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株式会社良品計画の環境戦略およびパフォーマンスに関する包括的分析:気候変動、資源循環、生物多様性への対応を中心として

更新日:2025年5月13日
業種:商業(6666)

序論 (はじめに)

本報告書は、株式会社良品計画(以下、良品計画)の環境分野における主要な取り組み、すなわち「気候変動」「資源循環」「生物多様性」に焦点を当て、その戦略、具体的な活動、実績、および関連するリスクと機会を包括的に分析・評価することを目的とする。この分析は、同社の環境スコア算定に必要な詳細情報を提供するとともに、学術的な観点からその環境パフォーマンスを考察するものである。

良品計画は、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」を基本理念とし、シンプルで高品質な商品を幅広く提供する企業である 1。その事業特性上、サプライチェーン全体での環境負荷、特に気候変動への影響、資源消費、生態系への配慮が経営上の重要課題となる。本報告書では、これらの課題に対する同社の戦略的対応を検証する。同社は「感じよい暮らしと社会」の実現を企業理念に掲げ、ESG経営のトップランナーを目指している 2

第1部 株式会社良品計画の環境への取り組み

第1章 気候変動への対応

第1節 具体的な取り組みとプログラム

第1項 温室効果ガス排出量削減目標と実績

良品計画は、気候変動問題への対応を重要な経営課題と認識し、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組んでいる。具体的な目標として、2030年8月期までにグループ全体のGHG総排出量(スコープ1およびスコープ2の合計)を2021年8月期比で50%削減することを掲げている 5。この目標は、パリ協定が目指す世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑える努力目標に整合するための、科学的根拠に基づく削減目標(Science Based Targets: SBT)の考え方に沿ったものと解釈でき、企業の気候変動に対する責任を示す重要な指標である。

しかしながら、公表されているESGデータブックによると 6、2021年8月期におけるスコープ1排出量は1081.58トン-CO2​e、スコープ2(マーケットベース)排出量は59095.69トン-CO2​eであったのに対し、2024年8月期にはスコープ1排出量が1449.85トン-CO2​e、スコープ2(マーケットベース)排出量が73744.05トン-CO2​eと、いずれも基準年と比較して増加している。特にスコープ2排出量は、2023年8月期の75657.95トン-CO2​eからは若干の減少が見られるものの、依然として基準年を上回る水準である。この実績は、設定された削減目標の達成経路からの乖離を示唆しており、その背景には、事業規模の拡大に伴うエネルギー消費量の増加が、既存の省エネルギー化の取り組みや再生可能エネルギー導入の進捗を上回っている可能性が考えられる。スコープ1排出量の内訳を見ると、HFCs(代替フロン)の排出量が年度によって変動しており 6、これは店舗における空調設備などの冷媒管理の重要性、特に新規出店や既存店舗の設備更新時における適切な機種選定や維持管理が一層求められることを示している。

一方で、サプライチェーン全体での排出量を示すスコープ3排出量は、2021年8月期の1270764.91トン-CO2​eから2024年8月期には1793081.21トン-CO2​eへと大幅に増加している 6。この事実は、良品計画のGHG排出量全体の中でスコープ3が占める割合が極めて大きいことを示しており、サプライチェーン全体での排出量管理と削減努力の強化が、企業全体の気候変動目標達成において不可欠であることを物語っている。目標達成のためには、既存店舗におけるエネルギー効率の一層の改善、新規出店時における最高水準の省エネルギー設計の導入、そして再生可能エネルギー調達の抜本的な加速が不可欠である。

第2項 再生可能エネルギー導入推進

良品計画は、GHG排出量削減策の一環として、再生可能エネルギーの導入を推進している。具体的には、2023年8月期から一部店舗において太陽光発電設備の設置を進めている 5。また、物流拠点においても再生可能エネルギーの活用が見られ、特に埼玉県に位置する鳩山物流センターでは、屋上に1,400kWの大規模な太陽光発電設備を設置している 5。この設備による年間発電量は一般家庭約228世帯分の年間消費電力に相当し、年間約494トンのCO2​削減効果が見込まれており、これは約72ヘクタールの広葉樹林整備と同等の効果であると試算されている 5。これは、自社施設における再生可能エネルギーの自家発電・自家消費による排出量削減の具体的な事例として評価できる。さらに、MUJI REPORT 2022(英語版)においても、店舗における再生可能エネルギー利用率100%を目指す方針が言及されており 7、長期的なコミットメントが示されている。MUJI REPORT 2024においても、事業戦略の拡充項目としてGHG排出量の算定と削減が明記され、環境デュー・デリジェンスの強化も挙げられていることから 3、再生可能エネルギー導入を含む包括的な気候変動対策を継続的に推進していく姿勢が伺える。

第3項 サプライチェーンにおける連携

良品計画は、自社の事業活動だけでなく、サプライチェーン全体を通じた環境負荷低減の重要性を認識し、生産パートナーとの連携を強化している。具体的には、主要な生産パートナーに対して気候変動に関する情報開示を要請し、その調査結果を良品計画独自の評価基準に基づいて分析した上で、生産パートナーへフィードバックするという取り組みを行っている 5。これは、サプライチェーンにおけるGHG排出量、特にスコープ3排出量の削減に向けた重要なエンゲージメント活動である。

物流面においても、多岐にわたる効率化策を講じることでCO2​排出量の削減に努めている 5。ほぼ全ての商品納品と直営店舗への商品出庫における伝票レス化の実現、店舗への納品における通いコンテナの導入と店舗・センター間でのリユース、北海道・沖縄の店舗への船舶を利用した納品によるCO2​削減、店舗納品時の積載率向上と納品回数の適正化などが挙げられる。さらに、ポリプロピレン収納や体にフィットするソファといった一部の主力商品については、製造工場から顧客へ直接納品する体制を構築することで輸送距離を短縮し、同時に配送時の商品破損も削減している。物流センターで発生する段ボールや古紙の一部を回収し、店舗供給用の段ボールにリサイクルする仕組みも導入されている。また、2014年の鳩山センター立ち上げに伴う在庫拠点の関東圏への移管や、2013年以降の中国およびASEAN地域におけるグローバル物流・通過センターの稼働は、国内および国際輸送における効率化を推進し、GHG排出量削減に貢献している 5。これらの取り組みは、スコープ3排出量の「輸送・配送」カテゴリにおける排出量削減に直接的に寄与するものである。

良品計画のGHG排出量データ 6 を詳細に分析すると、2024年8月期においてスコープ1およびスコープ2の合計排出量が約7.5万トン-CO2​eであるのに対し、スコープ3排出量は約179万トン-CO2​eに達し、総排出量の約96%を占めている。この事実は、スコープ3排出量の削減が、良品計画全体の気候変動目標達成における最重要課題であることを明確に示している。多くの小売業と同様に、良品計画においてもスコープ3排出量の最大の構成要素は「購入した製品・サービス」、すなわち商品の原材料調達や製造段階における排出であると推察される。現在開示されている物流効率化策は、スコープ3排出量の一部である「輸送・配送」カテゴリの削減には貢献するものの、最大の排出源である製品製造段階への直接的なインパクトは限定的である可能性が高い。生産パートナーへの情報開示要請 5 はサプライヤーエンゲージメントの第一歩として評価できるが、より実質的な排出量削減を達成するためには、具体的な削減目標の共有、省エネ・再エネ技術導入支援、低炭素素材への転換協力、排出量削減努力に対するインセンティブ供与など、より踏み込んだ関与が不可欠となるであろう。

第2節 気候変動関連リスクと機会の認識 (TCFD提言への対応状況を含む)

良品計画は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への対応を進めている。MUJI REPORT 2022においてTCFD提言への対応が記載され 8、同報告書の英語版 7 では、ガバナンス体制、戦略、リスク管理、指標と目標に関する具体的な記述が確認できる。これには、GHG排出規制の強化(カーボンプライシング制度の導入など)や、自然災害の頻発・激甚化による操業停止といった物理的リスクの認識、そして環境配慮型企業としてのブランド価値向上による市場機会の獲得などが含まれている。

リスク分析に関しては、MUJI REPORT 2022(英語版)7 において、より厳格化するGHG排出規制、プラスチック使用に関する規制強化、化石燃料価格の変動、自然災害による事業拠点への損害などが主要なリスクとして認識されている。これらのリスクは、事業運営コストの増加やサプライチェーンの寸断、売上機会の損失などに繋がる可能性がある。

機会分析としては、サステナブルなブランドとしての評価向上による新規顧客層の獲得、リサイクルプラスチックを使用した製品の販売増加、そして環境意識の高まりを背景とした持続可能な製品・サービスへの需要拡大などを事業機会として捉えている 7。MUJI REPORT 2024の事業戦略においても、GHG排出量の算定・削減と共に環境デュー・デリジェンスの拡充が示されており 3、これは気候関連リスク評価の継続的な深化を示唆するものと考えられる。

TCFD提言に基づく情報開示は着実に進められているものの、学術的な観点からは、気候関連のリスクおよび機会が良品計画の財務状況に与える潜在的な影響の定量化、そしてそれらの評価結果が具体的な事業戦略や設備投資計画、研究開発方針にどのように統合され、反映されているのかについてのより詳細な説明が、今後の統合報告書等において期待される。例えば、「GHG排出規制強化」という移行リスクに対して、想定される炭素税導入シナリオ下でのコスト増加額の見積もりや、それを回避・低減するために計画されている具体的な省エネ投資額とその効果について定量的に示すことができれば、開示の質は一層高まる。同様に、「サステナブルブランドとしての機会」に関しても、関連市場の規模予測や、環境配慮型製品群の拡充によって期待される収益増加額などが具体的に示されることで、戦略の妥当性や企業の将来性に対するステークホルダーの理解が深まるであろう。将来の環境スコア評価においては、TCFD開示の質、特に戦略のレジリエンス(強靭性)や財務的影響の定量的な分析・開示がより重視される傾向にあるため、この領域における取り組みの強化が求められる。

第2章 資源循環の推進

第1節 具体的な取り組みとプログラム

第1項 廃棄物削減とリサイクル・リユース戦略

良品計画は、創業以来の理念である「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」という3つの視点に基づき 1、製品ライフサイクル全体を通じた廃棄物削減と資源の有効活用を推進している。基本方針として、商品や店舗資材の開発段階から廃棄物ゼロを意識し、サプライチェーンへの働きかけや顧客との協働を通じて、廃棄物の発生抑制、リユース、リサイクルを積極的に推進するとしている 1

具体的な取り組みの一つとして、衣料品のアップサイクルおよびリサイクル活動である「ReMUJI」が挙げられる 1。これは、顧客から回収した良品計画の衣料品や、製造・流通過程で販売できなくなった商品を藍色などに染め直し、新たな価値を持つ商品として再生するもので、2024年8月期には年間55,746着のReMUJI商品が販売された 9。また、店舗においては、衣類やタオル、化粧品の空ボトルなどを回収し、次の商品や原料として生まれ変わらせるリサイクル活動を実施している 11。2024年8月期には、繊維製品の年間回収量が約97トン、プラスチック製品の年間回収量が117,688kgに達するなど、顧客参加型の回収プログラムが定着しつつある 9。さらに、食品ロス削減への貢献として、全国の多くの店舗(2024年8月期時点で102店舗)で家庭で余っている食品を集めて必要とする人々へ届けるフードドライブ活動を展開している 1。製造過程や流通過程で発生するわずかな傷や汚れ、色ムラなどにより通常販売が困難となった商品を「もったいない市」として販売する取り組みも、廃棄物削減に寄与している 1

第2項 プラスチック循環戦略とバージンプラスチック削減

プラスチックごみ問題への対応は、良品計画の資源循環戦略における重要な柱の一つである。同社は、2030年までに商品の包装材や店舗で使用する資材におけるバージンプラスチックの使用をゼロにし、全てリサイクル素材または再生可能素材に切り替えること(脱プラスチック100%)、そして製品設計段階からリサイクルを前提とすること(リサイクル前提設計100%)を目指している 1。さらに、過去に販売した自社プラスチック製品についても、2030年までに100%回収し再利用するという野心的な目標を掲げている 1

この目標達成に向け、多岐にわたる具体的な施策が展開されている。まず、プラスチック製品の店頭回収プログラムが積極的に推進されており、化粧水や乳液などのPET素材ボトル、「自分で詰める水」のボトルに加え、2023年2月からはポリプロピレン(PP)製の収納用品やダストボックスなど、より広範なプラスチック製品が回収対象となっている 1。回収された製品は、状態に応じて清掃・メンテナンス後に中古品として再販売(リユース)されるか、粉砕・洗浄後に再生原料として新たな無印良品の商品に生まれ変わる(リサイクル)1。2024年8月期には、これらのプラスチック製品の回収量が約117.7トンに達し、前年度の3倍以上となるなど、「MUJI CYCLE 商品回収キャンペーン」の定期開催といった回収促進策が効果を上げている 1

製品パッケージや店舗資材におけるプラスチック削減も進められている。例えば、靴下やストールの陳列用フックを再生紙製に変更し 1、肌着やエッセンシャルオイルなどの商品パッケージも、可能な限りプラスチックから紙やその他の代替素材へと切り替えられている 12。飲料容器についても、リサイクル率の高いアルミ缶へのシフトが進められており、これにより光による品質劣化を防ぎ賞味期限を延長することで食品ロス削減にも貢献している 12。さらに、商品のタグを留めるピンも、FSC認証紙を含む紙製タグピンへと順次変更されている 1

再生素材の積極的な活用も特徴的である。生産工程で発生するコットンの端切れや余り糸を原料として再生し、「再生コットン」や「再生ウール」を使用した衣料品や生活雑貨を開発・販売している 1。また、店舗での無料給水サービスを提供し、マイボトルの利用を奨励することで、ペットボトル飲料の消費量削減にも貢献している 1

プラスチック製品の回収量は「MUJI CYCLE 商品回収キャンペーン」などの施策により大幅に増加しており 1、これは目標達成に向けた前向きな進捗と言える。しかしながら、「2030年までに販売したプラスチック製品を100%再利用する」という目標の達成は、単に回収量を増やすだけでは不十分である。この目標を真に実現するためには、具体的なロードマップの策定と、それに基づく多角的な取り組みの深化が求められる。特に、回収されたプラスチックが実際にどのようにリユースまたはリサイクルされ、最終的にどのような形で価値が再生されているのか、その具体的なプロセスと量的フローを透明性をもって開示することが重要となる。現在、回収品は状態に応じて中古販売(リユース)または再生原料化(リサイクル)されているが 1、100%再利用を達成するためには、回収率の一層の向上はもとより、リユース基準の明確化と中古品市場の育成、そして多様な種類のプラスチックに対応可能な高度なリサイクル技術(例えば、ケミカルリサイクル技術など)の確立または外部連携による活用が不可欠である。さらに、再生材を積極的に使用した製品の設計・開発能力の強化と、それら製品群の市場への投入拡大も重要な要素となる。理想的には、回収したプラスチックを再び自社製品の原料として使用するクローズドループ・リサイクルの構築が望ましいが、これには技術的課題やコスト的課題が伴うことも認識しておく必要がある。したがって、今後の環境スコア評価やステークホルダーからの信頼獲得のためには、回収量だけでなく、実際にリユースされた量、リサイクルされて新たな製品に生まれ変わった量、そして製品における再生材利用率といった、より具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、その進捗を定期的に開示していくことが求められる。同時に、これらの目標達成を支える技術開発への投資や、サプライヤー、リサイクル事業者との連携強化も不可欠となろう。

第3項 製品・素材別の循環事例 (衣料品、PETボトル、紙類等)

良品計画は、製品や素材の特性に応じた多様な資源循環の取り組みを具体的に展開している。衣料品分野では、前述の「ReMUJI」プログラムを通じて、回収衣料の染め直しによるアップサイクルや、素材としてのリサイクルを推進している 1。PETボトルに関しては、化粧水や乳液の使用済みボトル、「自分で詰める水」のボトルなどを店頭で回収し、これらをポリエステル原料としてリサイクルすることで、プラスチックごみの削減と石油由来原料の有効活用に繋げている 1

紙類の循環利用も積極的に行われている。インナーウェアや靴下などの陳列に使用されていたプラスチック製ハンガーやフックを紙製に切り替え、さらにこれらの使用済み紙製ハンガー・フックを店頭で回収し、再び紙ハンガーや他社の古紙製品へとリサイクルする循環システムを構築している 1。2024年8月期における紙製ハンガー・フックの年間リサイクル量は10,220kgに達した 9

ポリプロピレン(PP)製の収納用品についても、2023年2月から全国の店舗で回収を開始しており、回収された製品は状態に応じて中古品として再販売されるか、破砕・洗浄を経て再生原料として無印良品の商品に再利用される 1。このPP製品回収プログラムは、無印良品が販売しているプラスチック製生活雑貨商品のうち、販売重量ベースで75%をカバーしており、広範囲な製品群での資源循環を目指す姿勢を示している 13。これらのプラスチック製品のリユース・リサイクル活動は、その先進性と社会への貢献が評価され、グッドデザイン賞を受賞しており 13、社会的な認知と評価を得ている証左と言える。

第2節 資源循環におけるリスクと機会

良品計画が資源循環を推進するにあたり、いくつかのリスクと機会が存在する。MUJI REPORT 2022(英語版)7 では、プラスチックに関する規制強化が進むことによる調達コストの増加がリスクとして認識されている。これに加え、潜在的なリスクとしては、リサイクルインフラの整備状況や技術レベルが地域によって異なること、消費者の分別・回収への協力度合いによって回収率が不安定になる可能性、再生材の品質維持や安定供給、そしてバージン材と比較した場合のコスト競争力などが挙げられる。

一方で、同報告書 7 では、リサイクルプラスチックを使用した製品の販売増加が事業機会として明確に認識されている。資源循環型ビジネスモデルを構築することは、環境負荷低減への貢献という社会的要請に応えるだけでなく、企業のブランドイメージ向上、環境意識の高い新たな顧客層の獲得、そして将来的には資源価格の変動リスクの低減や新たな収益源の創出にも繋がる可能性がある。MUJI REPORT 2024のバリューチェーンに関する記述においても、「資源の再生と有効活用」が重要な要素として組み込まれており 14、資源循環を単なるCSR活動としてではなく、事業活動そのものに統合しようとする意志が示唆される。

資源循環の取り組みは、環境負荷の低減という側面だけでなく、長期的な経済合理性の追求という視点も不可欠である。良品計画が展開する多岐にわたる回収・リサイクルプログラム 1 には、回収物流コスト、選別コスト、再加工コストなど、様々な費用が発生する。これらのコストと、バージンプラスチックの使用削減による原料コストの低減効果や、廃棄物処理コストの削減効果とを比較衡量し、事業としての持続可能性を確保する必要がある。機会として認識されている「リサイクルプラスチック製品の販売増」7 を実現するためには、再生材を使用した製品が、消費者に受け入れられる品質と価格で提供されることが大前提となる。この点において、良品計画が長年培ってきた「わけあって、安い。」という思想に基づく品質と価格のバランス感覚が、再生材利用製品の開発・普及においても活かされることが期待される。資源循環を持続可能なビジネスモデルとして確立するためには、コスト効率の高い回収・リサイクルシステムの構築、再生材の品質向上に資する技術への投資、そして消費者が積極的に循環型製品を選択するようなインセンティブ設計や啓発活動が一層重要となるであろう。

第3章 生物多様性の保全

第1節 具体的な取り組みとプログラム

第1項 持続可能な原材料調達方針 (パーム油、木材、綿等) と目標達成状況

良品計画は、事業活動が生物多様性に与える影響を認識し、持続可能な原材料調達を推進している。基本方針として、法律などで指定された保護地域からの資源の産出による森林破壊をなくすため、2050年までに国内で販売するパーム油、木材、綿を使用した商品については、持続可能な原材料を使用することを目標としている。また、ウールやダウンといった動物由来素材についても、動物福祉を考慮した原材料を使用する方針を掲げている 15。さらに、生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存および影響を、関連する国際基準や枠組みに沿って定期的に評価・モニタリングし、その結果を透明性をもって開示する方針も示している 15。MUJI REPORT 2024においても、「地球、動植物、生産者に可能な限り負荷をかけない方法で採取・栽培された原料を選択」「積極的な再生素材の活用」「一次原料については可能な限り生産地がトレースできるものを使用」といった、生物多様性保全に繋がる調達方針が明記されている 14

具体的な原材料ごとの取り組みとしては、まずパーム油について、原産地のトレーサビリティを確保するための定期的な使用状況調査を実施し、原産地証明などを確認することで、持続可能なパーム油の利用に向けた取り組みを推進している。2023年12月からは「JaSPON(持続可能なパーム油ネットワーク)」の会員となり、情報収集を行うとともに、将来的な認証付きパーム油の調達に向けた準備を進めている 15

綿に関しては、生物多様性の保全に配慮し、生産地までのトレーサビリティ確保に努め、持続可能な綿の調達を推進している。これには、オーガニックコットンの使用拡大などが含まれる 11

紙・木材については、無印良品の商品やMUJI HOUSEの住宅に使用される木材・紙原料(ライフサイクルを終えた木材、非木材パルプを原料とした紙、段ボールは対象外)の持続可能な調達を目指し、2030年までに森林に関する認証材(FSC、PEFC、SGEC)や、森林伐採に関する各国・地域の環境法令を遵守していることが確認できる木材・紙原料の活用100%を目標に掲げている 15。この目標達成のため、合法的な伐採に関する調査や自己評価(木材デュー・ディリジェンス)を実施し、違法伐採等による森林減少に関わる木材を使用しないよう努めている。また、国内店舗の什器や内装・外装においては、木材産業や林業の安定化への貢献を目的に、国産材・地域木材の活用を積極的に進めている。2023年5月には、良品計画および株式会社MUJI HOUSEが農林水産省と「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結し、5年間で合計10,000立方メートルを目安とした国産材の積極活用と、クリーンウッド法に基づき合法性が確認された合法伐採木材の利用に努めることを約束した 15

動物福祉への配慮としては、ウール調達において、アンデスウールなどミュールジング(羊の臀部を切除する行為)を施す必要のない羊毛の採用を進めている。アンデスウールは、標高3,800mを超える高地で飼育される羊の毛で、厳しい自然環境に適応した太さと弾力性を持ち、ミュールジングの要因となるハエが生息しないため、動物福祉の観点からも利点があるとされる。2024年8月期におけるアンデスウールの調達量は49トンに拡大している 14。ダウンに関しても、動物福祉を考慮した原材料を使用する方針であり 15、MUJI REPORT 2022(英語版)では、第三者機関による認証を受けたダウン(動物の福祉に関する5つの自由が尊重され、強制給餌やライブプラッキングが行われていないことを保証)を使用している旨が記載されている 7

第2項 森林保全と地域材活用

良品計画は、持続可能な木材利用を通じて森林保全に貢献するとともに、地域経済の活性化にも取り組んでいる。国内店舗の什器や内装・外装において、国産材や各地域で育った特色ある木材を積極的に活用している 15。これは、輸送距離の短縮による環境負荷低減に加え、日本の森林資源の循環利用を促進し、国内の林業および木材産業の安定化に寄与することを目的としている。2024年9月からは、店舗什器へのFSC、PEFC、SGECといった森林認証材の使用を開始し、責任ある木材調達を一層強化している 15

特筆すべきは、2024年9月に佐賀県唐津市と大分県日田市にオープンした、無印良品初となる木造店舗である 15。これらの店舗建設は、前述の農林水産省との「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」に基づく取り組みの一環であり、グループ会社である株式会社MUJI HOUSEが設計を担当した。耐震性に優れた木造ラーメン構造である「SE構法」を採用し、大規模な木造店舗を実現するとともに、省エネ・創エネ技術を組み合わせることで『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証も取得している。試算によると、これらの木造店舗は、従来の鉄骨造店舗と比較して、資材製造段階でのCO2​排出量を44%、資材製造から施工、修繕、廃棄・リサイクルまでを含めたライフサイクル全体(使用段階を除く)では35%削減できるとされている 15

さらに、北海道の「無印良品 シエスタハコダテ」では、北海道渡島総合振興局と連携し、北海道発祥の「木育(もくいく)」活動の活性化に取り組んでいる。2016年のオープン以来、毎月のように木材に親しむワークショップや植樹などのイベントを開催し、地域住民や子どもたちへの木育の理解醸成を図っている 15

第3項 生態系保護への貢献活動

良品計画は、原材料調達や店舗運営といった直接的な事業活動における環境配慮に加え、生態系保護に貢献するための活動も行っている。その代表的な例が、絶滅危惧種をモチーフとした子ども用プリントTシャツの販売である 15。このTシャツの売上金の一部は、IUCN-J(国際自然保護連合日本委員会)に寄付され、絶滅の危機に瀕した生きものたちの保護活動に役立てられている。この取り組みは、子どもたちがTシャツを着用することを通じて、生物多様性の重要性や生きものたちが置かれている状況に関心を持つきっかけとなることを意図している 15

また、地域環境とのより深いつながりを重視する観点から、千葉県鴨川市に開設された「MUJI BASE KAMOGAWA」のような施設運営も注目される 17。ここでは、都市から離れた自然豊かな環境の中で、地域の文化や伝統、食材を活かした生活体験を提供し、自然と共生するライフスタイルを提案している。このような活動は、地域固有の生態系や自然環境の価値を再認識させ、その保全意識を高めることに貢献しうる。

第2節 生物多様性に関するリスクと機会 (TNFDへの対応可能性の考察を含む)

良品計画の事業活動は、原材料調達を中心に生物多様性に対して様々なリスクと機会を有している。リスクとしては、木材、綿、パーム油などの自然由来原材料の調達における森林破壊、水資源の枯渇、土壌劣化、生態系の攪乱といった生物多様性損失リスクが挙げられる。これらは、サプライチェーンの寸断、原材料価格の高騰、さらには企業の評判低下(レピュテーションリスク)に繋がる可能性がある。MUJI REPORT 2022(英語版)7 では、原材料調達における生態系への影響が間接的に示唆されており、これらのリスクに対する認識の萌芽が見られる。

一方、機会としては、持続可能な方法で調達された原材料を使用した製品を提供することによるブランド価値の向上、環境意識の高いエシカル消費者の支持獲得、そして生態系サービス(水の供給、気候調整など)の維持を通じた長期的な事業継続性の確保などが考えられる。

近年、企業に対する自然関連財務情報開示の要請が高まっており、その国際的な枠組みとしてTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が注目されている。良品計画の公式ウェブサイト 15 では、「生物多様性保全に関する国際基準や枠組みに沿って、生物多様性に係るリスク、生物多様性への依存及び影響を定期的に評価・モニタリングし、透明性をもって開示します」という方針が示されている。また、MUJI REPORT 2024のハイライト 4 でも、環境デュー・デリジェンスの拡充が触れられている。しかしながら、現時点ではTNFDへの直接的な言及や、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)のような具体的な評価手法の採用、それに基づく詳細な評価結果の開示については明確な記述が見当たらない 15。ただし、重要な点として、2025年8月期のESG評価に関する目標の中で、「TNFDなどの情報開示を進めることでESG企業の一角となる」という具体的な言及が確認されており 18、今後、TNFDに沿った情報開示が本格化することが期待される。

良品計画は持続可能な原材料調達に関する目標を設定しているものの 15、各原材料(特に木材以外の綿やパーム油など)における具体的な調達比率の進捗状況や、サプライチェーン全体を通じた生物多様性への影響評価(特に定量的な評価)、そしてその評価に基づく具体的な保全目標の設定といった点については、情報開示の深化が望まれる。例えば、木材に関しては2023年度の「環境・社会への配慮ができている木材」の調達率が73.1%と報告されているが 19、他の主要原材料に関する同様のデータは不足している。TNFDフレームワークの活用は、これらの課題に対応し、自然関連のリスクと機会をより体系的かつ定量的に評価・開示する上で極めて有効な手段となり得る。具体的には、TNFDのLEAPアプローチに沿って、まず事業活動と自然との接点(Locate)を特定し、次に生態系サービスへの依存度や事業活動が自然資本に与える影響を評価(Evaluate)、さらにそれらが事業に及ぼすリスクと機会を評価(Assess)し、最終的にそれらを踏まえた戦略策定と情報開示の準備(Prepare)を行うというステップが考えられる。特に、原材料調達における生物多様性ホットスポット(影響が大きい地域や生態系)の特定、事業活動が生態系サービス(例えば、清浄な水の供給や授粉など)から受けている恩恵の定量的な評価、そしてそれらの変化が事業運営や財務に与える影響のシナリオ分析などを進めることが重要である。これらの分析結果に基づき、具体的な緩和策(例:特定の高リスク地域からの調達転換、より持続可能な農法への移行支援)や保全目標(例:主要調達地域における森林再生面積目標、水使用量削減目標)を設定し、その進捗を定量的に開示していくことが、環境スコアの向上のみならず、投資家や消費者からの信頼獲得、ひいては長期的な企業価値の向上に不可欠となるであろう。2025年8月期の目標にTNFD情報開示推進が含まれていること 18 は、このような方向への具体的な取り組みが開始されることを強く示唆している。

第2部 業界比較と外部評価

第4章 主要競合企業の環境戦略分析

第1節 株式会社ファーストリテイリング (ユニクロ) の環境戦略

第1項 気候変動への対応

株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)は、気候変動対応を経営の最重要課題の一つと位置づけ、野心的な目標を掲げて取り組んでいる。GHG排出量削減目標として、2030年度までに自社運営施設(スコープ1、2)における排出量を2019年度比で90%削減し、サプライチェーンにおける主要な排出源であるスコープ3カテゴリ1(購入した製品・サービス)の排出量を同20%削減することをコミットしている。さらに、2050年までにネットゼロ排出を達成するという長期目標も設定している 20。実績としては、2024年8月期において、スコープ1および2の排出量を2019年度比で83.3%削減し、スコープ3カテゴリ1の排出量を同18.6%削減するなど、着実な進捗を見せている 22。これは、前年度(2023年度)のスコープ1,2排出量69.4%削減、スコープ3カテゴリ1排出量10%削減からさらに前進した数値である 20。再生可能エネルギーの導入も積極的に進めており、2030年度までに全世界の店舗および主要オフィスで使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とすることを目指している。2024年8月期時点での達成率は84.7%であり 22、2023年度の67.6%から大幅に向上している 20。また、TCFD提言に沿った情報開示も詳細に行っており、気候関連のリスクと機会、それらに対する戦略を具体的に報告している 24

第2項 資源循環の推進

ファーストリテイリングは、製品ライフサイクル全体を通じた資源の有効活用と廃棄物削減にも注力している。リサイクル素材の使用目標として、2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などの環境負荷の低い素材に切り替えることを目指している 20。2024年の商品においては、この使用割合が18.2%に達し、特にポリエステル素材については使用量の47.4%がリサイクルポリエステルで占められている 22。顧客参加型の取り組みとしては、「RE.UNIQLO」プログラムを通じて、不要になったユニクロ製品を回収し、リユース(再利用)またはリサイクル(再資源化)する活動をグローバルに展開している 25。水資源の管理も重要なテーマであり、ジーンズの仕上げ加工工程における水使用量を最大99%削減する革新的な技術を開発・導入し、グループ全体でその適用を拡大している 26。また、主要な素材工場に対しては、2020年の水準から10%の水使用量削減目標を設定し、2023年末時点で対象工場の51%がこの目標を達成している 22。廃棄物に関しては、サプライチェーン全体での廃棄物ゼロを目指し、特に使い捨てプラスチック製の包装材やショッピングバッグの削減、環境配慮型素材への切り替えを推進している 24

第3項 生物多様性の保全

ファーストリテイリングは、事業活動が生物多様性に与える影響を最小限に抑え、その再生と保全に努めることを基本方針としている 27。具体的な目標として、木材由来素材の調達における森林破壊ゼロの達成、コットンやカシミヤといった主要な自然由来素材のトレーサビリティを可能な限り農場レベルまで向上させること、生物多様性の観点からリスクの高い地域からの調達を回避すること、そしてリジェネラティブ(環境再生型)農法を採用する農家からの調達比率を高めることなどを掲げている 27。具体的な取り組みとしては、NGO「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」への加盟を通じた持続可能な綿花栽培の支援や、レーヨン調達における原料工場までのトレーサビリティ確保などが挙げられる 26。さらに、サプライヤー向けの生物多様性配慮基準の設定、生態系保全活動への参画、そして環境負荷の低い新素材や先進技術の開発・投資を積極的に進める方針である 27

第2節 株式会社ニトリホールディングスの環境戦略

第1項 気候変動への対応

株式会社ニトリホールディングス(以下、ニトリ)は、気候変動対応を重要な経営課題と捉え、「NITORI Group Green Vision 2050」の中で具体的な目標を設定している。GHG排出量削減目標として、スコープ1およびスコープ2の合計排出量(海外拠点を含む)について、2030年度までに2013年度比で50%削減(売上高1億円あたり原単位)し、2050年度にはカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)を達成することを目指している 29。2023年度の実績としては、スコープ1排出量が国内で22,451トン-CO2​、海外で4,499トン-CO2​、スコープ2排出量が国内で128,942トン-CO2​、海外で46,331トン-CO2​であった 33。再生可能エネルギーの導入にも取り組んでおり、一部店舗での太陽光発電設備の設置や、ニトリおよび島忠の約300店舗へのEV(電気自動車)充電インフラの構築を進めている 29。また、TCFD提言に賛同し、気候関連のリスクと機会、戦略、指標と目標に関する情報を開示している 29

第2項 資源循環の推進

ニトリは、「NITORI Group Green Vision 2050」において「サーキュラー(循環)ビジネスの推進」を3つの主要テーマの一つに掲げ、資源の有効活用と廃棄物削減に全社的に取り組んでいる 29。具体的な目標としては、資源化を前提とした商品開発100%、顧客から回収した商品の資源化率100%、廃棄物排出量50%以上削減(排出前に分別し資源に回す)、そして商品のパッケージにおける環境負荷低減素材への切り替え100%などを目指している 29。具体的な取り組み事例としては、顧客から不要になった羽毛布団やカーテンを販売元に関わらず店頭で無料回収しリサイクルする活動 29、回収したペットボトルなどをリサイクルした原材料を使用したカーペットやラグの製造・販売 36、そして商品パッケージの小型化(ダウンサイジング)による輸送効率向上とCO2​排出量削減などが挙げられる 35。2023年度の国内事業における廃棄物の資源化率は89.6%に達している 33

第3項 生物多様性の保全

ニトリは、「NITORI Group Green Vision 2050」の主要テーマの一つである「持続可能な調達」を通じて、生物多様性の保全にも配慮している 29。特に木材調達においては、2030年度までに環境・社会への配慮ができている木材(認証材またはそれに準ずるもの)の調達比率を100%にすることを目標としており、2023年度の実績は73.1%であった 19。同社の木材調達方針には、森林破壊や違法伐採の排除に加え、生物多様性への配慮も明記されている 37。綿やパーム油といったその他の自然由来素材についても、持続可能な調達の対象を順次拡大していく予定であるとしている 37

第3節 イケア・ジャパン株式会社の環境戦略

第1項 気候変動への対応

イケア・ジャパン株式会社(以下、イケア)は、グローバルなイケアグループの一員として、気候変動対策に積極的に取り組んでいる。イケアグループ全体の目標として、2030年度(FY30)までにバリューチェーン全体のGHG排出量を2016年度(FY16)比で少なくとも半減させ、2050年度(FY50)までにネットゼロを達成することを掲げている 38。2023年度(FY23)の実績として、GHG排出量はFY16比で22%削減された 40。再生可能エネルギーの導入も進んでおり、FY23時点でイケアのリテール事業を展開する25の市場において再生可能電力使用率100%を達成している 45。特筆すべきは、日本のイケア店舗においては、2018年以来、使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄っている点である 45。Ingka Group(イケア製品の最大の小売業者)全体で見ても、2024年度(FY24)には事業活動における電力の96.6%が再生可能エネルギー由来となっている 38。具体的な取り組みとしては、省エネルギー型店舗の設計、全照明のLED化、電気自動車(EV)による配送サービスの推進(イケア・ジャパンでは2024年1月時点で配送の40%がゼロエミッションであり、2028年までに90%以上を目指す 46)、IKEA鶴浜における水素バスや電動シャトルバスの導入計画などが挙げられる 47

第2項 資源循環の推進

イケアはサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現を重要な戦略目標と位置づけ、製品開発から販売、使用後の回収・再利用に至るまで、多岐にわたる取り組みを推進している。製品の循環性評価を9,500点以上の製品で実施し 49、家具の買い戻しプログラム(Buyback service)や、顧客間での中古品売買を可能にする「IKEA Preowned」といった循環型サービスを試験的に導入・展開している 38。リサイクル素材の積極的な活用も特徴であり、2030年までに木質製品の3分の1以上をリサイクル木材で製造することを目指しており 45、ポリエステル素材についてはFY23の使用率が90%に達している 45。廃棄物削減に関しても具体的な目標と実績があり、プラスチック製包装材については、FY23にFY21比で消費者向けパッケージの量を約47%削減した 45。また、店舗運営における廃棄物ゼロを目指す方針も掲げている 52。食品ロス削減の観点からは、主力商品であるミートボールの植物由来代替品「プラントボール」を開発・販売し、従来のミートボールと比較して生産時の環境負荷を4%に抑えたと報告している 46

第3項 生物多様性の保全

イケアは、事業活動が森林や生態系に与える影響を深く認識し、生物多様性の保全と再生に貢献するための包括的な戦略「Forest Positive Agenda for 2030」を推進している 50。このアジェンダは、責任ある森林管理を世界標準にすること、森林破壊を阻止し劣化した森林景観を再生すること、そして木材をよりスマートに利用するためのイノベーションを推進することの3点を柱としている。持続可能な原材料調達は、この戦略の中核を成す。FY23時点で、イケア製品に使用される木材の97.8%がFSC(森林管理協議会)認証材またはリサイクル材で占められている 45。綿についても、リサイクルコットンや、水や農薬の使用を削減し農家の収益向上を目指す農法で栽培されたコットン(ベターコットンなど)のみを使用している 48。具体的な取り組みとして、サプライヤーとの協働を通じた持続可能な農法や森林管理の推進(例えば、WWFとの連携によるベター・コットン・イニシアティブの設立支援 56)や、森林資源の保全を目的とした積極的な森林購入・保護活動(米国、バルト三国、ルーマニアなどで合計約29.3万ヘクタールの森林を所有・管理 55)などが挙げられる。

第4節 業界における環境ベストプラクティス

良品計画、ファーストリテイリング、ニトリ、イケアといった主要企業は、それぞれ特色ある環境戦略を推進している。ファーストリテイリングは、特にサプライチェーン全体でのGHG排出量削減目標の高さと、その進捗状況の透明な開示において先進性を示している。2030年という比較的短期の目標でスコープ3(カテゴリ1)の20%削減を掲げ、具体的な削減実績を毎年公表している点は、他の企業が参考にすべき点である。ニトリは、「NITORI Group Green Vision 2050」という長期ビジョンに基づき、気候変動、資源循環、持続可能な調達を包括的に推進する戦略を打ち出しており、特に国内でのカーテンや羽毛布団の回収・リサイクルといった消費者参加型の循環スキームの構築に強みを持つ。イケアは、グローバル規模での「Forest Positive Agenda」やサーキュラーサービスの展開など、ビジネスモデル自体を環境配慮型へ転換しようとする野心的な取り組みが際立っている。特に、木材調達におけるFSC認証材・リサイクル材の高い使用率や、再生可能エネルギー100%達成に向けた具体的な投資と実績は、業界の模範となる。

これらの先進事例から良品計画が学びうる点は多い。例えば、ファーストリテイリングのようにスコープ3排出量削減目標をより具体的に設定し、その進捗を積極的に開示すること、ニトリのように国内の消費者特性に合わせた回収・リサイクルスキームをさらに拡充すること、イケアのように原材料調達における環境・社会基準を厳格化し、それをビジネスモデルの中核に据えることなどが考えられる。

各社が直面している共通の課題として、サプライチェーンにおける環境負荷(特にスコープ3 GHG排出や原材料調達に伴う生物多様性への影響)の正確な把握と管理の難しさが挙げられる。個々の企業の努力には限界があり、特にトレーサビリティの確保やリサイクルインフラの構築といった課題は、一社単独での解決が困難な場合が多い。ファーストリテイリングがCascale(旧Sustainable Apparel Coalition)に加盟し、Higg Indexといった業界標準ツールを活用していること 59 や、イケアがWWFと共同でベター・コットン・イニシアティブの設立を支援したこと 56 は、業界横断的な連携の重要性を示唆している。このような背景を踏まえると、良品計画も既存の業界イニシアチブへのより積極的な参加や、場合によっては競合他社との協調による新たな基準策定、トレーサビリティシステムの共通化、リサイクル技術の共同開発などを検討する価値がある。これは、個社の環境スコア向上に留まらず、小売業界全体の持続可能性向上に貢献し、より大きな社会的インパクトを生み出す可能性を秘めている。

第5章 環境スコアのベンチマーキング

第1節 株式会社良品計画の外部ESG評価 (CDP、MSCI、Sustainalytics等)

株式会社良品計画は、複数の外部ESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関から評価を受けており、その結果は同社の環境パフォーマンスを客観的に把握する上で重要な指標となる。国際的な非営利団体であるCDPからは、気候変動分野で「B」、水セキュリティ分野で「A-」、森林分野で「B-」の評価を得ている(評価年は不明だが、ウェブサイト掲載情報に基づく最新の評価)60。CDPのスコアリングにおいて、「A-」はリーダーシップレベルを示し、先進的な取り組みが認められていることを意味する一方、「B」および「B-」はマネジメントレベルであり、環境リスクや影響を把握し行動している段階と評価される 62

MSCI ESGレーティングにおいては、2024年に「A」評価を獲得している 60。これは、MSCIの7段階評価(AAA, AA, A, BBB, BB, B, CCC)の中で比較的高い評価レベルである。

SustainalyticsによるESGリスクレーティングでは、2024年9月6日時点で総合スコア19.4と評価され、「低リスク」カテゴリーに分類されている。これは、同社が属する小売業界(Retailing Industry Group)449社中243位、Sustainalyticsが評価するグローバルユニバース(約14,600社)中では3710位に位置づけられる 63。また、Sustainalyticsは、良品計画の重要ESG課題へのエクスポージャー(晒され度合い)を「低」、それらのリスクに対するマネジメント(管理体制)を「平均的(Average)」と評価している 63

これらの国際的な評価に加え、国内においては、サステナブル・ブランド ジャパンが実施する『Japan Sustainable Brands Index(JSBI)』において、2024年に3年連続で首位を獲得しており 65、生活者からのサステナブルなブランドとしてのイメージが非常に高いことが示されている。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式を対象として採用する主要なESG投資指数6つのうち5つの構成銘柄に選定されていることも 60、投資家からの一定の評価を示している。

第2節 主要競合企業の外部ESG評価とスコア比較

良品計画の環境パフォーマンスを相対的に評価するため、主要競合企業の外部ESG評価を比較する。

ファーストリテイリングは、CDP評価において気候変動分野で3年連続(2024年時点)の「Aリスト」企業に選定されており、これは最高評価である。水セキュリティ分野でも「A-」(2024年)と高い評価を得ているが、森林分野では「C」(2024年)となっている 20。MSCI ESGレーティングでは、2020年より継続して「AA」評価を獲得しており、良品計画の「A」評価を上回っている 66。SustainalyticsのESGリスクレーティングでは、2025年2月時点で「低リスク」企業として評価されている 66。参考として、住友重機械工業のSustainalyticsスコア27.3は「中リスク(Medium risk)」に分類されることが示されている 67

ニトリホールディングスは、TCFD提言に賛同し情報開示を進めているが 29、CDPおよびMSCIの具体的なスコアは提供された資料からは確認できなかった。SustainalyticsのESGリスクレーティングでは、2025年2月19日時点でスコア16.7と評価され、「低リスク」カテゴリーに分類されている。これは小売業界449社中161位であり、良品計画のスコア19.4よりも若干良好な評価となっている 68。ニトリも重要ESG課題へのエクスポージャーは「低」、マネジメントは「平均的」と評価されている 68。また、2024年9月にはFTSE4Good Index SeriesおよびFTSE Blossom Japan Indexの構成銘柄に初めて選定された 69

イケア(Ingka Group/Inter IKEA Groupとして)については、企業グループとしてのCDPおよびMSCIの統一的なスコアは提供資料からは明確に確認できなかった。ただし、日本のイケア店舗では2018年以来再生可能エネルギー100%を達成しているといった個別の取り組みは報告されている 45。Ethos ESGによるPRIVATE.IKEA(非公開会社としてのイケア)の評価では、気候変動がC評価(スコア43.9)などとされている 70。また、QuestionZeroという評価プラットフォームによるイケアのサステナビリティ評価では、総合評価が5.0点満点中3.9点、環境評価も3.9点となっている 71

これらの外部評価を比較すると、良品計画はCDP水セキュリティにおいて「A-」とファーストリテイリングと同等の高い評価を得ている。これは、同社の水資源管理に関する取り組みが先進的であると認識されていることを示唆する。一方で、気候変動に関しては「B」評価であり、ファーストリテイリングの「Aリスト」と比較すると改善の余地がある。森林分野では「B-」と、ファーストリテイリングの「C」評価を上回っている。CDPの評価レベルの定義 62 によれば、Aレベルは「先進的に環境リスクを解決し、イニシアチブをとって行動している」段階、Bレベルは「自社の環境リスクや影響について把握し、行動している」段階とされる。このことから、良品計画は気候変動と森林において、リスク管理と行動は認められるものの、リーダーシップを発揮するまでには至っていないと解釈できる。

MSCI ESGレーティングでは、良品計画の「A」評価に対し、ファーストリテイリングは「AA」評価であり、一段階高い評価を得ている。MSCIの評価はAAAが最高評価であり、ファーストリテイリングが業界内でより高いESGパフォーマンスを示していると見なされている。

SustainalyticsのESGリスクレーティングでは、良品計画のスコア19.4、ニトリのスコア16.7はいずれも「低リスク」カテゴリーに属し、スコアが低いほどリスクが低いとされるため、この点ではニトリが若干優位である。ただし、両社ともマネジメント評価は「平均的」であり、リスク管理体制の高度化が共通の課題である可能性が示唆される。

これらの比較分析から、良品計画は水管理や、JSBIで示されるような生活者からのサステナブルなブランドイメージといった点では強みを持つものの、気候変動対策におけるリーダーシップの発揮、森林関連リスク(木材以外の原材料調達におけるリスクも含む)に関するデューデリジェンスの深化と情報開示の拡充、そして全般的なESGリスクマネジメント体制の高度化において、業界のトップランナー企業との比較や絶対的な目標達成の観点から、さらなる改善のポテンシャルが見受けられる。具体的な改善領域としては、気候変動目標達成に向けた実績の着実な向上とその透明性の高い情報開示(特にスコープ3排出量に関する詳細な分析と削減策)、森林関連リスク評価の対象範囲拡大とデューデリジェンスプロセスの強化・開示、そしてSustainalyticsが指摘する可能性のある「平均的」と評価されたマネジメント体制の具体的な強化策の検討と実行が考えられる。

第3節 ベンチマーキングから見る良品計画の相対的ポジション

競合他社との比較および外部ESG評価の分析を通じて、良品計画の環境戦略における相対的な強みと弱みが明らかになる。強みとしては、創業以来の「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」という思想に根差した独自の資源循環活動、特にReMUJIやプラスチック製品回収、紙製ハンガーリサイクルといった具体的な取り組みが挙げられる。また、MUJI BASE KAMOGAWAのような地域密着型で自然との共生を目指す活動や、フードドライブの実施は、社会課題解決とブランドイメージ向上に貢献している。CDP水セキュリティにおける「A-」評価や、JSBIでの3年連続首位獲得は、これらの取り組みが外部からも高く評価されていることを示している。

一方、弱みないしは改善が期待される点としては、まずGHG排出量削減の進捗が挙げられる。スコープ1および2の排出量が2030年目標(2021年比50%削減)に対して増加傾向にある点は、早急な対策強化が必要である。スコープ3排出量に関しても、その大部分を占める「購入した製品・サービス」カテゴリの削減に向けたより踏み込んだ戦略と具体的な進捗の開示が求められる。資源循環においては、プラスチック100%再利用目標は野心的であるが、その達成に向けた技術的・経済的課題の克服と具体的なロードマップの提示が重要となる。生物多様性保全に関しては、木材以外の主要原材料(特に綿やパーム油)における持続可能性の確保とトレーサビリティ向上が課題であり、TNFDフレームワークへの対応を含めた情報開示の質的向上が期待される。

良品計画はMUJI REPORT 2024などにおいて「ESG経営のトップランナーを目指す」という高い目標を掲げている 3。現状の外部評価や競合比較から見ると、特定の分野(水管理、ブランドイメージ)では高い評価を得ているものの、気候変動対応の進捗やサプライチェーン全体での環境管理においては、ファーストリテイリングのような先進企業と比較していくつかの課題が存在する。トップランナーとしての地位を確立するためには、これらの課題に真摯に取り組み、具体的な成果と透明性の高い情報開示を通じて、ステークホルダーからの信頼を一層高めていく必要がある。

第3部 課題、提言、および結論

第6章 株式会社良品計画が直面する環境課題

第1節 各取り組み領域における現状の課題評価

良品計画は環境問題に対して多岐にわたる取り組みを進めているが、それぞれの領域において克服すべき課題が存在する。

気候変動対応においては、最も喫緊の課題は、2030年までにスコープ1および2のGHG排出量を2021年比で50%削減するという目標に対し、現状の排出量が逆に増加傾向にあるという事実である 5。この乖離を是正し、目標達成への具体的な道筋を再構築することが急務である。また、総排出量の大部分を占めるスコープ3排出量に関しては、算定範囲の精緻化とカテゴリ別の詳細な分析、そして特に影響の大きい「購入した製品・サービス」カテゴリにおける実効性のある削減策の策定と推進が不可欠である。TCFD提言に基づく情報開示についても、リスクと機会の財務的影響の定量化や、気候変動シナリオ分析に基づく戦略の頑健性評価など、質的な向上が求められる。

資源循環の領域では、2030年までに販売したプラスチック製品を100%再利用するという野心的な目標 1 の達成が大きな課題である。これには、回収率の向上だけでなく、回収された多様なプラスチックを効率的かつ経済的にリサイクルするための技術開発やインフラ整備、そして再生材を安定的に利用できる製品設計と市場の確立が必要となる。再生材を利用した製品ラインナップの拡大と、それに伴うコスト管理や品質確保も重要な課題である。さらに、消費者の分別意識の向上や回収プログラムへの積極的な参加を促すための継続的な啓発活動やインセンティブ設計も欠かせない。

生物多様性の保全に関しては、主要な自然由来原材料、特に綿、パーム油、木材などについて、サプライチェーン全体での持続可能性の確保とトレーサビリティの向上が依然として重要な課題である。2050年までにこれらの原材料を100%持続可能なものにするという長期目標 15 に対し、現状の進捗状況、特に木材以外の原材料に関する定量的なデータの開示が不足している。事業活動が生物多様性に与える影響(依存とインパクト)をTNFDのLEAPアプローチなどを活用して定量的に評価し、それに基づいた具体的な保全目標(例えば、No Net LossやNet Positive Impact)を設定し、その達成に向けた行動計画を策定・実行することが求められる。TNFDフレームワークへの早期かつ実質的な対応は、2025年8月期の目標にも含まれており 18、その着実な進展が期待される。

第2節 環境パフォーマンス向上における障壁

良品計画がこれらの環境課題に取り組み、パフォーマンスを向上させていく上で、いくつかの構造的な障壁が存在する。第一に、グローバルな事業展開や国内外での店舗数増加は、必然的にエネルギー消費量や資源利用量、廃棄物排出量の増大圧力となる。事業成長と環境負荷削減を両立させることは容易ではない。

第二に、良品計画が扱う商品は衣料品から生活雑貨、食品に至るまで多岐にわたり、そのサプライチェーンはグローバルかつ複雑である。このため、サプライチェーン全体にわたる環境管理(例えば、原材料調達から製造、輸送、販売、廃棄に至る各段階での環境負荷の把握と削減)は極めて難易度が高い。

第三に、環境対策の強化には、省エネ設備への更新、再生可能エネルギーの導入、リサイクル技術の開発、持続可能な原材料への切り替えなど、多額の初期投資や継続的なコストが必要となる。これらのコストを製品価格にどこまで転嫁できるか、あるいはコスト増を吸収しつつ収益性を維持できるかという経営判断は常に課題となる。

第四に、TCFDやTNFDといった国際的な情報開示基準への対応は、高度な専門知識とデータ収集・分析体制を必要とする。これらの基準は進化し続けており、常に最新の動向を把握し、質の高い情報を開示し続けることは、企業にとって大きな負担となり得る。

MUJI REPORT 2021で示された事業戦略上の課題認識、すなわち「基本商品群と調達・生産体制の強化」「地域密着型の事業モデルの推進」「組織風土改革」といった項目 2 は、これらの環境課題を解決し、持続可能な成長を実現するための基盤となる重要な要素であると言える。調達・生産体制の強化はサプライチェーン管理の高度化に繋がり、地域密 Lösungen型の事業モデルは地域資源の活用やローカルな循環システムの構築に貢献し、そして組織風土改革は全社的な環境意識の向上とイノベーションの促進を後押しするであろう。

第7章 株式会社良品計画への提言

良品計画がESG経営のトップランナーを目指し、持続可能な社会の実現に貢献するためには、以下の戦略的行動が推奨される。

第1節 気候変動対策の強化策

まず、スコープ1および2のGHG排出量削減目標達成に向け、具体的なロードマップを再検証し、その実行を加速させる必要がある。これには、既存店舗および物流拠点における徹底的な省エネルギー診断と高効率設備への更新投資の拡大、新規店舗設計におけるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)基準の積極的な採用、そして再生可能エネルギー導入目標の引き上げと、太陽光発電の自社導入(オンサイトPPA含む)や外部からの調達(オフサイトPPA、再エネ電力証書購入など)手段の多様化と量的拡大が求められる。

次に、総排出量の大部分を占めるスコープ3排出量の削減に向けて、サプライヤーエンゲージメントプログラムを質・量ともに強化することが不可欠である。具体的には、主要サプライヤーに対するGHG排出量削減目標の設定支援、省エネ・再エネ技術に関する情報提供や技術協力、排出量削減実績に応じたインセンティブ(優先的取引、共同開発機会の提供など)の付与などが考えられる。特に排出量の大きい「購入した製品・サービス」カテゴリに焦点を当て、素材レベルでの低炭素化(リサイクル素材、バイオベース素材の利用拡大など)や製造プロセスのエネルギー効率改善をサプライヤーと共同で推進すべきである。さらに、将来的な炭素価格上昇リスクに備え、意思決定プロセスに環境コストを内部化するインターナルカーボンプライシング制度の導入を検討することも有効であろう。

第2節 資源循環システムの高度化

製品の企画・設計段階から、使用後の分解の容易さ、素材の再資源化しやすさ、リサイクル材の使用などを考慮する「サーキュラーデザイン(Design for Circularity)」の原則を全製品カテゴリーに徹底的に導入することが求められる。これにより、製品のライフサイクル全体を通じた資源効率の最大化と廃棄物の最小化を目指す。

店頭回収システムの効率化(回収対象品目の拡大、回収プロセスの簡素化、回収拠点網の最適化)を進めるとともに、回収された製品・素材のリサイクル品質を高めるため、ケミカルリサイクルなどの先進的なリサイクル技術の導入や、専門事業者との連携を検討すべきである。

製品における再生材利用率について、具体的な数値目標(例えば、プラスチック製品全体での再生材利用率XX% by YYYY年など)を設定し、その達成に向けた取り組みを段階的に強化する。同時に、再生材を使用した製品群のデザイン性や機能性を高め、消費者にその価値を訴求するマーケティング戦略を展開し、市場における競争力を確保することも重要である。

第3節 生物多様性保全戦略の深化と情報開示の拡充

TNFD提言に沿った自然関連リスクと機会の評価(LEAPアプローチ:Locate, Evaluate, Assess, Prepareの活用)を本格的に導入し、その評価プロセスと結果、そして対応策について詳細な情報開示を行う。これには、事業活動が依存する主要な生態系サービスの特定と評価、そして事業活動が生物多様性に与える負の影響(インパクト)の定量化が含まれる。

主要な自然由来原材料(木材、綿、パーム油、紙、その他影響の大きい動物性・植物性素材)ごとに、持続可能な調達に関する具体的な目標(認証材利用率、トレーサビリティ確保率など)を設定し、その進捗状況を毎年定量的に開示する。特に、サプライチェーンの上流(農場や森林など)まで遡ったトレーサビリティを100%達成するための具体的なロードマップを策定し、その実現に向けたサプライヤーとの協働体制を強化する。

森林破壊ゼロ(Zero Deforestation)および生態系に重要な自然地域の土地転換ゼロ(Zero Conversion)に関する明確なコミットメントを策定し、これを自社の事業活動のみならず、サプライチェーン全体に適用するための具体的な方針と実行計画を策定・公表する。

さらに、生物多様性に対してネット・ポジティブな影響(Nature Positive)を与えることを目指し、原材料調達地域における生態系保全・再生プロジェクトへの投資を拡大したり、地域コミュニティと連携した持続可能な資源管理モデルを構築したりするなど、積極的な貢献活動を展開する。

第4節 環境スコア向上に向けた戦略的アプローチ

CDP、MSCI、Sustainalyticsといった主要な外部ESG評価機関の評価方法論や評価基準を詳細に分析し、自社の強みと弱み、特に改善が求められる重点項目を具体的に特定する。

目標設定(SBT、TNFD目標など)、実績管理(KPI設定とモニタリング)、そして情報開示(統合報告書、サステナビリティレポート、ウェブサイト)の各プロセスにおいて、これらの評価機関が重視する指標や開示項目への対応を戦略的に強化する。例えば、CDPの質問書に対する回答内容の質的向上や、MSCIやSustainalyticsが注目するガバナンス体制やリスク管理プロセスの強化などが考えられる。

投資家、NGO、学術機関、地域社会といった多様なステークホルダーとの積極的かつ継続的な対話(エンゲージメント)を通じて、良品計画の環境戦略や取り組みに対する理解を深めるとともに、外部からの意見や期待を真摯に受け止め、課題認識の共有と改善策の検討に活かしていく。

結論 (おわりに)

第1節 分析結果の総括

本報告書では、株式会社良品計画の環境への取り組みについて、気候変動、資源循環、生物多様性の3つの主要分野を中心に包括的な分析を行った。良品計画は、「感じよい暮らしと社会」の実現という企業理念のもと、素材の選択から廃棄に至るまで、環境負荷低減を意識した事業活動を展開しており、特に資源循環の分野では「ReMUJI」やプラスチック製品の回収・リサイクルなど、独自の先進的な取り組みが見られる。また、CDP水セキュリティ評価で「A-」を獲得するなど、特定の分野では高い評価を得ている。

しかしながら、気候変動対応においては、GHG排出量削減目標に対する実績の遅れや、スコープ3排出量の管理といった課題が残る。資源循環においても、プラスチック100%再利用という野心的な目標達成に向けた具体的な道筋の明確化が求められる。生物多様性保全に関しては、持続可能な原材料調達の推進やTNFDフレームワークへの対応など、取り組みの深化と情報開示の拡充が期待される。

主要競合企業との比較分析からは、ファーストリテイリングのGHG排出量削減目標の高さと進捗、ニトリの長期ビジョンに基づく包括的アプローチ、イケアのビジネスモデルと一体化した環境戦略など、それぞれに学ぶべき点が見出された。外部ESG評価においては、良品計画は一定の評価を得ているものの、気候変動対応や全般的なESGリスクマネジメントにおいて、業界トップランナーとの差や改善の余地が示唆された。

第2節 株式会社良品計画の持続可能な成長に向けた展望

株式会社良品計画が掲げる「感じよい暮らしと社会」の実現は、地球環境の持続可能性なしには達成し得ない。本報告書で明らかになった課題への対応と提言された戦略の実行は、同社が環境パフォーマンスを向上させ、真に持続可能な企業へと進化するための重要なステップとなる。

気候変動、資源循環、生物多様性という相互に関連する地球規模の課題に対し、良品計画がその独自の哲学と事業モデルを活かし、サプライチェーン全体を巻き込んだ革新的な解決策を提示していくことが期待される。そのためには、より野心的かつ科学的根拠に基づいた目標設定、目標達成に向けた着実な実行と投資、そして透明性の高い情報開示とステークホルダーとの建設的な対話が不可欠である。

本報告書で示した分析と提言が、良品計画の環境戦略の更なる進化、そしてESG経営のトップランナーとしての地位確立に向けた一助となることを願う。同社の今後の取り組みが、小売業界全体のサステナビリティ向上を牽引し、より良い未来の実現に貢献することを期待する。

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