カテゴリー | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
1購入した製品・サービス | 2,700,000 | 2,750,000 (▲50,000) | 2,650,000 (▼100,000) |
2資本財 | 92,000 | 160,000 (▼68,000) | 130,000 (▼30,000) |
3燃料・エネルギー関連活動 | 140,000 | 130,000 (▼10,000) | 120,000 (▼10,000) |
4輸送・配送(上流) | 180,000 | 170,000 (▼10,000) | 170,000 (=0) |
5事業から発生する廃棄物 | 29,000 | 27,000 (▼2,000) | 26,000 (▼1,000) |
NPO法人SoELaおよび近畿大学と連携し、琵琶湖の生態系を学べる環境学習用カードゲーム「マイアース琵琶湖パッケージ」を制作。この取り組みは、2025年大阪・関西万博の「TEAM EXPO 2025」プログラムの一環であり、地域の環境保全意識の向上を目指す。
※掲載情報は公開資料をもとに作成しており、全てのリスク・機会を網羅するものではありません。 より詳細な情報は企業の公式発表をご確認ください。
環境課題への取り組みは、DNPにとって新たな事業機会を創出する可能性を秘めています。規制強化と消費者需要の高まりを背景に、持続可能なパッケージング(紙製、バイオマスプラスチック、再生材利用、モノマテリアルなど)市場は大きな成長機会となります。DNPが開発したライフサイクルCO2認証システムは、顧客企業への付加価値サービスとして提供することで、さらなるビジネスチャンスに繋がりえます。また、省エネルギー活動の推進、廃棄物削減、資源利用効率の向上、物流の最適化などは、環境負荷低減と同時にコスト削減にも繋がり、収益性向上に貢献する機会となります。
大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、1876年の創業以来、印刷と情報(P&I: Printing & Information)の強みを活かし、出版、商業印刷、包装、建材、産業資材、エレクトロニクス、情報セキュリティなど多岐にわたる事業を展開する日本を代表する企業グループである 1。 DNPグループは、「DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する」という企業理念に基づき、社会課題の解決と人々の期待に応える価値の創造を目指している 1。 近年、環境・社会・ガバナンス(ESG)への関心が高まる中、企業価値の向上と持続的な成長のためには、環境課題への積極的な取り組みが不可欠となっている 2。
本レポートは、DNPの環境分野における取り組みとパフォーマンスを、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの重点分野に焦点を当て、包括的かつ学術的なレベルで分析することを目的とする。 DNPの具体的な環境戦略、目標、実績、潜在的なリスクと機会、業界の先進事例、競合他社との比較、環境スコアのベンチマーキング、そして今後の課題と提言を詳述することにより、同社の環境パフォーマンス評価や将来戦略の検討に資する詳細な情報を提供することを目指す。 分析にあたっては、DNPが発行する統合報告書、環境報告書、ウェブサイト上の開示情報、プレスリリースに加え、競合他社の情報、業界レポート、ESG評価機関のデータなどを主要な情報源とした 3。
本レポートは以下の構成で分析を進める。
DNPの環境ビジョンとマネジメント体制: DNPグループの環境方針、生物多様性宣言、長期ビジョン「DNPグループ環境ビジョン2050」、及びそれらを推進するためのガバナンス・マネジメント体制について解説する。
気候変動への取り組みと実績: 温室効果ガス(GHG)排出削減目標、省エネルギー、再生可能エネルギー導入、サプライチェーン排出量削減、環境配慮型製品・サービスを通じた貢献など、具体的な施策と実績データを詳述する。
資源循環への取り組みと実績: 廃棄物削減、リサイクル率向上、プラスチック資源循環、持続可能な紙利用、水資源管理に関する目標、施策、実績データを分析する。
生物多様性保全への取り組みと実績: 生物多様性に関する方針、持続可能な原材料調達(特に紙)、生態系保全(緑地創出など)、サプライチェーンや地域社会との連携に関する取り組みと実績を評価する。
環境関連のリスクと機会: 気候変動や資源問題に関連する規制リスク、市場リスク、評判リスク、物理的リスクを分析し、同時に環境配慮型製品・サービス、技術革新、コスト削減、ブランドイメージ向上といった事業機会を特定する。
業界における先進的な環境慣行: DNPが属する印刷・包装・製造業における、エネルギー効率化、資源循環、持続可能な材料利用、生物多様性保全に関する先進的な取り組み事例を紹介する。
競合他社の環境分析: 主要な競合企業(凸版印刷ホールディングス、共同印刷)を特定し、それぞれの環境イニシアチブ、目標、パフォーマンス、評価状況を分析・比較する。
環境スコアのベンチマーキング: Sustainalytics、CDP、MSCI、FTSE Russellなどの評価機関によるDNP及び競合他社のESG評価・スコアを比較し、その意味合いを考察する。
現状の課題と戦略的提言: DNPが直面する環境課題を評価し、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野及び全般的な取り組みについて、具体的な戦略的提言を行う。
結論: 分析結果の要点を総括し、DNPの環境への取り組みに関する将来展望を示す。
なお、本レポートでは表形式でのデータ表示を避け、全てのデータ、比較、ベンチマーキング結果は、本文中での記述、または必要に応じて明確性を高めるための単純な(入れ子構造でない)箇条書き形式で提示する。
DNPは、事業活動と地球環境の調和を重要な経営課題と位置づけ、長期的な視点に基づいた環境経営を推進している。 その基盤となるのが、グループ全体で共有される環境方針、生物多様性宣言、そして2050年を見据えた環境ビジョンである。
DNPグループ環境方針は、2000年3月に制定され、2022年3月に改定された。この方針は、DNPグループの環境に対する基本的な考え方と行動指針を示すものである 10。 主なコミットメントは以下の通りである。
気候変動緩和: 事業活動におけるエネルギー使用量を最小化し、再生可能エネルギーを導入することで、カーボンニュートラルの実現に努める 14。
資源効率と廃棄物削減・リサイクル: 資源の使用量を最小限に抑え、廃棄物の削減とリサイクルに注力し、持続可能な資源の利用を目指す 14。
生物多様性保全: 地域の生態系との調和を図り、生物多様性の保全を目指す 14。
環境配慮型製品・サービスの開発・普及: サプライチェーン全体での環境負荷低減を目指し、環境配慮型製品・サービスの開発と普及を追求する 14。
環境法規制の遵守と汚染防止: 事業活動の環境影響を認識し、環境関連法規を遵守し、環境汚染の防止に努める 14。
環境マネジメントシステムの運用と継続的改善: 環境マネジメントシステム(EMS)を構築・運用し、目標を設定して継続的な改善に取り組む 14。
ステークホルダーとのコミュニケーション: 環境活動に関する適時な情報開示と、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを行う 14。
また、DNPグループは2010年3月16日に「DNPグループ生物多様性宣言」を制定し、生物多様性保全への取り組みを明確にしている 15。 この宣言では、以下の点が約束されている。
事業活動への統合: 事業計画、研究、製品開発、設計、生産、販売を含む全ての事業活動において、生物多様性の保全を重要な課題として捉える 15。
影響評価: エネルギー・水資源の使用、原材料調達、化学物質排出など、事業活動が生物多様性に与える影響を評価・把握・分析する 15。
ステークホルダーエンゲージメント: 顧客、サプライヤー、地域住民など、ステークホルダーと課題認識を共有し、協働を推進する 15。
従業員意識向上: 全従業員の生物多様性に関する理解と意識を高め、保全の重要性に対する意識向上に努める 15。
これらの環境方針と生物多様性宣言は、DNPグループ全体の環境活動の根幹をなすものである。
DNPは、持続可能な社会の実現に向けた長期的な指針として、2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定した 9。 これは、日本政府が2050年カーボンニュートラルを宣言する7ヶ月前のことであり、DNPの先見性を示すものと言える 16。 このビジョンは、「脱炭素社会」「資源循環社会」「自然共生社会」の3つの社会の実現を目指すものである 9。
脱炭素社会: 自社拠点における事業活動からのGHG排出量(Scope1+2)の実質ゼロを目指すとともに、製品・サービスを通じて脱炭素社会の実現に貢献する 9。
資源循環社会: バリューチェーン全体を通じて、資源の効率的な利用とリサイクルにより価値を最大化する 9。
自然共生社会: バリューチェーン全体での生物多様性への影響を最小化し、地域生態系との調和を目指す 9。
この長期ビジョンは、DNPの環境戦略の方向性を定め、具体的な目標設定と活動推進の原動力となっている。
DNPは、環境ビジョンと方針に基づき、実効性のある環境マネジメント体制を構築・運用している。
ガバナンス体制: グループ全体の環境活動を統括する組織として「サステナビリティ委員会」を設置している。同委員会は、サステナビリティ担当役員(取締役常務執行役員)が委員長を務め、本社基幹組織の環境担当役員・執行役員で構成される 7。 委員会は、グループ全体の環境方針、目標、計画などを審議・決定し、その進捗状況や目標達成状況をモニタリングする役割を担う 17。 特に2022年4月には、サステナビリティ委員会を社長が委員長を務める組織に改組し、中長期的なリスク管理、事業機会の特定、経営戦略への反映を強化する体制へと移行した 9。 これは、サステナビリティを単なるコンプライアンスや効率化の課題としてではなく、経営戦略の中核に据え、リスクと機会の両面から捉えようとする現代的なESG統合の考え方を反映している。
推進体制: 各事業部やグループ会社の環境委員会が、サステナビリティ委員会の決定事項や各事業分野の特性に基づき、国内外の拠点の活動を推進する 17。
環境マネジメントシステム(EMS): DNPは、1993年に独自の環境マネジメントシステム(EMS)を構築した 17。 これは、多くの企業がISO14001認証取得に動き出すよりも早い時期であり、DNPが環境問題に早期から組織的に取り組んできたことを示している 9。 このEMSは、「エコ帳票」「サイトエコ帳票」を用いて半期ごとにPDCAサイクルを回し、運用されている 17。 さらに、1996年からは「エコ監査」を導入し、EMSの実効性を高め、是正処置が必要な場合は「是正要求書」を発行し、サステナビリティ委員会が管理する体制を整えている 17。 このように、DNPは1972年の環境専門部署設置 9、1993年のEMS構築 17 と、長年にわたり環境マネジメントの仕組みを運用してきた実績がある。 この歴史的背景は、組織的な経験の蓄積を示唆する一方で、近年の急速な環境目標の高度化(1.5℃目標やサーキュラーエコノミーなど)に対応するためには、既存のシステムや意識の変革が求められる可能性も示唆している。 2022年のサステナビリティ委員会の改組は、こうした変化への対応を意識した動きと考えられる。
DNPグループは、「DNPグループ環境ビジョン2050」の柱の一つである「脱炭素社会」の実現に向け、GHG排出削減目標の設定と具体的な取り組みを加速させている。
DNPのGHG排出削減目標は、社会的な要請や科学的知見の進展に合わせて、段階的に引き上げられてきた。
初期目標: 当初、2005年度比で2020年度までに10%、2030年度までに20%の削減を目指していた 19。
SBTi「2℃未満」目標: 2018年7月、国際的なイニシアチブであるScience Based Targets initiative(SBTi)から、2015年度比で2030年度までに25%削減する目標が、パリ協定の「2℃を十分に下回る(well-below 2°C)」水準に整合するものとして認定された 19。
目標の引き上げ: その後、2021年4月には2030年度目標を「2℃を十分に下回る」レベルに合わせて引き下げ、SBTiから再認定を受けた 10。 さらに、2020年度には2015年度比で30.3%削減を達成するなど、目標の前倒し達成が見込まれる状況となっていた 20。
現行のSBTi「1.5℃」目標: 2024年4月、DNPはさらに目標を引き上げ、2019年度比で2030年度までにScope1+2排出量を46.2%削減するという、国際的な標準である「1.5℃目標」に整合した野心的な目標を設定した 3。 この目標は、サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークにおいてもSPT(Sustainability Performance Target)として定められ、コミットメントを強化している 18。 フレームワークには、2025年度(25.2%削減)から2030年度(46.2%削減)までの年次中間目標も設定されている 18。
長期目標: 2050年度までに自社拠点における事業活動からのGHG排出量(Scope1+2)を実質ゼロにすることを目指している 3。
このように、DNPのGHG削減目標は、初期の自主目標からSBTi認定の「2℃未満」目標、そして最新の「1.5℃」目標へと、着実にその野心度を高めてきている。 これは、パリ協定以降の国際的な動向やSBTi基準の進化に対応するとともに、省エネルギー活動や再生可能エネルギー導入における初期の成功体験が、さらなる目標引き上げへの自信につながった結果と考えられる 3。
DNPは、設定した目標達成に向け、多岐にわたる具体的な行動を推進している。
省エネルギー: 製造ラインの運用改善や熱源設備の効率化、空調・動力の省エネ化など、継続的な省エネルギー活動を強化している 3。 また、省エネ設備導入を促進するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入し、その価格を2024年4月に3,000円/トンから20,000円/トンへと大幅に引き上げた 3。
再生可能エネルギー導入: 再生可能エネルギーの導入を積極的に進めている 3。 具体的には、各工場や事業所での太陽光発電システムの設置に加え、本社地区(市谷)ではオフサイトPPA(電力購入契約)による再生可能エネルギーの段階的導入を開始し、市谷鷹匠町ビルと市谷砂土原町ビルでは2024年8月時点で実質再エネ100%を達成した 3。 今後も、泉崎工場(DNPテクノパック、2024年開始)、市谷加賀町ビル(本社、2025年開始)など、導入拠点を拡大していく計画である 3。
サプライチェーン排出量削減(Scope 3): サプライヤーに対してGHG排出削減目標の設定を働きかけるなど、サプライチェーン全体での気候変動対策に取り組んでおり、その活動はCDPのサプライヤー・エンゲージメント評価で最高評価(リーダーボード選定)を3年連続で獲得するなど、外部からも高く評価されている 20。 具体的には、サプライヤーのGHG管理状況や削減目標を評価し、代替材料の採用や製品ごとの排出量削減に向けた連携を強化している 11。 また、セミナーやアンケートを通じてサプライヤーとの情報共有や削減策の協議を行っている 11。 特に排出量への影響が大きいカテゴリーとして、購入した製品・サービス(カテゴリー1)、輸送・配送(カテゴリー4、9)、販売した製品の使用(カテゴリー11、12)などを対象とした削減努力を進めている 6。
輸送効率化: 積載率の向上、配車・輸送ルートの最適化、デジタルタコグラフによる効率改善、アイドリングストップの推進、鉄道輸送へのモーダルシフト、ハイブリッド車の導入などを実施している 11。
事業ポートフォリオ変革: 環境負荷が低く付加価値の高い事業への転換を進める方針を掲げている 3。
DNPの気候変動に関する主要な実績データ(2023年度)は以下の通りである。
Scope1+2 GHG排出量: 74万5,000トン-CO2。これは前年度(2022年度)比で2.4%の削減、基準年である2015年度比では38.0%の削減に相当する 11。 この進捗は、以前の2030年度目標(2015年度比40%削減)の前倒し達成の可能性を示唆している 9。
Scope3 GHG排出量: 421万トン-CO2 11。
サプライチェーン全体の排出量(Scope1+2+3): 496万トン-CO2 11。Scope3排出量がScope1+2排出量を大幅に上回っており、サプライチェーン全体での取り組みの重要性を示している。
再生可能エネルギー使用量: 1,074万5千kWh(自家発電、購入、証書利用の合計) 11。
輸送燃料使用量: 14,850kl(原油換算)。2015年度比で26.9%削減 11。 売上高当たりの輸送燃料使用量原単位は10.4kl/十億円であった 11。
主要オフィス電力消費量: 808万4千kWh。2010年度比で32.6%削減 11。
DNPは、自社の排出削減努力に加え、製品・サービスを通じて社会全体の脱炭素化に貢献することにも注力している。 特に、環境配慮型パッケージングの開発・提供を重要な貢献策と位置付けている 16。
CO2削減効果: 環境配慮型パッケージングの出荷量に基づくCO2削減効果は、2021年度に約15万トン 21、2022年度に約17万トン 23、2023年度には約19万トンに達したと算出されている 22。 このうち、植物由来原料を使用したパッケージによる削減貢献分は、2023年度で約7,400トンに相当する 22。 これらの数値は、DNPの製品が顧客企業のScope3排出量削減に貢献していることを示しており、重要な価値提案となっている。
具体例:
写真プリント用メディア(インクリボン、プリント用紙)の包装材をプラスチックから紙に変更し、包装材由来のCO2排出量を約69%(年間約45トン)削減した 24。
サトウキビなどの植物由来原料から作られるバイオマスプラスチックを開発し、自動車内装材(サンルーフ、サンバイザーなど)やスマートカードなど、幅広い製品に展開している 16。 開発にあたっては、ライフサイクルアセスメント(LCA)に基づき、海外のサトウキビ農園での現地調査も実施している 16。
CO2排出量算定・認証サービス: 顧客企業が自社製品の環境負荷を把握し、削減努力を進めることを支援するため、「DNPライフサイクルCO2認証システム」を構築・運用している 21。 このシステムは、DNPが取り扱うパッケージの原材料調達から製造、廃棄に至るライフサイクル全体のCO2排出量を算定し、第三者認証機関(サステナブル経営推進機構、SuMPO)による認証を受けた算定結果を提供するものである 22。 これにより、顧客は信頼性の高いデータに基づき、自社のカーボンニュートラルへの取り組みを進めることが可能となる。
DNPの気候変動戦略は、自社オペレーションの脱炭素化と、製品を通じた顧客・社会への貢献という二つの側面から成り立っている。 特に、環境配慮型製品、とりわけパッケージング分野での貢献を数値化し、認証システムを通じて透明性を高めるアプローチは、Scope3排出量の大きさを踏まえた戦略的な動きであり、ビジネス機会の創出にも繋がっていると考えられる。
DNPグループは、「DNPグループ環境ビジョン2050」において「資源循環社会」の実現を掲げ、バリューチェーン全体での資源の効率的な利用とリサイクルの推進に取り組んでいる 11。
長期ビジョン: 資源の効率的な利用とリサイクルにより価値を最大化することを目指す 11。
中期目標:
資源リサイクル率: 2024年4月に改定された目標として、2030年度までに全ての不要物(定義あり)の資源リサイクル率70%を達成する 3。 これは、以前の目標(2025年度までに65%)から引き上げられたものである 3。
ゼロエミッション: 国内における最終埋立率0.5%以下を維持する 11。
環境配慮型パッケージング: パッケージング関連製品売上高に占める環境配慮型パッケージングの比率を2030年度に100%にする 21。
水使用量: 2030年度までに生産量あたりの水使用量を2019年度比で30%削減する 11。
これらの目標は、資源循環に関する日本の法規制(プラスチック資源循環促進法など) 21 や社会的な要請の高まりを背景に設定されており、DNPのコミットメントの強さを示している。
DNPは、資源循環目標の達成に向けて、多岐にわたる施策を展開している。
廃棄物削減とリサイクル推進: 生産工程における歩留まり向上により、不要物排出量の総量削減に努めている 11。 オフィス古紙の分別回収も推進している 11。 特にプラスチックについては、排出量が多くリサイクル率が低いことから重点課題と位置づけ 11、マテリアルリサイクル(モノマテリアル化推進、廃棄物の詳細分別)とケミカルリサイクル(パートナー企業との連携)の両面から取り組みを強化している 3。 また、工場内でのリサイクル(インプラントリサイクル)も推進している 3。 具体的な事例として、包装材などを製造する田辺工場(京都)では、製造工程で発生する損紙や余剰紙を回収し、DNPグループ内で使用するコースターなどに再生する資源循環システムを構築・運用している 26。
プラスチック資源循環: バイオマスプラスチックや再生材などの代替材料を用いた製品開発を進め、プラスチックの持続可能な利用を支援している 10。 また、プラスチック資源循環促進法や関連ガイドラインを踏まえ、環境配慮設計の指針や指標を策定し、リサイクルしやすい製品設計(モノマテリアル化など)を推進している 3。
持続可能な紙利用: 紙の調達は生態系への依存度・影響度が大きい分野であると認識し 9、2012年に「DNPグループ紙の調達ガイドライン」を策定した 9。 このガイドラインに基づき、原材料のトレーサビリティ確保、合法性確認、持続可能な森林資源利用、森林破壊ゼロ(ゼロデフォレステーション)などを調達先に求めている 9。 FSC®認証紙や間伐材由来の木材の利用も積極的に推進している 9。
水資源管理: 水使用量の管理と削減に取り組んでいる 27。 特に国内製造拠点では、大量の水をリサイクル利用している 11。
DNPの資源循環に関する主要な実績データ(2023年度)は以下の通りである。
資源リサイクル率: 62.4%。2015年度比で10.7ポイント改善しており、目標達成に向けて着実に進捗している 11。
プラスチックリサイクル率(国内): 29.4% 11。 全体のリサイクル率目標(70%)と比較すると低い水準であり、プラスチックリサイクルの難しさを示している。 このギャップを埋めるためには、DNPが注力しているケミカルリサイクル技術の確立やモノマテリアル設計の普及が不可欠となる 3。
最終埋立率(国内): 0.04%。目標である0.5%以下を達成し、ゼロエミッションを維持している 11。
不要物総排出量: 24万7,000トン(前年度比0.8%増)。ただし、有価物としてリサイクルされた量を除くと6万900トン(前年度比10.1%減) 11。
廃棄物排出量: 4万6,600トン(前年度比7.7%減) 11。
水使用量: 730万立方メートル(前年度比0.56%増)。売上高当たりの水使用量原単位は5.12立方メートル/百万円で、2015年度比では40.1%減少している 11。 国内製造拠点におけるリサイクル水使用量は2億6,829万立方メートルにのぼる 11。
紙の調達ガイドライン適合率: 98% 3。
DNPの資源循環への取り組みは、特にパッケージング分野において、社内目標(2030年環境配慮型100%)と外部要因(国内プラスチック規制)の両方から強く推進されていることがうかがえる。 70%という野心的なリサイクル率目標の設定や、プラスチックリサイクルへの注力は、この分野が戦略的に重要であることを示している 11。
DNPグループは、豊かな生物多様性に支えられた生態系から多くの恩恵を受けていることを認識し、環境との調和を保つことが企業の持続的な成長に不可欠であると考えている 28。 「DNPグループ環境ビジョン2050」では「自然共生社会」の実現を掲げ、生物多様性保全に向けた取り組みを進めている 11。
DNPグループ生物多様性宣言(2010年): 全ての事業活動における生物多様性保全の考慮、影響評価、ステークホルダーとの協働、従業員意識向上をコミットしている 15。
DNPグループ環境ビジョン2050: バリューチェーン全体での生物多様性への影響最小化と地域生態系との調和を目指す 11。
DNPグループ環境方針: 地域の生態系との調和を図ることを方針として掲げている 14。
DNPは、上記の方針に基づき、以下の具体的な行動を実施している。
持続可能な原材料調達: 特に生態系への依存度・影響度が大きい紙の調達において、「DNPグループ紙の調達ガイドライン」(2012年策定)に基づき、トレーサビリティ確保、合法性確認、持続可能な森林利用、森林破壊ゼロを推進している 9。 FSC®認証紙の利用も進めている 9。
生態系保全と緑地創出: 地域の生態系に配慮した緑地の創出・管理を推進している 9。 代表的な例として、本社地区(市谷)の再開発に伴い、都市における新たな「森」として緑地帯「市谷の森」を創設している 9。 このプロジェクトは、本社という象徴的な場所での取り組みであり、DNPの生物多様性へのコミットメントを示すとともに、地域社会との関係構築にも寄与するものと考えられる。 各事業所においても、敷地内での希少種・絶滅危惧種の保護、植樹活動(百万本の木プロジェクトなど)、野生生物の育成・生息地の確保、外来種駆除といった地域に根差した保全活動を展開している 3。 また、緑地への立ち入りを管理し、動植物の盗掘や乱獲を防ぐ配慮も行っている 11。
サプライチェーンと地域社会との連携: ステークホルダー(顧客、サプライヤー、地域住民など)との課題認識共有と協働を推進する方針を掲げている 15。 具体的には、各事業所周辺での地域清掃活動 29 や、事業所敷地内の緑地を活用した地域住民などとのエンゲージメント活動を実施している 3。
DNPの生物多様性保全に関する主な実績データは以下の通りである。
紙の調達ガイドライン適合率: 2023年度実績で98% 3。
社会貢献活動: 2023年度に実施した社会貢献プログラムは189件、外部からの参加者は1,707名であり、これらの活動には環境保全や生物多様性に関連するものも含まれる 3。
気候変動や資源循環分野と比較すると、DNPが公表している生物多様性に関する定量的な目標や実績指標は限定的であるように見受けられる。 主な焦点は、方針・宣言によるコミットメント表明、紙調達や緑地創出といった具体的な行動、そして「生態系との調ワー」といった定性的な目標達成にある 3。 主要な定量指標は紙の調達ガイドライン適合率にとどまっている 3。 これは、生物多様性という複雑な課題に対する目標設定や測定の難しさを反映している可能性があるが、一方で、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のような新しい枠組みが登場する中で(競合の凸版印刷はTNFDへの賛同・早期開示を表明 30)、DNPにとっても目標設定やパフォーマンス追跡の強化が今後の課題となる可能性がある。
DNPの事業活動は、地球環境との密接な関わりの中で、様々なリスクに晒されると同時に、新たな事業機会も内包している。 DNP自身も、気候変動に関する複数のシナリオ(1.5℃/4℃シナリオなど)を用いた評価を実施し、リスク特定と対応戦略の検討を行っている 18。
DNPが直面する可能性のある主な環境関連リスクは以下の通りである。
規制リスク: 日本国内及びグローバルでの環境規制の強化は、DNPにとって重要なリスク要因である。 特に、事業の柱の一つであるパッケージング分野においては、日本のプラスチック資源循環促進法 21 や、将来的なリサイクル材利用義務化、エコデザイン基準(例:提案中のPETボトル基準 33)などが事業運営に直接的な影響を与える可能性がある 32。 また、印刷業界特有のリスクとして、VOC(揮発性有機化合物)排出規制、有害物質管理、廃液処理、大気・水質汚染防止に関する規制強化も常に注視する必要がある 34。
市場リスク: 環境意識の高まりにより、消費者はよりサステナブルな製品・サービスを求める傾向が強まっている 32。 環境配慮が不十分と見なされた場合、ブランドイメージの低下や顧客離れにつながるリスクがある 43。 また、競合他社がより優れたサステナビリティ性能や革新的な環境配慮型製品を打ち出すことで、市場シェアを奪われるリスクも存在する 32。 さらに、原材料やエネルギー価格の変動・高騰、資源の枯渇懸念なども、事業コストや安定供給に影響を与えるリスクとなる 39。
評判リスク: Sustainalytics、MSCI、CDPなどのESG評価機関による評価は、投資家の意思決定や企業の評判に大きな影響を与える 20。 環境汚染事故や廃棄物問題、あるいは公約した環境目標の未達などが発覚した場合、企業評価が大きく損なわれるリスクがある 40。 DNPはSustainalyticsから「Negligible(無視できる)」という最高レベルのリスク評価を得ているが 45、この評価を維持・向上させるためには継続的な努力が不可欠である。 特に、主要競合である凸版印刷も同様に「Negligible」評価を得ている 53 ことから、評判リスク管理の観点からも、ESGパフォーマンスにおける競争は続くと考えられる。
物理的リスク: 気候変動に伴う異常気象(洪水、干ばつ、熱波など)は、DNPの自社工場やサプライチェーンにおける操業停止や設備被害、原材料調達の不安定化といった物理的なリスクをもたらす可能性がある 18。 DNPは気候シナリオ分析を通じてこれらのリスクを評価している 18。
一方で、環境課題への取り組みは、DNPにとって新たな事業機会を創出する可能性も秘めている。
環境配慮型製品・サービス: 規制強化と消費者需要の高まりを背景に、持続可能なパッケージング(紙製、バイオマスプラスチック、再生材利用、モノマテリアルなど)市場は大きな成長機会となる 16。 DNPが開発したライフサイクルCO2認証システムは、顧客企業への付加価値サービスとして提供することで、さらなるビジネスチャンスに繋がりうる 21。
技術革新: DNPが持つ独自のP&I技術を応用し、環境課題解決に貢献する新たな製品・サービスを開発する機会がある。 例えば、省エネルギーに貢献するエレクトロニクス部品(インターポーザなど)や機能性フィルム 1、あるいは高度なリサイクル技術(ケミカルリサイクルなど)の開発 3 が挙げられる。
コスト削減と効率化: 省エネルギー活動の推進、廃棄物削減、資源利用効率の向上、物流の最適化などは、環境負荷低減と同時にコスト削減にも繋がり、収益性向上に貢献する機会となる 11。
ブランドイメージ向上: 優れたESGパフォーマンスは、企業の評判を高め、ESG投資を呼び込み、優秀な人材を惹きつける機会となる 7。 DNPのSustainalyticsによる高評価や各種ESGインデックスへの選定は、この機会を活かす上で有利な要素である。
特に、日本の包装材に関する規制動向 32 は、DNPのような包装材事業を主力の一つとする企業にとって、コンプライアンス上のリスクであると同時に、技術革新と市場獲得の大きな推進力となっている。 DNPの環境配慮型パッケージングへの注力 16 は、この規制動向と市場トレンドを捉え、機会を最大限に活かそうとする戦略的な動きと解釈できる。
DNPが事業を展開する印刷、包装、製造業においては、環境負荷低減に向けた様々な先進的な取り組みが見られる。 これらのベストプラクティスは、DNPが自社の取り組みを評価し、さらなる改善を図る上で参考となる。
エネルギー効率と脱炭素化:
プロセス革新: 従来のオフセット印刷におけるガス乾燥機をLED-UVランプに転換することで、ガス使用量、電力消費量、VOC排出量を大幅に削減する事例がある(例:キンメイ印刷 39)。 また、カーボンニュートラル認証を受けた印刷機の導入も進んでいる 39。
再生可能エネルギー: 工場の屋根などを活用した自家消費型太陽光発電システムの導入は、多くの企業で採用されている 39。
目標設定と情報開示: Scope1, 2, 3を含むバリューチェーン全体でのネットゼロ目標を設定し、SBTiなどの国際的イニシアチブから認定を受ける動きが広がっている(例:凸版印刷 60)。 製品ごとのカーボンフットプリントを算定・開示し、顧客の環境配慮選択を支援する取り組みも重要視されている 43。
資源循環と廃棄物削減:
サーキュラーデザイン: 製品設計段階からリサイクルやリユースを前提とする考え方が浸透している。 具体的には、単一素材(モノマテリアル)化によるリサイクル容易性の向上、分別・解体しやすい構造設計などが挙げられる 34。
再生材利用: 包装材や紙製品に、使用済み製品から回収されたリサイクル材(PCR: Post-Consumer Recycled material)を積極的に利用する動きが加速している 34。
回収・リサイクルシステム: 製品や包装材の回収プログラム(例:インクカートリッジ 64、飲料容器のボトルtoボトル 63)を構築・運営し、資源の循環利用を促進している。
リユースモデル: 使い捨てではなく、繰り返し利用可能な包装材を提供するサービスモデル(リターナブル包装、Packaging-as-a-Service)が登場している 61。
プロセス改善: 印刷版の現像工程で薬品や廃液を不要にする「プロセスレスプレート」の導入により、環境負荷とコストを削減する事例がある 39。
産業共生(Industrial Symbiosis): ある工場の廃棄物や副産物を、別の工場の原材料やエネルギー源として利用する地域連携型の資源循環モデルも存在する 67。
持続可能な材料と化学物質管理:
インキ・トナー: VOC排出量が少ない、あるいはゼロの環境配慮型インキ(植物油ベース、大豆油ベース、水性、UV硬化型など)への転換が進んでいる 38。
用紙: FSC認証紙や再生紙など、持続可能な森林管理や資源循環に配慮した用紙の選択が標準化しつつある 34。
包装材: 生分解性プラスチックや植物由来プラスチック(バイオプラスチック)、堆肥化可能な素材など、環境中で分解されたり、再生可能な資源から作られたりする包装材の開発・利用が拡大している 32。
化学物質管理: 有害性の高い溶剤や化学物質の使用を削減・代替する取り組みが進められている(例:溶剤フリーフィルム 69)。
生物多様性保全:
定量目標の設定: 新規の製造施設建設などにおいて、生物多様性の純増(ネットゲイン、例:+10%)を目指す定量的な目標を設定する企業が現れている(例:Spirax Group 70)。
行動計画と投資: 全ての事業拠点で生物多様性行動計画を策定・実行する(例:GSK 71)。 生息地の保護・回復プログラムへの投資や、事業活動による環境フットプリントを相殺(オフセット)する取り組みも行われている 70。
サプライチェーン管理: 主要な原材料(パーム油、大豆、木材など)について、森林破壊ゼロ(デフォレステーション・フリー)のサプライチェーン構築を目指す動きが活発化している(例:Nestlé, Unilever 71)。
ネイチャーポジティブ設計: 大規模な開発プロジェクトにおいて、計画段階から自然環境への配慮を組み込み、自然に対してポジティブな影響を与えることを目指す「ネイチャーポジティブ」な設計思想が注目されている 72。
これらの先進事例から、業界全体が単なるコンプライアンス遵守を超え、サーキュラーエコノミーの実現 61、プロセス・技術革新 39、そしてネイチャーポジティブなアプローチ 70 といった、より積極的で革新的な解決策へと向かっていることがわかる。 DNPにとっては、これらの先進的な慣行をベンチマークとし、自社の取り組みを継続的に見直していくことが重要となる。 また、FSC認証、ISO14001、グリーン購入、あるいは日本独自のグリーン・プリンティング認定 34 といった認証制度の取得や、カーボンフットプリントデータの提供 43 などによる透明性の確保は、環境パフォーマンスに対する信頼性を担保する上で、業界標準となりつつある 58。 DNPもFSC認証紙の利用 9 やISO14001に基づくEMS監査 17、CO2認証システムの開発 25 など、これらの期待に応える取り組みを進めている。
DNPの環境パフォーマンスを評価する上で、主要な競合他社の取り組みと比較分析することは有益である。 DNPと同様に、印刷、包装、エレクトロニクス関連事業などを幅広く手掛ける国内企業として、凸版印刷ホールディングス株式会社(旧 凸版印刷株式会社、以下 凸版印刷)と共同印刷株式会社(以下 共同印刷)を主要な比較対象とする 32。
凸版印刷は、DNPと並ぶ業界のリーダーであり、サステナビリティに関しても積極的な取り組みを展開している。
CDPの気候変動質問書において、最高評価である「Aリスト」に2年連続(2023年、2024年)で選定されている 30。
SBTiから、Scope1, 2, 3を含むバリューチェーン全体での2050年ネットゼロ目標について、「1.5℃目標」に整合するとの認定を受けている 30。
具体的な2030年目標として、Scope1+2排出量を2017年度比で54.6%削減、Scope3排出量を同54.6%削減することを掲げている 60。
再生可能エネルギーの導入も推進しており、2030年の再エネ比率目標は25%である 27。
化石資源、森林資源、鉱物資源などの資源循環への貢献を環境ビジョンの一部として掲げている 27。
2024年度の目標として、廃プラスチックのマテリアルリサイクル率51.0%を設定している 27。
最終埋立廃棄物の削減にも取り組んでいる 27。
持続可能な包装ソリューションの開発も進めている 53。
CDPの水セキュリティ質問書において、2024年に初めて「Aリスト」に選定された 30。
「DNPグループ環境ビジョン2050」に「生物多様性の保全」を追加し、取り組みを強化している 27。
2030年の生物多様性目標として、紙生産に使用する原材料の合法性確認100%、製造拠点における自然と調和した土地面積の増加(総面積比1%増)を設定している 27。
TNFD提言への賛同を表明し、早期開示企業(Early Adopter)として登録している 30。
紙調達における森林破壊ゼロを目指している 27。
サステナビリティレポートや統合報告書を発行し、GRIスタンダード、SASBスタンダード、TCFD提言、TNFD提言などを参照している 31。
多数の主要ESGインデックスに選定されている(例:Dow Jones Sustainability World Index (DJSI World) - 2024年には商業サービス・用品業界グループで世界最高スコアを獲得、MSCI Japan ESG Select Leaders Index、MSCI Japan Empowering Women Index (WIN)、FTSE4Good Index Series、FTSE Blossom Japan Index) 49。
EcoVadis社のサステナビリティ評価で「ブロンズ」メダル(評価対象企業の上位35%)を獲得している 49。
SustainalyticsによるESGリスク評価は8.1(Negligible Risk、無視できるリスク)である 53。
共同印刷も環境課題への取り組みを進めているが、公表されている目標や評価はDNPや凸版印刷と比較するとやや限定的である。
2030年度目標として、GHG排出量を2022年度比で42%以上削減することを掲げている 82。 2023年度の実績は14.7%削減であった 82。
省エネルギーへの取り組みとして、相模原工場の建設時に高断熱化やヒートポンプ空調の採用、輸送プロセス削減などを実施した例がある 84。
革新的なパッケージとサービスを通じて持続可能な未来を創造することを目指している 82。
2030年度目標として、環境配慮型包装材・容器の売上高比率100%を目指している(2023年度実績:38.7%) 82。
プラスチック資源循環システムの構築(PIR利用、再生材利用)を目標に掲げ、使用済みプラスチックリサイクルプロジェクトにも参加している 82。
食品ロス削減に貢献する包装材の売上高比率20%以上を目標としている(2023年度実績:9.9%) 82。
サプライチェーンマネジメントにおいて環境配慮を推進している 58。
グループ会社(共同粂井)では、廃PETボトルや工場廃材を原料とした再生ポリエステル繊維を開発・利用している 69。
2030年度目標として、FSC認証紙の調達比率を30%以上(重量ベース)とすることを掲げている(2023年度実績:22.1%) 82。
管理された森林からの紙の調達率100%を目指している 83。
出版印刷拠点はISO14001認証を取得している 58。
ESGレポートや統合報告書を発行している 82。 環境データはISO14001認証取得事業所などを対象としている 82。
S&P Global ESGスコアは40/100(2024年11月時点)である 86。
SustainalyticsによるESGリスク評価は12.3(Low Risk、低リスク)である 87。
競合比較からの示唆:
凸版印刷は、特に気候変動(CDP Aリスト、SBTiネットゼロ認定)と生物多様性(CDP水セキュリティAリスト、TNFD早期開示)の分野で、国際的に高い評価を得ており、DNPにとって強力なライバルであり、ベンチマークとなる存在である。 一方、共同印刷は、環境への取り組みを進めているものの、公表されている目標の野心度や第三者評価機関によるスコアにおいては、DNPや凸版印刷に比べて遅れをとっているように見受けられる 30。
また、DNP、凸版印刷、共同印刷の3社ともに、持続可能なパッケージングを環境活動及び事業戦略上の重要分野と位置付けている点は共通しており、日本の規制動向や市場の要求を反映していると考えられる 16。 この分野での技術開発やソリューション提供が、今後の競争優位性を左右する重要な要素となるであろう。
第三者評価機関によるESG(環境・社会・ガバナンス)スコアやレーティングは、企業のサステナビリティパフォーマンスを客観的に評価し、投資家やその他のステークホルダーにとって重要な情報源となっている。 DNP及び主要競合企業の評価状況を比較分析する。
DNPは、複数の主要なESG評価機関から高い評価を得ている。
ESGリスクレーティングは6.1であり、リスクレベルは5段階評価で最も低い「Negligible Risk(無視できるリスク)」とされている。 評価対象となった商業サービス(Commercial Services)業界グループ423社中2位という極めて高いランキングである(2024年4月/5月時点) 48。 リスク要因への「エクスポージャー(晒され度合い)」は「Low(低い)」、リスク管理能力を示す「マネジメント」は「Strong(強い)」と評価されている 48。 重大な「コントロバシー(不祥事・論争)」も報告されていない 45。
サプライヤーに対する気候変動への働きかけを評価する「サプライヤー・エンゲージメント評価」において、3年連続で最高評価である「リーダーボード」に選定されている(2022年2月時点) 20。 これは、DNPがサプライチェーン全体でのGHG排出削減に積極的に取り組んでいることを示唆するものである。 DNP自身の気候変動、水セキュリティ、フォレストに関するCDPスコア(A~F評価)については、本調査で参照した資料からは確認できなかったが、サプライヤーエンゲージメントにおけるリーダーシップは特筆すべき点である 20。
MSCI Japan ESG Select Leaders Index、MSCI Japan Empowering Women Index (WIN) など、複数のMSCI ESGリーダーズインデックスの構成銘柄に選定されている 47。 これは、同業種内での相対的に優れたESGパフォーマンスが評価されていることを示す。 具体的なMSCI ESGレーティング(AAA~CCC評価)は、本調査資料からは確認できなかった 90。
FTSE4Good Global Indexの構成銘柄に2000年から24年連続で選定されている 7。 また、FTSE Blossom Japan Index、FTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄にも選定されている 47。 これらは、環境、社会、ガバナンスの全ての側面において優れた対応を行っている企業が選ばれるインデックスである。
S&P Global社が提供する世界的に認知度の高いESG投資指標であるDJSIにおいて、DJSI World Indexの構成銘柄に2024年に選定された 7。
DNPのESG評価を主要競合他社と比較すると、以下の点が明らかになる。
SustainalyticsのESGリスクレーティングでは、DNP(6.1、業界2位)が凸版印刷(8.1、業界16位)を僅かに上回っているが、両社ともに最高評価の「Negligible Risk」である 48。 一方、CDP評価では、凸版印刷が気候変動と水セキュリティの両方で「Aリスト」を獲得している 30 のに対し、DNPに関する同様の情報は確認できなかった。 DJSI WorldやMSCI Japan ESG Select Leaders Index/WINなど、主要なインデックスには両社ともに選定されている 49。 これは、両社がESG全般において非常に高いレベルで拮抗しており、それぞれに強みを持つ分野があることを示唆している(DNPはSustainalyticsのリスク評価で優位、凸版印刷はCDP評価で優位)。
DNPは共同印刷に対して、第三者ESG評価において明確な優位性を持っている。 Sustainalyticsの評価では、DNPの「Negligible Risk」(6.1)に対し、共同印刷は「Low Risk」(12.3)であり、リスク管理能力もDNPが「Strong」であるのに対し、共同印刷は「Weak」と評価されている 48。 また、DNPがDJSI WorldやFTSE4Good Globalといったグローバルな主要インデックスに選定されているのに対し、共同印刷に関する同様の情報は見当たらない 7。 共同印刷のS&P Global ESGスコアは40/100である 86。 これらの比較から、ESGパフォーマンス及びマネジメントの成熟度において、DNPと共同印刷の間には顕著な差が存在すると考えられる。
主要な評価機関の方法論にはそれぞれ特徴がある。
Sustainalytics: 企業が直面する業界特有の重要なESGリスクへの「エクスポージャー」と、それらのリスクをどれだけ管理できているか(「マネジメント」)を評価し、管理されていない「アンマネージド・リスク」の大きさに基づいてESGリスクレーティングを算出する 48。
MSCI: 長期的かつ財務的に重要なESGリスクに対する企業の「レジリエンス(強靭性)」を、同業他社との比較で評価する。 AIや代替データも活用し、AAAからCCCまでの7段階で評価する 47。
CDP: 企業に対する質問書への回答に基づき、気候変動、水セキュリティ、フォレストに関する環境情報開示の質と対策の進捗度を評価し、AからFのスコアを付与する 30。 Aリストは最高評価を示す。
S&P Global ESGスコア: 企業の重要なESG課題に対するパフォーマンスとマネジメントを、主に企業サステナビリティ評価(CSA: Corporate Sustainability Assessment)への回答や公開情報、モデリングアプローチに基づいて評価し、同業他社との比較で0から100のスコアを付与する 86。 DJSIの構成銘柄選定にも利用される。
評価からの示唆:
DNPがDJSI WorldやFTSE4Good Globalといった権威あるインデックスに長年選定され続け、Sustainalyticsからも最高レベルのリスク評価を得ていることは、同社のESGへの取り組みが投資コミュニティから高く評価されていることの証左である 7。 これは、ESG投資資金の獲得や企業レピュテーション向上において、大きなアドバンテージとなる。
一方で、全体的に高い評価を得ているものの、CDP評価において競合の凸版印刷が「Aリスト」を獲得している分野がある 30 のに対し、DNPに関する同様の情報がない点は、CDPの評価基準に照らした場合の相対的な改善の余地を示唆している可能性がある。 凸版印刷とのベンチマーキングにおいて、CDP評価の向上は検討すべき課題の一つと言える。
DNPは環境分野において着実な進捗と高い外部評価を得ている一方で、さらなる高みを目指す上でいくつかの課題に直面している。 これらの課題を踏まえ、戦略的な提言を行う。
目標達成の加速: 2030年に向けた野心的な目標、特に1.5℃目標に整合したGHG排出削減目標(2019年度比46.2%削減)と資源リサイクル率目標(70%)の達成には、継続的かつ多大な努力と投資が必要となる 11。 特に、プラスチックのリサイクル率は2023年度実績で29.4%にとどまっており、全体の70%目標達成に向けた大きな課題となっている 11。
Scope 3排出量管理: DNPのGHG排出量はScope3がScope1+2を大幅に上回っており(2023年度実績:421万トン vs 74.5万トン) 11、バリューチェーン全体での効果的な排出削減が不可欠である。 サプライヤーエンゲージメントは高く評価されているものの 20、サプライヤーの協力や製品使用段階での削減など、より広範な連携と技術革新が求められる。
生物多様性への取り組み深化: 現在の取り組み(持続可能な紙調達、緑地創出など)は重要だが、生物多様性への貢献度を定量的に示し、国際的な枠組み(例:TNFD、競合の凸版印刷は対応表明 30)との整合性を高めていくことが今後の課題となる。 定量的な目標設定(例:ネットゲイン目標)や影響評価の実施などが考えられる(セクション5及び8の分析より)。
規制と市場の変化への適応: 特に包装材分野における国内外の環境規制の動向や、サステナビリティに対する消費者・投資家の期待の変化は急速であり、これらに継続的に対応していくための俊敏性が求められる 32。
イノベーションとコストの両立: 環境配慮型製品(例:ケミカルリサイクル材利用製品、代替素材)やプロセスの開発・普及には、技術的なハードルとコストの問題が伴う。 競争力を維持しながら、環境性能の高いソリューションを市場に提供し続けることが課題となる 39。
上記の課題を踏まえ、DNPが今後注力すべき戦略的な方向性として以下を提言する。
再生可能エネルギー導入の加速:
実行可能な全ての拠点において、再生可能エネルギー導入をさらに加速させる。 大規模なPPA契約の締結や、再生可能エネルギー発電事業への直接投資なども検討する。
ICPの活用拡大:
インターナルカーボンプライシング(ICP)の適用範囲を、設備投資判断だけでなく、研究開発テーマの選定や製品設計プロセスにまで拡大し、脱炭素化をより広範に動機づける。
Scope3連携の深化:
サプライヤーに対して目標設定を促すだけでなく、低炭素技術に関する共同研究開発、共同投資、あるいは実績に基づいた優先的調達など、より踏み込んだ連携を強化する。
リサイクル技術への重点投資:
特に課題となっているプラスチックについて、ケミカルリサイクル技術の実用化・スケールアップに向けた研究開発投資やパートナーシップを最優先で推進する。
サーキュラーデザインの推進:
機械的リサイクル(マテリアルリサイクル)を容易にするため、モノマテリアル化など、リサイクル適性の高いパッケージデザインへの移行を加速する。
革新的循環モデルの検討:
業界の先進事例(リユース型包装システム、Packaging-as-a-Serviceなど) 61 を参考に、新たな循環型ビジネスモデルの導入可能性を検討・試行する。
紙リサイクルシステムの展開:
既存の工場内紙リサイクルシステム 26 を他拠点へ展開するとともに、顧客へのサービスとして提供することも検討する。
影響・依存度評価の実施:
TNFDのLEAPアプローチなどを参考に、バリューチェーン全体における生物多様性への影響と依存度に関する正式な評価を実施する。
定量目標の設定検討:
持続可能な紙調達目標に加え、生息地回復面積、特定種の保護指標、新規開発におけるノーネットロス/ネットゲインなど、科学的根拠に基づいた定量的な生物多様性目標の設定を検討する。
情報開示の強化:
TNFDなどの新しい開示基準に沿って、生物多様性に関するパフォーマンスと管理体制に関する情報開示を強化する。
ベンチマーキングの継続:
凸版印刷のような直接的な競合だけでなく、国内外の業界リーダーや先進的な取り組みを継続的に調査・分析し、自社の戦略・目標設定に活かす。
サステナビリティと経営の統合:
サステナビリティ関連指標(KPI)を各事業部門の業績評価や役員報酬制度に組み込むことを強化し、全社的な取り組みを促進する。
透明性とコミュニケーション:
目標達成に向けた進捗状況だけでなく、直面している課題についても積極的に情報を開示し、ステークホルダーとの信頼関係を構築する。 CDP評価において、競合の凸版印刷に匹敵する「Aリスト」評価の獲得を目指す。
DNPが長年培ってきた技術力(P&I)と、体系化された環境マネジメントシステムは、これらの課題に取り組む上での大きな強みである 1。 これらの能力を環境イノベーション(例:サプライチェーン透明化のためのデジタル技術活用、先端材料科学に基づく持続可能素材・リサイクルプロセス開発)に戦略的に活用することが、今後の差別化と持続的成長の鍵となるであろう。
本レポートでは、大日本印刷株式会社(DNP)の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3分野を中心に包括的な分析を行った。
主要な分析結果の要約:
DNPは、1970年代からの環境専門部署設置や1990年代のEMS構築といった早期からの取り組みを基盤に、明確な環境方針、生物多様性宣言、そして2050年を見据えた「DNPグループ環境ビジョン」を掲げ、体系的な環境経営を推進している。 気候変動分野では、SBTiから1.5℃目標に整合するとの認定を受けた野心的なGHG削減目標を設定し、省エネルギー、再生可能エネルギー導入を着実に進めている。 特に、環境配慮型製品(主にパッケージング)を通じたCO2削減貢献は顕著である。 資源循環分野では、70%という高いリサイクル率目標を掲げ、廃棄物削減、マテリアル・ケミカルリサイクルの推進、持続可能な紙利用などに取り組んでいる。 生物多様性分野では、宣言に基づく方針のもと、持続可能な紙調達や事業所における緑地創出・生態系保全活動などを実践している。 これらの取り組みは、Sustainalyticsによる「Negligible Risk」評価、DJSI WorldやFTSE4Good Global Indexへの継続的な選定といった形で、外部からも高く評価されている。
一方で、課題も存在する。 野心的な2030年目標(GHG削減、資源リサイクル率)の達成、特にプラスチックリサイクル率の向上は大きな挑戦である。 また、Scope3排出量の管理、生物多様性に関する定量的な目標設定と情報開示の深化、急速に変化する規制・市場環境への適応、そして環境イノベーションとコスト競争力の両立も、継続的に取り組むべき重要課題である。 主要競合である凸版印刷は、CDP評価やTNFD対応などで先行する側面もあり、ベンチマークとして意識する必要がある。
将来展望:
DNPは、環境分野において強固な基盤と実績を有している。 しかし、脱炭素化、サーキュラーエコノミー、自然共生社会への移行が世界的に加速する中、現状維持は後退を意味する。 今後、同社が「DNPグループ環境ビジョン2050」を達成し、サステナビリティを重視する社会においてリーダーシップを維持・強化していくためには、本レポートで提言したような戦略的な取り組み、すなわち、目標達成に向けた投資の加速、技術革新(特にP&I技術の環境応用)、サプライチェーン全体を巻き込んだ連携強化、生物多様性へのコミットメント深化、そして更なる透明性の向上が不可欠となる。 環境課題への対応を経営戦略の中核に据え、リスクを管理し機会を捉えることで、DNPは持続的な企業価値向上を実現できる可能性を十分に有している。
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2023年 | 210,000t-CO2 |
2022年 | 215,000t-CO2 |
2021年 | 236,000t-CO2 |
2023年 | 535,000t-CO2 |
2022年 | 548,000t-CO2 |
2021年 | 565,000t-CO2 |
2023年 | 4,210,000t-CO2 |
2022年 | 4,370,000t-CO2 |
2021年 | 4,240,000t-CO2 |
スコープ1+2 CORの過去3年推移
2023年 | 523kg-CO2 |
2022年 | 556kg-CO2 |
2021年 | 596kg-CO2 |
スコープ3 CORの過去3年推移
2023年 | 2,955kg-CO2 |
2022年 | 3,182kg-CO2 |
2021年 | 3,154kg-CO2 |
スコープ1+2のCOA推移
2023年 | 381kg-CO2 |
2022年 | 417kg-CO2 |
2021年 | 427kg-CO2 |
スコープ3のCOA推移
2023年 | 2,153kg-CO2 |
2022年 | 2,387kg-CO2 |
2021年 | 2,259kg-CO2 |
2023年 | 1兆4248億円 |
2022年 | 1兆3732億円 |
2021年 | 1兆3441億円 |
2023年 | 1,109億円 |
2022年 | 857億円 |
2021年 | 972億円 |
2023年 | 1兆9556億円 |
2022年 | 1兆8304億円 |
2021年 | 1兆8766億円 |
すべての会社と比較したポジション
業界内ポジション
CORスコープ1+2
CORスコープ3
CORスコープ1+2
CORスコープ3
COAスコープ1+2
COAスコープ3
COAスコープ1+2
COAスコープ3