カテゴリー | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
1購入した製品・サービス | 953,000 | 931,000 (▼22,000) | 509,000 (▼422,000) |
2資本財 | 225,000 | 150,000 (▼75,000) | 139,000 (▼11,000) |
3燃料・エネルギー関連活動 | 12,600 | 9,500 (▲3,100) | 9,740 (▲240) |
4輸送・配送(上流) | 51,600 | 67,500 (▲15,900) | 37,200 (▼30,300) |
5事業から発生する廃棄物 | 15,100 | 15,500 (▲400) | 13,900 (▼1,600) |
資生堂の社名は、中国の古典「易経」の「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」という一節に由来しています。新たなものを生みだし続ける大地への賛歌は、資生堂が目指す、社会に新しい価値を創造し循環させていくサステナビリティに通じる考え方です。1872年の創業以来、私たちは環境と社会、そして人への敬意をもって事業活動を展開してきました。原材料の調達から製品の開発、生産から使用、廃棄までのバリューチェーン全体で、ステークホルダーとともにものづくり・サービスを行い、人と自然が共生できる地球環境の実現に挑戦していきます。
※掲載情報は公開資料をもとに作成しており、全てのリスク・機会を網羅するものではありません。 より詳細な情報は企業の公式発表をご確認ください。
異常気象による洪水リスク(工場・サプライチェーン等への影響、年8.7億円試算)、慢性的な気温上昇(健康影響)、水不足・干ばつリスク(操業・コスト影響、年32億円試算)、海面上昇リスク、気候変動による原材料調達への影響(例:パーム油コスト増 年1.4億~2.9億円試算)などが挙げられる 。
株式会社資生堂(以下、資生堂)は、その社名が中国の古典『易経』の一節「至哉坤元 万物資生」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)に由来するように、創業以来、社会や環境、自然への敬意を事業活動の根幹に据えてきた 1。企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、ビューティーカンパニーならではのアプローチで社会課題解決を目指し、サステナビリティの実現と人々の豊かな生活への貢献を追求している 1。
資生堂のサステナビリティ戦略は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に、独自の強みである文化(Culture)を加えた「ESCG」を軸としている 3。環境側面においては、「環境フットプリントの削減」「サステナブルな製品開発」「サステナブルで責任ある調達の推進」という3つの戦略的アクションを定め、バリューチェーン全体での取り組みを強化している 4。本レポートでは、特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3分野に焦点を当て、資生堂の具体的なイニシアチブ、目標、実績、関連するリスクと機会、業界のベストプラクティスとの比較、競合他社の動向、そして資生堂が直面する課題と今後の推奨事項について、学術的な深度をもって包括的に分析する。この分析は、同社の環境スコア算定に必要な詳細情報を提供し、その環境パフォーマンスと戦略的位置づけを評価することを目的とする。
資生堂は、地球環境との共生を目指し、バリューチェーン全体で環境負荷低減に取り組むことを明確な方針として掲げている 2。その取り組みは、「環境フットプリントの削減」「サステナブルな製品開発」「サステナブルで責任ある調達の推進」の3つの戦略的アクションを通じて具体化されている 4。
気候変動は、異常気象の頻発化など、その影響が年々顕著になっており、企業にとって喫緊の課題である 2。資生堂は、パリ協定やグラスゴー気候合意といった国際的な枠組みに沿って、気候変動の緩和と適応に積極的に取り組んでいる 6。
目標とコミットメント:
資生堂は、気候変動対策に関して、科学的根拠に基づいた野心的な目標を設定している。
SBTi (Science Based Targets initiative): 1.5℃目標に整合したSBTi認定目標を設定している。具体的には、Scope 1+2排出量を2030年までに2019年比で46.2%削減、Scope 3排出量を2030年までに2019年比で55%削減(当初は経済集約度目標としていたが、後に主要カテゴリーにおける絶対量目標として言及)することを目指している 2。SBTi認定目標の設定は、パリ協定などの国際基準に沿った科学的根拠に基づく気候変動対策への真摯なコミットメントを示し、投資家やステークホルダーからの信頼性を高めるものである 7。
カーボンニュートラル: 全事業所におけるScope 1+2排出量について、2026年までにカーボンニュートラル(オフセットを含む)を達成することを目標としている 2。これはネットゼロ目標に向けた中間的な目標であり、一部オフセットに依存する側面がある。
ネットゼロ: バリューチェーン全体で2050年までにネットゼロ排出量を達成するという長期的な目標を掲げている 5。これは最も野心的な世界の気候目標に資生堂が整合していることを示し、長期的な戦略的意図を表明するものである。
RE100: 事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟している 7。RE100への加盟は、Scope 2排出量削減の主要な手段であり、クリーンエネルギーへの移行におけるリーダーシップを示すものである。
実績と進捗:
資生堂は、設定した目標達成に向けて着実な進捗を示している。
Scope 1+2 排出量削減: 2023年にはScope 1+2排出量を2019年比で60%削減し、2030年目標(46.2%削減)を大幅に前倒しで達成したと報告されている 5。これは顕著な成果である。ただし、2022年のデータ(92)に基づく絶対排出量との整合性については、さらなる検証が必要となる可能性がある。競合他社の例として、P&Gは2023年に2010年比で58%削減 15、ELCは2024年度に2018年度比で37%削減 16 を報告しており、資生堂の報告された進捗は基準年と対比して強力であるように見える。
Scope 3 排出量削減: Scope 3排出量は総排出量の大部分を占める最大の課題であり 5、特に原材料調達 17 と販売した製品の使用段階 18 が主要な排出源である。2030年までの55%削減目標に対する進捗状況は、現時点では明確ではない。2023年のサステナビリティレポートでは、進捗開示計画が2025年に延期される可能性が示唆されている 5。
再生可能エネルギー: 2023年に、全11工場および資生堂所有の物流センターにおいて100%再生可能エネルギー電力への転換を完了した。中国地域においても全拠点で100%再エネ電力化を達成した 5。資生堂グループ全体で使用する電力の85%が再生可能エネルギー由来となった 7。
CDP評価: 国際的な環境非営利団体CDPから継続的に高い評価を得ており、気候変動分野では3年連続(2022年、2023年、2024年報告)で最高評価である「Aリスト」に選定された。また、水セキュリティ分野(2024年報告で初選定)、森林分野(2023年報告で初選定)でも「Aリスト」に選定されている 1。CDPのAリスト選定は、環境情報開示の透明性と対策におけるリーダーシップを示すものであり、資生堂が世界および同業セクター内でトップレベルの企業であることを意味する 8。
主要なイニシアチブ:
資生堂は、目標達成のために多岐にわたる施策を実施している。
省エネルギー: LED照明への転換、建物の断熱性向上、高効率設備の導入、エネルギー管理システム(EMS)の導入、フォークリフトの電動化などを推進している 7。
再生可能エネルギー導入: 工場や研究拠点での太陽光パネル設置(7によると世界8工場)、オフィスでの再エネ電力への切り替え、グリーン電力証書の活用などを進めている 5。
サプライヤーエンゲージメント (Scope 3): CDPサプライチェーンプログラムへの参加を通じてサプライヤーに排出量や削減目標の報告を要請し、説明会を開催するなど、サプライヤーとの協働を強化している 7。特に原材料調達 7 と再生樹脂利用促進 7 に注力している。Scope 3削減にはサプライヤーとの連携が不可欠である 5。
サステナブルな原材料: グリーンケミストリーの原則に基づき、バイオベース原材料(例:CHITOSEグループとの提携・出資による藻類由来原料 17)や環境負荷の低い原材料への転換を進めている 6。
輸送効率化: 共同配送の実施、輸送ルートの最適化、積載効率の向上(ダブルスタックパレチゼーション)、輸送用梱包材の最適化・再利用などを推進している 7。
インターナルカーボンプライシング (ICP): 2023年に導入(2024年時点で130米ドル/t-CO₂)し、省エネ・再エネ設備への脱炭素投資判断に活用している 7。
TCFD/TNFD提言に基づく情報開示: 気候関連および自然関連の財務情報開示タスクフォース(TCFD)および自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に基づき、気候変動や自然資本に関するリスクと機会を分析し、開示している。1.5/2℃シナリオと4℃シナリオでの分析結果や主要な対策を報告書で公開し、戦略に統合している 3。
気候変動に関する分析:
資生堂の気候変動への取り組みは、Scope 1およびScope 2排出量の削減と再生可能エネルギー導入において顕著なリーダーシップを示しており、2030年目標を大幅に前倒しで達成する見込みであること、そして高いCDP評価を得ていることから明らかである 5。しかしながら、バリューチェーン全体での排出量の大部分を占めるScope 3、特に原材料調達と製品使用段階における排出量削減は、依然として大きな課題である。この分野での進捗報告はScope 1・2に比べて遅れており、サプライヤーとの複雑な連携が不可欠となる 5。資生堂の気候変動パフォーマンス全体は、このScope 3管理の成功に大きく依存しており、サプライヤーとの協働、藻類のような革新的な低炭素素材への投資、そして消費者行動への影響力が今後の鍵となる。これらの取り組みが不十分な場合、運用面での卓越性にもかかわらず、ネットゼロ目標の達成が危ぶまれる可能性がある。
一方で、ICPの導入 7 や、カーボンプライシングによる財務リスク(例:炭素税導入による年間1~8億円のコスト増リスク 9、世界的な導入シナリオでは年間8.7億~22億円以上の影響可能性 14)、洪水や干ばつといった物理的リスクの財務影響(例:洪水リスク年間約8.7億円、干ばつリスク年間約32億円 14)を定量的に評価した詳細なTCFD/TNFD報告 9 は、気候変動要因を財務計画とリスク管理に統合する取り組みが成熟しつつあることを示している。これは、単なる環境報告を超え、気候レジリエンスを中核的な経営戦略に組み込む動きであり、将来的なコスト管理やグリーンファイナンスへのアクセスにおいて競争優位性をもたらす可能性がある。
さらに、気候変動対策は、サステナブルな製品開発と密接に連携している。特に、バイオベースや低炭素な原材料の使用 7、そしてCO2排出量を削減するパッケージング革新(例:レフィル製品 22)を通じて、その相乗効果が追求されている。原材料選択がScope 3削減に直結し 17、藻類への投資 17 は化石由来原料の代替を目指す。ライフサイクルアセスメント(LCA)はレフィル容器のCO2削減効果を示しており 22、サステナブル製品開発は研究開発戦略の柱と位置づけられている 17。この連携により、資生堂は気候目標達成と同時に、サステナブル製品に対する消費者の需要に応えることが可能となり、ブランド価値向上と市場での差別化の機会を創出している 9。
資源の有限性や廃棄物問題に対応するため、資生堂はサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を重視し、製品ライフサイクル全体での資源の有効活用と廃棄物削減に取り組んでいる 6。
目標とコミットメント:
サステナブルパッケージング: 2025年までに、使用する容器包装を100%サステナブル(リサイクル可能、リユース可能、リフィル可能、生分解性、植物由来、PCR(使用済み再生)素材など)にすることを目指している 2。
プラスチック削減: 容器包装におけるプラスチック使用量の削減に取り組んでいる 9。具体的な目標として、2030年までに製品あたりのプラスチック容器包装の30%をPCRまたはバイオマスプラスチックにすることを目指している 2。競合他社も同様の目標を掲げており、例えばL'Oréalは2030年までに強度で20%削減 25、ELCは2030年までにバージン石油由来プラスチック50%削減 16、P&Gは2030年までに単位あたり50%削減 15 を目指している。
廃棄物ゼロランドフィル: 2022年までに全世界の資生堂所有工場での廃棄物ゼロランドフィル(埋立廃棄物ゼロ)を目標とし、2020年に前倒しで達成した 2。
実績と進捗:
サステナブルパッケージング: 2025年の100%目標に向け、2023年には69% 5 を達成した。これは2022年の64% 4、2021年の65%(日本設計のみ)24 から着実に進捗している。
再生・バイオマスプラスチック: 2030年の30%目標に対する具体的な達成率は不明だが、アクアレーベルでのサトウキビ由来プラスチック使用(CO2排出量31%削減)24、SHISEIDOアルティミューンの100%リサイクルガラス容器 22、アネッサやBAUMでのバイオマス素材使用 22 など、具体的な取り組み事例がある。
ゼロランドフィル: 2023年も所有工場でのゼロランドフィルを維持している 5。全事業所のリサイクル率は99%以上に達している 28。
主要なイニシアチブ:
資生堂独自の「5Rs」ポリシー: 容器包装開発において、「Respect(敬意)」「Reduce(削減)」「Reuse(再利用)」「Recycle(リサイクル)」「Replace(代替)」の5つのRを指針としている 6。
Reduce(削減): 容器包装の軽量化 22、容器サイズの最適化、中敷きなどの紙製付属品の廃止 28 を進めている。
Reuse(再利用 - レフィル): エリクシール、SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテなど、多くのブランドでレフィル(詰め替え)容器を積極的に展開している。2022年には世界30ブランドで770 SKU以上のレフィル製品を提供した 22。レフィル化により、プラスチック使用量(例:エリクシール約85%削減 24、ラ・クレーム95%削減 22)とCO2排出量 22 が大幅に削減される。中国でのレフィル推進協力 22 や、LiquiForm®技術の活用(従来型レフィル比でプラ・CO2共に約70%削減の可能性 22)も行っている。
Recycle(リサイクル): リサイクルしやすい設計(単一素材化、分解容易性)を推進している 9。店頭での使用済み容器回収プログラム(イプサの中国・台湾での実施、イオン・テラサイクルとの日本での協働)22 や、積水化学・住友化学との協業による混合プラスチック化粧品容器リサイクルスキーム「BeauRing」9、先進的リサイクル技術開発企業R Plus Japanへの出資 22 など、多角的な取り組みを進めている。
Replace(代替): PCR素材の使用を拡大 9。バイオマスプラスチック(アクアレーベルのサトウキビ由来 24、アネッサ・BAUM 22)や生分解性樹脂 24、藻類由来素材 17 の活用を推進・検討している。店頭販促物(POSM)のプラスチックから紙への切り替えも進めている 22。
事業活動における廃棄物削減: 需要予測精度の向上やリードタイム短縮による余剰在庫の最小化 7、工場での徹底した廃棄物分別と輸送箱の再利用 21、従業員への廃棄物管理研修 28 を実施している。
協働: Japan Clean Ocean Material Alliance (JCOMA) への参画 29、業界内でのPOSM削減協力 24、BeauRingプロジェクト 22、R Plus Japan出資 22、MATSURIプロジェクト(藻類)17 など、外部との連携を積極的に行っている。
資源循環に関する分析:
資生堂は、プラスチック使用量とCO2排出量の削減において、レフィル容器を中核的な戦略として強力に推進している。1926年からの長い歴史を活かし、世界的に展開を広げている点は注目に値する 22。この戦略はサーキュラーエコノミーの原則と合致し、環境意識の高い消費者に強く響く可能性がある。レフィル化による具体的な削減効果(プラスチック削減率、CO2削減)も示されており 22、その有効性を裏付けている。この戦略の成功は、一部市場における消費者の習慣の壁を乗り越え、利便性の高いレフィルシステムを確保できるかにかかっているものの、達成できれば容器包装目標への貢献とブランドイメージ向上の両面で大きな効果が期待できる。
リサイクルに関しては、資生堂は設計段階(単一素材化など)、回収体制(店頭回収、パートナーシップ)、そして技術開発(BeauRing連携、R Plus Japan出資)という多面的なアプローチを採用している 9。これは化粧品容器リサイクルの複雑性を認識した上での包括的な取り組みと言える。競合他社やパートナー企業(イオン、積水化学、住友化学、ポーラなど)との協働 22 は、業界全体でのシステム変革の必要性を示唆している。これらの野心的な取り組みの成否は、消費者の参加意欲、自治体のインフラ整備、そして混合化粧品プラスチックに対する先進的リサイクル技術の技術的・経済的な実現可能性といった外部要因に大きく左右される。
2025年までに100%サステナブルパッケージングを達成するという目標 2 は非常に野心的である。進捗は見られるものの(2022年64%→2023年69% 5)、短期間で完全達成するには、特にPCR素材やバイオベース素材の採用を加速させる必要があり、素材の入手可能性、コスト、技術的な実現可能性といった課題に直面する可能性がある。「サステナブル」の定義が広範(5Rs)であるため、多様な手段での達成が可能だが、同時に複雑性も伴う。競合他社も同様に野心的な目標を掲げており(例:L'Oréal 2025年までに100% R/R/R/C 25、ELC 2025年までに75-100% 16)、業界全体のプレッシャーと共通の課題を示している。資生堂が2025年の目標を達成するには、特に「Replace」(PCR/バイオ素材)におけるソリューションの急速なスケールアップが求められる。目標未達の場合は評判リスクを伴う可能性があるが、その努力自体は評価されるべきである。
生物多様性の損失は、化粧品産業が依存する自然資本に対する深刻なリスクである 30。資生堂は、バリューチェーン全体での環境影響評価と緩和策を通じて、生物多様性の保全に取り組んでいる 6。
目標とコミットメント:
サステナブルなパーム油: 2026年までに、使用するパーム油由来原料を100%、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証の物理的なサプライチェーンモデル(IP: Identity Preserved, Seg: Segregated, MB: Mass Balance)に基づく持続可能なパーム油に切り替えることを目標としている 2。
サステナブルな紙: 2023年までに、製品に使用する紙を100%、持続可能な紙(FSCなどの認証紙や再生紙)に切り替えることを目標としていた 2。
森林破壊ゼロ: パーム油と紙の調達において、森林破壊ゼロ(NDPE: No Deforestation, No Peat, No Exploitation 原則)を支持している 6。
全般: バリューチェーンの影響を評価し、緩和策を実施することで生物多様性を保全し、その回復と再生を支援することを目指している 6。
実績と進捗:
パーム油: 2023年には、認証された物理的サプライチェーン由来のパーム油への切り替え率(パーム油換算)が51%に達した(2022年は36%)。目標達成に向けて進捗しているが、2026年の100%目標達成には加速が必要である。なお、2023年に調達したパーム油由来原料の100%相当分のRSPOクレジットを購入している 4。
紙: 2023年に製品包装に使用する紙の100%を持続可能な紙へ切り替える目標を達成した(2023年の使用量は約5,300トン)4。
TNFD: TNFDフレームワーク(LEAPアプローチ)を活用し、自然への依存と影響に関するリスク・機会分析を実施している。パーム油と紙が土地利用に大きな影響を与えていることを特定した。分析結果は「気候・自然関連財務情報開示レポート」で公開している 10。
主要なイニシアチブ:
サステナブル調達ガイドライン: 「資生堂グループ サステナブル原料調達ガイドライン」を発行し、パーム油・紙に関するNDPE原則やマイカに関する要件を定めている 32。
サプライヤー行動規範/方針: サプライヤーに対し、環境(生物多様性保全、廃棄物削減など)と人権に関する基準遵守を求めている。サプライヤー評価や監査を実施し、評価におけるサステナビリティ基準の重みは20%である 9。
パーム油: 2010年からRSPOに加盟。全工場でRSPO認証を取得済み。サプライヤーに認証油への切り替えを働きかけ、トレーサビリティ確保を目指している。JaSPON(持続可能なパーム油ネットワーク)やCGF(消費財フォーラム)にも参画している 32。
紙: FSC認証紙や再生紙の利用を推進。製紙メーカーと革新的な紙パッケージソリューションを共同開発。紙使用量の削減(例:化粧品サンプルの台紙共通化)にも取り組んでいる 32。
マイカ: 2017年からRMI(責任あるマイカ・イニシアチブ)に加盟。児童労働・強制労働問題のないRMIメンバー企業からの調達、人権問題がないことの確認を基本方針としている。代替として合成マイカも使用している 32。
トレーサビリティ: 主要なサプライチェーンにおけるトレーサビリティ向上のため、業界アライアンス「TRACE」に参画 32。サプライヤー評価にはEcoVadisやSedexなどのツールも活用している 31。
保全プロジェクト:
SHISEIDO BLUE PROJECT: 2019年から続く、ブランドSHISEIDOによる海洋保護のグローバルイニシアチブ(ビーチクリーン、砂丘植栽など)32。
BAUMの森: 2020年からブランドBAUMが岩手県で植樹活動を実施。将来的には森の木材をパッケージに活用予定 32。
伊吹山自然再生: 地域の団体と協力し、薬草栽培地の周辺で植生回復・自然保全活動を実施 31。
ミツバチ保護: フランスの工場(ヴァル・ド・ロワール、ジアン)で養蜂箱を設置し、敷地内での農薬使用を禁止することで、花粉媒介者を支援している 32。
TNFDへの対応: LEAPアプローチを用い、自社拠点およびバリューチェーン(LCA活用)における自然への依存(例:花粉媒介者の価値を可視化)と影響を分析している 14。
生物多様性に関する分析:
資生堂は、2023年までに100%持続可能な紙を使用するという目標を達成した一方で、2026年を目標とする100%持続可能なパーム油への転換(物理的サプライチェーン)については、進捗が比較的緩やかである(2023年末時点で51%達成)。現状では、目標達成までのギャップを埋めるためにRSPOクレジットの購入に依存している側面が見られる 9。紙と比較してパーム油サプライチェーンの複雑性が、この進捗差の一因と考えられる。2026年の目標を達成するには、サプライヤーを巻き込んだ物理的認証サプライチェーンへの移行を大幅に加速させる必要がある。クレジットへの依存が続くと、より高いレベルのトレーサビリティとインパクトを求めるステークホルダーからの厳しい視線にさらされる可能性がある。
その一方で、資生堂はTNFDフレームワークを早期に採用し、LCAやLEAPアプローチを用いて事業活動における自然への依存(例:花粉媒介者 14)と影響(例:調達段階での土地利用変化 14)を体系的に分析・評価している点 14 は、多くの同業他社に先んじた動きである。この積極的なアプローチは、生物多様性の損失に関連するサプライチェーンの混乱に対するレジリエンスを高め、ステークホルダーの信頼を向上させるとともに、生態系サービスやネイチャーポジティブ製品に関連する新たな事業機会を特定する可能性を秘めている。これは、新興の規制や投資家の期待にも合致するものである。
また、SHISEIDO(BLUE PROJECT)やBAUM(BAUMの森)といった特定のブランドを通じて、視覚的に訴える保全プロジェクトを展開している点も特徴的である 32。これにより、サステナビリティへの取り組みが消費者に直接的に伝わり、ブランドイメージ向上や消費者エンゲージメント強化につながる可能性がある。ただし、これらの取り組みを企業全体の生物多様性目標達成にどのように貢献させるか、そのインパクトをTNFDに基づく戦略の中に明確に位置づけ、スケールアップしていくことが今後の課題となるだろう。
資生堂は、TCFDおよびTNFDのフレームワークを活用し、気候変動や自然資本に関連するリスクと機会を特定・分析し、経営戦略への統合を進めている 3。
分析の結果、移行リスク、物理的リスク、自然関連リスクなど、多岐にわたるリスクが特定されている。
移行リスク:
政策・法規制: 炭素税導入によるコスト増(影響額は導入範囲により変動、年間1~8億円 9、世界的導入シナリオでは2030年に年間8.7億~22億円以上 14 の可能性)、環境規制(汚染、排出、容器包装、成分)の強化 6。EUの包装・包装廃棄物規則(PPWR)や持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)なども念頭に置く必要がある 17。
市場: サステナブル製品への消費者嗜好の変化(対応遅れはリスク、先行は機会)9、非サステナブルな原材料や事業活動に伴うコスト上昇。
技術: 新エネルギー設備、サステナブルパッケージング技術、低炭素原料開発への投資の必要性 14。
評判: 目標未達や環境影響(例:森林破壊との関連)への対応不備によるブランドイメージの毀損。
物理的リスク:
急性: 異常気象(例:洪水による工場・サプライチェーン・物流・販売活動への影響)。洪水による潜在的影響額は、高排出シナリオ下で2030年に年間約8.7億円と試算され、特に工場が集中する日本は脆弱性が高い 2。
慢性: 気温上昇(従業員の健康への影響、夏季製品の売上増の可能性 14)、水不足・干ばつ(2030年の潜在的影響額は約32億円、中国・欧州で高リスク、操業・コストへの影響 6)、海面上昇(不動産価値、保険コストへの影響 14)、農業・原材料調達への影響(例:パーム油コスト増 年間1.4億~2.9億円 14)、生態系破壊 14。
自然関連リスク (TNFD):
依存: 生態系サービスへの依存(例:年間約26億円相当と評価される花粉媒介者 14)、農業生産物に必要な安定した気候 14。
影響: 農業(油糧種子、穀物)に伴う土地利用変化が生物多様性への主要な影響ホットスポット 14、森林破壊リスク(パーム油 14)、水資源枯渇。
地政学的リスク: 気候関連リスクとして、エネルギー需給バランスの不安定化や地政学的不安定性が特定されており、生産・販売停止、調達コスト増、世界経済停滞による売上減などの重大な財務影響をもたらす可能性がある 14。
リスクと同時に、環境要因は新たな事業機会ももたらす。
サステナブル製品イノベーション: 環境配慮型製品への高まる消費者需要への対応 9。気候変動に対応した製品開発(例:紫外線防御機能の強化 14、クール感のある夏季製品 14)。グリーンケミストリーやサステナブルな研究開発の活用 2。藻類由来素材などの新素材開発 17。
ブランド価値・評判向上: 高いESGパフォーマンス(例:CDPやMSCIでの高評価 5)は、消費者、人材、投資家を惹きつける。レフィルや保全プロジェクトなどでのリーダーシップはブランドを差別化する 9。
コスト削減: 省エネルギー施策による操業コスト削減 7。廃棄物削減と資源最適化(例:軽量化、再利用)による材料コスト削減 24。水リサイクルによる水使用コスト削減 21。
市場アクセス・レジリエンス: TCFD/TNFDに基づく積極的なリスク管理は、気候変動影響や規制変更に対するレジリエンスを高める。高いサステナビリティ評価は、「グリーン」な資金調達や、サプライヤー・小売業者との良好な関係構築に繋がる可能性がある 14。
リスクと機会に関する分析:
資生堂が気候関連リスク(炭素税、洪水、干ばつ、原材料コスト)の潜在的な財務影響を定量化している点は、特筆に値する 9。これにより、環境問題が単なる影響報告の対象から、中核的なビジネスリスク管理の対象へと昇華されている。具体的な金額を伴うリスク評価は、社内での緩和・適応策への投資判断をより説得力のあるものにし、財務的関連性を重視する投資家への情報開示の質を高める。この定量的なアプローチは、サステナビリティへの取り組みに対する経営層のコミットメントを強化し、リスク軽減のための資源配分を最適化する上で重要な役割を果たすだろう。
特定されたリスク群は相互に強く関連している。気候変動は洪水や干ばつといった物理的リスクを増大させ 14、それらは操業やサプライチェーンに影響を与え 6、コスト増(移行リスク)につながる可能性がある。生物多様性の損失(例:森林破壊、花粉媒介者の減少 14)は原材料調達に影響し 14、気候変動とも連動している。これらのリスクの連鎖を考慮すると、資生堂には気候、水、生物多様性を個別の課題としてではなく、統合的に捉え、バリューチェーン全体で一貫した戦略を展開することが求められる。
さらに、多くの要因がリスクと機会の両側面を持つ点も重要である。例えば、消費者の環境意識の高まりは、資生堂が対応で遅れればリスクとなるが、サステナブル製品で先行すれば機会となる 9。気候変動自体も、熱ストレスのようなリスクを生む一方で、UVケア製品や夏季製品への需要増という機会をもたらす 14。規制強化はリスクであると同時に、イノベーションを促進し、公正な競争条件を生み出す可能性もある 17。したがって、資生堂の戦略的対応は、リスク軽減だけでなく、関連する機会を積極的に捉え、的を絞ったイノベーション、マーケティング、製品開発を通じて価値創造につなげる視点が不可欠である。
化粧品業界は、天然資源への依存度、容器包装の使用量、水消費量、化学物質の使用といった特性から、サステナビリティに関して社会からの期待と監視が高まっている 39。近年、業界のリーディングカンパニーは、環境課題への対応を単なるコンプライアンスやCSR活動としてではなく、事業戦略の中核に統合する動きを加速させている。
科学的根拠に基づく目標設定とネットゼロ: L'Oréal、Estée Lauder Companies (ELC)、Unilever、Procter & Gamble (P&G)、花王、Beiersdorfといった主要企業は、SBTi認定を受けた野心的な削減目標(多くは1.5℃整合)を設定し、ネットゼロ達成をコミットしている 15。
再生可能エネルギーへの転換: RE100への加盟などを通じ、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換する取り組みが業界標準となりつつある 16。
Scope 3 排出量への注力: バリューチェーン排出量、特に影響の大きい原材料・成分調達や消費者による製品使用段階での排出量削減が重要課題となっている。サプライヤーとの協働強化、グリーンケミストリーやバイオテクノロジーを活用した低炭素原料の開発、製品設計(例:低温洗浄可能な洗剤)などが進められている 40。
カーボンオフセットとインセット: 回避困難な排出量に対しては、質の高いカーボンクレジットによるオフセットや、自社のバリューチェーン内での自然吸収源への投資(インセッティング)が行われている 51。
容器包装イノベーション (5Rs):
Reduce(削減): 軽量化、濃縮化、二次包装の廃止などが進められている 39。
Reuse(再利用): レフィル(詰め替え)やリユース(再使用)モデルの導入・拡大(店頭回収、Loopのようなプラットフォーム活用)が活発化している 24。
Recycle(リサイクル): リサイクル容易な設計(単一素材化)、PCR(使用済み再生)材の大幅な利用率向上、ケミカルリサイクルなどの先進的リサイクル技術への投資が進んでいる 27。
Replace(代替): プラスチックからガラス、アルミニウム、紙・繊維、認証木材などへの代替、バイオベースプラスチックの開発・採用が進んでいる 39。
循環型ビジネスモデル: 容器包装だけでなく、処方や成分においても循環性を考慮した開発が進められている 40。
廃棄物削減: 工場などでの廃棄物ゼロランドフィル達成や、製品廃棄物の削減を目指す取り組みが強化されている 27。
持続可能で追跡可能な調達: パーム油、紙・パルプ、大豆、マイカ、シアバターなど、リスクの高い原材料について、100%認証取得または持続可能な調達を目指し、サプライチェーンの透明性向上(マッピング、ブロックチェーン活用など)に取り組んでいる 16。
森林破壊ゼロコミットメント: 特にパーム油や紙・パルプにおいて、NDPE(森林破壊・泥炭地開発・搾取ゼロ)方針の採用が広がっている 42。
環境再生型農業: 農業サプライチェーンにおいて、土壌の健康回復、生物多様性向上、炭素隔離に貢献する農法への投資・支援が行われている 46。
生態系回復・保全: 直接的なサプライチェーンを超えて、劣化した生態系の回復や保護価値の高い地域の保全プロジェクトへの資金提供が行われている 49。
ウォータースチュワードシップ: 特に水ストレスの高い地域での工場における水使用量削減やリサイクル、バリューチェーン全体(原料栽培、消費者使用段階)での水フットプリントへの対応が進められている 41。
自然関連リスク評価 (TNFD): 自然への依存度や影響度を評価するため、TNFDのようなフレームワークの採用が増加している 39。
生態毒性: 製品に含まれる成分が水生生態系に与える影響(生態毒性)を評価し、最小化する動きが強まっている 39。
ベストプラクティスに関する分析:
化粧品業界の先進企業は、気候変動、資源循環、生物多様性の課題が相互に依存していることを認識し、これらを統合的に捉えた戦略を展開している 39。例えば、持続可能な原材料調達は、Scope 3排出量削減や土地利用変化による生物多様性への影響緩和に直結する。したがって、ある分野での取り組みが他の分野に悪影響を与えないよう、シナジーを最大化しトレードオフを回避する全体最適化の視点が重要となる。
また、ベストプラクティスは、自社工場の効率化(Scope 1・2)といった領域をはるかに超え、バリューチェーン全体への深い関与を特徴としている 40。Scope 3排出量が企業全体の排出量の大部分を占めることが多いため 52、サプライヤーとの協働、持続可能な調達、消費者行動への働きかけ(レフィル推奨、リサイクル情報提供など)、そして製品の廃棄段階までを見据えた取り組みが不可欠となっている。
さらに、野心的な目標達成のためには、イノベーションが鍵となる。素材(バイオベース、リサイクル素材)、プロセス(グリーンケミストリー、バイオテクノロジー、先進的リサイクル技術)、そしてビジネスモデル(レフィル、循環型モデル)における技術革新への投資が、業界リーダーの共通戦略となっている 27。
資生堂の環境パフォーマンスと戦略を評価する上で、主要な競合他社の動向を把握することは不可欠である。
グローバルリーダー: 世界の化粧品・パーソナルケア市場における主要な競合企業としては、L'Oréal、Unilever、Estée Lauder Companies (ELC)、Procter & Gamble (P&G)、Beiersdorfが挙げられる 58。資生堂も世界トップクラスの企業であるが、売上規模ではこれらの企業に次ぐ位置にあることが多い 60。
日本の競合: 日本国内およびアジア市場においては、花王株式会社が最大の競合相手となる 58。マンダム、コーセー、ポーラ・オルビスなども存在するが、総合的な規模や事業展開において花王が最も比較可能な主要企業である 65。
市場環境: 北アジア(日本、中国を含む)は世界最大のビューティー市場(約35%)であり、資生堂の本拠地および主要成長市場である中国における競争は特に激しい 60。また、スキンケアは世界的に最大のカテゴリーであり、資生堂および競合他社にとって戦略的な重点分野である 61。
主要競合他社は、いずれも包括的な環境戦略を推進している。
L'Oréal: 気候変動(SBTi/ネットゼロ目標、高RE率)、資源循環(先進的な容器包装循環性、Carbiosとの連携)、生物多様性(広範な持続可能調達、自然再生基金)の全分野で強力なパフォーマンスを示す。グリーンサイエンスへの注力も特徴。CDPトリプルAを9年連続達成するなど、ESG評価も極めて高い 19。
Estée Lauder Companies (ELC): SBTi目標を設定し、Scope 1・2カーボンニュートラルと100%再エネ電力を達成。容器包装の進捗(FY24で71%がR/R/R/R、PCR20%)や、持続可能なパーム油目標(95%達成)も着実。責任ある調達(マイカ、シアなど)と成分透明性に強みを持つ。CDPやESG評価も良好 16。
Unilever: 気候変動対策計画(CTAP)に基づきSBTi目標を推進。環境再生型農業(100万ha目標)やプラスチック削減(2026年までにバージン30%削減)に野心的な目標を設定。主要産品で高い森林破壊ゼロ調達率(2024年97%)を達成。ESG評価も高い 46。
Procter & Gamble (P&G): 2040年ネットゼロ目標。Scope 1・2削減は進捗(2010年比-58%)。消費者の製品使用段階での排出削減(例:冷水洗浄推奨)に注力。容器包装目標(100%リサイクル/リユース可能、バージン50%削減)達成に向け、PureCycleなどのリサイクル技術やAEPWなどの回収インフラへの投資が活発。責任ある調達(パーム、パルプ)も推進。Scope 3進捗については外部評価にばらつきあり 15。
花王: カーボンゼロ/ネガティブ目標、SBTi目標を設定し、RE100にも加盟。Scope 1・2削減は進捗(2017年比-35%)。容器包装イノベーション(「ラクラクecoパック」レフィル)に強みを持ち、日本国内での再生PET利用率が高い(2023年81%)。持続可能なパーム油調達プログラム(トレーサビリティ、小規模農家支援)も充実。早期にTNFDにも対応。ESG評価は業界トップクラス 47。
Beiersdorf: 2045年ネットゼロ目標(SBTi認定)。Scope 1・2・3排出量削減で良好な進捗(2024年実績 vs 2018年)。100%再エネ電力達成。容器包装目標(リサイクル材利用、リサイクル可能性)や持続可能な調達(パーム、紙、シア)にも注力。CDPトリプルAを達成(2022年、2023年)48。
競合分析に関する分析:
資生堂が事業を展開する化粧品業界では、主要な競合他社(特にL'Oréal、ELC、Unilever、Beiersdorf、花王)が成熟し、包括的かつ野心的なサステナビリティプログラムを推進しており、情報開示も積極的で、高い外部評価を得ている 19。この状況下では、単にプログラムを持つだけでは不十分であり、リーダーシップを維持・向上させるためには、全分野にわたる継続的な改善とイノベーションが不可欠である。資生堂は、特にScope 3排出量管理や先進的な循環型モデルといった難易度の高い分野において、これらのリーダー企業を常にベンチマークし、迅速に革新を進める必要がある。
競合他社は全体的に高いレベルにあるものの、それぞれに重点分野や報告されている進捗状況に違いが見られる。L'Oréalはサステナビリティを事業全体(グリーンサイエンス、基金設立など)に統合する点で特に先進的であるように見える 49。P&Gは消費者の製品使用段階への影響とリサイクル技術への投資を強調している 15。Unileverは環境再生型農業の具体的な目標設定で先行している 46。花王は国内市場における容器包装の循環性で強みを発揮している 50。ELCは責任ある調達と成分透明性を前面に出している 16。資生堂は、これらの競合他社の強み(例:P&Gの消費者エンゲージメント、Unileverの環境再生型農業アプローチ)から学びつつ、自社独自のイニシアチブ(例:藻類への投資、ブランド主導の保全活動)を通じて差別化を図ることが可能である。
加えて、詳細なサステナビリティレポート(統合報告書形式を含む)の発行、CDPへの回答、ESG評価機関とのエンゲージメントといった透明性の確保自体が、競争要因となりつつある 19。資生堂が継続して詳細かつ透明性の高い情報開示(サステナビリティレポート、TCFD/TNFD報告など)を行うことは、ステークホルダーの期待に応え、ESG側面で効果的に競争するために不可欠である。
ESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関によるスコアリングやランキングは、企業のサステナビリティパフォーマンスを外部の視点から評価し、競合他社と比較するための重要な指標となる。
資生堂は、主要なESG評価機関から高い評価を得ている。
CDP: 気候変動分野で3年連続「Aリスト」(2022-2024年報告)、水セキュリティ分野で「Aリスト」(2024年報告)、森林分野で「Aリスト」(2023年報告)に選定されている。2023年(気候変動・森林)、2024年(気候変動・水セキュリティ)ともにダブルA評価を獲得しており、環境情報開示と対策におけるリーダーシップが認められている 1。
MSCI: 2023年に過去最高の「AA」評価を獲得した。これはMSCIの評価スケール(AAA~CCC)において「リーダー」カテゴリーに属する最高レベルの評価である 81。特に「製品のカーボンフットプリント」「コーポレートガバナンス」「企業行動」の項目で高く評価されている。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用するESG指数「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄にも選定されている 37。
Sustainalytics: 2025年1月/3月更新時点で、ESGリスクレーティングは「22.2」(ミディアムリスク)と評価されている。これは、リスクが低いほどスコアが低い評価体系において、家庭用品業界グループ(Household Products)104社中16位にランクされる。リスクへのエクスポージャー(晒され度)は「Medium」、リスク管理能力は「Strong」と評価されている 83。ミディアムリスクのカテゴリーは、概ねMSCIのAA/A評価に相当すると考えられる。
S&P Global: 2024年10月更新時点で、ESGスコアは85/100と非常に高い評価を得ている。データ利用可能性も「Very High」であり、企業のサステナビリティ評価(CSA)への参加、公開情報、モデリングに基づき、パーソナルケア製品業界の同業他社と比較して優れたパフォーマンスを示していると評価されている 84。
その他の評価: ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)のWorld指数およびAsia Pacific指数に4年連続(2024年12月時点)で選定されている 1。また、経済産業省と東京証券取引所が選定する「なでしこ銘柄」にも5年連続(2025年3月時点)で選定されている 1。
資生堂の競合他社も、多くの企業が高いESG評価を獲得している。
CDP: L'Oréalは9年連続で気候変動・森林・水セキュリティの全てで「Aリスト」(トリプルA)を達成 19。Beiersdorf 68、花王 68、Firmenich 78、LVMH 78 もトリプルAを獲得した実績がある。Unilever(気候・森林A)85、ELC(水A)85 など、多くの企業がいずれかの分野でAリストに選定されており、業界全体のレベルの高さを示している 68。
MSCI: 資生堂の「AA」37 に対し、中国のYatsen 87 やProya 81 が「A」、包装材メーカーのAmcor 80 が「AA」と評価されている。L'Oréal、ELC、Unilever、P&G、花王、Beiersdorfといった主要グローバル競合の具体的な最新評価は提供された情報には含まれていないが、CDP評価などから推測すると、多くが「リーダー(AAA, AA)」または「アベレージ(A, BBB, BB)」の上位に位置すると考えられる 81。
Sustainalytics: 花王(17.1、ローリスク、1位/104社)89 とL'Oréal(19.6、ローリスク、7位)90 が特に低いリスクスコアを示している。ELC(20.9、ミディアムリスク、10位)91、Unilever(21.2、ミディアムリスク、11位)90 が続き、資生堂(22.2、ミディアムリスク、16位)83 はこれらに次ぐ位置にある。P&G(25.8、ミディアムリスク、35位)90 やBeiersdorf(26.9、ミディアムリスク、44位)91 は資生堂よりリスクスコアが高い。香料メーカーのFirmenichは7.5(ネグリジブルリスク)と極めて高い評価を得ている 79。
全体的な位置づけ: 資生堂は、主要なESG評価において一貫して高いパフォーマンスを示しており、概ね「リーダー」または「アベレージ」上位のカテゴリーに位置づけられる。特にCDPでのダブルA評価やMSCIでのAA評価は、トップクラスの実績である。S&P Globalのスコア85も非常に高い。Sustainalyticsではミディアムリスクと評価されているが、これは花王やL'Oréalといった絶対的なトップパフォーマーに次ぐ位置であり、主要競合他社群の中では良好なランクである。
競合他社との比較:
CDP: 資生堂のパフォーマンスは、L'Oréal、Beiersdorf、花王のような継続的なトリプルA達成企業に迫るレベルにある。トリプルAを安定して獲得できれば、トップティアとしての地位を確立できる。
MSCI: AA評価は業界リーダーの一角であることを示しており、AAA評価の競合がいればそれに次ぐ、あるいは同等のレベルにある可能性が高い。
Sustainalytics: 資生堂(22.2)は花王(17.1)やL'Oréal(19.6)よりリスクスコアが高いが、P&G(25.8)やBeiersdorf(26.9)よりは低い。主要競合の多くが属するミディアムリスク帯の中で、上位グループに位置している。
S&P Global: 85/100というスコアは、同社の方法論においてパーソナルケア製品業界内でリーダーシップを発揮していることを示唆する。
ベンチマーキングに関する分析:
複数の評価機関による検証結果から、資生堂は強固で広く認知されたESGプロファイルを有していることが確認できる 1。これは投資誘致、人材獲得、ブランド信頼構築において重要な資産である。しかし、一部の指標(例:Sustainalyticsのリスクスコア、継続的なCDPトリプルA達成)においては、業界の絶対的なトップパフォーマー(花王、L'Oréalなど)にわずかに後れを取っている側面もある 19。これは、資生堂がグローバルなトップティアリーダーとしての地位を確固たるものにするための改善機会が存在することを示唆している。評価が相対的に低い可能性のある分野(例:Scope 3管理の成熟度、先進的な循環性指標、本レポート範囲外の社会側面など)に注力することで、トップパフォーマーとの差を縮めることが期待できる。
また、評価機関によってランキングが異なる場合があること(例:Sustainalyticsでは資生堂がBeiersdorfより上位だが、CDPでは両社ともトリプルAを獲得した年がある)は、各評価機関の方法論や重点分野の違いを理解することの重要性を示している 68。MSCIは資生堂の特定の強み(製品カーボンフットプリント、ガバナンス、企業行動)を評価しており 37、Sustainalyticsはエクスポージャーとマネジメントのスコアを提供している 83。したがって、資生堂は各評価機関との対話を通じて評価内容を深く理解し、それぞれの機関が重視するマテリアルな課題に対応した情報開示や取り組みを進めることが、評価向上につながる可能性がある。ただし、評価対応に終始するのではなく、真のインパクト創出に焦点を当て続けることが肝要である。
これまでの分析を踏まえ、資生堂が環境分野で直面している主要な課題と、さらなる改善に向けた戦略的な提言を以下に示す。
Scope 3 排出量管理の深化: Scope 1・2で顕著な成果を上げている一方、バリューチェーン排出量の大部分を占めるScope 3(特に原材料調達、製品使用、廃棄)の削減は依然として最大の気候変動課題である。効果的な削減には、サプライヤーとのより深い連携、そして場合によっては消費者行動への影響力が求められる。進捗報告の透明性向上も望まれる 5。
2025年容器包装目標達成への加速: 100%サステナブルパッケージングという2025年の目標達成には、特にPCR素材やバイオベース素材の多様な製品ラインへの適用拡大を加速させる必要がある。目標達成までの期間が短いことを考えると、これは大きな挑戦である。
持続可能なパーム油への完全移行: 2026年までに100%物理的に認証された持続可能なパーム油へ移行するという目標に対し、RSPOクレジットへの依存から脱却し、物理的な認証サプライチェーンへの移行を加速する必要がある。これはトレーサビリティとインパクトに対するステークホルダーの期待に応えるためにも重要である。
サステナビリティとプレミアム感の両立: レフィル容器、PCR素材、代替素材などのサステナブルなソリューションを採用しつつ、資生堂ブランドに期待される高級感や美的品質を維持・向上させることが求められる 5。
グローバルでの一貫性確保: 多様な規制環境や消費者意識が存在する中で、環境イニシアチブとその成果を、全ての地域・ブランドで一貫して推進・管理することの複雑性が課題となる 5。
業界リーダーとの競争: L'Oréalや花王といったESG分野のトップランナーに伍していくためには、継続的なイノベーションと改善努力が不可欠である。
Scope 3 戦略の強化と透明性向上: Scope 3削減に向けたより詳細なロードマップ(特に影響の大きい原材料調達と製品使用段階に焦点)を策定・公開する。サプライヤーエンゲージメントプログラムを強化し、明確な期待値、インセンティブ、脱炭素化への共同投資などを検討する。製品使用時の排出量削減に繋がるイノベーション(例:低温使用可能な処方)を追求する。Scope 3の進捗に関する透明性を高める。
サステナブルパッケージング革新の加速: 高品質なPCR樹脂や、性能・美観要件を満たす革新的なバイオベース/代替素材の利用拡大に向けた研究開発とパートナーシップへの投資を優先する。成功しているレフィルモデルをより多くのブランド・地域へ迅速に展開し、消費者教育と利便性の高いインフラ整備に投資する。必要であれば2025年の目標達成時期を見直し、課題と修正計画について透明性をもってコミュニケーションする。
物理認証パーム油への移行推進: パーム油サプライヤーとの連携を強化し、RSPO IP、Segregated、Mass Balance認証の物理的サプライチェーンへの移行を加速させる。2026年目標達成に向けた物理認証率の中間目標を明確に設定する。トレーサビリティシステムの構築と、小規模農家認証プログラムへの直接支援などを継続・強化する。
生物多様性の事業統合深化: TNFD分析結果を、調達、研究開発、工場管理などの事業プロセスに完全に統合する。生物多様性に関する定量的かつ科学的根拠に基づく目標(例:影響に関連付けた生態系回復面積、花粉媒介者保護指標など)を設定する。ブランド主導の保全活動(BLUE PROJECT, BAUM)をスケールアップさせ、そのインパクトを企業全体の目標と明確に関連付ける。
デジタルの活用による透明性・エンゲージメント向上: デジタルプラットフォームを活用し、製品ライフサイクル、成分調達(成分グロッサリー 16 を基盤に)、リサイクル方法に関する情報の透明性を高める。デジタルチャネルを通じて、サステナビリティに関する消費者との対話をより活発に行う。
ESGガバナンスとインセンティブの強化: ESGパフォーマンス、特にScope 3や容器包装のような挑戦的な目標の達成度を、役員および関連従業員の報酬体系と強く連動させ、アカウンタビリティを確保し進捗を加速させる(役員向けには言及あり 5、対象拡大・深化を検討)。
本分析の結果、資生堂は気候変動、資源循環、生物多様性の各分野において、明確な目標設定と積極的なイニシアチブを通じて、環境パフォーマンス向上に真摯に取り組んでいることが確認された。特に、Scope 1・2排出量の大幅な削減、再生可能エネルギー導入の進展、CDPやMSCIなど外部評価機関からの高い評価、そしてTCFD/TNFDフレームワークを活用したリスク・機会の早期分析は、同社の強みと言える。
一方で、バリューチェーン全体での排出量の大部分を占めるScope 3排出量の管理、2025年という短期目標に対するサステナブルパッケージングへの完全移行、そして持続可能なパーム油調達における物理認証への移行加速は、依然として重要な課題である。これらの課題克服には、サプライヤーとのより一層の連携強化、技術革新への継続的な投資、そして場合によっては消費者行動への働きかけが不可欠となる。
化粧品業界におけるサステナビリティ競争は激化しており、L'Oréalや花王などの競合他社も野心的な目標を掲げ、先進的な取り組みを進めている。資生堂が業界におけるリーダーシップを維持・強化するためには、自社の強みを活かしつつ(例:藻類研究、ブランド主導の保全活動)、課題分野における取り組みを加速させ、バリューチェーン全体での変革を推進し続ける必要がある。透明性の高い情報開示とステークホルダーとの建設的な対話を通じて、その進捗を継続的に示していくことが、信頼の維持と企業価値向上に繋がるだろう。
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Beauty and Personal Care Products Market Report, 2030 - Grand View Research, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/beauty-personal-care-products-market
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Kao Sustainability Report 2023, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/global/en/sustainability/pdf/sustainability2023-e-03.pdf
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Social Impact & Sustainability Report - Estee Lauder Companies, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.elcompanies.com/en/our-impact/social-impact-and-sustainability-report
Unilever sees early signs of progress on sustainability goals, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.unileverusa.com/news/2025/unilever-sees-early-signs-of-progress-on-sustainability-goals/
Leading the next era of corporate sustainability - Unilever, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.unilever.com/sustainability/
Citizenship Report 2023 — Sustainability | P&G, 4月 16, 2025にアクセス、 https://us.pg.com/citizenship-report-2023/environmental-sustainability/
Procter & Gamble - Transition Pathway Initiative, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.transitionpathwayinitiative.org/companies/procter-gamble
Non-financial Statement - Beiersdorf, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.beiersdorf.com/~/media/Beiersdorf/sustainability/reporting/downloads/non-financial-statement-beiersdorf-ar23.pdf
FORMULA FOR SUSTAINABLE PROGRESS - Beiersdorf, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.beiersdorf.com/~/media/Beiersdorf/sustainability/reporting/sustainability-review/2023/Beiersdorf-Sustainability-Highlight-Report-2022-en.pdf
L'Oreal, Firmenich, Kao, LVMH and Other Beauty Players Score Triple-A CDP Scores for 2022 | Global Cosmetic Industry, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.gcimagazine.com/brands-products/news/news/22604750/loreal-firmenich-kao-lvmh-and-other-beauty-players-score-triplea-cdp-scores-for-2022
Firmenich receives industry-leading Sustainalytics ESG score of 7.5, ranking 37th of approximately 15,000 companies rated worldwide - DSM, 4月 16, 2025にアクセス、 https://our-company.dsm-firmenich.com/en/our-company/news/press-releases/legacy-archive/firmenich/firmenich-receives-industry-leading-sustainalytics-esg-score-75-ranking-37th.html
Amcor receives 'AA' MSCI ESG rating, recognizing its commitment to sustainability, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.prnewswire.com/news-releases/amcor-receives-aa-msci-esg-rating-recognizing-its-commitment-to-sustainability-302427611.html
导航 - ESG Ratings - MSCI, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.msci.com/zh/esg-ratings/issuer/proya-cosmetics-co-ltd/IID000000002820832
ESG Ratings - MSCI, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.msci.com/zh/esg-ratings
Shiseido Co., Ltd. ESG Risk Rating - Sustainalytics, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.sustainalytics.com/esg-rating/shiseido-co-ltd/1008287720
Shiseido Company, Limited ESG Score - S&P Global, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.spglobal.com/esg/scores/results?cid=4219577
CDP unveils beauty brands on environmental A List for 2022, 4月 16, 2025にアクセス、 https://theindustry.beauty/cdp-unveils-beauty-brands-on-environmental-a-list-for-2022/
Climate Leadership in the Beauty and Personal Care Industry, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.personalcarecouncil.org/perspectives/climate-leadership-in-the-beauty-and-personal-care-industry/
Yatsen Publishes 2023 Environmental, Social and Governance (ESG) Report, Retains MSCI ESG Rating of A - Sep 6, 2024, 4月 16, 2025にアクセス、 https://ir.yatsenglobal.com/2024-09-06-Yatsen-Publishes-2023-Environmental,-Social-and-Governance-ESG-Report,-Retains-MSCI-ESG-Rating-of-A
Sustainable Investing: ESG Ratings - MSCI, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.msci.com/sustainable-investing/esg-ratings
Kao Corp. - Company ESG Risk Rating - Sustainalytics, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.sustainalytics.com/esg-rating/kao-corp/1008752045
L'Oréal SA - Company ESG Risk Rating - Sustainalytics, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.sustainalytics.com/esg-rating/l-or-al-sa/1008752495
The Estée Lauder Companies, Inc. ESG Risk Rating - Sustainalytics, 4月 16, 2025にアクセス、 https://www.sustainalytics.com/esg-rating/the-est-e-lauder-companies-inc/1008085467
corp.shiseido.com, 4月 16, 2025にアクセス、 https://corp.shiseido.com/en/sustainability/pdf/pdf2023/backnumber2023e12.pdf
2023年 | 21,105t-CO2 |
2022年 | 23,912t-CO2 |
2021年 | 28,744t-CO2 |
2023年 | 13,617t-CO2 |
2022年 | 22,527t-CO2 |
2021年 | 36,737t-CO2 |
2023年 | 973,000t-CO2 |
2022年 | 1,510,000t-CO2 |
2021年 | 1,520,000t-CO2 |
スコープ1+2 CORの過去3年推移
2023年 | 36kg-CO2 |
2022年 | 44kg-CO2 |
2021年 | 65kg-CO2 |
スコープ3 CORの過去3年推移
2023年 | 1,000kg-CO2 |
2022年 | 1,415kg-CO2 |
2021年 | 1,505kg-CO2 |
スコープ1+2のCOA推移
2023年 | 28kg-CO2 |
2022年 | 36kg-CO2 |
2021年 | 50kg-CO2 |
スコープ3のCOA推移
2023年 | 775kg-CO2 |
2022年 | 1,155kg-CO2 |
2021年 | 1,168kg-CO2 |
2023年 | 9,730億円 |
2022年 | 1兆674億円 |
2021年 | 1兆100億円 |
2023年 | 217億円 |
2022年 | 342億円 |
2021年 | 469億円 |
2023年 | 1兆2555億円 |
2022年 | 1兆3077億円 |
2021年 | 1兆3010億円 |
すべての会社と比較したポジション
業界内ポジション
CORスコープ1+2
CORスコープ3
CORスコープ1+2
CORスコープ3
COAスコープ1+2
COAスコープ3
COAスコープ1+2
COAスコープ3