新明和工業株式会社(以下、新明和工業)は、航空機、特装車、パーキングシステム、産業機械・環境システム、流体システムという多岐にわたる事業を展開する複合企業である 1。その事業ポートフォリオは、社会インフラの維持・発展に貢献する一方で、製造プロセスや製品ライフサイクル全体を通じて環境への影響も伴う。例えば、航空機事業や特装車事業では燃料効率や排出ガス、製造時の資源消費が、環境システム事業では廃棄物処理やリサイクル技術そのものが環境負荷と密接に関連する 4。このような背景から、新明和工業が持続可能な社会の構築に貢献するためには、環境パフォーマンスの継続的な改善と透明性の高い情報開示が不可欠である。本報告書は、同社の環境への取り組みを多角的に分析し、その現状と課題を明らかにすることを試みるものである。
本報告書は、新明和工業の環境への取り組みを、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の三つの主要分野に焦点を当てて包括的に分析し、その環境パフォーマンスを学術的観点から評価することを目的とする。具体的には、各分野における同社の具体的なイニシアチブ、目標設定、実績を詳細に検討し、関連するリスクと機会を特定する。さらに、業界におけるベストプラクティスとの比較、現状の課題分析、そして将来に向けた提言を行う。競合他社の環境戦略や第三者評価機関による環境スコアのベンチマーキングも行い、新明和工業の環境的地位を客観的に評価する。本報告書の構成は、まず新明和工業の環境経営方針とガバナンス体制を概観し、次に気候変動、資源循環、生物多様性の各分野における詳細な分析を展開する。その後、業界ベストプラクティス、同社の課題と提言、競合他社の動向、環境スコアの比較検討を経て、最後に結論として総括的な評価と今後の展望を示す。
新明和工業グループは、その「サステナビリティ経営方針」に基づき、「環境保全基本理念」および「環境保全行動指針」を定めている 6。この基本理念では、企業活動の全てのプロセスにおいて環境に配慮した行動に努め、地球温暖化防止と循環型社会に積極的に貢献するとともに、環境負荷低減に資する製品開発やサービスの提供を通じて社会課題の解決と持続的発展を目指すことが謳われている 6。行動指針は、「地球温暖化防止への取組み」「循環型社会への取組み」「製品・サービスの提供による環境負荷の低減」「環境保全活動の推進」の四つの柱から構成される 6。これらの理念と指針は、具体的な事業活動における環境目標の設定や環境負荷低減策の実施に向けた基本的な方向性を示すものであり、同社の環境経営の根幹を成すものである。例えば、「地球温暖化防止への取組み」では生産活動における省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用が、「循環型社会への取組み」では製品ライフサイクル全体でのリサイクルや省資源化が具体的な行動として挙げられている 6。これらの指針が各事業部門の戦略や日々の業務にどのように浸透し、具体的な成果として結実しているかが、同社の環境パフォーマンスを評価する上で重要となる。
新明和工業は、環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格であるISO 14001の認証取得を推進しており、これに基づいた環境保全活動の継続的な改善に取り組んでいる 6。2023年時点で、国内生産拠点18拠点のうち10拠点(約60%)がISO 14001認証を取得している 6。認証取得事業所では、省エネルギー推進や廃棄物削減といった社会課題への取り組みが積極的に行われ、その詳細は全社横断的な機能である「環境管理推進会議」を通じてグループ内で共有され、全体の環境パフォーマンス向上に繋げる体制が構築されている 6。この会議体は、グループ全体の目標設定や活動のモニタリング、改善を継続的に推進する役割を担っている 6。
ISO 14001の認証取得率が約60%であるという事実は、全社的な環境管理体制の標準化と徹底という観点からは、まだ進展の余地があることを示唆している。ISO 14001は体系的な環境管理の枠組みを提供し、環境パフォーマンスの継続的改善を促すものである。一部の生産拠点が未認証であることは、グループ全体での環境パフォーマンスの一貫性や、環境データの収集・管理の均質性において課題が生じる可能性を内包する。認証取得には相応のコストと時間が必要となるため、事業規模や各拠点の事業特性に応じた段階的な導入計画が存在する可能性も考えられるが、環境経営に対する全社的なコミットメントをより明確に示す上では、将来的には全拠点での認証取得が望まれる。特に未取得の拠点における環境リスク管理の具体的な状況や、今後の認証拡大に向けた計画については、更なる情報開示が期待される。
新明和工業は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、2023年1月より同提言に基づく気候関連の財務情報開示を開始した 8。これは、気候変動が事業に与えるリスクと機会を認識し、経営戦略に統合しようとする姿勢を示すものである。気候関連のガバナンス体制としては、取締役会が気候関連課題を重要な経営課題と位置づけ、監督責任を負っている。取締役会の諮問機関であり、社長執行役員が委員長を務める経営会議が、気候変動を含む重要経営課題について審議・検討を行う 8。さらに、サステナビリティ経営担当の副社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」が設置されており、マテリアリティ(重要課題)の特定、KPI(重要業績評価指標)の設定、環境・社会・ガバナンス各分科会の調査進捗のモニタリング・監督、KPI達成状況の確認と計画の見直し、そしてこれらの状況を取締役会へ報告(原則年2回)する役割を担っている 8。気候関連のリスクと機会は、この枠組みの中で重要課題として取り扱われ、サステナビリティ委員会がその動向を注視している 8。
TCFD提言への対応開始時期が2023年1月である点は、注目に値する。TCFD提言の最終報告書は2017年に公表されており、国内外の多くの企業がそれ以前から対応を進めてきた事例も見られる。このタイミングでの賛同表明と開示開始は、新明和工業における気候変動課題への本格的な組織的取り組みが、比較的最近開始された段階にある可能性を示唆している。これは、ガバナンス体制の構築、シナリオ分析の深化、具体的な対応策の事業戦略への織り込みといった一連のプロセスが現在進行中であり、その実効性と成果が今後の評価において重要となることを意味する。情報開示の質と量を継続的に向上させ、気候変動への取り組みを一層推進していく方針が示されているが 8、その具体的な進捗と成果が、今後の統合報告書等でどのように報告されるかが注視される。
新明和工業は、地球温暖化防止への貢献を環境保全行動指針の筆頭に掲げ、生産活動における省エネルギー設備の導入、生産性の向上、そして再生可能エネルギーの利用を推進している 6。具体的な製品事例としては、流体事業において、水中ミキサ、水中ポンプ、ルーツブロワ、ターボブロワといった製品群で省エネルギー設計を追求し、顧客のエネルギー消費量削減に貢献している 9。
さらに、環境負荷軽減に資する製品・サービスの提供も重要な柱であり、省エネルギー・低炭素製品の開発・販売や、低炭素型サービスの提供に注力している 7。例えば、特装車事業においては、塵芥車(ごみ収集車)用の巻き込まれ被害軽減装置「Smart eye motion®」を開発し、安全性の向上と共に、効率的な収集ルートのナビゲーション機能を通じて燃費向上とCO2排出量削減にも貢献するシステムを提供している 11。また、産業機械・環境システム事業に属するターボブロワにおいては、IoT技術を活用した遠隔監視サービスを導入し、機器のダウンタイムを最小化することで運転効率を高め、間接的なエネルギー消費削減に寄与している 13。これらの製品・サービスを通じた環境貢献は、同社の事業戦略の重要な要素として位置付けられている 7。
新明和工業は、気候変動対策の具体的な指標として、Scope 1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)およびScope 2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)のCO2排出量に関し、2030年度までに2017年度比で38%削減するという目標を設定している。具体的には、2017年度の排出実績である42,720トンから、2030年度には26,486トンへと、16,234トンの削減を目指すものである 7。
2023年度の非連結ベースでの排出実績は、Scope 1が9,474トン、CO2、Scope 2が19,918トン、CO2、合計で29,392トンCO2であった 7。一方、同年度の国内連結ベースでの実績は、Scope 1排出量が12,442トン、Scope 2排出量が28,686トン、合計で41,128トンと報告されている 8。
特筆すべきは、Scope 3(Scope 1、Scope 2以外の間接排出、すなわち事業者の活動に関連する他社の排出)排出量である。2023年度の非連結ベースでのScope 3総排出量は1,890,085トンに達しており、その内訳を見ると、カテゴリー1「購入した製品・サービス」が605,545トン、そしてカテゴリー11「販売した製品の使用」が1,262,255トンと、この二つのカテゴリーで大部分を占めている 8。この事実は、新明和工業の気候変動戦略において、自社工場での排出削減努力(Scope 1, 2)に加えて、サプライチェーン上流での排出量管理と、とりわけ自社製品が顧客に使用される段階でのエネルギー効率向上が極めて重要な課題であることを明確に示している。Scope 1およびScope 2の国内連結排出量合計(41,128トン)と比較して、Scope 3カテゴリー11「販売した製品の使用」だけでその約30倍に相当する126万トン超の排出があることは、製品のライフサイクル全体で見た場合に、自社操業段階よりも製品使用段階における環境負荷が圧倒的に大きいことを意味する。したがって、排出量削減目標の達成と真の環境貢献のためには、製品の省エネルギー設計の更なる推進、顧客への省エネルギー運転に関する啓発活動、さらには製品ポートフォリオ自体の低炭素化への大胆なシフトが不可欠となる。
同社は、「今後の事業拡大に伴い排出量の増加が見込まれるものの、継続して目標達成に向け努力します」7 との認識を示している。これは製造業が共通して直面する、経済成長と環境負荷削減の両立というジレンマを反映している。事業が拡大すれば、一般的にエネルギー消費量や資源使用量が増加し、それに伴い温室効果ガス排出量も増加する傾向がある。この増加分を吸収し、さらに目標削減率を達成するためには、既存の改善活動の延長線上にはない、非連続的な技術革新や、より野心的かつ具体的な省エネルギー投資、再生可能エネルギー導入の加速、そして製品の根本的な低炭素化技術開発といった戦略的な取り組みが求められる。これらの具体的な両立策に関する詳細な情報開示が、今後のステークホルダーからの期待に応える上で重要となるであろう。
新明和工業はTCFD提言に基づき、1.5℃/2.0℃シナリオおよび4.0℃シナリオを用いた気候関連リスクと機会の分析を実施している 8。
1.5℃/2.0℃シナリオ(2050年ネットゼロ達成を想定)においては、主に移行リスクとそれに関連する機会が特定されている。リスクとしては、炭素税導入等による生産・調達コストの増加、再生可能エネルギー購入費用の増加、低炭素・脱炭素化に向けた研究開発費の増大が共通して挙げられている 8。個別事業では、特装車事業における電気自動車(EV)や代替燃料車(燃料電池、水素等)への仕様変更に対応できない場合の販売機会損失、パーキングシステム事業におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化や再生可能エネルギー・EV優先政策への対応不足による受注機会の損失、流体事業における既存製品の低炭素化(高効率化・長寿命化)対応の遅れによる販売機会の減少などが指摘されている 8。
これに対し、機会としては、特装車事業における技術的付加価値の向上と顧客要求への迅速な対応による販売機会の増加、パーキングシステム事業におけるZEB化工事への技術対応による高付加価値製品の販売機会増加、環境システム事業における既存施設への低炭素技術導入やカーボンフリー製品実現による売上増加、流体事業における製品効率改善や省エネ・省力化に貢献する工事・保守・点検サービスによる販売機会増加、航空機事業における低炭素・環境配慮型の次世代航空モビリティへの対応による製品競争力・市場シェア向上などが挙げられている 8。これらのリスクと機会は表裏一体の関係にあり、特に技術開発コストの増加というリスクは、新たな低炭素製品・サービスによる市場獲得という機会を得るための先行投資と捉えることができる。新明和工業がこれらの機会をどれだけ具体的に事業戦略に落とし込み、戦略的な投資を振り向けているかが、今後の気候変動対応における評価の鍵となる。企業がこのトレードオフをどのようにマネジメントし、戦略的に投資配分を行うかが、気候変動への適応と競争力維持の分水嶺となるであろう。
一方、4.0℃シナリオ(経済活動優先により気候変動が進行し、異常気象が頻発・激甚化する世界を想定)においては、物理的リスクとその対応を通じた機会が中心となる。物理的リスクとしては、高潮・豪雨・洪水等の気象災害による工事の停止やサプライチェーンの寸断による部品欠品、調達コストの増加、収益性の低下が共通して挙げられているほか、平均気温上昇による労働環境の悪化、生産性低下、空調コスト増加も懸念される 8。機会としては、このような物理的リスクの高まりに対応する形で、特装車事業における国土強靭化基本計画に沿ったインフラ整備に必要な特装車の販売機会増加、パーキングシステム事業における異常気象による機械式駐車設備の破損に対するメンテナンス需要の増加や浸水対策製品等の防災対応型設備の需要増加、流体事業における自然災害増加に備えた雨水排水設備等のインフラ整備需要の増大などが期待されている 8。これは、気候変動適応ビジネスへの展開可能性を示唆しており、具体的な製品開発や市場戦略が注目される。激甚化する自然災害は、インフラ強靭化や災害復旧支援製品・サービスの需要を高めるため、新明和工業の事業ポートフォリオ(特装車、流体システム等)は、この分野での社会貢献と事業成長のポテンシャルを秘めていると言える。
新明和工業は、製品のライフサイクル全体、すなわち設計、調達、生産、物流、使用、廃棄の各段階において、再利用(リサイクル)や省資源化を推進し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している 6。具体的には、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の徹底に加え、リフューズ(ごみとなるものは受け取らない)という考え方も重視し、廃棄物の発生抑制に努めている 16。
製品を通じた資源循環への貢献事例としては、環境システム事業におけるごみ中継施設システムや選別・リサイクル設備の提供が挙げられる 17。また、新たな試みとして、リサイクルCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を用いた流体製品の試作も行っており 12、これは先進的なマテリアルリサイクルの取り組みとして注目される。
廃棄物総排出量の削減に関しては、2030年度までに2020年度比で10%削減するという目標を掲げている。具体的には、2020年度の実績である8,111トンから、2030年度には7,300トンへと、811トンの削減を目指すものである 7。2023年度の非連結ベースでの廃棄物総排出量は7,222トンであり 7、これは既に2030年度の目標値7,300トンを下回っている。この早期達成は、目標設定がやや保守的であった可能性、あるいは近年の廃棄物削減努力が顕著な成果を上げている可能性を示唆している。今後の目標見直しの有無や、気候変動対策と同様に「今後の事業拡大に伴い排出量の増加が見込まれる」7 中で、この水準を維持・向上できるかが注目される。目標を早期達成した場合、企業は通常、より野心的な新目標を設定するか、現状維持に留まるかの選択を迫られる。ステークホルダーからの期待は前者であり、特に事業拡大が見込まれる中で現行目標値を下回る実績を維持・向上させるには、更なる革新的な削減策が必要となるであろう。
リサイクル率に関しては、2024年度の統合報告書において、99%以上という目標に対し、2023年度実績として99.5%を達成したと報告されている 11。これは極めて高い水準であり、廃棄物の有効活用が進んでいることを示している。
水資源の保全に関しては、工場における水使用量および排水量の両面で適正管理を行い、浄水工程でのエネルギー削減にも貢献していると報告されている 7。2023年度においては、水使用に関する法規・条例の不遵守はゼロであった 16。しかしながら、提供された情報からは、具体的な水使用量削減目標や水リサイクル率に関する目標値は明確に確認できなかった。
水使用に関するコンプライアンス遵守は企業活動の基本であり、今後はより踏み込んだ水戦略の策定と開示が期待される。具体的には、国内外の事業拠点における水リスク評価(特に水ストレス地域に拠点を有する場合)の実施、その結果に基づいた具体的な水使用量削減目標や水リサイクル目標の設定、そしてそれらの進捗状況の透明性ある開示が求められる。TCFD分析において気象災害による操業停止リスクが言及されているが 8、これには渇水リスクも含まれ得る。事業継続性の観点からも、より積極的な水資源管理戦略の策定と開示が望ましい。
新明和工業は、CSR調達方針に基づき、資材の品質・納期・価格(QCD)といった従来の評価軸に加え、経営の信頼性、技術開発力、そして環境配慮等を総合的に評価し、取引先を選定している 18。この方針を具体化するものとして、2023年10月1日には「新明和CSR調達ガイドライン」の第2版を発行し、実践内容の追加を行った 18。サプライヤーに対するCSR教育も継続的に実施しており、サプライチェーン全体での持続可能性向上を目指している 18。
CSR調達ガイドラインに環境配慮が明記されていることは評価できるものの、サプライヤーに対する具体的な環境パフォーマンス要求(例えば、CO2排出量削減目標の設定、再生材利用率の向上、水使用量の削減など)や、それらの遵守状況をどのようにモニタリングし、目標未達の場合にどのようなエンゲージメント(働きかけ)を行っていくのかといった戦略の詳細については、更なる情報開示が望まれる。Scope 3排出量の主要な構成要素であるカテゴリー1「購入した製品・サービス」からの排出を効果的に削減するためには、サプライヤーとのより緊密な連携と具体的な行動計画が不可欠である。ガイドラインの存在に加え、サプライヤーへの具体的な環境要求、目標達成に向けた支援策、そして実績のモニタリング体制の構築が、資源循環と気候変動対策双方の鍵を握ると言える。2024年度にはサプライヤーCSRアンケート調査(リスク評価)をサプライヤーポータルサイトを用いて実施する計画であり 21、この結果とそれに基づく具体的なアクションに注目が集まる。
新明和工業の環境への取り組みにおいて、「生物多様性の保全」は、気候変動対策や資源循環と比較して、現時点での情報開示が限定的であると言わざるを得ない。「環境保全行動指針」の中には、「環境保全活動の推進」として「幅広い視点からの環境保全活動を実施」することが謳われているものの 6、生物多様性保全に特化した具体的な方針、目標、定量的な影響評価、生息地保全プロジェクトの事例、あるいはTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応といった詳細情報は、提供された資料からはほとんど確認できなかった 6。同社の公式ウェブサイト(日本語版・英語版)の主要な環境関連ページを調査しても、生物多様性に関する具体的なプロジェクトや生態系保護措置への言及は見当たらなかった 6。
この情報開示の限定性は、新明和工業の環境戦略における現在の主要な課題であり、弱点である可能性が高い。同社が展開する航空機製造、特装車製造、産業機械・環境システム、パーキングシステムといった事業は、そのサプライチェーンの上流における資源採掘、部品製造、あるいは製品の設置・運用段階での土地利用などを通じて、直接的・間接的に自然資本および生物多様性に影響を与える可能性がある。例えば、航空機や特装車に使用される金属資源の採掘は生態系を変化させ、工場からの排出物や製品使用時の騒音・振動なども周辺環境に影響を及ぼしうる。TNFDのような自然関連情報開示の枠組みの重要性が国際的に高まる中、この分野における具体的な取り組みの推進と情報開示の透明性向上は、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価の改善や投資家からの信頼獲得、さらには事業継続リスクの適切な管理という観点からも急務であると言える。
気候変動に伴う物理的リスク、例えば異常気象による洪水や生態系の変化などは、間接的に生物多様性への影響を示唆するものの 8、生物多様性の損失そのものに起因する事業リスクや、生物多様性保全への貢献を通じた事業機会に関する具体的な分析は、現時点では不明確である。
今後の検討課題として、新明和工業の事業所所在地や主要なサプライチェーンが、生物多様性ホットスポット(特に保護価値の高い地域)と地理的にどの程度重複しているのか、また、同社の事業活動がどの程度、特定の生態系サービス(例:清浄な水の供給、花粉媒介、気候調整など)に依存しているのか、そして事業活動が生態系にどのような影響(例:土地利用改変、水質汚染、騒音・振動など)を与えているのかについて、TNFDが提唱するLEAPアプローチ(発見、診断、評価、対応)などを活用した詳細な評価を実施することが強く推奨される。これにより、自然関連のリスクと機会を具体的に特定し、経営戦略に統合することが可能となる。例えば、部品調達において生物多様性に配慮した認証材の利用を増やすことはリスク低減に繋がり、また、環境修復技術や生態系保全に貢献する製品・サービスを開発することは新たな事業機会となり得る。
新明和工業が事業を展開する各分野において、環境負荷低減と持続可能性向上を目指す先進的な取り組み、すなわち業界ベストプラクティスが存在する。これらを概観することは、同社の現状評価と今後の戦略策定において有益な示唆を与える。
航空宇宙製造業においては、持続可能な航空燃料(SAF)の利用拡大と供給体制構築への参画、機体軽量化のための複合材利用技術の高度化、航空機の電動化や水素燃料技術といった次世代パワートレインの研究開発、そして運航効率改善に資する技術やサービスの提供が主要なトレンドである 22。ボーイング社は2030年までに全商用機を100%SAF対応にする目標を掲げ、自社でのSAF利用も進めている 23。
特装車製造業では、車両の電動化(EVトラック、EV塵芥車など)、ハイブリッド化、水素燃料電池車(FCV)といった代替燃料への対応が急速に進んでいる。また、排出ガス後処理技術の高度化による大気汚染物質の削減や、車体の軽量化による燃費向上も継続的な課題である 27。ステランティス社は製造活動におけるカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、再生可能エネルギー利用やサプライヤーへの炭素削減要請を行っている 27。
産業機械・環境システム分野では、高効率モーターの採用やインバータ制御による省エネルギー化、IoT技術を活用した予知保全や運転最適化によるエネルギー消費量の削減が求められる。廃棄物発電(WtE)プラントにおいては、発電効率の向上や排ガス処理技術の高度化、さらにはCCUS(CO2回収・有効利用・貯留)技術の開発・導入が期待されている 31。
パーキングシステム分野では、設備の省エネルギー設計はもとより、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー導入、電気自動車(EV)充電インフラとの統合、そして駐車場緑化によるヒートアイランド現象の緩和や雨水浸透機能の付加といった環境配慮型駐車場の開発が進んでいる 35。
製造業全般において、サーキュラーエコノミー原則の導入が加速している。これには、製品の長寿命化設計、修理・再利用・再製造(リマニュファクチャリング)の推進、リサイクル材の積極的な利用、そして工場における廃棄物ゼロエミッション目標の設定などが含まれる 22。水資源に関しても、使用量削減のみならず、工場内での水リサイクル技術の導入による循環利用率の向上が重要視されている。サプライチェーン全体での資源効率向上も大きなテーマであり、サプライヤーとの協働による環境負荷低減が求められる。
航空宇宙製造業では、製造過程で発生する炭素繊維複合材の端材や使用済み部品のリサイクル技術開発、チタンなどの希少金属のリサイクルが重要な課題となっている 22。ボーイング社は炭素繊維廃棄物の100%リサイクルを達成したと報告している 26。
特装車製造業においては、エンジンやトランスミッションといった主要コンポーネントのリマニュファクチャリングや、使用済み車両の解体・分別を通じた高度なマテリアルリサイクルが推進されている 27。
製造業全般において、TNFD提言に沿った自然関連リスク・機会の評価と情報開示の動きが活発化している。事業所周辺の生態系保全活動(敷地内緑化、ビオトープ設置、地域固有種への配慮など)や、サプライチェーンにおける生物多様性に配慮した原材料調達(例:FSC認証材の利用)、新規開発における土地利用変化の最小化、そして工場排水や大気排出物による汚染防止策の徹底などが求められている 27。ステランティス社は保護地域での新規事業を禁止し、敷地内の自然生息地保全を推進している 27。産業開発における環境影響評価(EIA)の実施、グリーンインフラの導入、生息地の復元や保全オフセット、持続可能な土地利用計画、汚染管理措置、環境保護団体との連携、従業員やステークホルダーへの教育などがベストプラクティスとして挙げられる 31。
これらの各業界におけるベストプラクティスは、新明和工業が事業セグメント毎に環境目標を設定し、具体的なイニシアチブを推進する上での重要な参照点となる。特に、競合他社がTNFD対応やより野心的なカーボンニュートラル目標の設定を進めている現状は、新明和工業にとっても喫緊の課題であることを示唆している。これらの先進事例との比較を通じて、自社の強みと弱みを客観的に把握し、改善の方向性を見出すことが可能となる。例えば、航空機事業においてはSAFへの対応や複合材リサイクル技術の追求、特装車事業においてはEV化や部品リマニュファクチャリングの推進、環境システム事業においてはWtEプラントの更なる高効率化やCCUS技術への取り組みといった具体的なテーマで、業界の先進事例をベンチマークとすることができる。
新明和工業の環境への取り組みを総合的に評価すると、気候変動対策と資源循環に関しては一定の目標設定と具体的な活動が確認できるものの、いくつかの重要な課題が浮き彫りになる。
第一に、気候変動対応において、Scope 3排出量、特にカテゴリー11「販売した製品の使用」に伴う排出量がScope 1, 2の合計を大幅に上回っており、この削減に向けた製品の抜本的なエネルギー効率改善や低炭素化技術の開発・普及戦略の具体性がより一層求められる 8。また、「事業拡大と排出量削減の両立」という目標達成に向けた、より踏み込んだ戦略と投資計画の開示も期待される 7。
第二に、資源循環の推進において、廃棄物総排出量削減目標は2023年度時点で既に達成しているものの 7、今後の事業拡大を見据えた目標の再設定や、より野心的な削減策の導入が望まれる。水資源管理については、法規遵守は確認できるものの、具体的な削減目標やリサイクル目標が設定されておらず、水リスク評価に基づいた戦略的な取り組みが不足している可能性がある 16。サプライチェーン全体での資源効率向上に関しても、CSR調達ガイドラインの運用強化と、サプライヤーへの具体的な環境パフォーマンス要求の深化が課題である 18。
第三に、そして最も顕著な課題として、生物多様性の保全に関する取り組みと情報開示が極めて限定的である点が挙げられる 6。具体的な方針、目標、リスク・機会評価、保全活動に関する情報がほとんど開示されておらず、この分野での戦略策定と実行が喫緊の課題である。
最後に、これらの課題を反映してか、SustainalyticsによるESGリスクレーティングでは「高リスク」と評価されており 37、環境側面におけるパフォーマンスと情報開示の改善が、総合的なESG評価向上のためにも不可欠である。
上記の課題評価を踏まえ、新明和工業の持続可能な成長と環境パフォーマンス向上に向けて、以下の提言を行う。
まず気候変動対策については、Scope 3排出量、特に影響の大きいカテゴリー11「販売した製品の使用」に関する具体的な削減目標を設定し、その達成に向けた製品開発ロードマップ(例:特装車の電動化推進、流体機器の更なる高効率化、航空機部品の軽量化とSAF対応技術開発)を策定・開示することを推奨する。併せて、自社事業所における再生可能エネルギー導入に関する具体的な数値目標(例:20XX年度までに使用電力のXX%を再エネ化)と、その達成に向けた具体的な計画(PPA契約、自家消費型太陽光発電導入拡大等)を策定し、進捗を定期的に報告すべきである。
次に資源循環に関しては、水リスク評価(特に国内外の主要生産拠点における水ストレス状況の把握)を実施し、その結果に基づいて水使用量の具体的な削減目標および水リサイクル率目標を設定・開示することが求められる。製品のサーキュラリティ向上に向けては、設計段階からのリペア・再製造容易性の考慮、リサイクル材利用率の具体的な目標設定、そして使用済み製品の回収・リサイクルシステムの構築(特に特装車や産業機械等の大型製品)を検討すべきである。サプライヤーエンゲージメントを強化し、環境負荷低減目標の共有と達成支援プログラムを導入することも有効である。
生物多様性保全については、早急にTNFD提言に基づく自然関連リスク・機会の評価(LEAPアプローチ等を用いた詳細分析)に着手し、その結果と対応方針を情報開示することを強く推奨する。事業所周辺の生態系調査を実施し、具体的な保全活動(例:緑地管理、ビオトープ設置、地域固有種保護)を計画・実行するとともに、サプライチェーンにおける生物多様性配慮調達基準(例:原材料調達における森林破壊や生態系破壊に繋がらない認証材の優先利用)を導入し、その遵守状況をモニタリングする体制を構築すべきである。
情報開示の観点からは、統合報告書やサステナビリティ関連ウェブサイトにおいて、これらの環境パフォーマンスデータ(目標、実績、進捗)をより網羅的かつ具体的に開示し、課題への対応状況についても透明性を高めることが、ステークホルダーからの信頼獲得とESG評価の向上に繋がる。CDPやMSCI ESGレーティングといった外部評価機関への積極的な情報提供とエンゲージメントも推奨される。
新明和工業の環境パフォーマンスを相対的に評価するためには、同社が事業を展開する主要分野における競合他社の環境戦略と実績を比較検討することが不可欠である。本項では、特装車、航空機部品、環境システム、流体システム、パーキングシステム等の分野で新明和工業と競合関係にある主要企業として、極東開発工業、モリタホールディングス、三菱重工業、川崎重工業、荏原製作所、クボタ、カナデビア(旧日立造船)、そして航空機分野のグローバル企業であるボーイングを取り上げ、各社の気候変動対策、資源循環、生物多様性保全に関する公表情報を分析する。
三菱重工業は、「MISSION NET ZERO」をスローガンに掲げ、2040年までにグループ全体の事業活動(Scope 1, 2)におけるCO2排出量実質ゼロ、さらにバリューチェーン全体(Scope 3及びCCUSによる削減貢献を含む)でのカーボンニュートラル達成という極めて野心的な目標を設定している 38。2030年中間目標としてScope 1, 2排出量を2014年度比50%削減、Scope 3排出量(CCUS貢献含む)を2019年度比50%削減としており、2023年度のScope 1, 2排出量は2014年度比で約42%削減を達成している 38。再生可能エネルギー導入やCCUS技術開発にも積極的であり、生物多様性に関しても「三菱重工グループ生物多様性宣言」を公表し、TNFDフレームワークを参照したリスク評価や保全活動(NPOとの連携によるウミガメ調査支援、自治体との森林保全協定等)を実施している 38。これに対し、新明和工業のScope 1, 2削減目標は2030年度までに2017年度比38%であり 8、目標の野心度や基準年・目標年に違いはあるものの、三菱重工業の取り組みは広範かつ具体的である。
川崎重工業は、「Kawasaki地球環境ビジョン2050」の中で「CO2 FREE」「Waste FREE」「Harm FREE」を掲げ、2050年までのバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指している 39。特にScope 1, 2排出量については、国内拠点で2030年までにカーボンニュートラル達成という早期目標を掲げ、水素発電の導入を軸に進めている 41。CDP気候変動において2年連続で最高評価の「Aリスト企業」に選定されるなど 42、気候変動対策で高い評価を得ている。生物多様性に関してもTNFDのLEAPアプローチを用いたマクロ分析を実施し、結果と対策を開示予定である 41。
クボタは、2050年カーボンニュートラルを目指し、2030年までにグループのCO2排出量(Scope 1, 2)を2014年度比50%削減、エコプロダクツ認定製品売上高比率80%以上という長期目標を掲げている 45。2025年までの中期目標では、再生可能エネルギー利用率20%以上、グローバル生産拠点のCO2排出原単位45%改善(2014年度比)などを設定している 45。生物多様性保全についても、事業所内の緑化やビオトープ設置、地域社会貢献活動としての自然環境保護を推進する目標を掲げている 45。CDP評価では、2023年に気候変動と水セキュリティの両分野で「Aリスト」に選定されている 47。
荏原製作所は、E-Vision 2030の中で持続可能な社会への貢献を掲げ、気候変動対策として2030年までにScope 1, 2排出量を2018年度比32%削減、Scope 3排出量(削減貢献量含む)で1億トンのCO2削減貢献を目指すとしている 48。CDP気候変動スコアB以上を維持することを目標とし、2025年2月には気候変動および水セキュリティ分野で「A-」評価を獲得している 48。MSCI ESGレーティングではAAA評価(2023年12月時点)を得ている 49。
カナデビア(旧日立造船)は、「サステナブルビジョン:環境影響ゼロ」を掲げ、事業活動、サプライチェーン、製品・サービス使用時の環境影響を、それぞれの国・地域の環境回復力の範囲内に収めることを目指している 50。2023年12月にTNFDへの賛同を表明し、早期導入企業として登録しており 51、WtE(Waste to Energy)事業やバイオマス発電事業を中心とした自然関連リスク・機会の分析を進めている 51。特にWtE事業におけるGHG排出や水使用、廃棄物(焼却残渣)に関する影響と依存性を評価し、WtX(Waste to X:廃棄物の資源化)事業への展開を通じて資源循環と環境負荷低減を目指す戦略を示している 51。
極東開発工業は、2050年カーボンニュートラルを目指し、2030年度にScope 1, 2 CO2排出量を売上高原単位で2013年度比38%削減、2024年度には同2020年度比10%削減という目標を設定している 53。2023年度実績では、売上高原単位で2020年度比10%削減を達成した 53。廃棄物リサイクル率については、2030年度に99.0%以上(埋立廃棄物ゼロ)を目指し、2023年度実績は97.8%であった 53。生物多様性への配慮として、有害化学物質の使用禁止やプラスチック使用抑制を2030年度目標に掲げ、SOC(懸念物質)フリー管理体制の強化やプラスチック使用量削減に取り組んでいる 53。CDP評価では2023年に気候変動で「Bリスト」、水セキュリティで「Cリスト」の評価を得ている 53。
モリタホールディングスは、TCFD提言に基づき気候関連リスク・機会を分析し、GHG排出量削減目標としてScope 1+2排出量を2030年度に2022年度比42%削減を掲げている 54。ZEV化対応製品の開発(EVポンプ車試作など)やフッ素フリー消火薬剤の開発、製品リサイクル率向上(環境車リサイクル率95%目標など)に取り組んでいる 57。CDP気候変動2024では「スコアB」を獲得している 58。
ボーイング社は、2050年までの民間航空業界のネットゼロカーボン排出目標を支持し、自社では2025年目標としてGHG排出量25%削減(2017年比、2023年実績37%削減)、エネルギー消費量10%削減(同12%削減)、水使用量20%削減(同19.5%削減)、固形廃棄物埋立量20%削減(同28.6%削減)などを設定している 23。SAFの利用拡大に注力し、2030年までに全商用機を100%SAF対応とする目標を持つ 23。生物多様性に関しては、シアトルのドワミッシュ水路修復プロジェクトやサンタスザーナサイトでの環境修復・生息地復元活動に言及しているが、定量的な成果開示は限定的である 23。CDP気候変動では2020年に「A-」評価を得ている 59。
これらの競合他社の動向と比較すると、新明和工業はCO2削減目標の設定やTCFDへの対応開始といった点では一定の取り組みが見られるものの、目標の野心度(特にScope 3やネットゼロ目標)、再生可能エネルギー導入の具体策、そして生物多様性保全への体系的なアプローチと情報開示においては、先進的な企業と比較して改善の余地が大きいことが示唆される。特に、三菱重工業や川崎重工業のような国内大手製造業がより長期的なカーボンニュートラル目標を掲げ、具体的な技術開発戦略を開示している点や、クボタや荏原製作所がCDPやMSCIで高い評価を得ている点は、新明和工業が目指すべき水準や、取り組みが相対的に遅れている分野を特定する上で重要な示唆を与える。生物多様性に関しては、カナデビアや三菱重工業がTNFDに言及またはレポートを発行しており、この分野での新明和工業の取り組みの遅れが際立つ可能性がある。TNFDは自然関連財務情報開示の新しい国際的枠組みであり、これに早期に対応している企業は、自然資本に関するリスクと機会の認識と管理において先進的であると評価される。新明和工業がこの分野で具体的な開示を行っていないことは、投資家や評価機関からの評価において不利に働く可能性がある。競合の先進事例は、業界標準やステークホルダーの期待値を形成するため、新明和工業がこれらの動向を注視し、自社の戦略に反映させなければ、ESG評価の相対的低下や市場での競争力低下に繋がるリスクがある。
企業の環境パフォーマンスを客観的に評価し、業界内での相対的な位置づけを把握するためには、CDP、MSCI ESGレーティング、Sustainalytics ESGリスクレーティングといった外部評価機関によるスコアのベンチマーキングが有効である。
新明和工業のCDPスコアに関する直接的な公式情報は、提供された資料からは確認できなかった 60。なお、シンワ株式会社 (Shinwa Co., Ltd.) がCDP2024の気候変動レポートで「B」スコアを獲得したとの情報があるが 64、これは新明和工業とは異なる企業である。競合他社に目を向けると、クボタは2023年のCDP評価において気候変動および水セキュリティの両分野で最高評価の「Aリスト」に選定されており 47、川崎重工業も気候変動分野で2022年、2023年と2年連続で「Aリスト」評価を獲得している 42。また、メルセデス・ベンツグループは2024年のCDP評価で気候変動および水セキュリティにおいて「A-」評価 65、荏原製作所も2025年2月に両分野で「A-」認定を受け、CDPスコアB以上を維持することを目標としている 48。IHIは2024年のCDP評価で気候変動が「B」、水セキュリティが「C」であった 66。モリタホールディングスはCDP気候変動2024で「スコアB」を獲得している 58。ボーイングは2020年にCDPから「A-」の評価を得ている 59。極東開発工業はCDPに言及しているものの 53、具体的なスコアは不明である。
MSCI ESGレーティングに関しても、新明和工業の公式なレーティング情報は提供資料からは見当たらなかった 37。一方で、競合他社のうち、川崎重工業はMSCI ESG Leaders IndexesおよびMSCI NIHONKABU ESG Select Leaders Indexの構成銘柄に選定されており 71、荏原製作所もMSCI Japan ESG Select Leaders Index等の構成銘柄であると同時に、MSCI ESGレーティングにおいてAAA評価(2023年12月時点)を獲得している 49。IHIもMSCI Nihonkabu ESG Select Leaders Indexの構成銘柄であり、2024年にはAA評価を受けている 66。
SustainalyticsによるESGリスクレーティングでは、新明和工業は総合スコア38.0と評価され、「高リスク」に分類されている。これは機械業界の企業570社中495位という相対的に低い位置づけである 37。同社のエクスポージャー(リスクへの晒され度合い)は「中程度」、マネジメント(リスク管理能力)は「平均的」と評価されている 37。
これに対し、同業他社のSustainalytics ESGリスクレーティングを見ると、クボタは19.5で「低リスク」(機械業界571社中31位)と顕著に良好な評価を得ている 73。三菱重工業は27.0で「中リスク」(機械業界570社中159位)74、荏原製作所は23.3で「中リスク」(機械業界570社中84位)75、カナデビアは29.4で「中リスク」(機械業界571社中231位)76 と、新明和工業よりも良好な評価である。川崎重工業は35.7で「高リスク」(産業コングロマリット126社中41位、Morningstar経由では35.68)77、極東開発工業は37.5で「高リスク」(機械業界570社中484位)79、モリタホールディングスは34.5で「高リスク」(機械業界591社中386位)80 と、新明和工業に近いか若干良い評価となっている。ボーイングは39.8で「高リスク」(航空宇宙・防衛97社中65位、Morningstar経由では36.05)と評価されている 81。
新明和工業のSustainalytics ESGリスクレーティングが「高リスク」であり、特に機械業界内で下位に位置しているという事実は、同社のESG全般、とりわけ環境側面における取り組みや情報開示が市場から十分に評価されていない、あるいはリスク管理が不十分であると見なされている可能性を示唆している。高いESGリスク評価は、投資家からの評価低下、資金調達コストの上昇、レピュテーションリスクの増大などに繋がる可能性がある。特に、クボタや三菱重工業、荏原製作所といった競合他社がより良好な評価を得ている状況は、その差が事業機会の損失にも繋がりかねないことを意味する。
さらに、CDPスコアやMSCI ESGレーティングに関する新明和工業自身の開示情報が、提供された資料の範囲では見当たらない点も、情報開示の積極性という観点から課題となりうる。競合他社の多くはこれらのスコアを認識し、改善努力と共に積極的に開示・活用している。ESG評価機関からの評価は、企業が自ら開示せずとも公になる場合があるが、企業自身がこれらの評価を真摯に受け止め、改善に向けた取り組みを推進し、その進捗を積極的に開示することは、ステークホルダーとの透明性の高いコミュニケーションと信頼構築に不可欠である。新明和工業がこれらの主要なESG評価フレームワークに対する自社の状況を公表していない場合、その理由や今後の対応方針が問われる可能性がある。
本報告書では、新明和工業株式会社の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、気候変動、資源循環、生物多様性の三つの柱を中心に包括的な分析を行った。
気候変動対策に関しては、同社はTCFD提言への賛同と情報開示を開始し、CO2排出量削減目標(Scope 1, 2で2030年度までに2017年度比38%削減)を設定するなど、一定の取り組みを進めている 8。特に、生産活動における省エネルギー化や環境配慮型製品の開発に注力している点は評価できる 6。しかしながら、Scope 3排出量、とりわけ「販売した製品の使用」に伴う排出量が極めて大きく、この削減に向けたより具体的な戦略と目標設定が急務である 8。また、事業拡大と排出量削減の両立という課題に対し、再生可能エネルギー導入目標の具体化や、より野心的な技術開発投資が求められる。
資源循環の推進においては、廃棄物総排出量削減目標(2030年度までに2020年度比10%削減)を2023年度時点で達成し、高いリサイクル率(99.5%)を維持している点は特筆に値する 7。3R+Refuseの徹底や、サプライヤーに対するCSR調達ガイドラインの運用も進められている 16。しかし、水資源管理に関しては具体的な削減・リサイクル目標が未設定であり、水リスク評価に基づく戦略的なアプローチの強化が望まれる。また、サプライチェーン全体での資源効率向上に向けた取り組みの深化も今後の課題である。
生物多様性の保全に関しては、本報告書の分析範囲において、新明和工業の具体的な方針、目標、リスク評価、保全活動に関する情報開示は極めて限定的であった 6。これは同社の環境戦略における最も大きな課題であり、TNFD提言などを参考に、自然関連リスク・機会の評価と情報開示に早急に着手する必要がある。製造業としての事業活動が自然資本に与える影響を考慮すると、この分野での取り組みの遅れはESG評価全体にも影響を及ぼしかねない。
競合他社の動向を見ると、より野心的なカーボンニュートラル目標の設定、再生可能エネルギー導入目標の明示、TNFDへの早期対応など、新明和工業よりも先進的な取り組みを進める企業が散見される 38。SustainalyticsによるESGリスクレーティングにおいても、新明和工業は「高リスク」と評価され、機械業界内で下位に位置している 37。
総括すると、新明和工業は環境保全基本理念のもと、気候変動対策や資源循環において一定の成果を上げつつあるものの、Scope 3排出管理の具体化、水資源戦略の策定、そして何よりも生物多様性保全戦略の構築と情報開示という点で大きな改善の余地がある。持続可能な成長を実現するためには、これらの課題に真摯に取り組み、環境戦略を一層高度化させるとともに、ステークホルダーに対する情報開示の質的向上を図ることが不可欠である。特に、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減と、自然資本への配慮を経営戦略の中核に据えることが、今後の企業価値向上と社会からの信頼獲得の鍵となるであろう。
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