地球温暖化に伴う気候変動の深刻化、天然資源の枯渇懸念、そして生物多様性の急速な損失は、現代社会が直面する喫緊のグローバル課題である。これらの課題に対し、国際社会全体での取り組みが加速する中、企業活動が環境に与える影響への関心はかつてなく高まっている。投資家、消費者、従業員をはじめとする多様なステークホルダーは、企業に対し、環境負荷の低減のみならず、サステナビリティ(持続可能性)を経営の中核に据え、具体的な行動を通じて社会全体の持続可能な発展に貢献することを強く求めている。
このような背景の下、本報告書は、グローバルに事業を展開するコニカミノルタ株式会社(以下、コニカミノルタ)の環境側面における取り組みとパフォーマンスを、包括的かつ詳細に分析することを目的とする。特に、「気候変動への対応」「資源循環の推進」「生物多様性の保全」という3つの重要分野に焦点を当て、同社の具体的な戦略、目標、施策、実績データを整理・評価する。これにより、環境スコアリングに必要な基礎情報を提供するとともに、学術的な視点から同社の環境経営の現状と課題を明らかにすることを目指す。
コニカミノルタは、オフィス向け複合機やプロダクションプリントシステム、ヘルスケア(医療用画像診断システム等)、産業用計測機器、機能材料、光学コンポーネントなど、多岐にわたる事業をグローバルに展開する企業である 1。その事業特性上、製品のライフサイクル全体、すなわち研究開発、原材料の調達、生産、輸送、顧客による製品使用、そして最終的な廃棄・リサイクルに至る各段階において、エネルギー消費、資源利用、化学物質の使用・排出、廃棄物の発生といった形で環境への影響が生じる。
特に、製造拠点におけるエネルギー消費や水利用、製品使用段階での電力消費、プラスチックをはじめとする資源の大量使用、使用済み製品の処理などは、同社が取り組むべき主要な環境課題である。これらの課題への対応は、単なる環境規制遵守にとどまらず、事業継続性の確保、コスト削減、新たな事業機会の創出、そして企業価値向上に直結する重要な経営マターと位置づけられる。
本報告書の分析対象は、コニカミノルタのグローバルな事業活動全体とする。分析の焦点は、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3分野における同社の戦略、目標、具体的な取り組み、およびパフォーマンスデータとする。
情報源としては、同社が発行する統合報告書(例:統合報告書2024 3)、サステナビリティレポートおよびサステナビリティウェブサイト 5、ESGデータブック 6、コニカミノルタ環境方針 7 や生物多様性保全に関する考え方 8 などの各種方針、関連するニュースリリース 9 を主要な一次情報とする。加えて、CDP、MSCI、EcoVadisなどの第三者評価機関による評価結果、競合他社の公開情報、関連業界の動向に関する公開情報を二次情報として活用し、多角的な分析を行う。
コニカミノルタの環境への取り組みは、明確な方針と長期的な視点に基づいている。同社の「環境方針」では、「-測定なくしてコントロールなし-」という原則を掲げ、データに基づいた管理体制の重要性を強調している 7。この方針は、地球市民としての責任、国内外の法的要求事項および社内基準の遵守、製品ライフサイクル全体での環境配慮、地球温暖化防止への取り組み、循環型社会への対応、化学物質による汚染予防とリスク低減、積極的な情報公開、そして環境目標設定を通じた継続的改善を柱としている 7。これは、単なるコンプライアンス遵守を超え、事業活動のあらゆる側面に環境配慮を統合しようとする強い意志の表れである。
さらに、2050年を見据えた長期環境ビジョン「エコビジョン2050」を策定し、「カーボンマイナス」の達成、地球資源の有効活用の最大化と資源循環、そして自然との共生社会の実現という、極めて意欲的な目標を掲げている 11。カーボンマイナスは、自社の事業活動に伴うCO2排出量(Scope1, 2)を削減するだけでなく、顧客やサプライヤー等におけるCO2排出量削減への貢献を通じて、社会全体の排出量削減に寄与し、その貢献量が自社排出量を上回る状態を目指すものである 4。これらの長期目標は、同社が環境課題解決を事業成長の機会と捉え、持続可能な社会の実現に向けて主体的に貢献していく姿勢を示している。
コニカミノルタは、持続的な企業価値向上に向け、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定している。このプロセスでは、2030年を見据えた未来の社会像と、そこで顕在化するであろう社会課題を洞察し、自社が持つ技術力や顧客基盤といった無形資産を活用することで特に大きな社会価値を創出できるテーマを洗い出した 4。その結果、「働きがい向上および企業活性化」「健康で質の高い生活の実現」「社会における安全・安心確保」「気候変動への対応」「有限な資源の有効活用」という5つのマテリアリティが特定された 4。
環境関連では、「気候変動への対応」と「有限な資源の有効活用」の2つがマテリアリティとして挙げられている 15。このように環境課題を2つに絞り込んでいる点は、経営資源を重点分野に集中させ、より具体的かつ効果的な成果を追求しようとする戦略的なアプローチを示唆している。また、同社はこれらの社会課題解決の鍵としてデジタルトランスフォーメーション(DX)を位置づけており 13、自社の技術的強みを環境戦略と不可分に連携させ、独自の価値創造を目指す意図がうかがえる。
環境戦略の実効性を担保するため、コニカミノルタは明確な推進体制を構築している。環境マネジメント全体に関する最高責任と権限は代表執行役社長が有し、その有効性について責任を負う体制となっている 11。取締役会は、この環境マネジメントを含むサステナビリティ経営全般について監督機能を果たしている。
具体的な活動推進においては、環境担当役員が中心となり、サステナビリティ推進部門が企画・管理を担い、各事業部門がそれぞれの事業活動の中で環境目標達成に向けた施策を実行するという連携体制が取られていると考えられる。このようなトップダウンのコミットメントと部門横断的な連携は、全社的な環境意識の向上と具体的なアクションの推進に不可欠である。ただし、提供された情報からは、部門間の具体的な連携メカニズムや、環境関連の投資判断を含む意思決定プロセスの詳細までは明らかになっていない。戦略の実効性をより深く評価するためには、これらの運用実態に関する情報がさらに必要となる。
コニカミノルタは、気候変動対策において極めて野心的な目標を設定している。その中核となるのが「カーボンマイナス」目標である。これは、自社のScope1およびScope2排出量を削減するだけでなく、製品・サービス提供を通じて顧客やサプライヤーのCO2排出量削減に貢献し、その貢献量が自社排出量を上回る状態を目指すものである 4。当初2030年としていた達成期限を2025年度に前倒ししており 12、これは気候変動対策におけるリーダーシップを発揮しようとする強い意欲を示すものであるが、同時に目標達成に向けたプレッシャーも高まっていることを意味する。
さらに、長期的な目標として、2050年度までにサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量、すなわちScope1、Scope2、Scope3の合計をネットゼロにする目標も設定している 4。
Scope3排出削減への貢献を重視する戦略は、同社が持つ環境技術やノウハウを顧客価値へと転換し、事業成長と環境貢献の両立を目指すものであることを示唆している 12。なお、Science Based Targets(SBT)イニシアチブによる目標認定については、競合他社(キヤノン 17、富士フイルム 18)では言及があるものの、コニカミノルタに関する明確な情報は提供された資料からは確認できなかった。
目標達成に向け、コニカミノルタは多岐にわたる取り組みを進めている。
省エネルギー推進: 各生産拠点における製造プロセスの改善やエネルギー効率の高い設備導入を進めるとともに、製品開発においても省エネルギー性能の向上を追求している。例えば、複合機のTEC値(標準的な電力消費量)の低減などが挙げられる 19。
再生可能エネルギー導入: 自社拠点での再生可能エネルギー導入を積極的に進めており、マレーシアにある最大の複合機生産拠点(BMMY)では大規模な太陽光発電システムを導入し、残りの電力需要も再生可能エネルギー電力証書(I-REC)付き電力の購入により賄い、100%再生可能エネルギー化を達成した 4。全社的には、2030年度に再生可能エネルギー由来の電力比率を50%、2050年度には100%とする目標を掲げている 4。
TCFD提言への対応: 2018年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し 1、気候変動が事業に与えるリスクと機会の分析を進めている。具体的には、気温上昇が2℃以下に抑制されるシナリオと2℃を超えるシナリオに基づき、物理的リスク(例:異常気象による原材料調達の不安定化、サプライチェーンの寸断)と移行リスク・機会(例:規制強化、市場の変化、デジタルソリューション事業の拡大)を特定し、評価している 1。この分析はリスク管理の高度化を示すものであるが、分析結果が具体的な経営戦略や投資判断にどのように反映されているかについての詳細な開示は、今後の課題と言える。
サプライチェーン連携: サプライチェーン全体での排出量削減を目指し、サプライヤーや顧客との連携を強化している。「グリーンサプライヤー活動」として、取引先に自社の環境ノウハウを提供し、環境管理レベルの向上を支援している 11。さらに、この活動をデジタル化し、より多くの企業が参加できる「環境デジタルプラットフォーム」を構築・運営することで、企業間の環境情報共有と協調的な取り組みを促進している 11。このプラットフォームは、Scope3排出量削減に不可欠なアプローチであり、同社の独自性や競争力に繋がりうる取り組みである。また、自社製品・サービスを通じて顧客のCO2排出量削減にも貢献している 12。
GHG排出量: 2023年度のサプライチェーン全体のCO2排出量(Scope1, 2, 3合計)は約106万トンであり、前年度から約12%減少した 21。内訳を見ると、Scope1(直接排出)とScope2(間接排出)の合計は約29万トンで全体の約27%である一方、Scope3(その他の間接排出)が約77万トンと全体の約73%を占めている 21。Scope3の中でも、「購入した物品・サービス」(25.7%)と「販売した製品の使用」(15.4%)が大きな割合を占めていることが示されている 21。この事実は、ネットゼロ目標達成のためには、自社内の努力に加えて、サプライチェーンの上流(調達)と下流(製品使用)における排出削減が極めて重要であることを裏付けている。子会社であるキンコーズ・ジャパンの2023年度排出量実績も公開されている(Scope1: 71.5 tCO2e, Scope2: 1,391 tCO2e, Scope3: 12,229 tCO2e)22。詳細な経年データについては、ESGデータブック(Excelファイル)で確認する必要がある 6。
再生可能エネルギー: 2023年度の再生可能エネルギー由来電力比率は13.5%であった 4。マレーシア生産拠点での100%達成 4 は大きな進展であるが、全社的な2050年100%目標 4 達成に向けては、導入ペースの大幅な加速が必要であることを示唆している。
外部評価: CDPによる気候変動分野の評価において、最高評価である「Aリスト」企業に複数回選定されている(2021年 23、2024/2025年 9)。これは、同社の気候変動への取り組みの質が国際的に高く評価されていることを示すものである。
コニカミノルタは、資源循環に関しても意欲的な目標を掲げている。最も象徴的なのは、2050年までに自社製品における資源使用量を2019年度比で90%削減するという目標である 4。これは、製品の軽量化や長寿命化、あるいはビジネスモデル自体の変革(サービス化など)といった、従来の延長線上にはない抜本的な取り組みが必要となることを示唆している。
加えて、2030年までには、顧客や調達先といったサプライチェーン全体での資源有効利用への貢献量を創出することも目指している 11。これは気候変動対策におけるカーボンマイナス目標と同様に、自社の技術やサービスを通じて外部の環境負荷低減に貢献し、それを事業価値に繋げようとする戦略の表れである。
一方で、廃棄物の総排出量削減率、リサイクル率、再生材利用率といった具体的な全社レベルでの数値目標については、統合報告書 4 やESGデータブック 6 での詳細な確認が必要となる。
資源循環目標達成のため、以下の取り組みを推進している。
3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進
製品開発段階からの省資源設計、小型・軽量化を追求している。
使用済みの複合機やトナーカートリッジ、包装材などを回収し、再資源化するスキームを構築・運用している 7。
回収した製品から部品を取り出し、検査・清掃の上で再利用するリユースや、製品自体を再生するリマニュファクチャリングにも取り組んでいる。
再生材利用の拡大
複合機の外装部品などに、使用済み製品から回収したプラスチック(ポストコンシューマーリサイクル材、PCR材)を積極的に利用している。2015年には世界で初めて、筐体材料における廃プラスチック使用比率を25%まで高めた複合機を製品化 4。最新機種「bizhub C4051i」では、再生材の使用率を表面積比で約60%まで高めている 25。
使用済みプラスチックから物性の高い高品質な再生プラスチックを製造する独自技術(高純度化技術、アップグレードリサイクル技術)を開発し、自社製品への利用だけでなく、他社への供給も開始している 26。これは、資源循環戦略と事業戦略が効果的に連携している好例と言える。
トナーボトルにも再生プラスチックを利用している 4。
廃棄物削減
各生産拠点において、廃棄物の発生抑制と再資源化を徹底する「ゼロエミッション活動」を推進している 7。
製造工程や検査工程における材料ロスや不良品の発生を低減する改善活動を継続している 4。
拠点ごとに廃棄物管理計画を策定し、適正処理と削減に努めている(例:神戸第2サイト 29、海南サイト 30)。
水資源管理
生産プロセスにおいて水使用量を削減する技術(例:インクジェット技術を用いたデジタル捺染)の活用を進めている 4。
水ストレスが高い地域に立地する拠点においては、水リスクを評価し、取水量や排水量の管理を強化している 4。
製品回収・リサイクルシステムのグローバルな構築・維持は、ロジスティクスやコストの面で継続的な課題となる可能性があるが、再生プラスチック技術のように、環境貢献と事業機会創出を両立する取り組みは高く評価できる。
廃棄物: 全社レベルでの廃棄物総排出量やリサイクル率の最新データについては、ESGデータブック 6 での確認が必要である。拠点別の報告事例はあるものの 29、全体像を把握するには不十分である。2023年度の自社生産拠点における排出物削減量は0.02万トンと報告されている 4。
水資源: 総取水量、水源別(上水、地下水など)の取水量、排水量に関する経年データは公開されている 4。2023年度の具体的な数値については、ESGデータブック 6 で確認する必要がある。水ストレス地域における具体的な取水量や消費量、リスク評価結果との関連性についての詳細な開示が望まれる。
再生材利用: 全社的な再生材利用率に関する具体的なデータは、ESGデータブック 6 での確認が必要である。2022年度の資源循環量(再生材利用などを含む概念と推察される)は約5,000トンと報告されている 4。
コニカミノルタは、事業活動と生物多様性との関わりを認識し、その保全に取り組む方針を示している 8。基本的な考え方として、自社の事業活動に留まらず、サプライヤーやビジネスパートナー、顧客など、外部との協働を通じて保全活動を推進していく姿勢を明確にしている 8。
しかしながら、気候変動や資源循環分野と比較すると、生物多様性に関する具体的な数値目標の設定や定量的な情報開示は、現状では限定的であるように見受けられる。統合報告書2024 4 においても、目標設定に関する言及はあるものの、具体的な目標値は記載されていない。これは、生物多様性分野における企業活動の影響評価や目標設定の標準的な枠組みが、気候変動分野に比べて発展途上であることも影響している可能性がある。今後、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のような国際的な枠組みへの対応を含め、目標設定と情報開示の具体化が進むかどうかが注目される。
現在、コニカミノルタが生物多様性保全に関連して実施している、あるいは方針として掲げている取り組みは以下の通りである。
生産活動での配慮: 生産拠点における排水・排気管理の徹底、資源やエネルギーの効率的な利用、水資源の保全と適正な管理などが挙げられる 8。これらは間接的に生物多様性への負荷低減に繋がる。
製品による貢献: 環境負荷の少ない製品や技術の開発を通じて、生物多様性への貢献を目指している。例えば、水使用量を大幅に削減できるデジタル捺染技術などがこれに該当する可能性がある 4。
森林保護・再生活動: 取り組み分野としては挙げられているものの 8、具体的な活動内容に関する情報は提供された資料からは不足している。間接的には、紙の持続可能な調達に関する方針 4 が関連する。
サプライチェーン連携: サプライヤーやビジネスパートナーとの協働を推進する方針が示されており 8、サプライヤーに対する環境管理支援プログラムも実施されている 20。
社会貢献活動: 経団連の事例報告によれば、工場近隣の地域や自治体と連携し、河川や山林の清掃・整備活動などを行っている 33。
これらの取り組みは多岐にわたるものの、個々の活動が生物多様性の保全にどの程度貢献しているのか、その具体的な効果測定や、事業活動全体(特に原材料調達などサプライチェーン上流)が生物多様性にどの程度依存し、どのような影響を与えているのかについての体系的な評価に関する情報は、現状では不足していると言わざるを得ない。
生物多様性に関する定量的なパフォーマンス指標の開示は、現時点では極めて限定的である 4。水使用量に関するデータは、資源循環の項目でカバーされている 4 が、これが生物多様性の観点からどのように評価・管理されているかの詳細は不明である。
生物多様性分野におけるパフォーマンス測定と報告の標準化は、多くの産業にとって共通の課題であり、コニカミノルタもその例外ではないと考えられる。今後、国際的な議論の進展に合わせて、より具体的かつ定量的な情報開示が拡充されることが期待される。
コニカミノルタは、TCFD提言への賛同 1 などを通じて、気候変動をはじめとする環境関連リスクの認識と評価を進めている。特定されている主なリスクは以下の通りである。
物理的リスク: 気候変動の進行に伴う異常気象(猛暑、豪雨、干ばつ等)や自然災害(台風、洪水等)の頻発化・激甚化は、同社の事業活動に直接的・間接的な脅威をもたらす。具体的には、製品に必要な紙パルプやその他の天然資源の調達が不安定になるリスク、主要なサプライヤーの被災や物流網の寸断によるサプライチェーンの混乱リスク、自社の生産拠点や研究開発施設、オフィス等が被災するリスク、そして従業員の安全確保や就業継続が困難になるリスクなどが想定されている 1。また、水資源が逼迫している地域(水ストレス地域)においては、取水制限や水質汚染といった水リスクも認識されている 4。サプライチェーンがグローバルに広がっている同社にとって、特に原材料調達における物理的リスク管理の重要性は増している。
移行リスク: 低炭素社会への移行が加速する中で生じるリスクである。各国の政策動向として、炭素税の導入や排出量取引制度の強化といったカーボンプライシングによるコスト増のリスクがある。また、市場においては、環境性能の高い製品やサービスへの需要シフトが進み、対応が遅れれば市場シェアを失うリスクがある。さらに、脱炭素化に貢献する新しい技術への移行に乗り遅れるリスクも存在する。
評判リスク: 環境問題に対する社会的な関心の高まりを受け、企業の環境パフォーマンスや情報開示の質が厳しく問われるようになっている。環境規制違反や環境事故の発生はもちろん、環境目標の未達や取り組みの遅れ、不十分な情報開示などが露呈した場合、顧客や投資家からの信頼を失い、企業イメージやブランド価値が大きく毀損されるリスクがある。
TCFDに基づくシナリオ分析 1 によりリスク認識は進んでいるものの、特定された各リスクが同社の財務状況に与える潜在的な影響額の定量的な評価や、実施しているリスク対応策の有効性に関するより詳細な情報開示が、今後の課題として挙げられる。
一方で、コニカミノルタは環境課題への対応を単なるコストやリスクとしてではなく、新たな事業成長の機会としても捉えている。
グリーン製品・サービス: 省エネルギー性能に優れた複合機、製造工程での水使用量を劇的に削減するデジタル捺染技術など、環境負荷低減に貢献する製品やサービスを開発・提供することで、市場における競争優位性を確立し、収益拡大に繋げる機会がある。また、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する中で、ペーパーレス化や業務効率化を通じて顧客の環境負荷低減に貢献するデジタルワークプレイス事業 1 や、自社で培った環境経営ノウハウを外部に提供するコンサルティングサービス 4 なども、新たな収益源となりうる。
オペレーション効率化: 自社の生産プロセスや事業運営において、省エネルギー活動の推進、資源利用効率の向上、廃棄物の削減・再資源化を進めることは、エネルギーコストや原材料コスト、廃棄物処理コストの削減に直結し、収益性向上に貢献する。
ブランド価値向上: 環境問題への先進的な取り組みとその積極的な情報開示は、環境意識の高い顧客や投資家、さらには優秀な人材からの評価を高め、企業の信頼性向上とブランドイメージ強化に繋がる 16。これは、製品選択や投資判断、採用活動において有利に働く可能性がある。
新規事業創出: 環境課題解決に貢献する独自技術を核として、新たな事業分野を開拓する機会がある。例えば、同社が開発した高品質再生プラスチック製造技術は、自社製品への利用に留まらず、他社への材料供給という形で新たなビジネスモデルを構築しつつある 26。
このように、環境課題への対応を事業機会として積極的に取り込む戦略 1 は明確であり、特に自社の環境技術やノウハウを外部に展開するビジネスモデル 16 は、収益性と社会・環境貢献の両立を目指す上で注目に値する。ただし、これらの「グリーン事業」が同社全体の収益にどの程度貢献しているのか、その具体的な事業規模や収益性に関する情報開示が、今後の期待される点である。
複合機・プリンター業界では、環境対応が重要な競争軸の一つとなっている。主要企業は、気候変動対策と資源循環を中心に、様々な先進的な取り組みを進めている。
リコー: 1994年に独自の資源循環コンセプト「コメットサークル」を提唱し、長年にわたり製品の再生(リマニュファクチャリング)や部品のリユース・リサイクルを推進してきた実績を持つ 34。近年では、ポストコンシューマープラスチックを50%以上使用した複合機を開発し、資源循環技術・システム表彰を受賞するなど、再生材利用にも注力している 35。また、サーキュラーエコノミーに特化したレポートを発行し、情報開示にも積極的である 34。
キヤノン: 製品ライフサイクル全体でのCO2排出量ネットゼロを2050年目標として掲げ、SBTi認定の削減目標も設定している 17。資源循環においては、使用済みトナーカートリッジやインクカートリッジの回収と、材料を繰り返し利用するクローズドループリサイクルを推進している 17。また、国内外の生産拠点で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とする取り組みも進めている 17。
富士フイルム: 2040年までのネットゼロ達成という意欲的な目標を設定し、SBTiからは1.5℃目標の認定を受けている 18。資源循環では、印刷版(プレート)のアルミニウムを回収・再生して再びプレートの原料として利用するクローズドループリサイクルシステム「PLATE to PLATE」を構築・運用している 18。CDPの気候変動評価ではAリストを獲得している 18。
業界全体の動向: これらの企業以外にも、製品の環境性能に関する国際的な認証制度であるEPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool)への対応 36 や、再生可能エネルギーの利用促進 37、3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動の推進 38 などが、業界全体の共通した取り組みとして見られる。
これらの事例から、複合機・プリンター業界においては、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減、特に資源循環(製品・部品の再生、再生材利用、クローズドループ化)と脱炭素化(SBTi認定目標の設定、再エネ導入)が、持続可能な事業運営と競争力維持のための必須要件となっていることがわかる。コニカミノルタも再生プラスチック技術などで先行する部分はあるものの、競合他社も同様に野心的な目標設定と具体的な施策を進めており、継続的な技術開発と着実な目標達成が求められる状況にある。
ヘルスケア技術業界においても、環境問題への意識は急速に高まっている。気候変動、生物多様性の損失、環境汚染という「3つの危機」 40 が、公衆衛生にも影響を及ぼすという認識が広がりつつある。
業界動向: 多くの企業がカーボンニュートラル目標を設定し、脱炭素経営への移行を進めている 42。製品の製造・輸送・使用・廃棄といったサプライチェーン全体での環境負荷(エネルギー消費、水使用量、廃棄物発生量、カーボンフットプリントなど)を可視化し、削減に向けた努力が行われている 44。また、科学的根拠に基づく目標設定(SBTi)などの国際的なイニシアチブへの参加も進んでいる 45。
示唆: ヘルスケア業界では、製品の安全性や有効性に加えて、環境持続可能性が新たな評価軸となりつつある。コニカミノルタのヘルスケア事業(画像診断装置など)においても、製品ライフサイクル全体での環境配慮設計(省エネ、省資源、有害物質削減など)や、医療機関における環境負荷低減(例:診断効率向上によるエネルギー削減、消耗品削減)に貢献するソリューションの提供が、今後ますます重要になると考えられる。
提供された情報の中では、光学・機能材料業界に特化した環境ベストプラクティスの事例は限定的であった。しかし、製造業一般の動向として、以下の点が共通の課題および取り組みの方向性として考えられる。
製造プロセスの環境負荷低減: エネルギー効率の改善、水使用量の削減と再利用、揮発性有機化合物(VOC)などの化学物質排出量の削減、廃棄物の発生抑制と再資源化。
製品の環境性能向上: 製品使用段階でのエネルギー効率向上に貢献する材料(例:ディスプレイ用高機能フィルム 19)や、軽量化に寄与する材料の開発。
化学物質管理: 製品含有化学物質や製造工程で使用する化学物質の適正な管理と、より安全な代替物質への転換。
サプライチェーン管理: 原材料調達から製品廃棄に至るサプライチェーン全体での環境・社会デューデリジェンスの実施。
コニカミノルタの機能材料事業(例:TACフィルム)や光学コンポーネント事業においても、これらの側面からの継続的な改善努力が求められる。
コニカミノルタが事業を展開する主要な市場における主な競合企業は以下の通りである。
複合機・プリンター市場: 国内外で高いシェアを持つキヤノン、リコー、富士フイルム(旧富士ゼロックス)が最大の競合となる。これに加えて、京セラ、シャープ、セイコーエプソン、東芝テックなども主要なプレイヤーである 46。
ヘルスケア市場(特に画像診断関連): 富士フイルム、キヤノン(キヤノンメディカルシステムズ)、およびグローバル大手のGEヘルスケア、シーメンスヘルシニアーズなどが主要な競合となる。内視鏡分野のオリンパスや、カテーテル等に強みを持つテルモなども広義の競合と見なせる 48。
光学・計測機器市場: カメラ事業で歴史的に競合してきたキヤノン、ニコンに加え、分析・計測機器分野では島津製作所、内視鏡等のオリンパスなどが競合として挙げられる 48。
主要な競合企業(特に複合機・プリンター市場)の環境戦略の概要は以下の通りである。
キヤノン: 2050年ライフサイクルCO2ゼロ目標を掲げ、SBTi認定を取得。再生可能エネルギー導入をグローバル拠点で推進。資源循環では、複合機のリマニュファクチャリングや使用済みカートリッジのクローズドループリサイクルに注力。生物多様性保全活動として「キヤノンバードブランチプロジェクト」などを展開し、具体的な活動内容を開示している 17。
リコー: 長期的な資源循環コンセプト「コメットサークル」に基づき、製品再生・部品再生事業を展開。再生プラスチック利用率の高い複合機開発でも実績がある。脱炭素目標、再エネ目標を設定し、CDP評価では気候変動・水セキュリティの両分野でAリストを獲得。サプライヤー・エンゲージメント評価でもリーダーに選定されている。EcoVadis評価では最高位のプラチナを獲得している 23。
富士フイルム: 2040年ネットゼロという野心的な目標を持ち、SBTi 1.5℃認定を取得。再生可能エネルギー導入を進める。資源循環では、印刷版のクローズドループリサイクル「PLATE to PLATE」が特徴的。生物多様性保全にも取り組み、CDP気候変動Aリスト、EcoVadisプラチナ評価を獲得している 18。
これらの比較から、主要競合他社はコニカミノルタと同様に、気候変動と資源循環を環境戦略の最重要課題と位置づけ、SBTi認定やネットゼロ目標といった科学的根拠に基づく野心的な目標を設定し、具体的な施策を展開していることがわかる。特に、リコーと富士フイルムは、サプライチェーン全体でのサステナビリティ評価であるEcoVadisにおいて最高評価のプラチナを獲得しており 18、ゴールド評価のコニカミノルタ 4 にとっては、さらなる取り組み強化のベンチマークとなる。また、生物多様性に関しても、キヤノンが具体的な活動を開示しているように 17、今後はこの分野における情報開示競争も進む可能性がある。このように、環境パフォーマンスとその開示においても、コニカミノルタは厳しい競争環境に置かれていると言える。
コニカミノルタは、主要なESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関から、その環境への取り組みについて概ね良好な評価を得ている。
CDP: 気候変動分野において、複数年にわたり最高評価である「Aリスト」に選定されている(2021年 23、2024/2025年 9)。また、サプライチェーン全体での気候変動対策への取り組みを評価する「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」にも選定されている 4。ただし、水セキュリティ分野でのAリスト獲得に関する明確な情報は、提供された資料からは確認できなかった。
MSCI ESG Ratings: 世界的なESG評価指標の一つであるMSCI ESGレーティングにおいて、「AA」評価を獲得している(2023年11月、2024年11月時点のインデックス構成銘柄リストより)59。これは、同業種内において比較的高い評価レベルを示している。
EcoVadis: サプライヤーのサステナビリティパフォーマンスを評価するEcoVadisにおいて、「ゴールド」評価を9年連続で獲得している 4。これは、評価対象企業全体の上位5%以内に入る高評価である。
Dow Jones Sustainability Index (DJSI): 世界的に認知度の高いESG投資指数であるDJSIにおいて、アジア・太平洋地域の企業を対象とした「DJSI Asia Pacific Index」の構成銘柄に2009年から連続で選定されている 4。
その他: 上記以外にも、米国のS&P Global社による「Sustainability Yearbook」への連続選定 63、ドイツのISS ESG社による「Prime」評価の維持 24、日本経済新聞社による「日経SDGs経営調査」での高評価(星5獲得)65 など、国内外で多数の評価を受けている。
主要競合企業との環境スコア比較は以下の通りである。
リコー: CDP評価において、気候変動と水セキュリティの両分野で「Aリスト」を獲得している(ダブルA)23。サプライヤー・エンゲージメント評価でもリーダーに選定 57。EcoVadis評価では、コニカミノルタを上回る最高評価の「プラチナ」を獲得している 56。
富士フイルム: CDP評価では気候変動分野で「Aリスト」を獲得 18。EcoVadis評価でもリコーと同様に「プラチナ」を獲得している 18。
キヤノン: CDPに対して気候変動関連の情報開示を行っていることは確認できる 17 が、その他の主要な評価機関によるスコアに関する情報は、提供された資料内では限定的であった。
このベンチマーキングから、コニカミノルタは多くの主要なESG評価において高い水準にあることが確認できる。しかし、EcoVadis評価においては、競合であるリコーと富士フイルムがより上位のプラチナ評価を獲得している点は注目に値する。また、CDP評価では、気候変動でAリストを獲得しているものの、水セキュリティ分野での評価状況が不明であり、同分野でAリストを獲得しているリコーと比較した場合、改善の余地がある可能性が示唆される。MSCI評価ではAAを維持しており、業界内で良好なポジションを確保していると言える。
コニカミノルタが掲げる野心的な環境目標の達成に向けては、いくつかの重要な課題が存在する。
カーボンマイナス(2025年目標): 達成期限を2025年度に前倒しした「カーボンマイナス」目標 12 は、極めて挑戦的である。目標達成の鍵となるScope3排出削減貢献量の算定方法の精緻化、客観的な検証プロセスの確立、そして貢献量を計画通りに、あるいはそれ以上に拡大していくための具体的な施策の加速が不可欠となる。
ネットゼロ(2050年目標): サプライチェーン全体の排出量(Scope1, 2, 3)を2050年までにネットゼロにする目標 12 の達成には、排出量の大部分(約73%)を占めるScope3 21、特に「購入した物品・サービス」と「販売した製品の使用」における排出量の大幅な削減が不可欠である。これには、サプライヤーや顧客とのより一層の連携強化、および革新的な技術開発やビジネスモデルの創出が求められる。
再エネ比率向上: 2023年度実績で13.5% 4 の再生可能エネルギー由来電力比率を、2050年に100% 4 まで引き上げるためには、導入ペースを大幅に加速させる必要がある。特に、国内外の多数の拠点における再生可能エネルギー調達・導入をどのように計画的に進めていくかが課題となる。
資源使用量削減(90%目標): 2050年までに製品における資源使用量を90%削減するという目標 4 は、既存の製品設計やビジネスモデルの延長線上では達成困難と考えられる。製品の抜本的な軽量化・長寿命化、部品共通化の推進、シェアリングやサブスクリプションといったサービス化(PaaS: Product as a Service)への移行、そしてサプライチェーン全体での資源効率の最大化など、非連続的なイノベーションと変革が必要となる。
生物多様性: 気候変動や資源循環と比較して、生物多様性分野における定量的な目標設定、パフォーマンス測定、および情報開示が十分に進んでいない点が課題である。事業活動が生物多様性に与える影響(特にサプライチェーン上流における原材料調達など)の評価と、それに基づくリスク管理体制の強化も求められる。
これらの課題、特に最も野心的な目標であるカーボンマイナス前倒しや資源90%削減の達成には、現状の改善努力の積み重ねだけでは不十分であり、技術革新やビジネスモデルの転換といった非連続的な取り組みが不可欠である。また、Scope3排出削減や生物多様性への対応は、自社単独での努力には限界があり、サプライヤー、顧客、業界団体、地域社会といった多様なステークホルダーとの連携・協働が成功の鍵を握る。
上記の課題認識に基づき、コニカミノルタが今後、環境パフォーマンスをさらに向上させ、持続的な企業価値を高めていくために、以下の点を推奨する。
Scope3排出削減貢献量の算定根拠と方法論の透明性を高め、可能な範囲で第三者検証を取得することで、カーボンマイナス目標の信頼性を向上させる。
再生可能エネルギー導入に関する具体的なロードマップ(国・地域別、導入手法別)を策定・開示し、その進捗状況を定期的に報告する。
SBTiによる目標認定をまだ取得していない場合は、その取得を検討し、目標の科学的妥当性を担保する。
廃棄物総排出量の削減率、リサイクル率、再生材利用率(特にプラスチック)について、全社レベルでの具体的な中長期目標を設定し、その実績を開示する。
使用済み製品・消耗品の回収スキームの効率化(回収率向上、コスト削減)と、グローバルな展開体制を強化する。
製品のサービス化(PaaSモデルなど)を推進し、製品ライフサイクルの長期化と資源消費量の抑制に繋がるビジネスモデルへの転換を加速させる。
TNFD等の国際的なフレームワークを参照し、自社の事業活動が生物多様性に与える影響(インパクト)と依存関係(ディペンデンシー)に関する評価を実施し、その結果を開示する。
科学的根拠に基づいた具体的な中長期目標(例:SBTs for Natureへの準拠)を設定し、達成に向けた行動計画を開示する。
サプライチェーンにおける生物多様性関連リスク、特に森林破壊や土地利用変化に繋がる可能性のある原材料調達に関するデューデリジェンスを強化する。
統合報告書やサステナビリティウェブサイトにおいて、各環境目標達成に向けた具体的なロードマップ、施策の進捗状況、直面している課題、およびそれらが財務に与える影響(リスク・機会)に関する情報を、より詳細かつ定量的に開示する。特に、リスク・機会分析の定量化を進めることが望ましい。
EcoVadisでプラチナ評価を獲得しているリコーや富士フイルムの先進的な取り組みや開示内容を詳細に分析し、自社の改善活動に活かす。
CDP水セキュリティ評価において、Aリスト獲得企業(例:リコー)の取り組みを参考に、自社の水リスク管理と情報開示を強化し、評価向上を目指す。
これらの推奨事項は、目標達成の確度を高めること、情報開示の質と透明性を向上させること、そして競合他社とのギャップを埋めることに焦点を当てている。特に、Scope3排出量、資源循環の高度化、生物多様性といった、外部ステークホルダーとの連携や影響評価が複雑な領域における取り組みの強化と透明性の向上が、今後のESG評価の向上と持続的な成長を実現する上で鍵となると考えられる。
本報告書における分析の結果、コニカミノルタは、地球規模の環境課題に対し、明確な方針と長期ビジョンに基づき、戦略的に取り組んでいることが確認された。特に、「気候変動への対応」と「有限な資源の有効活用」をマテリアリティ(重要課題)として特定し、「カーボンマイナス」や「製品における資源使用量90%削減」といった極めて野心的な目標を掲げている点は、同社の強いコミットメントを示している。また、高品質再生プラスチック製造技術の開発と実用化など、具体的な技術開発においても成果を上げている。
CDP、MSCI、EcoVadis、DJSIといった主要な外部評価機関からも、総じて良好な評価を得ており、環境経営の取り組みが国際的にも一定の水準にあることが認められている。しかしながら、詳細な分析を進めると、EcoVadis評価における競合他社(リコー、富士フイルム)との比較、再生可能エネルギー導入率の目標達成に向けた進捗、生物多様性に関する定量的な情報開示の充実度など、一部の領域においては改善の余地や、さらなる努力が求められる点も明らかになった。
環境課題への対応を、単なるリスク管理やコスト要因としてではなく、新たな事業機会の創出に繋げようとする戦略的アプローチ、特に自社の技術やノウハウを活かした顧客・サプライヤーとの連携強化を重視する姿勢は、高く評価できる。
コニカミノルタが今後、環境分野におけるリーダーシップを維持・強化し、持続的な企業価値向上を実現していくためには、掲げた野心的な目標を着実に達成していく実行力が問われる。同時に、その達成に向けたプロセス、進捗状況、そして直面する課題について、ステークホルダーに対して透明性の高い情報開示を継続していくことが極めて重要となる。
特に、サプライチェーン全体での排出量削減(Scope3)、製品・資源の循環利用の高度化(リサイクル率向上、再生材利用拡大、サービス化)、そして事業活動と自然資本との関わりを踏まえた生物多様性保全への具体的な貢献は、今後の同社の持続可能性と企業価値を左右する重要な要素となるであろう。これらの分野における実質的な進捗と、その効果に関する信頼性の高い情報開示が、ESG投資家をはじめとするステークホルダーからの評価、すなわち環境スコアリングの向上に不可欠である。
本報告書で提示された分析結果とデータは、コニカミノルタの環境パフォーマンスを多角的に理解し、その環境スコアを客観的に算出・評価する上での基礎情報を提供するものである。
気候関連リスクと機会に関するシナリオ分析 :コニカミノルタ株式会社 | TCFDに関する取組事例, 4月 15, 2025にアクセス、 https://adaptation-platform.nies.go.jp/private_sector/tcfd/report/tcfd-021.html
【企業研究】コニカミノルタの就職難易度・選考対策を徹底解説 - 就活生へ。ジョーカツ, 4月 15, 2025にアクセス、 https://jo-katsu.com/campus/6349/
統合報告書2024 | コニカミノルタ - Konica Minolta, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.konicaminolta.com/jp-ja/investors/ir_library/ar/ar2024/index.html
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【2024年最新】複合機メーカーシェアランキング!おすすめの複合機も紹介, 4月 15, 2025にアクセス、 https://jimukiki.net/column/mfp-share-ranking/
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ゼロコピ » 【2025年最新版】業務用コピー機(複合機)メーカー別シェアランキング!急成長コピー機メーカーとは?, 4月 15, 2025にアクセス、 https://big-up.co.jp/zerocopy/post_column/column-0019-copy_manufacturer_ranking/
ヘルスケア業界各社の状況:【医療機器】編 - キャリアインキュベーション, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.careerinq.com/industry/healthcare/research/009115.shtml
【医療機器メーカー:業界研究】大手5社(キヤノン・富士フイルム・オリンパス・テルモ・オムロン)を比較!業績比較・ランキング・平均年収・社風/強みの違い, 4月 15, 2025にアクセス、 https://www.onecareer.jp/articles/1106
リコー、CDPの企業調査において2年連続「気候変動」「水セキュリティ」両分野で最高評価の『Aリスト』企業に選定, 4月 15, 2025にアクセス、 https://jp.ricoh.com/info/2025/0214_1
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