量削減(スコープ1・2)に留まらず、製品の使用や廃棄段階を含むライフサイクル全体(スコープ3排出量も含む)、さらには社会全体の排出量削減、そして大気からの炭素固定といった、より広範で野心的なアプローチを特徴としている。この姿勢は、業界内でも先進的と言えるだろう。
CO2排出量削減の重要な柱の一つが、再生可能エネルギーの導入拡大である。花王は、2030年までに事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギーで賄うという目標を設定しており、2023年時点での達成率は57%に達している 2。特に注目すべきは、日本国内の全ての事業所において、購入する電力を2023年に100%再生可能エネルギー由来のものに切り替えたという実績である 2。
具体的な導入方法としては、太陽光発電設備の自社設置を進めるほか、再生可能エネルギー発電事業者から電力を長期的に購入するPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)の活用なども積極的に検討・実行されていると考えられる 8。これにより、エネルギーコストの変動リスクを抑制しつつ、安定的にクリーンな電力を確保することを目指している。
花王の気候変動対策は、エネルギー転換に留まらない。製品そのものの環境性能向上にも注力しており、製品ライフサイクル全体でのCO2排出量削減を目指した製品設計や、そもそもCO2排出量が少ない低炭素製品の開発を積極的に推進している 8。例えば、より少ないエネルギーで製造可能な処方の開発や、使用時のエネルギー消費を抑える製品機能の付与などが考えられる。
さらに、排出されたCO2を回収し、資源として再利用するカーボンリサイクル技術(CCUS:Carbon Capture, Utilization and Storage)への取り組みや研究開発も進めている 8。これは、CO2を単なる排出物としてではなく、新たな価値を生み出す資源として捉える革新的なアプローチであり、大気中の炭素を固定化することを通じて脱炭素社会の実現に貢献するという、花王のカーボンネガティブ目標達成に向けた重要な戦略の一つと位置付けられる 1。
CDPにおける「トリプルA」評価の連続獲得は 1、これらの野心的な目標設定、着実な実績、そしてサステナビリティレポートなどを通じた透明性の高い情報開示が総合的に評価された結果であると言える 1。このような外部からの高い評価は、ESG投資を重視する投資家からの信頼獲得や企業価値の向上に繋がり、さらなる環境投資を促進するという好循環を生み出している可能性がある。この好循環が経営層のコミットメントを一層強化し、環境戦略の推進を加速させている構造がうかがえる。
気候変動は、花王の事業活動に対して多岐にわたるリスクと機会をもたらす。同社はシナリオ分析などを通じてこれらの影響を評価し、適切な対応策を講じている 8。
物理的リスクとしては、気候変動の進行に伴う異常気象の頻発化や自然災害の激甚化が挙げられる。これらは、花王の国内外の生産拠点における操業停止やサプライチェーンの寸断、原材料調達の不安定化といった直接的な被害をもたらす可能性がある。例えば、台風や洪水による工場設備の損傷、干ばつによる工業用水の不足、あるいは農作物の不作による天然由来原料の価格高騰などが想定される。
一方、移行リスクとしては、低炭素社会への移行に伴う政策・規制の変更や市場の構造変化が挙げられる。具体的には、炭素税の導入や排出量取引制度の強化による事業コストの増加、環境規制に対応できない製品の市場競争力低下などが考えられる 8。また、投資家や消費者からの環境配慮への要求の高まりも、企業にとっては対応を迫られる移行リスクとなり得る。
気候変動はリスクだけでなく、新たなビジネス機会も創出する。花王は、気候変動適応製品の開発を通じて、これらの機会を捉えようとしている 3。例えば、節水効果の高い洗剤やシャンプー、あるいは猛暑に対応するための冷却効果を持つ製品などは、変化する消費者ニーズに応えるものであり、市場拡大の可能性を秘めている。
また、再生可能エネルギーの導入拡大や徹底した省エネルギー技術の開発・導入は、長期的にはエネルギーコストの削減に繋がり、企業の収益性向上に貢献する。さらに、環境問題への積極的な取り組みは、企業イメージの向上を通じてブランド価値を高め、優秀な人材の獲得や顧客ロイヤルティの向上にも寄与する。将来的には、花王が有する脱炭素化関連技術やノウハウを活かして、他社や社会全体の脱炭素化を支援する新たな製品やサービスを提供するなど、新規事業展開の可能性も考えられる。
花王が掲げる「カーボンネガティブ」という極めて高い目標は、サプライヤーに対してもより高度な環境対応を求めるインセンティブとなり、サプライチェーン全体での脱炭素化を加速させる効果が期待される。また、同業他社にとっても、より野心的な目標設定を促すベンチマークとしての役割を果たし、業界全体の環境パフォーマンス向上に貢献する可能性も秘めている。
花王は、プラスチックごみ問題や資源枯渇といった地球規模の課題に対応するため、「ごみゼロ」社会の実現に向けた資源循環戦略を強力に推進している。この戦略は、製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減し、持続可能な資源利用を実現することを目指すものである。
花王は、プラスチック包装容器に関して、2040年までに「ごみゼロ」、さらに2050年までに「ごみネガティブ」を実現するという長期的なロードマップを策定している 2。ここで言う「ごみゼロ」とは、花王が使用するプラスチック包装容器の量と、花王がプラスチックの再資源化に関与した量が等しくなる状態を指し、「ごみネガティブ」とは、花王のプラスチック包装容器使用量を、花王が関与したプラスチック再資源化量が上回る状態を意味する 9。この野心的な目標達成のため、包装に使用する化石由来プラスチックの総量を2030年までにピークアウトさせ、その後は減少に転じさせるという具体的な目標も掲げている。実際に、2023年の化石由来プラスチック使用量は74,000トンであり、前年の88,000トンから着実な削減を達成している 2。
この戦略の根幹をなすのが、リデュース(削減)、リユース(再使用)、リプレイス(代替)、リサイクル(再資源化)の「4R」の観点に基づいた環境負荷低減への取り組みである 9。特に、つめかえ・つけかえ用製品の普及推進は、プラスチック使用量削減に大きく貢献しており、ボトル容器と比較して約75%のプラスチック使用量削減効果があるとされる 9。花王は、生活者がよりつめかえやすいように容器の改良を重ねるとともに、革新的なフィルム容器の開発にも注力している。
花王は、リサイクル技術の革新、すなわち「リサイクルイノベーション」にも積極的に取り組んでいる。その一つが、革新的なフィルムベース容器の開発と普及であり、2030年までに年間3億個を自社および他社に展開するという目標を掲げている。2023年の実績は1,400万個であった 2。具体的な技術としては、薄いフィルムと空気で構成される自立型容器であるエアインフィルムボトル(AFB)などが挙げられる 10。
また、花王が関与するプラスチックのリサイクル率を2030年までに50%に引き上げるという目標も設定されており、2023年時点での実績は6%である 2。この目標達成に向けた重要な取り組みとして、使用済みパウチ(つめかえパック)を回収し、再びフィルム容器の原料として利用する「フィルムtoフィルムリサイクル」技術の開発と実用化が進められている。2025年にはこの技術を用いた製品の発売を目指しており、2023年には既に一部製品でこの技術を活用した容器が採用され始めている 2。
さらに、PETボトル容器(日本国内)における再生プラスチックの使用率については、2025年までに100%を達成するという目標を掲げ、2023年時点で81%という高い水準に達している 2。
特筆すべきは、資源循環型社会の実現に向けた企業間の連携である。花王は、同業のライオン株式会社と協働し、使用済みのつめかえパックの回収・リサイクルに関する実証活動を行っている 9。これは、業界全体の課題解決に向けた先進的な取り組みとして注目される。
加えて、花王は使用済みPETを原料として、道路舗装の耐久性を向上させるアスファルト改質剤「ニュートラック 5000/5500」にポジティブリサイクルする独自技術を開発し、既に社会実装を果たしている。この技術は、その革新性と環境貢献性が高く評価され、第22回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞「環境大臣賞」を受賞している 9。
包装容器だけでなく、製品そのものの設計においても環境配慮が進められている。製品の濃縮化やコンパクト化により、1回あたりの使用量を減らし、それによって原材料や輸送・使用時のエネルギー消費、さらには使用後のごみの量を削減する取り組みが積極的に行われている 9。
また、製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷を評価し、低減するための環境適合設計要領が整備され、それに基づいた定性的・定量的な評価分析が実施されている 9。
事業活動から排出される廃棄物に関しても、花王の生産拠点(将来的には全拠点)から排出される廃棄物のうち、リサイクルされないものの比率を2030年までにゼロ(1%未満)にするという目標を掲げており、2023年の実績は4.3%であった 2。さらに、廃棄される製品(不良品や売れ残りなど)や販売促進物の量を、2020年を基準として2030年までに95%削減するという目標も設定されており、2023年時点での削減率は43%となっている 2。
花王の資源循環戦略は、単に自社製品の包装材を改良する(リデュース、リプレイス)というレベルに留まらず、使用済み製品の回収システムの構築や、フィルムtoフィルムリサイクルのような高度なリサイクル技術の開発(リサイクルイノベーション)、さらにはライオンとの協業やアスファルト改質剤へのアップサイクルといった異業種連携・技術応用まで踏み込んだ、包括的かつ多層的なアプローチを特徴としている 9。これは、花王が持つ素材科学に関する深い知見と高い研究開発力があってこそ可能となる戦略と言える。
「ごみネガティブ」という極めて野心的な目標は 5、これらの革新的なリサイクル技術の開発と社会実装を強力に推進する原動力となっていると考えられる。この高い目標が存在するからこそ、従来は困難とされてきた技術(例えば、多層フィルムのリサイクル)への積極的な投資や、異業種との連携による新たな回収スキームの構築が進んでいると推察される。
資源循環への取り組みは、花王にとってリスクと機会の両側面を持つ。
花王の事業は、依然として化石由来プラスチックに大きく依存しており、これは将来的な資源枯渇のリスクに直面することを意味する 9。また、バージンプラスチックだけでなく、再生プラスチックの価格も需給バランスや原油価格の変動によって上昇する可能性があり、コスト管理上のリスク要因となる。
一方で、世界的な廃棄物発生量の増加は、処理施設の能力逼迫や処理コストの高騰を招く可能性がある 9。さらに、プラスチックの使用量に関する情報開示義務化や、リサイクル材使用率の義務化、プラスチック税の導入といった規制強化の動きも、対応が遅れれば事業コストの増大に繋がるリスクとなる 9。
これらのリスクに対応し、資源循環を推進することは、花王にとって新たなビジネス機会の創出にも繋がる。植物由来プラスチックや、より環境負荷の低い革新的なフィルム容器といった新素材の開発は、環境意識の高い消費者の支持を獲得し、競争優位性を確立する好機となる 9。
また、使用済み包装容器の効率的な回収・リサイクルシステムの構築や、将来的には店頭でのつめかえ販売といった循環型ビジネスモデルへの転換は、新たな顧客価値を創造し、持続的な成長を可能にするだろう 9。花王が開発したアスファルト改質剤や、研究が進められている使用済み紙おむつの炭素素材化技術などは 9、リサイクル技術そのものを外部に展開することで、新規事業領域を開拓する可能性も秘めている。
花王による革新的なリサイクル技術、特にフィルムtoフィルムリサイクルや、ケミカルリサイクルを示唆する「リサイクルイノベーション」の取り組みが成功し、社会に広く普及すれば 9、これまでリサイクルが困難とされてきたプラスチック素材の経済的価値を高めることに繋がる。これは、他業界、例えば食品業界や他の日用品業界においても、リサイクル可能な製品設計への移行や、新たな回収システムの導入を促す波及効果を生む可能性がある。結果として、社会全体でのプラスチックリサイクル率の向上に貢献し、新たなリサイクル市場の創出にも繋がるかもしれない。
花王は、事業活動が依存する自然資本の重要性を認識し、生物多様性の保全を経営の重要課題の一つとして位置づけている。原材料調達から製品の使用・廃棄に至るバリューチェーン全体を通じて、生物多様性への影響を評価し、その負荷を最小限に抑えるとともに、自然の恵みを将来世代に引き継ぐための積極的な取り組みを展開している。
花王は、2022年4月に「生物多様性の基本方針」を改定し、さらに2023年10月には「生物多様性の行動指針」を改定するなど、国際的な動向や社会からの要請を踏まえ、継続的にその方針を進化させている 2。これらの指針は、バリューチェーン全体で事業と生物多様性との関わりを把握し、事業が生物多様性に与える影響を最小化すること、自然のもたらす恵みを大切に活用するための独自技術開発を進めることなどを柱としている 12。
特に注目すべきは、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークを積極的に活用し、自然関連のリスクと機会を分析・評価し、情報開示を進めている点である 1。花王は、TNFDが提唱するLEAPアプローチ(Locate:優先地域の特定、Evaluate:依存と影響の把握、Assess:リスクと機会の特定と評価、Prepare:戦略と目標設定と評価・報告)に基づき、自社の事業活動が生物多様性に与える影響を詳細に分析している 5。その結果として、例えば主力製品である洗浄剤における生物多様性への関連性を調査し、13のリスクと機会を特定し、さらにそれらのリスクがもたらす潜在的な財務インパクトについても分析・公表している 2。このような取り組みは、花王がTNFDのアダプターリストに登録されていることからも裏付けられ、自然資本経営への先進的な姿勢を示している 1。
花王の製品には、パーム油や紙・パルプといった自然由来の原材料が多く使用されており、これらの持続可能な調達は生物多様性保全の観点から極めて重要である。
パーム油調達においては、サプライチェーンの透明性を高めるため、2025年までに小規模農家まで遡ったトレーサビリティの確認を目標としている。2023年時点での進捗は、搾油工場レベルで99%、農園レベルで87%に達している 2。また、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)認証パーム油の使用についても、2025年までにブックアンドクレーム方式を含めて100%達成するという目標を掲げており、2023年の実績は40%であった 2。
さらに、花王はインドネシアの小規模パーム農家を対象とした独自の支援プログラム「SMILE(Smallholder Inclusion for Better Livelihood & Empowerment)」を展開している 2。このプログラムでは、持続可能な生産方法に関する教育研修の提供、RSPO認証取得の支援、認証取得農家からの認証クレジットの全量購入による安定収入の確保、収量向上と環境負荷低減に繋がる展着剤(アジュバント)の無償提供、そして農家からの苦情や問い合わせに対応するための苦情処理メカニズムの導入といった、多岐にわたる支援を行っている。2023年末までに累計3,080の農家が教育を受け、839の農家がRSPO認証を取得するなどの具体的な成果が報告されている 2。
紙・パルプに関しても、消費者向け製品に使用する認証紙・パルプの割合を2025年までに100%にするという目標を設定し、2023年には98%を達成している 2。これらの原材料調達においては、森林破壊ゼロを目指すNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation)ポリシーを支持し、サプライヤーに対しても同様の取り組みを求めている 2。
花王は、化学メーカーとしての強みを活かし、「人・自然と化学の共生」という独自のコンセプトを掲げ、生物多様性保全に貢献しようとしている 5。これは、「生物多様性の行動指針」にも新たに追加された項目であり、化学物質が自然や生物多様性に与える影響を最新の科学的知見に基づいて評価し、生物多様性と気候変動という相互に関連する地球規模課題の双方に対応する化学のあり方を追求するという意志の表れである 5。
具体的な取り組み事例としては、食糧と競合しない非可食性の油脂から高機能な界面活性剤(バイオIOSなど)を製造する技術や 13、農作物の生育に必要な農薬の使用量を削減できる展着剤の開発などが挙げられる 13。これらは、花王独自の技術を活用して、製品の機能性を維持・向上させつつ、化学物質の使用量そのものを削減し、環境負荷低減に貢献するものである。また、環境中に存在するDNA(環境DNA)を分析することで、特定の水域に生息する生物種を高精度に特定する生態調査方法の開発など、生物多様性の状況把握に関する先進的な技術開発にも取り組んでいる 14。
花王の生物多様性戦略は、単にリスクを管理し、サプライチェーンの安定化を図るという側面に留まらず、ネイチャーポジティブな社会の実現に貢献することで新たな事業機会を創出しようという、攻めの姿勢も見て取れる。特に、「化学の力」を前面に押し出し、自社のコア技術である化学の知見を生物多様性保全に積極的に活用しようとするアプローチは、同社独自の特徴と言えるだろう。TNFDへの早期からの対応と、詳細なリスク・機会分析の公表も、この分野を戦略的に重視していることの証左である。
花王の事業活動は、生物多様性から多大な恩恵を受ける一方で、潜在的なリスクも内包している。しかし、これらのリスクに適切に対処し、積極的に保全活動を行うことは、新たなビジネス機会の創出にも繋がる。
TNFDレポートなどを通じて花王が特定している生物多様性関連のリスクには、森林破壊、工場排水などによる環境中への化学物質排出、製造プロセスや製品ライフサイクル全体での過剰な水資源の利用、そしてプラスチックを中心とした廃棄物の不適切な排出などが含まれる 14。これらのリスクが顕在化した場合、パーム油や紙・パルプといった主要原材料の調達が不安定になったり、調達コストが大幅に上昇したりする可能性がある。また、水不足による工場操業の困難化、環境汚染による地域社会からの信頼失墜や操業許可の取り消し、さらには企業レピュテーションの低下による製品不買運動など、事業継続そのものを脅かす事態に発展しかねない 5。
気候変動の進行は、これらのリスクをさらに増幅させる要因となる。気温上昇や降水パターンの変化は、原材料生産地の生態系を変化させ、農作物の収量低下や品質劣化を引き起こす可能性がある。これは、花王のサプライチェーンに間接的ながら深刻な影響を及ぼす。
パーム油のような主要原材料におけるサプライチェーンの複雑さと、それに伴う環境・人権リスクの高さは、花王がトレーサビリティの確保や小規模農家への直接支援(SMILEプログラムなど)といった、より踏み込んだ調達戦略を採用する大きな要因となっている 2。これは、安定的な原料確保という事業継続性の観点と、倫理的な調達という企業評判リスク低減の観点の双方から、合理的な戦略的判断と言える。
一方で、生物多様性保全への積極的な取り組みは、花王にとって新たなビジネスチャンスをもたらす。持続可能な方法で調達された原材料の使用や、生物多様性保全に貢献する独自技術(例えば、前述のバイオIOSやバイオ没食子酸、環境負荷の低い農薬展着剤など)を応用した製品開発は、環境意識の高い消費者の支持を集め、市場における競争優位性を確立する上で有利に働く 14。
さらに、TNFDの分析でも示唆されているように、生物多様性配慮型の農林水産業、節水技術、劣化した土地の再生・修復ビジネス、疫病の抑制に貢献する製品やサービス、バイオマス資源の高度利用といった「ネイチャーポジティブ市場」は、今後大きな成長が見込まれる分野である 14。花王が有する化学技術や製品開発力をこれらの市場ニーズと結びつけることができれば、新たな収益の柱を育成することも可能であろう。
また、工場周辺の緑化活動や地域固有の生態系保全プロジェクトへの参画といった社会貢献活動は、地域社会との良好な関係を構築し、従業員の環境意識を高めるだけでなく、企業ブランド全体の価値向上にも繋がる。
花王がTNFDフレームワークを先駆的に活用し、自然関連のリスクと機会、さらにはそれらが財務に与える影響について詳細な情報を開示していくことは 2、日本の産業界全体における自然資本経営の理解と実践を促進する上で重要な役割を果たす可能性がある。特に、化学メーカーとしての事業特性に深く関わる「化学物質の生物多様性への影響評価」という困難な課題に正面から取り組む姿勢は 5、同業他社にとって重要な示唆を与え、業界全体の透明性と責任ある行動を促すことに貢献し得る。
花王の環境イニシアチブとパフォーマンスを評価する上で、同社が属する日用品・化学業界全体の動向と、主要な競合他社の取り組みを比較分析することは不可欠である。これにより、花王の戦略の先進性や課題がより明確になる。
近年、日用品・化学業界のグローバル企業は、気候変動対策、資源循環、生物多様性保全の各分野において、野心的な目標を掲げ、革新的な取り組みを加速させている。気候変動対策では、科学的根拠に基づく削減目標(SBT)の1.5℃目標への整合、スコープ3排出量の大幅削減、そして再生可能エネルギー100%達成に向けた具体的なロードマップの策定と実行が標準化しつつある。さらに、炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術やグリーン水素の活用といった次世代技術への投資も活発化している。
資源循環においては、プラスチック使用量の削減(リデュース)、容器包装の再利用(リユース)モデルの構築、リサイクル材の使用率向上、そしてケミカルリサイクルなどの先進的リサイクル技術の社会実装に向けた動きが顕著である。特に、これまでリサイクルが困難とされてきた軟包装材や複合素材の循環利用に向けた技術開発や、異業種連携による回収・リサイクルスキームの構築が注目される。また、製品設計段階から循環性を考慮する「サーキュラーデザイン」の導入や、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックといった代替素材への転換も進んでいる。
生物多様性保全に関しては、サプライチェーンにおける森林破壊ゼロや土地利用変化の最小化、持続可能な農林水産物調達の認証取得、そしてTNFDフレームワークに沿った自然関連リスク・機会の評価と情報開示がグローバルスタンダードとなりつつある。さらに、事業活動拠点周辺の生態系保全活動や、ネイチャーポジティブ(自然再生)に貢献するプロジェクトへの投資も増加傾向にある。
これらのベストプラクティスは、花王が自社の戦略をさらに高度化していく上で重要な示唆を与える。特に、サプライチェーン全体を巻き込んだスコープ3排出量削減の具体策、コスト効率と環境負荷低減を両立する革新的リサイクル技術の確立、そして生物多様性へのポジティブな貢献を定量的に示し拡大していくための戦略などが、今後の焦点となるであろう。
花王と同様にトイレタリー製品、化粧品、化学品などをグローバルに製造・販売する主要な競合他社として、本報告書ではライオン株式会社(以下、ライオン)、資生堂株式会社(以下、資生堂)、プロクター・アンド・ギャンブル(以下、P&G)、ユニリーバ、三井化学株式会社(以下、三井化学)、そして住友化学株式会社(以下、住友化学)を特定し、各社の環境イニシアチブを分析する。
ライオンは、長期環境目標「LION Eco Challenge 2050」を掲げ、脱炭素社会と資源循環型社会の実現に挑戦している 20。気候変動対策では、SBTイニシアチブから1.5℃目標の認定を受け、2030年までにスコープ1+2排出量を2018年比で55%削減、スコープ3排出量を同30%削減するという目標を設定している 20。資源循環においては、3R(リデュース、リユース、リサイクル)にRenewable(持続可能な資源の活用)を加えた「3R+Renewable」を推進し、特にプラスチック製つめかえ用フィルム容器のリサイクルに関しては、花王とも協働して回収基盤の構築やリサイクル技術の開発に取り組んでいる 11。生物多様性に関しては、過去から水環境問題に積極的に対応してきた経緯があり、現在は生物多様性方針を定め、バリューチェーン全体でのリスクや影響を把握し、生物多様性の損失を止め回復させるための取り組みを進めている 20。
資生堂は、美を心から楽しめる豊かな地球環境を目指し、環境負荷軽減に取り組んでいる。気候変動対策では、2026年までに工場等のカーボンニュートラル(オフセット含む)を達成し、2030年までにスコープ1・2排出量を2019年比で46.2%削減、スコープ3排出量を同55%削減(経済原単位)するというSBT認定目標を掲げている 22。資源循環では、水消費量を2026年までに2014年比で40%削減(売上高原単位)、工場における埋め立て廃棄物ゼロを2022年に達成し継続している 22。容器包装については、2025年までに100%サステナブルな容器(プラスチック製)への切り替えを目指し、リサイクル素材やバイオマス由来プラスチックの利用、容器軽量化、「つめかえ・つけかえ」容器の展開を進めている 22。原材料調達においては、2023年までに製品に使用する紙を100%サステナブルなものに切り替え、パーム油についても100%サステナブルなものへの切り替えを目指している 22。生物多様性に関しては、工場などの自社サイトにおけるリスクアセスメントの実施や地域に応じた保全活動、そして主要原材料調達における森林破壊ゼロの支持とトレーサビリティ確保を含むサステナブルで責任ある調達に取り組んでいる 24。TNFDの考え方を参考に、気候変動・自然関連財務情報開示レポートも発行している 25。
P&Gは、グローバルで2040年までに温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロにするという目標を掲げ、その達成に向けた2030年までのSBTi短期目標(事業活動全体での排出量50%削減、サプライチェーン全体での排出量40%削減(2010年ベース))も設定している 26。水戦略では、オペレーションにおける節水や水不足地域の回復支援を推進している 26。廃棄物戦略においては、循環型バリューチェーンの構築を目指し、2030年までに全ての消費者向け製品パッケージをリサイクルまたは再利用可能な設計にすることを目指している 26。日本においても、イオンと協働した「EXPO 2025 みんなのリサイクルステーションプロジェクト」や、「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」への参画など、具体的なリサイクル活動を展開している 26。自然戦略としては、木材パルプやパーム油などの主要商品の責任ある調達や、景観保護・回復プロジェクトへの投資を行っている 26。P&Gの日本国内における具体的な環境保全活動の詳細は、主にグローバルなサステナビリティレポートやウェブサイトを通じて発信されている 32。
ユニリーバは、2039年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出ネットゼロを達成するという野心的な目標を掲げている 38。再生可能エネルギーの利用にも積極的で、日本国内の全ての事業所(オフィス、工場など)では2015年11月から100%再生可能エネルギーを使用している 39。資源循環に関しては、「Less Plastic(プラスチック使用量を減らす)」「Better Plastic(リサイクルしやすい素材、再生プラスチック等に替える)」「No Plastic(紙・金属・ガラス等に替える)」という3つの戦略をグローバルで推進している 40。生物多様性保全では、2030年までに主要作物の95%を持続可能な調達の裏付けが取れたものにすること、100万ヘクタールの農地で再生型農業を実践すること、そして森林減少の原因となるコモディティにおいて森林破壊ゼロを継続することなどをグローバル目標として掲げている 43。日本市場においても、例えば「ダヴ 泡洗顔」シリーズで生分解性の高い成分を採用したり、マイクロプラスチックビーズを製品から完全に撤廃したりといった具体的な取り組みが見られる 43。
三井化学は、化学メーカーとして気候変動対応とサーキュラーエコノミーの実現を経営の重要課題と位置付けている。気候変動対策では、2030年度までにGHG排出量を2013年度比で30%以上削減するという目標を掲げ、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの活用に取り組んでいる 45。資源循環においては、バイオマス戦略とリサイクル戦略を両輪で推進し、海洋プラスチックごみ問題への対応も強化している 46。特に、環境貢献価値を可視化する「Blue Value®」製品と、QOL向上貢献価値を可視化する「Rose Value®」製品という独自の認定制度を設け、これらの製品群の拡大を通じて持続可能な社会への貢献を目指している 51。生物多様性保全に関しては、三井化学グループの一員として、生産活動における環境負荷低減が生物多様性保全に繋がるとの考えのもと、化学物質管理、GHG排出量削減、水資源管理などに取り組んでいるほか、「世界自然遺産応援プロジェクト」などを通じて社会貢献活動も行っている 45。詳細な情報は、同社発行のESGレポート2024などで確認できる 52。
住友化学は、カーボンニュートラルへの貢献を「責務」と「貢献」の両面から推進している。責務としては、2050年までにScope1、2のGHG排出量実質ゼロ、2030年度までに2013年度比50%削減という目標を掲げ、SBTiの認定も取得している 56。貢献としては、リサイクルによるプラスチック資源循環の促進などを通じて社会全体のカーボンニュートラル達成に寄与することを目指している。資源循環では、ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施やカーボンフットプリント(CFP)の算定を進めるとともに、ケミカルリサイクル技術を活用したプラスチックリサイクルブランド「Meguri®」の展開や、バイオマスプラスチックの開発にも取り組んでいる 56。水リスクへの対応として、生産拠点ごとのリスク評価と対策も講じている 56。生物多様性保全については、「住友化学生物多様性行動指針」を策定し、全事業所でISO14001の活動目標に掲げるなど取り組みを強化しており、愛媛工場内のエリアが環境省の「自然共生サイト」に認定されるなどの具体的な活動事例もある 58。
日用品・化学業界の大手企業は、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野で高いレベルの目標を設定し、具体的な取り組みを進めているが、その重点領域や戦略的アプローチには各社の事業特性や経営戦略を反映した差異が見られる。例えば、P&Gやユニリーバは、グローバルなブランド力を活かした消費者への直接的な訴求や、大規模なサプライチェーンを通じた影響力行使が特徴的である 26。一方、花王やライオン、資生堂は、日本市場での強固な基盤を活かしつつ、グローバル基準での環境対応を強化している 1。化学メーカーである三井化学や住友化学は、素材開発や革新的なリサイクル技術といった、より技術的な側面からの環境貢献が期待されている 45。このような中で、花王とライオンがプラスチックリサイクルという共通課題に対して協業するという動きは 11、個々の企業の努力だけでは解決が難しい社会課題に対して、業界全体で連携して取り組む必要性を示唆しており、特筆すべき点である。
企業の環境パフォーマンスを客観的に評価し比較する上で、CDPスコアやMSCI ESGレーティングといった外部評価機関によるスコアリングは重要な指標となる。
CDPは、企業が環境(気候変動、フォレスト、水セキュリティ)に関する情報をどの程度開示し、リスク管理や機会創出に繋げているかを評価する国際的な非営利団体である。そのスコアは、リーダーシップレベル(A、A-)、マネジメントレベル(B、B-)、認識レベル(C、C-)、情報開示レベル(D、D-)、そして無回答(F)といった段階で評価される 61。
花王は、このCDP評価において極めて高い評価を得ている。2024年版のCDPスコアにおいて、気候変動、フォレスト、水セキュリティの3分野全てで最高評価である「A」を獲得し、「トリプルA」企業として認定された。これは5年連続の快挙であり、対象となった約24,800社の中でトリプルAを獲得したのはわずか8社のみであることからも、花王の環境パフォーマンスと情報開示の卓越性がうかがえる 1。
競合他社を見ると、ライオンはCDP「サプライヤー・エンゲージメント評価」において5年連続で最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されており、サプライチェーン全体での環境負荷低減への取り組みが高く評価されている。また、「水セキュリティ」分野でも3年連続で最高評価「A」を獲得している 66。資生堂は、2024年度のCDP評価において「気候変動」分野で3年連続、「水セキュリティ」分野で初のAリスト企業に選定された 67。過去には「フォレスト」分野でもA評価を獲得した実績がある 68。P&Gは、2024年12月18日更新のNet0Tracker.comの情報によれば、CDPスコア「A-」と報告されている 69。ユニリーバに関しては、CDP Climate 2022の質問書が公開されているが 70、直近の具体的なスコアは提供された情報からは特定できなかった。三井化学および住友化学についても、CDPへの回答は行っていると考えられるが 62、具体的なスコアに関する最新情報は限定的であった。NTTデータグループや東急不動産ホールディングスといった他業種の日本企業も、気候変動分野などでAリストに選定されており、日本企業全体の環境意識の高まりが見て取れる 74。2023年のCDP Aリストには、気候変動で112社、フォレストで7社、水セキュリティで36社の日本企業が選定されている 65。
これらの情報から、花王はCDP評価において競合他社と比較してもトップクラスの評価を維持しており、環境経営のリーダー企業としての地位を確立していると言える。
MSCI ESGレーティングは、企業の環境・社会・ガバナンス(ESG)への対応状況を評価する代表的な指標の一つであり、多くの機関投資家が投資判断に活用している。
花王は、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する全てのESG指数の構成銘柄に継続して選定されており、MSCIの評価においても高い水準にあることが推察される 64。
競合他社のMSCI ESGレーティングを見ると、ライオンは2023年に初めて「AA」評価を獲得し、特に「製品カーボンフットプリント」「責任ある原材料調達」「コーポレート・ガバナンス」などが評価された 78。資生堂もMSCI ESGレーティングで「AA」評価を受けており、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に選定されている 79。Sustainalyticsによる評価では、資生堂は「Medium Risk」(22.2)とされている 80。P&Gは、KnowESG.comの情報によればMSCI ESGレーティングで「A」評価、SustainalyticsのESGリスクレーティングでは24.9(Medium Risk)と評価されている 81。ユニリーバはMSCI ESGレーティングで最高評価の「AAA」を獲得しており、Sustainalyticsのリスクレーティングは22.2(Medium Risk)、KnowESG.comでは「AA」評価と、極めて高い評価を得ている 82。三井化学は、「MSCI ESG Leaders Indexes」およびGPIFが採用する「MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に選定されている 84。住友化学も、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に選定されている 86。
これらの外部評価機関からの高い評価は、企業のブランド価値向上やESG投資の呼び込みに繋がり、さらなる環境投資へのインセンティブとして機能していると考えられる。花王のCDPトリプルA獲得や、多くの競合他社が主要なESG指数に選定されている事実は、この傾向を明確に裏付けている。ESG評価は、もはや企業のイメージ戦略の一環ではなく、財務パフォーマンスにも影響を与える経営上の重要要素となっているのである。高いESGスコアは、投資家に対して企業が環境・社会リスクを適切に管理し、長期的な成長機会を捉えているという強力なシグナルを発信する。これにより、資金調達コストの低減、株価の安定性向上、そして優秀な人材の獲得といった具体的なメリットが期待できるため、企業は積極的に情報開示レベルを高め、評価向上に努めるという好循環が生まれている。
花王が「カーボンネガティブ」や「ごみネガティブ」といった極めて野心的な目標を掲げ、それを達成するための技術開発やサプライチェーン管理を強力に推進することは、業界全体の基準を引き上げる効果をもたらす可能性がある。これは、サプライヤーや関連企業に対しても同様の先進的な取り組みを促す「スピルオーバー効果」を生み出し、業界全体のサステナビリティレベルの向上に貢献し得る。
花王は、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」のもと、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野において野心的な目標を掲げ、具体的な取り組みを着実に進めており、CDPトリプルA評価に象徴されるように、その環境パフォーマンスは国際的にも高く評価されている。しかしながら、これらの目標達成に向けては、依然として克服すべき主要な課題が存在する。
花王はスコープ1・2排出量削減において着実な成果を上げているものの、製品のライフサイクル全体でのカーボンニュートラル達成のためには、サプライチェーン全体、特にスコープ3排出量のさらなる削減が不可欠である 2。スコープ3排出量の大部分を占めるカテゴリ1「購入した製品・サービス」の削減には、多数のサプライヤーとの連携とエンゲージメント強化が求められる。グローバルに広がる複雑なサプライチェーンにおいて、各サプライヤーの排出量を正確に把握し、削減努力を促し、その実効性を検証していくことは容易ではない。特に、海外のサプライヤーに対しては、地域ごとの規制の違い、環境意識の差、技術レベルのばらつきなどに対応する必要があり、きめ細やかな管理体制とコミュニケーション戦略が求められる。
花王はフィルムtoフィルムリサイクルやケミカルリサイクルといった革新的なリサイクル技術の開発に注力しているが、これらの技術を社会に広く実装し、事業として成立させるには複数の課題が存在する 2。第一に、効率的な使用済み製品の回収システムの構築である。消費者の協力はもとより、自治体や他企業との連携による広域的な回収ネットワークが不可欠となる。第二に、リサイクル技術の安定性とスケールアップである。実験室レベルでの成功を、商業ベースでの安定生産に繋げるには、技術的なハードルを乗り越える必要がある。第三に、コスト効率の確保である。再生プラスチックの製造コストがバージンプラスチックと比較して著しく高い場合、その普及は限定的とならざるを得ない。品質を確保しつつ、安定的に低コストで再生プラスチックを供給できる体制の構築が急務である。
花王はTNFDフレームワークを活用し、生物多様性に関するリスクと機会の評価を進めているが、事業活動を通じて生物多様性に「ポジティブな貢献」を具体的に行い、そのインパクトを定量的に測定し、さらに拡大していくことは大きな挑戦である 2。責任ある原材料調達や工場周辺の生態系保全活動は進められているものの、これらが生物多様性の回復や向上にどの程度寄与しているのかを科学的根拠に基づいて評価し、社会に分かりやすく伝達するための指標設定や評価方法の確立が求められる。「人・自然と化学の共生」という理念を、測定可能で具体的な成果として示していくことが、今後の重要な課題となる。
花王が掲げるカーボンネガティブ、ごみネガティブ、そしてネイチャーポジティブといった極めて野心的な目標は、既存の技術や社会システムの延長線上では達成が困難であると言わざるを得ない。これらの目標は、花王に対してブレークスルーとなるイノベーションの創出と、それを社会に実装するための広範な社会変革への積極的な働きかけを必然的に要求する。これは、目標設定の高さ故の「実行の壁」とも言えるだろう。花王一社の努力だけでは解決できないこれらの課題に対しては、政府、他企業、消費者、研究機関など、多様なステークホルダーとの連携・協働が成功の鍵を握る。
また、中期経営計画「K27」においてグローバル展開の遅れや資本効率の悪化が課題として認識されていることは 6、環境戦略の推進においても、投資判断の厳格化や短期的な成果を求める圧力として作用する可能性がある。生物多様性保全や革新的リサイクル技術開発といった、成果発現までに時間を要する長期的な視点が必要な環境投資と、短期的な経営改善要求との間で、いかに最適なバランスを見出すかが、経営上の重要な論点となる。環境投資が長期的なリスク低減やブランド価値向上に繋がり、ひいては資本効率改善にも貢献することを定量的に示し、経営層や投資家を説得するロジックの精緻化が求められる。
上記の課題評価を踏まえ、花王が今後さらに環境パフォーマンスを高め、持続可能な成長を実現するために注力すべき主要分野と具体的な行動について、以下の通り提言する。
第一に、サプライチェーン全体を巻き込んだスコープ3排出量削減目標のさらなる具体化と実行力の強化である。カテゴリ別の詳細な削減目標を設定し、主要サプライヤーに対する技術支援や共同での削減プロジェクトの立ち上げなど、より踏み込んだサプライヤー支援プログラムを拡充すべきである。また、サプライヤーの選定基準に環境パフォーマンスをより明確に組み込むことも有効であろう。
第二に、革新的リサイクル技術(特にケミカルリサイクルや高度選別技術)への継続的な研究開発投資と、その社会実装の加速である。実証プラントから商業プラントへの移行を迅速に進めるためには、技術的な課題解決だけでなく、資金調達、規制緩和への働きかけ、そしてリサイクル材の需要創出といった多角的なアプローチが必要となる。このため、異業種企業やベンチャー企業、研究機関との戦略的パートナーシップを積極的に構築し、オープンイノベーションを推進することを提案する。
第三に、生物多様性保全に関して、より明確なネイチャーポジティブ目標を設定し、その達成に向けた具体的なロードマップを策定・公表することである。例えば、生態系再生プロジェクトへの具体的な投資額目標、生物多様性配慮型製品の売上収益比率目標、あるいはサプライチェーンにおける自然資本へのインパクト改善目標などを設定し、進捗を定期的に開示することが考えられる。これにより、コミットメントの具体性と透明性が高まる。
第四に、消費者に対する環境啓発活動の一層の強化である。花王のサステナブルな製品が消費者に選択され、また使用済み製品が適切に分別・回収されるためには、消費者の理解と協力が不可欠である。製品パッケージや広告、ウェブサイトなどを通じて、環境配慮型製品の価値や正しいリサイクル方法について、より分かりやすく魅力的な情報発信を行うコミュニケーション戦略を展開すべきである。
最後に、中期経営計画「K27」の達成に向けて 2、環境戦略と事業戦略のさらなる統合を図り、環境価値の創造が経済価値の向上に明確に繋がるビジネスモデルを追求することである。環境負荷低減技術やサステナブルな製品開発を新たな収益機会として捉え、事業ポートフォリオの変革を加速させることが、花王の持続的な成長と企業価値向上に不可欠である。
花王がこれらの高度な課題(スコープ3排出量の一層の削減、革新的リサイクル技術の社会実装とコスト効率、生物多様性ポジティブな貢献の定量化と拡大、グローバルサプライチェーンでの環境負荷管理の徹底など)に対して具体的な解決策を提示し、成功モデルを構築できれば、それは日本企業全体のサステナビリティ経営のレベルを向上させ、国際的な競争力強化にも貢献し得る。日本企業は環境技術において高いポテンシャルを有している一方で、それをグローバルなルール形成や市場獲得に繋げる点で課題を抱えることがある。花王がサプライチェーン管理、資源循環、自然資本経営といった重要分野で世界的に認められるモデルケースを創出することは、他の日本企業にとっても重要な道標となり、日本全体の産業界のプレゼンス向上に繋がるであろう。
本報告書は、花王株式会社の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、気候変動、資源循環、生物多様性の3分野を中心に包括的な分析を行った。分析の結果、花王はESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を核に、極めて野心的な環境目標を設定し、その達成に向けて多岐にわたる具体的な取り組みを推進していることが明らかになった。特に、2050年カーボンネガティブおよびごみネガティブという目標設定、TNFDフレームワークの積極的な活用、そして「化学の力」を活かした独自のアプローチは、同社の環境経営における先進性を示している。CDPにおけるトリプルA評価の連続獲得は、これらの努力が国際的にも高く評価されている証左である。
一方で、サプライチェーン全体での排出量削減の深化、革新的なリサイクル技術の社会実装におけるコスト効率と回収システムの課題、そして生物多様性へのポジティブな貢献の定量化と拡大といった、克服すべき重要な課題も浮き彫りになった。これらの課題は、花王が掲げる高い目標を達成する上で避けては通れないものであり、技術開発、社会システム変革への働きかけ、そして多様なステークホルダーとの連携が一層求められる。
花王がこれらの課題に真摯に向き合い、本報告書で提言したような戦略的行動を着実に実行していくならば、同社は環境分野におけるグローバルリーダーとしての地位をさらに強固なものとし、持続可能な社会の実現に大きく貢献するとともに、企業価値の持続的な向上を達成することができるであろう。本分析が、今後の花王の環境戦略推進、関連する学術研究、そして企業の環境パフォーマンス評価に関わる実務家にとって、何らかの一助となることを期待する。
ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の進捗状況を公表 | 花王株式会社のプレスリリース - PR TIMES, 5月 14, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000070897.html
Kao | Kao Releases Progress Reports on its ESG Strategy —the ..., 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/global/en/newsroom/news/release/2024/20240524-001/
花王、5年連続でCDPのトリプルAに選定され、環境への取り組みを強化する意向 - VOIX SDGs, 5月 14, 2025にアクセス、 https://voix.jp/sdgs/sdgs/54751/
日本からは花王など、CDPが認める「環境リーダー」に - オルタナ, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.alterna.co.jp/154034/
花王 | 花王、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の進捗状況を公表, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2024/20240524-001/
花王サステナビリティレポート 2024 - Kao Americas, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/sustainability2024-all.pdf
「花王統合レポート2024」を公開 | 花王株式会社のプレスリリース - PR TIMES, 5月 14, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000407.000070897.html
脱炭素 - 花王, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/sustainability/planet/decarbonization/
ごみゼロ - 花王, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/sustainability/planet/zero-waste/
Kirei Lifestyle Plan 花王のESG戦略と具体的取組, 5月 14, 2025にアクセス、 https://channel.nikkei.co.jp/f/2103sdgs3.pdf
資源循環|循環型社会の実現|環境とともに|サステナビリティ | ライオン株式会社, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.lion.co.jp/ja/sustainability/env/resources/activity01.php
花王 | サステナビリティ, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/sustainability/klp/policy/biodiversity-policy/
化学物質管理を通じた 生物多様性への貢献, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.env.go.jp/content/000288886.pdf
花王 | 生物多様性の取り組み, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/sustainability/nature/biodiversity/
生物多様性がもたらすビジネスリスクと機会 –TNFD評価 地域特性を踏まえたケーススタディ–, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/biodiversity-tnfd.pdf
花王、TNFDのフレームワークを活用した生物多様性に関するレポート「生物多様性がもたらすビジネスリスクと機会」を公開, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230410-001/
Example TNFD reporting, 5月 14, 2025にアクセス、 https://tnfd.global/knowledge-hub/example-tnfd-reporting/
Kao Releases Biodiversity Report Based on the TNFD Framework, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/global/en/newsroom/news/release/2023/20230410-001/
花王 | サステナビリティ, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/jp/sustainability/
環境とともに|サステナビリティ | ライオン株式会社, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.lion.co.jp/ja/sustainability/env/
環境とともに生物多様性保全活動 - ライオン, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.lion.co.jp/ja/sustainability/env/biodiversity/activity01.php
環境 | サステナビリティ | 資生堂 企業情報, 5月 14, 2025にアクセス、 https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/env/
資生堂のSGDsの取り組み|~美の力でよりよい世界をつくる - Spaceship Earth, 5月 14, 2025にアクセス、 https://spaceshipearth.jp/shiseido-sdgs/
環境についての方針と環境マネジメント | 環境 | サステナビリティ | 資生堂 企業情報, 5月 14, 2025にアクセス、 https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/env/policy/
corp.shiseido.com, 5月 14, 2025にアクセス、 https://corp.shiseido.com/en/sustainability/env/pdf/risks_report.pdf
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P&Gは、グローバルで2040年までに温室効果ガス(GHG)排出量をNET ZERO(ネットゼロ)にすることを目指し, 5月 14, 2025にアクセス、 https://jp.pg.com/newsroom/net-zero-by-2040/
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CDPの気候変動調査において最高評価のAリスト企業に3年連続で選定 | NTTデータグループ, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2025/020702/
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お知らせ> 「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に選定 - ライオン, 5月 14, 2025にアクセス、 https://www.lion.co.jp/ja/news/2024/4499
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