カテゴリー | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
1購入した製品・サービス | 14,110,000 | 21,550,000 (▲7,440,000) | 21,960,000 (▲410,000) |
2資本財 | 690,000 | 880,000 (▲190,000) | 1,550,000 (▼670,000) |
3燃料・エネルギー関連活動 | 230,000 | 220,000 (▼10,000) | 250,000 (▲30,000) |
4輸送・配送(上流) | 960,000 | 890,000 (▼70,000) | 740,000 (▼150,000) |
5事業から発生する廃棄物 | 1,000 | 900 (▲100) | 1,000 (▼100) |
パナソニック エナジーは、国内使用電力の再生可能エネルギー自給率を2025年度までに30%へ向上させる目標に向け、地熱発電のオフサイトコーポレートPPA(電力購入契約)を導入。脱炭素化の取り組みを加速させる 。
パナソニックグループ労働組合連合会が運営する「ユニトピアささやま」の「里山再生エリア」が、生物多様性保全上重要と評価され、環境省の「自然共生サイト」に認定された。30by30目標達成に貢献する取り組み 。
CO2を有効活用し、回収したCO2と再生可能エネルギー由来水素から製造したメタノールを原料とするユリア樹脂を開発。木質ボード用接着剤等への利用を目指し、化石資源依存低減とカーボンリサイクルに貢献する 。
※掲載情報は公開資料をもとに作成しており、全てのリスク・機会を網羅するものではありません。 より詳細な情報は企業の公式発表をご確認ください。
脱炭素化ソリューション(EV電池、ヒートポンプ、水素関連技術等)や省エネ製品・EMSへの需要拡大は大きな成長機会である 。自社での省エネ推進はコスト競争力向上に直結する。積極的な気候変動対策は、ESG投資家や顧客からの評価を高め、ブランド価値向上や人材獲得にも繋がる。PGI目標(2050年3億トン削減貢献)達成は事業成長のドライバーとなり得る 。
パナソニックホールディングス株式会社(以下、パナソニック)は、家電、住宅、車載、B2Bソリューションなど多岐にわたる事業を展開するグローバル企業である。エレクトロニクスおよび家電業界は、現代社会の利便性向上に大きく貢献する一方で、その事業活動や製品ライフサイクル全体を通じて、地球環境に多大な影響を与える産業でもある。特に、製品使用時のエネルギー消費量の多さ、製品の短サイクル化に伴う電子廃棄物(E-waste)の増大、製造に必要な希少資源の枯渇リスク、そしてグローバルに広がるサプライチェーンにおける環境・社会課題 など、特有の環境課題に直面している。
これらの課題の中でも、気候変動への対応、資源循環(サーキュラーエコノミー)の推進、そして生物多様性の保全 は、企業価値や事業継続性に直結する重要なマテリアリティ(重要課題)として認識されている。国際的な規制強化、投資家からのESG(環境・社会・ガバナンス)重視の潮流、そして環境意識の高まる消費者の要求に応えるため、エレクトロニクス企業には、サプライチェーン全体での環境負荷低減と、持続可能な製品・サービスの提供が強く求められている。
本レポートは、パナソニックの環境分野における取り組み、特に「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの重点領域について、包括的かつ詳細な分析を行うことを目的とする。具体的には、同社の長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT (PGI)」 を中心とした具体的な戦略、目標、施策、および実績を明らかにする。
さらに、主要な競合他社であるソニーグループ株式会社(以下、ソニー)、サムスン電子株式会社(以下、サムスン電子)、株式会社日立製作所(以下、日立製作所)、LGエレクトロニクス株式会社(以下、LGエレクトロニクス)、三菱電機株式会社(以下、三菱電機) の環境への取り組みと比較分析し、業界内でのパナソニックの位置づけを明確にする。これには、CDP、MSCI、Sustainalyticsなどの外部評価機関による環境スコアのベンチマーキングも含まれる。
また、パナソニックが直面する可能性のある環境関連のリスク(規制、市場、評判など)と事業機会を評価し、現在抱える課題を特定した上で、今後の取り組み強化に向けた具体的な提言を行う。
本レポートは、パナソニックの環境パフォーマンスを客観的に評価し、環境スコアリング算出に必要な詳細情報を提供することを目指す。分析にあたっては、学術的なレベルの深度と客観性を維持し、公開情報に基づいたデータと事例を引用する。なお、情報の提示においては、表形式を用いず、記述形式および必要に応じたリスト形式を採用する。
パナソニックは、経営基本方針に根差したサステナビリティ経営を推進しており、その中核をなすのが長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」である。PGIは、「より良いくらし」の実現と「持続可能な地球環境」への貢献を両立させることを目指すものであり、自社の事業活動に伴う環境負荷削減に留まらず、製品・サービスを通じて社会全体の環境課題解決に貢献することを企図している。
PGIは、主に以下の4つのインパクト創出を目指している。
Own Impact: 自社のバリューチェーン全体におけるCO2排出量削減の責任を果たす。具体的には、原材料調達から製造、物流、製品使用、廃棄に至るまでのプロセスでの排出削減を目指す。
Contribution Impact: 既存の事業分野において、顧客や社会全体のCO2排出量削減に貢献する。省エネ製品の普及やエネルギーソリューションの提供を通じて、顧客のエネルギー消費量削減を目指す。
Future Impact: 新しい技術や事業の創出を通じて、社会のエネルギー変革に貢献し、将来的なCO2排出量削減を目指す。次世代エネルギー技術などが含まれる。
+Influence: 上記3つのインパクトに加え、社会とのコミュニケーションや企業市民活動を通じて、より多くの人々の行動変容を促し、社会全体へのポジティブな影響を拡大する。
PGIにおける主要な数値目標として、パナソニックは以下の2点を掲げている。
2030年までに、自社グループの事業活動に伴うCO2排出量(Scope1およびScope2)を実質ゼロにする。
2050年までに、自社の排出削減(Own Impact)と社会への貢献(Contribution Impact, Future Impact)を合わせて、3億トン以上のCO2排出削減・回避インパクトを創出する。この3億トンという数値は、2020年時点の世界のエネルギー起源CO2排出量(約317億トン)の約1%に相当する規模である。
これらの長期目標達成に向けたマイルストーンとして、環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN 2024(GIP2024)」が策定・実行され、その進捗と実績が定期的に報告されている。
パナソニックのPGI戦略は、自社の直接的な環境負荷削減(Own Impact、2050年目標約1.1億トン)だけでなく、製品・技術を通じた社会全体の脱炭素化への貢献(Contribution/Future Impact、合計で2億トン以上の目標)を同等以上に重視している点が注目される。これは、PGI発表当初からの目標設定比率や、「回避排出量(Avoided Emissions)」という貢献量を積極的に算定・開示している姿勢からも裏付けられる。特に、車載電池、空質空調(ヒートポンプ等)、水素関連技術 といった、社会全体のCO2削減ポテンシャルが大きい事業分野への注力は、パナソニックが技術主導型企業としての強みを活かし、環境貢献を単なるコストやリスク管理ではなく、事業成長の機会として捉えている戦略を示唆している。
パナソニックは、PGIの中核的な取り組みとして、気候変動対策を強力に推進している。その目標達成に向け、CO2排出削減プログラム、再生可能エネルギー導入、気候変動適応策、そしてTCFD提言に沿った情報開示など、多岐にわたる活動を展開している。
CO2削減プログラム:
パナソニックのCO2削減プログラムは、自社の事業活動(工場・オフィス)、製品、そしてサプライチェーン全体を対象としている。
工場・オフィスにおける削減:
ゼロCO2工場の推進: 2030年までに全世界の自社工場でCO2排出量実質ゼロを達成するという野心的な目標を掲げている。2024年時点で、既に44拠点がゼロCO2工場を達成しており、着実な進捗が見られる。
省エネルギー施策: 生産効率向上に加え、スマートEMS(エネルギーマネジメントシステム)による空調自動制御 や、工場・オフィス照明のLED化、コンプレッサー制御、ミスト冷却技術の導入 など、具体的な省エネ技術を導入している。
再生可能エネルギー導入: 太陽光発電システムの導入をグローバルで推進しており、パナソニックエナジーでは地熱発電のオフサイトコーポレートPPA(電力購入契約)を締結するなど、多様な再エネ調達を進めている。
水素利活用: 草津市の燃料電池工場において、純水素燃料電池、太陽電池、蓄電池を組み合わせ、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う「RE100ソリューション」の実証実験を開始している。
製品における削減:
省エネ製品開発: 家電製品、照明器具、空調機器 など、各事業分野においてエネルギー効率の高い製品開発を推進している。
製品使用段階のCO2削減目標: バリューチェーン排出量の中で最も大きな割合を占める製品使用段階(Scope3 カテゴリ11)のCO2排出量について、2030年までに2019年度比で30%削減するという目標を設定している。
サプライチェーン(Scope3)における削減:
原材料調達(カテゴリ1)や製品使用(カテゴリ11)など、Scope3排出量の削減目標を設定し、SBTiの認定を受けている。
サプライヤーに対してグリーン調達基準書 を提示し、環境負荷低減への協力を要請するなど、サプライヤーとの協働を進めている。
再生可能エネルギー導入:
パナソニックは、2030年までの事業活動(Scope1, 2)におけるCO2排出実質ゼロ目標達成の鍵として、再生可能エネルギーの導入を加速している。具体的な導入比率目標やRE100イニシアチブへの加盟は公表されていないものの、太陽光発電の自家消費 やPPAによる外部調達 を積極的に進めている。特に、グループ会社であるパナソニックエナジーは、2025年度までに国内使用電力の再生可能エネルギー自給率を30%まで向上させる目標を掲げている。
SBTi目標:
パナソニックは、科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を設定する国際的イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)から、以下の目標について認定を受けている。
1.5℃目標(短期・中期目標):
Scope1およびScope2排出量:2030年度までに2019年度比で90%削減。
Scope3排出量(カテゴリ11:販売した製品の使用):2030年度までに2019年度比で30%削減。
Net-Zero目標(長期目標):
Scope1、Scope2およびScope3排出量:2050年度までに2019年度比で90%削減。
気候変動適応策:
気候変動の影響は地域によって異なることを認識し、影響を低減するための適応策にも取り組んでいる。
製品・ソリューションによる影響低減: 例えば、極微細ミスト噴霧機「グリーンAC Flex」は、屋外空間の冷却効果に加え、工場の製造工程における加湿用途で従来の蒸気加湿に比べ大幅な省エネ(CO2排出削減)を実現する。
自社活動への影響低減: 全製造拠点における水リスクアセスメントを実施し、事業継続への影響を評価・管理している。
TCFD提言への整合性:
パナソニックは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、そのフレームワークに基づいた情報開示を積極的に行っている。
開示項目: TCFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について、サステナビリティデータブック等で詳細な情報を開示している。
シナリオ分析: 気候変動が事業に与える影響を評価するため、複数の気候シナリオ(例:1.5℃シナリオ、4℃シナリオ)を用いた分析を実施し、その結果と戦略のレジリエンス(強靭性)について開示している。
エレクトロニクス業界共通の課題として、製品使用時のエネルギー消費に伴うScope3排出量がバリューチェーン全体の大部分を占めることが挙げられる。パナソニックも例外ではなく、Scope3、特にカテゴリ11(製品使用時)の排出量がScope1+2に比べて圧倒的に大きいことが推察される。同社はSBTiでScope3目標(30%削減)を設定しているが、この達成には、自社努力による製品の高効率化 に加え、社会インフラ(再生可能エネルギー電力網の普及)や消費者のエネルギー利用に関する行動変容が不可欠となる。そのため、PGIにおけるContribution Impact、すなわち自社製品・ソリューションを通じた社会全体の電化促進やエネルギー効率改善への貢献 と、それによる「回避排出量」を積極的にアピールすることが、Scope3実排出量削減の難しさを補完する上で、戦略的に重要性を増していると考えられる。TCFD開示においても、製品効率化やヒートポンプなどの電化ソリューション提供を戦略の中心に据えていること は、この課題認識の表れと言えるだろう。
パナソニックは、資源枯渇リスクへの対応と持続可能な社会の実現に向け、「循環型モノづくり」を進化させることを目指し、資源循環の取り組みを強化している。廃棄物削減、リサイクルの高度化、そしてサーキュラーエコノミー(CE)型ビジネスモデルの構築を三本柱としている。
廃棄物削減:
工場廃棄物ゼロエミッションの推進: パナソニックでは、工場廃棄物のリサイクル率99%以上を「ゼロエミッション」と定義し、グローバルでその達成・維持を目指している。2023年度の実績は99.3%であり、高いレベルを維持している。
具体的な削減施策: プロセス改善による生産性向上、材料歩留まりの向上、薬液や樹脂の再利用技術の開発・導入、廃棄物の有価物化(売却可能な資源への転換)などをグローバルに推進している。事例共有のための交流会なども開催されている。
リサイクル:
拠点における取り組み: グループ会社であるパナソニックエコテクノロジーセンター(PETEC)が、使用済み家電(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)のリサイクルの中心的役割を担っている。PETECは、高度な手解体と機械処理を組み合わせ、鉄、銅、アルミ、ガラス、そして多種類のプラスチックを高純度で回収する技術を有している。また、くらしアプライアンス社の加東樹脂循環工場と連携し、回収したプラスチックを製品原料として再利用する体制を構築している。
材料リサイクル:
プラスチック: 廃家電から回収したプラスチック(PP, PS, ABS等)を、独自の物性回復技術(酸化防止剤添加等)を用いて高品質な再生樹脂とし、自社の新品の冷蔵庫、洗濯機、掃除機などに積極的に利用している。再生樹脂の利用量は着実に増加しており、2023年度は約17.2kt、2023-2024年度累計では29.6ktに達している。
金属: PETEC等で回収された鉄スクラップを原料として電炉メーカーで再生された鋼板を、住宅用天井材や洗濯機部品として利用する「商品から商品へ」の循環スキームを構築している。
乾電池: 使用済み乾電池を回収し、鉄鋼材料等へのリサイクルに加え、将来的には再び乾電池の部材として利用することを目指した研究開発を進めている(「電池から電池へ」)。
リサイクル技術開発: リサイクル効率と品質向上のため、技術開発にも注力している。エアコン室外機のコンプレッサー等を自動で解体・選別するシステムや、多様な廃家電をAIで認識しロボットが自動解体するシステム(業界初)などを開発・導入している。
サーキュラーエコノミー・ビジネスモデル:
パナソニックは、製品のライフサイクル全体で資源効率を高めるため、製品設計からビジネスモデルに至るまで、サーキュラーエコノミーの考え方を導入している。
製品設計(Design for Circularity):
省資源化: 製品の企画設計段階から、製品環境アセスメントを通じて軽量化、減容化、部品点数の削減を推進している。
リサイクル容易性: 分解・分別しやすい構造(例:溶接やカシメ構造の廃止、ネジ本数削減)、樹脂部品への材質表示などを設計に取り入れている。
長期使用性: ノートPC「レッツノート」において、バッテリーの劣化度診断や充電方法制御によりバッテリー寿命を延ばす「バッテリーライフサイクルNAVI」を提供するなど、製品を長く使える工夫をしている。
モジュール化: シェーバー、トリマー、歯ブラシなどのヘッドを交換して一つのボディで使えるパーソナルケアシステム「MULTISHAPE」は、バッテリーやモーターの共有化により製品重量を約60%削減し、省資源化を実現している。
再生材・環境配慮材の利用: セルロースファイバー(間伐材等を原料とする植物繊維)を高濃度配合した樹脂「kinari」を開発し、掃除機部品などに採用している。また、海水由来のミネラル複合材「NAGORI®」をシェーバーに採用し、プラスチック使用量を削減している。
ビジネスモデルの転換:
サービス化(Product as a Service): 家電のサブスクリプションサービス「noiful」 や、照明器具の所有ではなくあかり機能を提供する「あかりEサポート」 など、モノの所有から利用へと価値提供のあり方を転換するモデルを導入している。冷凍冷蔵ショーケースにおいても、冷やす価値を提供するサービスとリファービッシュ(再生整備)を組み合わせたスキームを構築している。
シェアリング: IoT技術を活用した電動アシスト自転車のシェアリングサービスの実証実験などを行っている。
アップサイクル: 工場から排出される端材などを活用し、クリエイティブなデザインによって新たな価値を持つ製品を生み出す「リバリュープロジェクト」を推進している。
実績: GIP2024の目標の一つであった「サーキュラーエコノミーに基づくビジネスモデル・製品」の導入数は、2024年に13事業で達成された。また、2025年大阪・関西万博のパナソニックグループパビリオン「ノモの国」の建築においても、使用済み家電由来のリサイクル材や工場端材などを積極的に活用している。
パナソニックの資源循環への取り組みは、単なる廃棄物削減やリサイクル率の向上に留まらず、製品設計(例:モジュール化による省資源化)、ビジネスモデル(例:サブスクリプションによる製品寿命長期化と効率的利用)、そして自社のリサイクル技術基盤(例:PETECによる高度選別と再生材利用、自動解体技術)を統合的に組み合わせた、戦略的なサーキュラーエコノミーへの移行を目指している点が特徴的である。これは、GIP2024の目標にCEビジネスモデル導入数が含まれていること や、具体的な製品・サービス事例が豊富にあること、そして自社リサイクル拠点と製品開発部門の連携による「商品から商品へ」の循環コンセプト からも見て取れる。この動きは、E-waste問題 などの環境規制への対応という側面だけでなく、資源効率の改善によるコスト競争力の強化や、サステナビリティを重視する顧客への新たな価値提供を目指す、積極的な事業戦略と解釈できる。
パナソニックは、事業活動が森林、水、鉱物資源といった自然資本、すなわち生物多様性がもたらす生態系サービスに依存していることを認識し、その保全を重要な経営課題と位置づけている。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が掲げる2030年ミッション「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に貢献することを目指し、GIP2024においても「事業活動が生態系に与える影響を低減・回復」することを目標に掲げている。
具体的な取り組み:
基本方針とガバナンス: 生物多様性保全に関する基本方針を定め、事業活動における影響評価と保全活動を推進している。また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムへ参画し、自然関連リスク・機会に関する情報開示の準備を進めている。
持続可能な原材料調達:
木材: WWFジャパンとの協議に基づき2010年に策定した「木材グリーン調達ガイドライン」に基づき、サプライヤーに対して合法性や持続可能性に関する調査を毎年実施している。環境面や人権面への配慮の重要性が高まっていることを踏まえ、対策を検討している。
サステナブル・シーフード: WWFジャパンとの協業により、MSC(海洋管理協議会)またはASC(水産養殖管理協議会)認証を取得した水産物を社員食堂で継続的に提供している。この取り組みは国内50拠点以上に導入され、他企業への展開支援も行い、ジャパン・サステナブルシーフード・アワードを受賞している。
アブラヤシ廃材: 従来は廃棄されていたアブラヤシ(オイルパーム)の廃材から再生ボードを製造する独自技術「PALM LOOP™」を開発。これにより、廃材放置によるメタンガス発生の抑制と、新たな農地開拓のための森林伐採抑制に貢献する。マレーシアを拠点にグローバル展開も進めている。
事業拠点における保全活動:
パナソニック(株)くらしアプライアンス社 草津拠点: 拠点内の緑地「共存の森」において、地域の里山をモデルとした生物多様性保全活動を長年にわたり実施。専門家によるモニタリング、外来種管理、地域固有の種苗を用いた植生回復、社員参加型の「森の里親活動」(ドングリ育成・植樹)、小学生向け環境学習などを継続している。これらの活動が評価され、ABINC認証(いきもの共生事業所認証)、しが生物多様性取組認証(3つ星)、環境省「自然共生サイト」の認定を受けている。
パナソニック オートモーティブシステムズ(株) 松本工場: 生物多様性保全のための緑地管理計画に基づき、JHEP認証(ハビタット評価認証)Aランクを取得(現在は更新なし)。
ユニトピアささやま(パナ連合運営施設): 宿泊施設内の「里山再生エリア」が、環境省「自然共生サイト」に認定されている。
生態系に配慮した製品・サービスの開発:
照明: 生物への影響を低減する照明技術を開発。虫が誘引されにくい光を用いた「光害配慮型照明」 や、ホタルの生息環境に配慮した特殊な波長・配光のLED照明 を製品化し、自治体等に導入されている。また、虫を誘引して一箇所に留まらせることで屋内侵入を防ぐLED誘虫器「ムシキーパー」も開発している。
農業技術: シアノバクテリアの光合成能力を活用し、植物の成長を促進する分子(光合成促進物質)を生成する技術「ノビテク(バイオCO2変換)」を開発。農作物の収量増加や品質向上に貢献し、食料問題解決への貢献が期待される。
建材: 建築現場で発生する廃材や未利用木材を100%(接着剤除く)リサイクルした木質ボード「サステナブルボード」を使用した床材を開発。新たな森林伐採の抑制に貢献し、売上の一部は森林整備活動に寄付される仕組みも構築している。
社会貢献活動とパートナーシップ:
パナソニック エコリレー ジャパン(PERJ): 国内のグループ会社、労働組合、OB会が一体となり、NPOや市民団体、大学、行政など多様なステークホルダーと連携して、里山保全や河川清掃などの地域に根差した環境保全活動を継続的に実施している。
イニシアチブへの参画: 経団連自然保護協議会、企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)など、国内外の主要な環境・生物多様性関連のイニシアチブや業界団体に積極的に参画し、情報収集、連携強化、政策提言などを行っている。
パナソニックの生物多様性への取り組みは、自社拠点周辺の直接的な生態系保全活動 と、サプライチェーン(木材調達、サステナブル・シーフード)や製品開発(環境配慮型照明、PALM LOOP)を通じた間接的な影響への配慮が組み合わされている点が特徴である。特に、草津拠点の「共存の森」 のような長期的かつ外部認証を受けた拠点活動は、具体的な成果を示す好例と言える。また、WWFジャパンとの長年にわたる協業 は、NGOとのパートナーシップの重要性を示している。さらに、TNFDフォーラムへの早期からの参画 は、気候変動分野におけるTCFD対応と同様に、今後重要性が増す自然関連財務情報開示の潮流を見据え、リスクと機会の評価、そして情報開示に向けた準備を戦略的に進めていることを示唆している。サプライチェーンや製品を通じた取り組みは、リスク低減だけでなく、環境配慮型製品市場における新たな事業機会の創出にも繋がる可能性を秘めている。
パナソニックを含むエレクトロニクス・家電業界は、気候変動、資源制約、環境規制強化といった外部環境の変化に大きく影響を受ける。これらの変化は、事業継続上のリスクとなる一方で、新たな技術開発や市場創出の機会ともなり得る。パナソニックは、特にTCFD提言のフレームワークを活用し、これらのリスクと機会を特定・評価し、経営戦略に反映させている。
リスク分析(TCFDフレームワークに基づく):
パナソニックは、気候変動がもたらすリスクを「移行リスク」と「物理的リスク」に大別して評価している。
移行リスク: 低炭素社会への移行に伴う政策、法規制、技術、市場の変化に関連するリスク。
政策・法規制リスク: 炭素税や排出権取引制度(ETS)などのカーボンプライシング導入によるエネルギー調達コストや製造コストの増加。環境規制の強化(例:省エネ基準、フロン規制)に対応するためのコスト増。対策の遅れによる市場(特に欧州など規制先進地域)へのアクセス機会の喪失や取引停止リスク。
技術リスク: 低炭素技術への移行に伴う研究開発費の増大や、技術開発の遅延による競争力低下のリスク。
市場リスク: 低炭素製品・省エネ製品のコモディティ化による価格競争激化。消費者の環境意識変化による需要変動。
評判リスク: 環境対策の遅れや不備による企業イメージの低下。
物理的リスク: 気候変動による異常気象(猛暑、豪雨、台風など)の激甚化・頻発化に伴う直接的なリスク。
急性的リスク: 自然災害による工場やサプライヤーの操業停止、サプライチェーンの寸断、設備の損壊。
慢性的リスク: 平均気温上昇による冷却コストの増加、水不足による生産活動への影響、海面上昇による沿岸部拠点の浸水リスク。
パナソニックは、物理的リスクに対して、事業継続計画(BCP)の策定・見直しや生産拠点の分散化などで対応している。また、リスクの影響度について財務的評価基準(例:100億円以上を高リスク)を設定し、管理している。
機会特定:
気候変動への対応は、新たな事業機会も創出する。
グリーン市場の拡大:
脱炭素化ソリューション: 再生可能エネルギー関連機器(太陽電池、蓄電池)、電気自動車(EV)向け車載電池、ヒートポンプ式給湯・暖房システム(欧州でのAir-to-Water製品など)、水素エネルギー関連技術(燃料電池) など、脱炭素化に貢献する製品・サービスへの需要が世界的に拡大している。パナソニックはこれらを重点事業領域と位置づけ、投資を強化している。
エネルギー効率化ソリューション: 省エネ性能の高い家電製品 や空調機器、エネルギーマネジメントシステム(EMS) など、エネルギー効率改善に貢献する製品・サービス市場も成長が見込まれる。
B2Bソリューション: 企業向けの脱炭素化支援(省エネ診断、再エネ導入支援、設備更新など)も大きなビジネスチャンスとなる。
オペレーション効率の改善: 自社工場やオフィスでの省エネルギー推進は、光熱費削減に直結し、コスト競争力向上に貢献する。
ブランド価値・企業評価の向上: 気候変動対策への積極的な取り組みは、投資家、顧客、従業員からの評価を高め、ブランドイメージ向上や人材獲得に繋がる。
パナソニックはTCFDに基づきリスクと機会を分析し、その結果を経営戦略に反映させている。特に、カーボンプライシング導入などの移行リスクを強く認識する一方で、それを乗り越えるための技術開発や、車載電池、空質空調といった脱炭素化に貢献する事業分野を大きな成長機会と捉え、戦略的に注力している様子がうかがえる。PGIビジョンにおけるContribution ImpactとFuture Impactの目標値が大きいこと や、重点投資領域としてこれらの分野を挙げていること は、単なるリスク対応に留まらず、気候変動問題を事業成長の強力なドライバーと位置づける積極的な姿勢を示している。物理リスクへの対応としてBCP策定なども行っているが、戦略全体としては機会創出への重点が大きいと言えるだろう。
リスク:
規制リスク: 各国・地域における電子廃棄物(E-waste)規制の強化(例:リサイクル義務、再生材利用義務、修理する権利)によるコンプライアンスコストの増加。
資源リスク: 電子機器製造に必要なレアメタルやプラスチックなどの資源価格の高騰、供給不安定化、枯渇リスク。
サプライチェーンリスク: リサイクルインフラの未整備や地域差による回収・再資源化の非効率性。再生材の品質のばらつきや安定供給の課題。
評判リスク: 不適切な廃棄物処理や資源の過剰消費に対する社会的な批判。
機会:
コスト削減: 3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進による原材料使用量の削減、廃棄物処理コストの削減。資源効率の改善。
市場機会:
循環型製品・サービスへの需要増: 環境意識の高い消費者や企業は、耐久性が高く、修理しやすく、リサイクル材を使用した製品や、サブスクリプション、シェアリングなどのサービス利用型モデルを求める傾向にある。
リサイクル技術・ノウハウ: 高度な解体・選別・再生技術は、他社との差別化要因となり、新たなサービス提供(例:リサイクル受託)の可能性も拓く。
ブランド価値向上: サーキュラーエコノミーへの先進的な取り組みは、企業の持続可能性イメージを高める。
サーキュラーエコノミーへの移行は、規制強化というリスク側面と、新たな市場やビジネスモデル創出という機会側面の両方を持っている。パナソニックが推進するPETECを中心とした垂直統合型のリサイクル体制 や、MULTISHAPE、noiful といったサーキュラーエコノミー型製品・ビジネスモデル は、こうした規制・市場動向の変化に対応し、リスクを低減するとともに新たな機会を捉えるための戦略的な布石と評価できる。自社リサイクル拠点は、高品質な再生材の安定調達とコスト管理において強みとなり得る。また、省資源化と顧客利便性を両立する製品は、市場競争力を高める可能性がある。
リスク:
サプライチェーンリスク: 事業活動に必要な原材料(木材、鉱物資源、農産物など)の調達が、森林破壊や水質汚染など、特定の生態系や生物多様性に依存している、あるいは負の影響を与えているリスク。
オペレーショナルリスク: 事業拠点における土地利用、水利用、排出物などが、周辺の生態系に与える負の影響。
規制リスク: 生物多様性条約(CBD)やTNFDなど、自然資本に関する国際的な枠組みや情報開示要求の高まりに伴う、将来的な規制導入リスク。
評判リスク: 生物多様性への配慮を欠いた事業活動に対する社会的な批判。
機会:
新規市場・製品: 生態系保全に貢献する製品や技術(例:環境配慮型照明、持続可能な農業技術)の開発・提供。
自然資本を活用したソリューション: 生態系サービス(例:森林のCO2吸収機能、水源涵養機能)を活用した事業機会(例:カーボンクレジット、水関連サービス)。
ネイチャーポジティブ市場へのアクセス: 生物多様性保全に積極的に取り組む企業として、ESG投資家や環境意識の高い顧客からの評価向上。
レジリエンス向上: 生態系サービスの維持・向上は、気候変動緩和・適応や水資源確保にも繋がり、事業のレジリエンス(強靭性)を高める。
生物多様性に関するリスク・機会の認識と対応は、気候変動や資源循環分野と比較して、まだ発展途上の段階にある企業が多い。パナソニックの開示情報も、拠点での保全活動 や製品事例 が中心となっている。しかしながら、同社がTNFDフォーラムへ早期に参画していること は、この分野の重要性を認識し、将来的な情報開示要求や事業機会への対応準備を戦略的に進めていることを示唆している。サプライチェーンにおける木材調達ガイドラインの運用 やサステナブル・シーフードの導入、アブラヤシ廃材活用技術「PALM LOOP™」 などの取り組みは、サプライチェーン上のリスク低減と、環境配慮型製品市場における機会創出の両方を視野に入れた動きと考えられる。今後、TNFDなどのフレームワークに沿った、より定量的な影響評価や目標設定、情報開示が期待される。
パナソニックの環境への取り組みを評価する上で、エレクトロニクス・家電業界全体の動向と、先進的な企業の事例を比較参照することは有益である。
近年のエレクトロニクス・家電業界における環境持続可能性に関する主要な動向は以下の通りである。
脱炭素化の加速:
Scope1(直接排出)、Scope2(間接排出:電力使用等)だけでなく、サプライチェーン全体を含むScope3排出量の削減が重要課題となっている。特に製品使用段階の排出量削減が焦点。
再生可能エネルギーの導入がグローバルで加速しており、自社発電、PPA、証書購入など多様な手法が用いられている。RE100などの国際イニシアチブへの加盟も増加。
エネルギー効率の向上は、製品競争力とコスト削減の両面から継続的に追求されている。
TCFD提言に基づく気候関連財務情報開示や、SBTiによる科学的根拠に基づく目標設定が、業界標準となりつつある。
サーキュラーエコノミーへの移行:
製品の長寿命化(耐久性向上、ソフトウェアアップデート)、修理可能性の向上(修理部品の提供、設計改善)、リサイクル材(特にプラスチック)の利用拡大が求められている。
従来の「モノ売り」から、リース、サブスクリプション、シェアリングといったサービス化(PaaS: Product as a Service)へのビジネスモデル変革が進みつつある。
電子廃棄物(E-waste)の適切な回収・リサイクルシステムの構築・強化が急務となっている。
生物多様性への関心の高まり:
気候変動に次ぐ重要な環境課題として認識され始めている。
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などの情報開示フレームワーク開発が進んでおり、企業は自然への依存度・影響度評価、リスク・機会の特定、目標設定、情報開示への対応準備を進めている。
サプライチェーンにおける原材料調達(森林、鉱物、水産物など)が自然資本に与える影響評価と、持続可能な調達への転換が課題となっている。
ネイチャーポジティブ(自然再興)への貢献を目指す動きも出始めている。
グリーンテクノロジーの活用:
AIやIoT技術を活用したエネルギーマネジメントや製品制御による効率化が進んでいる。
植物由来プラスチックやリサイクル材などの環境配慮型新素材の開発・採用が進んでいる。
クリーンエネルギー技術(太陽光、水素、蓄電池など)の開発・導入が、自社の脱炭素化と新たな事業機会の両面から推進されている。
課題と懸念:
企業の環境配慮主張に対する信頼性(グリーンウォッシング)への懸念が高まっている。透明性の高い情報開示と第三者検証が重要。
高品質な再生材の安定供給とコスト競争力の確保が依然として課題である。
環境配慮型製品の初期コストの高さが、消費者への普及を妨げる要因となる場合がある。
持続可能な消費行動への消費者の意識改革と行動変容を促す必要性がある。
パナソニックの主要な競合他社も、これらの業界動向を踏まえ、野心的な環境目標と取り組みを進めている。
ソニー: 長期環境計画「Road to Zero」を掲げ、2040年までにバリューチェーン全体での環境負荷ゼロ(ネットゼロ)を目指すという、業界でも早期の目標を設定している。再生プラスチック「SORPLAS™」の開発・利用、製品の省エネ化、プラスチック包装材削減などを推進。CDP気候変動Aリストの常連であり、サプライヤーエンゲージメントでも高い評価を得ている。生物多様性保全にも取り組んでいる。
サムスン電子: 2022年に「新環境戦略」を発表し、気候危機克服と循環型経済への貢献を宣言。2050年までのカーボンニュートラル達成(DX部門は2030年先行達成)を目標とし、RE100にも加盟。製品へのリサイクル材利用拡大(例:漁網再生プラスチック利用)、省エネ技術開発、電子廃棄物回収プログラムのグローバル展開などを進めている。生物多様性に関する方針も策定している。
日立製作所: 長期環境目標「環境イノベーション2050」に基づき、2050年度までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル達成、2030年度までに自社の事業所(工場・オフィス)でのカーボンニュートラル達成を目指す。製品・サービスの省エネ化、3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進による資源効率向上、水資源管理、生物多様性保全(自然共生サイト認定など)に取り組んでいる。TCFD提言に沿った情報開示も行っている。
LGエレクトロニクス: ESGビジョン「Better Life for All」の下、「3Cs」(カーボンニュートラル、サーキュラリティ、クリーンテクノロジー)を環境戦略の柱としている。2030年までにScope1, 2排出量のネットゼロ達成、2050年までに全世界の事業所で100%再生可能エネルギーへの転換(RE100加盟)を目標としている。電子廃棄物の回収量や再生プラスチックの使用量を具体的に報告するなど、実績開示に積極的である。
三菱電機: 長期環境経営ビジョン「環境ビジョン2050」を掲げ、2050年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出実質ゼロ、2030年度までに工場・オフィスでの排出実質ゼロを目指す。省エネルギー製品の開発・普及、資源循環(ものづくりで発生するプラスチック等の100%有効利用目標)、自然共生(生物多様性保全活動)を推進。CDP評価では気候変動と水セキュリティの両分野で最高評価のAリストを獲得している。TCFD提言への対応も進めている。
これらの競合他社の動向と比較すると、パナソニックが掲げる目標(2030年Scope1,2実質ゼロ、2050年バリューチェーンネットゼロ)は、業界の先進的な水準にあると言える。特に、2030年のScope1, 2実質ゼロ目標は、ソニー(2030年ネットゼロ)、日立(2030年度事業所CN)、三菱電機(2030年度工場・オフィス実質ゼロ)と同等であり、サムスン(DX部門2030年CN)、LG(2030年Scope1,2ネットゼロ)とも軌を一にしている。
再生材利用やサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの導入も、各社が注力する共通のトレンドであるが、パナソニックは具体的な目標(GIP2024におけるCEモデル導入数)や実績(工場リサイクル率、再生樹脂利用量)の開示を進めている点が評価できる。ただし、LGエレクトロニクスも回収量や再生プラ利用量を報告しており、三菱電機もプラスチック100%有効利用という高い目標を掲げている など、取り組みのレベルや開示の透明性において、継続的なベンチマーキングが必要である。
パナソニックのPGI戦略における「回避排出量(Contribution Impact)」の強調 は、他社と比較して特徴的なアプローチかもしれない。これは、自社の環境負荷削減努力に加え、社会全体の脱炭素化に貢献するソリューションプロバイダーとしての価値を訴求する戦略であり、今後の評価が注目される。生物多様性分野では、拠点での具体的な保全活動実績 やTNFDへの早期参画 がパナソニックの強みとなり得る。
パナソニックの環境パフォーマンスを客観的に評価するため、主要な競合他社の取り組みと外部評価機関によるスコアを比較分析する。
本レポートでは、パナソニックと事業領域や規模が類似し、グローバル市場で競合する以下の5社を主要な比較対象とする。
ソニーグループ株式会社
サムスン電子株式会社
株式会社日立製作所
LGエレクトロニクス株式会社
三菱電機株式会社
気候変動:
カーボンニュートラル目標:
パナソニック: 2030年 Scope1,2実質ゼロ / 2050年 バリューチェーンネットゼロ
ソニー: 2030年 Scope1,2ネットゼロ / 2040年 バリューチェーンネットゼロ
サムスン電子: 2030年 DX部門CN / 2050年 全社CN
日立製作所: 2030年度 事業所CN / 2050年度 バリューチェーンCN
LGエレクトロニクス: 2030年 Scope1,2ネットゼロ / 2050年 再エネ100%
三菱電機: 2030年度 工場・オフィス実質ゼロ / 2050年度 バリューチェーン実質ゼロ
各社とも野心的な長期目標を設定している。ソニーの2040年バリューチェーンネットゼロ目標は特に意欲的である。パナソニックの目標設定は業界の先進グループに属する。
SBTi認定: パナソニック、日立製作所、三菱電機 など、多くの企業がSBTi認定を取得し、科学的根拠に基づいた目標設定を行っている。ソニーも目標を設定している。
再生可能エネルギー: サムスン電子、LGエレクトロニクス はRE100に加盟。パナソニック、ソニー、日立製作所、三菱電機 も再エネ導入を積極的に進めているが、RE100加盟状況は異なる。パナソニックエナジーは国内再エネ自給率30%目標(2025年度)を掲げる。
Scope3削減策: 各社とも製品使用段階のエネルギー効率向上が中心。サプライヤーエンゲージメントも共通の課題。
TCFD開示: パナソニック、サムスン電子、日立製作所、三菱電機、京セラ(参考)、TDK(参考) など、多くの企業がTCFD提言に賛同し、情報開示を進めている。開示の詳細度には差が見られる可能性がある。
資源循環:
再生材利用: 各社とも再生プラスチックの利用拡大に取り組んでいる。
パナソニック: 2023年度実績約17.2kt、2024年累計29.6kt。
LGエレクトロニクス: 2022年に32,987トン使用(前年比25%増)。
サムスン電子: 2025年までに全製品に再生材使用目標。漁網再生プラなどを活用。
ソニー: 自社開発の再生プラ「SORPLAS™」を利用。
三菱電機: ものづくり排出プラ100%有効利用目標。
目標設定や実績開示のレベルにはばらつきがある。パナソニックとLGは具体的な数値を報告している。
廃棄物削減:
パナソニック: 工場リサイクル率99.3%(2023年度)。ゼロエミッション推進。
LGエレクトロニクス: 韓国事業所でZWTL(Zero Waste to Landfill)認証取得。
日立製作所: 2023年度に146拠点がZero Waste to Landfill達成。
サムスン電子: 2025年までに廃棄物埋立ゼロ目標。
各社とも工場廃棄物削減には注力している。
CEビジネスモデル: パナソニックは13事業でCEモデル導入、具体的なサービス例(MULTISHAPE, noiful, あかりEサポート)が多い。他社もサービス化やリファービッシュなどを進めているが、パナソニックの取り組みは多角的である。
電子廃棄物回収: 各社ともグローバルで回収スキームを運営している。
パナソニック: PETEC中心に国内で高度なリサイクル実施。
LGエレクトロニクス: 2022年に52カ国で47万トン以上回収、累計約400万トン。
サムスン電子: グローバルで回収・リサイクルを推進。
回収量やリサイクル技術の詳細な比較は困難だが、各社とも重要な取り組みと位置づけている。
生物多様性:
方針・目標: 各社とも生物多様性保全の重要性を認識し、方針を策定している場合が多い。しかし、気候変動分野ほど定量的な目標設定は進んでいない傾向にある。
拠点活動: パナソニック(草津、ささやま)、日立(国分寺、水戸等)、三菱電機 など、自社拠点での緑地保全や生態系調査、地域連携活動を実施している事例が見られる。パナソニックの「自然共生サイト」認定 は先進的な取り組み。
サプライチェーン: パナソニックは木材 や水産物 で具体的な調達方針や認証活用を進めている。他社もグリーン調達基準などで言及している場合があるが、詳細な取り組みは要確認。
イニシアチブ参加: パナソニックはTNFDフォーラムに参画。他社のTNFD等への関与状況も注目される。
主要な外部評価機関による環境関連スコアを比較する。なお、スコアは評価機関や評価時期によって変動する可能性がある点に留意が必要である。
CDP(旧Carbon Disclosure Project): 気候変動、水セキュリティ、フォレストに関する企業の環境情報開示とパフォーマンスを評価する国際NGO。
気候変動スコア(2024年評価):
パナソニック: Aリスト
三菱電機: Aリスト
ソニー: Aリスト(2025年2月発表)
サムスン電子: (提供情報なし)
日立製作所: (提供情報なし)
LGエレクトロニクス: (提供情報なし)
水セキュリティスコア(2024年評価):
三菱電機: Aリスト
パナソニック: (提供情報なし、過去にはAリスト獲得歴あり)
ソニー: (提供情報なし)
他競合: (提供情報なし)
CDP評価において、パナソニック、三菱電機、ソニーは気候変動分野でリーダー企業として認識されている。三菱電機は水セキュリティ分野でも最高評価を得ている。
MSCI ESG Ratings: ESG全般のリスクと機会に対する企業の管理能力を評価する大手評価機関。評価はAAA(最高)~CCC(最低)の7段階。
パナソニック: AA(2023年評価)
ソニー: AAA(2024年評価、6年連続)
サムスン電子: (提供情報なし)
日立製作所: (提供情報なし)
LGエレクトロニクス: (提供情報なし)
三菱電機: (提供情報なし、三菱マテリアルズはAA)
MSCI評価では、ソニーが業界最高水準のAAA評価を維持しており、パナソニックのAA評価も良好なレベルである。両社ともMSCIの主要なESGインデックスの構成銘柄に選定されている。
Sustainalytics ESG Risk Rating: 企業のESGリスクへのエクスポージャー(晒され度)とリスク管理能力を評価。スコアが低いほどリスクが低いとされる(0~10: Negligible, 10~20: Low, 20~30: Medium, 30~40: High, 40+: Severe)。
パナソニック: 31.1 High Risk(2024年5月時点)。産業コングロマリット分類で131社中23位。リスク管理能力(Management)は「Strong」評価。
三菱電機: 25.3 Medium Risk(2025年3月時点)。電気機器分類で313社中109位。
ソニー: (提供情報なし)
サムスン電子: (提供情報なし)
日立製作所: (提供情報なし)
LGエレクトロニクス: (LG Energy Solutionは24.2 Medium Risk、LG Electronics本体は不明)
Sustainalytics評価では、パナソニックは「High Risk」と評価されているが、リスク管理能力自体は「Strong」と評価されており、特定のリスク要因(例:事業構成、地政学リスク等)がスコアに影響している可能性がある。三菱電機は「Medium Risk」評価。
その他の評価:
パナソニックはFTSE Russell社のFTSE4Good Index Series、FTSE Blossom Japan Index、FTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄。
ソニーも同様のFTSEインデックス構成銘柄であり、加えて米Ethisphere Instituteの「World's Most Ethical Companies」に7年連続で選定されている。
これらのベンチマーク結果から、パナソニックの環境パフォーマンスは、特に気候変動対策において業界のリーダーグループに位置づけられることが確認できる(CDP Aリスト)。MSCI ESG評価(AA)も良好な水準であるが、最高評価のソニー(AAA)には一歩及ばない。一方で、Sustainalyticsの評価(High Risk)は、他の評価機関と異なる視点を示唆しており、注意が必要である。この評価機関によるスコアの差異は、各機関の評価方法論の違い(例:CDPは気候変動に特化、MSCIはESG全般、Sustainalyticsはリスク管理重視)を反映していると考えられる。パナソニックとしては、各評価機関からのフィードバックを分析し、リスク管理体制の強化や情報開示の改善を通じて、総合的なESGパフォーマンス向上を目指すことが重要となる。特にSustainalyticsの評価については、リスクが高いと判断された具体的な要因を特定し、それに対する管理策の有効性をより明確に説明していくことが、投資家との対話において求められるだろう。
パナソニックは、PGIビジョンの下で意欲的な環境目標を掲げ、多岐にわたる取り組みを推進しているが、目標達成と持続的な環境リーダーシップの確立に向けては、いくつかの重要な課題に直面している。
Scope3排出量削減の加速化: バリューチェーン全体の排出量の大部分を占める製品使用段階(カテゴリ11)のCO2排出量削減 は、依然として最大の課題である。SBTi認定の30%削減目標(2030年/2019年比) 達成には、自社での省エネルギー技術の飛躍的な向上だけでなく、社会インフラとしての再生可能エネルギー電力の普及や、消費者の省エネ行動への変容が不可欠となる。Contribution Impactによる「回避排出量」の訴求 は戦略的に有効であるが、実排出量そのものの削減に向けた取り組みの進捗と、その透明性ある開示が今後ますます重要になる。
サーキュラーエコノミーのスケールアップと経済性両立: PETECを中心としたリサイクル体制 や、MULTISHAPE のようなCE製品、noiful のようなCEビジネスモデルの導入 は進んでいるものの、これらがグループ全体の売上や資源消費量削減に与えるインパクトをさらに拡大していく必要がある。そのためには、成功事例の横展開、サプライチェーン全体を巻き込んだ連携強化、そして再生材の品質確保とコスト競争力の維持 が課題となる。特に、高品質な再生材の安定調達は業界共通の課題であり、技術開発とサプライヤーとの強固なパートナーシップ構築が鍵となる。
生物多様性への取り組み深化と情報開示の高度化: TNFDフレームワーク など、自然関連リスク・機会に関する情報開示要求は今後高まることが予想される。パナソニックはTNFDフォーラムに参画しているものの、サプライチェーン全体(特にリスクの高い原材料調達)における生物多様性への依存度・影響度の定量的な評価、それに基づく具体的な削減・保全目標の設定、そして進捗状況の可視化は、今後の重要な課題である。拠点レベルでの先進的な取り組み を、より広範なバリューチェーンへと展開していく必要がある。
外部評価のばらつきへの対応とコミュニケーション: CDP(Aリスト)やMSCI(AA)で高い評価を得ている一方で、SustainalyticsではHigh Risk評価 を受けている。この評価の差異が生じる要因(事業ポートフォリオのリスク特性、開示情報の解釈、評価方法論の違いなど)を詳細に分析し、投資家や評価機関との対話を深め、リスク管理体制の有効性や取り組みの進捗について、より透明性が高く、説得力のある情報開示を行っていく必要がある。
上記の課題認識に基づき、パナソニックが今後、環境分野でのリーダーシップを強化し、持続可能な成長を実現するために注力すべき戦略的提言を以下に示す。
気候変動:
Scope3削減ロードマップの具体化と開示強化: 製品使用段階(カテゴリ11)の排出削減目標達成に向けた具体的な道筋を示すロードマップを策定し、開示を強化する。これには、省エネ技術開発のマイルストーン、重点製品分野、Contribution Impact(回避排出量)の算定根拠と実績、エネルギー政策への提言活動、消費者への省エネ啓発・行動変容促進策などを盛り込む。
再生可能エネルギー調達戦略の多様化と加速: 2030年のScope1, 2実質ゼロ目標達成に向け、グローバルな全事業拠点における再生可能エネルギー導入比率向上を加速する。自家消費型太陽光発電の拡大に加え、オフサイトPPA(長期電力購入契約)、バーチャルPPA、再生可能エネルギー証書の活用など、地域特性やコスト効率を考慮した多様な調達手法を組み合わせる。国際イニシアチブであるRE100への加盟も、コミットメント強化と外部へのアピールの観点から検討に値する。
インターナルカーボンプライシング(ICP)の活用深化: 現在、設備投資判断に導入しているICP の適用範囲を拡大し、製品開発における環境性能目標設定、サプライヤー選定基準、研究開発テーマの優先順位付けなど、より広範な経営上の意思決定プロセスに組み込むことを検討する。これにより、組織全体での脱炭素化へのインセンティブを高める。
資源循環:
CEビジネスモデルの横展開と収益性強化: MULTISHAPE やnoiful のような成功事例を分析し、他事業部への適用可能性を検討・推進する。特に、サブスクリプションやPaaS(Product as a Service)モデルは、顧客との継続的な関係構築、安定収益確保、製品の効率的な回収・再利用・再製造に繋がるため、戦略的に強化する。
再生材利用技術の開発とサプライチェーン連携強化: PETEC における高度選別・物性回復技術のさらなる向上を図るとともに、外部のリサイクル事業者や素材メーカーとの連携を強化し、高品質な再生材の安定調達網を構築する。特に、製品設計の初期段階から再生材の利用を前提とし、サプライヤーと共同で材料開発や品質基準設定を行う「共創」アプローチを推進する。
使用済み製品回収スキームの高度化: 消費者や法人顧客からの使用済み製品回収率を向上させるため、回収インセンティブ(下取り、ポイント付与等)の設計、効率的な回収物流ネットワークの構築、異業種連携(例:小売店、自治体)による回収チャネルの多様化などを検討する。回収した製品の状態に応じた最適な再資源化(リユース、リペア、リマニュファクチャリング、マテリアルリサイクル)プロセスの確立も重要である。
生物多様性:
TNFDフレームワークに沿った情報開示準備の加速: TNFDの最終提言(LEAPアプローチ等)に基づき、自社の事業活動が自然に与える影響(Impacts)と自然への依存度(Dependencies)を評価し、重要なリスクと機会を特定するプロセスを本格化させる。これに基づき、測定可能な目標を設定し、ガバナンス体制を整備し、段階的に情報開示を進める。
サプライチェーンにおける生物多様性デューデリジェンスの強化: 特にリスクが高いと想定される原材料(例:木材、紛争鉱物に関連する鉱物資源、水リスクの高い地域からの調達品など)について、トレーサビリティを確保し、サプライヤーに対する調査やエンゲージメントを通じて、生物多様性への負の影響を評価し、リスク低減策(例:認証材調達、代替材開発、サプライヤー支援)を導入する。
ネイチャーポジティブ貢献の定量化と発信: 草津拠点「共存の森」 や「PALM LOOP™」 など、生物多様性保全や自然資本再生に貢献する取り組みについて、可能な範囲で定量的な評価(例:保全面積、CO2吸収量、資源代替効果)を行い、その価値を積極的に社内外に発信する。これにより、環境貢献と企業価値向上の両立を示す。
全般:
ESGデータマネジメント基盤の強化: グループ全体で、環境(特にScope3排出量、資源循環指標、生物多様性関連データ)、社会、ガバナンスに関するデータの収集・集計・分析プロセスを標準化・効率化し、データの精度と適時性を向上させる。これにより、迅速な意思決定、目標管理、そして外部評価機関や投資家に対する透明性の高いレポーティングを可能にする。
本レポートでは、パナソニックホールディングス株式会社の環境イニシアチブとパフォーマンスについて、気候変動、資源循環、生物多様性の3つの重点分野を中心に包括的な分析を行った。
分析の結果、パナソニックは長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」の下、意欲的な目標を設定し、多岐にわたる具体的な取り組みを推進していることが明らかになった。特に、気候変動対策においては、2030年までのScope1, 2排出実質ゼロ、2050年までのバリューチェーンネットゼロという目標を掲げ、ゼロCO2工場の推進、再生可能エネルギー導入、省エネ製品開発などを着実に進めており、CDP気候変動評価で最高ランクのAリストを継続して獲得している点 は高く評価できる。資源循環に関しても、工場廃棄物の高いリサイクル率(99.3%)の維持、PETECを中心とした高度なリサイクル技術と再生材利用、そしてMULTISHAPEやnoifulといったサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの導入 など、先進的な取り組みが見られる。生物多様性分野においても、草津拠点「共存の森」 に代表される拠点での保全活動や、WWFジャパンとの協業によるサステナブル・シーフード導入、TNFDフォーラムへの早期参画 など、業界をリードする可能性のある活動を展開している。
一方で、今後の課題も明確になった。最大の課題は、バリューチェーン排出量の大部分を占めるScope3(特に製品使用段階)の排出量削減であり、目標達成には技術革新と社会システム変革への貢献が不可欠である。また、サーキュラーエコノミーについては、先進的な取り組みをグループ全体でスケールアップさせ、経済性と両立させながら資源消費量削減へのインパクトを最大化していく必要がある。生物多様性に関しては、TNFDなどの新しいフレームワークに対応し、サプライチェーン全体での影響評価や定量的な目標設定、情報開示の高度化が求められる。さらに、外部評価機関による評価のばらつき は、リスク管理と情報開示戦略における改善の余地を示唆している。
競合他社(ソニー、サムスン電子、日立製作所、LGエレクトロニクス、三菱電機 など)も同様に高い環境目標を掲げ、取り組みを強化しており、業界内での競争は激化している。
これらの分析を踏まえ、本レポートでは、パナソニックが持続可能な成長を達成し、環境分野におけるリーダーシップを確固たるものにするために、以下の戦略的行動を推奨する。第一に、Scope3排出削減ロードマップの具体化と開示強化により、目標達成への道筋を明確にすること。第二に、サーキュラーエコノミー・ビジネスモデルの横展開と収益化、および再生材利用技術・サプライチェーン連携の強化により、資源循環を事業成長に繋げること。第三に、TNFDフレームワークへの対応準備を加速し、自然関連リスク・機会への対応力を高めること。そして第四に、ESGデータマネジメント基盤を強化し、透明性の高い情報開示を通じてステークホルダーとの建設的な対話を継続することである。
これらの提言を実行することにより、パナソニックは環境課題への対応を企業価値向上へと繋げ、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立というビジョンの実現に、より一層近づくことができると結論付ける。
2023年 | 320,000t-CO2 |
2022年 | 410,000t-CO2 |
2021年 | 330,000t-CO2 |
2023年 | 1,210,000t-CO2 |
2022年 | 1,440,000t-CO2 |
2021年 | 1,730,000t-CO2 |
2023年 | 125,000,000t-CO2 |
2022年 | 127,370,000t-CO2 |
2021年 | 98,050,000t-CO2 |
スコープ1+2 CORの過去3年推移
2023年 | 180kg-CO2 |
2022年 | 221kg-CO2 |
2021年 | 279kg-CO2 |
スコープ3 CORの過去3年推移
2023年 | 14,712kg-CO2 |
2022年 | 15,201kg-CO2 |
2021年 | 13,270kg-CO2 |
スコープ1+2のCOA推移
2023年 | 163kg-CO2 |
2022年 | 230kg-CO2 |
2021年 | 257kg-CO2 |
スコープ3のCOA推移
2023年 | 13,282kg-CO2 |
2022年 | 15,804kg-CO2 |
2021年 | 12,220kg-CO2 |
2023年 | 8兆4964億円 |
2022年 | 8兆3789億円 |
2021年 | 7兆3888億円 |
2023年 | 4,440億円 |
2022年 | 2,655億円 |
2021年 | 2,553億円 |
2023年 | 9兆4112億円 |
2022年 | 8兆595億円 |
2021年 | 8兆236億円 |
すべての会社と比較したポジション
業界内ポジション
CORスコープ1+2
CORスコープ3
CORスコープ1+2
CORスコープ3
COAスコープ1+2
COAスコープ3
COAスコープ1+2
COAスコープ3