GX RESEARCH
更新日: 2025/5/9

日本たばこ産業

2914.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
環境スコア205
売上
2,841,077百万円
総資産
7,282,097百万円
営業利益
672,410百万円

COR(売上高炭素比率)

年間CO2排出量(kg)÷ 売上高(百万円)
Scope1+2
205kg
Scope3
2,815kg

COA(総資産炭素比率)

年間CO2排出量(kg)÷ 売上高(百万円)
Scope1+2
80kg
Scope3
1,098kg

Scope1

事業者自らによる直接排出
342,000t-CO2
2023年実績

Scope2

エネルギー消化に伴う間接排出
240,000t-CO2
2023年実績

Scope3

事業者の活動に関連する他社の排出
7,997,000t-CO2
2023年実績

スコープ3カテゴリー別データ

カテゴリー2021年度2022年度2023年度
1購入した製品・サービス
5,101,000
5,734,000
(633,000)
6,466,000
(732,000)
2資本財
260,000
233,000
(27,000)
299,000
(66,000)
3燃料・エネルギー関連活動
196,000
182,000
(14,000)
175,000
(7,000)
4輸送・配送(上流)
381,000
459,000
(78,000)
414,000
(45,000)
5事業から発生する廃棄物
10,000
8,000
(2,000)
9,000
(1,000)

国際イニシアティブへの参加

check
SBT
RE100
EV100
EP100
UNGC
30by30
GXリーグ

ガバナンス・フレームワーク開示

check
サステナビリティ委員会
check
TCFD・IFRS-S2
TNFD
潜在的環境財務コスト(シナリオ別試算)
2023年度排出量データ: スコープ1(342,000t)、 スコープ2(240,000t)、 スコープ3(800万t)
低コストシナリオ
想定単価: 3,000円/t-CO₂
スコープ1:10.3億円
スコープ2:7.2億円
スコープ3:239.9億円
総額:257.4億円
売上高比率:0.91%
中コストシナリオ
想定単価: 5,000円/t-CO₂
スコープ1:17.1億円
スコープ2:12億円
スコープ3:399.9億円
総額:428.9億円
売上高比率:1.51%
高コストシナリオ
想定単価: 10,000円/t-CO₂
スコープ1:34.2億円
スコープ2:24億円
スコープ3:799.7億円
総額:857.9億円
売上高比率:3.02%
※潜在的環境財務コストは、仮想的なカーボンプライシングシナリオをもとに算出した参考値です。

環境への取り組み

環境負荷低減および資源循環型社会の実現

J&T環境とベステラ、環境負荷低減と資源循環型社会実現へ業務提携

JTグループのJ&T環境株式会社はベステラ株式会社と、環境負荷低減および資源循環型社会の実現に向けた業務提携契約を締結。解体工事に伴う廃棄物の効率的処理・再資源化推進、処理困難物の適正処理体制構築などで協力し、企業価値向上を目指します。

森林保全活動

JT、社会貢献活動を紹介する新CM「森について考える午後」等を放映開始

JTは、森林保全活動「JTの森」や地域清掃活動「ひろえば街が好きになる運動」といった社会貢献活動を紹介する新テレビCM「森について考える午後」篇、「ひろうを考える午後」篇を2023年6月2日より全国で放映開始しました。持続可能な社会への貢献を発信します。

森林保全活動

JT、「JTの森」活動が林野庁「森林×脱炭素チャレンジ2023」で優秀賞初受賞

JTは、全国で展開する森林保全活動「JTの森」におけるCO2吸収量と森林整備の取り組みが評価され、林野庁主催「森林×脱炭素チャレンジ2023」で優秀賞を初受賞しました。生物多様性保全と気候変動緩和への貢献が認められたものです。

気候変動関連のリスク・機会

※掲載情報は公開資料をもとに作成しており、全てのリスク・機会を網羅するものではありません。 より詳細な情報は企業の公式発表をご確認ください。

リスク

移行リスク

炭素税やプラスチック規制(容器包装材やフィルター)、森林破壊防止規則等の強化は、JTの調達コスト増・税負担増に繋がる重要リスクです。特にScope3排出量は2023年に2019年比3%増と目標達成に課題を抱えており 、規制遵守コストと事業変革の必要性が高まっています。アナリストはこれらの財務的影響を注視しています。

物理的リスク

気候変動に伴う異常気象(干ばつ、洪水等)は、JTが約40カ国から調達する葉たばこ栽培に深刻な打撃を与え、品質低下、収量減、調達コスト増のリスクとなります 。2023年のScope3排出量(購入物品・サービス由来)は7,997千トン-CO_2eに上り 、サプライチェーンの脆弱性管理が経営の重要課題です。

機会

RRP(リスク低減製品)市場でのリーダーシップ確立(2026年までにRRPコア売上倍増超が目標 )、省エネや廃棄物削減等による資源効率化を通じたコスト削減、そして6年連続のCDP気候変動Aリスト選定 に代表されるESG評価向上による投資家からの資金調達機会が主要な事業機会です。環境配慮型製品とブランド価値向上が持続的成長を牽引すると期待されます。

目標

JTグループは2030年までに事業活動でのカーボンニュートラル、2050年までにバリューチェーン全体でのネットゼロを目指します 。Scope1・2排出量を2030年に19年比47%削減 、再エネ電力比率を2030年に50% 、たばこ事業工場廃棄物の埋立ゼロ(2030年)、容器包装材100%再利用等可能化(2030年)、たばこサプライチェーンでの管理林破壊ネットゼロ(2030年) 等を掲げています。

環境アナリストレポート

日本たばこ産業(JT)の環境イニシアチブとパフォーマンスに関する包括的分析

I. 日本たばこ産業(JT)の環境戦略とガバナンスの概観

JTの経営理念とサステナビリティ

日本たばこ産業(JTグループ)の経営の根幹には、「4Sモデル」という理念が存在します。これは、お客様、株主、従業員、そして社会全体という4つの主要なステークホルダーに対する責任を全うすることを追求するものです 1。このモデルは、単に責任を果たすだけでなく、これらのステークホルダーの期待を超える価値を提供することを目指しており、環境への配慮もその重要な一環として明確に位置づけられています。JTグループは、この4Sモデルを具現化することを通じて、環境と社会の持続可能性に貢献していく方針です 2

JTグループのサステナビリティへの取り組みにおいて、マテリアリティ(重要課題)の特定は中心的な役割を担っています。このプロセスは2013年に開始され、外部および内部のステークホルダーへのインタビューを経て、2015年に初めてJTグループ全体を網羅する形でマテリアリティが特定されました 4。その後、外部環境や事業環境の変化を踏まえ、2021年にはこのマテリアリティ・フレームワークが更新されています。特筆すべきは、この更新において「ダブルマテリアリティ」という概念が採用された点です 4。これは、環境・社会課題がJTグループの事業(財務、戦略等)に与える影響(財務的マテリアリティ)と、JTグループの事業活動が環境・社会に与える影響(環境・社会マテリアリティ)の両側面を考慮するアプローチであり、JTグループの持続的な成長と社会の持続可能性の両立を目指す上で不可欠な視点です。このマテリアリティ評価プロセスの進化は、JTグループがESG(環境・社会・ガバナンス)課題に対する理解を深め、単なる財務的影響を超えて、より広範な社会的・環境的影響を考慮する方向に進んでいることを示唆しています。この変化は、増大するステークホルダーからの期待や、より洗練されたESGフレームワークへの対応を反映したものであり、ESG評価の向上や投資家へのアピールを意識した動きと考えられます。

JTグループは、「Fulfilling Moments, Enriching Life」(かけがえのないひとときを、もっと豊かに)というグループPurposeを掲げており、このPurposeの実現が環境および社会の持続可能性への貢献と深く結びついていると認識しています 2

環境ガバナンス体制

JTグループにおける環境ガバナンス体制は、経営戦略における環境課題の重要性を反映したものとなっています。特に気候関連課題については、取締役会レベルで四半期ごとに議論されるなど、トップマネジメントが深く関与しています 5。JTグループは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しており 5、このような取締役会レベルでの監督はTCFDの推奨事項にも合致するものです。

サステナビリティ担当役員のリーダーシップも、JTグループの環境戦略推進において重要な役割を果たしています。例えば、今川久人氏(Senior Vice President, Chief Sustainability Officer)は、CDP(気候変動に関する情報開示を推進する国際NGO)からの評価において、JTグループの取り組みを発信するなど、スポークスパーソンとしての役割も担っています 2。専門役員の設置は、サステナビリティに対する企業としてのコミットメントを示すものです。

しかしながら、たばこ産業が抱える製品特性と持続可能性との間の本質的な緊張関係を考慮すると、これらのガバナンス体制の真価は、形式的な整備に留まらず、実際の経営判断や資源配分にどれだけの影響を与えられるかにかかっています。特に、リスク低減製品(RRP)の環境影響への対応や、野心的なScope3排出量削減目標の達成といった変革的な取り組みを推進できるかどうかが問われます。既存事業の効率改善やコンプライアンス遵守といった漸進的な取り組みに終始するのではなく、長期的な環境目標と短期的な財務的圧力とのバランスをとりながら、具体的な変革を主導できるかという点が、このガバナンス体制の有効性を測る上での試金石となるでしょう。

II. JTグループの主要環境分野における具体的取り組み

JTグループは、「気候変動への対応」「資源循環の推進」「生物多様性の保全」「水資源管理」を環境戦略の柱とし、それぞれ具体的な目標とイニシアチブを設定・実行しています。

A. 気候変動への対応

JTグループは、パリ協定の目標達成に貢献するため、温室効果ガス(GHG)排出量削減と再生可能エネルギー導入を積極的に推進しています。

GHG排出削減目標と実績

JTグループは、気候変動問題の深刻さを認識し、GHG排出量削減に向けて野心的な目標を設定しています。具体的には、2030年までにJTグループの事業活動におけるカーボンニュートラルを達成し、さらに2050年までにはバリューチェーン全体でのネットゼロエミッションを目指しています 6

これらの長期目標達成に向けたマイルストーンとして、以下の短期・中期目標が設定されています。

  • Scope1(直接排出)およびScope2(間接排出:購入エネルギー由来)のGHG排出量について、2030年までに2019年比で47%削減する。この目標は、気候変動に関する科学的知見に基づき、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑えるための経路と整合しており、SBTi(Science Based Targets initiative)の認定を受けています 6

  • Scope3(その他の間接排出)のうち、購入する原材料・サービスに由来するGHG排出量について、2030年までに2019年比で28%削減する 6

これらの目標に対する進捗として、Scope1および2の排出量は、2022年時点で2019年比16%削減 15、2023年時点では同19%削減を達成しています 16。一方で、Scope3の購入原材料・サービス由来の排出量は、2022年時点で2019年比11%削減しましたが 15、2023年には事業規模拡大や気象影響等により、葉たばこの乾燥工程における再生可能な燃料源への転換に時間を要している国(タンザニア等)からの調達量を一時的に増やしたことなどを主因として、2019年比で3%増加しました 14

2023年の具体的なGHG排出量実績(千トン-CO2​e)は以下の通りです 18

  • スコープ1:320

  • スコープ2:240

  • スコープ1+2 計:582

  • スコープ3 計:7,997

Scope3排出量が2023年に増加した事実は、野心的な長期削減目標を持つJTグループにとって、特に農業サプライチェーンの脱炭素化がいかに困難であるかを浮き彫りにしています。「事業規模拡大や気候変動の影響」14 により、再生可能エネルギーによる乾燥方法の導入が遅れている地域からの調達を増やさざるを得なかったという理由は、外部要因がJTのScope3排出量管理能力を大きく左右しうる脆弱性を示しています。これは、バリューチェーン全体での2050年ネットゼロ目標達成が、葉たばこ乾燥技術の抜本的革新や、現在以上に踏み込んだサプライヤーとの協働にかかっていることを示唆しています。

再生可能エネルギーと省エネルギー

GHG排出量削減の鍵となる再生可能エネルギーの導入目標として、JTグループは電力使用量に占める再生可能エネルギー由来の比率を2030年までに50%、2050年までに100%とすることを掲げています 6。特にたばこ事業においては、この目標を前倒しし、2025年までに50%、2040年までに100%としています 9

2023年におけるJTグループ全体の再生可能エネルギー電力比率は26%であり 14、2019年の14%から着実に増加しています 18。また、2023年の総エネルギー消費量は9,531 TJでした 18

具体的な省エネルギー及び再生可能エネルギー導入事例としては、以下のような取り組みが挙げられます。

  • ヨルダン工場では、世界で初めてタバコ工場として直接太陽熱蒸気生成システムを導入し、熱エネルギーを製造プロセス、暖房、冷房に利用しています 1

  • 台湾工場は、JTIとして初めてGreen Business Certification Inc.からLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証を取得しました 1

  • マラウイ工場では、2015年から2017年の間に電力消費量を約65%削減しました 1

  • 国内事業所では、グリーン電力証書・熱証書の購入や、廃棄物発電により得られた電力の利用を進めています 17

  • JTグループのJ&T環境株式会社(以下、J&T環境)では、CNG(圧縮天然ガス)車の導入や事業所への太陽光発電設備の設置を行っています 21

グリーンモビリティと物流

JTグループは、バリューチェーンにおけるGHG排出量削減の一環として、物流効率化と環境負荷低減にも取り組んでいます。たばこ事業では、物流・配送車両に由来する排出量削減に特化した「グリーンモビリティプログラム」を展開しています 11

国内物流においては、環境負荷の少ない鉄道貨物輸送への転換(モーダルシフト)を推進し、積載率向上にも努めています。これらの積極的な取り組みが評価され、国土交通省より「エコレールマーク取組企業」として認定されています 17。さらに、JTグループの物流を担う株式会社TSネットワークは、株式会社日立製作所と協創し、電気トラックの試験走行を通じたデータ分析やシミュレーションを実施し、物流拠点における電気トラックへの置き換えや最適な配送・充電オペレーションの構築を進めています 17

TCFD提言への対応

JTグループは、気候変動が事業に与える財務的影響の重要性を認識し、2020年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言への賛同を表明しました 5。これに基づき、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4項目について情報開示を進めています 5

戦略面では、複数の気候変動シナリオ(1.5℃上昇、4℃上昇、IEA NZE2050、IPCC RCP2.6、RCP8.5等)を用いた分析を実施し、主要なリスクとして「炭素税負担等の増加」と「作物生育環境の変化」を特定しています 5。これらのリスクに対し、サプライヤーエンゲージメントを通じた脱炭素化の推進やスマート農業の活用といった緩和策を講じています 6。JTグループのTCFD報告ではこれらのリスクが特定され、緩和戦略の概要が示されていますが、これらのリスクが持つ財務的影響の具体的な定量化や、気候変動への適応策と緩和策それぞれに割り当てられる具体的な投資額については、提供された情報からは必ずしも明確ではありません。JTグループの気候変動に対する真の準備状況を評価するためには、この点に関するより詳細な財務情報の開示が望まれます。

B. 資源循環の推進

JTグループは、資源の有効活用と廃棄物削減を重要な環境課題と捉え、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進とサーキュラーエコノミーへの移行を目指しています。

廃棄物削減目標と実績

廃棄物管理における主要目標として、たばこ事業の工場から排出される廃棄物の埋立ゼロを2030年までに達成することを掲げています 6。また、JTグループ環境計画2030で設定された、たばこ事業における廃棄物発生量を2015年比で20%削減する目標は、計画を前倒しして達成済みです 7

2023年のJTグループ全体の総廃棄物量は116千トンで、そのうちリサイクル量(堆肥化を含む)は91千トンであり、リサイクル率は約78.45%と算出されます 18

J&T環境では、より具体的な資源循環の取り組みとして、建設系廃材からのプラスチック類・木くず・金属くずの回収、使用済み太陽光パネルからのガラス・アルミ・銀などの回収、そして回収した廃プラスチック類をプラスチックペレットやRPF(固形燃料)に加工し、燃料や製鉄原料のコークス代替として利用するなどのマテリアルリサイクルを推進しています 21

容器包装材の持続可能性

製品の容器包装材に関しても、環境負荷低減に向けた目標が設定されています。JTグループ全体でプラスチックを含む容器包装材の使用量を削減するとともに、再使用または再生利用可能な容器包装材の割合を2025年までに88%(たばこ事業では85%)、2030年までに100%にすることを目指しています 6。2023年の実績では、グループ全体で88%を達成しています 16

さらに、たばこ事業における容器包装材総重量のうち、リサイクル材の使用率については、2025年までに20%とする目標を掲げており 6、2023年実績で19%となっています 16。たばこ事業の包装材におけるプラスチックの重量比率は7%と比較的低いものの、バージンプラスチックの使用量削減にも取り組んでいます 20

リスク低減製品(RRP)に関しては、循環型経済への移行を意識した設計が進められており、2027年までにEU(欧州連合)向けに出荷されるRRPデバイスの100%について、バッテリーの取り外しおよび交換が可能になるよう対応を進めています 20

容器包装材の再利用可能性やリサイクル材含有率向上に関する進捗は報告されていますが、EUの使い捨てプラスチック指令(SUPD)や拡大生産者責任(EPR)の世界的潮流 11 は、単に包装材を「リサイクル可能」に設計する以上の対応を企業に求めています。具体的には、使用済み製品の効果的な回収と実際の再資源化インフラへの積極的な関与が不可欠です。JTグループは「デバイスの回収スキーム」9 や「責任ある回収と処理の促進」16 を目指すと言及していますが、特に増加するRRP廃棄物 28 に関するこれらのスキームの規模、実効性、地理的範囲についての詳細は、提供された情報からは明らかではありません。この点は、設計段階でのリサイクル可能性確保と、実際の使用後の循環性達成との間に潜在的なギャップが存在することを示唆しており、規制対応およびレピュテーション上の主要なリスクとなり得ます。

3Rとサーキュラーエコノミー

JTグループは、「Reduce(排出抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(リサイクル)」の3Rを廃棄物管理の根幹に据え、資源の効率的利用による環境負荷低減とコスト削減を目指しています 17

J&T環境では、使用済みPETボトルを再びPETボトル原料として再生する「ボトルtoボトル」リサイクルや、廃ブルーシートから新たなブルーシートを製造する水平リサイクルを推進しています。また、地域で排出された食品廃棄物を処理して得られたバイオガスを発電に利用し、排出事業者に還元する「創電割®」サービスや、処理過程で発生する発酵残渣を肥料としてリサイクルする地産地消型リサイクルにも取り組んでおり、食品廃棄物から電力と肥料を創出するダブルリサイクルループの構築を目指しています 29

C. 生物多様性の保全

JTグループは、事業活動が依存し、また影響を与える生態系の健全性が持続可能な事業運営に不可欠であるとの認識のもと、生物多様性の保全を重要課題の一つとしています。

生態系影響評価と方針

JTグループは、各事業が生態系に与える影響および各事業の生態系への依存を評価する取り組みを進めています。たばこ事業については2024年まで、医薬事業および加工食品事業については2025年までに、生物多様性の観点を含む評価を完了する予定です 6

2022年には、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークv0.3およびIUCN(国際自然保護連合)のガイドラインに基づき、たばこ事業における生態系への影響と依存に関する定性的な評価が実施されました。この評価では、原材料調達、製造、廃棄という事業活動の各段階における自然資源への影響とその範囲・重大性が分析され、葉たばこ生産において生物多様性に最も大きな影響を与えている要因として、特にブラジルにおける「土地利用」と「土壌汚染」が特定されました 6

これらの評価を踏まえ、JTグループは「JTグループ生物多様性宣言」を公表しています 17。この宣言では、事業活動による生物多様性への影響を最小限に抑えるというコミットメントが示されており、影響の「回避」、それが不可能な場合の「削減」、そして「再生・復元」または「オフセット」という階層的なアプローチ(ミティゲーション・ヒエラルキー)を採用しています。

森林破壊・土地利用転換防止

森林資源の保全は、生物多様性保全戦略の重要な柱です。JTグループは以下の目標を掲げています。

  • 2030年までに、直接契約している葉たばこ農家が葉たばこの乾燥工程で使用する自然林由来の木材を、全て再生可能な燃料源に転換する 6。2023年に実施されたタンザニア、ザンビア、ブラジルでの植林活動に基づくと、2030年までにこの転換率は103%に達する見込みです 12

  • JTグループのたばこ事業サプライチェーン全体において、2030年までに、管理林の破壊ネットゼロを目指す 6

  • たばこ葉、紙・パルプ系材料のサプライチェーンにおいては2025年までに自然林の破壊をゼロにし、2030年までにはサプライチェーン全体でこれを達成する 9

  • 特に保護価値の高い地域(High Conservation Value areas)における自然生態系の転換を2025年までに、全ての自然地における転換を2030年までにゼロにする 9

ブラジルのアラウカリア接続プロジェクト 32 やザンビアのシシャンバ森林保全プロジェクト 17 といったJTの具体的な保全活動は、現地での実質的な取り組みを示しています。しかし、これらのプロジェクトの規模が、JTの広大なグローバルな葉たばこ調達フットプリント全体に対してどれほどの影響力を持つかは慎重な評価が必要です。「管理林の破壊ネットゼロ」という2030年目標 7 は野心的ですが、その達成の検証可能性と「管理林」の定義の厳密さが、特に複雑な農業サプライチェーンを考慮すると、信頼性の鍵となります。EUの森林破壊防止規則(EUDR)26 の導入は、これらの主張に対する監視を強めるため、JTの目標達成に関するモニタリング、報告、検証(MRV)システムの堅牢性がこれまで以上に重要になります。

持続可能な農業とサプライチェーン管理

葉たばこ栽培における環境負荷低減のため、JTグループはサプライヤーに対しても働きかけを強めています。

  • 全ての葉たばこサプライヤーに対し、生態系の保全に配慮した高品質な葉たばこ生産と、適正農業規範(Good Agricultural Practice: GAP)の実践を求めています 7。2030年までに、直接契約農家の100%において、JTグループのGAPプロトコルを実践することを目指しています 6

  • 有害性の高い農薬(Highly Hazardous Pesticides: HHPs)については段階的な廃止を進めており、クラス1に分類されるHHPは2024年までに、全てのHHPは2040年までにその使用を廃止する方針です 5

  • 農業労働慣行(Agricultural Labor Practices: ALP)プログラムについては、2025年までに全ての葉たばこ調達国で実施することを目指しており 4、2023年には葉たばこ供給元の98.57%がALPに基づいた報告を行いました 16

具体的保全プロジェクト

JTグループは、グローバルおよび国内で具体的な生物多様性保全プロジェクトを推進しています。

  • ブラジル: アラウカリア接続プロジェクトでは、パラナ州の335ヘクタールの森林回復を目指しています。これまでにピライ・ド・スル国立森林公園やサルト・ダ・ペドレイラ環境公園などで合計46.5ヘクタール以上が回復されました。また、小規模農家200戸の永久保全地域において、約14万本の原産種苗木の植樹と約20万メートルの保護フェンス設置により、195ヘクタール以上が回復されています。さらに、ポンタ・グロッサ市のメイア・ルア自然保護区75ヘクタールの回復プロジェクトも完了しています 5。NGO SPVSの技術支援のもと、小規模農家向けの生物多様性インベントリおよびモニタリングプロトコルも開発されています 32

  • ザンビア: シシャンバ森林保全プロジェクトでは、ミオンボ林の持続可能な管理を目的とし、防火管理や自然再生支援といった森林保全活動を推進し、地域コミュニティによる責任ある森林資源の利用と管理を支援しています 5

  • 日本国内: 「JTの森」と名付けられた森林保全活動を全国9カ所で実施しており、従業員も参加して健全な森づくりに取り組んでいます 33

  • アグロフォレストリー: タンザニア、ザンビア、ブラジルでは、アグロフォレストリーアプリを導入し、葉たばこ耕作地における毎年の植林活動の進捗状況を確認しています 7

D. 水資源管理

水は事業継続に不可欠な資源であると同時に、地域社会や生態系にとっても重要です。JTグループは責任ある水利用と水リスク管理に取り組んでいます。

水使用量削減目標と実績

JTグループは、たばこ事業における水使用量について、2030年までに2019年比で33%削減するという新たな目標を設定しています 6。なお、JTグループ環境計画2030における旧目標であった「2015年比15%削減」は、計画を前倒しして達成済みです 7。2023年の実績では、2015年比で29%の削減を達成しています 16

2023年のJTグループ全体の総取水量は8,523千立方メートルでした 18

水リスク管理の一環として、グループ全工場における水リスク評価を完了することも目標とされており 35、2019年時点で既に95%の工場で水リスク評価が実施されていました 31。さらに、たばこ事業の適格な生産施設の100%を、2030年までにAlliance for Water Stewardship (AWS) 基準で認証取得することを目指しています 9。AWS認証取得目標は、信頼性の高い外部検証済みの水スチュワードシップ慣行を採用する強力な指標です。しかし、「適格な」施設という定義の具体性や、広大なグローバル拠点全体での認証取得スケジュールが鍵となります。工場敷地内だけでなく、特に水ストレスの高い農業調達地域 15 における水リスクへの対応が成功の要であり、そのためには地域社会や他の水利用者との深い連携が不可欠です。これは複雑ながらも、意義のある水スチュワードシップを実現するために極めて重要な取り組みと言えるでしょう。

具体的取り組み

具体的な水資源管理の取り組みとしては、サプライチェーンにおける水リスク管理手法の構築 13 や、JTグループの食品事業を担うテーブルマーク株式会社の魚沼地区工場における排水の融雪への再利用 36 などが挙げられます。

III. JTグループが直面する潜在的リスクと事業機会

JTグループの環境への取り組みは、地球環境保全への貢献のみならず、事業継続におけるリスクの低減と新たな機会の創出にも繋がっています。

A. 潜在的リスク

JTグループは、その事業特性とグローバルな事業展開から、多岐にわたる環境関連リスクに直面しています。

規制リスク

  • 炭素税・カーボンプライシング: 脱炭素社会への移行に伴い、各国政府による炭素税の導入やカーボンプライシング強化の動きは、JTグループにとって主要なリスクの一つとして認識されています 5。これが実現した場合、葉たばこをはじめとする原材料やサービスの調達コストが増加するほか、JTグループ自身の事業活動に対する税負担が増加する可能性があります 15

  • プラスチック規制: EUの使い捨てプラスチック指令(SUPD)や、日本の改正プラスチック資源循環促進法に代表されるように、世界各国でプラスチック製品に対する規制が強化されています。これは、たばこ製品のフィルター(多くがセルロースアセテートというプラスチック製 28)や包装材のあり方に大きな影響を与える可能性があります 11

  • 森林破壊防止規制: EUの森林破壊デューデリジェンス規則(EUDR)26 のように、サプライチェーンにおける森林破壊に関与した産品の市場流通を規制する動きが強まっています。JTグループが調達する葉たばこや紙製品(包装材等)も、これらの規制の対象となる可能性があります。

  • その他環境規制: 大気汚染防止、水質汚濁防止、土壌汚染対策、化学物質管理など、国内外の環境関連法規は常に強化される傾向にあり、これらへの対応コスト増加や事業活動への制約が生じるリスクがあります 17

炭素関連、プラスチック関連、森林破壊関連といった複数の環境規制が同時進行的に強化されている状況 11 は、JTグループにとって複雑なコンプライアンス体制の構築を迫るものです。個別の規制に場当たり的に対応するのではなく、規制トレンドを先読みし、製品設計、サプライチェーン管理、事業運営全体にわたる統合的な対応を可能にする、包括的な環境リスク管理フレームワークの確立が不可欠です。コンプライアンス違反や適応の遅れは、財務的に大きな影響を及ぼす可能性があります。

市場リスク

  • 消費者意識の変化: 環境配慮型製品への需要の高まりや、サステナブルなブランドを志向する消費者の増加は、たばこ業界にも影響を及ぼしています 38。環境負荷の高い製品や企業は、市場での競争力を失うリスクがあります。

  • RRPへの移行と新たな環境課題: 加熱式たばこ(HTS)や電子たばこ(E-Vapor)などのリスク低減製品(RRP)へのシフトは、健康リスク低減の観点から進められていますが、これらの製品は従来の紙巻たばことは異なる種類の環境負荷を生み出します。具体的には、デバイス本体の電子廃棄物、使用済みバッテリー、プラスチック製のカートリッジやポッドなどの処理が新たな課題となります 28。これらの適切な管理がなされない場合、新たな市場リスクとして顕在化する可能性があります。RRPへの移行 16 は健康リスク低減を目的としていますが、電子廃棄物やデバイスの循環性といった新たな環境課題 28 をもたらします。JTがRRPのライフサイクル全体において、紙巻たばこと比較して真に持続可能であることを示せなければ、問題を解決するのではなく単に問題を別の形に置き換えているだけだと見なされ、構築しようとしている環境認証を損なうリスクがあります。

評判リスク

  • 環境パフォーマンスの低迷、設定目標の未達成、あるいは環境問題への不適切な対応は、企業ブランドイメージを著しく損なう可能性があります。これは、投資家からの評価低下、従業員のエンゲージメント低下、そして最終的には消費者の信頼喪失につながる恐れがあります 3

  • 特にたばこ業界は、「グリーンウォッシング」(環境配慮を装いながら実態が伴わないこと)との批判を受けやすい立場にあります 28。環境への配慮をアピールする一方で、その取り組みの実効性や透明性が厳しく問われることになります。

物理的リスク

  • 気候変動の進行に伴う異常気象(干ばつ、洪水、極端な気温上昇など)は、葉たばこ栽培に直接的な影響を及ぼします。具体的には、品質の低下、収穫量の減少、栽培適地の変化などが挙げられ、これらは原材料の安定調達を脅かすリスクとなります 5

  • これらの物理的リスクは、サプライチェーンの寸断や原材料調達コストの不安定化にもつながり、事業運営全体に影響を与える可能性があります。

B. 事業機会

環境課題への積極的な取り組みは、リスク回避だけでなく、新たな事業機会の創出にも繋がります。

  • RRP市場におけるリーダーシップと環境付加価値: 環境負荷の低いRRPの開発・提供は、健康志向と環境意識双方の高い消費者の獲得に繋がる可能性があります 1。ただし、これはRRP自体のライフサイクル全体を通じた環境影響評価と、その負荷低減策が前提となります。

  • 資源効率化によるコスト削減: 省エネルギー活動の推進、廃棄物削減、水使用量の効率化といった取り組みは、生産コストや廃棄物処理コストの削減に直接的に貢献します 6

  • ESG評価向上と投資誘致: 高い環境パフォーマンスは、CDP評価(JTグループは気候変動Aリストを維持 2)やその他のESG評価機関からの評価向上に繋がり、ESG投資を重視する投資家からの資金調達を有利にする可能性があります 31。JTグループがCDPの気候変動Aリストに継続して選定されていることは、その評判を高め、ESGを重視する投資家を引き付ける上で重要な資産です。しかし、この気候変動分野でのリーダーシップを、資源循環や生物多様性といった他の環境分野にも明確に拡大し、より包括的なESGリーダーシップの物語を構築することが、これらの分野への監視が強まる中で求められます。ESGの一つの柱における強力なパフォーマンスも、特に議論の多い産業においては、他の柱での認識された弱点によって影が薄れる可能性があります。したがって、RRP廃棄物を中心とした資源循環や生物多様性に関するパフォーマンスと情報開示を気候変動対策のレベルまで引き上げ、ESG全体の提案を強化することが事業機会と言えるでしょう。

  • サプライチェーン強靭化: 持続可能な調達体制の構築、例えば気候変動に強い品種の導入支援や調達先の多様化は、気候変動や資源枯渇といった外部環境の変化に対するサプライチェーンの耐性を高め、事業継続性の確保に貢献します。

  • イノベーション促進: 環境課題への対応は、新たな技術開発(例:低環境負荷な素材、効率的なリサイクル技術)や、サーキュラーエコノミー型の製品・ビジネスモデルの創出を促進するドライバーとなり得ます。

IV. たばこ業界における環境先進事例

たばこ業界においても、環境負荷低減に向けた先進的な取り組みが見られます。主要企業は気候変動、資源循環、生物多様性、水資源管理の各分野で野心的な目標を掲げ、具体的な施策を推進しています。

気候変動対策

  • ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT): 2030年までにスコープ1および2の排出量を50%削減(2020年比)、スコープ3の産業(非FLAG)排出量を42%削減(2020年比)し、再生可能エネルギーの使用率を50%にする目標を掲げています。具体策として、各拠点での脱炭素ロードマップ策定、電力購入契約(PPA)を通じた再生可能エネルギー調達、電気自動車(EV)導入、炭素スマート農業などを推進しています 45。2024年には、直接エネルギー使用量の45.1%が再生可能エネルギー由来であると報告しています 45

  • フィリップモリス・インターナショナル(PMI): 2025年末までに事業拠点でのカーボンニュートラル達成、バリューチェーン全体でのネットゼロ達成を目標としています。低炭素移行計画(LCTP)を推進し、スイスのヌーシャテル工場では湖水を利用した冷却・加熱システムや有機廃棄物のガス化による蒸気生成といった革新的な取り組みを導入しています 47。2024年末時点で、スコープ1および2の排出量は2019年比で39%削減したと報告しています 47

  • インペリアル・ブランズ(Imperial Brands): 2040年までにバリューチェーン全体でのネットゼロ達成を目標とし、中間目標として2030年までにスコープ1および2でネットゼロ、全スコープの排出量を50%削減(2017年比)することを掲げ、SBTiの認定も受けています。2024年の実績として、スコープ1および2の排出量を69%削減(2017年比)、スコープ3排出量を34%削減(2017年比)したと報告しています 48

資源循環

  • BAT: 2025年までに全ての包装材を再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能にすることを目指しています。また、自社事業における廃棄物のリサイクル率90%を目標としており、2024年の実績は88.1%でした。TerraCycle社との協業による吸殻リサイクルプログラム、Veloブランドのニコチンパウチ容器へのバイオプラスチックやPCR(使用済みリサイクル)プラスチックの使用、gloブランドの加熱式たばこデバイス包装材におけるプラスチック使用量削減とリサイクル素材比率向上などの取り組みを進めています 45。南アフリカでは、使用済みベイピングポッドをリサイクルするためのハブを設置・運営しています 50

  • PMI: 消費者製品の廃棄物削減を戦略的優先事項と位置づけ、IQOS ILUMA iシリーズではEPD(環境製品宣言)を初めて公表しました 47。スイスでは、使用済み喫煙具の回収プログラムを実施しています 52

  • Imperial Brands: 2025年までに事業拠点からの埋立廃棄物ゼロを目標とし、主要製造拠点では2024年5月にこれを達成したと報告しています。EUおよび英国市場向けの包装材については、2025年までに100%を再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能にすることを目指しており、2024年実績で94%がリサイクル可能であるとしています。また、手巻きタバコ(RYO)用のポーチにリサイクルプラスチックを使用するなどの取り組みも見られます 53

  • 業界横断的な取り組みとしては、使用済み製品の回収・リサイクルスキームの構築、包装材の軽量化・簡素化、リサイクル素材の積極的利用、消費者への分別・リサイクルに関する啓発活動などが挙げられます 28

生物多様性保全

  • BAT: 2025年までに、たばこサプライチェーンにおける森林破壊および土地利用転換をゼロに、紙・パルプサプライチェーンにおける森林破壊をゼロにする目標を掲げています。生物多様性リスク評価に基づき、優先度の高い農場に対して生物多様性管理計画(BMPs)を展開しています。2024年には、直接契約農家の100%について森林破壊および土地利用転換の状況をモニタリングしたと報告しています 46

  • PMI: 2025年までに、たばこおよび紙・パルプサプライチェーンにおいて森林破壊および自然生態系の転換をゼロにすることを目標としています。2024年の実績として、購入したたばこ葉の88%が森林破壊・転換リスクなし、購入した紙・パルプ製品の100%が原生林・保護林における総森林破壊リスクなしの基準を満たしたと報告しています。イタリアのMTB工場では、ミツバチをバイオ指標として利用した環境モニタリングを実施しています 52

  • Imperial Brands: 生物多様性に関する声明を公表し、生態系サービスへの影響評価とそれに基づく行動計画の策定を約束しています。具体策として、先住民樹木の植樹、持続可能な水管理の実践、Leaf CAREプログラムを通じたサプライチェーンにおけるデューデリジェンス強化、Sustainable Tobacco Programmeを通じたサプライヤーとの協働などを挙げています 65。ただし、これらの取り組みに関する具体的な進捗データは限定的です 66

  • 業界の先進事例としては、アグロフォレストリー(森林農業)の推進、被覆作物の利用による土壌保全、農薬使用量の削減、野生生物の生息地の保護・回復活動、サプライヤーへの環境保全に関する教育・技術支援などが挙げられます 46

水資源管理

  • BAT: 2025年までに取水量を35%削減(2017年比)、水リサイクル率を30%にすることを目標としています。また、2025年までに全ての事業拠点でAWS(Alliance for Water Stewardship)認証を取得することを目指しており、2024年時点での達成率は91%です。2024年の水リサイクル率は27.5%でした 46

  • PMI: 2019年以降、たばこ栽培地域において合計1,230万立方メートルの水を最適化したと報告しています。水スチュワードシップに関する方針も策定しています 63

  • Imperial Brands: 環境責任ある水管理慣行の実施を約束しており 65、CDPの水セキュリティに関するスコアカードを公開しています 66。ただし、具体的な削減目標や実績データは限定的です。

  • 先進事例としては、水効率の高い灌漑技術(ドリップ灌漑など)の導入支援、雨水の有効活用(ハーベスティング)、工場内での水リサイクルシステムの導入、水リスクの高い地域における流域レベルでの協調行動などが挙げられます 46

JT、BAT、PMI、Imperial Brandsといった主要なたばこ企業は、特にカーボンニュートラルや森林破壊防止に関して野心的な環境目標を設定しています 45。しかし、これらの目標を実際の現場レベルで達成し、サプライチェーン全体での実践を検証し、Scope3排出量を管理することは依然として大きなハードルです。「ベストプラクティス」とされる取り組みは、多くの場合、技術的解決策やサプライヤーエンゲージメントを含みますが、グローバルな農業サプライチェーンの規模と複雑さを考えると、統一的な実施と透明性の高い報告は困難を伴います。また、業界全体としてリスク低減製品(RRP)への移行が進む中で、電子廃棄物などの新たな環境課題も浮上しており 28、これに対してはまだ確立されたベストプラクティスが形成途上にある新しい循環型経済ソリューションが求められています。

V. JTグループが抱える現在の課題

JTグループは環境パフォーマンス向上に向けて多大な努力を重ねていますが、その過程でいくつかの重要な課題に直面しています。

野心的目標達成の困難性

JTグループは、特に気候変動対策において野心的な目標を掲げていますが、その達成は容易ではありません。Scope3 GHG排出量については、2030年までに2019年比28%削減という目標に対し、2023年には逆に3%増加するという結果になりました 14。また、バリューチェーン全体での2050年ネットゼロという目標は、排出特性が複雑な農業セクターを多く含み、かつサプライヤーが多岐にわたるため、極めて達成が困難であると予想されます 6。葉たばこ乾燥工程における再生可能エネルギーへの転換についても、天候不順や調達先の変更といった外部要因によって進捗が大きく左右される脆弱性を抱えています 14

RRPへの移行と新たな環境負荷

健康リスク低減の観点から推進されているリスク低減製品(RRP)への移行は、JTグループにとって重要な戦略ですが、同時に新たな環境負荷という課題も生んでいます。加熱式たばこデバイスやカートリッジ、バッテリー、プラスチック製ポッドなどの電子廃棄物の適切な処理やリサイクル体制の構築は急務です 28。RRP製品のライフサイクル全体を通じた環境影響評価(LCA)の実施と、その結果に基づく情報開示の重要性も高まっています。実際に、ESG評価機関であるISS ESGは、次世代製品(NGP)のLCAと材料効率を評価対象に追加しています 38

グローバルサプライチェーン管理の複雑性

JTグループは、約40カ国から葉たばこを調達しており 78、このようなグローバルで複雑なサプライチェーンにおいて、環境基準(森林破壊防止、適切な水利用、農薬使用制限、適正な労働慣行など)の遵守を徹底し、トレーサビリティを確保することは極めて困難な課題です 4。各国・地域の規制、文化、インフラレベルの違いへの対応も求められます。JTグループ及びたばこ業界全体にとって中心的な課題の一つは、主要な農業生産物である葉たばこの栽培(土地利用、水消費、農薬使用、乾燥薪のための森林伐採 54)に伴う環境影響と、その持続可能性との間に存在する本質的な緊張関係です。JTグループは適正農業規範(GAP)の推進、有害性の高い農薬(HHP)の段階的廃止、持続可能な乾燥薪への転換といったプログラムを実施していますが 6、グローバルサプライチェーン全体を真に持続可能なものにするために必要な規模は膨大です。この課題は、開発途上国の多数の小規模農家と関わることの社会経済的な複雑さによって、さらに困難なものとなっています。

環境投資と収益性のバランス

再生可能エネルギー導入、省エネ設備への更新、サプライヤーへの環境対策支援など、環境パフォーマンス向上には多大な初期投資と継続的なコストが必要です。これらのコストを製品価格にどこまで転嫁できるかという問題や、株主への利益還元とのバランスをどう取るかという経営判断は常に伴います 44。特にRRP分野への巨額投資(2024年から2026年の3年間で4500億円超 81)と、その製品群の環境フットプリント管理を両立させることは大きな挑戦です。

データ収集と透明性の確保

バリューチェーン全体、特にScope3排出量や生物多様性への影響に関する正確かつ包括的なデータを収集し、その信頼性を検証することは依然として困難な作業です。一方で、投資家や消費者を含むステークホルダーからは、環境への取り組みに関する透明性の高い情報開示への要求がますます高まっています。

VI. JTグループへの提言

JTグループが直面する課題を踏まえ、持続可能な成長を確実なものにするために、以下の領域における取り組みの強化を提言します。

スコープ3排出削減戦略の抜本的強化

  • 葉たばこ乾燥工程における再生可能エネルギーへの転換を加速するため、主要調達国における具体的な技術支援、資金援助、関連インフラ整備へのより積極的な投資を行うべきです。気候変動の影響を受けにくい調達先の多様化戦略と並行して、既存サプライヤーの低炭素化努力を強力に後押しするプログラムを拡充することが求められます。

  • 購入物品・サービス、特に包装材やRRP関連部品のサプライヤーに対し、科学的根拠に基づく排出削減目標(SBT)の設定を奨励し、その達成状況を調達基準に明確に組み込むことが重要です。

RRPのサーキュラーエコノミー設計と回収・リサイクル体制の確立

  • RRPデバイス及びその消耗品(ポッド、カートリッジ等)について、製品設計段階から耐久性、修理可能性、解体の容易性、リサイクル材使用率の向上を徹底的に追求する必要があります。

  • EUにおけるバッテリー規則(2027年までのRRPデバイスにおけるバッテリー取り外し・交換可能性の義務化 20)への対応をグローバル基準として捉え、主要市場で使用済みデバイス及びバッテリーの広域回収スキームを構築し、その実効性を高めるべきです。回収率やリサイクル率に関する具体的な目標値を設定し、その進捗を定期的に開示することが望まれます。

  • 使用済みプラスチックポッド等のリサイクル技術開発への投資を強化し、業界他社や専門リサイクル事業者との連携を積極的に模索することが、サーキュラーエコノミー実現への鍵となります。

生物多様性保全における「ネット・ポジティブ」への移行検討

  • 現在掲げている「森林破壊ネットゼロ」や「土地利用転換ゼロ」といった目標 9 に加え、将来的にはサプライチェーン全体で生物多様性の実質的な増加(ネット・ポジティブ・インパクト)を目指すという、より野心的な長期ビジョンを策定することを検討すべきです。

  • 主要な葉たばこ調達地域において、ブラジルやザンビアで実施しているような生態系回復プロジェクト 17 を質・量ともに拡大し、その効果を定量的に測定し、信頼できる第三者機関による検証を強化することが求められます。アグロエコロジーや再生型農業といった、生物多様性向上に資する農法の導入支援も視野に入れるべきです。

水スチュワードシップの深化と流域アプローチの徹底

  • AWS(Alliance for Water Stewardship)認証取得目標 9 の達成に加え、特に水ストレスの高い調達地域においては、工場単位の取り組みに留まらず、流域全体の水資源に関する共同管理に積極的に関与していくべきです。地域社会や他の水利用者との協働プロジェクトを推進し、水アクセス改善や流域生態系の保全に具体的に貢献することが期待されます。

  • 水利用効率を向上させる技術(精密灌漑など)の農家への普及支援を一層強化することも重要です。

環境パフォーマンスデータの透明性とトレーサビリティ向上

  • ブロックチェーンなどの先進技術を活用し、特に葉たばこサプライチェーンにおける環境・社会コンプライアンス(森林破壊の有無、農薬使用状況、水利用実態、労働慣行など)に関するトレーサビリティを飛躍的に向上させることを目指すべきです。

  • 環境目標の進捗状況について、特に課題が残る領域(例:Scope3排出量の変動要因、RRP廃棄物の処理状況など)に関しては、より詳細かつ率直な情報開示を行うことが、ステークホルダーからの信頼を得る上で不可欠です。

これらの提言は、JTグループが一部日本政府による出資を受けているという特殊な立場 78、そして厳しい監視下にある産業に属するというユニークな状況を認識した上でなされるべきです。技術的な解決策を超えて、強固なステークホルダーエンゲージメント、信頼できる第三者によって検証された透明性の高い報告、そしてTCFDやTNFDといった国際的なサステナビリティフレームワークとの明確な連携 6 が、信頼を構築し、持続可能な形で事業を行うための「社会からの信頼」を維持するために極めて重要です。これは、RRPに関して、健康リスク低減の主張だけでなく、その完全なライフサイクルにおける影響と最終的な処理方法について透明性をもって報告することを意味します。

VII. 競合他社の環境への取り組みとパフォーマンス分析

JTグループの環境パフォーマンスを評価する上で、主要な競合他社であるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、フィリップモリス・インターナショナル(PMI)、インペリアル・ブランズ(IB)82 との比較は不可欠です。これらの企業もまた、環境課題への対応を経営の重要事項と位置づけ、それぞれ独自の戦略と目標を掲げています。

各社の環境戦略概要

  • BAT: 「A Better Tomorrow™」という企業パーパスのもと、サステナビリティ戦略を展開しており、気候、自然、循環性、コミュニティを重点分野としています 62。2024年にはサステナビリティ戦略を再定義し、取り組みを強化しています 62

  • PMI: 「たばこ煙のない未来」の実現を目指し、製品が環境に与える影響と事業運営における環境負荷の双方を削減することに注力しています。主な取り組み分野は、気候変動対策、自然保護(森林破壊防止、生物多様性保全、水資源管理)、廃棄物削減です 47

  • IB: 「より健康的な未来への道筋を築く」というパーパスを掲げ、ESG戦略を推進しています。気候変動、包装・廃棄物、農家の生活向上などを重点分野としています 48

気候変動

  • 目標比較:

  • JT: Scope1&2排出量を2030年までに2019年比47%削減、Scope3(購入物品・サービス)排出量を2030年までに2019年比28%削減、2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロ 6

  • BAT: Scope1&2排出量を2030年までに2020年比50%削減、Scope3(産業、非FLAG)排出量を2030年までに2020年比42%削減、Scope3(FLAG:森林・土地・農業)排出量を2030年までに2020年比30.3%削減 45

  • PMI: Scope1&2排出量について2025年末までにカーボンニュートラル、バリューチェーン全体でネットゼロ 47

  • IB: Scope1&2排出量について2030年までにネットゼロ、全Scope排出量を2030年までに2017年比50%削減、2040年までにバリューチェーン全体でネットゼロ 48

  • 実績比較 (直近データ):

  • JT (2023年): Scope1&2排出量を2019年比19%削減 16。再生可能エネルギー比率26% 18

  • BAT (2024年): Scope1&2フリート排出量を前年比9.4%削減、2020年比26%削減。再生可能エネルギー比率45.1% 45

  • PMI (2024年): Scope1+2排出量を2019年比39%削減 47

  • IB (2024年): Scope1&2排出量を2017年比69%削減、Scope3排出量を2017年比34%削減 49

資源循環

  • 目標比較 (包装材の再利用・リサイクル可能性):

  • JT: 2030年までに100% 7

  • BAT: 2025年までに100% 46

  • PMI: 具体的な全体目標は提供情報からは読み取れませんが、削減努力は示されています 63

  • IB: 2025年までにEU・英国市場で100% 53

  • 実績比較 (包装材リサイクル可能性、廃棄物削減):

  • JT (2023年): 再使用または再生利用可能な包装材の割合88%、容器包装材総重量に占めるリサイクル材の割合19% 16

  • BAT (2024年): 自社事業における廃棄物リサイクル率88.1% 50

  • PMI: データ限定的。

  • IB (2024年): 包装材の94%がリサイクル可能、主要工場で埋立廃棄物ゼロを達成 53

生物多様性 (特に森林破壊関連)

  • 目標比較 (森林破壊ゼロ/フリー):

  • JT: 2030年までにたばこ事業サプライチェーン全体で管理林の破壊ネットゼロ 7

  • BAT: 2025年までにたばこ及び紙・パルプサプライチェーンで森林破壊フリー 46

  • PMI: 2025年までにたばこ及び紙・パルプサプライチェーンで森林破壊・自然生態系転換ゼロ 63

  • IB: 具体的な「ゼロ」目標は提供情報からは読み取れませんが、サプライヤーとの協働などの方針は示されています 65

  • 実績比較:

  • JT: 2030年までに葉たばこ乾燥工程で使用する木材の103%を再生可能な燃料源に転換する見込み(2023年植林活動ベース)12

  • BAT (2024年): 直接契約農家の100%を森林破壊・転換についてモニタリング、購入した紙・パルプ原料の86%が低森林破壊リスクと評価 61

  • PMI (2024年): 購入したたばこ葉の88%が森林破壊・転換リスクなし、購入した紙・パルプ製品の100%が原生林・保護林における総森林破壊リスクなしの基準を達成 63

  • IB: 定量的な実績データは限定的。

主要なたばこ企業(JT、BAT、PMI、IB)はすべて、Scope1および2の排出量に関して野心的な目標を設定していますが、Scope3排出量、資源循環(特にRRPからの使用済み廃棄物)、そして検証可能な生物多様性の実質的な向上に関する目標と報告された進捗には、より大きなばらつきがあり、全体として具体的で監査済みの達成度は低い傾向にあります。Imperial BrandsはScope1および2の排出量削減と埋立廃棄物削減で強力な進捗を示しているように見えますが、生物多様性に関する目標はBATやPMIほど具体的ではないようです。PMIとBATは、電子廃棄物のようなRRPの持続可能性に関する課題についてより積極的に言及しています。これは、直接操業における気候変動対策が標準化しつつある一方で、RRPのような新製品に関する包括的なバリューチェーンの持続可能性と循環性は、差別化とリーダーシップがまだ現れつつある分野であることを示唆しています。

VIII. 環境スコアのベンチマーキング

企業の環境パフォーマンスを客観的に評価するためには、第三者評価機関による環境スコアのベンチマーキングが有効です。主要なたばこ企業は、CDP、Sustainalytics、MSCI、S&P Globalといった評価機関から評価を受けています。

CDP (Carbon Disclosure Project)

CDPは、企業や都市の環境情報開示を促進する国際NGOであり、その評価は投資判断にも影響を与えます 42

  • JTグループ: 気候変動分野で6年連続Aリストに選定されており、高い評価を維持しています 2。過去には水セキュリティ分野でもAリストに選定された実績があります 22。一方で、森林分野では過去にF評価を受け、その後報告をオプトアウトしていた時期があるとの指摘もあります 42。JTの気候変動に関するCDPでの一貫した「A」評価は強みです。しかし、森林に関する過去の「F」評価とその後の報告取りやめ 42 は、たとえその後方針が進化(例:森林破壊ゼロ目標の設定 9)したとしても、全ての主要な環境テーマで一貫したリーダーシップを求める投資家にとっては懸念材料となる可能性があります。BATやPMIが「トリプルA」(または全ての主要分野でA)評価を提示していることは、包括的な環境情報開示とパフォーマンスにおいてより高い基準を設定しています。

  • BAT: 2024年には気候変動、水セキュリティ、森林の全ての分野でA評価を獲得しています 83

  • PMI: 過去に気候変動、水セキュリティ、森林の3分野全てで「トリプルA」評価を獲得した実績があります 84

  • Imperial Brands: 2023年の気候変動分野でA評価を受けています。水セキュリティと森林に関するスコアカードも公開しています 66

Sustainalytics ESG Risk Rating

Sustainalyticsは、企業のESGリスクを評価する機関であり、スコアが低いほどリスクが低いことを示します。

  • JT: ESGリスク評価は26.9で「ミディアムリスク」と評価されています。食品業界(たばこ産業を含む)543社中115位にランク付けされており、ESG課題に対するマネジメントは「Strong(強固)」と評価されています 43。SustainalyticsはJTを「ミディアムリスク」とし、「強力な」マネジメント体制であると評価しており、食品業界グループ内では比較的良好な位置にあり、BATよりも上位にランクされています 43。これは、たばこセクター固有のリスクにもかかわらず、JTの重要ESG課題に対する管理が一部の競合他社と比較して相対的に効果的であると認識されていることを示唆しています。しかし、「ミディアムリスク」という評価は依然として重大なESG課題が存在することを示しています。

  • BAT: ESGリスク評価は30.3 83 または30.5 43 で「ハイリスク」と評価されており、食品業界543社中198位です。

  • PMI: ESGリスク評価は27.3で「ミディアムリスク」、食品業界543社中127位です 87

  • Imperial Brands: ESGリスク評価は29.0で「ミディアムリスク」、食品業界566社中175位です 43

MSCI ESG Ratings

MSCIは、AAAからCCCのスケールで企業のESGパフォーマンスを評価しています。

  • JT: knowesg.comによると「BB」評価で、業種内9社中では平均的とされています 89。MSCIの公式検索ツールでは、具体的なレーティングは表示されず、テーマ別の評価方法が解説されています 90。第三者サイト(knowesg.comでJTはBB評価 89、BATは公式A評価 83)から得られるMSCI評価のばらつきは、一次情報源または企業自身の評価開示にアクセスすることの重要性を強調しています。アグリゲーターに依存すると、時に古いデータや異なる解釈のデータにつながる可能性があります。JTは、自社の最新の公式MSCI評価を明確に伝えるべきです。

  • BAT: 2024年時点で「A」評価を維持しています 83

  • PMI: knowesg.comではレーティングデータがありませんでした。MSCI公式ツールでは検索可能ですが、個別のレーティングは表示されません 84

  • Imperial Brands: knowesg.comによると「A」評価で、業種内12社中では平均的とされています 93。MSCI公式ツールでは検索可能ですが、個別のレーティングは表示されません 66

S&P Global ESG Score

S&P Global ESG Scoreは0から100のスケールで評価され、スコアが高いほどパフォーマンスが良いことを示します。

  • JT: 総合スコアは73/100(2025年1月9日更新)。内訳は、環境スコア88、社会スコア76、ガバナンス&経済スコア57です 94

  • PMI: 総合スコアは73/100(2025年2月5日更新)。内訳は、環境スコア91、社会スコア72、ガバナンス&経済スコア58です 95

  • BAT: DJSI Europe Indexに23年連続で選定されており、S&P Global CSA(Corporate Sustainability Assessment)スコアは68(2024年12月時点)です 83。直接的なS&P Global ESG Scoreは提供情報からは読み取れませんでした。

  • Imperial Brands: データなし。

JTとPMIはS&P Global ESGスコア全体で同じ73/100ですが、分野別スコアには違いがあります。JTは環境でPMIの91に対し88とやや低いものの、社会ではPMIの72に対し76と高い評価を得ています 94。これは、S&P Globalの業界固有の重要性を考慮したダブルマテリアリティアプローチに基づく評価において、各社が相対的な強みと弱みを持つ分野が異なることを示唆しています。これらの分野別スコアを左右する具体的な評価基準を理解することが、JTが競合他社を上回るために改善すべき正確な領域を特定する上で極めて重要となります。

IX. 総括と今後の展望

日本たばこ産業(JTグループ)は、経営理念である「4Sモデル」を基盤とし、サステナビリティを事業運営の重要な柱と位置づけています。特に気候変動対策においては野心的なGHG排出削減目標(2030年カーボンニュートラル、2050年ネットゼロなど)を掲げ、CDPの気候変動Aリストに継続して選定されるなど、国際的にも評価される成果を上げています。TCFD提言への対応も進め、気候関連リスクと機会の分析・開示に努めています。

資源循環の分野では、工場廃棄物の埋立ゼロや容器包装材の100%再利用・再生利用可能化といった目標を設定し、廃棄物削減やリサイクル率向上で一定の進捗が見られます。生物多様性保全に関しても、生態系影響評価の実施、森林破壊ネットゼロ目標、具体的な森林保全プロジェクト(ブラジル、ザンビア、国内「JTの森」など)を通じて、サプライチェーンにおける環境負荷低減と自然資本の維持に取り組んでいます。水資源管理においても、取水量削減目標を達成し、AWS認証取得を進めるなど、責任ある水利用を推進しています。

しかしながら、その道のりは平坦ではありません。特にScope3排出量の削減は依然として大きな課題であり、2023年には目標に反して増加するなど、農業サプライチェーンの複雑性と外部環境の変動が影響しています。リスク低減製品(RRP)への移行は事業戦略の核ですが、デバイスや消耗品の廃棄物処理といった新たな環境課題への対応が急務です。グローバルに広がるサプライチェーン全体での環境・社会コンプライアンスの徹底とトレーサビリティ確保も、継続的な努力を要する領域です。

競合他社であるBAT、PMI、Imperial Brandsも同様の課題に直面しつつ、それぞれ独自の戦略で環境パフォーマンス向上を目指しており、たばこ業界全体として環境配慮への取り組みは加速しています。ESG評価機関によるスコアリングでは、JTはCDP気候変動でリーダーシップを発揮しているものの、Sustainalyticsでは中程度のリスク評価、S&P Global ESG ScoreではPMIと同等であり、MSCI評価は情報源によってばらつきが見られるなど、評価軸によって強みと改善点が浮き彫りになっています。

今後の展望として、JTグループには、設定した環境目標の着実な達成はもとより、以下の点が強く求められます。第一に、RRPのライフサイクル全体を通じた環境負荷の極小化と、使用済み製品の回収・リサイクルシステムの確立・実効性向上。第二に、複雑なサプライチェーンにおける人権・環境デューデリジェンスの一層の深化と、その透明性の高い情報開示。第三に、Scope3排出量削減に向けたより踏み込んだサプライヤーエンゲージメントと革新的技術への投資。そして第四に、生物多様性保全における「ノーネットロス」から「ネットポジティブ」への移行を視野に入れた戦略の検討です。

規制強化の波と市場からの期待の高まりに応え続けるためには、短期的な収益性とのバランスを取りつつ、環境課題への対応をイノベーションの機会と捉え、持続可能なビジネスモデルへの転換を加速させることが、JTグループの長期的な企業価値向上にとって不可欠と言えるでしょう。

引用文献

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日本たばこ産業のGHG排出量推移

GHG排出量推移

「Scope1」の過去3年の推移

2023年342,000t-CO2
2022年340,000t-CO2
2021年352,000t-CO2

「Scope2」の過去3年の推移

2023年240,000t-CO2
2022年276,000t-CO2
2021年295,000t-CO2

「Scope3」の過去3年の推移

2023年7,997,000t-CO2
2022年7,103,000t-CO2
2021年6,369,000t-CO2

COR(売上高あたりのCO2排出量)推移

スコープ1+2

スコープ1+2 CORの過去3年推移

2023年205kg-CO2
2022年-
2021年243kg-CO2

スコープ3

スコープ3 CORの過去3年推移

2023年2,815kg-CO2
2022年-
2021年2,396kg-CO2

COA(総資産あたりのCO2排出量)推移

スコープ1+2

スコープ1+2のCOA推移

2023年80kg-CO2
2022年-
2021年99kg-CO2

スコープ3

スコープ3のCOA推移

2023年1,098kg-CO2
2022年-
2021年973kg-CO2

業績推移

売上推移

2023年2兆8411億
2021年2兆6578億
2020年2兆3248億

純利益推移

2023年4,823億円
2021年4,427億円
2020年3,385億円

総資産推移

2023年7兆2821億
2021年6兆5481億
2020年5兆7742億

すべての会社・業界と比較

環境スコアポジション

日本たばこ産業の環境スコアは205点であり、すべての会社における環境スコアのポジションと業界内におけるポジションは下のグラフになります。

すべての会社と比較したポジション

業界内ポジション

日本たばこ産業のCORポジション

日本たばこ産業におけるCOR(売上高(百万円)における炭素排出量)のポジションです。CORは数値が小さいほど環境に配慮したビジネスであると考えられます。日本たばこ産業のスコープ1+2の合計のCORが205kg-CO2であり、スコープ3のCORが2815kg-CO2になります。グラフはGHG排出量のスコープ別に分かれており、すべての会社と業界内におけるそれぞれのポジションを表しています。
全体における日本たばこ産業のCORポジション

CORスコープ1+2

CORスコープ3

業界内における日本たばこ産業のCORポジション`

CORスコープ1+2

CORスコープ3

日本たばこ産業のCOAポジション

日本たばこ産業におけるCOA(総資産(百万円)における炭素排出量)ポジションです。COAもCAR同様、数値が小さいほど環境に配慮したビジネスを行っていると考えられます。日本たばこ産業のスコープ1+2の合計のCORが80kg-CO2であり、スコープ3のCORが1098kg-CO2になります。グラフはGHG排出量のスコープ別に分かれており、すべての会社と業界内におけるそれぞれのポジションを表しています。
全体における日本たばこ産業のCOAポジション

COAスコープ1+2

COAスコープ3

業界内における日本たばこ産業のCOAポジション

COAスコープ1+2

COAスコープ3

環境スコアランキング(全社)

集計数:510企業
平均点数:217.6
CDPスコア気候変動勲章
三菱電機
6503.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
505
CDPスコア気候変動勲章
コニカミノルタ
4902.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
500
CDPスコア気候変動勲章
豊田自動織機
6201.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
480
4
古河電気工業
5801.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
470
5
味の素
2802.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
460
6
セコム
9735.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコンサービス業
455
7
ダイキン工業
6367.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
8
アイシン
7259.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
9
オムロン
6645.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445
10
フジクラ
5803.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445

業界別環境スコアランキング

集計数:229企業
平均点数:255.4
CDPスコア気候変動勲章
三菱電機
6503.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
505
CDPスコア気候変動勲章
コニカミノルタ
4902.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
500
CDPスコア気候変動勲章
豊田自動織機
6201.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
480
4
古河電気工業
5801.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
470
5
味の素
2802.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
460
6
アイシン
7259.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
7
ダイキン工業
6367.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
8
フジクラ
5803.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445
9
オムロン
6645.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445
10
富士通
6702.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445