GX RESEARCH
更新日: 2025/5/1

エイチ・アイ・エス

9603.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコンサービス業
環境スコア135
売上
--
総資産
412,200百万円
営業利益
--

COR(売上高炭素比率)

年間CO2排出量(kg)÷ 売上高(百万円)
Scope1+2
--
Scope3
--

COA(総資産炭素比率)

年間CO2排出量(kg)÷ 売上高(百万円)
Scope1+2
4kg
Scope3
2,786kg

Scope1

事業者自らによる直接排出
8t-CO2
2023年実績

Scope2

エネルギー消化に伴う間接排出
1,665t-CO2
2023年実績

Scope3

事業者の活動に関連する他社の排出
1,148,478t-CO2
2023年実績

スコープ3カテゴリー別データ

カテゴリー2021年度2022年度2023年度
1購入した製品・サービス
-
-
3,445
2資本財
-
-
9,188
11販売した製品の使用
-
-
1,127,469

国際イニシアティブへの参加

SBT
RE100
EV100
EP100
UNGC
30by30
GXリーグ

ガバナンス・フレームワーク開示

check
サステナビリティ委員会
check
TCFD・IFRS-S2
TNFD
潜在的環境財務コスト(シナリオ別試算)
2023年度排出量データ: スコープ1(8t)、 スコープ2(1,665t)、 スコープ3(115万t)
低コストシナリオ
想定単価: 3,000円/t-CO₂
スコープ1:0百万円
スコープ2:5百万円
スコープ3:34.5億円
総額:34.5億円
中コストシナリオ
想定単価: 5,000円/t-CO₂
スコープ1:0百万円
スコープ2:8.3百万円
スコープ3:57.4億円
総額:57.5億円
高コストシナリオ
想定単価: 10,000円/t-CO₂
スコープ1:0.1百万円
スコープ2:16.6百万円
スコープ3:114.8億円
総額:115億円
※潜在的環境財務コストは、仮想的なカーボンプライシングシナリオをもとに算出した参考値です。

環境への取り組み

アジアゾウ保護NFT

アジアゾウ保護ドネーションNFT発売

 株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都港区 以下、HIS)は、タイ国政府観光庁と共に、生物多様性を守り、持続可能な未来を目指すために、アジアゾウ保護ドネーションNFTを販売します。NFT購入代金の一部はアジアゾウの保護に役立てられます。

「ぎふ清流里山公園」指定管理

岐阜県美濃加茂市「ぎふ清流里山公園」の指定管理者に選定

株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都港区 代表取締役社長:矢田素史 以下、HIS)が代表を務め、地元企業の古川紙工株式会社(本社:岐阜県美濃市 代表取締役:古川慎人)と共に構成する共同事業体「里山賑わい創出グループ」は、岐阜県美濃加茂市にある都市公園「ぎふ清流里山公園」における運営・管理を担う指定管理者に指定されました。  「ぎふ清流里山公園」は、「

気候変動関連のリスク・機会

※掲載情報は公開資料をもとに作成しており、全てのリスク・機会を網羅するものではありません。 より詳細な情報は企業の公式発表をご確認ください。

リスク

移行リスク

H.I.S.は、低炭素社会への移行に伴い、顧客の環境意識の高まりによる旅行嗜好の変化を重要なリスクと認識しています。持続可能な旅行への需要増加に対応するため、環境配慮型商品の開発やEV化推進に取り組む必要があります。また、炭素税導入や排出量取引制度強化による燃料費・航空運賃の上昇、プラスチック規制強化による代替品コスト増もリスクとして認識しています。これらのリスクに対し、情報開示の強化も対応策として挙げています。

物理的リスク

H.I.S.は、気候変動による異常気象の頻発・激甚化が、旅行先の自然環境やインフラに損害を与え、観光資源としての魅力を低下させるリスクを「大」と評価しています。自社施設や車両への被害、交通網寸断によるツアー中止、顧客・従業員の安全確保もリスクとして認識しています。平均気温上昇による光熱費増加や旅行需要の変化、海面上昇による沿岸部観光地の浸水リスク、水不足によるホテル運営への影響も物理的リスクとして挙げています。これらのリスクに対し、危機管理マニュアル整備、情報収集体制強化、防災訓練などを対応策としています。

機会

H.I.S.は、環境課題への対応を新たな事業機会と捉えています。環境意識の高い消費者の増加により、サステナブルツーリズム市場が拡大すると見込んでおり、エコツアーや地域文化体験などの付加価値の高い商品を開発・提供する機会と捉えています。環境問題への積極的な取り組みは企業イメージ向上や顧客ロイヤリティに繋がり、ESG投資の呼び込みや人材獲得にも貢献すると考えています。省エネや省資源によるコスト削減、イノベーションの促進、地域との連携強化も事業機会として認識しています。

目標

H.I.S.は、コピー用紙とプラスチック製品の使用量を2026年10月期までに2019年比で70%削減することを目標として掲げています。GHG排出量算定システムを導入し、排出量の把握を進めており、算定結果を基準として今後具体的なCO2削減目標を設定する方針を示しています。サステナビリティ方針においては、「共存・共生・共栄の社会を実現する」ことを目標として掲げています。また、サステナブルツーリズムの推進、地域社会との連携、環境教育の機会提供なども目標としています。

環境アナリストレポート

株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S. Co., Ltd.)の環境への取り組み:包括的分析レポート

1. 序論

近年、旅行・観光業界においても、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因への関心と重要性が急速に高まっている。特に、気候変動の進行に伴う異常気象の頻発化や自然環境の変化、資源の枯渇懸念、そして生物多様性の損失は、観光資源そのものの価値を損ない、事業の持続可能性を脅かす要因となり得る。このような背景から、旅行会社には自社の事業活動が環境に与える負荷を低減し、持続可能な観光を推進する責任が求められている。

本レポートは、日本の大手旅行会社である株式会社エイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)に着目し、同社の環境パフォーマンスを「気候変動への対応」「資源循環の推進」「生物多様性の保全」という3つの主要な側面から包括的かつ詳細に分析することを目的とする。これにより、同社の環境スコアリングに必要な基礎情報を提供するとともに、学術的な視点からの評価を行うことを目指す。

分析にあたっては、H.I.S.が実施している具体的な環境イニシアチブ、目標、実績データを調査し、同社が直面する可能性のある環境関連のリスクと事業機会を特定する。また、国内外の旅行業界における環境に関する先進的な取り組み(ベストプラクティス)や国際基準を参照し、H.I.S.の現状の課題を評価する。さらに、主要な競合他社(JTB株式会社、KNT-CTホールディングス株式会社)の環境への取り組みと比較分析を行い、CDPやMSCI ESGレーティングなどの外部評価機関によるスコア情報を用いて、可能な範囲でベンチマーキングを行う。ただし、本レポートでは、利用者からの指示に基づき、表形式でのデータ表示を避け、すべての情報を記述形式または箇条書き形式で提示する。

H.I.S.グループは、その企業理念として「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」ことを掲げ1、サステナビリティ方針においては「共存・共生・共栄の社会を実現するため、社会問題や環境問題にHISグループの事業を通じて真摯に向き合い『心躍る』未来を目指してまいります」と宣言している2。本分析は、これらの理念や方針と、実際の環境活動との整合性や実効性を評価する上での一助となることも意図している。

2. H.I.S.の環境イニシアチブ

H.I.S.は、サステナビリティ方針に基づき、地球環境保全に向けた様々な取り組みを進めている。本章では、「気候変動への対応」「資源循環の推進」「生物多様性の保全」の3つの重点分野における具体的なイニシアチブ、目標、実績について詳述する。

2.1. 気候変動への対応

気候変動は、観光地の自然環境やインフラ、さらには旅行者の行動様式にも大きな影響を与える喫緊の課題である。H.I.S.はこの課題に対し、国際的な枠組みへの賛同表明から具体的な排出削減策、カーボンオフセットプログラムの提供まで、多岐にわたるアプローチで取り組んでいる。

TCFD提言への賛同と情報開示

H.I.S.グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参画している2。これは、気候変動が事業に与えるリスクと機会を認識し、投資家をはじめとするステークホルダーに対して透明性の高い情報を提供しようとする姿勢を示すものである。同社はTCFDのフレームワークに基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に沿って気候変動に対する考え方を整理し、情報開示を進めている2。今後も継続的に開示内容の充実を図る方針である2。ガバナンス体制としては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会が中心となり、リスク・コンプライアンス委員会や各部門と連携して重要方針や施策を議論し、取締役会への報告・指示・助言を受ける体制を構築している2。

GHG排出量算定と目標

具体的な排出量削減に向けた第一歩として、H.I.S.は2024年10月期にCO₂排出量算出システムを導入し、GHGプロトコルに基づいた排出量の算定を開始した2。これにより、自社の事業活動に伴う温室効果ガス排出量(Scope1, 2)のみならず、サプライチェーン全体での排出量(Scope3)についても把握を進めている。

算出結果によると、H.I.S.単体の2024年10月期におけるCO₂排出量は約115万t-CO₂であった。特筆すべきは、この総排出量の実に99.9%がScope3によるものであり、さらにScope3排出量の98.6%がカテゴリ11(販売した商品の使用)に起因している点である。その中でも、国内外の航空機利用におけるジェット燃料消費がカテゴリ11の75.5%を占めており、同社の気候変動インパクトの大部分が航空輸送に関連していることが明確になった2。また、国内主要グループ会社であるH.I.S.ホテルホールディングス株式会社と九州産交グループについても、Scope1およびScope2の排出量が算定されている2

これらの算出結果は、H.I.S.の気候変動対策が直面する構造的な課題を浮き彫りにしている。すなわち、排出量の大部分が自社の直接的な管理が及ばないScope3、特に航空機利用に集中しているという点である。このため、Scope1およびScope2における自社努力(事業所の省エネ化など)も重要であるが、それだけでは全体的な排出削減への貢献は限定的とならざるを得ない。

H.I.S.は、これらの算定結果を基準として、今後具体的なCO₂削減目標を設定し、削減に向けた取り組みを実施していく方針を示しているが2、現時点では具体的な数値目標は公表されていない。科学的根拠に基づいた野心的な目標(例えばSBTi認定基準に沿った目標)の設定と公表が、今後の重要なステップとなる。

具体的な削減策

H.I.S.は、Scope1, 2, 3の各領域において、以下のような削減策を進めている。

  • Scope1, 2(自社での直接・間接排出):

  • 排出量のうちScope2(電力使用等)の比率が高いことから、事業所における電力使用量の削減を推進している2。具体例として、グループ会社のH.I.S.ホテルホールディングスでは、電力ロス削減ソリューション『POWER GUARD』をテスト導入し、一部ホテルでの電力使用量削減に成功している2。また、九州産交グループでは、バス事業におけるアイドリングストップシステムの導入やエコドライブの推進、熊本桜町ビルにおける冷却塔での地下水活用による放熱抑制などに取り組んでいる2

  • 将来的には、非化石証書等の活用による排出量削減も検討している2

  • Scope3(サプライチェーン排出):

  • 排出量の大部分を占めるカテゴリ11(販売した商品の使用、主に航空機)の削減に向けて、事業パートナー(航空会社など)との協働を推進する方針である2

  • 新たな脱炭素サービスへの出資も行っており、一例として、ユナイテッド航空が設立した持続可能な航空燃料(SAF)の研究開発基金への出資が挙げられる3。これは、航空業界全体の脱炭素化への貢献を目指すとともに、将来的にSAFを利用した旅行商品の提供に繋げる意図があると考えられる。

  • 顧客に対して、よりサステナブルな旅行の選択肢を提供することも重要な戦略である2。これには、後述するカーボンオフセットプログラムの提供や、環境に配慮された移動手段(電気自動車など)の導入が含まれる4

  • 移動に伴う排出ガス削減策として、沖縄やハワイなどの人気観光地でトロリーバスやシャトルバスを運行し、レンタカー利用の抑制を図っている3。また、沖縄県の久米島・宮古島のホテルや、タイのバンコク市内観光においてEV(電気自動車)トゥクトゥクを導入し、排気ガス排出削減を進めている3。タイでは、空港送迎用車両や他都市の観光にもEV車の導入拡大を目指している3

  • ユニークな取り組みとして、Space Perspective社への出資を通じて、カーボンニュートラルな方法(気球型宇宙船)による成層圏宇宙旅行を取り扱っている点も挙げられる3

  • Scope3のうちカテゴリ1(購入した製品・サービス)に関連する取り組みとして、後述する紙類やプラスチック製品の使用量削減目標を設定している2

カーボンオフセットプログラム

排出削減努力を補完する手段として、H.I.S.はカーボンオフセットプログラムも提供している。

  • エコツアーデスクでは、専門デスクを設け、トレッキング、環境保護、地域交流などの体験型ツアーを提供するとともに、ツアーで排出されるCO₂をオフセットできるカーボンオフセットプランを用意している3。過去には、「ゴミ拾い富士山登頂ツアー」5や、屋久島での縄文杉トレッキングツアー6など、カーボンオフセットを組み込んだツアーを実施した実績がある。

  • 米国法人H.I.S. International Tours (NY) Inc.は、2021年9月よりサステナブルツーリズム推進の新ブランド「Copolo」を立ち上げ、アメリカ、カナダ在住者向けに旅行予約オンラインサイトを運営している1。このサイトでは、気候変動対策のスタートアップ企業であるCHOOOSE™と提携し、旅行者が自身の旅行(フライト、ホテル、レンタカー)によって排出される二酸化炭素量を計算し、予約時にカーボンオフセットのオプションを選択できる仕組みを提供している1。オフセット料金として徴収された資金は、CHOOOSE™を通じて、検証された二酸化炭素削減・捕捉プロジェクトの支援に充当される7。この取り組みは高く評価され、Plug and Play社の「Winter Summit 2021」でTravel & Hospitality Corporate Innovation Awardを受賞している7。日本での同様の仕組みの導入も検討されている9

カーボンオフセットプログラムは、削減が困難な排出量を補う有効な手段となり得る一方で、その有効性や透明性、さらには「排出する権利」を購入することへの倫理的な側面については様々な議論がある10。H.I.S.が提供するオフセット3が、信頼性の高い(例:追加性、永続性が検証された)プロジェクトに基づいているか、そしてその情報が顧客に対して十分に開示されているかが、プログラムの信頼性を左右する。また、北米市場向けの「Copolo」1と日本国内での展開9に差がある可能性も指摘されており、グローバル企業としての一貫したアプローチが求められる側面もある。

2.2. 資源循環の推進

H.I.S.は、事業活動における資源消費を抑制し、廃棄物を削減するため、特に紙類とプラスチック製品に焦点を当てた取り組みを進めている。

紙類の使用量削減

オフィス業務や顧客への情報提供において、紙の使用量削減は重要な課題である。

  • 取り組み:

  • 社内でのコピー用紙として、持続可能な森林管理を支援するFSC®認証紙を利用している3

  • 社内の各種申請や書類の電子化、会議におけるペーパーレス化を推進している3

  • 旅行パンフレットについては、ウェブ上で閲覧可能なデジタルパンフレットを整備し、紙媒体の需要予測に基づいた在庫最適化を進めることで、印刷・廃棄量の削減を図っている3

  • 顧客への契約書面や旅程表などの渡し書面についても電子化を進めており、2023年11月からはパッケージツアーの旅行日程表の電子交付を開始した(ただし、顧客の要望に応じて書面での提供も可能)3

  • 実績と目標:

  • FY2023(2022年11月~2023年10月)のH.I.S.におけるコピー用紙使用量は約66.7トンであり、コロナ禍前のFY2019と比較して約79.5%の削減を達成した3

  • 同じくFY2023の旅行パンフレットについては、FY2019比で約75%の削減を実現した3

  • ただし、これらのFY2023の実績値は、新型コロナウイルス感染症の拡大による事業活動レベルの大幅な低下が影響しているため、参考値として扱われるべきである点に留意が必要である3

  • H.I.S.は、目標として、FY2026(2026年10月期)までにコピー用紙の使用量をFY2019比で70%削減することを掲げている2

プラスチック製品消費の削減

使い捨てプラスチック製品の削減も、環境負荷低減のための重要な取り組みである。

  • 取り組み:

  • 過去にツアー参加者に配布していたビニール製のオリジナルバッグを廃止した3

  • 書類等を顧客に送付する際に使用していた宅配用ビニール袋を紙袋に変更した3

  • 実績と目標:

  • FY2023におけるプラスチック製品の使用量は約5.5トンであり、FY2019比で約78.5%の削減となった3

  • これもコピー用紙と同様に、コロナ禍の影響による参考値である3

  • 目標として、FY2026までにプラスチック製品の使用量をFY2019比で70%削減することを掲げている2

これらの紙・プラスチック削減目標は設定されているものの、コロナ禍の影響を除いた実質的な削減効果を評価し、今後、事業活動レベルが回復していく中で目標を達成するためには、単なる活動量の増減に左右されない、より構造的な削減策(さらなるデジタル化の徹底、代替素材の導入、サプライヤーへの協力要請など)の強化が求められる。

アップサイクルの取り組み

廃棄物削減の一環として、アップサイクルの取り組みも見られる。グループ会社の九州産交グループでは、路線バスの更新時に廃棄される座席シートの生地を再利用し、新たな製品(バッグなど)として企画・販売している3。これは、廃棄物の有効活用と新たな価値創造を両立する試みである。

その他の資源管理

現時点でのH.I.S.の公開情報では、紙とプラスチック以外の資源循環に関する具体的な方針や目標、データは限定的である。

  • 廃棄物管理: 一般的な廃棄物処理業者としての情報13や、廃棄物処理・リサイクルに関する一般的な法令解説14は存在するが、H.I.S.自社の事業活動(オフィス、ツアー催行など)から生じる廃棄物全体の管理方針や排出量データ、削減目標などは明確に示されていない。

  • 水資源管理: 水使用量に関する具体的な方針やデータは見当たらない。ただし、TCFDに基づく気候変動リスク分析においては、物理的リスクとして水不足・渇水の影響(例:水道料金の値上げ、使用制限)が認識されている可能性が、同業他社の事例15から示唆される。九州産交グループの熊本桜町ビルにおける地下水活用による放熱抑制2は、水資源の有効活用に関連する事例と言える。

  • 食品ロス: 旅行業においては、ツアー中の食事提供やホテル事業などで食品ロスが発生し得るが、これに関するH.I.S.の具体的な取り組みや目標設定についての情報は少ない。ただし、ゼロ・ウェイストをテーマにしたツアー企画16が存在することから、問題意識は持っていると考えられる。

資源循環の取り組みをより包括的なものにするためには、紙・プラスチックに加えて、食品ロス、水資源、その他の廃棄物(例:ホテルアメニティ)に関しても、現状把握、目標設定、具体的な削減・管理策の導入と開示を進めることが、今後の課題と考えられる。競合他社(例:JTBのアメニティリサイクル推進17)の取り組みも参考になるだろう。

2.3. 生物多様性の保全

H.I.S.は、事業活動の基盤となる地球環境、特に生物多様性の保全の重要性を認識し、いくつかの取り組みを行っている。

基本方針

H.I.S.グループは、そのサステナビリティ方針において、「人類を含めた動植物が生きる基盤となる健全な地球環境が必要」であると考えており、「多くの方に生物多様性や地球環境に触れ学ぶ機会の提供を行うことは、観光産業を祖業とする私たちが持続可能な地球のためにできる、私たちの使命だと捉え取り組んでまいります」と述べている2。

具体的な取り組み

現状確認できる主な取り組みは以下の通りである。

  • 持続可能な資源利用: オフィスで使用するコピー用紙にFSC®認証紙を採用している3。FSC®認証は、森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利に配慮した持続可能な森林管理を推進する国際的な制度であり、認証紙の利用を通じて間接的に生物多様性保全に貢献している。

  • エコツアー・サステナブルツーリズムの推進:

  • 専門デスクである「エコツアーデスク」を設け、自然に優しい方法で自然観察を行い、環境保護活動や地域文化交流などを体験できるツアーを提供している3。これらのツアーは、参加者が自然の素晴らしさや環境問題への理解を深める機会を提供する。

  • 「サステナブルツーリズム」特集ページを開設し12、環境(例:EVトゥクトゥク利用3)、社会(例:マヤ刺繍プロジェクト支援12)、文化(例:地域住民との交流18)に配慮した旅行商品を提案している。

  • 特定の地域・テーマでの活動:

  • マラマハワイ: ハワイ州観光局と連携し、「マラマ(思いやり)」の心を重視したハワイ旅行を推進している2。具体的には、ビーチクリーン活動への参加呼びかけ21、アラワイ運河の水質改善プロジェクト(ゲンキ・アラワイ・プロジェクト)への参加21、ハワイ産品の紹介・販売による地域経済への貢献21などが挙げられる。社員向け教育プログラムの導入や、全直営店舗でのハワイ州観光局認定サテライトオフィス化も目指している21

  • 海洋プラスチック問題: 海洋プラスチックごみ問題をテーマとしたワークショップを開催し、意識啓発を図っている12。また、奄美大島の提携ホテルでは、宿泊客に近隣ビーチでのプラスチックごみ回収活動への参加を働きかけている18

  • 野生生物保全: 小笠原諸島において、ウミガメの保全活動に参加するツアーを企画・販売している19

  • パートナーシップ: 現時点では、生物多様性保全を専門とする国際的なNGOなどとの大規模なパートナーシップに関する情報は少ない。しかし、ハワイ州観光局21や、特定の活動(例:小菅村との協定2、地域の高校生との商品開発12)における地域団体との連携は見られる。他社の事例(例:WWFとトヨタのパートナーシップ23、経団連自然保護協議会を通じた連携24、地域NPOとの協働27)は、今後の連携強化の可能性を示唆している。

過去の課題:パーム油発電所問題

H.I.S.の生物多様性への取り組みを評価する上で、過去に大きな問題となった宮城県角田市におけるパーム油発電所計画に触れないわけにはいかない。この計画は、H.I.S.の子会社(H.I.S. SUPER 電力株式会社)が進めていたもので、年間7万トンものパーム油を燃料として使用する予定であった30。

しかし、パーム油の主要生産地であるマレーシアやインドネシアにおけるアブラヤシプランテーション開発が、熱帯林破壊、泥炭地開発、生物多様性の損失(オランウータンなど野生生物の生息地破壊)、先住民の権利侵害、そして大量の温室効果ガス排出に繋がっていることが国際的に問題視されていた30。発電用に大量のパーム油を燃焼させることは、これらの問題をさらに助長するとして、FoE Japanをはじめとする国内外の環境NGOや宮城県内外の市民団体から強い批判が巻き起こり、計画中止を求める署名活動(最終的に14万筆以上)も行われた30

批判の要点は、以下の通りであった。

  • パーム油発電は、燃料生産段階での環境破壊やGHG排出量が大きく、再生可能エネルギーとは言えない(石炭火力よりも排出量が多いとの指摘もある)30

  • FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の対象ではあったが、持続可能性認証(RSPO認証)だけでは、爆発的な需要増による開発圧力を抑えられない30

  • H.I.S.グループの企業理念(自然の摂理にのっとる等)と矛盾する事業である30

H.I.S.は当初、FIT制度のガイドライン遵守などを理由に計画を進める姿勢を示していたが32、NGOとの面会を拒否するなど、対話姿勢にも課題があったと指摘されている31。最終的に、パーム油価格の高騰なども影響し、H.I.S. SUPER 電力は債務超過に陥り、H.I.S.は2022年10月に同社の株式を売却し、発電事業から撤退した33

この一連の経緯は、H.I.S.にとって、新規事業展開やサプライチェーン管理における環境・社会リスク評価とデューデリジェンス、そしてステークホルダーとの対話の重要性を示す極めて重要な教訓となったはずである。現在の生物多様性保全活動やサステナビリティへの取り組み全般の信頼性を評価する上で、この過去の経験がどのように活かされているかを注視する必要がある。

現状のH.I.S.の生物多様性への取り組みは、エコツアーや特定の地域・テーマでの活動が中心であり、全社的な戦略、具体的な定量目標の設定、サプライチェーン全体での影響評価(例えばTNFDフレームワークへの対応など)といった点では、まだ発展途上にあると言える。競合他社(例:JTBのTNFDアダプター登録17)と比較しても、より体系的で包括的なアプローチの導入が今後の課題と考えられる。パーム油問題の反省を踏まえ、本業である旅行事業を通じて、より実効性のある生物多様性保全への貢献を目指すことが期待される。

3. 環境関連のリスクと機会

事業活動が環境に与える影響だけでなく、気候変動や環境規制の変化などが事業に及ぼすリスクと、それに対応することで生まれる機会を認識し、経営戦略に組み込むことが、企業の持続的な成長にとって不可欠となっている。H.I.S.もTCFD提言に基づき、これらのリスクと機会の分析を進めている。

3.1. TCFDに基づく分析

H.I.S.はTCFDフレームワークに沿って気候関連のリスクと機会を分析し、その結果を開示している2。主なリスク認識と対応策は以下の通りである。

物理的リスク

気候変動の進行に伴う直接的な物理現象によるリスク。

  • 異常気象の頻発・甚大化: 台風、豪雨、熱波、干ばつなどの異常気象が、旅行先の自然環境やインフラに損害を与え、観光資源としての魅力を低下させるリスク。また、H.I.S.が保有・運営する施設(ホテル等)や車両への直接的な被害、交通網の寸断によるツアー催行中止や遅延、顧客や従業員の安全確保の問題、結果としての売上減少や復旧コストの増加に繋がる2。H.I.S.はこのリスクを重要度「大」と評価している2

  • 対応策: 危機管理マニュアルに基づく顧客対応、旅行前のサポートサービス充実(例:キャンセルサポート)、グローバルネットワークを活用した情報収集と安全確保(DX推進)、保有施設・車両における防災マニュアル整備、防災訓練の徹底、備蓄品の確保や避難体制の整備などを挙げている2

  • 平均気温の上昇: 夏季の猛暑による冷房需要の増加に伴う光熱費の上昇、屋外活動の制限による旅行需要の変化、従業員や顧客の熱中症リスク増大などが考えられる4

  • 海面上昇: 沿岸部の観光地(ビーチリゾート等)における砂浜の消失や施設の浸水リスク。

  • 水不足・渇水: ホテル運営等における水利用制限やコスト増加、温泉資源の枯渇リスク15

物理的リスク、特に異常気象による影響は、特定のデスティネーションや旅行シーズンへの依存度が高い場合に、より深刻な影響をもたらす可能性がある。例えば、台風は日本の主要な旅行シーズンや観光地に影響を与えやすく2、ビーチリゾートは海面上昇やサンゴ礁の白化といった気候変動の影響を受けやすい。H.I.S.がリスク分散のために、気候変動の影響を受けにくい地域や屋内型アクティビティ、通年型観光地への商品開発4をどの程度戦略的に進めているかが、気候変動に対するレジリエンス(強靭性)を評価する上で重要となる。

移行リスク

低炭素社会への移行に伴う政策、法規制、技術、市場の変化などから生じるリスク。

  • 顧客行動・嗜好の変化: 環境意識の高まりにより、消費者がよりサステナブルな旅行(エコツアー、環境負荷の低い移動・宿泊)を選択する傾向が強まり、従来の大量輸送・大量消費型の旅行商品への需要が減少するリスク2。H.I.S.はこのリスクを重要度「大」と評価している2

  • 対応策: プラスチック製品削減やペーパーレス化の推進、環境保護体験プログラムの提供、保有バス・車両のEV化・FCV化推進、カーボンニュートラル商品の提供、新たな体験価値の創出、環境配慮型移動手段の導入、積極的な情報開示などを挙げている2

  • 政策・法規制の強化:

  • 炭素税の導入や排出量取引制度の強化(特に航空分野)により、燃料費や航空運賃が上昇し、旅行コストが増加するリスク15。これはH.I.S.の価格競争力や収益性に直接的な影響を与える可能性がある。

  • プラスチック製品の使用禁止・制限強化による、アメニティや包装材などの代替品への切り替えコストや調達リスク35

  • 国立公園への立ち入り制限や特定の観光アクティビティ(例:エンジン付きボートの使用制限)など、環境保護を目的とした規制強化による、商品造成への制約や既存ツアーの変更・中止リスク4

  • 技術の変化: 低炭素技術(例:SAF、電気航空機)への移行が遅れた場合、競合他社に対して不利になるリスク。

  • 市場の変化: ESG投資の拡大に伴い、環境評価(ESGスコア)が低い企業は、資金調達コストの上昇や投資対象からの除外といったリスクに直面する可能性がある38

  • 評判リスク: 環境問題への対応が不十分であると認識された場合、企業イメージが悪化し、顧客離れや人材獲得難に繋がるリスク。過去のパーム油発電所問題30はこのリスクが顕在化した例と言える。

H.I.S.の事業モデルは、Scope3排出量の分析結果2が示す通り、航空輸送に大きく依存している。そのため、航空分野における規制強化や燃料費高騰といった移行リスク15は、同社の財務に直接的かつ大きな影響を与える可能性が高い。TCFD開示2では対応策としてパートナー(航空会社)との協働や代替サービスの提供2が挙げられているが、これらの具体性、実現可能性、そして財務的影響について、より詳細な分析と戦略の開示が求められる。

リスク管理体制

H.I.S.グループでは、気候関連リスクを含む事業リスク全般について、サステナビリティ推進委員会とリスク・コンプライアンス委員会が連携して、リスクの識別・評価・管理を行っている2。リスク管理室がグループ全体のリスク情報を収集・共有し、リスク・コンプライアンス委員会が管理体制整備や未然防止策を検討、サステナビリティ推進委員会が気候変動リスクに特化した分析・戦略策定・進捗モニタリングを行い、重要な事項は取締役会に報告・付議される体制となっている2。

3.2. 事業機会

環境課題への対応は、リスク側面だけでなく、新たな事業機会の創出にも繋がる。

  • サステナブルツーリズム市場の拡大: 環境意識の高い消費者の増加は、エコツアー、環境教育プログラム、地域文化体験、ボランティア活動などを組み込んだ、付加価値の高いサステナブルツーリズム商品への需要を拡大させる2。H.I.S.は、法人向けの「シン・社員旅行」40や、個人向けの多様なサステナブルツーリズム商品18(例:マラマハワイ21、EV利用ツアー3、スタディツアー18)を提供することで、この機会を取り込もうとしている。

  • ブランドイメージ向上と顧客ロイヤリティ: 環境問題や社会課題への積極的な取り組みは、企業の評判を高め、特に倫理的な消費に関心を持つミレニアル世代やZ世代の顧客からの共感と信頼を獲得し、長期的な顧客ロイヤリティに繋がる可能性がある15

  • コスト削減: 事業運営における省エネルギー(電力削減策2)、省資源(紙・プラスチック削減3)、廃棄物削減を進めることは、光熱費や消耗品費、廃棄物処理費などの運用コスト削減に直接的に貢献する。

  • ESG投資の呼び込み: 高いESG評価を獲得することは、ESG投資を重視する機関投資家からの資金調達を有利にし、企業価値向上に繋がる可能性がある38

  • 人材獲得と維持: 企業のサステナビリティへの貢献は、従業員の働きがいやエンゲージメントを高め、環境・社会課題に関心を持つ優秀な人材の獲得・維持に寄与する可能性がある42

  • イノベーションの促進: 環境課題の解決を目指す中で、新しい旅行商品やサービス(例:SAFを利用したフライトプラン、鉄道と連携した低炭素ツアー、VRなどのデジタル技術を活用した代替体験37、地域循環型経済に貢献するツアー41)を開発する機会が生まれる。

  • 地域との連携強化: 環境保全活動や地域固有の文化・自然を活かした観光開発を通じて、地方自治体や地域コミュニティとの良好なパートナーシップを構築し、地域活性化に貢献することで、事業基盤を強化できる2

サステナブルツーリズム市場の成長はH.I.S.にとって大きな事業機会であるが、この機会を最大限に活かすためには、単に「環境に配慮した」というラベルの商品を提供するだけでなく、旅行の予約から移動、宿泊、現地での体験、そして旅行後の情報共有に至るまでのプロセス全体において、持続可能性を追求する必要がある。そして、その付加価値(環境価値、社会価値、文化価値、体験価値)を、価格や利便性とのバランスを考慮しつつ、顧客に対して効果的に伝え、共感を呼ぶコミュニケーション戦略が不可欠となる。グリーンウォッシング(見せかけの環境配慮)と見なされないためには、取り組みの具体性、透明性、そして第三者による検証などが重要となる。

また、ESG評価の向上を資金調達やブランド価値向上に繋げるためには、設定する目標の野心度(例:SBT認定レベルか)、実績データの信頼性(例:第三者検証を受けているか)、そして競合他社(JTB17, KNT-CT37)と比較した場合の相対的なパフォーマンスレベルが、投資家や評価機関からの評価を左右する要因となる。

4. 業界のベストプラクティス

H.I.S.の環境への取り組みを評価し、今後の戦略を検討する上で、国内外の旅行・観光業界における先進的な事例や国際的な基準を理解することが有益である。

グローバル基準:GSTC

持続可能な観光に関する最も広く認知された国際基準として、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC: Global Sustainable Tourism Council)が策定したGSTCクライテリア(基準)がある44。GSTCは、持続可能な観光のための共通言語を確立することを目指しており、その基準は以下の4つの柱に基づいている45。

  • A: 持続可能な経営: サステナビリティ経営システムの導入、法令遵守、従業員への配慮、顧客コミュニケーションなど。

  • B: 社会経済への影響: 地域社会への貢献、地域住民の雇用、公正な取引、サプライチェーン管理など。

  • C: 文化への影響: 文化遺産の保護、伝統文化の尊重、地域文化との適切な交流など。

  • D: 環境への影響: 資源(エネルギー、水)の効率的利用、排出物(GHG、廃棄物、排水)の削減と管理、生物多様性の保全、環境負荷の少ない活動の推進など。

GSTC基準には、ホテルやツアーオペレーター向けの「産業界向け基準(GSTC-I)」と、公共政策立案者や観光地管理者向けの「地域向け基準(GSTC-D)」の2種類がある45。GSTC自身は直接認証を行わないが、これらの基準に基づいてホテル、ツアーオペレーター、観光地などを認証する認証機関を「認定」するプログラムを提供している45。GSTC基準への準拠や、認定された認証機関からの認証取得は、企業のサステナビリティへの取り組みの信頼性を示す国際的な指標となり得る。

先進企業の取り組み事例(海外)

国際的なホテルチェーンやリゾート施設の中には、サステナビリティを経営の中核に据え、先進的な取り組みを行っている企業が存在する。

  • Accorグループ(フランス): 大手ホテルグループであるAccorは、MSCI、CDP、Sustainalyticsといった複数の外部ESG評価機関によるレーティングを積極的に開示し、サステナビリティの目標達成度に応じて金利が変動するサステナビリティ・リンク・ボンドを発行するなど、ESGパフォーマンスと財務戦略を連動させている38。具体的な取り組みとしては、包装材・廃棄物の削減、持続可能な原材料調達、化学物質の安全性確保、コーポレートガバナンスの強化などが挙げられる46

  • SCP Hotels(米国・コスタリカ): 「意識的な旅行者のためのホリスティック・ホスピタリティ」を掲げ、環境再生型のアプローチを重視している。コスタリカのSCP Corcovado Wilderness Lodgeでは、コルコバード国立公園内に位置し、地域NGO「Innoceana」と連携した海洋保護活動へのゲスト参加プログラムを提供している29。また、レストランでの廃棄物ゼロ(Zero Waste)の徹底や使い捨てプラスチックの排除、太陽光発電の導入(ビッグサーの施設では年間約272トンのCO2削減効果29)など、具体的な環境負荷削減策を実施している。

  • The Parkside Hotel & Spa(カナダ): カナダ・ヴィクトリアにあるこのホテルは、敷地内での養蜂、緑化された屋上、包括的な廃棄物削減プログラムなどを通じて、都市におけるサステナブルツーリズムを実践している29。特筆すべきは、植林パートナーシップ「Veritree」との連携で、ゲストの宿泊や客室清掃の辞退に応じて海藻(ケルプ)を植林し、海洋の生物多様性保全に貢献している点である29。また、環境保護団体「Sierra Club BC」との連携や、ゲスト・スタッフ双方への環境教育にも力を入れている29

これらの海外事例からは、単に環境負荷を削減するだけでなく、地域社会やNGOとの連携、生物多様性保全への直接的な貢献、ゲストへの教育や参加機会の提供、そして外部評価の積極的な活用といった、より統合的で積極的なサステナビリティ戦略が見て取れる。

先進企業の取り組み事例(国内)

日本の旅行業界においても、サステナビリティへの取り組みが進展している。

  • JTB株式会社: H.I.S.の主要な競合であるJTBは、カーボンニュートラル目標の設定17に加え、旅行中のCO2排出量をオフセットする「CO2ゼロ旅行®」や、イベント・会議向けの「CO2ゼロMICE®」といった具体的なサービスを展開している17。資源循環においては、ホテルアメニティの水平リサイクルを推進し、具体的な目標値を設定している17。生物多様性に関しても、やんばる地域での自然体験と学習機会の提供(目標設定あり)17や、自然資本に関するリスクと機会の評価・情報開示を進める国際的な枠組みであるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のアダプターに登録するなど17、先進的な動きを見せている。

  • 日本旅行: JRを利用した旅行プランにカーボン・オフセットを組み込んだ「JRセットプラン Carbon-Zero」を販売している47。また、企業の社員旅行や修学旅行などの団体旅行に対しても、移動に伴うCO2排出量を算定し、オフセットする提案を行っている48

  • JR東日本びゅうトラベル: 鉄道会社としての強みを活かし、「びゅうサステナブルツーリズムプロジェクト」として、鉄道利用を基本とした地域文化体験(例:岩手県花巻市の神楽入門)や自然体験(例:奥入瀬渓流の氷瀑観賞)など、地域密着型でユニークなサステナブルツアーを提供している20

これらの国内事例は、カーボンオフセットの活用、地域資源(自然、文化)と連携した商品開発、デジタル化による資源削減などが、日本の旅行業界におけるサステナビリティ推進の主な方向性であることを示唆している。

旅行業界以外にも、他産業の企業の取り組みは参考になる。例えば、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減(コマツ43)、サプライヤーとの協働による排出削減(サプライヤー・エンゲージメント、アドバンテスト49)、事業所周辺での具体的な生物多様性保全活動(ビオトープ設置、植林、清掃活動など、ライオン27、クボタ50、日立ハイテク51)、市民参加型の自然観察・保全プログラム(ソニー52)、自然資本を活かした地域創生への貢献(経団連自然保護協議会24)などは、H.I.S.が取り組みを深化させる上でヒントとなり得る。

業界のベストプラクティスを概観すると、単一の施策に留まらず、国際基準への準拠や第三者認証の取得、野心的な目標設定と透明性の高い実績開示、サプライチェーン全体を巻き込んだ取り組み、地域社会やNGOとのパートナーシップ、そして環境課題解決に繋がるイノベーション(新技術導入、新しいビジネスモデル)など、多岐にわたる包括的なアプローチが、真の環境リーダーシップに繋がることがわかる。特に海外の先進事例では、第三者による客観的な評価や国際的なイニシアチブへの参加が、取り組みの信頼性を高め、グローバル市場での評価を得る上で重視されている傾向が見られる。

5. H.I.S.の現状の課題と推奨事項

これまでの分析を踏まえ、H.I.S.が環境への取り組みをさらに強化し、持続可能な企業として成長していく上で直面している課題と、それに対する戦略的な推奨事項を以下にまとめる。

5.1. 直面する課題

H.I.S.は環境保全に向けて様々な努力を行っているが、同時にいくつかの重要な課題にも直面している。

  • Scope3排出量(特に航空機)の大きさという構造的課題: GHG排出量の算定結果2が示す通り、排出量の大部分(99.9%)がScope3、その中でも航空機利用に起因しており、自社の努力だけでは削減が極めて困難である。航空業界全体の脱炭素化の動向(SAFの普及速度、技術革新など)に大きく依存する構造となっている。

  • 目標設定の具体性と野心度: CO₂削減に関する具体的な数値目標は現在策定中であり2、SBT認定レベルのような科学的根拠に基づいた野心的な目標が設定されるかが今後の焦点となる。資源循環に関する目標(紙・プラ70%削減)2は存在するが、コロナ禍の影響を考慮した実質的なベースラインからの進捗評価と、事業回復局面での達成戦略が課題である。生物多様性に関する定量的な目標は現時点では不明確である。

  • サステナブルツーリズムの主流化: エコツアーデスク18やマラマハワイ21など、特定の分野や地域での先進的な取り組みは見られるものの、これらをH.I.S.の主力商品であるパッケージツアー全体にどの程度組み込み、一般の顧客層に魅力的な選択肢として提供できるかが課題である。価格競争が激しい旅行業界において、サステナビリティと価格競争力の両立も難しい問題である。

  • サプライチェーンにおける環境管理: 旅行商品は、航空会社、ホテル、現地のバス会社やレストラン、アクティビティ提供事業者など、多数のサプライヤーによって構成される。これらのサプライヤーにおける環境パフォーマンス(排出量、資源利用、廃棄物管理、生物多様性への配慮など)を把握し、改善に向けて働きかける(エンゲージメント)体制が十分に構築されているか、情報開示からは判断が難しい。

  • 過去の事業(パーム油発電)からの信頼回復: 宮城県角田市でのパーム油発電所計画とその撤退30は、特に環境問題に関心を持つNGOや消費者層に対して、H.I.S.の環境に対する企業姿勢への疑念を抱かせた可能性がある。現在の環境への取り組みに対する信頼性を再構築し、ステークホルダーとの良好な関係を築く努力が引き続き求められる。

  • 情報開示の網羅性と透明性: TCFDに基づく気候関連情報の開示2は進んでいるものの、資源循環(特に水資源、食品ロス、その他の廃棄物)、生物多様性(具体的な保全活動、目標、サプライチェーンでの配慮)、サプライチェーン全体の環境パフォーマンスに関する詳細なデータや目標、取り組み内容についての情報開示は、まだ限定的である可能性がある。また、後述するように、主要なESG評価機関からのスコアリング情報が少ない点も、透明性に関する課題と関連している可能性がある。

  • 業界特有の課題への対応: パンデミック、経済状況、地政学リスクなどによる旅行需要の変動性への対応、世界各地の多様なデスティネーションにおける異なる環境規制や文化への配慮、人気観光地におけるオーバーツーリズム問題1への貢献など、旅行業界特有の複雑な課題への対応も求められる。

これらの課題の中でも、特に深刻なのは、事業の中核である航空機利用に伴う膨大なScope3排出量と、気候変動対策の要請との間の構造的なジレンマである。これを克服するためには、カーボンオフセットのような補完的手段や、EV導入といった部分的な取り組みに留まらず、商品ポートフォリオの見直し(例:鉄道利用型ツアーの強化、近距離・国内旅行の推進)や、航空業界へのより積極的な働きかけ(例:SAF利用のコミットメント強化)など、より抜本的な戦略転換が必要となる可能性も視野に入れるべきである。

また、パーム油発電所問題の経験は、単なる過去の失敗ではなく、重要な教訓として活かされるべきである。再生可能エネルギーという名目であっても、サプライチェーン上流(パーム油生産地)における環境・人権リスク30を見落としたことが、深刻なレピュテーションリスクと最終的な経済的損失33に繋がった。この経験は、今後のサプライヤー選定基準の厳格化、新規事業(例:SAF関連投資3)における環境・社会デューデリジェンスの徹底、そしてステークホルダーとの誠実な対話の重要性を強く示唆している。

5.2. 戦略的推奨事項

上記の課題を踏まえ、H.I.S.が環境パフォーマンスを向上させ、持続可能な成長を実現するために、以下の戦略的な方向性を推奨する。

気候変動への対応強化:

  • 目標設定: 早急に、科学的根拠に基づく野心的かつ具体的なGHG削減目標(Scope1, 2, 3を含む)を設定し、公表する。可能であれば、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認定取得を目指すことを推奨する。

  • Scope3削減戦略の具体化:

  • 航空会社との連携を強化し、SAF利用率の高い航空会社の優先利用、運航効率改善への協力要請、SAF共同購入などの具体的な取り組みを進める。

  • 顧客に対して、予約時にフライトや宿泊に伴うカーボンフットプリント情報を分かりやすく開示し、鉄道利用や環境性能の高いホテルなど、低炭素な選択肢を積極的に提示・推奨する。

  • カーボンオフセットプログラムについては、その依存度を低減する努力と並行して、オフセットの質(追加性、永続性、透明性)を担保するため、信頼性の高い認証基準(例:Gold Standard, Verra)を満たすプロジェクトを選定し、その情報を顧客に開示する。

  • 商品ポートフォリオの見直し: 航空機利用を前提としない、あるいは飛行距離の短い旅行商品の比率を高めることを検討する。具体的には、国内旅行や近隣アジア諸国への旅行、鉄道やバスを主要な移動手段とするツアー、環境負荷の低いデスティネーション(再生可能エネルギー導入率が高い、自然保護が進んでいるなど)を目的地とするツアーの開発・販売を強化する。

資源循環の包括的推進:

  • 既存目標の達成強化: 紙・プラスチック削減目標(FY2026までにFY2019比70%削減)2達成に向け、事業活動レベルの回復を見据え、デジタル化の更なる徹底(例:完全ペーパーレス予約・契約プロセスの導入)、サプライヤー(ホテル、土産物店など)への協力要請(例:過剰包装の削減)などの施策を強化する。

  • 対象範囲の拡大: 新たに、食品ロス削減(ツアー中の食事、ホテル事業における調達・調理・提供プロセスの見直し)、水使用量削減(特にホテル事業における節水目標の設定と設備導入)、ホテルアメニティの削減・リサイクル(競合のJTB事例17などを参考に)に関する具体的な目標を設定し、取り組みを開始・開示する。

  • アップサイクルの推進: 九州産交グループでのバス座席シート活用3のような取り組みを、他の事業領域や廃棄物にも展開できないか検討する。

生物多様性保全への貢献深化:

  • 戦略・目標策定: 生物多様性に関する全社的な基本方針を策定し、事業活動との関連性が高い重点地域やテーマ(例:サンゴ礁保全、森林保全、希少種保護)を特定した上で、具体的な貢献目標(例:主要デスティネーションにおける保全活動への支援額・参加者数、生物多様性に配慮したツアー造成比率)を設定・公表する。

  • 影響評価と開示: TNFDフレームワークなどを参考に、自社の事業活動が生物多様性に与える影響(依存度とインパクト)を評価し、リスクと機会を特定し、その結果を開示することを検討する(JTBのTNFDアダプター登録17は先行事例となる)。

  • サプライヤー管理: 旅行商品の提供に関わるサプライヤー(特に現地のツアーオペレーター、ホテル、交通機関)に対し、生物多様性への配慮に関する基準(例:野生動物ツアーにおけるガイドライン遵守、外来種の持ち込み・拡散防止策、保護地域でのルール遵守)を設定し、契約や選定プロセスに組み込む。サプライヤーへの啓発やエンゲージメントを強化する。

  • パートナーシップ強化: 信頼性の高い環境NGO、研究機関、地域コミュニティとのパートナーシップを構築・強化し、具体的な生物多様性保全プロジェクトへの資金提供、従業員や顧客によるボランティア活動への参加18などを拡大する。

横断的な推奨事項:

  • サステナビリティ報告の質向上: 国際的なレポーティングガイドライン(例:GRIスタンダード)に準拠し、目標、戦略、具体的な取り組み、パフォーマンスデータ(定量・定性)、課題に関する情報を、より網羅的かつ透明性の高い形で年次報告書(統合報告書やサステナビリティレポート)で開示する。重要なデータについては、第三者保証の取得を検討し、報告の信頼性を高める。

  • サプライヤーエンゲージメントプログラムの構築: サプライヤーに対して、環境・社会に関する期待事項(行動規範など)を明確に伝え、定期的な評価(アンケート調査、監査など)を実施し、必要に応じて改善に向けた支援や協働を行う仕組みを構築する。

  • 従業員エンゲージメントと教育: 全従業員を対象としたサステナビリティに関する研修や情報共有を強化し、企業全体としての目標達成に向けた意識向上と、各部門・現場レベルでの具体的な環境配慮行動(例:省エネ、廃棄物分別、顧客への案内)を促進する21

  • ステークホルダーダイアログの活性化: 環境NGO、地域社会の代表者、投資家、有識者など、多様なステークホルダーとの対話の機会を定期的に設け、H.I.S.の取り組みに対する期待や懸念を直接把握し、それらを経営戦略や具体的な活動計画に反映させるプロセスを構築する。

6. 競合他社の環境への取り組み

H.I.S.の環境パフォーマンスを相対的に評価するため、日本の大手旅行会社であるJTB株式会社(以下、JTB)とKNT-CTホールディングス株式会社(以下、KNT-CT)の環境への取り組みについて、公開情報を基に比較分析する。

6.1. JTB株式会社

JTBは、非公開企業でありながらも、サステナビリティに関する情報開示に力を入れている。

  • 気候変動: JTBグループは、中期目標として2030年度までに自社排出(Scope1, 2)の実質ゼロ、長期目標として2050年度までに事業活動全体(Scope1, 2, 3)でのカーボンニュートラル達成を掲げている17。これはH.I.S.よりも具体的で野心的な目標設定と言える。2023年度のScope1+2排出量は18,569 t-CO2(2019年度比50.1%)、Scope1+2+3排出量は2,388,108 t-CO2(同52.4%)と実績値も開示している17。削減策としては、オフィスの省エネ化(LED化、空調改善)、再生可能エネルギー導入推進(2030年度までに100%切り替え目標)といった自社努力に加え17、顧客向けサービスとして、旅行やMICE(会議・イベント)に伴うCO2排出量をオフセットする「CO2ゼロ旅行®」「CO2ゼロMICE®」を提供している点が特徴的である17。さらに、法人向け出張管理サービス「ESG-BTM」において、出張に伴うCO2排出量の可視化機能を提供している17

  • 資源循環: JTBは、ホテルで使用されるアメニティの3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進しており、特に使用済みアメニティの水平リサイクル(マテリアルリサイクル)に力を入れている。一般社団法人アメニティ・リサイクル協会に参画し、2028年度までにリサイクル協力施設を50施設に増やす目標を掲げている17。また、電子チケット流通プラットフォーム「TicketHUB®」や旅ナカコンテンツ予約システム「JTB BÓKUN」の活用、決済端末の切り替えや申込書の電子化により、紙チケットや紙伝票の削減にも取り組んでおり、それぞれ具体的な削減目標枚数・本数を設定・開示している17。グループ会社のJTB GMTでは、3R(リデュース、リユース、リサイクル)それぞれについて、マイバッグ・マイボトル利用推奨、不要包装の拒否、食品ロス削減、ペーパーレス推進、不用品再利用、資源ごみ分別徹底など、詳細な行動指針を定めている54

  • 生物多様性: JTBは、沖縄本島北部の「やんばる国立公園」隣接地で運営するアドベンチャー施設「やんばるアドベンチャーフィールド」において、ジップライン体験とともにガイドが地域の希少な植生について解説し、生物多様性に関する学習機会を提供している(2028年度目標12,000人)17。また、沖縄県本部町の備瀬地区においては、地域の景観を特徴づけるフクギ並木の維持・保全を目的とした苗木販売プロジェクト「Fukukitaru」を推進している(2028年度目標200件)17。顧客や地域住民、社員が参加する環境保全活動「JTB地球いきいきプロジェクト」も各地で実施している17。さらに特筆すべきは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のアダプターに登録し、2025年中にTNFDフレームワークに従った評価を実施し、生物多様性に関する情報開示を行う予定であること17、そして動物福祉への配慮を含む方針を策定していること54である。

  • サステナブルツーリズム: JTBは、「環境」「地域貢献」「自然・文化・伝統」への配慮を基準としたサステナブルツーリズムを推進しており56、ウェブサイトではカナダ、ウェールズ、フランス、スイスなどを目的地とする具体例を紹介している56

全体として、JTBはH.I.S.と比較して、気候変動に関する野心的な目標設定、資源循環における具体的な施策と目標値の開示、生物多様性に関するTNFDへの対応表明など、より体系的で先進的な取り組みを進めている側面が見受けられる。

6.2. KNT-CTホールディングス株式会社

KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト、クラブツーリズムなどを傘下に持つ)も、サステナビリティへの取り組みを進めている。

  • 気候変動: KNT-CTは、TCFD提言に準拠した取り組みを進めることを表明しており37、気候関連のリスクと機会を認識している。移行リスクとして「CO2排出量の少ない運送機関、宿泊機関の利用を求める規制の実施」(評価:大)、物理的リスクとして「猛暑等による旅行マインドの低下、旅行先の変化」(評価:中)や「自然災害の激甚化による旅行提供機会の喪失」(評価:中)を挙げている37。対応の方向性としては、CO2排出量の少ないツアーの造成・販売、旅行シーズン・目的地の変化に応じた商品開発、環境配慮型旅行商品の拡充、旅行業以外の事業(地域創生事業、BPO等)の収益拡大、BCP(事業継続計画)の高度化などを掲げている37。機会としては、環境配慮型商品への需要増、VRなどのIT技術を活用した疑似体験商品の開発などを認識している37。ただし、具体的なGHG排出量データや削減目標に関する詳細な情報は、最新の公開情報からは確認が難しい。過去(2018年発行のCSRレポート)には、2017年のCDPスコアが「B」であったとの記載がある57

  • 資源循環: 省資源・リサイクルの取り組みに言及しているが37、具体的な目標や実績データの開示は限定的である。傘下の近畿日本ツーリスト(KNT)では、持続可能な森林管理を支援するPEFC認証を受けたコピー用紙を購入している58。過去には、ペットボトルキャップを回収し、ワクチン寄付やCO2削減に繋げる「エコキャップ運動」を実施していた57

  • 生物多様性: 生物多様性保全への取り組みについても言及があるが37、具体的な活動内容や方針、目標に関する詳細情報は不明確である。

  • サステナブルツーリズム: KNTでは、高齢者や障がいのある方など、誰もが旅行を楽しめる社会を目指す「ユニバーサルツーリズム」の推進に力を入れている58。また、教育旅行(修学旅行など)向けに、カーボンニュートラルの考え方を学び、旅行に伴うCO2排出量をカーボンオフセットするプログラム「カーボンスタディツアー ~Think the Blue Planet~」を提供している点が特徴的である59

  • その他: KNT-CTホールディングスは、サステナビリティレポートを発行しており(外部専門家によるESG/SDGsマトリクス監修実績あり61)、国際的なサステナビリティ評価機関であるEcoVadisによる評価を受けている(ただし結果は非公開)58。また、サプライチェーンにおける共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」を公表している58

KNT-CTは、TCFDに基づくリスク・機会認識は示しているものの、JTBやH.I.S.(TCFD詳細開示)と比較すると、現時点での具体的な目標設定や定量的な実績データの開示は限定的であるように見受けられる。一方で、教育旅行市場における「カーボンスタディツアー」59や、ユニバーサルツーリズムへの注力58は、同社グループの独自性を示す取り組みと言える。EcoVadis評価の受審58は、サプライチェーンからの要請など、外部からのサステナビリティ要求に対応しようとする姿勢を示している可能性がある。

7. 環境スコアのベンチマーキング

企業の環境への取り組みや情報開示のレベルを客観的に比較する指標として、外部のESG評価機関によるスコアが用いられる。ここでは、代表的な評価機関であるCDP、MSCI ESGレーティング、およびその他の評価機関(Sustainalytics, EcoVadis)によるH.I.S.、JTB、KNT-CTの評価状況について、公開情報を基に記述する。

評価機関の概要

  • CDP: 気候変動、水セキュリティ、森林に関する企業の環境情報開示を評価する国際的な非営利団体。企業は質問書に回答し、その内容に基づいてAからD-のスコアが付与される62。スコアは投資家や購買企業によって広く参照される39。サプライヤーとの協働を評価するサプライヤーエンゲージメント評価(SEA、旧SER)も実施している49

  • MSCI ESG Ratings: 大手金融サービス企業MSCIが提供するESG評価。企業の長期的なESGリスクへの耐性を、業界固有のリスクエクスポージャーとリスク管理能力に基づいて評価し、AAA(リーダー)からCCC(ラガード)までの7段階で格付けする38。業界内での相対評価が特徴である67

  • Sustainalytics: Morningstar傘下のESGリサーチ・評価機関。企業が直面するESGリスクの度合いを評価するESGリスクレーティングなどを提供している(例:Accorグループ38)。

  • EcoVadis: サプライヤー企業のサステナビリティパフォーマンスを評価するプラットフォーム。「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の4分野で評価し、メダル(プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ)を授与する(例:KNT58、アドバンテスト49)。

各社の評価状況

  • H.I.S. Co., Ltd.:

  • CDP: 2023年および2024年のCDP質問書(気候変動、水、森林)に対する回答状況およびスコアは、CDPの公式ウェブサイト上では確認できなかった(2025年初頭時点)71。これは、H.I.S.が質問書に回答していない、あるいは回答結果の公開を選択していない可能性を示唆する。過去のスコアに関する情報も見当たらない。

  • MSCI ESG Ratings: 2023年11月時点の評価は「A」であった(MSCI ESG Ratings & Climate Search Toolによる)。MSCIの評価スケール69では、「A」は7段階中3番目のカテゴリーであり、「Average(平均的)」に分類される。これは、業界リーダー(AAA, AA)とラガード(B, CCC)の中間に位置し、業界固有のESGリスクに対して一定の管理が行われているものの、トップレベルには達していないことを示唆する。

  • Sustainalytics, EcoVadis: これらの機関によるH.I.S.の評価に関する公開情報は確認できなかった。

  • JTB株式会社:

  • CDP: JTBは非公開企業であるため、CDPの主要な評価対象(上場企業)ではない可能性がある。2023年、2024年のスコアはCDPウェブサイト上では確認できなかった71。ただし、JTBが発行したTNFDレポートの中では、CDP/TNFD等での定期開示をステークホルダーコミュニケーションにおけるリスク対応策の一つとして挙げており73、CDPを意識している可能性はある。(なお、JTBがマーケティング基盤として「Arm Treasure Data CDP」というカスタマーデータプラットフォームを導入した事例74があるが、これは環境評価のCDPとは異なるものである。)

  • MSCI ESG Ratings, Sustainalytics, EcoVadis: 非公開企業であるため、これらの主要な評価機関による公開評価は通常存在しない。

  • KNT-CTホールディングス株式会社:

  • CDP: 2023年、2024年のスコアはCDPウェブサイト上では確認できなかった71。ただし、同社が2018年に発行したCSRレポートには、2013年から2017年までのCDPスコア(気候変動)が記載されており、2017年のスコアはディスクロージャー(情報開示度)95点、パフォーマンス(実績評価)「B」であった57。このことから、過去にはCDPに回答・開示していたが、近年は状況が変化した可能性がある。

  • MSCI ESG Ratings: 2023年11月時点で、MSCIの評価対象外であった(MSCI ESG Ratings & Climate Search Toolによる)。

  • Sustainalytics: 評価に関する公開情報は確認できなかった。

  • EcoVadis: KNT(近畿日本ツーリスト)がEcoVadisによる評価を受けていることは公表されているが58、具体的なスコアやメダルレベルは開示されていない。

ベンチマーキングに関する考察

以上の結果から、日本の主要な旅行会社であるH.I.S.、JTB、KNT-CTについて、主要な国際ESG評価機関(特にCDPとMSCI)から公表されている最新の環境スコアは非常に限定的であると言える。H.I.S.はMSCIで「A」評価を得ているが、CDPスコアは不明である。JTBとKNT-CTについては、最新の公開スコアが見当たらない。

この情報不足の背景には、各社が評価機関の質問書に回答していない、回答しても結果の公開を選択していない、あるいは(JTBの場合)非公開企業であるため評価対象となっていない、といった理由が考えられる。

したがって、これらの外部評価スコアのみに基づいて、3社の環境パフォーマンスを厳密に定量的ベンチマーキングすることは現時点では困難である。各社の相対的な評価は、本レポートのこれまでの章で分析した、各社が自ら開示しているサステナビリティレポートやウェブサイト上の情報(取り組み内容、目標設定、実績データなど)に基づいて、定性的に行う必要がある。

H.I.S.が獲得したMSCI「A」評価は、同社がある程度のESGリスク管理体制を構築し、実行していることを示唆するものである。しかし、MSCIの評価基準において「Average」カテゴリーに属し69、他の主要産業における日本のリーダー企業(例:ソニー75、第一三共76、花王76などがAAAやAA評価を獲得)と比較すると、まだ改善の余地が大きいことを示しているとも解釈できる。

全体として、日本の大手旅行会社は、他の主要産業(例:製造業、金融業、情報通信業など)の先進企業と比較して、主要な国際ESG評価機関(特にCDP)への情報開示やスコア獲得において、まだ積極性が低い、あるいは評価対応に課題を抱えている可能性が示唆される。これは、旅行業界特有の課題(Scope3排出量の大きさやサプライチェーンの複雑さ)が評価対応を困難にしている、あるいは、業界内でのESG情報開示に対するプレッシャーやインセンティブが他業界ほど高くない、といった要因が影響している可能性も考えられる。競合他社のスコアが不明であるため、H.I.S.のMSCI「A」評価が、日本の旅行業界内でどの程度の相対的な位置づけにあるのかを正確に判断することは難しい状況である。

8. 結論

本レポートでは、株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S.)の環境への取り組みを、「気候変動への対応」「資源循環の推進」「生物多様性の保全」の3つの側面から、公開情報を基に包括的に分析した。

H.I.S.は、TCFD提言に賛同し、気候関連のリスクと機会に関する情報開示を進めている2。GHG排出量の算定を開始し、特に排出量の大部分を占めるScope3(主に航空機利用)への対策として、SAF(持続可能な航空燃料)への投資3やカーボンオフセットプログラムの提供3などに取り組んでいる。資源循環においては、紙類とプラスチック製品の使用量について具体的な削減目標を設定し、コロナ禍の影響はあるものの、大幅な削減実績を示している2。生物多様性に関しては、FSC®認証紙の利用3やエコツアーの提供18、「マラマハワイ」21のような地域連携型の取り組みが見られる。

しかし、同時にいくつかの重要な課題も明らかになった。第一に、気候変動対策における最大の課題は、事業モデルに起因する航空機利用に伴う膨大なScope3排出量であり、これに対する実効性のある削減戦略の具体化と、野心的な削減目標の設定が急務である。第二に、資源循環の取り組みは現状、紙とプラスチックに偏っており、食品ロスや水資源、その他の廃棄物に関する包括的な戦略と目標設定が望まれる。第三に、生物多様性保全への取り組みは、個別の活動に留まっており、全社的な方針、具体的な目標、サプライチェーン全体での影響評価(TNFD対応など)といった体系的なアプローチが不足している。第四に、過去のパーム油発電所問題30は、環境リスク管理とステークホルダーエンゲージメントにおける教訓であり、現在の取り組みに対する信頼性を確保する上で、透明性の高いコミュニケーションと着実な実績が求められる。第五に、主要な競合他社(特にJTB17)と比較して、目標設定の具体性や国際的な枠組み(TNFDなど)への対応、外部ESG評価機関への情報開示において、遅れが見られる可能性がある。H.I.S.のMSCI ESGレーティングは「A」と平均的なレベルに留まっており、CDPスコアは不明である。

これらの課題に対応し、H.I.S.が持続可能な旅行会社として更なる成長を遂げるためには、以下の点が重要となる。

  1. 環境戦略の経営への統合: 環境課題への取り組みを、単なるCSR活動ではなく、事業戦略の中核に位置づけ、経営層の強いコミットメントの下で推進する。

  2. 野心的目標と実行計画: 科学的根拠に基づいた野心的な環境目標(特にGHG削減目標)を設定し、それを達成するための具体的なロードマップと実行計画を策定・公表する。

  3. サプライチェーン全体での取り組み: サプライヤー(航空会社、ホテル、現地オペレーター等)に対する環境基準を設定し、エンゲージメントを通じてサプライチェーン全体での環境パフォーマンス向上を図る。

  4. 透明性とアカウンタビリティ: 目標、取り組み内容、実績データ(成功事例だけでなく課題も含む)に関する情報を、国際的なガイドラインに準拠した形で、適時かつ透明性の高い方法で開示する。可能であれば第三者保証を取得し、報告の信頼性を高める。

  5. ステークホルダーとの対話: 環境NGO、地域社会、投資家、顧客、従業員など、多様なステークホルダーとの継続的な対話を通じて、期待や懸念を把握し、戦略や活動に反映させる。

  6. イノベーションの推進: 環境負荷を低減する新しい技術(SAF、低炭素型輸送手段など)の活用や、サステナブルな価値を提供する新しい旅行商品・サービスの開発を積極的に進める。

H.I.S.がその企業理念1に掲げる「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」ことを真に実現するためには、地球環境保全への真摯な取り組みが不可欠である。本レポートで提示した分析と推奨事項が、H.I.S.の今後の環境パフォーマンス向上と持続可能な企業価値創造に向けた戦略策定の一助となることを期待する。

引用文献

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  5. カーボンオフセットは日本で成功するか? ~カーボン・オフセットの課題と普及策を探る~, 4月 17, 2025にアクセス、 https://onumaseminar.com/assets/GraduationPapers/07th/shimomura.pdf

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エイチ・アイ・エスのGHG排出量推移

GHG排出量推移

「Scope1」の過去3年の推移

2023年8t-CO2
2022年-
2021年-

「Scope2」の過去3年の推移

2023年1,665t-CO2
2022年-
2021年-

「Scope3」の過去3年の推移

2023年1,148,478t-CO2
2022年-
2021年-

COR(売上高あたりのCO2排出量)推移

スコープ1+2

スコープ1+2 CORの過去3年推移

2023年-
2022年-
2021年0kg-CO2

スコープ3

スコープ3 CORの過去3年推移

2023年-
2022年-
2021年0kg-CO2

COA(総資産あたりのCO2排出量)推移

スコープ1+2

スコープ1+2のCOA推移

2023年4kg-CO2
2022年-
2021年0kg-CO2

スコープ3

スコープ3のCOA推移

2023年2,786kg-CO2
2022年-
2021年0kg-CO2

業績推移

売上推移

2023年-
2021年1,428億円
2020年1,186億円

純利益推移

2023年-
2021年-95億円
2020年-500億円

総資産推移

2023年4,122億円
2021年4,150億円
2020年4,114億円

すべての会社・業界と比較

環境スコアポジション

エイチ・アイ・エスの環境スコアは135点であり、すべての会社における環境スコアのポジションと業界内におけるポジションは下のグラフになります。

すべての会社と比較したポジション

業界内ポジション

エイチ・アイ・エスのCORポジション

エイチ・アイ・エスにおけるCOR(売上高(百万円)における炭素排出量)のポジションです。CORは数値が小さいほど環境に配慮したビジネスであると考えられます。エイチ・アイ・エスのスコープ1+2の合計のCORがnullkg-CO2であり、スコープ3のCORがnullkg-CO2になります。グラフはGHG排出量のスコープ別に分かれており、すべての会社と業界内におけるそれぞれのポジションを表しています。
全体におけるエイチ・アイ・エスのCORポジション

CORスコープ1+2

CORスコープ3

業界内におけるエイチ・アイ・エスのCORポジション`

CORスコープ1+2

CORスコープ3

エイチ・アイ・エスのCOAポジション

エイチ・アイ・エスにおけるCOA(総資産(百万円)における炭素排出量)ポジションです。COAもCAR同様、数値が小さいほど環境に配慮したビジネスを行っていると考えられます。エイチ・アイ・エスのスコープ1+2の合計のCORが4kg-CO2であり、スコープ3のCORが2786kg-CO2になります。グラフはGHG排出量のスコープ別に分かれており、すべての会社と業界内におけるそれぞれのポジションを表しています。
全体におけるエイチ・アイ・エスのCOAポジション

COAスコープ1+2

COAスコープ3

業界内におけるエイチ・アイ・エスのCOAポジション

COAスコープ1+2

COAスコープ3

環境スコアランキング(全社)

集計数:510企業
平均点数:217.6
CDPスコア気候変動勲章
三菱電機
6503.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
505
CDPスコア気候変動勲章
コニカミノルタ
4902.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
500
CDPスコア気候変動勲章
豊田自動織機
6201.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
480
4
古河電気工業
5801.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
470
5
味の素
2802.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
460
6
セコム
9735.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコンサービス業
455
7
ダイキン工業
6367.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
8
アイシン
7259.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
9
オムロン
6645.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445
10
フジクラ
5803.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445

業界別環境スコアランキング

集計数:13企業
平均点数:223.1
CDPスコア気候変動勲章
セコム
9735.T
プライムアイコンプライム
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455
CDPスコア気候変動勲章
綜合警備保障
2331.T
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390
CDPスコア気候変動勲章
リクルートホールディングス
6098.T
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330
4
パーソルホールディングス
2181.T
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320
5
日本郵政
6178.T
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310
6
オリエンタルランド
4661.T
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280
7
楽天グループ
4755.T
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175
8
電通グループ
4324.T
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165
9
エイチ・アイ・エス
9603.T
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135
10
リゾートトラスト
4681.T
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130