GX RESEARCH
更新日: 2025/5/19

住友商事

8053.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
環境スコア115
売上
6,910,302百万円
総資産
11,032,583百万円
営業利益
--

COR(売上高炭素比率)

年間CO2排出量(kg)÷ 売上高(百万円)
Scope1+2
738kg
Scope3
8kg

COA(総資産炭素比率)

年間CO2排出量(kg)÷ 売上高(百万円)
Scope1+2
462kg
Scope3
5kg

Scope1

事業者自らによる直接排出
4,530,000t-CO2
2023年実績

Scope2

エネルギー消化に伴う間接排出
572,000t-CO2
2023年実績

Scope3

事業者の活動に関連する他社の排出
56,700t-CO2
2023年実績

スコープ3カテゴリー別データ

カテゴリー2021年度2022年度2023年度
4輸送・配送(上流)
4,090
4,000
(90)
2,970
(1,030)
5事業から発生する廃棄物
10
10
(=0)
10
(=0)
6出張
570
10,280
(9,710)
21,510
(11,230)
7従業員の通勤
370
510
(140)
580
(70)
13リース資産(下流)
30,290
28,150
(2,140)
31,630
(3,480)

国際イニシアティブへの参加

SBT
RE100
EV100
EP100
check
UNGC
30by30
check
GXリーグ

ガバナンス・フレームワーク開示

check
サステナビリティ委員会
check
TCFD・IFRS-S2
TNFD
潜在的環境財務コスト(シナリオ別試算)
2023年度排出量データ: スコープ1(453万t)、 スコープ2(572,000t)、 スコープ3(56,700t)
低コストシナリオ
想定単価: 3,000円/t-CO₂
スコープ1:135.9億円
スコープ2:17.2億円
スコープ3:1.7億円
総額:154.8億円
売上高比率:0.22%
中コストシナリオ
想定単価: 5,000円/t-CO₂
スコープ1:226.5億円
スコープ2:28.6億円
スコープ3:2.8億円
総額:257.9億円
売上高比率:0.37%
高コストシナリオ
想定単価: 10,000円/t-CO₂
スコープ1:453億円
スコープ2:57.2億円
スコープ3:5.7億円
総額:515.9億円
売上高比率:0.75%
※潜在的環境財務コストは、仮想的なカーボンプライシングシナリオをもとに算出した参考値です。

環境への取り組み

森林事業

100年先を見据えた森林経営で、カーボンニュートラル化に貢献

住友商事は、林業先進国ニュージーランドで森林事業に参画している 。子会社SFNZを通じ、国内最大規模となる約5万ヘクタールの森林を保有 。ラジアータパインを30年サイクルで計画的に植林・育林・伐採し、木材を国内外で販売 。伐採後の土地は原則再植林し、森を守り育てている 。SFNZは創業以来の森林管理ノウハウを活かし、持続可能な森林事業を展開し、健全な森林を長期的に維持している 。

水資源

水ビジネスの取り組み

住友商事は、上水・下水を合わせた水ビジネスを社会インフラの重要基盤と位置づけ、世界各地で事業を展開しています。特に水需要が増大する有望市場において、BOOT/BOO事業から完全民営化まで幅広い形態で上下水処理や海水淡水化の実績を積んでいます。日本の技術による安全な水の提供と民間資本活用による社会コスト削減を通じて、世界の水問題解決に貢献すべく、グローバルかつ多角的な挑戦を継続しています。

気候変動関連のリスク・機会

※掲載情報は公開資料をもとに作成しており、全てのリスク・機会を網羅するものではありません。 より詳細な情報は企業の公式発表をご確認ください。

リスク

移行リスク

脱炭素社会への移行に伴い、カーボンプライシング導入等の規制強化や技術革新、市場の変化がリスクとなる。特に、石炭火力発電事業(2040年代後半撤退目標)や一般炭鉱開発事業(2020年代後半生産量ゼロ目標)、化石燃料権益事業、内燃機関関連の自動車部品事業等は、需要減少や資産価値毀損の可能性がある。IEAシナリオ等を用いた分析では、低炭素シナリオ(SDS/NZE)下で石炭・ガス火力需要の減少やEVシフト加速による影響が示唆されている。

物理的リスク

気候変動による異常気象(台風、洪水、干ばつ、猛暑等)の激甚化・頻発化が、国内外の事業拠点やサプライチェーンに影響を及ぼすリスクがある。具体的には、インフラ(港湾、発電所等)、不動産、農業・食料関連事業、森林事業等における操業停止、設備損壊、原材料調達難、労働生産性低下などの物理的損害や事業継続への支障が想定される。特に、洪水リスクの高い地域や水ストレス地域での事業運営には注意が必要である。

機会

GX(グリーントランスフォーメーション)は大きな事業機会となる。再生可能エネルギー事業(洋上風力、地熱、太陽光等、2030年目標5GW超)、次世代エネルギー(水素・アンモニア製造・輸送・利用、SAF)、蓄電池事業、ネガティブエミッション技術(CCS等)、サーキュラーエコノミー関連(PETリサイクル、バイオマス素材等)、環境配慮型不動産開発、企業の脱炭素化支援(GXコンシェルジュ)等が具体的な機会分野である。2030年度までに2兆円規模のEX関連投資を計画している。

目標

気候変動に関しては、2050年カーボンニュートラル(Scope1, 2及びScope3の一部)を長期目標とし、中間目標として2035年までにGHG排出量50%以上削減(2019年度比)、発電事業からの排出量40%以上削減(石炭火力は60%以上削減)を掲げる。石炭火力発電事業からは2040年代後半に完全撤退。生物多様性に関しては、2030年ネイチャーポジティブへの貢献促進を中期目標とし、2025年度中にTNFD提言に基づく開示を目指す。

環境アナリストレポート

住友商事の環境イニシアチブとパフォーマンスに関する包括的分析:気候変動、資源循環、生物多様性を中心に

1. 序論

住友商事の概要と本レポートの目的

住友商事株式会社(以下、住友商事)は、金属、輸送機・建機、インフラ、メディア・デジタル、生活・不動産、資源・化学品といった多様な分野でグローバルに事業を展開する大手総合商社である 1。世界各地に拠点を持ち、約1,700社の連結事業会社を通じて、貿易取引から事業投資、事業運営まで幅広いビジネスを手掛けている 3

近年、企業活動における環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮は、持続可能な成長を実現するための不可欠な要素として認識されている。特に、気候変動、資源の枯渇、生物多様性の損失といった地球規模の環境問題は、企業経営に大きな影響を与えるリスクであると同時に、新たな事業機会をもたらす可能性も秘めている。このような背景のもと、本レポートは、住友商事の環境パフォーマンス、とりわけ「気候変動への対応」「資源循環の推進」「生物多様性の保全」という3つの重点分野における取り組みを包括的に分析することを目的とする。

具体的には、住友商事の環境に関する方針、目標、具体的なイニシアチブ、実績データを詳細に調査・分析し、同社の環境スコアリングに必要な基礎情報を提供する。さらに、環境要因に関連する潜在的なリスクと事業機会、業界における先進事例、現在直面している課題を評価し、競合他社との比較分析(環境スコアのベンチマーキングを含む)を行う。最終的には、これらの分析に基づき、住友商事が今後、環境パフォーマンスをさらに向上させるための具体的な提言を行う。本レポートは、学術的な研究やESG投資判断、企業のサステナビリティ戦略立案に資する、詳細かつ客観的な分析を提供することを目指す。

分析にあたっては、住友商事が発行する統合報告書 2、サステナビリティレポート(ESGコミュニケーションブック等を含む)7、サステナビリティ関連ウェブサイト 1、TCFDレポート関連情報 9、CDP回答 17 など、公開されている情報を網羅的に参照した。

2. 住友商事の環境経営方針とガバナンス

環境基本理念と方針

住友商事のサステナビリティ経営の根幹には、約400年にわたり受け継がれてきた住友グループの事業精神がある 10。特に「自利利他公私一如」の精神は、「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するほどの事業でなければならない」という考え方を示しており、事業活動を通じて社会に貢献し、共に持続的な成長を目指すという現代のサステナビリティの考え方と軌を一にするものである 10。この事業精神が単なる理念にとどまらず、具体的な環境方針やマテリアリティ(重要課題)の設定に反映されている点は、同社のESG課題への取り組みが表層的なものではなく、企業文化として深く根付いている可能性を示唆している 10。文化に根差したアプローチは、環境目標に対する長期的なコミットメントと、リスク認識や機会追求の方法に影響を与え、サステナビリティを中核的な事業戦略により深く統合する可能性がある。

この基本精神に基づき、住友商事グループは「環境基本理念」として、「グローバル企業として、環境問題が地球的規模の広がりを持つとともに、次世代以降にも及ぶ長期的な問題であることを認識し、健全な事業活動を通じて、社会・経済の発展と地球環境の保全が両立した『持続可能な発展』の実現に向け努力する」ことを掲げている 11

この基本理念を実現するため、国内外の事業活動において遵守すべき9つの「基本方針」を定めている 11

  1. 環境に対する基本姿勢

    良き企業市民として地球環境の保全に十分配慮する。

  2. 環境関連法規の遵守

    国内外の環境関連法規及び同意した協定等を遵守する。

  3. 自然環境への配慮

    自然生態系等の環境保全ならびに生物多様性の維持・保全に十分配慮する。

  4. 気候変動への対応

    気候変動の緩和及び気候変動の影響への適応に十分配慮する。

  5. 資源・エネルギーの有効活用

    資源・エネルギーの有限性を認識し、その有効利用に努める。

  6. 循環型社会構築への寄与

    廃棄物の発生抑制・再利用・リサイクルに取り組み、循環型社会の構築に向け努力する。

  7. 環境保全型事業の推進

    総合力を生かし、環境保全型事業を推進し、社会の環境負荷の低減に貢献する。

  8. 環境管理の確立

    環境マネジメントシステムを活用し、環境目的・目標を設定、見直しを行い、継続的改善を図りつつ、環境汚染の予防に努める。

  9. 環境方針の周知と開示

    グループ内で働くすべての人に周知するとともに広く開示する。

これらの理念と方針は、住友商事グループ全体の環境への取り組みの基盤となっている。

サステナビリティ推進体制

住友商事は、サステナビリティ経営を効果的に推進するため、明確なガバナンス体制を構築している 1。最高意思決定機関である取締役会が、サステナビリティに関する重要事項(気候変動関連のリスク・機会を含む)を決定・監督する役割を担う 12。取締役会は、サステナビリティに関するマクロ環境分析やグループ全体の対応状況について、年に複数回の報告を受けている 12

取締役会の下には、経営会議が執行機関として位置づけられ、気候関連を含むサステナビリティに関するリスク・機会の評価、管理、具体的な意思決定、業務執行を担っている 12。経営会議の諮問機関として「サステナビリティ推進委員会」が設置されており、サステナビリティ全般に関する方針や施策を審議する 1。さらに、ESGに関する社外の有識者で構成される「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、客観的かつ専門的な視点からの助言・提言を得て、経営判断に活かしている 1

気候変動問題への対応については、サステナビリティ推進部や経営企画部、各営業グループ、海外地域組織などが連携し、全社的な戦略策定や施策の推進を担う体制が整備されている 12。特に、気候変動対応が取締役会の直接的な監督事項であり、その進捗や成果が取締役を含む役員の報酬に反映される仕組み(非財務指標「気候変動問題対応」の評価結果を反映)を導入している点は注目に値する 12。これは、気候変動課題が経営の最重要事項の一つとして明確に認識され、トップダウンでその取り組みが推進されていることを示している。このような体制は、気候変動に関する考慮事項を単なるCSR活動やオペレーションの範囲を超えて、中核的な事業戦略や意思決定プロセスに統合することを促進する。最高レベルでの説明責任が確立されていることは、設定された目標の達成可能性を高める要因となり得る。

マテリアリティ(重要課題)

住友商事グループは、自社の強みを活かしながら社会が真に必要とする価値を創造し続けることが、持続可能な社会と自社の持続的な成長を実現するとの考えに基づき、サステナビリティ経営を推進している 22。その一環として、2020年に、事業活動との関連性が深く、社会からの期待も高い6つの重要社会課題(マテリアリティ)を特定した 22

  1. 気候変動問題を克服する 11

  2. 自然資本を保全・再生する 11 (2024年5月更新で明確化 14)

  3. 人権を尊重する 11

  4. 人材育成とDE&Iを推進する 11

  5. 安心で豊かな暮らしを実現する 11 (地域社会・経済の発展、生活水準の向上、良質な教育を含む 22)

  6. ガバナンスを維持・強化する 11

これらのマテリアリティは、特定・更新プロセスを経て定期的に見直されており 1、それぞれの課題に対して長期目標と中期目標が設定され、その進捗状況が管理・開示されている 1

特に注目すべきは、2024年5月に行われたマテリアリティの見直しである。この更新により、「自然資本を保全・再生する」という課題がより明確に位置づけられた 14。これは、近年国際的に重要性が高まっているTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応や、ネイチャーポジティブ(自然再興)への貢献といった、生物多様性や自然資本に関する課題への意識の高まりを反映した動きと考えられる。マテリアリティが固定的なものではなく、外部環境の変化(規制、社会の期待、科学的知見など)に対応して見直され、進化している点は、企業がESG課題に対して動的に対応し、戦略を適応させようとしている姿勢を示すものである 14。この適応力は、長期的なレジリエンスと持続可能な価値創造能力にとって重要である。

3. 重点分野別分析

気候変動への対応

方針と目標(GHG削減目標、石炭火力撤退等)

住友商事は、気候変動問題を最重要課題の一つと認識し、パリ協定の目標達成に貢献するため、明確な方針と意欲的な目標を設定している。その基本方針は、2050年までに住友商事グループの事業活動におけるカーボンニュートラル化を達成することである 12。この目標の対象範囲には、自社の直接排出(Scope1)とエネルギー使用に伴う間接排出(Scope2)に加え、Scope3の一部である化石エネルギー権益事業(持分法適用関連会社を含む)で生産されたエネルギー資源が他者によって使用されることに伴う間接排出も含まれており、バリューチェーン全体での排出削減を視野に入れている点が特徴的である 12

中期的なマイルストーンとして、2035年までにグループ全体のGHG排出量を2019年度比で50%以上削減するという目標を掲げている 9。さらに、排出量の多い火力発電事業についても具体的な削減目標を設定しており、同期間内に40%以上削減、その中でも特に排出強度の高い石炭火力発電事業については60%以上削減することを目指している 9

石炭関連事業からの段階的な撤退方針も明確に打ち出している。新規の石炭火力発電事業および建設工事請負(EPC)には一切取り組まない方針を決定している 12。既存の石炭火力発電事業については、上記のGHG排出量削減目標(2035年までに60%以上削減)を達成しつつ、2040年代後半までには全ての事業から撤退する計画である 10。また、一般炭鉱山開発事業に関しても、今後新たな権益取得は行わず、保有する持分からの生産量を2020年代後半までにゼロにする目標を掲げている 10。一方で、エネルギー移行期における重要な役割を考慮し、天然ガス開発事業については、社会全体のエネルギー・トランジションに資すると判断される案件に限定して取り組む方針である 12

これらの目標達成と戦略的意思決定を支援するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入し、炭素コストを投資判断や事業評価に組み込んでいる 12

このように、全体目標に加え、排出源別に具体的な削減目標(火力発電、石炭火力)を設定し、石炭関連事業からの段階的な撤退計画を具体的に示している点は、自社の排出構造と事業特性を深く理解した上での、現実的かつ計画的な移行戦略の存在を示唆している 12。また、ICPの導入は、炭素排出に伴うコストを内部化し、低炭素技術や事業への投資を促進するための具体的なメカニズムとして機能することが期待される 12

具体的な取り組み(再生可能エネルギー、水素、CCS等)

住友商事は、2050年カーボンニュートラル目標達成に向け、総合商社としての多様な事業基盤とグローバルネットワークを活用し、多岐にわたる具体的な取り組みを推進している。

再生可能エネルギー分野では、国内外で積極的な事業展開を行っている。欧州(ベルギー、英国、フランス等)における複数の洋上風力発電プロジェクトへの参画 1、インドネシアにおける地熱発電事業(同国の地熱発電総容量の約40%に関与)12、国内における南相馬市の大型メガソーラー開発や秋田県・茨城県での陸上風力発電所の運営 12、バイオマス発電事業 23 など、多様な電源の開発・運営を手掛けている。これらの取り組みを通じて、2030年までに再生可能エネルギーの持分発電容量を5GW以上に拡大することを目指しており、2024年3月末時点での実績は約2GWである 12

次世代エネルギーとして期待される水素・アンモニア分野への投資も加速している。オーストラリアのアルミナ精製工場において、リオティント社と共同で、再生可能エネルギー由来の水素を製造し、精製工程で天然ガスの代替燃料として利用する実証事業を開始した 10。これは、アルミナ精製に伴うCO2排出量の大幅削減に繋がる可能性のある先進的な取り組みである。また、アンモニア燃料船の開発・導入や燃料供給網の構築など、水素・アンモニアを活用した次世代燃料バリューチェーン全体の構築にも取り組んでいる 12

脱炭素化に不可欠な技術として、CCS(二酸化炭素回収・貯留)/CCUS(回収・利用・貯留)にも関与している。日本CCS調査株式会社への出資などを通じて、技術開発や事業化に向けた取り組みを支援している 1

さらに、モビリティ分野では、EV(電気自動車)バス事業への参画や、EVと再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーマネジメントサービスの提供 7、自動車部品製造子会社(キリウ)におけるカーボンニュートラル化の推進 23 などに取り組んでいる。その他、顧客企業の脱炭素経営を支援するコンサルティングサービス「GXコンシェルジュ」の提供や、環境配慮型データセンターの運営 7、持続可能な森林経営による炭素吸収源の確保 23 など、幅広い分野で気候変動対策を推進している。

これらの再生可能エネルギー、水素・アンモニア、CCS/CCUS、EV関連サービス、森林事業といった多岐にわたる取り組みは、住友商事が総合商社として有する多様な事業ポートフォリオと専門知識を最大限に活用し、エネルギー転換の様々な側面(技術開発、インフラ構築、エネルギー供給、需要家支援など)に包括的に貢献・関与しようとする戦略を反映している 7。この多角的なアプローチは、移行に伴うリスクを分散させると同時に、新たな成長機会を捉えるための戦略と言える。

実績データ(GHG排出量推移等)

住友商事グループのGHG排出量実績は以下の通りである 12

Scope1排出量(エネルギー起源CO2)

  • 2019年度: 792 千t-CO2e

  • 2020年度: 1,523 千t-CO2e

  • 2021年度: 1,389 千t-CO2e

  • 2022年度: 1,268 千t-CO2e

  • 2023年度: 4,485 千t-CO2e

Scope1排出量(エネルギー起源CO2以外)

  • 2023年度: 45 千t-CO2e 24

Scope2排出量

  • 2019年度: 683 千t-CO2e

  • 2020年度: 653 千t-CO2e

  • 2021年度: 672 千t-CO2e

  • 2022年度: 553 千t-CO2e

  • 2023年度: 572 千t-CO2e

Scope3排出量(カテゴリ11:販売した製品の使用)

  • 2023年度: 10,164 千t-CO2e 12とは対象範囲が異なると考えられる)

  • グループ全体のGHG排出量合計(2023年度): 51,606 千t-CO2e 12

2035年目標の基準年である2019年度と比較すると、2023年度のグループ全体のGHG排出量は13.9%削減されている 12。事業別では、火力発電事業全体の排出量は同8.1%減、石炭火力発電事業の排出量は同4.7%減となっている 12

一方で、2023年度のScope1排出量(エネルギー起源CO2)が前年度(2022年度)の1,268千t-CO2eから4,485千t-CO2eへと大幅に増加している点は特筆すべきである 24。この急増の背景には、排出量の多い事業の買収や連結範囲の変更、特定の事業活動の活発化などが考えられるが、公開情報からは明確な要因特定は困難である。排出量データの信頼性と透明性を確保するためには、このような大幅な変動要因について、年次報告書等で詳細な説明が不可欠である。

また、グループ全体の排出量合計(51,606千t)と、報告されているScope1、Scope2、およびScope3カテゴリ11の合計(約15,266千t)との間に大きな乖離がある 12。これは、Scope3の他のカテゴリ(購入した製品・サービス、輸送・配送、販売した製品の使用(化石燃料権益以外)など)からの排出量が相当量存在することを示唆している。総合商社の事業特性上、Scope3排出量の把握と管理は極めて重要であり、今後、算定範囲の拡大と開示の充実が重要な課題となるであろう。

資源循環の推進

方針と目標

住友商事は、地球資源の有限性を認識し、持続可能な社会の実現に向けて、天然資源の持続的な活用と循環型経済への貢献を重要な経営課題と位置付けている 7。環境基本方針においても、「資源・エネルギーの有効活用」と「循環型社会構築への寄与」を掲げ、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)、リサイクル(3R)を推進する姿勢を明確にしている 11

具体的には、リサイクル技術や省資源型技術・商品への転換を促進し、シェアリングエコノミーのような資源効率を高めるビジネスモデルを推進することを目指している 13。また、森林資源のような再生可能な天然資源については、持続可能な調達と管理を徹底する方針である 13

しかしながら、気候変動分野におけるGHG排出削減目標のような、資源循環分野全体を包括する具体的な全社的数値目標(例:廃棄物削減率、水使用効率改善率、再生材利用率など)については、現時点で公開されている情報は限定的であるように見受けられる 13。多様な事業分野にわたる取り組みは進められているものの、それらを統合し、定量的な目標を設定・管理していくことが、今後の課題となる可能性がある。

具体的な取り組み(3R、サーキュラーエコノミー事業、水資源管理、廃棄物管理)

住友商事は、資源循環の推進に向けて、多岐にわたる事業分野で具体的な取り組みを展開している。

  • 森林資源の持続可能な活用

    森林は適切に管理すれば再生可能な循環資源であるとの認識に基づき、ニュージーランドにおいて約30年サイクルでの植林・伐採を行う持続可能な森林経営を実践している 13。Summit Forests New Zealand社が保有する森林の大部分で森林認証を取得し、水資源や原生林の保護、生物多様性への配慮、先住民族マオリとの共生を図りながら事業を運営している 13。また、グループ全体として「森林経営方針」および「林産物調達方針」を定め、森林破壊ゼロと人権尊重に基づいた持続可能な木材調達を推進している 13

  • リサイクル事業の推進

    トムラ・ジャパン株式会社(出資先)を通じて、ノルウェー発のPETボトル自動回収機(RVM)を活用した消費者参加型のリサイクルシステムを構築・展開している 7。回収された高品質なPETボトルは、再びPETボトルやポリエステル繊維へとリサイクルされる「ボトルtoボトル」を含む水平リサイクルの推進に貢献している。

    2030年代に大量廃棄が見込まれる使用済み太陽光パネルについて、パートナー企業4社と共にリユース・リサイクル事業の確立に向けた実証実験を開始しており、将来的な循環システムの構築を目指している 10

  • サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの展開

    日米や東南アジアを中心に展開する建設機械レンタル事業は、製品の所有から利用(サービス化)への移行を促し、機械の稼働率向上と資源効率の最大化に貢献するサーキュラーエコノミーの好例である 7。このようなシェアリング/サービス化モデルは、同社の既存ビジネスモデルの中に循環型経済の原則を組み込む有効な手段となっている。

  • 水資源管理

    グループ全体として水資源の有効活用に努める方針を掲げている 1。具体的な取り組み事例は限定的だが、水ストレスの高い地域での事業運営においては、水リスク評価や効率的な水利用策が求められる。水資源管理に関する方針や取り組みの詳細は、別途開示されている可能性がある 25

  • 廃棄物管理

    環境基本方針に基づき、廃棄物の発生抑制、再利用、リサイクルに取り組む方針を掲げている 11。具体的な取り組みや実績については、後述の実績データの項で触れる。

実績データ(廃棄物量、リサイクル率、水使用量等)

住友商事グループの資源循環に関する主な実績データは以下の通りである 13

廃棄物排出量(連結)

  • 2019年度: 33,305 トン

  • 2020年度: 36,480 トン

  • 2021年度: 36,413 トン

  • 2022年度: 33,200 トン

  • 2023年度: 35,033 トン

  • 近年、概ね3万トン台半ばで推移している。

事業系一般廃棄物 リサイクル率(単体・国内)

  • 2019年度: 95.0%

  • 2020年度: 96.1%

  • 2021年度: 95.6%

  • 2022年度: 95.8%

  • 2023年度: 96.4%

  • 国内主要拠点においては、継続して高いリサイクル率を維持している。

水使用量(取水量)

  • 2019年度: 20,144 千立方メートル

  • 2020年度: 93,120 千立方メートル

  • 2021年度: 78,107 千立方メートル

  • 2022年度: 66,452 千立方メートル

  • 2023年度: 1,525,114 千立方メートル

水使用量(排水量)

  • 2019年度: 15,097 千立方メートル

  • 2020年度: 52,723 千立方メートル

  • 2021年度: 7,205 千立方メートル

  • 2022年度: 7,185 千立方メートル

  • 2023年度: 1,471,837 千立方メートル

  • 2023年度の取水量および排水量が、前年度と比較して桁違いに増加している 24。これは、GHG Scope1排出量の急増と同様に、極めて顕著な変化である。この背景には、水集約型の発電事業や鉱山開発、大規模農業プロジェクトなどが新たに連結範囲に含まれた、あるいは算定方法が変更された等の可能性が考えられる。データの信頼性と透明性の観点から、この大幅な増加に対する詳細な説明が不可欠である。

森林認証材取扱実績(ニュージーランド)

2024年3月期: 168 千立方メートル 13。持続可能な森林経営の成果の一部を示している。

これらのデータから、国内拠点でのリサイクル活動は高い水準にある一方、グループ全体の廃棄物管理や水資源管理、特に水使用量の急増については、さらなる取り組みと情報開示の充実が求められる状況にあることが示唆される。

生物多様性の保全

方針と目標(ネイチャーポジティブ、TNFD対応等)

住友商事は、事業活動が地球上の生物多様性とその恵みに大きく依存していることを認識し、環境基本方針において「自然生態系等の環境保全ならびに生物多様性の維持・保全に十分配慮する」ことを重要な課題として掲げている 11。2024年5月にはマテリアリティ(重要課題)を見直し、「自然資本を保全・再生する」を新たに設定し、生物多様性を含む自然資本への取り組みを強化する姿勢を明確にした 14

国際的な動向にも積極的に対応しており、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の重要性を認識している。2022年6月にはTNFDフォーラムに参画し、さらに2024年1月には、早期にTNFD提言に沿った開示を行う意思を示す「TNFD Early Adopter」に登録した 10。2025年度中にはTNFD提言に基づく情報開示を開始することを目指している 14

中期的な目標としては、「2030年ネイチャーポジティブに向けた取り組みの促進」を設定した 14。ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを意味する概念であり、この目標設定は、生物多様性分野における先進的なポジションを目指す意欲の表れと言える。ただし、「ネイチャーポジティブ」の具体的な定義や、目標達成を測るための全社的な指標・KPIの設定については、現在検討中であり、今後の具体化が待たれる 14。TNFDへの早期対応とネイチャーポジティブ目標の設定は評価できるが、これらの高い目標を達成するためには、測定可能な指標に基づいた具体的な行動計画の策定と実行が不可欠となる。

具体的な取り組み(影響評価、保全活動、サプライチェーン管理)

住友商事は、生物多様性保全に向けて、事業活動の各段階で具体的な取り組みを進めている。

影響評価

新規の投資案件を検討する際には、社会・環境リスク評価シートを用いて、生態系への影響を含む自然関連リスクと機会を事前に評価するプロセスを導入している 14

既存事業については、自然資本への依存度や影響度が大きいと考えられるセクター(高依存・インパクトセクター)を特定し、優先的に分析・対応を行うリスクベースアプローチを採用している 14。ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)などの外部ツールも活用してセクター特定を行っており、2024年度には20の高依存・インパクトセクターを特定した 14

特定された優先事業については、TNFDが推奨するLEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)アプローチを用いた個別分析を進めており、例えばニュージーランドの森林事業では、このアプローチに基づいたトライアル分析を実施し、リスクと機会を特定、今後の指標・目標設定に繋げている 7

保全活動

  • アンバトビー・プロジェクト(マダガスカル)

ニッケル・コバルト鉱山開発事業において、「No Net Loss, Net Gain(損失ゼロ、便益増)」を環境目標に掲げ、大規模な生物多様性保全プログラムを実施している 7。鉱山サイト周辺の緩衝地帯設定、絶滅危惧種の保護区への移植、生態系への影響を相殺するための約14,000ヘクタールに及ぶ生物多様性オフセットプログラムなどが含まれる。このプロジェクトは、高リスク事業における生物多様性への深いコミットメントを示す具体例である。

  • 風力発電事業におけるバードストライク対策

南アフリカの風力発電事業では、鳥類の専門家や地域住民と協力し、鳥類のモニタリング、必要に応じた風車の緊急停止、生息環境への配慮など、野生生物への影響を最小化するための対策を講じている 7

  • バードフレンドリー®認証コーヒー事業

森林伐採を伴わない、渡り鳥の生息環境保全に配慮した農法で栽培された「バードフレンドリー®認証コーヒー」の輸入・販売を2004年から手掛けている 7。この事業は、国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)の認定連携事業にも選ばれており、環境保全とビジネスの両立を目指す取り組みである 14

サプライチェーン管理

「住友商事グループ サプライチェーンCSR行動指針」において、取引先に対しても地球環境保全や生物多様性への配慮を求めている 19

特に自然資本への影響が大きいと考えられるハイインパクトコモディティ(SBTN(Science Based Targets Network)が指定するものなど)に関連する事業については、サプライチェーン全体を対象としたリスク評価と対応を優先的に検討している 14

森林関連事業においては、「森林経営方針」および「林産物調達方針」を策定し、持続可能な調達を推進している 13

実績データ

現時点において、住友商事グループ全体の生物多様性に関する定量的な実績データ(例:保全・再生に貢献した面積、影響を与えた面積、サプライチェーンにおける認証取得率の全体像など)の開示は限定的である 14。アンバトビー・プロジェクトやバードフレンドリー®認証コーヒー事業など、個別のプロジェクトに関する定性的な情報は開示されているが、グループ全体のパフォーマンスを測る統一的な指標やデータは、TNFD対応を進める中で今後整備・開示されていくことが期待される。環境関連データ全般については、別途データ集が公開されている 14

生物多様性の定量的な測定と報告は、世界的に見てもまだ発展途上の分野であり、多くの企業にとって課題となっている。住友商事がTNFDへの早期対応を進める中で、事業の多様性を踏まえつつ、意味のある指標を設定し、データ収集体制を構築し、透明性の高い情報開示を行っていくことが、今後の重要なステップとなる。

4. 環境関連のリスクと機会

気候関連リスク・機会(TCFDに基づく分析)

住友商事は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に早期に賛同(2019年3月)し、そのフレームワークに基づいた情報開示を積極的に行っている 1。気候変動がもたらすリスクと機会を特定・評価し、事業戦略に統合する取り組みを進めている。

移行リスク

低炭素・脱炭素社会への移行に伴うリスクとして、①政策・規制の強化(炭素税導入、排出量規制強化など)、②技術の変化(低炭素技術への移行遅延、既存技術の陳腐化)、③市場の変化(低炭素製品・サービスへの需要シフト、エネルギー価格変動)、④評判リスク(環境対応の遅れによる企業イメージ低下)などを認識している 12

物理リスク

気候変動の進行に伴う物理的な影響として、異常気象(台風、洪水、干ばつ等)の激甚化・頻発化による事業拠点の操業停止やサプライチェーンの寸断、平均気温上昇による農作物への影響などをリスクとして認識している 12

機会

気候変動対応はリスクであると同時に、新たな事業機会をもたらすものと捉えている。具体的には、①再生可能エネルギー事業の拡大、②省エネルギー関連技術・サービスの提供、③水素・アンモニアなどの次世代エネルギー関連事業、④CCS/CCUS技術の開発・導入支援、⑤EV関連インフラ・サービス、⑥企業の脱炭素化支援(GXコンシェルジュ等)などを成長機会として認識している 7

特に、これらの機会を「GX(グリーントランスフォーメーション)」と総称し、新たな成長ドライバーとして明確に位置付けている点は、単なるリスク対応に留まらず、事業変革を通じて競争優位性を確立しようとする積極的な姿勢を示している 12。この戦略的フレーミングは、総合商社として新たな市場と技術を開拓し、社会課題解決を通じて企業価値向上を目指す意欲の表れである。

シナリオ分析

国際エネルギー機関(IEA)や国連責任投資原則(PRI)などが示す複数の気候シナリオ(例:1.5℃目標シナリオ、現状維持シナリオ等)を用いて、2050年までの長期的な視点で、気候変動が自社の事業ポートフォリオや財務状況に与える潜在的な影響を分析・評価している 12。電力、資源、輸送、素材産業、不動産など、特に影響が大きいと考えられるセクターを対象に分析を実施している 16

リスク管理

特定されたリスクと機会は、全社的なリスク管理プロセスに統合されている 12。新規事業や投資の検討・審査プロセスにおいては、気候変動を含む社会・環境リスク評価が義務付けられており、対応策の妥当性が確認される 12。既存事業についても、定期的なモニタリングを通じてリスク管理状況を確認し、必要に応じてエクスポージャー削減などの対応策が検討される体制となっている 12

資源・生物多様性関連リスク・機会(TNFDに基づく分析視点を含む)

気候変動に加え、資源の枯渇や生物多様性の損失も、住友商事の事業活動に影響を与える重要な環境要因である。TNFDへの対応を進める中で、これらの自然関連リスクと機会の特定・評価・管理体制の強化を図っている。

リスク

  • 依存リスク

    事業活動が特定の天然資源(水、鉱物、木材、食料など)や生態系サービス(水質浄化、土壌形成、気候調整など)に高く依存している場合、それらの劣化や枯渇が事業継続の脅威となるリスク(例:水不足による農業・発電事業への影響、原材料調達難)。

  • 影響リスク

    事業活動(土地利用変化、資源採取、汚染物質排出など)が生物多様性や生態系に負の影響を与え、それによって規制強化、訴訟、評判低下などに繋がるリスク。

  • 規制リスク

    資源利用や生物多様性保全に関する国内外の規制強化(例:プラスチック規制、森林破壊防止規制)による事業コスト増加や事業機会の損失。

  • 市場・評判リスク

    消費者や投資家の環境意識の高まりにより、環境負荷の高い製品・サービスが敬遠されたり、サプライチェーンにおける環境・人権問題が発覚した場合のブランドイメージ毀損。

  • 物理リスク

    生態系の劣化(例:サンゴ礁の消失による漁業への影響)や自然災害の増加による物理的な損害。

機会

  • 循環型ビジネスの創出

    リサイクル技術の高度化、リユース・シェアリングモデルの普及、再生材利用の拡大などを通じた新たな収益機会(例:太陽光パネルリサイクル事業、建機レンタル事業)10

  • ネイチャーポジティブ関連事業

    生態系保全・再生技術、持続可能な農林水産業、エコツーリズムなど、自然資本の回復に貢献する新たな市場の開拓 14

  • 評価向上と資金調達

    環境・社会への配慮を強化することで、企業評価が向上し、ESG投資の呼び込みやサステナブルファイナンスの活用に繋がる機会 14

  • 資源効率改善によるコスト削減

    3Rの推進や生産プロセスの見直しによる資源投入量や廃棄物処理コストの削減 13

TNFD対応との連携

TNFDフレームワーク(LEAPアプローチ等)を活用したリスク・機会の評価プロセスを導入・深化させることで、より精緻な分析と戦略的な対応が可能になることが期待される 14。自然関連課題を財務情報と統合的に開示していくことで、投資家等ステークホルダーとの対話を促進し、企業価値向上に繋げることを目指している。

気候変動、資源循環、生物多様性は相互に密接に関連している。例えば、気候変動は水不足や異常気象を通じて生態系や農業に影響を与え、資源の過剰な採取は生物多様性の損失と気候変動(森林破壊によるCO2吸収源減少など)の両方を引き起こす。住友商事が気候(TCFD)、資源循環、生物多様性(TNFD)をマテリアリティとして認識し 11、統合的な視点で管理しようとしていることは、これらの複雑に絡み合ったリスクと機会に効果的に対処するために不可欠である。TNFDへの対応は、この統合的な視点をさらに強化するものと期待される。

5. 業界における先進事例

総合商社および関連業界(資源、インフラ、化学、食品等)においては、環境課題への対応が競争優位性を左右する要因となりつつあり、各社が先進的な取り組みを進めている。住友商事が自社の戦略を評価し、さらなる改善を図る上で、これらのベストプラクティスは重要な示唆を与える。

気候変動対策

  • 野心的なGHG削減目標

    一部の企業は、SBT(Science Based Targets)イニシアティブの1.5℃目標に整合した、より早期のカーボンニュートラル達成目標や、Scope3を含む包括的な削減目標を設定している。

  • 再生可能エネルギーへの大規模投資

    特定の再生可能エネルギー分野(例:洋上風力、グリーン水素)に巨額の投資を行い、事業ポートフォリオの転換を加速させている事例が見られる。三菱商事は2030年度までに2兆円規模のEX(エネルギートランスフォーメーション)関連投資を計画している 3

  • CCUS技術の実用化

    排出源でのCO2回収・貯留(CCS)や、回収したCO2を有効利用する(CCU)技術開発・実証プロジェクトに積極的に参画し、ハード・トゥ・アベイト(削減困難)産業の脱炭素化を目指す動きがある。

  • サプライヤーエンゲージメント

    Scope3排出量削減のため、主要サプライヤーに対して具体的な削減目標の設定や取り組みを要請し、協働するプログラムを導入している企業もある。CDPサプライヤー・エンゲージメント評価(SER)で高い評価を得ている伊藤忠商事(A-評価)の取り組みは参考になる 27

サーキュラーエコノミー

  • 高度なリサイクル技術・システムの構築

    伊藤忠商事は、廃棄衣料品から新たな繊維を生産する「RENU」プロジェクト 28 や、漁網・カーペット等を原料とするリサイクルナイロン「ECONYL®」の展開 30、使用済みプラスチック・繊維を化学製品に再生する「ARChemia」プロジェクト 31 など、ケミカルリサイクルを含む先進的な取り組みを推進している。また、ブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティ確保(BLUE Plasticsプロジェクト)にも挑戦している 33

  • 製品のサービス化(PaaS: Product as a Service)

    製品を販売するのではなく、サービスとして提供することで、製品寿命の長期化、メンテナンスによる性能維持、使用済み製品の回収・再資源化を促進するビジネスモデル(例:サブスクリプション型サービス)を導入する動きがある。

  • 異業種連携による循環ループ構築

    食品リサイクルループ(例:食品廃棄物を飼料化し、その飼料で育てた家畜を再び食品として利用)や、プラスチックリサイクルにおける排出事業者・回収業者・再生業者・製品メーカー間の連携など、バリューチェーン全体での協業を通じて循環システムを構築する事例が増えている。伊藤忠商事によるエコフィード活用や焼酎かす再利用の事例もこれに該当する 34

生物多様性保全

  • ネイチャーポジティブ戦略の具体化

    TNFD提言への早期対応に加え、ネイチャーポジティブ達成に向けた具体的なロードマップ、KPI、目標値を設定し、開示している企業が現れ始めている。

  • サプライチェーンにおけるトレーサビリティ強化

    森林破壊リスクの高いとされるコモディティ(パーム油、大豆、牛肉、木材等)について、衛星画像やブロックチェーン技術などを活用し、生産地までのトレーサビリティを確保し、森林破壊ゼロコミットメントの遵守状況を検証する取り組みが進んでいる。

  • 自然資本評価の事業判断への統合

    自然資本への依存度・インパクト評価(例:ENCORE、IBAT等のツール活用)を深化させ、その結果を新規投資判断や既存事業のリスク管理に明確に組み込むプロセスを構築している事例がある。

  • 生態系再生プロジェクト

    事業活動による影響をオフセット(相殺)するだけでなく、積極的に生態系の再生・回復に貢献するプロジェクト(例:大規模な植林、湿地再生、サンゴ礁再生)に投資・参画する企業が増えている。

これらの先進事例、特に伊藤忠商事によるサーキュラーエコノミー分野での多岐にわたる具体的なプロジェクト展開 28 は、住友商事が自社の資源循環戦略をさらに強化・具体化する上で、重要なベンチマークとなり得る。

6. 競合他社分析と比較

主要競合他社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅)の環境戦略・実績分析

住友商事の環境パフォーマンスを評価する上で、同業である大手総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅)との比較分析は不可欠である。各社は、それぞれの事業ポートフォリオや経営戦略に基づき、環境課題に対して多様なアプローチをとっている。

三菱商事

  • 方針・目標

    「脱炭素社会への貢献」「自然資本の保全と有効活用」などをマテリアリティとして掲げている 39。2050年GHG排出量ネットゼロ、2030年度に2020年度比半減という目標を設定 3。2030年度までに2兆円規模のEX(エネルギートランスフォーメーション)関連投資を計画している 3

  • 取り組み

    石炭火力発電事業からの段階的撤退方針、再生可能エネルギー事業拡大、水素・アンモニア関連投資、CCS/CCUSへの関与などを推進 3。資源有効活用では、食品リサイクルや循環型PET製造事業への参画が見られる 34。生物多様性ではTNFDフレームワークを活用した分析や森林リスクコモディティへの対応を進めている 41

  • 特徴

    大規模なEX投資計画を打ち出し、エネルギー転換を成長戦略の中核に据えている点が特徴的である。

三井物産

  • 方針・目標

    「気候変動」「サーキュラーエコノミー」「生物多様性保全」などを重要課題(マテリアリティ)として特定。詳細なESG情報をウェブサイトで積極的に開示する姿勢を強調している 42。具体的なGHG削減目標や資源循環・生物多様性に関する目標は、サステナビリティレポート等で詳細に開示されていると考えられる 42

  • 取り組み

    気候変動に関してはTCFD提言に基づく情報開示、再生可能エネルギー事業、水素・アンモニア、CCS/CCUSへの取り組みなどを推進。資源循環、生物多様性に関しても、サプライチェーン管理強化や保全活動への貢献を行っている。

  • 特徴

    詳細かつ網羅的な情報開示を重視し、ステークホルダーとのコミュニケーションを重視する姿勢が見られる。

伊藤忠商事

  • 方針・目標

    「気候変動への取組み」「汚染防止と資源循環」「自然資本・生物多様性」などを環境方針の柱としている 44。2050年GHG排出量実質ゼロ、中間目標として2040年オフセットゼロ、2030年40%削減(2018年度比)を掲げる 45

  • 取り組み

    一般炭権益からの早期撤退を完了 45。再生可能エネルギー比率向上、次世代燃料(アンモニア、SAF等)バリューチェーン構築、CCS技術開発に注力 45。特に資源循環分野での取り組みが活発で、「RENU」「ECONYL®」「ARChemia」といった先進的なリサイクルプロジェクトや、サプライヤーとの協働によるトレーサビリティ確保(BLUE Plastics)などを推進している 28。生物多様性に関しても、具体的な調達目標(パーム油、コーヒー、水産物等)を設定し、保全活動を支援している 46

  • 特徴

    サーキュラーエコノミー分野における具体的な事業開発と目標設定が際立っており、サプライチェーン全体での取り組みを重視している。

丸紅

  • 方針・目標

    「気候変動長期ビジョン」を策定し、2050年GHG排出ネットゼロ、中間目標として2030年にScope1・2を50%削減、Scope3(投資)を20%削減(2020年3月期比)を掲げる 47。水マネジメント方針、生物多様性保全方針も策定 25

  • 取り組み

    石炭火力発電事業からの段階的撤退(2050年までにネットゼロ)、再生可能エネルギー事業推進、CCSへの取り組み、森林・植林事業による炭素クレジット創出などを推進 47。水資源管理では排水管理や用水削減 25、生物多様性ではTNFD対応、フィリピンでの発電所周辺における水禽類保護や植林活動、チリでの造水事業における影響評価・回避策などを実施している 48

  • 特徴

    GHG削減目標に加え、具体的な水管理や生物多様性保全プロジェクトに注力している点が特徴。

このように、競合他社もカーボンニュートラル目標の設定やTCFD/TNFDへの対応を進めている点は共通しているが、その戦略的な重点分野(例:三菱商事のEX投資、伊藤忠商事のサーキュラーエコノミー)、目標達成の時期や対象範囲、具体的な取り組みの内容には各社の個性が表れている。住友商事は、これらの競合動向を注視し、自社の強みを活かしつつ、戦略的な差別化を図っていく必要がある。

環境スコアのベンチマーキング(CDP、MSCI、Sustainalytics等)

外部評価機関によるESGスコアは、企業の環境パフォーマンスを客観的に比較・評価する上で重要な指標となる。住友商事と主要競合他社のスコアを比較すると、以下の傾向が見られる。

CDP評価

住友商事は、2024年評価において、気候変動で「B」(マネジメントレベル)、水セキュリティで「A-」(リーダーシップレベル)、フォレストで「A-」(リーダーシップレベル)を獲得している 17

競合他社の状況(主に2023年または2024年評価)を見ると、

  • 三菱商事:気候変動「A-」49

  • 三井物産:気候変動「A」、水セキュリティ「A」50

  • 伊藤忠商事:気候変動「A-」、水セキュリティ「A-」、サプライヤーエンゲージメント「A-」27

  • 丸紅:気候変動「A-」、水セキュリティ「A」、フォレスト「A-」52

この比較から、住友商事は水セキュリティとフォレスト分野では競合他社と同等以上のリーダーシップレベルにあると評価されている一方、気候変動分野では「A」または「A-」評価を獲得している競合が多く、相対的に改善の余地があることが示唆される。

MSCI ESGレーティング

MSCIは企業をAAA(最高)からCCC(最低)の7段階で評価する。

住友商事は、MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数などの構成銘柄に選定されているが 17、最新の具体的なレーティングは公開情報からは確認できなかった。過去の資料や指数構成状況から、一定水準以上の評価を得ていることは推察される。

競合他社のレーティング(確認できた範囲)は、

  • 三菱商事:「A」55

  • 三井物産:「A」56 (過去に格下げがあったとの情報もある 58

  • 伊藤忠商事:「AAA」59

  • 丸紅:「AAA」60

伊藤忠商事と丸紅が最高評価の「AAA」を獲得しているのに対し、三菱商事と三井物産は「A」評価となっている。住友商事のレーティングが確定できないものの、競合トップとは差がある可能性がある。

Sustainalytics ESGリスクレーティング

Sustainalyticsは、ESGリスクの大きさ(管理されていないリスク)を評価し、スコアが低いほどリスクが低いことを示す(Low, Medium, High, Severeの5段階)。

住友商事のリスクレーティングは「23.0」(Mediumリスク)であり、評価対象となった「Trading & Distribution」業界(189社中)では94位に位置付けられている 61

競合他社のリスクレーティング(Sustainalyticsが「Industrial Conglomerates」業界として評価したデータ 62)は、

  • 三菱商事:「39.4」(Highリスク、131社中57位)

  • 三井物産:「31.8」(Highリスク、131社中25位)

  • 伊藤忠商事:「34.9」(Highリスク、131社中37位)

  • 丸紅:「44.0」(Severeリスク、131社中86位)

Sustainalyticsの評価においては、住友商事のリスクスコアが、比較対象として挙げられた競合他社よりも良好(リスクが低い)という結果になっている。ただし、Sustainalyticsが適用している業界分類が住友商事(Trading & Distribution)と他の4社(Industrial Conglomerates)で異なる点には留意が必要である。この業界分類の違いがスコア差に影響している可能性があり、単純な比較には注意を要する。

これらのスコアを総合的に見ると、住友商事はCDPの水・森林分野やSustainalyticsのリスク評価で強みを示している一方、CDP気候変動やMSCIレーティングにおいては、競合トップ企業と比較してさらなる向上の可能性があることを示唆している。

7. 住友商事が直面する課題

住友商事は、環境経営において多くの先進的な取り組みを進めている一方で、その事業の広範性と複雑性から、いくつかの重要な課題に直面している。

バリューチェーン全体の脱炭素化の難易度

住友商事は、金属から食料、インフラ、化学品まで、極めて多様な事業ポートフォリオをグローバルに展開している 1。これは、Scope3(サプライチェーン排出量)がGHG排出量全体のかなりの部分を占めることを意味する。特に、上流(原材料調達、輸送)および下流(販売した製品の使用、廃棄)における排出量の正確な把握と、多数の取引先を巻き込んだ削減努力は、単一セクター企業と比較して格段に複雑で困難な課題である。Scope3排出量の算定範囲拡大と信頼性向上、そして実効性のある削減策の展開が急務である。

資源循環・生物多様性分野における目標の具体化と実績測定

気候変動分野では、2050年カーボンニュートラルや具体的な中期GHG削減目標が設定されているのに対し、資源循環(廃棄物削減、水効率、再生材利用率など)や生物多様性(ネイチャーポジティブ)分野においては、全社レベルでの定量的な目標設定や、その達成度を測るための統一的な指標、実績データの包括的な開示が、まだ十分に進んでいないように見受けられる 13。これらの分野は測定・評価手法が確立途上であるという側面もあるが、マテリアリティとして掲げた以上、目標の具体化と進捗管理、透明性の高い情報開示が求められる。

環境データの変動要因に対する説明責任

2023年度のGHG Scope1排出量および水使用量(取水量・排水量)が、前年度から桁違いに増加している 24。このような大幅な変動は、M&Aによる事業ポートフォリオの変化、連結範囲や算定基準の変更、あるいは特定の事業活動の影響などが考えられるが、その要因に関する明確かつ詳細な説明が不足している場合、データの信頼性や継続的な改善努力に対する疑念を生じさせかねない。変動要因に関する透明性の高い説明責任を果たすことが重要である。

競合他社や先進事例とのギャップ

CDP気候変動スコアが「B」評価である点や、石炭火力発電事業からの完全撤退時期が2040年代後半とされている点など、一部の分野においては、より高い評価や早期の目標達成を掲げる競合他社や業界の先進事例と比較して、改善の余地が見られる可能性がある。これらのギャップを認識し、戦略的に対応していく必要がある。

これらの課題の根底には、総合商社特有の事業の多様性とグローバルな展開範囲という構造的な要因が存在する。多岐にわたる事業分野ごとに異なる環境影響、規制、技術動向に対応しつつ、グループ全体として一貫性のある環境管理体制を構築・運用し、標準化された目標設定と各事業特性に応じた柔軟な対応との間で適切なバランスを取ることが、住友商事の環境経営における最大の挑戦の一つと言えるだろう。

8. 提言

住友商事が環境パフォーマンスをさらに向上させ、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を両立させるために、以下の点を提言する。

8.1. 気候変動対策の加速と深化

石炭火力撤退計画の前倒し検討

現在2040年代後半とされている石炭火力発電事業からの完全撤退目標について、国内外の動向や技術進展を踏まえ、前倒しを検討し、より野心的な目標を再設定することを推奨する。これは、脱炭素化への強いコミットメントを示す上で重要である。

Scope3目標の具体化と開示

Scope3排出量の算定範囲を、現在重点的に開示されているカテゴリ11(化石燃料権益由来)以外にも拡大し、特に排出寄与の大きいカテゴリ(例:購入した製品・サービス、販売した製品の使用)について、具体的な削減目標を設定・開示する。目標達成に向け、サプライヤーエンゲージメントプログラムを強化し、協働での削減努力を推進する。

CDP気候変動「A」評価の獲得

CDP気候変動スコア「A」リスト入りを目指し、戦略を強化する。具体的には、再生可能エネルギー導入目標(5GW)達成に向けた取り組みの加速、エネルギー効率改善のさらなる推進、Scope3削減策の具体化と実績開示の強化などが考えられる。

8.2. 資源循環・生物多様性目標の定量化と開示強化

資源循環に関する全社目標の設定

廃棄物排出量の削減(原単位目標など)、リサイクル率のさらなる向上(連結ベースでの目標設定)、水使用効率の改善(特に水ストレス地域における目標設定)、再生材利用率向上など、資源循環に関する具体的な全社的中期目標(定量目標)を設定し、公表する。

TNFD開示とネイチャーポジティブ戦略の具体化

2025年度のTNFD提言に基づく開示目標に向け、着実に準備を進める。特に、生物多様性への依存度・インパクト評価(LEAPアプローチ等)をグループ全体で深化させ、その結果に基づき、「2030年ネイチャーポジティブ」目標達成に向けた具体的なロードマップ、測定可能なKPI、セクター別目標などを設定・開示する。

8.3. データ透明性と信頼性の向上

環境データ変動要因の明確な説明

GHG排出量や水使用量など、年次報告で大幅な変動が見られる環境データについては、その具体的な要因(事業再編、算定基準・範囲の変更、特定事業の影響等)を、統合報告書やサステナビリティレポートにおいて、定量的根拠と共に詳細かつ透明性をもって説明する。算定基準や範囲に変更があった場合は、その影響を含めて明記する。

8.4. 統合的アプローチによるシナジー創出

TCFDとTNFDの統合的活用

気候変動と自然資本(生物多様性、水、土地利用等)の課題が密接に関連していることを踏まえ、TCFDとTNFDの開示フレームワークを形式的に分けるのではなく、リスク評価、戦略策定、ガバナンス、指標設定において統合的に活用する。これにより、複合的なリスクへの対応力を強化し、気候変動対策と自然資本保全の双方に貢献する事業機会(例:Nature-based Solutions)の創出を促進する。

これらの提言は、住友商事が既に築いている環境経営の基盤(事業精神に基づくコミットメント、TCFD/TNFDへの対応方針等)の上に立ち、目標設定の具体化、情報開示の質の向上、そして具体的なアクションの加速を促すものである。これらの実行を通じて、同社は環境リスクへの耐性を高め、新たな成長機会を獲得し、ステークホルダーからの信頼をさらに高めることができると期待される。

9. 結論

本レポートでは、住友商事の環境への取り組みを、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの重点分野を中心に、方針、目標、具体的な活動、実績データ、リスクと機会、競合比較、課題、そして提言に至るまで、多角的に分析した。

分析の結果、住友商事は、その事業精神「自利利他公私一如」を基盤に、持続可能な社会の実現に向けた強いコミットメントを有していることが確認された 10。気候変動分野では、2050年カーボンニュートラル目標と具体的な中期削減目標を設定し、再生可能エネルギー事業のグローバルな展開 12 や次世代エネルギーへの投資を進めている。また、自然関連課題に対しても、TNFDへの早期対応 10 やネイチャーポジティブ目標の設定 14 など、先進的な姿勢を示している点は高く評価できる。アンバトビー・プロジェクト 7 のような高リスク事業における詳細な環境管理計画は、同社のコミットメントの深さを示す好例である。

一方で、いくつかの課題も明らかになった。総合商社としての事業の多様性とグローバルなサプライチェーンは、Scope3排出量の網羅的な把握と削減、資源循環や生物多様性分野における全社的な定量的目標設定と実績測定を困難にしている側面がある。また、2023年度に見られたGHG Scope1排出量や水使用量の急増 24 など、環境データの変動に対する説明責任と透明性の向上が求められる。CDP気候変動スコア 17 や石炭火力撤退時期 12 など、一部で競合他社に後れを取る可能性のある分野も見られた。

本レポートで提示した提言(気候変動対策の加速、資源循環・生物多様性目標の具体化、データ透明性の向上、統合的アプローチの深化)は、これらの課題に対応し、住友商事がその強みをさらに活かし、環境パフォーマンスを向上させるための道筋を示すものである。これらの提言を着実に実行に移すことは、環境リスクを低減し、GX(グリーントランスフォーメーション)やネイチャー関連の新たな事業機会を獲得し、ひいては長期的な企業価値の向上と、社会全体の持続可能な発展への貢献に繋がるものと確信する。

今後、住友商事がこれらの課題にどのように取り組み、環境パフォーマンスと情報開示の質をさらに向上させていくか、その進展が注目される。

引用文献

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  20. サステナビリティ | 会社情報 - 住商ファーマインターナショナル株式会社, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.summitpharma.co.jp/japanese/about/sustainability/

  21. 環境方針|サステナビリティ - 住友商事グローバルメタルズ株式会社, 4月 20, 2025にアクセス、 https://www.scgm.co.jp/csr/environment/

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住友商事のGHG排出量推移

GHG排出量推移

「Scope1」の過去3年の推移

2023年4,530,000t-CO2
2022年1,528,000t-CO2
2021年1,621,000t-CO2

「Scope2」の過去3年の推移

2023年572,000t-CO2
2022年553,000t-CO2
2021年672,000t-CO2

「Scope3」の過去3年の推移

2023年56,700t-CO2
2022年42,950t-CO2
2021年35,330t-CO2

COR(売上高あたりのCO2排出量)推移

スコープ1+2

スコープ1+2 CORの過去3年推移

2023年738kg-CO2
2022年305kg-CO2
2021年417kg-CO2

スコープ3

スコープ3 CORの過去3年推移

2023年8kg-CO2
2022年6kg-CO2
2021年6kg-CO2

COA(総資産あたりのCO2排出量)推移

スコープ1+2

スコープ1+2のCOA推移

2023年462kg-CO2
2022年206kg-CO2
2021年239kg-CO2

スコープ3

スコープ3のCOA推移

2023年5kg-CO2
2022年4kg-CO2
2021年4kg-CO2

業績推移

売上推移

2023年6兆9103億
2022年6兆8179億
2021年5兆4950億

純利益推移

2023年3,864億円
2022年5,652億円
2021年4,637億円

総資産推移

2023年11兆326億
2022年10兆1063億
2021年9兆5822億

すべての会社・業界と比較

環境スコアポジション

住友商事の環境スコアは115点であり、すべての会社における環境スコアのポジションと業界内におけるポジションは下のグラフになります。

すべての会社と比較したポジション

業界内ポジション

住友商事のCORポジション

住友商事におけるCOR(売上高(百万円)における炭素排出量)のポジションです。CORは数値が小さいほど環境に配慮したビジネスであると考えられます。住友商事のスコープ1+2の合計のCORが738kg-CO2であり、スコープ3のCORが8kg-CO2になります。グラフはGHG排出量のスコープ別に分かれており、すべての会社と業界内におけるそれぞれのポジションを表しています。
全体における住友商事のCORポジション

CORスコープ1+2

CORスコープ3

業界内における住友商事のCORポジション`

CORスコープ1+2

CORスコープ3

住友商事のCOAポジション

住友商事におけるCOA(総資産(百万円)における炭素排出量)ポジションです。COAもCAR同様、数値が小さいほど環境に配慮したビジネスを行っていると考えられます。住友商事のスコープ1+2の合計のCORが462kg-CO2であり、スコープ3のCORが5kg-CO2になります。グラフはGHG排出量のスコープ別に分かれており、すべての会社と業界内におけるそれぞれのポジションを表しています。
全体における住友商事のCOAポジション

COAスコープ1+2

COAスコープ3

業界内における住友商事のCOAポジション

COAスコープ1+2

COAスコープ3

環境スコアランキング(全社)

集計数:985企業
平均点数:171.7
CDPスコア気候変動勲章
三菱電機
6503.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
505
CDPスコア気候変動勲章
コニカミノルタ
4902.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
500
CDPスコア気候変動勲章
豊田自動織機
6201.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
480
4
古河電気工業
5801.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
470
5
味の素
2802.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
460
6
セコム
9735.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコンサービス業
455
7
ダイキン工業
6367.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
8
アイシン
7259.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
450
9
オムロン
6645.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445
10
フジクラ
5803.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン製造業
445

業界別環境スコアランキング

集計数:150企業
平均点数:127.5
CDPスコア気候変動勲章
長瀬産業
8012.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
380
CDPスコア気候変動勲章
エディオン
2730.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
375
CDPスコア気候変動勲章
アスクル
2678.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
360
4
高島屋
8233.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
350
5
内田洋行
8057.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
350
6
ビックカメラ
3048.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
345
7
スターゼン
8043.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
340
8
稲畑産業
8098.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
340
9
三井物産
8031.T
プライムアイコンプライム
プライムアイコン商業
340
10
335